JP5647316B2 - フレキシブル回路基板 - Google Patents

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Description

本発明は、フレキシブル回路基板に関する。詳しくは、本発明は、金属箔の表面に絶縁層を介して回路パターンが形成されるフレキシブル回路基板に関する。
従来のフレキシブル回路基板(FPC)には、金属基材フィルムの表面に接着剤によって貼り付けられた導電体の箔からなる回路パターンを有する構成のものが知られている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の構成によれば、金属材料は一般的に樹脂組成物に比較して熱伝導率が高いため、フレキシブル回路基板に実装される素子などは、金属基材フィルムを通じて放熱される。このため、放熱の効果を高めることができる。
また、フレキシブル回路基板においては、回路パターンを流れるデジタル信号の高調波成分がノイズとして放出されることにより、他の電子機器に影響を与えるおそれがあるという問題を有する。そこで、このような問題を解決するため、金属箔や導電性ペーストなどのシールド部材を、プラスティックフィルムや接着剤などの絶縁性の材料を介して回路パターンを覆うように設ける構成が知られている(特許文献2参照)。このような構成によれば、回路パターンからの不要輻射(EMI)の低減を図ることができる。
特開2011−199090号公報 特開平05−75219号公報
ところで、フレキシブル回路基板の放熱量は、大気放熱の場合には、金属箔や金属基材フィルムの露出表面積に依存する。従来の構成では、金属箔や金属基材フィルムの表面がフラットであるため、放熱の効果が低いという問題がある。放熱の効果を高くするための構成としては、たとえば、フレキシブル回路基板に、放熱板や放熱フィンなどを取り付ける構成が用いられている。しかしながら、このような構成では、部品点数や組立工数が増加するため、製品価格や製造コストの上昇を招いていた。
上記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、部品点数や組立工数の増加を招くことなく、回路パターンや実装される素子などを放熱するとともに、不要輻射を防止できるフレキシブル回路基板を提供することである。
前記課題を解決するため、本発明は、金属材料からなるベースフィルムと、電気的な絶縁材料からなり、前記ベースフィルムの一方の表面に形成される第一の保護膜と、前記第一の保護膜の表面に設けられる回路パターンと、を有し、前記ベースフィルムの前記一方の表面とは反対側の他方の表面には、エッチングされた凹部とエッチングされない前記表面からなる複数の凸部を模様とする凹凸形状が形成されることを特徴とする。
複数の前記凸部が4の長さの径の水玉模様であり、縦横5の長さのピッチで並んで形成される構成であってもよい。
複数の前記凸部が二次元に配列されるように形成され、前記凸部と前記凹部の平面視における面積比が略同じである構成であってもよい。
前記金属材料はアルミニウムのフィルムからなり、前記アルミニウムのフィルムの表面にはアルマイト処理膜が形成される構成であってもよい。
前記回路パターンは、前記第一の保護膜の表面に積層された絶縁材料からなる接着剤の膜により接着される構成であってもよい。
前記第一の保護膜はポリイミド樹脂により形成される構成であってもよい。
また、本発明は、金属材料により形成されるベースフィルムと、電気的な絶縁材料からなり、前記ベースフィルムの一方の表面に形成される第一の保護膜と、前記保護膜の表面に形成される回路パターンと、を有し、前記ベースフィルムには、前記一方の表面とは反対側の他方の表面の側に突起し、前記金属材料を用い前記ベースフィルムから一体的に形成される係止片が、弾性変形可能に設けられるとともに、前記他方の表面にはエッチングされた凹部とエッチングされない前記表面からなる複数の凸部を模様とする凹凸形状が形成されることを特徴とする。
前記係止片は、前記ベースフィルムに形成された切込みに囲まれた部分が曲げ起こされて形成される構成であってもよい。
前記凹凸形状は、前記金属材料により形成される構成であってもよい。
前記ベースフィルムの表面には電気的な絶縁性を有する酸化膜がさらに形成され、前記第一の保護膜は前記酸化膜の表面に形成され、前記回路パターンと前記ベースフィルムとの間には、前記酸化膜および前記第一の保護膜が介在する構成であってもよい。
前記金属材料はアルミニウムからなり、前記酸化膜はアルマイト処理により形成される構成であってもよい。
前記回路パターンは、前記第一の保護膜の表面に積層された絶縁材料からなる接着剤の膜により接着される構成であってもよい。
前記第一の保護膜はポリイミドにより形成される構成であってもよい。
本発明によれば、ベースフィルムの他方の表面に放熱のための凹凸が形成されるため、部品点数や組立工数の増加を招くことなく、回路パターンや実装される素子などの放熱の効果を高めることができる。さらに、ベースフィルムが導電性材料である金属材料により形成されるため、実装される素子などや回路パターンが発する不要輻射を遮断することができる。したがって、フレキシブル回路基板からの不要輻射を防止または低減できる。
図1は、本発明の第一の実施例にかかるフレキシブル回路基板の全体的な構成を模式的に示す斜視図である。 図2は、本発明の第一の実施例にかかるフレキシブル回路基板の全体的な構成を模式的に示す斜視図であり、図1とは反対側の面を示す図である。 図3は、本発明の第一の実施例にかかるフレキシブル回路基板の構成を模式的に示す断面図である。 図4は、第一の実施例にかかるフレキシブル回路基板の製造方法の流れを模式的に示す断面図である。 図5は、第一の実施例にかかるフレキシブル回路基板の製造方法の流れを模式的に示す断面図である。 図6は、第一の実施例にかかるフレキシブル回路基板の製造方法の流れを模式的に示す断面図である。 図7は、第一の実施例にかかるフレキシブル回路基板の製造方法の流れを模式的に示す断面図である。 図8は、本発明の第二の実施例にかかるフレキシブル回路基板の構成を模式的に示す斜視図である。 図9は、本発明の第二の実施例にかかるフレキシブル回路基板の構成を模式的に示す斜視図である。 図10は、本発明の第二の実施例にかかるフレキシブル回路基板が他の部材に取り付けられている状態を模式的に示す断面図である。 図11は、本発明の第三の実施例にかかるフレキシブル回路基板の構成を模式的に示す断面図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
まず、第一の実施例にかかるフレキシブル回路基板1aの構成について、図1と図2を説明する。図1と図2は、本発明の第一の実施例にかかるフレキシブル回路基板1aの全体的な構成を模式的に示す斜視図である。なお、図1と図2は、互いに反対側の面を示す。図3は、本発明の第一の実施例にかかるフレキシブル回路基板1aの構成を模式的に示す断面図である。
図1〜図3に示すように、フレキシブル回路基板1aは、ベースフィルム11aと、第一の保護膜12と、接着剤の膜13と、回路パターン14と、第二の保護膜15とを有する。
ベースフィルム11aは、金属材料により形成され、可撓性を有するフィルムである。たとえば、ベースフィルム11aには、厚さが200〜400μmのアルミニウム箔が適用される。ベースフィルム11aの一方の表面(図3において上側の表面。説明の便宜上、この面を「第一の表面114」と称する)には、第一の保護膜12が形成される(後述)。そして、前記一方の表面の反対側の他方の面(図3においては下側の表面。説明の便宜上、この面を第二の表面115と称する)には、凹凸116が形成される。この凹凸116は、ベースフィルム11aの表面積を増加させることによって放熱の効果を高めるために形成される。凹凸116は、金属材料からなりベースフィルム11aに一体に形成される。凹凸116の具体的な構成としては、たとえば、縦横5mmピッチで並んだ4mm径の水玉模様で、水玉が凸部でその周囲がエッチング等(後述)によって凹部とした凹凸パターンが適用できる。このほか、ストライプ模様や市松模様なども適用できる。
また、ベースフィルム11aの所定の箇所には、スプロケットホール111やデバイスホール112など、厚さ方向に貫通する開口部(貫通孔)が形成される。スプロケットホール111は、フレキシブル回路基板1aに所定の半導体素子や各種所定の電子部品など(以下、「素子など」と略して記す。)を実装する工程において、フレキシブル回路基板1aの繰り出しや位置決めに用いられる。デバイスホール112は、素子などを実装するための装着用の開口部である。なお、フレキシブル回路基板1aの繰り出しや位置決めを、スプロケットホール111を用いずに行う場合には、スプロケットホール111が形成されなくてもよい。また、フレキシブル回路基板1aに表面実装型の素子などが実装される場合には、デバイスホール112が形成されなくてもよい。
第一の保護膜12は、ベースフィルム11aの第一の表面114を覆うように形成される。第一の保護膜12は、電気的な絶縁材料により形成される。たとえば、第一の保護膜12には、金属材料からなるベースフィルム11aに、熱可塑性ポリイミドのフィルム、非熱可塑性ポリイミドのフィルムを順に積層し加熱圧着する方法で厚さを3〜10μmに仕上げた有機樹脂層などが適用される。このように、本発明の第一の実施例にかかるフレキシブル回路基板1aは、金属材料からなるベースフィルム11aと、電気的な絶縁材料からなる第一の保護膜12と、電気的な絶縁材料からなる接着剤の膜13とが積層する構造を有する。
回路パターン14は、金属材料などの導体により形成される薄膜パターンである。回路パターン14は、たとえば、厚さが8〜50μm程度の銅フィルム301(後述)によって形成される。そして、回路パターン14は、第一の保護膜12の表面に、接着剤の膜13により接着される。なお、回路パターン14の具体的な構成は、フレキシブル回路基板1aの回路構成などに応じて適宜設定されるものであり、特に限定されるものではない。そして、電気的な導体であるベースフィルム11aと、回路パターン14とは、電気的な絶縁材料である第一の保護膜12および接着剤の膜13によって、電気的に絶縁される。
第二の保護膜15は、回路パターン14を覆うように形成される。第二の保護膜15は、電気的な絶縁材料により形成される。第二の保護膜15には、たとえば、厚さが10〜50μm程度のソルダーレジスト塗布膜、またはカバーレイフィルムが適用される。そして、第二の保護膜15は、回路パターン14を覆うことによって、回路パターン14を保護する。
なお、回路パターン14のうちの所定の一部は、第二の保護膜15に覆われずに露出する。そして、露出する部分は、コンタクトパッドやインナーリードとなる。コンタクトパッドは、素子などを回路パターン14に電気的に接続するための部分である。コンタクトパッドは、フレキシブル回路基板1aと外部の機器などとを電気的に接続するための接点(端子)となる部分である。そして、回路パターン14のうちの第二の保護膜15に覆われずに露出する部分の表面には、ニッケルメッキの膜141と金メッキの膜142とが積層して形成される。
このような構成によれば、フレキシブル回路基板1aに実装される素子などが発する熱は、ベースフィルム11aを通じて外部(たとえば大気中)に放散される。すなわち、ベースフィルム11aは金属材料により形成されているため、樹脂材料により形成される構成と比較すると熱伝導率が高い。さらに、ベースフィルム11aの第二の表面115には凹凸116が形成されているため、凹凸116が形成されない構成と比較すると表面積(大気に触れる面積)が大きい。このため、放熱の効果を高めることができる。したがって、たとえば、LEDなどといった、熱により特性が劣化する素子などが実装される場合において、当該素子などの温度上昇を防止して特性の劣化を防止できる。また、ベースフィルム11aが金属材料により形成される構成であるため、実装される素子などや回路パターン14が発するノイズが遮断される。したがって、不要輻射(EMI)の防止または低減を図ることができる。
次に、第一の実施例にかかるフレキシブル回路基板1aの製造方法について、図4〜図7を参照して説明する。図4〜図7は、第一の実施例にかかるフレキシブル回路基板1aの製造方法の流れを模式的に示す断面図である。
図4(a)は、フレキシブル回路基板1aのスタート材料302を示す。図4(a)に示すように、スタート材料302は、アルミニウム箔であるベースフィルム11aと、ベースフィルム11aの第一の表面114に形成される第一の保護膜12と、第一の保護膜12の表面に形成される接着剤の膜13とを有するフィルムである。まず最初、スタート材料302に打ち抜き金型でスプロケットホール111やデバイスホール112を孔加工する。なお、この段階では、ベースフィルム11aの第二の表面115(図中においては下側の表面)には、凹凸116は形成されていない。
次に、図4(b)に示すように、回路パターン14の材料である銅フィルム301が、ベースフィルム11aに形成される接着剤の膜13(図中においては上側の表面)にラミネート加工などにより接着される。すなわち、銅フィルム301が加熱されながら加圧される。これにより、銅フィルム301と接着剤の膜13とが密着するとともに、接着剤の膜13が熱により硬化する。この結果、スプロケットホール111やデバイスホール112の第一の表面側が銅フィルム301で覆われる。
次に、図4(c)に示すように、接着された銅フィルム301の表面を覆うように、第一のフォトレジストの膜201(エッチングレジストの膜)が形成される。更に、第二の表面115側からスプロケットホール111とデバイスホール112とを埋めるように、及び第二の表面115を覆うように塗布して第一のフォトレジストの膜201を形成する。図においては、第一のフォトレジストの膜201としてポジ型のフォトレジストが適用される構成を示すが、ネガ型のフォトレジストが適用される構成であってもよい。
次に、図4(d)に示すように、ベースフィルム11aの第二の表面115に形成される第一のフォトレジストの膜201に、露光処理が施される。この露光処理においては、フォトマスクF1などを介して、ベースフィルム11aの第二の表面115に形成される第一のフォトレジストの膜201の所定の領域に、所定の波長帯域の光エネルギが照射される。図4(d)中の矢印は、照射される光エネルギを模式的に示す。
次に、図5(a)に示すように、露光処理が施された第一のフォトレジストの膜201に、現像処理が施される。この現像処理において、第一のフォトレジストの膜201のうちの所定の領域(フォトレジストがポジ型であれば、露光処理において光エネルギが照射された部分)が除去される。勿論、スプロケットホール111やデバイスホール112を埋めた第一のフォトレジストの膜201は、フォトマスクF1の働きで露光処理の光照射がされない部分である。現像処理後も銅フィルム301の裏面とスプロケットホール111やデバイスホール112の内壁となっているベースフィルム11aの表面を第一のフォトレジストの膜201がしっかりと覆っている。露光処理を経ると、ベースフィルム11aの第二の表面115に、第一のフォトレジストの膜201からなる第一のレジストパターン202が形成される。そして、ベースフィルム11aの第二の表面115の所定の領域が第一のレジストパターン202により覆われ、残りの領域が第一のレジストパターン202に覆われずに露出する。なお、接着された銅フィルム301は、露光処理がされなかった第一のフォトレジストの膜201に覆われたままであり、露出しない。
次に、図5(b)に示すように、第一のレジストパターン202をエッチングマスクとして用いて、ベースフィルム11aの第二の表面115がエッチングされる。このエッチングには、たとえば、公知の各種の混酸(硝酸・酢酸・リン酸)のアルミエッチング液が適用される。これにより、第一のレジストパターン202に覆われない部分がエッチングされて凹部となり、第一のレジストパターン202に覆われる部分がエッチングされずに凸部となる。この結果、ベースフィルム11aの第二の表面115に凹凸116が形成される。凹凸116の平面形状(凹凸116の幅やピッチ)は、第一のレジストパターン202の平面形状(すなわち、露光処理で用いられるフォトマスクの構成)によって適宜設定される。凹凸116の深さは、エッチング条件(エッチング時間や温度など)によって適宜設定されるが、本実施例ではベースフィルム11aのスタート時の厚みの3分の1程度の約100μmになるように設定する。なお、ベースフィルム11aの第一の表面114に第一の保護膜12を介して接着された銅フィルム301は、第一のフォトレジストの膜201によって覆われて保護されている。このため、この工程では、銅フィルム301はエッチングされない。
次に、図5(c)に示すように、銅フィルム301を覆う第一のフォトレジストの膜201と、ベースフィルム11aの第二の表面を覆う第一のレジストパターン202が除去される。第一のフォトレジストの膜201と第一のレジストパターン202の除去には、たとえば苛性ソーダが用いられる。
次に、図5(d)に示すように、ベースフィルム11aの上側に形成される接着剤の膜13に接着された銅フィルム301と、ベースフィルム11aの第二の表面115及びスプロケットホール111やデバイスホール112とを覆うように、第二のフォトレジストの膜203が形成される。図においては、第二のフォトレジストの膜203としてポジ型のフォトレジストが適用される構成を示すが、ネガ型のフォトレジストが適用される構成であってもよい。
次に、図6(a)に示すように、銅フィルム301の表面を覆う第二のフォトレジストの膜203に、露光処理が施される。この露光処理においては、フォトマスクF2などを介して、銅フィルム301を覆う第二のフォトレジストの膜203の所定の領域に、所定の波長帯域の光エネルギが照射される。図6(a)中の矢印は、照射される光エネルギを模式的に示す。
次に、図6(b)に示すように、露光処理が施された第二のフォトレジストの膜203に、現像処理が施される。現像処理には、たとえば、炭酸ナトリウム水溶液等が用いられる。そして、この現像処理において、第二のフォトレジストの膜203の所定の領域(第二のフォトレジストの膜203がポジ型であれば光エネルギが照射された領域)が、現像液に溶解して除去される。これにより、銅フィルム301の表面に、第二のフォトレジストの膜203からなる第二のレジストパターン204が形成される。そして、銅フィルム301の所定の領域が第二のレジストパターン204により覆われ、残りの領域が第二のレジストパターン204により覆われずに露出する。なお、ベースフィルム11aの第二の表面115及びスプロケットホール111やデバイスホール112は、露光処理が施されなかった第二のフォトレジストの膜203により覆われたままであり、露出しない。
次に、図6(c)に示すように、第二のレジストパターン204をエッチングマスクとして用いて、銅フィルム301がエッチングされる。このエッチングにより、銅フィルム301からなる回路パターン14が形成される。なお、銅フィルム301がエッチングされる工程においては、ベースフィルム11aの第二の表面115に形成される凹凸116は、第二のフォトレジストの膜203により覆われて保護される。また、銅フィルム301がエッチングにより除去された部分は、接着剤の膜13が露出するが、ベースフィルム11aは接着剤の膜13に覆われているため露出しない。このため、この工程では、ベースフィルム11aはエッチングされない。
次に、図6(d)に示すように、回路パターン14を覆う第二のレジストパターン204と、ベースフィルム11aの第二の表面115およびスプロケットホール111やデバイスホール112を覆う第二のフォトレジストの膜203が除去される。第二のフォトレジストの膜203と第二のレジストパターン204の除去には、たとえば、苛性ソーダが用いられる。
次に、図7(a)に示すように、回路パターン14の所定の部分を覆うように、第二の保護膜15が形成される。第二の保護膜15の形成方法には、たとえば、スクリーン印刷法でソルダーレジストインクを塗布し熱硬化させる方法、または予め所定形状にカットしたカバーレイフィルムを加熱ラミネートする方法が適用される。
次に、図7(b)に示すように、回路パターン14のうちのインナーリードやコンタクトパッドとなる部分(第二の保護膜15に覆われない部分)にニッケルメッキの膜141が形成される。さらに、ニッケルメッキの膜141の表面に金メッキの膜142が形成される。
以上の工程を経て、本発明の第一の実施例にかかるフレキシブル回路基板1aが製造される。
このように、ベースフィルム11aの第二の表面115に、放熱のための凹凸116が形成される。このような構成によれば、部品点数や組立工数の増加を招くことなく、回路パターン14や実装される素子などの放熱の効果を高めることができる。さらに、ベースフィルム11aが導電性材料である金属材料により形成されるため、実装される素子などや回路パターン14が発する不要輻射を遮断することができる。したがって、フレキシブル回路基板1aからの不要輻射を防止または低減できる。
次に、本発明の第二の実施例にかかるフレキシブル回路基板1bについて、図8〜図10を参照して説明する。図8と図9は、本発明の第二の実施例にかかるフレキシブル回路基板1bの構成を模式的に示す斜視図である。そして、図8と図9は、互いに反対側から見た図を示す。図10は、本発明の第二の実施例にかかるフレキシブル回路基板1bが他の部材401に取り付けられている状態を模式的に示す断面図である。なお、第一の実施例にかかるフレキシブル回路基板1aと共通の構成については、同じ符号を付して示し、説明は省略する。
本発明の第二の実施例にかかるフレキシブル回路基板1bは、ベースフィルム11bと、第一の保護膜12と、接着剤の膜13と、回路パターン14と、第二の保護膜15とを有する。
ベースフィルム11bには、金属箔が適用される。金属箔には、たとえば、銅、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、アルミニウムのいずれか、またはこれらのうちのいずれかを主成分とする合金からなる。または、金属箔には、ステンレス箔が適用できる。
ベースフィルム11bの第二の表面115には、第一の実施例と同様に凹凸116が形成される構成であってもよく、凹凸116が形成されない構成であってもよい。さらに、ベースフィルム11bには、フレキシブル回路基板1bを他の部材401に取り付けるための係止片113が一体に形成される。他の部材401としては、たとえば、フレキシブル回路基板1bが使用される装置の筐体やフレームなどが挙げられる。係止片113は、弾性変形可能であり、ベースフィルム11bの第二の表面115の側に曲げ起こされて突起する舌片状の構成を有する。係止片113の形成方法としては、たとえば、プレス加工によって、ベースフィルム11bに略「U」字形状の切込みを形成するとともに、第二の表面115の側に曲げ起こして突起させる方法が適用できる。このような構成によれば、第二の表面115の側に突起する係止片113を、ベースフィルム11bに一体に形成することができる。
なお、第一の保護膜12と、接着剤の膜13と、回路パターン14と、第二の保護膜15とは、第一の実施例と同じ構成が適用できる。したがって、説明は省略する。また、係止片113は、周囲に回路パターン14の無い位置に設けるようにして、係止片113及びその周囲には第一の保護膜12および接着剤の膜13が形成されていないベースフィルム11bを予め準備することが良い。この場合でも勿論、ベースフィルム11bは、図10から判るように回路パターン14からは第一の保護膜12および接着剤の膜13によって電気的に絶縁されている。
ここで、フレキシブル回路基板1bを他の部材401に取り付ける構成について、図10を参照して説明する。図10に示すように、係止片113を弾性変形させ、ベースフィルム11bの第二の表面115と係止片113側の第一の表面114とによって、他の部材401を挟む。そうすると、フレキシブル回路基板1bが他の部材401に取り付けられる。そして、ベースフィルム11bの第二の表面115と他の部材401とが直接的に接触するとともに、係止片113の弾性力によって、ベースフィルム11bの第二の表面115が、他の部材401の表面に密着した状態となる。このような構成によれば、素子などが発する熱は、ベースフィルム11bを通じて他の部材401に伝導しやすくなる。このため、素子などやフレキシブル回路基板1bの冷却の効果を高めることができる。
すなわち、従来は、フレキシブル回路基板を他の部材に取り付けるために、たとえば、接着剤や両面テープやネジが用いられていた。しかしながら、接着剤や両面テープを用いる構成では、フレキシブル回路基板と他の部材とが直接接触しないため、フレキシブル回路基板と他の部材との間の熱伝導率が低下する。また、ネジを用いる構成では、他の部材にネジ止め用の孔(ネジ孔など)を形成する必要がある。さらに、ネジを用いる構成では、フレキシブル回路基板の全体を他の部材に密着させることが困難である。このため、これらの従来の構成は、放熱の効果が低い。
これに対して、本発明の第二の実施例にかかるフレキシブル回路基板1bによれば、ベースフィルム11bの第二の表面115と他の部材401とを、直接的に接触させることができる。このため、接着剤や両面テープを用いる構成と比較すると、フレキシブル回路基板1bと他の部材401との間の熱伝導率の向上を図ること(または低下を防止すること)がてきる。さらに、係止片113が弾性変形可能な構成であれば、係止片113の弾性力によって、ベースフィルム11bの第二の表面115が他の部材401に密着した状態に維持される。
このように、本発明の第二の実施例にかかるフレキシブル回路基板1bによれば、第一の実施例にかかるフレキシブル回路基板1aと同様の効果を奏することができる。さらに、本発明の第二の実施例にかかるフレキシブル回路基板1bによれば、フレキシブル回路基板1bのベースフィルム11bと他の部材401との間の熱伝導率の向上を図ることができる。したがって、素子などの冷却の効果の向上を図ることができる。
本発明の第二の実施例にかかるフレキシブル回路基板1bの製造方法は、第一の実施例にかかるフレキシブル回路基板1aの製造方法に、係止片113を形成する工程が付加されたものとなる。係止片113の形成方法は前記のとおりである。なお、ベースフィルム11bの第二の表面115に凹凸116が形成されない場合には、凹凸116を形成するための工程が省略される。したがって、本発明の第二の実施例にかかるフレキシブル回路基板1bの製造方法の説明は省略する。
次に、本発明の第三の実施例にかかるフレキシブル回路基板1cについて、図11を参照して説明する。図11は、本発明の第三の実施例にかかるフレキシブル回路基板1cの構成を模式的に示す断面図である。なお、本発明の第一の実施例にかかるフレキシブル回路基板1aと同じ構成については、同じ符号を付して示し、説明を省略する。
図11に示すように、フレキシブル回路基板1cは、ベースフィルム11cと、第一の保護膜12と、接着剤の膜13と、回路パターン14と、第二の保護膜15とを有する。
ベースフィルム11cは、金属材料により形成され、可撓性を有するフィルムである。そして、ベースフィルム11cの第一の表面114には、酸化膜117が形成される。酸化膜117は、電気的な絶縁性を有する物質である。なお、第二の表面115には、酸化膜117が形成されてもよく、されなくてもよい。少なくとも一方の表面である第一の表面114に酸化膜117が形成される構成であればよい。そして、ベースフィルム11cの金属材料がアルミニウムからなる場合には、アルマイト処理によって形成した酸化膜がこの実施例に適用できる。
ベースフィルム11cは、第一の表面114に電気的な絶縁性を有する酸化膜117が形成される構成を除いては、第一の実施例と同じ構成が適用できる。また、第一の保護膜12と、接着剤の膜13と、回路パターン14と、第二の保護膜15とは、第一の実施例と同じ構成が適用できる。
このように、電気的な導体により形成されるベースフィルム11cと回路パターン14との間には、電気的な絶縁材料である(絶縁性を有する)酸化膜117と第一の保護膜12とが介在する。したがって、回路パターン14とベースフィルム11cとの間の電気的な絶縁性能の向上を図ることができる。
すなわち、接着剤の膜13により回路パターン14が第一の保護膜12に接着される構成では、回路パターン14と接着剤の膜13との接着強度の向上を図るために、回路パターン14の材料である銅フィルム301の表面に、あらかじめ粗化処理が施される。そして、この粗化処理によって、銅フィルム301の表面に微小な凹凸が形成される。このため、回路パターン14(銅フィルム301)に形成される凹凸の凸部が、接着剤の膜13を貫通し、第一の保護膜12に接触することがある。このように、接着剤の膜13では、回路パターン14とベースフィルム11cとの電気的な絶縁を確保できないことがある。そうすると、回路パターン14とベースフィルム11cとの電気的な絶縁は、第一の保護膜12によって確保されることになる。そして、回路パターン14の材料である銅フィルム301を第一の保護膜12に接着する方法としては、ラミネート加工が用いられる。ラミネート加工においては、銅フィルム301を加圧しながら接着するため、加圧力によって銅フィルム301の表面の微小な突起が第一の保護膜12を貫通し、ベースフィルム11cに接触するおそれがある。このため、第一の保護膜12のみでは、回路パターン14(銅フィルム301)とベースフィルム11cとが電気的に短絡する可能性がある。
本発明の第三の実施例においては、ベースフィルム11cの第一の表面114には、電気的な絶縁性を有する酸化膜117が形成される。このため、回路パターン14とベースフィルム11cとの電気的な絶縁は、それらの間に介在する第一の保護膜12と酸化膜117とによって確保される。すなわち、回路パターン14とベースフィルム11cとの電気的な絶縁性能は、酸化膜117と第一の保護膜12の絶縁性能によって決まる。
第三の実施例にかかるフレキシブル回路基板1cによれば、第一の実施例にかかるフレキシブル回路基板1aと同様の効果を奏する。さらに、このような構成によれば、ベースフィルム11cの第一の表面114に酸化膜117が形成されない構成と比較すると、回路パターン14とベースフィルム11cとの電気的な絶縁性能の向上を図ることができる。
なお、第三の実施例にかかるフレキシブル回路基板1cの製造方法は、スタート材料が異なるほかは、第一の実施例と同じ方法が適用できる。スタート材料には、第一の表面114に酸化膜117が形成されるベースフィルム11cと、酸化膜117の表面に形成される第一の保護膜12と、第一の保護膜12の表面に形成される接着剤の膜13とを有するフィルムが用いられる。そして、このようなスタート材料を用い、第一の実施例と同じ製造方法によって、第三の実施例にかかるフレキシブル回路基板1cが製造される。
また他方、第一の表面114に酸化膜117が形成されるベースフィルムをスタート材料とする第二の実施例への適用も容易に可能である。特にアルマイト処理による酸化膜は極めて薄く10μm程度にすることができるので、第二の実施例における係止片の加工性や弾性及びベースフィルムの熱伝導性などの影響も軽微であり、その適用は、第二の実施例と同様の効果がえられる。
以上、本発明の各種実施形態(各種実施例)について、図面を参照して詳細に説明したが、本発明は前記実施形態(実施例)に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変が可能である。たとえば、前記実施形態においては、単層の所定の配線パターンを備える構成を示したが、複数層の所定の配線パターンを備える構成であってもよい。
本発明は、ベースフィルムが金属材料により形成されるフレキシブル回路基板に利用可能である。そして、本発明によれば、部品点数や組立工数の増加を招くことなく、回路パターンや実装される素子などを放熱するとともに、不要輻射を防止できる。
なお、前記実施形態(実施例)においては、TAB用のフレキシブル回路基板を示したが、本発明は、TAB用以外のフレキシブル回路基板以外にも適用できる。また、前記実施形態においては、フレキシブル回路基板を示したが、本発明は、可撓性を有さない回路基板(いわゆるリジッド回路基板)にも適用できる。
1a,1b,1c:本発明の各実施例にかかるフレキシブル回路基板、11a,11b,11c:ベースフィルム、111:スプロケットホール、112:デバイスホール、113:係止片、114:第一の表面、115:第二の表面、116:凹凸、117:酸化膜、12:第一の保護膜、13:接着剤の膜、14:回路パターン、141:ニッケルメッキの膜、142:金メッキの膜、15:第二の保護膜

Claims (13)

  1. 金属材料からなるベースフィルムと、
    電気的な絶縁材料からなり、前記ベースフィルムの一方の表面に形成される第一の保護膜と、
    前記第一の保護膜の表面に設けられる回路パターンと、
    を有し、
    前記ベースフィルムの前記一方の表面とは反対側の他方の表面には、エッチングされた凹部とエッチングされない前記表面からなる複数の凸部を模様とする凹凸形状が形成されること
    を特徴とするフレキシブル回路基板。
  2. 複数の前記凸部が4の長さの径の水玉模様であり、縦横5の長さのピッチで並んで形成されること
    を特徴とする請求項1に記載のフレキシブル回路基板。
  3. 複数の前記凸部が二次元に配列されるように形成され、前記凸部と前記凹部の平面視における面積比が略同じであること
    を特徴とする請求項1または2に記載のフレキシブル回路基板。
  4. 前記金属材料はアルミニウムのフィルムからなり、前記アルミニウムのフィルムの表面にはアルマイト処理膜が形成されること
    を特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のフレキシブル回路基板。
  5. 前記回路パターンは、前記第一の保護膜の表面に積層された絶縁材料からなる接着剤の膜により接着されること
    を特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のフレキシブル回路基板。
  6. 前記第一の保護膜はポリイミド樹脂により形成されること
    を特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のフレキシブル回路基板。
  7. 金属材料により形成されるベースフィルムと、
    電気的な絶縁材料からなり、前記ベースフィルムの一方の表面に形成される第一の保護膜と、
    前記保護膜の表面に形成される回路パターンと、
    を有し、
    前記ベースフィルムには、前記一方の表面とは反対側の他方の表面の側に突起し、前記金属材料を用い前記ベースフィルムから一体的に形成される係止片が、弾性変形可能に設けられるとともに、前記他方の表面にはエッチングされた凹部とエッチングされない前記表面からなる複数の凸部を模様とする凹凸形状が形成されること
    を特徴とするフレキシブル回路基板。
  8. 前記係止片は、前記ベースフィルムに形成された切込みに囲まれた部分が曲げ起こされて形成されたこと
    を特徴とする請求項7に記載のフレキシブル回路基板。
  9. 前記凹凸形状は、前記金属材料により形成されること
    を特徴とする請求項7または8に記載のフレキシブル回路基板。
  10. 前記ベースフィルムの表面には電気的な絶縁性を有する酸化膜がさらに形成され、
    前記第一の保護膜は前記酸化膜の表面に形成され、
    前記回路パターンと前記ベースフィルムとの間には、前記酸化膜および前記第一の保護膜が介在すること
    を特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載のフレキシブル回路基板。
  11. 前記金属材料はアルミニウムからなり、前記酸化膜はアルマイト処理により形成されること
    を特徴とする請求項10に記載のフレキシブル回路基板。
  12. 前記回路パターンは、前記第一の保護膜の表面に積層された絶縁材料からなる接着剤の膜により接着されること
    を特徴とする請求項7から11のいずれか1項に記載のフレキシブル回路基板。
  13. 前記第一の保護膜はポリイミドにより形成されること
    を特徴とする請求項7から12のいずれか1項に記載のフレキシブル回路基板。
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