以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しながら詳説する。
本形態の男性用おむつは、着用したとき陰茎の少なくとも亀頭部(以下、単に「陰茎」ともいう。)が外部に突出する穴部を有する着用部品と、尿を保持する袋状の袋部品とを備え、袋部品が穴部から外部に突出した陰茎を包み込むようにして、着用部品に対して着脱自在に取り付けられるものである。以下、着用部品、袋部品の順に説明する。
(着用部品)
図1〜図8は、本発明の男性用おむつの着用部品の一例を示しており、この着用部品は、いわゆるテープ式の使い捨ておむつに該当するものであって、不透液性バックシート1の内面と、透液性トップシート2との間に、吸収体3が介在されているものである。なお、本発明は、パンツ式の場合にも適用可能である。
吸収体3としては、パルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができる。吸収体3としては、図示形態のような、下層吸収体3Bの表面側に下層吸収体3Bよりも寸法の小さい上層吸収体3Aを積層してなる2層構造のものの他、一層構造のものも採用することができる。また、必要に応じて、吸収体3はクレープ紙(図示せず)により包むことができる。また、吸収体3の形状は適宜定めることができるが、図示のような砂時計形状の他、長方形等のように、股間部の前側から後側まで延在する形状が好適である。吸収体3におけるパルプ目付けは100〜500g/m2程度、厚みは1〜15mm程度であるのが望ましい。また、高吸水性樹脂の目付けは0〜300g/m2程度であるのが望ましい。高吸水性樹脂含有率が少な過ぎると、十分な吸収能を与えることができず、多過ぎるとパルプ繊維間の絡み合いが無くなり、ヨレや割れ等が発生し易くなる。
バックシート1は、吸収体3の周囲より外側に延在しており、吸収体3に吸収された排泄物の裏面側への移動を遮断するものである。バックシート1としては、ポリエチレンフィルム等のプラスチックフィルムの他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。バックシート1の単位面積あたりの重量は13〜40g/m2であるのが好ましく、厚みは0.01〜0.1mmであるのが好ましい。
着用部品外面を布のような外観、肌触りとするために、バックシート1の裏面全体は外装シート12で覆われており、両シート1,12の外周縁は着用部品の外周縁まで及んでいる。外装シート12としては各種の不織布を用いることができるが、スパンボンド不織布が好適である。外装シート12は省略することもできる。
トップシート2としては、有孔または無孔の不織布や穴あきプラスチックシートなどが用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。また、不織布の加工方法としては、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等の公知の方法を用いることができる。透液性トップシート2に用いる不織布の繊維目付けは15〜30g/m2であるのが好ましく、厚みは0.05〜1mmであるのが好ましい。
トップシート2は、吸収体3の周囲より外側に延在しており、吸収体3側縁より外側に延在する部分がバックシート1にホットメルト接着剤等により固着されている。なお、図中の点模様は固着部分を表しているものである。
図3及び図4にも示されるように、物品内面の両側部(図示形態ではトップシート2の側縁部表面からその側方に延在するバックシート1の表面)には、側部バリヤーシート4の幅方向外側の部分4xが前後方向全体にわたり貼り付けられている。側部バリヤーシート4は、各種不織布(スパンボンド不織布が好適である)の他、バックシート1に用いられるものと同様のプラスチックフィルム、又はこれらの積層シートを用いることができるが、肌への感触性の点で、撥水処理を施した不織布が好適である。側部バリヤーシート4の幅方向中央側の部分4cは、前後方向両端部では物品内面(図示形態ではトップシート2表面)にホットメルト接着剤等の手段により固着されているが、これらの間の中間部は非固定の自由部分となっており、この自由部分の先端部(展開状態における幅方向中央側の端部)には、細長状弾性伸縮部材4Gが前後方向に沿って伸張した状態でホットメルト接着剤等により固定されている。この細長状弾性伸縮部材4Gは図示例では所定の間隔を空けて複数本設けられているが、一本でも良い。細長状弾性伸縮部材4G(他の細長状弾性伸縮部材も同様)としては、糸状、紐状、帯状等に形成された天然ゴム又は合成ゴム、具体的にはスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。この自由部分は、細長状弾性伸縮部材4Gの収縮力が作用する結果、図4に示されるように、物品内面(図示形態ではトップシート2表面)に対して起立する側部バリヤーを構成する。この起立部分の基端4bは側部バリヤーシート4における幅方向外側の固定部分4xと内側の部分4cとの境に位置する。なお、図1中の右斜め上がりの斜線部分は側部バリヤーシート4の固着部分を示しており、左斜め上がりの斜線部分は後述する背側バリヤーシート30の固着部分を示している。
本着用部品の前後方向両端部では、バックシート1、外装シート12、透液性トップシート2および側部バリヤーシート4が吸収体3の前後端よりも前後両側にそれぞれ延在され、吸収体3の存在しないエンドフラップ部EFが形成されている。一方、本着用部品の左右両側部では、バックシート1、外装シート12、透液性トップシート2および側部バリヤーシート4が吸収体3の側縁よりも側方にそれぞれ延在され、吸収体3の存在しないサイドフラップ部が形成されている。サイドフラップ部のうち腹側部分Fのウエスト側部分及び背側部分Bのウエスト側部分にそれぞれ位置する部分は、それらの間の中間部分よりも側方に延出されており、これらの部分が、おむつ(着用部品)の胴回り部分となるウエスト側サイドフラップ部SFとなり、中間部分が脚周り包囲部分LRとなり、その両側縁が脚開口の縁Leとなる。
背側部分Bの両ウエスト側サイドフラップ部SFには、その側縁からそれぞれ突出する止着テープ5が取り付けられるとともに、腹側部分Fの胴回り部表面に幅方向に沿ってフロントターゲットテープ(FTT)6が貼着されており、身体への装着に際しては、本着用部品を身体にあてがった状態で、両側の止着テープ5を腰の各側から腹側外面に回してフロントターゲットテープ6に止着する。フロントターゲットテープ6は省略することもでき、その場合には止着テープ5は着用部品外面(図示形態の場合外装シート12)に直に止着される。
止着テープ5は、背側部分Bのウエスト側サイドフラップ部SFにおけるシート間にホットメルト接着剤等の手段により固定された固定部5fと、サイドフラップ部SFの側縁のシート間から幅方向外側に突出する突出部5eとを有しており、この突出部5eは先端部5pと、この先端部5pよりも基端側の本体部5bとを有している。止着テープ5の先端部5pの内面側(透液性表面シート2側)には、ターゲットテープ6との連結のための連結部として、表面にフック状突起を多数有するフックテープ(メカニカルファスナー(面ファスナー)の雄材)9,9がそれぞれ取り付けられており、フロントターゲットテープ6としてフック状突起が着脱可能に掛止される表面を有するもの(メカニカルファスナー(面ファスナー)の雌材)が取り付けられている。おむつ外面の素材自体をフロントターゲットテープ6の代わりに用いたり、フックテープ9に代えて粘着剤層を用いるとともに、フロントターゲットテープ6として粘着性に富むような表面が平滑な樹脂テープを用いたりすることができる。
特に、図示形態の止着テープ5は、その全体にわたる(つまり固定部5f、本体部5b及び先端部5pにわたる)基本シート51と、この基本シート51の先端部5pの幅方向全体にわたり固定された補強シート52とを有するとともに、基本シート51の固定部5fに該当する部分がシートを折り返して貼り合わせることにより補強されている。連結部であるフックテープ9はこの補強シート52の幅方向中間部に貼り付けられている。このように固定部5f及び先端部5pを補強することにより、固定部5f及び先端部5pにおける強度や剛性を確保し、また本体部5bにおける柔軟性や伸縮性を確保することができる。また、基本シート51の内面側には、先端部5pにおける補強シート52と基本シート51との間から固定部5fにおける折り返し部分の対向面間まで押えシート53が張り合わされており、この押えシート53と基本シート51との間に、弾性伸縮部材20がホットメルト接着剤等により接着固定されている。弾性伸縮部材20としては、前述の細長状のものの他、シート状のものも用いることができる。
各シート51〜53は、一枚の素材で形成する他、複数枚の素材を貼り合わせて形成することもできる。各シート51〜53の素材は特に限定されないが不織布が好適である。不織布としては公知のものを特に限定無く用いることができる。不織布を構成する繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用いることができる。また、不織布の製造方法としては、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等の公知の方法を用いることができる。特にオレフィン系繊維を用いたスパンボンド不織布、SMS不織布が好ましい。使用する不織布の坪量は適宜定めることができるが、本体部5bにおける不織布の総坪量が20〜75g/m2、特に26〜46g/m2であり、固定部5f及び先端部5pにおける不織布の総坪量がそれぞれ35〜130g/m2、特に46〜116g/m2であると好ましい。また、基本シート51及び押えシート53に用いる不織布の各坪量は15〜25g/m2程度であるのが好ましく、補強シート52に用いる不織布の各坪量は50〜80g/m2程度であるのが好ましい。この範囲内であれば、止着テープ5の固定部5f及び先端部5pにおける強度や剛性の確保、及び本体部5bにおける柔軟性や伸縮性の確保を、バランス良く且つ効果的に達成することができる。
弾性伸縮部材20は、図6にも示すように、固定部5fから本体部5bを横断して先端部5pまで連続している。固定部5fから本体部5bまでとすることも可能である。より詳細には、弾性伸縮部材20は、固定部5fにおける本体部5b側と反対側の端縁に対して本体部5b側に所定距離離間した位置から、本体部5bを通り先端部5pにおけるフックテープ9よりも本体部5b側の位置まで延在している。よって、固定部5fにおける本体部5b側と反対側の端部、及びフックテープ9から先端側の部分には弾性伸縮部材20は延在していない。そして、弾性伸縮部材20のうち、固定部5fに位置する部分21はその全体が非伸張状態で接着固定されており、本体部5bに位置する部分22の両端を除く略全体が幅方向に伸張した状態で接着固定されている。また、弾性伸縮部材20における先端部5pに位置する部分23もその全体が非伸張状態で接着固定されている。
このような構造を採用することによって、固定部5fが収縮しないため、固定部5fを挟持するシート(バリヤーシート4及びバックシート1)に対する密着性が確保され、接着強度が低下しないとともに、弾性伸縮部材20と固定部5fとの間における力の伝達が直接的となり、弾性伸縮部材20の伸縮作用によるおむつの形状追従性が損なわれることもない。また、弾性伸縮する部分を固定部5f近傍まで設けることができ、伸縮長さの確保も容易となる。さらに、固定部5fにおける本体部5b側と反対側の端部に弾性伸縮部材20を有しないことにより、当該端部が平坦となり、固定部5fを挟持するシートに対して良好に密着し、より接着強度に優れるようになる。また、固定部5fと同様に、弾性伸縮部材20における先端部5pに位置する部分23も非伸張状態で接着固定されており、先端部5pが収縮しないため、補強シート52と基本シート51とが良好に密着し、補強シート52の接着強度が低下することがない。また、弾性伸縮部材20の先端部が補強シート52と重なるため、フックテープ9と弾性伸縮部材20との間の力の伝達も円滑となり、弾性伸縮部材20の伸縮作用による着用部品の形状追従性も損なわれ難くなる。
細長状弾性伸縮部材20を用いる場合、止着テープ5の上下方向に所定の間隔を空けて複数本並設するのが好ましい。具体的には、弾性伸縮部材20の本数は、8〜100本程度、特に25〜50本程度が適当であり、また、その間隔は2〜25mm程度、特に3〜7mm程度とするのが好ましい。また、細長状弾性伸縮部材20の太さ(幅)は900〜1300dtex(0.3〜10mm)程度とするのが好ましく、また取り付け時の伸張率は300〜400%程度とするのが好ましい。各弾性伸縮部材20は幅方向に対して若干(例えば±5度程度)傾斜していても良い。図7及び図8に示すように、本体部5bを横断して固定部5fと先端部5pとを往復しながら止着テープ5の上下方向に延在する波状をなすように、細長状弾性伸縮部材20を配置することもできる。具体的な波状配置としては、図7に示すように三角波状の配置を採用できる他、図8に示すように幅方向に沿う直線状部分20sと折り返し部分20rからなる波状配置を採用することもできる。後者の場合、直線状部分は固定部5f及び先端部5pにわたるように設けられているのが好ましく、折り返し部分20rは円弧状等の曲線状をなしているのが好ましい。
細長状弾性伸縮部材20が図示のように配置されていると、細長状弾性伸縮部材20が少なくとも固定部5fと本体部5bとに跨るように及び本体部5bと先端部5pとに跨るように、上下方向と交差する方向に沿って延在するため、細長状弾性伸縮部材20が固定部5f及び先端部5pと本体部5bとの各境界を繋ぐ補強部材となるだけでなく、各境界に加わる力が分散するため、裂けや破れが防止される。しかも、この細長状弾性伸縮部材20を設けるだけであれば、柔軟性が損なわれることもなく、また形状が細長状であるため通気性が損なわれることもない。
細長状弾性伸縮部材20の寸法等については適宜定めれば良いが、例えば、止着テープ5の寸法に関して、高さ(上下方向長さ)を60〜240mm、固定部5fの幅を20〜60mm、本体部5bの幅を40〜250mm、先端部5pの幅を30〜105mmとする場合、弾性伸縮部材20の太さを300〜2,500dtexとし、上下方向間隔を2〜30mmとして、止着テープの上下方向全体にわたり弾性伸縮部材20を設けるのが好ましい。
また、基本シート51と押えシート53との間に細長状弾性伸縮部材20を挟みこれらをホットメルト接着剤で一体的に固定する場合、接着剤の塗布パターンは適宜定めることができ、幅方向の両端部のみ(例えば先端部5p及び固定部5fのみ)でも良いが、幅方向に間欠的であるのが好ましく、中でも接着部分54及び非接着部分55の幅方向部位が上下方向に列なっているのが好ましい。図中にはこの接着剤部分が点模様(網掛け)により示されている。具体的に図示形態の場合、基本シート51及び押えシート53は、幅方向に所定の間隔を空けて形成された、止着テープの上端から下端まで連続する縦縞状の接着部分54により接着されており、且つこの縦縞状の接着部分54により弾性伸縮部材20が基本シート51及び押えシート53の両者に接着固定され、これら接着部分54間では基本シート51及び押えシート53の両者に接着固定されていない。図中にはこの接着剤部分が点模様(網掛け)により示されている。また、各接着部分54の幅54wは5mm以下とされており、接着部分54間の間隔(非接着部分55の幅)55wが接着部分54の幅54wよりも大きくされている。
特に、接着部分54の幅54wを0.1〜5mm程度、非接着部分55の幅55wを1〜10mm程度とし、細長状弾性伸縮部材20の固定時の伸張率を200〜400%程度とするのが好ましい。また、止着テープ5において弾性伸縮部材20が伸張状態で固定された部分(図示形態の場合、本体部5bの部分22)の幅は100〜200mmとするのが好ましい。
このように接着剤の塗布パターンとして十分に細く十分に間隔の空いた接着線群からなる縦縞状パターンを採用することにより、止着テープ5の本体部5bでは、縦方向に連続する低剛性の非接着部分55が幅方向に間欠的に形成されるため、各非接着部分55により柔軟に折れ曲がることができるとともに、縦方向に連続する各接着部分54の幅が細いため、接着剤による硬質化が抑制される。その結果、このような接着パターンを採用した止着テープ5は、胴回りにおける身体表面の突出部分に対して柔軟にフィットすることができる。しかも、接着パターンが縦縞であると、弾性伸縮部材20並びに基本シート51及び押えシート53は幅方向に多数箇所で接着固定されるため固定強度に優れるとともに、伸縮長さを長く確保したとしても、規則的で綺麗な縦皺が形成されるため、肌触り及び見栄えが向上するとともに、伸縮も円滑となる。
止着テープ5における弾性伸縮部材20としては、通気性や柔軟性の観点から、上述のように複数本の細長状弾性伸縮部材を上下方向に所定の間隔を空けて並設するのが好ましい。しかし、細長状弾性伸縮部材20はその当接面積が小さいため、締め付けが局所的にきつくなり易い。よって、これを解決するために、接着部分54における接着剤層の厚みを弾性伸縮部材20の厚みよりも厚くするのは好ましい。これにより、細長状弾性伸縮部材20を用いたとしても、その締め付け力が締め付け方向と交差する方向に延在する多数の接着部分54によって、より広範囲に分散され、局所的な締め付けが緩和されるようになる。具体的に、弾性伸縮部材20の太さが900〜1300dtex(0.3〜10mm)程度である場合、接着剤の塗布厚は0.1〜1mmとするのが好ましい。
細長状弾性伸縮部材20の固定及び他の不織布間の固定のための接着剤の総使用量は、本体部5bにおいては5〜40g/m2とするのが好ましく、先端部5pにおいては10〜60g/m2とするのが好ましく、固定部5fにおいては5〜60g/m2とするのが好ましい。また、このような接着形態を採用する場合、本体部5bでは間欠接着、固定部5f及び先端部5pでは連続接着となっているのが好ましい。
また、図示形態の止着テープ5は、上下方向中間部における幅方向外側縁から本体部5b内まで幅方向に沿うミシン目10が設けられており、このミシン目10を切り離すことにより各々が固定部、本体部、先端部及び連結部を備えた上段部及び下段部に分離することができるものである。ミシン目10による分離線は細長状弾性伸縮部材20を横切らず且つ十分に離間するように配置するか、又は横切る場合にはミシン目10のカット部分の形成時に同時に細長状弾性伸縮部材20を切断しておくことが望ましい。ミシン目10に代えて、予め切断等により分離されていても良い。このような止着テープ5は、上段部と下段部とを交差させた状態で、腹側部分のフロントターゲットテープ6に着脱自在に連結することができ、この際、先端部側の部分5pよりも固定部側の部分5fの方が、弾性変形時引張応力が弱いと、上段部及び下段部の付根部の向きが変わり易く、上段部及び下段部の交差角度の調整が容易となる。もちろん、このような上下2段分割タイプに限られず、2段分割しないタイプ等、他の公知の止着テープに応用することもできる。
他方、図示形態の使い捨ておむつにおいては、トップシート2の後端部(図示例の場合はエンドフラップ部EF)には、着用部品内面(図示形態ではトップシート2表面)に対して起立する背側バリヤーシート30が設けられている。より詳細には、図5にも示すように、背側バリヤーシート30は、ウエスト側端部が幅方向全体にわたりトップシート2表面にホットメルト接着剤等の接合手段により接合されるとともに、股間側部分のうち両端部がトップシート2と両バリヤーシート4との間に挟まれて両シートに対してホットメルト接着剤等の接合手段により接合され(図1にはこれらの接合部分が右斜め下向きの斜線で示されている)、これら両端部の間の部分が非固定の自由部分とされ、この自由部分の先端部が内向き(トップシート2側)に折り返されて折り返し部分の対向面相互がホットメルト接着剤等の固手段により固定され、かつこの折り返し部分のシート間に細長状弾性伸縮部材31が幅方向に沿って伸張した状態でホットメルト接着剤等の固手段により固定されている。この細長状弾性伸縮部材31は図示例では所定の間隔を空けて複数本設けられているが、一本でも良い。この自由部分は、細長状弾性伸縮部材31の収縮力が作用する結果、着用部品内面(図示形態ではトップシート2表面)に対して起立する背側バリヤーを構成する。この起立部分の基端は背側バリヤーシート30におけるウエスト側端部の固定部分と内側の自由部分との境に位置する。
さらに、背側部分Bにおけるウエスト側部分(図示例の場合はウエスト側端部であるエンドフラップ部EF)は、幅方向中間部が幅方向に弾性伸縮する背側伸縮部40として構成されている。図示例の背側伸縮部40は幅方向中央部にのみ設けられているが、幅方向全体にわたり設けたり、幅方向両側部にのみ設けたりすることもでき、また幅方向中央線WCに関して線対称に設けられているのが好ましい。より詳細には、背側バリヤーシート30のウエスト側端部が内向き(トップシート2側)に折り返され、折り返し部分の対向面相互がホットメルト接着剤等の固定手段により固定され、かつこの折り返し部分のシート間に細長状弾性伸縮部材41が幅方向に沿って伸張した状態でホットメルト接着剤等の固定手段により固定されている。この細長状弾性伸縮部材41は一本でも良いが図示例のように所定の間隔を空けて複数本設けるのが好ましい。この細長状弾性伸縮部材41の本数は、1〜10本程度、特に2〜5本程度が適当であり、図示例では3本である。また、その間隔は2〜15mm程度、特に3〜7mm程度とするのが好ましい。さらに、細長状弾性伸縮部材41の太さは500〜1500dtex程度、特に800〜1300dtex程度(天然ゴムの場合0.1〜3mm程度、特に0.5〜3mm程度)とするのが好ましく、また取り付け時の伸張率は150〜250%程度、特に160〜200%程度とするのが好ましい。図示例では、背側バリヤーシート30のウエスト側端部を利用して背側伸縮部40の弾性伸縮部材41を取り付けているが、この弾性伸縮部材41をトップシート2とバックシート1との間や、バックシート1と外装シート12との間に挟んで固定することもできる。このような背側伸縮部40を有することにより、おむつ(着用部品)背側部分Bにおけるウエスト側端部が装着者の背中に弾力的に押し当てられ、おむつ(着用部品))と装着者の背中との間に隙間が発生し難くなる。
背側伸縮部40における幅方向の弾性変形時引張応力は止着テープ5の本体部5bにおける幅方向の弾性変形時引張応力よりも弱く(例えば5%以上弱く)なるように構成されているのが好ましい。より具体的には、背側伸縮部40における弾性変形時引張応力が10kg/m以下であるのが好ましく、止着テープ5の本体部5bにおける弾性変形時引張応力が5〜25kg/mであるのが好ましい。このような弾性変形時引張応力の差は、各部に取り付けられる弾性伸縮部材20,41の太さ、本数を適宜選択することにより設定することができる。これにより、装着の際に背側伸縮部40が身体で押え付けられて伸張が不十分となっても、止着テープ5を背側伸縮部40の伸張分も含めてきつめに伸張させておくことで、装着後に背側部分40が解放されたときに、止着テープ5の強い収縮力により背側伸縮部40が伸張され、背側伸縮部40が装着者の背中に弾力的にフィットするようになる。つまり、背側伸縮部40を十分なフィット性が得られるように伸張した状態で装着できるため、おむつの背側部分Bと装着者の肌との間に隙間が発生し難くなる。なお、弾性変形時引張応力とは、幅方向の対象部分(背側伸縮部40の場合は弾性伸縮部材41が固定されている部分)を他の部分から切断して幅方向の引張試験を行うことにより測定される、幅方向の最大伸張時における伸張長さに対して15%収縮した時の引張応力を意味する。
また、上述のように止着テープ5の収縮力により背側伸縮部40を伸長させる場合、止着テープ5の伸縮部における幅方向の最大伸縮長さを、背側伸縮部40における幅方向の最大伸縮長さの2〜15倍、特に5〜7倍となるように構成し、止着テープ5の伸縮長さを背側伸縮部40よりも十分に長く確保するのが好ましい。なお、最大伸縮長さは、各部に取り付けられる弾性伸縮部材20,41の伸張率等を適宜選択することにより設定することができる。
他方、本着用部品の幅方向中央線WCの両側には、少なくとも脚開口の縁Leと対応する前後方向範囲A1にわたり前後方向に延在する複数本の脚付根部弾性伸縮部材13及び複数本の脚周り弾性伸縮部材14が、その延在方向に沿って伸張された状態で、おむつ(着用部品)幅方向中央線WCに関して線対称をなすようにそれぞれ取り付けられている。これらの弾性伸縮部材13,14は、図示形態では外装シート12とバックシート1との間にホットメルト接着剤を用いて固定されているが、吸収体3を支持する支持部であれば他の部分に設けることもできる。ここで、支持部とは、吸収体3がおむつから離脱しないように支持する部分であり、吸収体3以外の素材により複合的に形成されるものである。具体的に本実施形態の場合、吸収体3の裏面側に位置する部材であるバックシート1及び外装シート12と、吸収体3の表面側を覆うトップシート2、並びに吸収体3の表面側の両側部を覆う側部バリヤーシート4が、吸収体3の支持部を構成しており、その幅方向両側縁のうち前後方向中間の部分が、装着者の脚を通す脚開口の縁Leをなしている。よって、脚付根部弾性伸縮部材13及び脚周り弾性伸縮部材14は、取付位置に応じて、バックシート1と側部バリヤーシート4との間や、バックシート1とトップシート2との間、あるいはトップシート2の裏面に設けることもできる。また、脚付根部弾性伸縮部材13及び脚周り弾性伸縮部材14は、その少なくとも一方又は少なくとも一方の一部を異なるシート間に取り付けることができる。これら脚付根部弾性伸縮部材13及び脚周り弾性伸縮部材14が前後方向に沿う細長状弾性伸縮部材であり、またこれらを挟持固定する内シート及び外シートが、図示形態ではバックシート1及び外装シート12である。
左右各側における脚付根部弾性伸縮部材13の本数は適宜定めることができるが、1〜5本程度、特に2〜4本程度が適当であり、図示例では3本である。左右各側における脚付根部弾性伸縮部材13の本数を複数本とする場合には、その間隔は例えば1〜20mm程度、好ましくは2〜15mm程度、特に好ましくは8〜12mm程度である。また、各脚付根部弾性伸縮部材13としては、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができ、太さとしては500〜1500dtex程度、天然ゴムの場合0.1〜3mm程度、特に0.5〜3mm程度が好ましい。また、各脚付根部弾性伸縮部材13の固定時の伸長率は150〜250%程度であるのが好ましい。
このような屈曲線状の脚付根部弾性伸縮部材13を備えていると、その収縮力の作用によって、着用部品が脚の付根周りの複雑な立体形状、すなわち装着者の脚の付根周りのうち股間から臀溝、大腿筋膜張筋の上部にわたる部分だけでなく、股間から内転筋群の凸部を横断して鼠蹊部までにわたり、確実にフィットするようになる。また、脚の付根周りの複雑な形状に適合した配置で弾性伸縮部材13を設けることによって、静的なフィット性はもちろんのこと、動的なフィット性も良好となり、例えば仰臥位から座位、座位から仰臥位の姿勢に変化する際における脚の付根周りの形状変化に対しても着用部品の形状が追従し易くなる。その結果、着用部品と脚の付根周りとの間に不要な空間が形成され難くなり、漏れが発生し難くなる。
左右各側における脚周り弾性伸縮部材14の本数は適宜定めることができるが、3〜10本程度、より好ましくは3〜8本程度、特に3〜5本程度が適当であり、図示例では5本である。左右各側における脚周り弾性伸縮部材14の本数を複数本とする場合には、その間隔は1〜20mm程度、好ましくは2〜15mm程度、特に好ましくは6〜10mm程度である。また、各脚周り弾性伸縮部材14としては、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができ、太さとしては500〜1500dtex程度、天然ゴムの場合0.1〜3mm程度、特に0.5〜3mm程度が好ましい。また、各脚周り弾性伸縮部材14の固定時の伸長率は150〜250%程度であるのが好ましい。
複数本の脚付根部弾性伸縮部材13は前側に向うにつれて間隔が狭くなっており、複数本の脚周り弾性伸縮部材14はそれぞれ前後各側に向かうにつれて間隔が狭くなっている。また、これらの弾性伸縮部材13,14の前後各側は、ウエスト側サイドフラップ部SF(脚周り開口の縁Leよりウエスト側)にかけて設けられており、背側では止着テープ5の固定部5fと重なる位置に向かって延在し、腹側ではフロントターゲットテープ6と重なる位置に向かって延在している。
また、脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14における前後両端部と重なる部分では、脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14を挟持する隣接シート(バックシート1と外装シート12)が固着されていない非固着領域とされ、この領域内では脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14は隣接シート(バックシート1と外装シート12)に固着されていない。これは、製造時に行われる前後縁での切断により弾性伸縮部材13,14を同時に切断し、脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14の前後端部を収縮させて、隣接シート間に引き込ませ、前後縁からはみ出ないようにするためである。この結果、外装シート12とバックシート1との間に非固着領域からなる筒状の通路12rが形成される。この通路12rは製品前後縁に開口している。脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14の他の部分(前後方向中間部分)と重なる部分では、両シート1,12が固着され、この固着領域内では脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14は伸張状態で両シート12,1に接着固定される。
この筒状の通路12rの位置は、腹側においてはウエスト側端縁からフロントターゲットテープ6の下縁まで延在しており、この通路12rの下端開口から脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14が導入されている。この結果、ターゲットテープ6を幅広にして腹側のウエスト側サイドフラップSFの両端近傍まで延在させる、或いはより股間側まで延在させる等により、脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14がターゲットテープ6と交差する配置となっても、ターゲットテープ6に対して脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14の収縮力が作用せず、脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14の収縮力によりターゲットテープ6に皺が寄ることがない。よって、ターゲットテープ6全体にわたり十分な連結力が得られるようになる。
また、腹側部分Fにおいては、脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14は、ある程度の間隔(例えば2〜10mm程度、特に3〜10mm程度)を保ったまま通路12rの股間側端縁に至るように設けるのが好ましい。このように、左右各側の脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14が、股間部から前側に向かうにつれて間隔が狭くなるように配置されている場合、複数本の弾性伸縮部材13,14が通路12rの股間側端縁と交差する位置で幅方向にある程度の間隔を有していると、非固着領域である通路12rとその股間側の固着領域との境界に収縮力が集中し難く、フィット性及び見栄えの悪化を防止できる。
ただしこの場合、ターゲットテープ6は股間側に対しても広範囲に設けると非固着領域が過大となり、強度低下等の問題点をもたらすおそれがある。特に、矩形状の接着パターンにより非固着領域である通路12rを設けた場合は尚更である。そこで、図示のように脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14の間隔の狭まりに対応させて(つまり通路12rの側縁が隣接する弾性伸縮部材の曲線に沿うように)、通路12rの幅をターゲットテープ6の股間側端縁から腹側部分におけるウエスト側端縁に向かうにつれて縮小するのが好ましい。通常のおむつの製造ラインにおいて非固着領域の幅を連続的に変化するのは困難であるため、図示のように非固着領域を階段状に形成するのが好ましい。特に、脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14が図示形態のようなパターンをなしている場合、通路12rの幅方向外側の側縁は前後方向に沿って直線状をなすようにし、幅方向中央側の側縁のみを階段状に屈曲させるのが好ましい。
上記例では、脚付根部及び脚周り弾性伸縮部材13,14における通路12r(非固着領域)内の部分は、隣接シート(バックシート1と外装シート12)の両者に固着されていない形態であるが、内シートであるバックシート1に対してだけであれば固着されていても良い。
他方、背側における通路12rの位置は、図示形態と異なり、止着テープ5の固定部5fと重ならない部位に設けると、止着テープ5の固定部5fの固定強度が高くなるため好ましい。
ところで、本形態の着用部品は、図1及び図2に示すように、着用したときに、陰茎の少なくとも亀頭部が外部に突出する穴部51が、製品幅方向中央の腹側部分Fに形成されている。この穴部51は、図9の(a)及び図10に示すように、背腹方向に沿う線状のスリットで構成されており、このスリットは、バックシート1が一方バックシート1L及び他方バックシート1Rに、トップシート2が一方トップシート2L及び他方トップシート2Rに、外装シート12が一方外装シート12L及び他方外装シート12Rに、上層吸収体3Aが一方上層吸収体3AL及び他方上層吸収体3ARに、下層吸収体3Bが一方下層吸収体3BL及び他方下層吸収体3BRに、それぞれ切断等により分割されて形成されている。
このように穴部51を線状のスリットで構成すると、当該スリットの長さ(分割長、切断長)Z1を長くすることで、穴部51から陰茎を外部に突出させるのが容易となり、着用部品の装着性が向上する。しかも、穴部51の位置を陰茎の位置に合わせても、おむつ(着用部品)全体は、スリットに沿って背腹方向にずらすことや、陰茎の位置を中心に回転することができるため、おむつ全体を適切な位置に装着することができる。
穴部51の長さZ1は、特に限定されるものではないが、通常40〜200mm、好ましくは60〜150mmである。穴部51の長さZ1が短過ぎると、装着性向上効果や、おむつ全体の適切な位置への配置効果が得られなくなるおそれがあり、他方、穴部51の長さZ1が長過ぎると、着用部品の形状安定性や、強度等が低下し、また、軟便等の漏れ防止効果が低下するおそれがある。
本形態では、穴部51を背腹方向に沿う直線状としたが、例えば、図9の(b)に示すように、幅方向に沿う直線状とすることや、図9の(c)に示すように、幅方向に沿う直線状の穴部51X及び背腹方向に沿う直線状の穴部51Yを有する十字状とすること等もできる。また、図示はしないが、幅方向及び背腹方向のいずれにも沿わない斜め方向に沿う直線状とすることや、以上のスリットの組合せで構成することもでき、さらに、各スリットを直線状の他、曲線状、屈曲状などとすることもできる。
ただし、いずれの場合においても、各シート1,2,12の分割側端部は、ホットメルト接着剤等によって接着固定して一体化し、背腹方向に沿う場合を例に図16に示すように、この一体化部分51Sに、スリットの延在方向に直交する方向(図示例では幅方向)に沿うカット線51Xを、スリットの延在方向(図示例では背腹方向)に適宜の間隔をおいて複数形成し、肌当たり性の向上等を図るのが好ましい。
(袋部品)
一方、本形態の男性用おむつは、図11及び図12に示すように、尿を保持する袋状の袋部品70を備える。この袋部品70は、着用部品の穴部51から外部に突出した陰茎の少なくとも亀頭部を包み込むようにして、当該着用部品に対して着脱自在に取り付けられるものである。より詳細には、袋部品70は、陰茎の少なくとも亀頭部が挿入される第2の穴部71Aが形成された内シート71と、この内シート71に積層された外シート72とを有し、これらのシート71,72の周縁部が全長にわたってホットメルト接着剤等によって接着固定されることによって、袋状とされている。したがって、第2の穴部71Aから挿入された亀頭部から排泄された尿は、両シート71,72間の蓄尿空間70Xに保持される。
この両シート71,72の素材は、蓄尿空間70Xから外部へ尿を通さない性質を有するもの、つまり、不透液性であるのが好ましく、例えば、ポリエチレンフィルム等の前述バックシート1として使用することができる素材と同様の素材で構成することができる。また、この両シート71,72の内面側それぞれに、不織布等の前述トップシート2として使用することができる素材と同様の素材で構成したシートを積層して肌触り性を向上させたり、この肌触り性向上シートと内シート71及び外シート72との間それぞれに前述吸収体3として使用することができる素材と同様の素材で構成した部材(吸収体)を介在させて、尿の逆戻り(第2の穴部71Aからの尿漏れ)防止を図ったりすることもできる。
内シート71及び外シート72の平面形状は、図示例のように背腹方向に長い長方形状とすることの他、幅方向に長い長方形状、正方形状、円形状、多角形状、任意形状などとすることもできる。さらに、図示例では、内シート71と外シート72とが別のシートで構成される形態を示したが、例えば、内シート71に該当する部分及び外シート72に該当する部分を有する1枚のシートを封筒状等に折り畳んで袋状の袋部品70とすることもできる。
一方、本形態の袋部品70には、図11に示すように、内シート71の表面(袋部品70を着用部品に取り付けた場合において、着用部品側となる表面)にスリット閉塞部材80が取り付けられている。このスリット閉塞部材80は、図11の他、図13にも示すように、袋部品70を着用部品に取り付けた状態において、少なくとも穴部(スリット)51を横切る方向、図示例では幅方向に伸縮する伸縮部81と、この伸縮部81と一体の着脱部82L,82Rとで構成されている。
伸縮部81は、不織布等からなるシートに細長状弾性伸縮部材が伸張状態でホットメルト接着剤等によって接着固定されて伸縮するものとされた部材で構成することや、帯状の天然ゴムや合成ゴム等で構成することができる。また、細長状弾性伸縮部材を使用する場合は、その素材として、前述バリヤーシート4において細長状弾性伸縮部材4Gとして使用することができる素材として例示した素材と同様の素材を使用することができる。
他方、着脱部82L,82Rは、伸縮部81と一体とされており、穴部(スリット)51両側方の着用部品表面、本形態では外装シート12に対してそれぞれ着脱自在に取り付けられる対となる構成とされている。この形態によると、伸縮部81を適宜伸張した状態において、一対の着脱部82L,82Rを穴部(スリット)51両側方の着用部品表面にそれぞれ取り付けると、図17及び図18に示すように、伸縮部81の収縮力によって、当該穴部(スリット)51の両側方部が相互に引き寄せ合い、穴部(スリット)51が閉じる(閉塞する)ことになる。したがって、装着性の観点から穴部(スリット)51の長さZ1を長くしている本形態においても、穴部(スリット)51が陰茎にフィットすることになる。
また、特に本形態においては、内シート71にスリット閉塞部材80が取り付けられており、伸縮部81の収縮力によって内シート71が収縮するため、外シート72が内シート71から離れる方向へ膨らむことになる。結果、両シート71,72間の蓄尿空間70Xが広がり、袋部品70内に尿が入り易くなる。さらに、袋部品70、本形態では内シート71にスリット閉塞部材80が取り付けられていると、本形態にように、このスリット閉塞部材80に袋部品70の着用部品に対する着脱機能を兼ねさせることができ、部材(部品)点数を減らすことができる。
本形態において、着脱部82L,82Rは、表面にフック状突起を多数有するフックテープ(メカニカルファスナー(面ファスナー)の雄材)で構成されており、また、図9の(a)に示すように、穴部(スリット)51両側方の着用部品表面(外装シート12)には当該フック状突起が着脱可能に掛止される表面を有するターゲットテープ(メカニカルファスナー(面ファスナー)の雌材)6L,6Rが固定されている。したがって、伸縮部81を伸張した状態において、一方の着脱部82Lを一方のターゲットテープ6Rに、他方の着脱部82Rを他方のターゲットテープ6Lに、それぞれ当接するのみで、穴部(スリット)51を閉塞するとともに(同時に)、袋部品70を着用部品に取り付けることができる。
図9の(b)に示すように、穴部(スリット)51が幅方向に沿う場合は、当該穴部51のウエスト側及び股間側にそれぞれターゲットテープ6U,6Dを設け、伸縮部81を少なくとも背腹方向に伸縮するものとする。また、穴部(スリット)を幅方向に沿う穴部51X及び背腹方向に沿う穴部51Yを有する十字状とする場合は、幅方向一方のウエスト側、幅方向一方の股間側、幅方向他方のウエスト側及び幅方向他方の股間側にそれぞれターゲットテープ6LU,6LD,6RU,6RDを設け、伸縮部81を少なくとも幅方向及び背腹方向に伸縮するものとする。
各ターゲットテープ6L,6R等の大きさ、形状等は特に限定されないが、スリット(穴部)51を確実に閉塞するという観点からは、各ターゲットテープがスリット(穴部)51に沿う方向に関して、当該スリット51の長さZ1よりも長くなるように構成するのが好ましい。
もっとも、以上の各ターゲットテープは省略することができ、例えば、不織布等からなる着用部品表面、本形態では外装シート12に直接、着脱部82L,82Rを取り付けることができる。また、着脱部82L,82Rをフックテープに変えて粘着剤層で構成し、ターゲットテープ6L,6R等をターゲットテープに変えて表面が平滑な樹脂テープで構成することもできる。
本形態において、着脱部82L,82Rは、それぞれ幅方向に離間する2つのフックテープで構成されている。装着時における袋部品70の着用部品からの意図しない脱落は、尿の漏れにつながるため、着脱部82L,82Rはある程度の固定力をもって着用部品表面(外装シート12)に取り付けられる必要がある。もっとも、固定力を増すために各着脱部82L,82Rを伸縮部81の伸縮方向(図示例では幅方向)に長くし過ぎると、伸縮部81の伸縮性が阻害される。そこで、各着脱部82L,82Rを伸縮部81の伸縮方向に離間する2つのフックテープで構成するものであり、このような観点から各着脱部82L,82Rをそれぞれ3つ、4つ又はそれ以上の複数とすることもでき、また、両者82L,82Rの数を異なるものとすることもできる。
また、本形態において、着脱部82L,82Rは、伸縮部81の表面にホットメルト接着剤等の接着剤によって接着固定されているが、着脱部82L,82Rが伸縮部81と直接又は他の部材を介して一体であれば当該伸縮部81の伸縮力が着脱部82L,82Rを介して穴部(スリット)51両側方の着用部品表面に伝達される。したがって、例えば、図14の(a)に示すように、着脱部82L,82Rが伸縮部81の背腹方向一方側の縁から、本形態ではウエスト側の縁から延出するように構成することもできる。なお、この形態の場合、着脱部82L,82R及び伸縮部81が直接的に一体化されていても、内シート71を介して間接的に一体化されていてもよい。
また、スリット閉塞部材80は、1つに限定されず、例えば、図14の(b)に示すように、2つ設けることや、図示はしないが3つ、4つ又はそれ以上の複数設けることもできる。
ただし、スリット閉塞部材80は、内シート71に形成された第2の穴部71Aの周縁近傍に、例えば、スリット閉塞部材80と第2の穴部71A周縁との最短離間距離が30mm以下となるように、好ましくは20mm以下となるように取り付けられていると好適である。スリット閉塞部材80が第2の穴部71Aの周縁近傍に取り付けられていると、当該スリット閉塞部材80(伸縮部81)の伸縮力によって第2の穴部71Aの周長も伸縮するため、第2の穴部71Aの陰茎に対するフィット性が向上する。結果、装着感が向上するのはもちろん、例えば、両シート71,72間の蓄尿空間70Xに保持された尿が第2の穴部71Aから漏れるのが防止される。
このようなフィット性(装着感)、尿漏れ防止の観点からは、第2の穴部71Aの形状を図示例のように円形状とするのが好適であるが、楕円形状や、方形状、その他の多角形状などとすることもできる。また、スリット閉塞部材80を1つとする場合は、通常、下向きとなる陰茎に対するフィット性の向上という観点から、図11に示すように、第2の穴部71Aの股間側に配置するのが好ましく、スリット閉塞部材80を2つとする場合は、図14の(b)に示すように、第2の穴部71Aの背腹方向両方にそれぞれ1つずつ配置するのが好ましい。さらに、いずれの場合においても、袋部品70の着用部品に対する固定力、固定安定性等を向上させるために、フックテープ等からなる着脱部材73を第2の穴部71Aよりウエスト側の袋部品70のウエスト側端部の幅方向両端部に設けておくと好適である。この形態によると、袋部品70の着用部品に対する取付け時において着脱部材73が、通常ターゲットテープ6L,6R、袋部品70の大きさによってはフロントターゲットテープ6に取り付けられ、後者の場合においては、フロントターゲットテープ6が止着テープ5の固定用(取付け用)としてだけではなく、袋部品70の固定用(取付け用)としても機能することになる。
本形態においては、スリット閉塞部材80が袋部品70に固定されるが、スリット閉塞部材が袋部品70に固定されない形態、つまり、スリット閉塞部材と袋部品70とを別体とすることもできる。別体とする場合、以上のスリット閉塞部材80をそのまま採用することもできるが、別の形態を採用することもでき、この別の形態とする場合の具体例を図15に示した。
このスリット閉塞部材80Cは、図15の(a)に示すように、帯状の基材83を有し、この基材83は、長手方向中央及びその両側方に折り線が形成されて、長手方向中央の折り線から一側方の折り線までの領域83CL、当該一側方の折り線から一端縁までの領域83OL、長手方向中央の折り線から他側方の折り線までの領域83CR及び当該他側方の折り線から他端縁までの領域83ORに区画されている。この基材83は、着用部品側(紙面下側)の表面にフック状突起を多数有するメカニカルファスナー(面ファスナー)の雄材で構成されている。また、基材83の領域83CRにおける着用部品側の表面には補助材84が固定されており、この補助材84は、上記フック状突起が着脱可能に掛止される表面(着用部品側(下側)の表面)を有するメカニカルファスナー(面ファスナー)の雌材で構成されている。
このスリット閉塞部材83Cは、図15の(b)に示すように、長手方向中央の折り線において山折りされ、その両側方の折り線において谷折りされる。これら山折り及び谷折りの程度が強められると、図15の(c)に示すように、補助材84の表面と領域83CLにおける基材83の表面とが掛止固定され、スリット閉塞部材80C(基材83)の長手方向の長さが短くなる。つまり、このスリット閉塞部材80Cは、当該掛止固定によって長手方向の長さが短くなり、当該掛止固定の解除によって長手方向の長さが長くなるものであり、基材83及び補助材84を含む全体が伸縮部として機能する。また、スリット閉塞部材80Cは、領域83OL及び領域83ORにおける基材83が着用部品の表面に掛止固定されるものであり、当該領域83OL及び領域83ORにおける基材83が脱着部として機能する。なお、前述穴部(スリット)51が背腹方向に形成される本形態においては、上記掛止固定を解除した状態においてスリット閉塞部材80Cを長手方向が着用部品の幅方向に沿うように取り付け、上記掛止固定を行ってスリット閉塞部材80Cを短くする(収縮させる)ことにより、穴部(スリット)51を閉じることになる。