JP5646947B2 - 分岐変性共役ジエン系重合体の製造方法及び分岐変性共役ジエン系重合体組成物 - Google Patents
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Description
〔1〕
ランタン系列金属化合物を開始剤に用いて、共役ジエン系単量体を重合させ、共役ジエン系重合体を得る工程と、
前記共役ジエン系重合体と、下記式(1)で表されるアミノ基含有化合物とを反応させる工程と、
を有する、分岐変性共役ジエン系重合体の製造方法。
A−(COOR)n (1)
(ここで、Aは、2置換アミノ基、1置換アミノ基又はアミノ基のいずれかであって、1置換アミノ基又はアミノ基の場合はその窒素に結合する水素の全てがトリアルキルシリル基で保護されたアミノ基である、少なくとも1個のアミノ基を置換基として有する炭化水素を含み、分子量が1000以下である有機基を表し、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基を表し、nは3〜10の整数である。)
〔2〕
前記式(1)において、Aは、2置換アミノ基、1置換アミノ基又はアミノ基のいずれかであって、1置換アミノ基又はアミノ基の場合はその窒素に結合する水素の全てがトリアルキルシリル基で保護されたアミノ基である、少なくとも2個のアミノ基を置換基として有する炭化水素を含み、分子量が1000以下である有機基を表す、〔1〕に記載の分岐変性共役ジエン系重合体の製造方法。
〔3〕
〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法により得られる分岐変性共役ジエン系重合体と、
充填剤と、
を含む分岐変性共役ジエン系重合体組成物。
A−(COOR)n (1)
(ここで、Aは、2置換アミノ基、1置換アミノ基又はアミノ基のいずれかであって、1置換アミノ基又はアミノ基の場合はその窒素に結合する水素の全てがトリアルキルシリル基で保護されたアミノ基である、少なくとも1個のアミノ基を置換基として有する炭化水素を含み、分子量が1000以下である有機基を表し、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基を表し、nは3〜10の整数である。)
本実施形態において、共役ジエン系単量体を重合させる開始剤として、ランタン系列金属化合物を用いる。ランタン系列金属化合物を開始剤として用いることにより、高1,4−構造の共役ジエン系重合体を得ることができる。使用するランタン系列金属化合物は、共役ジエン系単量体の重合反応を開始させることができるものであればよく、特に限定されないが、(a)ランタン系列元素の有機化合物、(b)有機アルミニウム化合物、及び(c)ハロゲン含有ルイス酸化合物からなる複合触媒であることが好ましい。この複合触媒存在下に、共役ジエン系単量体を塊状重合もしくは炭化水素溶媒中で溶液重合することができる。
本実施形態の製造方法によって用いることのできる共役ジエン系単量体としては、特に限定されず、例えば、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、ジメチルブタジエン等の炭素数4〜8の範囲の共役ジエン化合物あるいはその混合物が挙げられる。これらの中でも、重合活性及び得られるポリマー有用性の観点から、ブタジエンが好ましい。
共役ジエン化合物等の単量体には、一般にアセチレン類、アレン類、アルデヒド類等の不純物が含まれる場合がある。アセチレン類としては、1−ブチン、ビニルアセチレン等であり、アレン類としては、プロパジエン、1,2−ブタジエン等である。したがって、共役ジエン化合物の重合反応を行う前に、共役ジエン化合物を含む単量体を精製する工程(精製工程)を行うことが好ましい。精製工程において、単量体中に不純物として含まれるアセチレン類及びアレン類を、合計で50ppm以下、好ましくは20ppm以下とすることが好ましい。精製する方法は特に限定されず、例えば、水素化、蒸留等の方法を採用することができる。かかる精製工程によって重合体末端の活性率が一層高くなるとともに、分岐変性反応の収率も一層高くなる。
本実施形態の製造方法は、通常、塊状重合もしくは溶液重合法によって実施される。溶液重合法を用いる場合に使用できる重合溶媒としては、一般にはブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、ベンゼン、トルエン等の沸点が200℃以下の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素又は芳香族炭化水素が好ましい。重合溶媒は、1種単独であってもよいし、2種以上の混合物であってもよい。さらには、メチレンクロライドやクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素や、ケトン化合物や、エーテル化合物や、トリアルキルアミン化合物等の非プロトン性の極性有機溶媒を少量含む混合溶媒を用いることも可能であり、使用する触媒等に応じて溶媒を適宜選択することにより、複合触媒の重合溶媒への溶解性や重合活性を一層向上させることができる。
本実施形態の製造方法における重合温度は、特に限定されず、通常、−30〜150℃であり、好ましくは10〜120℃であり、より好ましくは30〜100℃である。重合温度が高くなると、重合速度や重合率が高くなるが、ミクロ構造はビニル結合が増える傾向である。一方、重合温度が低くなると、重合体末端の活性率が高く、分岐変性反応の収率が高くなる傾向である。
本実施形態の重合工程により得られる共役ジエン系重合体は、1,4−結合が主体であり、ビニル結合(すなわち1,2−結合及び3,4−結合)は少ない共役ジエン系重合体とすることができる。ここでいう1,4−結合が主体とは、1,4−結合が80%以上であることをいい、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上である。すなわち、得られる共役ジエン系重合体のミクロ構造は、好ましくは、1,4−結合は90%以上、ビニル結合は10%以下である。ミクロ構造は開始剤の組成、重合温度等の条件で変化する。ネオジムを含む開始剤を用いる場合、1,4−結合の内、シス結合が多くなる傾向があるので、ネオジムを含む開始剤を用いる場合、得られる共役ジエン系重合体の1,4−結合量は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、更に好ましくは98%以上である。本実施形態において、ミクロ構造は赤外分光光度計を用いて測定される。
本実施形態の製造方法において、上記した重合反応が所定の重合率を達成した後、得られた共役ジエン系重合体と、式(1)で表されるアミノ基含有化合物とを反応させる。この工程により分岐変性共役ジエン系重合体が得られる。式(1)で表されるアミノ基含有化合物は分岐変性剤として用いることができ、共役ジエン系重合体の活性末端と効率よく反応することができるので、共役ジエン系重合体において分岐の形成と官能基の導入を同時に行うことができ、かつ分岐度と導入する官能基による変性率を同時に増加させることができる。
A−(COOR)n
(ここで、Aは、2置換アミノ基、1置換アミノ基又はアミノ基のいずれかであって、1置換アミノ基又はアミノ基の場合はその窒素に結合する水素の全てがトリアルキルシリル基で保護されたアミノ基である、少なくとも1個のアミノ基を置換基として有する炭化水素を含み、分子量が1000以下である有機基を表し、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基を表し、nは3〜10の整数である。)
なお、式(2)において、エステル化されたカルボキシル基の数は3〜10である。
(P−CO)(n-q)−A−(COH−P2)q (4)
(ここで、Aは式(1)と同じ定義であり、Pは共役ジエン系重合体を表し、nは3〜10の整数、qは3〜10の整数である。)
本実施形態の分岐変性共役ジエン系重合体は、脱溶媒工程前において、必要に応じてプロセスオイルを加え、油展重合体としてもよい。プロセスオイルとしては、特に限定されないが、相容性の観点から、アロマ油、ナフテン油、パラフィン油、IP346法による多環芳香族成分が3質量%以下であるアロマ代替油等が好ましい。これらの中でも、多環芳香族成分が3質量%以下であるアロマ代替油を用いることが、環境安全上の観点とオイルブリード防止、さらにウェットグリップ特性の観点から好ましい。アロマ代替油としては、例えば、Kautschuk Gummi Kunststoffe 52(12)799(1999)に示されるTreated Distilled Aromatic Extract(TDAE)、Mildly or Medium Extracted Solvate(MES)等の他、Residual Aromatic Extract(RAE)、Safety or Special Residual Aromatic Extract(SRAE)等が挙げられる。これらの伸展油の使用量は、特に限定されず、通常は、分岐状共役ジエン系重合体100質量部に対し、10〜60質量部であり、20〜37.5質量部であることが好ましい。
本実施形態の分岐変性共役ジエン系重合体は、必要により重合停止剤、安定剤を反応系に加え、共役ジエン系重合体の製造で用いられる公知の脱溶媒、乾燥操作、例えば、スチームストリッピングによる脱溶媒、スクリュー押出機式絞り脱水機等の圧縮水絞機、エキスパンダー脱水機、熱風乾燥機等の方法、フラッシングタンクで濃縮し、さらにベント押し出し機等で脱揮する方法、ドラムドライヤー等で直接脱揮する方法等により重合体を回収できる。重合停止剤は、水もしくはプロトン性の極性有機化合物等から選ぶことができる。後者の例としては、各種のアルコール、フェノール、カルボン酸化合物を挙げることができる。また安定剤は公知の共役ジエン系重合体の安定剤,酸化防止剤から選ぶことができる。これらの特に好ましい例としては2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス(n−オクチルチオメチル)−6−メチルフェノール、N,N’−ジアルキルジフェニルアミン、N−アルキルジフェニルアミン等が挙げられる。得られる重合体は通常、ベールに成形される。
本実施形態の分岐変性共役ジエン系重合体は、一般に、ゴム工業で通常用いられる方法で加工されゴム製品として使用される。この場合、本実施形態で得られる分岐変性共役ジエン系重合体と、充填剤とを含む分岐変性共役ジエン系重合体組成物とすることが好ましい。充填剤だけでなく、必要に応じて他のゴム材料とブレンドし、シランカップリング剤、ゴム用軟化剤、加硫剤、加硫助剤、その他の添加剤を加えて加工することができる。配合に際しては、バンバリーミキサー、ロールミル等の種々の機械的混合機が用いられ、本実施形態の分岐変性共役ジエン系重合体は配合時のトルクが小さく、しかも混練り時間が短くても充填剤の分散がよいという利点を有する。さらに、配合生地のタックも優れており、ゴム製品の加工に好適である。
ブレンド可能な他のゴム材料としては、特に限定されず、例えば、天然ゴムや合成ゴムが挙げられる。合成ゴムとしては、例えば、ローシスポリブタジエン、VCR(ビニル・シス・ブタジエンゴム)、SBR(スチレンブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ブチルゴム、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)等が挙げられる。
充填剤としては、特に限定されず、有機又は無機の充填剤が用いられる。有機充填剤としては、例えば、カーボンブラック、合成樹脂系補強性粒子等が挙げられる。無機充填剤としては、例えば、沈降性シリカ、ヒュームドシリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレイ、タルク、マイカ、珪藻土、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、ガラス繊維等の無機繊維状物質等が挙げられる。これらの中でも、補強性の観点から、カーボンブラック、沈降性シリカが好ましく用いられる。カーボンブラックとしては、通常、ゴム組成物に用いられる各種のものが用いられるが、特にファーネスブラックが好ましく、例えば、SAF、ISAF、ISAF−HS、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF、HAF−HS、HAF−LS、FEF等が挙げられる。沈降性シリカとしては、窒素吸着比表面積(BET法)が50〜400m2/gのものが好ましく、より好ましくは100〜250m2/gである。また、沈降性シリカのpHは一般に5.5〜7、好適には約5.5〜約6.8である。これらの補強剤は、要求性能に合わせて任意に選択できる。また、必要に応じ混合して用いることができる。
シランカップリング剤は、上述したゴム成分と無機充填剤との相互作用を緊密にする機能を有しており、ゴム成分及び無機充填剤のそれぞれに対する親和性又は結合性の基を有する化合物である。シランカップリング剤としては、一般的に、硫黄結合部分とアルコキシシリル基、シラノール基部分を一分子中に有する化合物が用いられる。使用できるシランカップリング剤は、特に限定されず、例えば、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−テトラスルフィド、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−ジスルフィド、ビス−[2−(トリエトキシシリル)−エチル]−テトラスルフィド等が挙げられる。シランカップリング剤の添加量は特に限定されないが、効果と経済性の観点から、無機充填剤100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることが好ましい。
ゴム用軟化剤としては、鉱物油又は液状若しくは低分子量の合成あるいは植物性の軟化剤が好適に用いられる。ゴム用軟化剤の添加量は特に限定されないが、相容性と環境安全上の観点から、アロマ油、ナフテン油、パラフィン油、IP346法による多環芳香族成分が3質量%以下であるアロマ代替油等であることが好ましい。
加硫剤としては、ラジカル開始剤、硫黄、硫黄化合物等が用いられる。硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等が挙げられる。硫黄化合物としては、一塩化硫黄、二塩化硫黄、有機ポリサルファイド等が挙げられる。加硫助剤としては、亜鉛華、ステアリン酸等が用いられる。加硫促進剤としては、公知の各種の加硫促進剤が用いられ、グアニジン系、チオウレア系、チアゾール系、チウラム系、スルフェンアミド系等が用いられる。
老化防止剤としては、例えば、p−フェニレンジアミン系、ナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、キノリン系、フェノール系等が挙げられる。
本実施形態の分岐変性共役ジエン系重合体は、配合、加硫して種々のゴム製品の製造に供される。特に、タイヤ用の原料ゴムとして最適に使われ、トレッドでは耐摩耗性、低温での柔軟性に優れ、カーカスでは低発熱性、耐屈曲亀裂性に優れる性能で好ましく用いられる。また、各種工業用品、靴底等の製造に用いられる。
(1)1,4−シス含有量
赤外分光光度計を用いて測定し、モレロ法にてデータ処理して求めた。
JIS K6300−1に従い、L型ローターを用い、予熱を1分間行い、その4分後の粘度を測定した。なお、測定温度は、100℃で行った。
ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラム3本連結して用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用してクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用した検量線により得られる保持容量と分子量の関係から、常法に従い、各分子量範囲の全ピーク面積に対する頻度を算出し、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布を計算した。
溶離液はテトラヒドロフラン(THF)を使用した。
カラムは、ガードカラム;東ソー TSK guard column HHR−H、カラム;東ソーTSK−Super H 7000、TSK−Super H 6000、TSK−Super H 5000、オーブン温度:40℃、THF流量0.6mL/分、東ソー製:HLC−8020、検出器;RIを使用した。
測定用試料は、10mgを20mLのTHFに溶解したものを用い、20μL注入して測定した。
GPCによるクロマトグラムからデータ解析を行い、低分子量側のピークとカップリングによって生成した高分子側のピークをその中間の谷で分離して、そのピーク面積を定量することにより、ポリマー中に含まれるカップリングポリマーの質量含率を示す。
シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに、変性した成分が吸着する特性を応用し、試料及び低分子量内部標準ポリスチレン分子量5000(ポリスチレンは吸着しない)を含む試料溶液を用い、上記(5)のポリスチレン系ゲル(東ソー製:TSK)のGPC(東ソー製:HLC−8020)と、シリカ系カラム(ガードカラム;DIOL 4.6×12.5mm 5micron、カラム;Zorbax PSM−1000S、PSM−300S、PSM−60S、オーブン温度:40℃、THF流量0.5mL/分)のGPC(東ソー製:CCP8020シリーズ ビルドアップ型GPCシステム;AS−8020、SD−8022、CCPS、CO−8020、RI−8021)の両クロマトグラムを測定し、内部標準ポリスチレンピークを基準として、それらの差分より、シリカカラムへの吸着量を測定し、カップリング反応率を求めた。
測定用試料としては、共通して、測定対象10mgを、標準ポリスチレン5mgとともに20mLのTHFに溶解したものを用い、200μL注入して測定を行った。
具体的には、ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピークの面積の全体を100として、サンプルピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2とし、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、サンプルピーク面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、それぞれ求め、カップリング反応率は、下記式により算出した。
カップリング反応率(%)=〔1−(P2×P3)/(P1×P4)〕×100
1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの0.5モル濃度トルエン溶液1リットルにブロモ酢酸エチルを1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンに対して5倍モルを攪拌下に氷水浴中で滴下し、その後、炭酸カリウムの2モル濃度水溶液を0.5リットル滴下し、更に2日間水浴で反応させた。有機相を氷冷水で洗浄し、3N塩酸0.4リットルを加えてアンモニウム塩として水相へ移し、水相を酢酸エチルで洗浄した。その後、ヘキサン0.6リットル、水酸化ナトリウム水溶液及び炭酸ナトリウムを加え、炭酸ガスの泡が出ないことを確認して、有機相を取り出し、冷水で洗浄し、更に食塩水で塩析した後、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。その後、有機相をエバポレータで減圧乾燥して、N,N,N’,N’−テトラキスカルボキシメチル−1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのテトラエチルエステルを調製し、分岐変性剤として用いた。得られた分岐変性剤の構造は、1H−NMRによって確認した。また、ガスクロマトグラフィーで純度を確認したところ99%であった。なお、ガスクロマトグラフィーは、カラム:ULTRA1(Agilent Technologies社製)、キャリアとしてヘリウムを用い、オーブン温度を200℃から300℃へ昇温して測定した。GPCによる分岐変性剤の分子量は約550であった。
十分に乾燥した300ミリリットル耐圧ミニボンベの内部を乾燥窒素で十分に置換した。そこに、1,3−ブタジエン20gを含む20質量%のシクロヘキサン溶液、及び、予めイソステアリン酸(和光純薬工業社製、2−(1,3,3−トリメチルブチル)−5,7,7−トリメチルオクタン酸)のナトリウム塩と塩化ネオジムを反応させて得られたイソステアリン酸ネオジム2.7ミリモルを含む30質量%のシクロヘキサン溶液を挿入して、室温で5分間振とうした。続いて、ジイソブチルアルミニウムハイドライド22.5ミリモルを含む1モル濃度のヘキサン溶液を更に加えて振とうした後、5分間静置した。そして、エチルアルミニウムセスキクロライドの1モル濃度のヘキサン溶液をCl/Nd=3の元素比になるように加えて振とうした後、20分間静置することで開始剤を調製した。
ビス(6−メチルヘキシル)アミン1モルに対し、トリメチルクロロシラン1.5モルを、温度上昇に注意しながら、反応させ、5モルのブロモ酢酸エチルを更に反応させて、製造例1と同様に注意深く精製処理を行うことによって、N,N,N’,N’−テトラキスカルボキシメチル−N’’−トリメチルシリル−ビス(6−アミノヘキシル)アミンのテトラメチルエステル、N,N,N’,N’’−テトラキスカルボキシメチル−N’−トリメチルシリル−ビス(6−アミノヘキシル)アミンのテトラメチルエステルの混合物を調製し、分岐変性剤として用いた。得られた分岐変性剤の構造は、1H−NMRによって確認した。また、ガスクロマトグラフィーで純度を確認したところ、95%であった。GPCによる分岐変性剤の分子量は約580であった。
イソステアリン酸ネオジム2.2ミリモル、ジイソブチルアルミニウムハイドライド18ミリモルとし、変性剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名KBM−403)11ミリモルを用い、他は実施例1と同様におこなった。得られた重合体Cの測定結果を表1に示す。
ネオジム開始剤を用いた市販のハイシスゴムであるLanxess社製Buna CB24を重合体Dとして用いた。
下記の割合で原材料を配合し、槽温度130℃に設定して、モリヤマ社製、加圧型ニーダーD0.3−3型を用いて、第一段混練りとして、原料ゴム、オイル、シリカ、シランカップリング剤の順に投入して4分間混練りした。その後、約160℃でダンプアウトし、ロール通しして冷却後、第二段混練りとして、硫黄と加硫促進剤を除く他の原材料を追加して3分間混練りした。そして、約160℃でダンプアウトし、ロール通しした。この際の、ストックの纏まり、ロールの肌、エッジを目視で評価し、加工性を比較した。ストックの纏まりは塊で出てくるものを良とし、ロールの肌は滑らかで光沢があるものを良とし、エッジはスムーズなものを良とした。冷却後、ロールを用いて、70℃で硫黄及び加硫促進剤を加えた。加硫は170℃、12分間の条件で行った。得られた加硫ゴムの性能を評価した結果を表2に示す。
配合
共役ジエン系重合体 :70質量部
SBR(旭化成ケミカルズ社製アサプレンE15) :30質量部
シリカ(エボニックデグサ社製ウルトラジルVN3) :75質量部
シランカップリング剤 Si75(エボニックデグサ社製) :6質量部
カーボンブラックN550(キャボットジャパン社製) :5質量部
SRAEオイル(JOMO社製NC140) :20質量部
ワックス(大内新興化学工業社製サンノックN) :1.5質量部
老化防止剤(大内新興化学工業社製ノクラック6C) :2質量部
ステアリン酸(花王社製ルナックS−90) :2質量部
亜鉛華(堺化学社製) :2.5質量部
硫黄(細井化学社製) :1.7質量部
加硫促進剤CZ(大内新興化学工業社製ノクセラーCZ−G):1.7質量部
加硫促進剤D(大内新興化学工業社製ノクセラーDP) :1.7質量部
上述した加硫前のゴム配合物のムーニー粘度を、ムーニー粘度計を使用し、JIS K6300−1により、L型ローターを用い、100℃で、予熱を1分間行った後に、毎分2回転で回転させ、4分後の粘度を測定した。ムーニー粘度が小さい値(75以下)であると、混練時に消費エネルギーが小さく加工性が良好であると判断した。
TAインスツルメント社製のARES粘弾性試験機を使用し、ねじり方式によって、周波数10Hz、各測定温度(0℃及び50℃)で歪を変化させて、tanδを測定した。
なお、低温(0℃)、ひずみ1%で測定したtanδ(損失正接)の高いものほど、ウェットスキッド抵抗性、すなわちグリップ性能が優れ、高温(50℃)、ひずみ3%で測定したtanδ(損失正接)の低いものほどヒステリシスロスが少なく、タイヤの低転がり抵抗性、すなわち省燃費性に優れているものと判断した。
また、50℃での歪が小さい場合(0.1%)のG’と歪が大きい場合(10%)のG’の差ΔG’をもって、フィラーの分散性を評価した。ΔG’’が小さいほどフィラーの分散性が良いと判断した。
耐摩耗性は、安田精機製作所製アクロンゴム摩耗試験機を使用し、JIS K6264−2に従い、試験方法A、荷重44.1N、3000回転の摩耗量を測定した。比較例2を100とする指数で評価した。指数が高いほど摩耗量が少なく良好であると判断した。
Claims (2)
- ランタン系列金属化合物を開始剤に用いて、共役ジエン系単量体を重合させ、共役ジエン系重合体を得る工程と、
前記共役ジエン系重合体と、下記式(2)で表されるアミノ基含有化合物とを反応させる工程と、
を有する、分岐変性共役ジエン系重合体の製造方法。
- 請求項1に記載の製造方法により得られる分岐変性共役ジエン系重合体と、
充填剤と、
を含む分岐変性共役ジエン系重合体組成物。
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