JP2003181969A - 易剥離性積層フィルム - Google Patents

易剥離性積層フィルム

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JP2003181969A JP2001384414A JP2001384414A JP2003181969A JP 2003181969 A JP2003181969 A JP 2003181969A JP 2001384414 A JP2001384414 A JP 2001384414A JP 2001384414 A JP2001384414 A JP 2001384414A JP 2003181969 A JP2003181969 A JP 2003181969A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 隠蔽シール、貼り替え防止用ラベル等の基材
として耐水性に優れ、剥離を開始するための特殊な加工
を必要としない、極めて優れた特性を有する易剥離性積
層フィルムを提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂からなる基層(A)、層間
剥離性層(B)、表面層(C)が順に積層された積層フ
ィルムであって、層間剥離性層(B)の剥離強度が5〜
150g/cm幅であり、表面層(C)の破断強度が5
00g/cm幅以下である易剥離性積層フィルム、およ
び、層間剥離性層(B)が無機微細粉末及び/又は有機
フィラー10〜80重量%および熱可塑性樹脂90〜2
0重量%を含有する当該易剥離性積層フィルム、並び
に、基層(A)の膜厚が10〜500μm、層間剥離性
層(B)の膜厚が0.1〜10μmであり、表面層
(C)の膜厚が10μm未満である当該易剥離性積層フ
ィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂より
なる基層(A)、層間剥離性層(B)、表面層(C)が
順に積層され、層間剥離性層(B)の破壊により基層
(A)と表面層(C)が容易に剥離可能である積層フィ
ルムであって、表面層(C)の破断強度を弱くすること
により容易に剥離が開始することが可能である易剥離性
積層フィルムに関する。該易剥離性積層フィルムは糊残
りが無い配送伝票、葉書や通帳の隠蔽シール、貼り替え
防止用ラベル、改ざん防止シール、応募シール、クーポ
ン等の基材として有用である。
【0002】
【従来の技術】従来、スーパーマーケット、百貨店など
の食品売場などで賞味期限切れが近い商品をバーゲン用
にして貼った安い値札粘着ラベルを引き剥がし、これを
通常価格の商品の値札ラベルに貼り替えて安い価格で商
品を購入する輩がいるという問題があった。このため、
商品に剥離したラベルを貼り替えた後、これが剥離した
ものであることが容易に判る貼り替え防止用の粘着ラベ
ル、或いは貼り替えることが不可能な粘着ラベルが要求
されており、実用化されている。しかしこれらの貼り替
え防止用粘着ラベルは、価格が高く、ラベルを剥がした
時に剥離面上に接着剤が残りベトついたり、ゴミが付着
するという問題があった。
【0003】これらの問題を解決するため、特開平8−
99377号公報には、第1の層を剥離剤にて第2の層
から剥離せしめるに要する力をaとし、接着剤層の被貼
着材との接着力をbとし、剥離シートを接着剤層より剥
離せしめるに要する力をcとしたとき、次式、c<a<
b、を満足する貼り替え防止用ラベルの製法であって、
(a)剥離シートに接着剤層を形成するステップと、
(b)第1の層の一方主面上にワックスを含む剥離剤層
を積層するステップと、(c)前記第1の層の剥離剤層
の表面上に、第2の層を形成するステップと、(d)前
記剥離シートの接着剤層面と、前記第1の層に積層され
た第2の層の面とを重ね合わせ積層するステップとを含
む、貼り替え防止用ラベルの製法、が提案されている
が、この製法は複雑であると共に第1の層の表面材にパ
ルプ抄造紙を用いた場合には耐水性が劣るため水に触れ
ると容易に破壊し、被貼着基材より剥がれてしまう欠点
があり、漬け物、豆腐、こんにゃく等の水封入容器用ラ
ベルには向いていない。一方、特開平8−30202号
公報には、表面基材、凝集破壊層、しみ込み防止層及
び、粘着剤層が順に積層されてなる張り替え防止ラベル
が提案されている。しかしながらこの手法で得られる凝
集破壊層は、基材表面に塗工により設けられており、凝
集破壊層の破壊強度が幅、流れ、厚み方向でほぼ等しい
為、剥離可能な強度の凝集破壊層を設置すると、しみ込
み防止層側への印刷時やラベル加工時に凝集破壊層が剥
離してしまったり、又、ラベルとして貼り付けた場合に
剥がそうとしていなくても剥離を起こしてしまう可能性
があった。またそれぞれの層を個別に設置する必要があ
り割高なものであった。
【0004】又、特開平10−258476号公報に
は、無機微細粉末10〜80重量%、および熱可塑性樹
脂90〜20重量%を含有する熱可塑性樹脂二軸延伸フ
ィルムよりなる層間剥離層(B)の表裏面に肉厚10〜
500μmの熱可塑性樹脂フィルムよりなる表面層
(A)および裏面層(C)を融着積層し、耐水性の優
れ、層間剥離性層(B)の層状剥離が容易に起きる貼り
替え防止ラベル用フィルムを得る方法が提案されてい
る。しかしながら、この方法で得られた易剥離性積層フ
ィルムは一度剥離を開始すれば表面層(A)及び裏面層
(C)を容易に剥離することが可能であるが、剥離を確
実に開始させるためには裏面層(C)のみにノッチやス
リットを入れる等の特殊な加工を必要とする欠点が判明
した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明はこれら
の従来技術の問題点を解決し、極めて優れた特性を有す
る易剥離性積層フィルムを提供することを解決すべき課
題とした。すなわち本発明は、隠蔽シール、貼り替え防
止用ラベル等の基材として耐水性に優れ、剥離を開始す
るための特殊な加工を必要としない易剥離性積層フィル
ムを提供することを解決すべき課題とした。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
課題を解決するために鋭意検討を進めた結果、特定の層
構成の熱可塑性樹脂フィルムを形成することによって所
期の特性を有する易剥離性積層フィルムを提供し得るこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発
明は、熱可塑性樹脂からなる基層(A)、層間剥離性層
(B)、表面層(C)が順に積層された積層フィルムで
あって、表面層(C)の剥離強度を5〜100g/cm
幅にし、表面層(C)の破断強度を500g/cm幅以
下にすることにより、剥離を開始するための特殊な加工
を必要としない易剥離性積層フィルムを提供するもので
ある。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明の易剥離性積層フィ
ルムついて、更に詳細に説明する。本発明の積層フィル
ムは上述したように、基層(A)、層間剥離性層(B)
および表面層(C)より構成されてなり、必要により粘
着剤層、離型紙、または他の積層フィルムを設けても良
い易剥離性積層フィルムである。
【0008】[基層(A)]基層(A)は熱可塑性樹脂
からなり、それ自体の強度が後述の表面層(C)の強度
よりも高く、(A)層を持って引き剥がしたときに、そ
れ自体内は破断をしないものである。基層(A)に用い
る熱可塑性樹脂の種類は特に制限されない。例えば、高
密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエ
チレン、プロピレン系樹脂、ポリメチル−1−ペンテン
等のポリオレフィン系樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重
合体、エチレン・アクリル酸共重合体、マレイン酸変性
ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の官能
基含有ポリオレフィン系樹脂、ナイロン−6、ナイロン
−6,6等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタ
レートやその共重合体、ポリブチレンテレフタレート、
脂肪族ポリエステル等の熱可塑性ポリエステル系樹脂、
ポリカーボネート、アタクティックポリスチレン、シン
ジオタクティックポリスチレン等を使用することができ
る。これらの熱可塑性樹脂の中では、加工性に優れるポ
リオレフィン系樹脂、官能機含有ポリオレフィン系樹脂
を用いることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂のより
具体的な例としては、エチレン、プロピレン、ブチレ
ン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、メチル−
1−ペンテンなどのオレフィン類の単独重合体、及び、
これらオレフィン類2種類以上からなる共重合体が挙げ
られる。
【0009】官能基含有ポリオレフィン系樹脂のより具
体的な例としては、前記オレフィン類と共重合可能な官
能機含有モノマーとの共重合体があげられる。かかる官
能機含有モノマーとしては、スチレン、αメチルスチレ
ンなどのスチレン類、酢酸ビニル、ビニルアルコール、
プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、
カプロン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビ
ニル、安息香酸ビニル、ブチル安息香酸ビニル、シクロ
ヘキサンカルボン酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエス
テル類、アクリル酸、メタクリル酸、メチル(メタ)ア
クリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メ
タ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オ
クチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、
ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、
ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、(メタ)ア
クリルアミド、N−メタロール(メタ)アクリルアミド
などの(メタ)アクリル酸エステル類((メタ)アクリ
ル酸エステルは、アクリル酸エステルとメタクリ酸エス
テルを指す)、メチルビニルエーテル、エチルビニルエ
ーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテ
ル、シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビ
ニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、フェニルビニ
ルエーテルなどのビニルエーテル類が特に代表的であ
る。これら官能機含有モノマーの中から必要に応じ1種
類もしくは2種類以上を適宜選択し重合したものを用い
ることができる。更にこれらポリオレフィン系樹脂及び
官能機含有ポリオレフィン系樹脂を必要によりグラフト
変性して使用することも可能である。
【0010】グラフト変性には公知の手法がもちいるこ
とができ、具体的な例としては、不飽和カルボン酸また
はその誘導体によるグラフト変性を挙げることができ
る。該不飽和カルボン酸としては、例えばアクリル酸、
メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等を
挙げることができる。また上記不飽和カルボン酸の誘導
体としては、酸無水物、エステル、アミド、イミド、金
属塩等も使用可能である。具体的には、無水マレイン
酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、アクリル酸メ
チル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチ
ル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、
マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエ
ステル、フマル酸モノメチルエステル、フマル酸ジメチ
ルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン
酸ジエチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレ
イン酸−N−モノエチルアミド、マレイン酸−N,N−
ジエチルアミド、マレイン酸−N−モノブチルアミド、
マレイン酸−N,N−ジブチルアミド、フマル酸モノア
ミド、フマル酸ジアミド、フマル酸−N−モノエチルア
ミド、フマル酸−N,N−ジエチルアミド、フマル酸−
N−モノブチルアミド、フマル酸−N,N−ジブチルア
ミド、マレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニ
ルマレイミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナ
トリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム
等を挙げることができる。グラフト変性物はグラフトモ
ノマーをポリオレフィン系樹脂及び官能機含有ポリオレ
フィン系樹脂に対して一般に0.005〜10重量%、
好ましくは0.01〜5重量%グラフト変性したもので
ある。
【0011】基層(A)の熱可塑性樹脂としては、上記
の熱可塑性樹脂の中から1種を選択して単独で使用して
もよいし、2種以上を選択して組み合わせて使用しても
よい。更にこれらポリオレフィン系樹脂および官能機含
有ポリオレフィン系樹脂の中でも、プロピレン系樹脂
が、耐薬品性、コストの面などから好ましい。プロピレ
ン系樹脂としては、プロピレン単独重合体でありアイソ
タクティックないしはシンジオタクティック及び種々の
程度の立体規則性を示すポリプロピレン、プロピレンを
主成分とし、これと、エチレン、1−ブテン、1−ヘキ
サン、1−ヘプタン、4−メチル−1−ペンテン等のα
オレフィンとを共重合させた共重合体を主成分として使
用することが望ましい。この共重合体は、2元系でも3
元系以上でもよく、またランダム共重合体でもブロック
共重合体であってもよい。プロピレン系樹脂には、プロ
ピレン単独重合体よりも融点が低い樹脂を2〜25重量
%配合して使用することが好ましい。そのような融点が
低い樹脂として、高密度ないしは低密度のポリエチレン
を例示することができる。
【0012】基層(A)にする熱可塑性樹脂には、必要
に応じて無機微細粉末、有機フィラー、安定剤、光安定
剤、分散剤、滑剤などを添加することができる。無機微
細粉末を添加する場合は、粒径が通常0.01〜15μ
m、好ましくは0.01〜5μmのものを使用する。具
体的には、炭酸カルシウム、焼成クレ−、シリカ、けい
そう土、白土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、ア
ルミナ、ゼオライト、マイカ、セリサイト、ベントナイ
ト、セピオライト、バーミキュライト、ドロマイト、ワ
ラストナイト、ガラスファイバーなどを使用することが
できる。
【0013】有機フィラーを添加する場合は、主成分で
ある熱可塑性樹脂とは異なる種類の樹脂を選択すること
が好ましい。例えば、熱可塑性樹脂フィルムがポリオレ
フィン系樹脂フィルムである場合には、有機フィラーと
しては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート、ポリカーボネート、ナイロン−6、ナイ
ロン−6,6、環状オレフィン、ポリスチレン、ポリメ
タクリレート等の重合体であって、ポリオレフィン系樹
脂の融点よりも高い融点(例えば170〜300℃)な
いしはガラス転移温度(例えば170〜280℃)を有
し、かつ非相溶のものを使用することができる。
【0014】安定剤を添加する場合は、通常0.001
〜1重量%の範囲内で添加する。具体的には、立体障害
フェノール系、リン系、アミン系等の安定剤などを使用
することができる。光安定剤を使用する場合は、通常
0.001〜1重量%の範囲内で使用する。具体的に
は、立体障害アミンやベンゾトリアゾール系、ベンゾフ
ェノン系の光安定剤などを使用することができる。分散
剤や滑剤は、例えば無機微細粉末を分散させる目的で使
用する。使用量は通常0.01〜4重量%の範囲内にす
る。具体的には、シランカップリング剤、オレイン酸や
ステアリン酸等の高級脂肪酸、金属石鹸、ポリアクリル
酸、ポリメタクリル酸ないしはそれらの塩等使用するこ
とができる。
【0015】基層(A)の肉厚は10〜500μm、好
ましくは20〜300μmの範囲である。10μm未満
では基層(A)の破断強度が低く、基層(A)を持って
表面層(C)から引き剥がした時に、途中で破断してし
まい本発明の所期の性能を発揮しない。又、500μm
を越えてしまうと易剥離性積層フィルムの腰が高くな
り、隠蔽シール、貼り替え防止用ラベル等に使用する場
合の加工、印刷適性が低下する。基層(A)は、2層構
造、3層以上の多層構造のものであってもよく、この多
層構造の延伸軸数が1軸/1軸、1軸/2軸、2軸/1
軸、1軸/1軸/2軸、1軸/2軸/1軸、2軸/1軸
/1軸、1軸/2軸/2軸、2軸/2軸/1軸、2軸/
2軸/2軸であっても良い。基層(A)の多層化により
筆記性、印刷性、熱転写適性、耐擦過性、2次加工適性
等の様々な機能の付加が可能となる。
【0016】基層(A)を多層構造にする場合は、後述
の層間剥離性層(B)に接する層である(A1)層の無
機微細粉末及び/又は有機フィラーの含有量は層間剥離
性層(B)よりも8重量%以上、好ましくは15重量%
以上少ないことが望ましい。(A1)層の無機微細粉末
及び/又は有機フィラーの含有量が層間剥離性層(B)
に対して、8重量%以上低いことによって層間剥離性層
(B)と(A1)層のボイド率に差ができ、層間剥離性
層(B)のみに破壊伝播することができる。
【0017】[層間剥離性層(B)]本発明に於ける層
間剥離性層(B)は、基層(A)および表面層(C)よ
りも強度が弱い層で、本発明の表面層(C)の剥離は、
層間剥離性層(B)の破壊により行われる。層間剥離性
層(B)の好ましい形態は無機微細粉末及び/又は有機
フィラー10〜80重量%、好ましくは15〜70重量
%、熱可塑性樹脂90〜20重量%、好ましくは85〜
30重量%を含有する熱可塑性樹脂延伸フィルムであ
る。層間剥離性層(B)の無機微細粉末及び/又は有機
フィラーの含有量が10重量%未満では、充分な剥離性
が得られず、80重量%を越えては成形安定性が損なわ
れる。熱可塑性樹脂としては、基層(A)項で挙げた熱
可塑性樹脂を用いることができ、基層(A)と同様にポ
リオレフィン系樹脂及び官能機含有ポリオレフィン系樹
脂を用いることが好ましい。無機微細粉末及び/又は有
機フィラーとしては、基層(A)項で挙げたものが使用
することができる。
【0018】層間剥離性層(B)の厚みは0.1〜10
μm、好ましくは0.2〜5μmの範囲である。0.1
μm未満では、十分な剥離性が得られず、10μmを越
えては剥離強度には問題はないが、剥離面が均一とはな
らず凸凹となるため剥離面に印字したり、剥がした基層
(A)を管理票等としてバーコード印字する場合に問題
となる。層間剥離性層(B)は延伸樹脂フィルム層であ
ることが好ましく、延伸成形により厚みが薄く、均一性
の取れた層間剥離性層(B)を得る事が可能となる。更
に無機及び/又は有機フィラーを含有する層間剥離性層
(B)を延伸することにより層間剥離性層(B)に微細
な空孔を形成し強度を低下することが可能となり、本発
明の目的とする表面層(C)の剥離強度を得ることがで
きる。さらに層間剥離性層(B)は延伸されることによ
り延伸方向の強度が強くなる。そのため延伸されていな
い方向である厚み方向の強度は、延伸方向の強度と比べ
て低くなることから、剥離が層間剥離性層(B)内部を
伝播し易く本発明の目的とする剥離性が容易に得られ、
又、不必要な剥離が発生しにくい易剥離性積層フィルム
を得ることが可能である。
【0019】[表面層(C)]本発明に於ける表面層
(C)は層間剥離性層(B)の破壊により基層(A)よ
り剥離する様に設けられた層である。本発明の層間剥離
性層(B)は強度が低く破壊し易い層であるため、層間
剥離性層(B)の更に外側に表面層(C)を設けること
により易剥離性積層フィルムの生産や加工時に層間剥離
性層(B)の破壊により発生する粉をなくすことが可能
であり、また加工性の優れた易剥離性積層フィルムを得
ることができる。表面層(C)を構成する熱可塑性樹脂
としては、基層(A)項で挙げた熱可塑性樹脂を用いる
ことができ、基層(A)と同様にポリオレフィン系樹脂
及び官能機含有ポリオレフィン系樹脂を用いることが好
ましい。更に、表面層(C)の破断強度を本発明の目的
とする500g/cm以下にするためには、表面層
(C)に用いる熱可塑性樹脂は、破断強度の低い樹脂で
あることが望ましく、具体的には、エチレン系樹脂、プ
ロピレン系樹脂、エチレン・不飽和カルボン酸共重合
体、エチレン・アクリル酸共重合体、及び、これらのグ
ラフト変性体が挙げられる。表面層(C)は無機微細粉
末及び/又は有機フィラーを含有することも可能であ
り、好ましい無機微細粉末及び/又は有機フィラーの含
有量は0〜30重量%、より好ましくは0〜20重量
%、更に好ましくは0〜10重量%である。無機微細粉
末及び/又は有機フィラーの含有量が30重量%を越え
ると表面層(C)の透明性が損なわれ、表面層(C)の
下の情報の認識性が低下する。更に、表面層(C)の無
機微細粉末及び/又は有機フィラーの含有量は、層間剥
離性層(B)の無機微細粉末及び/又は有機フィラーの
含有量よりも低いことが望ましく、層間剥離性層(B)
よりも表面層(C)の含有量を低くすることにより、層
間剥離性層(B)に選択的に剥離を生じさせることがで
き、安定した剥離性の易剥離性積層フィルムを得ること
が可能である。表面層(C)は延伸樹脂フィルム層であ
ることが好ましく、延伸成形により薄く、厚みの均一性
の取れた表面層(C)を得ることが可能となる。表面層
(C)の膜厚は10μm以下、より好ましくは8μm以
下、更に好ましくは6μm以下であることが好ましく、
膜厚が、10μmを越えると本発明の目的とする破断強
度の表面層(C)を得ることが困難となる。
【0020】[樹脂フィルムの成形]熱可塑性樹脂フィ
ルムを形成する方法は特に限定されず、公知の種々の方
法が使用できるが、具体例としては、スクリュー型押出
機に接続された単層または多層のTダイやIダイを使用
して溶融樹脂をシート状に押し出すキャスト成形、円形
ダイを使用し溶融樹脂をチューブ状に押し出し内部の空
気圧力で膨張させるインフレ−ション成形、混練された
材料を複数の熱ロールで圧延しシート状に加工するカレ
ンダー成形、圧延成形などが挙げられる。
【0021】[積層]基層(A)、層間剥離性層(B)
および表面層(C)は積層後少なくとも1軸方向に延伸
されていることが必要である。本発明の層間剥離性層
(B)および表面層(C)は強度が低く、肉厚が薄い
為、これら各層は単層での延伸成形は極めて困難であ
る。基層(A)との積層後延伸することにより、層間剥
離性層(B)と表面層(C)は延伸が容易となる。かか
る積層方法についても公知の種々の方法が使用できる
が、具体例としては、フィードブロック、マルチマニホ
ールドを使用した多層ダイス方式と、複数のダイスを使
用する押出しラミネーション方式等がある。又、多層ダ
イスと押出しラミネーションを組み合わせて使用するこ
とも可能である。
【0022】[延伸]延伸は、通常用いられる種々の方
法のいずれかによって行うことができる。延伸の温度
は、基層(A)に主に用いる熱可塑性樹脂のガラス転移
点温度以上から結晶部の融点以下の熱可塑性樹脂に好適
な公知の温度範囲内で行うことができる。具体的には、
基層(A)の熱可塑性樹脂がプロピレン単独重合体(融
点155〜167℃)の場合は100〜166℃、高密
度ポリエチレン(融点121〜136℃)の場合は70
〜135℃であり融点より1〜70℃低い温度である。
また、延伸速度は20〜350m/分にするのが好まし
い。延伸方法としては、キャスト成形フィルムを延伸す
る場合は、ロール群の周速差を利用した縦延伸、テンタ
ーオーブンを使用した横延伸、圧延、テンターオーブン
とリニアモーターの組み合わせによる同時二軸延伸など
を挙げることができる。又、インフレーションフィルム
の延伸方法としては、チューブラー法による同時二軸延
伸を挙げることができる。
【0023】延伸倍率は特に限定されず、基層(A)に
用いる熱可塑性樹脂の特性等を考慮して適宜決定する。
例えば、熱可塑性樹脂としてプロピレン単独重合体ない
しはその共重合体を使用する時には一方向に延伸する場
合は約1.2〜12倍、好ましくは2〜10倍であり、
二軸延伸の場合には面積倍率で1.5〜60倍、好まし
くは4〜50倍である。その他の熱可塑性樹脂を使用す
る時には一方向に延伸する場合は1.2〜10倍、好ま
しくは2〜5倍であり、二軸延伸の場合には面積倍率で
1.5〜20倍、好ましくは4〜12倍である。このよ
うにして得られる積層フィルムは、次式(1)で算出さ
れたボイド率が5〜60%、好ましくは10〜45%の
微細なボイドをフィルム内部に多数有するものである。
ボイドの存在により、ボイドが存在しない積層延伸フィ
ルムと比較してよりしなやかになる。
【0024】
【式1】 また、延伸により形成された微細なボイドにより光拡散
が発生し不透明度が高くすることが容易となり、本発明
の目的とする不透明度の易剥離性積層フィルムが容易に
得ることができる。
【0025】[剥離強度]易剥離性積層フィルムを恒温
室(温度20℃、相対湿度65%)に12時間保管した
後、表面層(C)面に粘着テープ(ニチバン(株)製、
商品名「セロハンテープ」)を貼着し、これを幅10m
m、長さ100mmに切り取り、引張試験機(島津制作
所製、AUTOGRAPH)を使用し、引張速度300
mm/分にて、180゜の角度で基層(A)と表面層
(C)の剥離を層間剥離性層(B)にて発生させ、剥離
が安定している時の応力をロードセルにより測定し、横
方向と縦方向の平均値を持って表す。本発明の剥離強度
は5〜150g/cmであり、好ましくは7〜100g
/cmである。剥離強度が5g/cm未満では、印刷、
印字、断才等の二次加工時の給排紙において簡単に剥離
が生じる欠点があり、二次加工性に問題がある。150
g/cm幅を超えては、表面層(C)が剥離しないか、
剥離に要する応力を高くする必要があり実用的でない。
また層間剥離性層(B)以外の箇所での材料破壊が起
き、剥離面に毛羽立ちが発生する。
【0026】[破断強度]易剥離性積層フィルムを恒温
室(温度20℃、相対湿度65%)に12時間保管した
後、幅10mm、長さ100mmに切り取り、更に表面
層(C)面の長手方向の半分まで粘着テープ(ニチバン
(株)製、商品名「セロハンテープ」)で補強する。粘
着テープで補強された部分の表面層(C)を基層(A)
より手で引き剥がし破断強度測定用のサンプルを作成す
る。作成したサンプルの表面層(C)を剥離していない
部分と、剥離した表面層(C)とを引張試験機(島津製
作所製、AUTOGRAPH)にセットし、引張速度3
00mm/分にて表面層(C)を破断時の荷重を読み取
り、横方向と縦方向の平均値を持って表す。本発明の表
面層(C)の破断強度は、500g/cm以下であり、
好ましくは400g/cm以下、更に好ましくは300
g/cm以下である。表面層(C)の破断強度が500
g/cmよりも高いと、表面層(C)を基層(A)から
引き剥がすためには、表面層(C)のみにノッチやスリ
ットなどの特殊な加工を必要とし、本発明の所期の性能
を発揮しない。
【0027】[不透明度]JIS−P−8138に準拠
し、測定背面に、黒色および白色標準板を当て、光の反
射率の比(黒色板/白色板)を百分率で示した値で表示
する。本発明の易剥離性フィルムの不透明度は60〜1
00%であり、好ましく70〜100%、より好ましく
は85〜100%である。不透明度が60%未満では隠
蔽ラベル等に使用した場合に保護すべき情報が透けてし
まい、本発明の所期の性能を発揮しない。
【0028】[粘着剤層]本発明の易剥離性積層フィル
ムは必要により表面層(C)側に粘着剤層を設けること
ができる。かかる粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アク
リル系粘着剤、シリコーン系粘着剤が代表的であり、ゴ
ム系粘着剤の具体例には、ポリイソブチレンゴム、ブチ
ルゴムとこれらの混合物、或いは、これらゴム系粘着剤
にアビエチン酸ロジンエステル、テルペン・フェノール
共重合体、テルペン・インデン共重合体などの粘着付与
剤を配合したものが挙げられる。アクリル系粘着剤の具
体例としては、2−エチルヘキシルアクリレート・アク
リル酸n−ブチル共重合体、2−エチルヘキシルアクリ
レート・アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合
体などのガラス転移点が−20℃以下のものが挙げられ
る。
【0029】これら粘着剤の形態としては、溶剤型、エ
マルジョン型、ホットメルト型等が使用され、一般的に
は溶剤型、エマルジョン型のものを塗工することにより
積層される。かかる塗工は、ロールコーター、ブレード
コーター、バーコーター、エアーナイフコーター、グラ
ビアコーター、リバースコーター、ダイコーター、リッ
プコーター、スプレーコーター、コンマコーター等によ
り行われ、必要によりスムージングを行ったり、乾燥工
程を経て、粘着剤層が形成される。
【0030】粘着剤層の形成は、後述する離型紙へ粘着
剤を塗工し、必要により乾燥を行い、粘着剤層を形成し
たものに、易剥離性積層フィルムを積層する方法が一般
的であるが、場合によっては易剥離性積層フィルムに直
接に粘着剤を塗工して形成することもできる。該粘着剤
の塗工量は特に限定されないが、通常は固形分量で3〜
60g/m2、好ましくは10〜40g/m2 の範囲で
ある。又、この粘着剤層の層間剥離強度は200〜30
00g/20mmであることが好ましい。
【0031】易剥離性積層フィルムと粘着剤との接着力
が小さい場合は、上記粘着剤を塗工する前に積層フィル
ムの裏面にアンカーコート剤を塗布することが好まし
い。該アンカーコート剤としては、ポリウレタン、ポリ
イソシアネート・ポリエーテルポリオール、ポリイソシ
アネート・ポリエステルポリオール・ポリエチレンイミ
ン、アルキルチタネートなどが使用でき、これらは一般
に、メタノール、酢酸エチル、トルエン、ヘキサンなど
の有機溶剤、または水に溶解して使用される。アンカー
コート剤の塗布量は、塗布・乾燥後の固形分量で0.0
1〜5g/m 2 、好ましくは0.02〜2g/m2 の範
囲である。
【0032】[離型紙]更に必要により粘着剤層の外側
に離型紙を設けることも可能である。易剥離性積層フィ
ルムに粘着剤層を介し設けられる離型紙は、粘着剤層と
の剥離性を良好にするため、粘着剤層に接触する面にシ
リコン処理が施されるのが一般的である。離型紙は、通
常一般的なものが使用でき、上質紙やクラフト紙をその
まま、あるいはカレンダー処理したり樹脂を塗工したり
フィルムラミネートしたもの、グラシン紙、コート紙、
プラスチックフィルムなどにシリコン処理を施したもの
が使用できる。
【0033】[ピグメント塗工]本発明の易剥離性積層
フィルムの各種の印刷、印字適性をより一層向上させる
ために、少なくとも片面にピグメント塗工層を設けるこ
とができる。このようなピグメント塗工剤としては、通
常のコート紙に使用されるクレイ、タルク、炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリ
カ、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、プラスチック
ピグメント、二酸化チタン、白土粉等のピグメント10
〜80重量%と、接着剤90〜20重量%を含有するも
のを挙げることができる。またこの際に使用される接着
剤としては、SBR(スチレン・ブタジエンラバー)、
MBR(メタクリル・ブタジエンラバー)等のラテック
ス、アクリル系エマルジョン(アクリル酸エステル樹脂
含有水溶液など)、澱粉、PVA(ポリビニルアルコー
ル)、CMC(カルボキシメチルセルロース)、メチル
セルロース等を挙げることができる。更にこれら配合剤
に、特殊ポリカルボン酸ナトリウム等の分散剤や、ポリ
アミド尿素系樹脂等の架橋剤、発泡防止剤、耐水化剤、
潤滑剤、蛍光塗料等を配合することができる。これらピ
グメントコート剤は一般に5〜90重量%、好ましくは
35〜65重量%の固形分濃度の水溶性塗工剤として使
用される。
【0034】このような塗工剤を前記基材層に塗工する
塗工方法及び手段としては、具体的には、グラビア塗
工、メイヤーバー塗工、ロール塗工、ブレード塗工、サ
イズプレス塗工、ホットメルト塗工等の塗工手段を採用
することができる。塗工量としては、0.1〜50g/
2 、好ましくは1〜15g/m2 である。その際のコ
ート層の厚みは、0.05〜50μm、好ましくは0.
5〜20μm、特に好ましくは5〜15μmの肉厚でフ
ィルムの片面又は両面に形成される。塗工表面は必要に
よりカレンダー処理等によりプレススムージング処理を
行っても良い。また塗工は必要により2回以上行っても
良い。
【0035】[酸化処理]本発明の易剥離性積層フィル
ムの表面には、必要にに応じて、コロナ処理等の表面酸
化処理を行う。表面酸化処理としては、コロナ放電処
理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、オ
ゾン処理より選ばれた少なくとも一種の処理方法であ
り、好ましくはコロナ処理、フレーム処理である。処理
量はコロナ処理の場合、600〜12, 000J/m2
(10〜200W・分/m2 )、好ましくは1200〜
9000J/m2 (20〜150W・分/m2 )であ
る。600J/m2 (10W・分/m2 )未満では、コ
ロナ放電処理の効果が不十分で、その後の表面改質の効
果が発揮されず、また12, 000J/m2 (200W
・分/m2 )超では処理の効果が頭打ちとなるので1
2, 000J/m2 (200W・分/m2 )以下で十分
である。フレーム処理の場合、8,000〜200,0
00J/m2 、好ましくは20,000〜100,00
0J/m2 が用いられる。8,000J/m 2 未満で
は、フレーム処理の効果が不十分で、その後の表面改質
の効果が発揮されず、また200,000J/m2 超で
は処理の効果が頭打ちとなるので200,000J/m
2 以下で十分である。
【0036】[記録物]本発明の易剥離性積層フィルム
の表裏面には、必要により商品名、製造元、賞味期限、
キャラクター絵図、記入欄、バーコード等を印刷、印字
することにより、記録物を作成できる。また必要に応じ
て易剥離性積層フィルムの表裏面に、熱転写受容層、感
熱記録層、インクジェット受容層などをピグメント塗工
層の形成と同様の塗工方法で設けた後、溶融熱転写記
録、昇華熱転写記録、感熱記録、インクジェット記録、
レーザープリント記録などにより印刷、印字し記録物を
作成できる。これらの印刷、印字は、易剥離性積層フィ
ルム単体の状態で行ってもよいし、離型紙を有する構造
とした後、印刷、印字を施してもよい。
【0037】
【実施例】以下に実施例、比較例および試験例を用い
て、本発明を更に具体的に説明する。以下に示す材料、
使用量、割合、操作等は、本発明の精神から逸脱しない
限り適宜変更することができる。したがって、本発明の
範囲は以下に示す具体例に制限されるものではない。な
お、以下に記載される%は、特記しない限り重量%であ
る。本発明で使用する熱可塑性樹脂を表1にまとめて示
す。
【0038】
【表1】
【0039】
【実施例1】熱可塑性樹脂組成物eを(B)層、熱可塑
性樹脂組成物bを(A1)層とし、230℃に設定した
押出機にて混練した後、250℃に設定したダイに供給
し、シート状に押し出し、これを冷却装置により冷却し
て2層の無延伸シートを得た。この無延伸シートを14
0℃に加熱して縦方向に4倍延伸した。熱可塑性樹脂組
成物iを(C)層として190℃に設定した押出機で混
練した後、230℃に設定したダイに供給し、シート状
に押し出して4倍延伸フィルムの(B)層側に積層し、
更に熱可塑性樹脂組成物cを(A2)層、熱可塑性樹脂
組成物dを(A3)層とし、250℃に設定した押出機
で混練した後、250℃に設定した一台の共押出ダイに
供給し、ダイ内で積層したものをシート状に押し出して
4倍延伸フィルムの(A1)層側に積層し、5層構造の
積層フィルムを得た。次いで、この5層構造の積層フィ
ルムを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて再
び約140℃に加熱して横方向に8.0倍延伸した後、
155℃に調整した熱セットゾーンにより熱処理を行っ
た。その後60℃に冷却して耳部をスリットし、5層
〔(C)/(B)/(A1)/(A2)/(A3):肉
厚3/1/39/22/5μm:延伸層構成1軸/2軸
/2軸/1軸/1軸〕構造の肉厚70μmの積層フィル
ムを得た。得られた易剥離性フィルムの不透明度、表面
層(C)の剥離強度、破断強度を上記手法にて測定し
た。結果を表2に示す。
【0040】
【実施例2】熱可塑性樹脂組成物kを(C)層とし18
0℃に設定した押出機にて混練し、熱可塑性樹脂組成物
fを(B)層、熱可塑性樹脂組成物aを(A1)層、熱
可塑性樹脂組成物dを(A2)層とし、それぞれ230
℃に設定した押出機にて混練した後、250℃に設定し
た一台の共押出ダイに供給し、ダイ内で積層したものを
シート状に押し出し、これを冷却装置により冷却して4
層の無延伸シートを得た。この無延伸シートを80℃に
加熱して縦方向に6倍延伸し、110℃に調整した熱セ
ットロール群により熱処理を行った。その後60℃に冷
却して耳部をスリットし、4層〔(C)/(B)/(A
1)/(A2):肉厚5/5/25/20μm:延伸層
構成1軸/1軸/1軸/1軸〕構造の肉厚55μmの積
層フィルムを得た。得られた易剥離性フィルムの不透明
度、表面層(C)の剥離強度、破断強度を上記手法にて
測定した。結果を表2に示す。
【0041】
【実施例3】熱可塑性樹脂組成物hを(C)層とし18
0℃に設定した押出機にて混練し、熱可塑性樹脂組成物
cを(B)層、熱可塑性樹脂組成物aを(A1)層、熱
可塑性樹脂組成物bを(A2)層とし、それぞれ230
℃に設定した押出機にて混練した後、250℃に設定し
た一台の共押出ダイに供給し、ダイ内で積層したものを
シート状に押し出し、これを冷却装置により冷却して4
層の無延伸シートを得た。この無延伸シートを120℃
に加熱して縦方向に5倍延伸し、60℃まで冷却した。
次いで、テンターオーブンを用いて再び約140℃に加
熱して横方向に7倍延伸した後、160℃に調整した熱
セットゾーンにより熱処理を行った。その後、60℃に
冷却して、コロナ放電処理し、耳部をスリットして4層
〔(C)/(B)/(A1)/(A2):肉厚1/2/
90/7μm:延伸層構成2軸/2軸/2軸/2軸〕構
造の肉厚100μmの積層フィルムを得た。得られた易
剥離性フィルムの不透明度、表面層(C)の剥離強度、
破断強度を上記手法にて測定した。結果を表2に示す。
【0042】
【実施例4】熱可塑性樹脂組成物aを(A1)層とし、
230℃に設定した押出機にて混練した後、240℃に
設定したダイに供給し、シート状に押し出し、これを冷
却装置により冷却して無延伸シートを得た。この無延伸
シートを140℃に加熱して縦方向に5倍延伸した。熱
可塑性樹脂組成物gを(C)層とし180℃に設定した
押出機にて混練し、熱可塑性樹脂組成物fを(B)層と
し230℃に設定した押出機で混練した後、それぞれを
250℃に設定した一台の共押出ダイに供給し、ダイ内
で積層したものをシート状に押し出して、上で調整した
5倍延伸フィルムに積層し、更に熱可塑性樹脂組成物c
を(A2)層とし、230℃に設定した押出機で混練し
た後、250℃に設定したダイに供給し、シート状に押
し出して、5倍延伸フィルムの反対側に積層し、4層構
造の積層フィルムを得た。次いで、この4層構造の積層
フィルムを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用い
て再び約120℃に加熱して横方向に9倍延伸した後、
150℃に調整した熱セットゾーンにより熱処理を行っ
た。その後60℃に冷却して耳部をスリットし、4層
〔(C)/(B)/(A1)/(A2):肉厚4/6/
60/10μm:延伸層構成1軸/1軸/2軸/1軸〕
構造の肉厚80μmの積層フィルムを得た。得られた易
剥離性フィルムの不透明度、表面層(C)の剥離強度、
破断強度を上記手法にて測定した。結果を表2に示す。
【0043】
【実施例5】熱可塑性樹脂組成物eを(B)層、熱可塑
性樹脂組成物bを(A1)層、熱可塑性樹脂組成物dを
(A2)層とし、それぞれ230℃に設定した押出機に
て混練した後、250℃に設定した一台の共押出ダイに
供給し、ダイ内で積層したものをシート状に押し出し、
これを冷却装置により冷却して3層の無延伸シートを得
た。更に、熱可塑性樹脂組成物mを(C)層として16
0℃に設定した押出機にて混練した後、200℃に設定
したダイに供給し、シート状に押し出し、3層無延伸シ
ートの(B)層側に積層し、4層の無延伸シートを得
た。この無延伸シートを100℃に加熱して縦方向に5
倍延伸し、120℃に調整した熱セットロール群により
熱処理を行った。その後60℃に冷却して耳部をスリッ
トし、4層〔(C)/(B)/(A1)/(A2):肉
厚5/5/100/40μm:延伸層構成1軸/1軸/
1軸/1軸〕構造の肉厚150μmの積層フィルムを得
た。得られた易剥離性フィルムの不透明度、表面層
(C)の剥離強度、破断強度を上記手法にて測定した。
結果を表2に示す。
【0044】
【実施例6】熱可塑性樹脂組成物iを(C)層とし18
0℃に設定した押出機にて混練し、熱可塑性樹脂組成物
dを(B)層、熱可塑性樹脂組成物aを(A)とし、そ
れぞれ230℃に設定した押出機にて混練した後、25
0℃に設定した一台の共押出ダイに供給し、ダイ内で積
層したものをシート状に押し出し、これを冷却装置によ
り冷却して3層の無延伸シートを得た。この無延伸シー
トを150℃に加熱して縦方向に4倍延伸し、60℃ま
で冷却した。次いで、テンターオーブンを用いて再び約
140℃に加熱して横方向に8倍延伸した後、160℃
に調整した熱セットゾーンにより熱処理を行った。その
後、60℃に冷却して、コロナ放電処理し、耳部をスリ
ットして4層〔(C)/(B)/(A):肉厚8/5/
67μm:延伸層構成2軸/2軸/2軸〕構造の肉厚8
0μmの積層フィルムを得た。得られた易剥離性フィル
ムの不透明度、表面層(C)の剥離強度、破断強度を上
記手法にて測定した。結果を表2に示す。
【0045】
【比較例1】熱可塑性樹脂組成物eを(B)層、熱可塑
性樹脂組成物bを(A1)層とし、230℃に設定した
押出機にて混練した後、250℃に設定したダイに供給
し、シート状に押し出し、これを冷却装置により冷却し
て2層の無延伸シートを得た。この無延伸シートを14
0℃に加熱して縦方向に4倍延伸した。熱可塑性樹脂組
成物aを(C)層として230℃に設定した押出機で混
練した後、250℃に設定したダイに供給し、シート状
に押し出して4倍延伸フィルムの(B)層側に積層し、
更に熱可塑性樹脂組成物cを(A2)層とし、230℃
に設定した押出機で混練した後、250℃に設定したダ
イに供給し、シート状に押し出して4倍延伸フィルムの
(A1)層側に積層し、4層構造の積層フィルムを得
た。次いで、この4層構造の積層フィルムを60℃まで
冷却し、テンターオーブンを用いて再び約150℃に加
熱して横方向に8.0倍延伸した後、155℃に調整し
た熱セットゾーンにより熱処理を行った。その後60℃
に冷却して耳部をスリットし、4層〔(C)/(B)/
(A1)/(A2):肉厚15/1/39/30μm:
延伸層構成1軸/2軸/2軸/1軸〕構造の肉厚85μ
mの積層フィルムを得た。得られた易剥離性フィルムの
不透明度、表面層(C)の剥離強度、破断強度を上記手
法にて測定した。結果を表2に示す。
【0046】
【比較例2】熱可塑性樹脂組成物eを(B)層、熱可塑
性樹脂組成物bを(A1)層とし、230℃に設定した
押出機にて混練した後、250℃に設定したダイに供給
し、シート状に押し出し、これを冷却装置により冷却し
て2層の無延伸シートを得た。この無延伸シートを15
5℃に加熱して縦方向に4倍延伸した。熱可塑性樹脂組
成物iを(C)層として180℃に設定した押出機で混
練した後、200℃に設定したダイに供給し、シート状
に押し出して4倍延伸フィルムの(B)層側に積層し、
更に熱可塑性樹脂組成物cを(A2)層とし、230℃
に設定した押出機で混練した後、250℃に設定したダ
イに供給し、シート状に押し出して4倍延伸フィルムの
(A1)層側に積層し、4層構造の積層フィルムを得
た。次いで、この4層構造の積層フィルムを60℃まで
冷却し、テンターオーブンを用いて再び約150℃に加
熱して横方向に9.0倍延伸した後、155℃に調整し
た熱セットゾーンにより熱処理を行った。その後60℃
に冷却して耳部をスリットし、4層〔(C)/(B)/
(A1)/(A2):肉厚12/1/40/27μm:
延伸層構成1軸/2軸/2軸/1軸〕構造の肉厚80μ
mの積層フィルムを得た。得られた易剥離性フィルムの
不透明度、表面層(C)の剥離強度、破断強度を上記手
法にて測定した。結果を表2に示す。
【0047】<試験例>上質紙の両面にポリエチレンフ
ィルムをラミネートした片面にシリコン処理を施した厚
さ173μm、密度0.9g/cm3 の離型紙のシリコ
ン処理面に、東洋インキ化学工業(株)製の感圧粘着剤
“オリバイン BPS−1109”(商品名)を固形分
量で25g/m2 となるようにコンマコーターで塗工、
乾燥して粘着剤層とし、実施例および比較例にて作成し
た積層フィルムの表面層(C)側と粘着剤層が接するよ
うに積層して、積層フィルム/粘着剤層/離型紙よりな
る積層構造の易剥離性フィルムを得た。
【0048】(剥離性)この積層フィルム/粘着剤層/
離型紙よりなる積層構造の易剥離性フィルムを5cm×
5cmの正方形に切り取り離型紙を剥がした後、官製ハ
ガキの上に貼着し、剥離性を評価した。 剥離開始性 易剥離性フィルムの4辺の内1辺を手で持ち、官製ハガ
キより引き剥がし、表面層(C)の剥離が開始するまで
の状態を観察し、 良好(◎) 剥離がすぐに開始する、 やや良好(○) 剥離が開始するまでに2mm以上要する、 やや不良(△) 剥離が部分的に開始する、 不良(×) 剥離が開始するまでに10mm以上要する、 の4段階で評価した。
【0049】 剥離伝播性 易剥離性フィルムの基層(A)面4辺の内1辺に粘着テ
ープ(ニチバン(株)製、商品名「セロハンテープ」)
を貼り、表面層(C)での剥離が開始し易い状態にし、
基層(A)を官製ハガキより引き剥がし、表面層(C)
の伝播状態と剥離力を評価し、 良好(◎) 剥離力が軽く、全面綺麗に伝播する、 やや良好(○) 剥離力はやや重いが、全面綺麗に伝播する、 やや不良(△) 剥離力が非常に重いが、全面綺麗に伝播する、 不良(×) 全面伝播できずに途中で切れてしまう、 の4段階で評価した。
【0050】(情報隠蔽性)官製ハガキに文字サイズ1
0ポイントのアルファベット26文字を印字して、易剥
離性フィルムの離型紙を剥がした後アルファベットの印
字面に貼着し、易剥離性フィルムを透して見える文字の
隠蔽性を目視にて判断し、良好(◎)、やや良好
(○)、やや不良(△)、不良(×)、の4段階で評価
した。 (情報確認性)合成紙((株)ユポ・コーポレーション
製、商品名「VES85」)にバーコードプンター
((株)テック製、商品名「B30」)にてバーコード
(CODE39)を印字してバーコード読みとり用サン
プルを作成した。
【0051】易剥離性フィルムの離型紙を剥がし合成紙
上のバーコードの上にはり、バーコードを隠蔽したサン
プルを10個作成し、易剥離性ラベルの基層(A)を引
き剥がした後のバーコードをバーコードリーダー(富士
電気冷凍機(株)製、LASERCHEK II)にて読
みとり、バーコード認識に成功した回数を評価し、 良好(◎) 10回成功、 やや良好(○) 8〜9回成功、 やや不良(△) 2〜7回成功、 不良(×) 成功回数1回以下、 の4段階で評価した。結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】本発明の易剥離性積層フィルムは、剥離
を開始するための特殊な加工を必要とせず、小さな力で
表面層(C)が剥離するので配送伝票、隠蔽シール、貼
り替え防止用ラベル、改ざん防止シール、応募シール、
クーポン等の幅広い用途に有効に利用することができ
る。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA00A AA00B AA08H AH00A AH00B AK01A AK01B AK03A AK03B AK03C AK05 AK07 AK62A AK62B AK62C AK66A AK66B AK66C AR00B AT00C BA03 BA04 BA05 BA07 BA10A BA10C BA10D BA10E BA15 BA16 CA16E CA23A CA23B CC00D CC00E DA13D DA13E DE01A DE01B DG10E EH20 EH23 EJ37 EJ38 GB90 JA20A JA20B JB07 JB16A JB16B JK01C JK06B JL13E JL14 JL14B JL14E JN02 YY00 YY00A YY00B YY00C 4F210 AA03 AA04 AA05 AA07 AA10 AA11 AB11 AG01 AG03 QC06

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂からなる基層(A)、層間
    剥離性層(B)、表面層(C)が順に積層された積層フ
    ィルムであって、層間剥離性層(B)の剥離強度が5〜
    150g/cm幅であり、表面層(C)の破断強度が5
    00g/cm幅以下であることを特徴とする易剥離性積
    層フィルム。
  2. 【請求項2】 基層(A)と層間剥離性層(B)と表面
    層(C)が積層後少なくとも1軸方向に延伸されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の易剥離性積層フィル
    ム。
  3. 【請求項3】 層間剥離性層(B)が無機微細粉末及び
    /又は有機フィラー10〜80重量%、および熱可塑性
    樹脂90〜20重量%を含有することを特徴とする請求
    項1または2に記載の易剥離性積層フィルム。
  4. 【請求項4】 基層(A)が無機微細粉末及び/又は有
    機フィラー3〜70重量%、および熱可塑性樹脂97〜
    30重量%を含有することを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかに記載の易剥離性積層フィルム。
  5. 【請求項5】 基層(A)の膜厚が10〜500μm、
    層間剥離性層(B)の膜厚が0.1〜10μmであり、
    表面層(C)の膜厚が10μm未満であることを特徴と
    する請求項1〜4のいずれかに記載の易剥離性積層フィ
    ルム。
  6. 【請求項6】 基層(A)と層間剥離性層(B)と表面
    層(C)の熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂及び
    /又は官能基含有ポリオレフィン系樹脂であることを特
    徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の易剥離性積層
    フィルム。
  7. 【請求項7】 易剥離性積層フィルムの不透明度が60
    〜100%であることを特徴とする請求項1〜6のいず
    れかに記載の易剥離性積層フィルム。
  8. 【請求項8】 易剥離性積層フィルムの少なくとも片面
    にピグメントコートが施され、不透明度が60〜100
    %であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記
    載の易剥離性積層フィルム。
  9. 【請求項9】 易剥離性積層フィルムの表面層(C)側
    に粘着剤層を有することを特徴とする請求項1〜8のい
    ずれかに記載の易剥離性積層フィルム。
  10. 【請求項10】 易剥離性積層フィルムの粘着剤層側に
    離型紙を有することを特徴とする請求項9に記載の易剥
    離性積層フィルム。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかに記載の易
    剥離性積層フィルムを使用した記録物。
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JP2006297656A (ja) * 2005-04-18 2006-11-02 Kawakami Sangyo Co Ltd 機能性無機フィラー含有層を有するプラスチック気泡ボード
KR100960900B1 (ko) * 2009-10-01 2010-06-04 주식회사 코스모센추리 미연신 이형 폴리프로필렌 이층필름의 제조방법
EP3040197A4 (en) * 2013-08-30 2017-07-05 Yupo Corporation Easily peelable laminate film, easily peelable laminate label, high-concealment easily peelable laminate film, and high-concealment easily peelable laminate label

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