JP5646947B2 - 分岐変性共役ジエン系重合体の製造方法及び分岐変性共役ジエン系重合体組成物 - Google Patents

分岐変性共役ジエン系重合体の製造方法及び分岐変性共役ジエン系重合体組成物 Download PDF

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Description

本発明は、分岐変性共役ジエン系重合体の製造方法及び分岐変性共役ジエン系重合体組成物に関する。
共役ジエン系重合体は、さまざまな分野で原料ゴムとして用いられている。例えば、タイヤ用としては、トレッドでは耐摩耗性、低温での柔軟性に優れ、カーカスでは低発熱性、耐屈曲亀裂性に優れる性能を有するので広く用いられている。共役ジエン系単量体を用いて高1,4−構造の共役ジエン系重合体を得るために、ランタン系列金属の化合物を開始剤に用いる重合技術が知られている。しかしながら、ランタン系列金属の化合物を開始剤に用いて得られる共役ジエン系重合体は、直鎖状の重合体が得られるため混練り加工に際してトルクが大きくかかり、加工しにくいという問題がある。したがって、より多分岐の重合体として加工性を改善しようとする試みがなされている(例えば、特許文献1〜4)。
特開平5−51406号公報 特開平5−59103号公報 特表2003−514078号公報 特表2004−513987号公報
しかしながら、特許文献1〜4をはじめとする従来の技術では、変性共役ジエン系重合体の分岐度と変性率を十分に高くすることはできず、改善の余地がある。例えば、ランタン系列金属の化合物を開始剤に用いて共役ジエン系単量体を重合させ、続いて、共役ジエン系重合体の活性末端を利用して、分岐の形成と官能基の導入をそれぞれ行う場合、分岐を増やそうとすると官能基による変性率が低くなり、また、官能基による変性率を増やそうとすると分岐が少なくなるといった問題がある。また、ランタン系列金属の化合物を開始剤に用いて共役ジエン系単量体を重合した場合、重合体末端の反応性が十分でないので変性率が低くなり、変性率を高くしようとすれば反応性の高い化合物を変性剤として選択する必要があり制限を受ける。また、かかる変性剤を選択したとしても、分岐度と変性率の両方を十分に高くすることは困難である。
本発明は、上記事情を鑑みなされたものであり、分岐の形成と官能基の導入を同時に行うことができ、かつ高分岐度と高変性率を達成することができる、分岐変性共役ジエン系重合体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定構造のアミノ基含有化合物を変性化合物として用いることで、高1,4−構造の変性共役ジエン系重合体であって、分岐の形成と官能基の導入を同時に行い、しかも、分岐度と官能基による変性率を同時に増加させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
ランタン系列金属化合物を開始剤に用いて、共役ジエン系単量体を重合させ、共役ジエン系重合体を得る工程と、
前記共役ジエン系重合体と、下記式(1)で表されるアミノ基含有化合物とを反応させる工程と、
を有する、分岐変性共役ジエン系重合体の製造方法。

A−(COOR)n (1)

(ここで、Aは、2置換アミノ基、1置換アミノ基又はアミノ基のいずれかであって、1置換アミノ基又はアミノ基の場合はその窒素に結合する水素の全てがトリアルキルシリル基で保護されたアミノ基である、少なくとも1個のアミノ基を置換基として有する炭化水素を含み、分子量が1000以下である有機基を表し、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基を表し、nは3〜10の整数である。)
〔2〕
前記式(1)において、Aは、2置換アミノ基、1置換アミノ基又はアミノ基のいずれかであって、1置換アミノ基又はアミノ基の場合はその窒素に結合する水素の全てがトリアルキルシリル基で保護されたアミノ基である、少なくとも2個のアミノ基を置換基として有する炭化水素を含み、分子量が1000以下である有機基を表す、〔1〕に記載の分岐変性共役ジエン系重合体の製造方法。
〔3〕
〔1〕又は〔2〕に記載の製造方法により得られる分岐変性共役ジエン系重合体と、
充填剤と、
を含む分岐変性共役ジエン系重合体組成物。
本発明によれば、分岐の形成と官能基の導入を同時に行うことができ、かつ高分岐度と高変性率を達成できる、分岐変性共役ジエン系重合体の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態の分岐変性共役ジエン系重合体の製造方法は、ランタン系列金属化合物を開始剤に用いて、共役ジエン系単量体を重合させ、共役ジエン系重合体を得る工程と、前記共役ジエン系重合体と、下記式(1)で表されるアミノ基含有化合物とを反応させる工程と、を有する。

A−(COOR)n (1)

(ここで、Aは、2置換アミノ基、1置換アミノ基又はアミノ基のいずれかであって、1置換アミノ基又はアミノ基の場合はその窒素に結合する水素の全てがトリアルキルシリル基で保護されたアミノ基である、少なくとも1個のアミノ基を置換基として有する炭化水素を含み、分子量が1000以下である有機基を表し、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基を表し、nは3〜10の整数である。)
ランタン系列金属化合物を開始剤として用い、式(1)で表されるアミノ基含有化合物を分岐変性剤として用いることにより、高1,4−構造の共役ジエン系重合体に対して分岐の形成と官能基の導入を同時に行うことが可能となり、分岐度が高く、かつ官能基導入による変性率も高い分岐変性共役ジエン系重合体を簡便に製造することができる。
(開始剤)
本実施形態において、共役ジエン系単量体を重合させる開始剤として、ランタン系列金属化合物を用いる。ランタン系列金属化合物を開始剤として用いることにより、高1,4−構造の共役ジエン系重合体を得ることができる。使用するランタン系列金属化合物は、共役ジエン系単量体の重合反応を開始させることができるものであればよく、特に限定されないが、(a)ランタン系列元素の有機化合物、(b)有機アルミニウム化合物、及び(c)ハロゲン含有ルイス酸化合物からなる複合触媒であることが好ましい。この複合触媒存在下に、共役ジエン系単量体を塊状重合もしくは炭化水素溶媒中で溶液重合することができる。
(a)ランタン系列元素の有機化合物としては、式LnY3で表される化合物が挙げられる。ここでLnはランタン系列元素を表し、具体的には原子番号が57〜71の周期律表のランタン系列元素であって、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロジウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム及びルテチウムが挙げられる。これらの中でも、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム及びガドリニウムが重合活性の観点から好ましく、ネオジムが、重合活性及び工業的入手のし易さのバランスの観点からより好ましい。また、Yは酸の残基を表し、アルコール、フェノール、チオアルコール、チオフェノール、アミン、カルボン酸、有機リン酸、有機亜リン酸の塩であることが有機溶剤への溶解性の観点から好ましい。これらのランタン系列元素の有機化合物は、1種単独であってもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
(a)ランタン系列元素のアルコール化合物(アルコキサイド及びフェノキサイド)としては、例えば、式Ln−(OR13で表される化合物が挙げられる。ここで、R1は、炭化水素基を表し、取り扱いの容易性の観点から、好ましくは炭素数1〜40の範囲のアルキル基、アルケニル基、アルキルもしくはアルケニル置換フェニル基、又はアルキルもしくはアルケニル置換ナフチル基である。アルキル基又はアルケニル基は、直鎖状、分岐状もしくは環状であってもよい。好ましいアルコール及びフェノールの具体例としては、2−エチル−ヘキシルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、ノニルフェノール、ベンジンアルコール等が挙げられる。
(a)ランタン系列元素のチオアルコール化合物(チオアルコキサイド及びチオフェノキサイド)としては、例えば、式Ln(SR23で表される化合物が挙げられる。ここで、R2は、炭化水素基を表し、取り扱いの容易性の観点から、好ましくは炭素数1〜40の範囲のアルキル基、アルケニル基、アルキルもしくはアルケニル置換フェニル基、又はアルキルもしくはアルケニル置換ナフチル基である。アルキル基又はアルケニル基は、直鎖状、分岐状もしくは環状であってもよい。
(a)ランタン系列元素のアミン化合物としては、例えば、式Ln(NR3 23で表される化合物が挙げられる。ここで、R3は、炭化水素基を表し、取り扱いの容易性の観点から、好ましくは炭素数1〜40の範囲のアルキル基、アルケニル基、アルキルもしくはアルケニル置換フェニル基、又はアルキルもしくはアルケニル置換ナフチル基である。アルキル基又はアルケニル基は、直鎖状、分岐状もしくは環状であってもよい。
(a)ランタン系列元素のカルボン酸化合物としては、例えば、式Ln(OCOR43で表される化合物が挙げられる。ここで、R4は、炭化水素基を表し、取り扱いの容易性の観点から、好ましくは1〜40の範囲のアルキル基、アルケニル基、アルキルもしくはアルケニル置換フェニル基、又はアルキルもしくはアルケニル置換ナフチル基である。アルキル基又はアルケニル基は、直鎖状、分岐状もしくは環状であってもよい。カルボキシル基は、炭化水素に対して、第1級、第2級及び第3級のいずれの結合であってもよい。好ましいカルボン酸の具体例としてはオクタン酸、2−エチル−ヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸(2−(1,3,3−トリメチルブチル)−5,7,7−トリメチルオクタン酸)、安息香酸、ナフテン酸、炭素数10を中心とするバーサチック酸(例えば、シェル化学の商品名バーサチック酸10)が挙げられる。溶解性の観点からα位に分岐のあるカルボン酸が好ましく、具体例としては2−エチル−ヘキサン酸、イソステアリン酸、2−イソプロピル−5−メチルヘキサン酸、バーサチック酸が挙げられる。
(a)ランタン系列元素の有機リン酸化合物としては、例えば、式Ln(OPOR563で表される化合物が挙げられる。ここで、R5、R6は、炭化水素基を表し、同一又は異なっていてもよく、取り扱いの容易性の観点から、好ましくは1〜40の範囲のアルキル基、アルケニル基、アルキルもしくはアルケニル置換フェニル基、又はアルキルもしくはアルケニル置換ナフチル基である。アルキル基又はアルケニル基は直鎖状、分岐状もしくは環状であってもよい。好ましい有機リン酸化合物の具体例として、トリス(リン酸ジ−2−エチルヘキシル)、トリス(リン酸ジノニルフェニル)が挙げられる。
(a)ランタン系列元素の有機亜リン酸化合物としては、例えば、式Ln(OPR783で表される化合物が挙げられる。ここで、R7、R8は、炭化水素基を表し、同一又は異なっていてもよく、取り扱いの容易性の観点から、好ましくは炭素数1〜40のアルキル基、アルケニル基、アルキルもしくはアルケニル置換フェニル基、又はアルキルもしくはアルケニル置換ナフチル基である。アルキル基又はアルケニル基は、直鎖状、分岐状もしくは環状であってもよい。好ましい有機亜リン酸化合物の具体例として、トリス(亜リン酸ジ−2−エチルヘキシル)、トリス(亜リン酸ジノニルフェニル)が挙げられる。
上記した(a)ランタン系列元素の有機化合物の中では、有機溶剤への溶解性の観点から、カルボン酸化合物及び有機リン酸化合物が好ましく、カルボン酸化合物がより好ましい。また、ランタン系列元素の有機化合物としては、カルボン酸化合物と有機リン酸化合物との複合塩構造のものであってもよい。
(b)有機アルミニウム化合物としては、特に限定されないが、重合活性の観点から好ましくは式AlR9 (3-m)mで表される化合物である。ここで、R9は炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜8の範囲の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基、又は炭素数6〜20を表し、より好ましくは6〜12の範囲のアルキルもしくはアルケニル置換芳香族炭化水素基である。mは0、1又は2であり、好ましくは0又は1であり、Hは水素原子を表す。また、アルモキサン化合物(炭素とアルミニウムの直接結合を有し、酸素とアルミニウムの直接結合も持つ化合物)であってもよい。
好ましい有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリシクロヘキシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムジハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、エチルアルミニウムジハイドライド、イソブチルアルミニウムジハイドライド、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、ブチルアルモキサン、ヘキシルアルモキサン、オクチルアルモキサン等が挙げられ、特に好ましい例としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、ブチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、t−ブチルアルモキサン、ヘキシルアルモキサン、オクチルアルモキサンが挙げられる。これらは1種単独であってもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
(c)ハロゲン元素含有ルイス酸化合物としては、周期律表のIIIb、IVb又はVbに属する元素のハロゲン化合物が挙げられ、重合活性の観点から、好ましくはアルミニウム元素のハロゲン化物ないしは有機金属ハロゲン化物が挙げられる。ハロゲン元素としては、重合活性の観点から塩素又は臭素が好ましい。これらの化合物の例としては、メチルアルミニウムジブロマイド、メチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムジブロマイド、エチルアルミニウムジクロライド、ブチルアルミニウムジブロマイド、ブチルアルミニウムジクロライド、ジメチルアルミニウムブロマイド、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジブチルアルミニウムブロマイド、ジブチルアルミニウムクロライド、メチルアルミニウムセスキブロマイド、メチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムセスキブロマイド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジブチル錫ジクロライド、アルミニウムトリブロマイド、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、三塩化リン、五塩化リン及び四塩化錫が挙げられ、これらの中でも、入手の容易さの観点からジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド、エチルアルミニウムセスキブロマイド及びエチルアルミニウムジブロマイドが好ましい。
本実施形態の製造方法において使用される複合触媒の各成分量や組成比は、特に限定されず、その目的によって適宜選択することができる。共役ジエン系単量体100gに対する成分(a)の使用量は、通常、0.01〜5ミリモルであり、好ましくは0.05〜1ミリモルの範囲である。共役ジエン系単量体100gに対する成分(b)の使用量は、通常、0.1〜50ミリモルであり、好ましくは0.5〜10ミリモルの範囲である。共役ジエン系単量体100gに対する成分(c)の使用量は、その分子中に含まれるハロゲン原子数で異なるものとなり、ランタン系列元素(Ln)1モルに対するハロゲン原子数で表し、通常、ハロゲン原子/Ln=1〜6、好ましくは2〜4の範囲である。
(単量体)
本実施形態の製造方法によって用いることのできる共役ジエン系単量体としては、特に限定されず、例えば、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、ジメチルブタジエン等の炭素数4〜8の範囲の共役ジエン化合物あるいはその混合物が挙げられる。これらの中でも、重合活性及び得られるポリマー有用性の観点から、ブタジエンが好ましい。
本実施形態では、上記した共役ジエン系単量体と、それ以外の他の単量体とを共重合させた共役ジエン系共重合体とすることもできる。共役ジエン系単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、スチレン等のビニル芳香族化合物等が挙げられる。共役ジエン系単量体と他の単量体との配合量比は、特に限定されないが、得られるポリマーの有用性の観点から、共役ジエン系単量体が50〜100質量%であることが好ましい。
(単量体中の不純物)
共役ジエン化合物等の単量体には、一般にアセチレン類、アレン類、アルデヒド類等の不純物が含まれる場合がある。アセチレン類としては、1−ブチン、ビニルアセチレン等であり、アレン類としては、プロパジエン、1,2−ブタジエン等である。したがって、共役ジエン化合物の重合反応を行う前に、共役ジエン化合物を含む単量体を精製する工程(精製工程)を行うことが好ましい。精製工程において、単量体中に不純物として含まれるアセチレン類及びアレン類を、合計で50ppm以下、好ましくは20ppm以下とすることが好ましい。精製する方法は特に限定されず、例えば、水素化、蒸留等の方法を採用することができる。かかる精製工程によって重合体末端の活性率が一層高くなるとともに、分岐変性反応の収率も一層高くなる。
(溶媒)
本実施形態の製造方法は、通常、塊状重合もしくは溶液重合法によって実施される。溶液重合法を用いる場合に使用できる重合溶媒としては、一般にはブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、ベンゼン、トルエン等の沸点が200℃以下の直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素又は芳香族炭化水素が好ましい。重合溶媒は、1種単独であってもよいし、2種以上の混合物であってもよい。さらには、メチレンクロライドやクロルベンゼン等のハロゲン化炭化水素や、ケトン化合物や、エーテル化合物や、トリアルキルアミン化合物等の非プロトン性の極性有機溶媒を少量含む混合溶媒を用いることも可能であり、使用する触媒等に応じて溶媒を適宜選択することにより、複合触媒の重合溶媒への溶解性や重合活性を一層向上させることができる。
(重合条件、温度)
本実施形態の製造方法における重合温度は、特に限定されず、通常、−30〜150℃であり、好ましくは10〜120℃であり、より好ましくは30〜100℃である。重合温度が高くなると、重合速度や重合率が高くなるが、ミクロ構造はビニル結合が増える傾向である。一方、重合温度が低くなると、重合体末端の活性率が高く、分岐変性反応の収率が高くなる傾向である。
重合反応形式は、特に限定されず、回分法あるいは連続法のいずれにおいても利用できる。また、重合に先立って、共役ジエン系単量体の共存下あるいは非共存下に、触媒成分の一部の組合せ、あるいは全てを予備反応あるいは熱成反応させることも本実施形態の製造方法においては可能である。
(ミクロ構造)
本実施形態の重合工程により得られる共役ジエン系重合体は、1,4−結合が主体であり、ビニル結合(すなわち1,2−結合及び3,4−結合)は少ない共役ジエン系重合体とすることができる。ここでいう1,4−結合が主体とは、1,4−結合が80%以上であることをいい、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上である。すなわち、得られる共役ジエン系重合体のミクロ構造は、好ましくは、1,4−結合は90%以上、ビニル結合は10%以下である。ミクロ構造は開始剤の組成、重合温度等の条件で変化する。ネオジムを含む開始剤を用いる場合、1,4−結合の内、シス結合が多くなる傾向があるので、ネオジムを含む開始剤を用いる場合、得られる共役ジエン系重合体の1,4−結合量は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、更に好ましくは98%以上である。本実施形態において、ミクロ構造は赤外分光光度計を用いて測定される。
共役ジエン系単量体の重合反応は、所定の重合率を達成した後、上記した分岐剤以外の他の分岐剤や失活剤を、重合体の一部と反応させる等の後処理を行うこともできる。
(分岐変性剤)
本実施形態の製造方法において、上記した重合反応が所定の重合率を達成した後、得られた共役ジエン系重合体と、式(1)で表されるアミノ基含有化合物とを反応させる。この工程により分岐変性共役ジエン系重合体が得られる。式(1)で表されるアミノ基含有化合物は分岐変性剤として用いることができ、共役ジエン系重合体の活性末端と効率よく反応することができるので、共役ジエン系重合体において分岐の形成と官能基の導入を同時に行うことができ、かつ分岐度と導入する官能基による変性率を同時に増加させることができる。

A−(COOR)n

(ここで、Aは、2置換アミノ基、1置換アミノ基又はアミノ基のいずれかであって、1置換アミノ基又はアミノ基の場合はその窒素に結合する水素の全てがトリアルキルシリル基で保護されたアミノ基である、少なくとも1個のアミノ基を置換基として有する炭化水素を含み、分子量が1000以下である有機基を表し、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基を表し、nは3〜10の整数である。)
また、上記式(1)において、Aは、2置換アミノ基、1置換アミノ基又はアミノ基のいずれかであって、1置換アミノ基又はアミノ基の場合はその窒素に結合する水素の全てがトリアルキルシリル基で保護されたアミノ基である、少なくとも2個のアミノ基を置換基として有する炭化水素を含み、分子量が1000以下である有機基である化合物を用いることが好ましい。上記置換基を2個以上有する化合物を用いることにより、分岐度と変性率が一層高い共役ジエン系重合体を効率よく得ることができ、さらに得られた共役ジエン系重合体は加工性に優れる。
ここで、「2置換アミノ基」とは、第二アミンから水素を除去した1価の官能基であり、「1置換アミノ基」とは、第一アミンから水素を除去した1価の官能基であり、「アミノ基」とは、アンモニア(NH3)から水素を除去した1価の官能基(−NH2)をいう。
従来では、開始剤としてランタン系列金属化合物を用いた場合、得られた重合体末端の活性が低いため、分岐度や変性率が低いといった問題があったが、意外にも、上記のアミノ基含有化合物を分岐変性剤として用いることにより、高分岐度かつ高変性率の分岐変性共役ジエン系重合体を簡便に得ることができることを本発明者らは見出した。
式(1)で表されるアミノ基含有化合物は、アミノ基含有の3個以上のカルボン酸を有する化合物のカルボキシル基を全てエステルとしたものである。これにより、重合体末端の活性点とエステルが高い反応性を有し、重合体とエステル基のカルボニル炭素とが効率的に結合する。
本実施形態の分岐変性剤である式(1)で表されるアミノ基含有化合物は、例えば、朝倉書店版、大有機化学5、第276頁に記載の方法で、窒素原子に結合した活性水素が3個以上の第一又は第二アミンに活性水素の個数に対応するハロゲンを含むα位又はβ位ハロゲン化カルボン酸又はそのエステルを反応させることによって、活性水素が全て置換されたアミノ基とα位又はβ位が窒素に結合したカルボン酸のエステルを含む化合物を得ることができ;また、日本化学会編、第4版実験化学講座24、有機合成VI、第158頁に記載の方法を用いて、窒素原子に結合した活性水素基が4個以上のアミノ基又は1置換アミノ基を有する炭化水素系化合物に活性水素の個数に対応するハロゲンを含むハロゲン化トリアルキルシラン及びα位又はβ位ハロゲン化カルボン酸のエステルを段階的に反応させることによって、活性水素が全て置換されたアミノ基とα位又はβ位が窒素に結合したカルボン酸のエステル3個以上と窒素に結合したトリアルキルシリル基1個以上を含む化合物を得ることができる。
上記した窒素原子に結合した活性水素が3個以上の第一又は第二アミンとしては、炭化水素の間にエーテル、2置換アミン、珪素、チオエーテルがあってもよい。これらアミン化合物としては、一般式では、H2NR10NH2、H2NR10NHR10NH2、H2NR10NHR10NHR10NH2、H2NR10NR1110NH2、(H2N)312、(H2N)413、R11NHR10NHR10NHR11、R11NHR10NHR10NHR10NHR11、H2NR10OR10NH2、(H2NR103N、(H2NR104Si、(H2NR103SiR11等であり、R10、R11、R12、R13はそれぞれ、炭化水素基である。炭化水素基としては、直鎖、分岐、環状の飽和、不飽和、芳香族の炭化水素基であって、それぞれが同じでも異なっていてもよい。ここでハロゲン化カルボン酸のエステルとして好ましくは、α又はβ−ハロゲン化カルボン酸のエステルであり、例えば、ブロム酢酸エチル、ブロム酢酸メチル、クロル酢酸エチル、α−ブロムプロピオン酸メチル、β−ブロムプロピオン酸エチル等である。
本実施形態の分岐変性剤は、より好ましくは下記式(2)で表される化合物である。
Figure 0005646947
(ここで、R’、R’’は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、又は活性水素基を有しない酸素、窒素、珪素、硫黄から選ばれる1種もしくは2種以上の元素を含む炭素数2〜20の有機基を表し、mは0又は1以上の整数である。B、C、D、Eは、それぞれ独立して、エステル化されたカルボキシル基を有する炭化水素基、トリアルキルシリル基、又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、Fは、エステル化されたカルボキシル基を有する炭化水素基、トリアルキルシリル基、炭素数1〜20のアルキル基、又は下記式(3)で表されるアミノ有機基を表す。)
Figure 0005646947
(ここで、R’、B、Cは、式(2)の定義と同じである。)
なお、式(2)において、エステル化されたカルボキシル基の数は3〜10である。
本実施形態の分岐変性剤である式(1)で表されるアミノ基含有化合物の具体例について説明する。Aが2置換アミノ基を有する有機基であるものとして、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸のテトラメチルエステル、エチレンジアミンテトラ酢酸のテトラエチルエステル、エチレンジアミンテトラ酢酸のテトラプロピルエステル、N,N,N’,N’−テトラキスカルボキシメチル−テトラメチレンジアミンのテトラメチルエステル、N,N,N’,N’−テトラキスカルボキシメチル−ヘキサメチレンジアミンのテトラメチルエステル、N,N,N’,N’−テトラキスカルボキシメチル−ヘキサメチレンジアミンのテトラエチルエステル、N,N,N’,N’−テトラキスカルボキシメチル−1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのテトラメチルエステル、N,N,N’,N’−テトラキスカルボキシメチル−1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのテトラエチルエステル、N,N,N’,N’−テトラキスカルボキシメチル−ビス(2−アミノエチル)メチルアミンのテトラメチルエステル、N,N,N’,N’,N’’−ペンタキスカルボキシメチル−ビス(4−アミノブチル)アミンのペンタメチルエステル、N,N,N’,N’,N’’−ペンタキスカルボキシメチル−ビス(6−アミノヘキシル)アミンのペンタメチルエステル、N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサキスカルボキシメチル−4−(4−アミノブチル)−8−アミノオクチルアミンのヘキサメチルエステル、テトラキス(N,N−ビスカルボキシメチル−4−アミノブチル)珪素のオクトメチルエステル、N,N’,N’’,N’’’−テトラキスカルボキシメチル−1,6−ビス(6−ブチルアミノヘキシルアミノ)−ヘキサンのテトラメチルエステル等が挙げられる。
また、Aが2置換アミノ基及びトリアルキルシリル基で保護された1置換アミノ基又はアミノ基を有する有機基であるものとして、例えば、N,N,N’−トリスカルボキシメチル−N’−トリメチルシリル−テトラメチレンジアミンのトリメチルエステル、N,N,N’−トリステトラカルボキシメチル−N’−トリメチルシリル−ヘキサメチレンジアミンのトリスメチルエステル、N,N,N’−トリスカルボキシメチル−N’−トリメチルシリル−ヘキサメチレンジアミンのトリエチルエステル、N,N,N’−トリスカルボキシメチル−N’−トリメチルシリル−1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのトリメチルエステル、N,N,N’−トリスカルボキシメチル−N’−トリメチルシリル−1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのトリエチルエステル、N,N,N’−トリスカルボキシメチル−N’−トリメチルシリル−ビス(2−アミノエチル)メチルアミンのトリメチルエステル、N,N,N’,N’−テトラキスカルボキシメチル−N’’−トリメチルシリル−ビス(4−アミノブチル)アミンのテトラメチルエステル、N,N,N’,N’’−テトラキスカルボキシメチル−N’−トリメチルシリル−ビス(4−アミノブチル)アミンのテトラメチルエステル、N,N,N’,N’−テトラキスカルボキシメチル−N’’−トリメチルシリル−ビス(6−アミノヘキシル)アミンのテトラメチルエステル、N,N,N’,N’’−テトラキスカルボキシメチル−N’−トリメチルシリル−ビス(6−アミノヘキシル)アミンのテトラメチルエステル、N,N,N’−トリスカルボキシメチル−N’,N’’−ビストリメチルシリル−ビス(6−アミノヘキシル)アミンのトリメチルエステル、N,N,N’−トリスカルボキシメチル−N’’,N’’−ビストリメチルシリル−ビス(6−アミノヘキシル)アミンのトリメチルエステル、N,N,N’,N’,N’’−ペンタキスカルボキシメチル−N’’トリメチルシリル−4−(4−アミノブチル)−8−アミノオクチルアミンのペンタメチルエステル、トリス(N,N−ビスカルボキシメチル−4−アミノブチル)−N’−カルボキシメチル−N’−トリメチルシリル−4−アミノブチル珪素のヘプタメチルエステル、N,N’,N’’−トリスカルボキシメチル−N’’’−トリメチルシリル−1,6−ビス(6−ブチルアミノヘキシルアミノ)−ヘキサンのトリメチルエステル等が挙げられる。
上記の中で、分岐度と変性率が一層高い共役ジエン系重合体を効率よく得るという観点から、N,N,N’,N’−テトラキスカルボキシメチル−ヘキサメチレンジアミンのテトラメチルエステル、N,N,N’,N’−テトラキスカルボキシメチル−ヘキサメチレンジアミンのテトラエチルエステル、N,N,N’,N’−テトラキスカルボキシメチル−1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのテトラメチルエステル、N,N,N’,N’−テトラキスカルボキシメチル−1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのテトラエチルエステル、N,N,N’,N’−テトラキスカルボキシメチル−N’’−トリメチルシリル−ビス(6−アミノヘキシル)アミンのテトラメチルエステル、N,N,N’,N’’−テトラキスカルボキシメチル−N’−トリメチルシリル−ビス(6−アミノヘキシル)アミンのテトラメチルエステル、N,N,N’−トリスカルボキシメチル−N’,N’’−ビストリメチルシリル−ビス(6−アミノヘキシル)アミンのトリメチルエステル、N,N,N’−トリスカルボキシメチル−N’’,N’’−ビストリメチルシリル−ビス(6−アミノヘキシル)アミンのトリメチルエステルが、より好ましい。
共役ジエン系重合体とアミノ基含有化合物との反応は、所定の重合率を達成した後、好ましくは90%以上の重合率に達した後、より好ましくは95%以上の重合率に達した後、アミノ基含有化合物と混合し、反応させる。かかる条件で反応させることにより、分子量分布が狭い均一な重合体とすることができる。また、必要に応じ、重合率30〜90%の間でアミノ基含有化合物を分割して又は連続して加えて反応させることもできる。その場合は分子量分布が広く、変性率は高い重合体が得られる。
式(1)のアミノ基含有化合物の使用量は、特に限定されないが、共役ジエン系重合体の活性末端1モルに対して、カルボン酸エステル基が0.5〜1モルとなるような量が、分子量増加及び最大枝分れの観点から、好ましい。もちろん、所望の分岐変性割合に応じて、分岐変性剤の添加量を適宜に調整することができる。
一般には有機アルミニウムの炭素−金属結合あたり0.01〜1.5モル、好ましくは0.1〜1.0モルのカルボン酸エステル量で使用する。アミノ基含有化合物は単独もしくは不活性炭化水素溶液として添加することができる。またアミノ基含有化合物は一度に、分割してあるいは連続的に添加できる。分岐変性反応は通常重合温度に近い温度で、数分間〜数時間行う。好ましくは5分間〜2時間の範囲である。
式(1)で表されるアミノ基含有化合物のAで表される有機基の分子量は、分子量1000以下であり、好ましくは600以下である。Aで表される有機基の分子量を上記範囲とすることにより、分岐度と変性率が一層高い共役ジエン系重合体を効率よく得ることができる。ここで、分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。
反応によって得られた分岐変性共役ジエン系重合体は下記式(4)のような分子中にAの構造を有し、3個以上の重合体分子が結合し分岐した構造となる。

(P−CO)(n-q)−A−(COH−P2q (4)

(ここで、Aは式(1)と同じ定義であり、Pは共役ジエン系重合体を表し、nは3〜10の整数、qは3〜10の整数である。)
本実施形態では、上記したアミノ基含有化合物を分岐変性剤として用いるが、他の変性剤を併用することもできる。例えば、特開平5−51406号公報、特開平5−59103号公報に記載のポリカルボン酸のエステル化合物、酸無水物、特表2003−514078号公報、特表2004−513987号公報に記載の珪素化合物、ケトン化合物、アミド化合物等の公知の化合物を用いて、分岐化及び/又は末端変性させることができる。その場合、好ましくは所定の重合率に達した後、上記したアミノ基含有化合物を添加する前、同時、後のいずれかに添加して反応させることができる。その際、上記したアミノ基含有化合物のエステル基の当量に対し、1当量未満の使用量とすることが、高い分岐度と変性率を発現できる観点から望ましい。
本実施形態のランタン系列金属化合物を開始剤に用いて共役ジエン単量体を重合して得られるリビング共役ジエン系重合体は、活性末端の失活によりリビング率が十分でないことに加え、活性末端の周囲の配位化合物の影響で官能基に対する反応性が十分でないことから、分岐変性剤の官能基の種類が結合反応の収率に影響する。本実施形態において分岐変性剤として用いるアミノ基含有化合物は、他の官能基を有する化合物、例えば、エポキシ化合物、ハロゲン化合物、環状アミド化合物等と比べ、より結合しやすく、多分岐構造を形成しやすく、分岐度及び変性率がより高い。
本実施形態の製造方法により得られる分岐変性共役ジエン系重合体は、高い分岐度と変性率を有する。ここでいう分岐度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定され、変性率は、シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに変性した重合体が吸着する特性を利用して、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたGPCとの比較で測定される。
(油展)
本実施形態の分岐変性共役ジエン系重合体は、脱溶媒工程前において、必要に応じてプロセスオイルを加え、油展重合体としてもよい。プロセスオイルとしては、特に限定されないが、相容性の観点から、アロマ油、ナフテン油、パラフィン油、IP346法による多環芳香族成分が3質量%以下であるアロマ代替油等が好ましい。これらの中でも、多環芳香族成分が3質量%以下であるアロマ代替油を用いることが、環境安全上の観点とオイルブリード防止、さらにウェットグリップ特性の観点から好ましい。アロマ代替油としては、例えば、Kautschuk Gummi Kunststoffe 52(12)799(1999)に示されるTreated Distilled Aromatic Extract(TDAE)、Mildly or Medium Extracted Solvate(MES)等の他、Residual Aromatic Extract(RAE)、Safety or Special Residual Aromatic Extract(SRAE)等が挙げられる。これらの伸展油の使用量は、特に限定されず、通常は、分岐状共役ジエン系重合体100質量部に対し、10〜60質量部であり、20〜37.5質量部であることが好ましい。
(仕上げ)
本実施形態の分岐変性共役ジエン系重合体は、必要により重合停止剤、安定剤を反応系に加え、共役ジエン系重合体の製造で用いられる公知の脱溶媒、乾燥操作、例えば、スチームストリッピングによる脱溶媒、スクリュー押出機式絞り脱水機等の圧縮水絞機、エキスパンダー脱水機、熱風乾燥機等の方法、フラッシングタンクで濃縮し、さらにベント押し出し機等で脱揮する方法、ドラムドライヤー等で直接脱揮する方法等により重合体を回収できる。重合停止剤は、水もしくはプロトン性の極性有機化合物等から選ぶことができる。後者の例としては、各種のアルコール、フェノール、カルボン酸化合物を挙げることができる。また安定剤は公知の共役ジエン系重合体の安定剤,酸化防止剤から選ぶことができる。これらの特に好ましい例としては2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス(n−オクチルチオメチル)−6−メチルフェノール、N,N’−ジアルキルジフェニルアミン、N−アルキルジフェニルアミン等が挙げられる。得られる重合体は通常、ベールに成形される。
(配合)
本実施形態の分岐変性共役ジエン系重合体は、一般に、ゴム工業で通常用いられる方法で加工されゴム製品として使用される。この場合、本実施形態で得られる分岐変性共役ジエン系重合体と、充填剤とを含む分岐変性共役ジエン系重合体組成物とすることが好ましい。充填剤だけでなく、必要に応じて他のゴム材料とブレンドし、シランカップリング剤、ゴム用軟化剤、加硫剤、加硫助剤、その他の添加剤を加えて加工することができる。配合に際しては、バンバリーミキサー、ロールミル等の種々の機械的混合機が用いられ、本実施形態の分岐変性共役ジエン系重合体は配合時のトルクが小さく、しかも混練り時間が短くても充填剤の分散がよいという利点を有する。さらに、配合生地のタックも優れており、ゴム製品の加工に好適である。
(他のゴム)
ブレンド可能な他のゴム材料としては、特に限定されず、例えば、天然ゴムや合成ゴムが挙げられる。合成ゴムとしては、例えば、ローシスポリブタジエン、VCR(ビニル・シス・ブタジエンゴム)、SBR(スチレンブタジエンゴム)、イソプレンゴム、ブチルゴム、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)等が挙げられる。
ブレンド可能な他のゴム材料の添加量は特に限定されないが、得られるエラストマーの要求性能に応じ、分岐変性共役ジエン系重合体100質量部に対して、0〜900質量部であることが好ましく、10〜400質量部であることがより好ましく、50〜300質量部であることが更に好ましい。
(充填剤)
充填剤としては、特に限定されず、有機又は無機の充填剤が用いられる。有機充填剤としては、例えば、カーボンブラック、合成樹脂系補強性粒子等が挙げられる。無機充填剤としては、例えば、沈降性シリカ、ヒュームドシリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレイ、タルク、マイカ、珪藻土、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、ガラス繊維等の無機繊維状物質等が挙げられる。これらの中でも、補強性の観点から、カーボンブラック、沈降性シリカが好ましく用いられる。カーボンブラックとしては、通常、ゴム組成物に用いられる各種のものが用いられるが、特にファーネスブラックが好ましく、例えば、SAF、ISAF、ISAF−HS、ISAF−LS、IISAF−HS、HAF、HAF−HS、HAF−LS、FEF等が挙げられる。沈降性シリカとしては、窒素吸着比表面積(BET法)が50〜400m2/gのものが好ましく、より好ましくは100〜250m2/gである。また、沈降性シリカのpHは一般に5.5〜7、好適には約5.5〜約6.8である。これらの補強剤は、要求性能に合わせて任意に選択できる。また、必要に応じ混合して用いることができる。
充填剤の添加量は特に限定されないが、加工性と得られるエラストマーの性能の観点から、分岐変性共役ジエン系重合体100質量部に対して、5〜200質量部であることが好ましく、10〜150質量部であることがより好ましい。また、本実施形態の共役ジエン系重合体を含む原料ゴム100質量部に対して、5〜150質量部であることが好ましく、10〜100質量部であることが更に好ましい。
(シランカップリング剤)
シランカップリング剤は、上述したゴム成分と無機充填剤との相互作用を緊密にする機能を有しており、ゴム成分及び無機充填剤のそれぞれに対する親和性又は結合性の基を有する化合物である。シランカップリング剤としては、一般的に、硫黄結合部分とアルコキシシリル基、シラノール基部分を一分子中に有する化合物が用いられる。使用できるシランカップリング剤は、特に限定されず、例えば、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−テトラスルフィド、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−ジスルフィド、ビス−[2−(トリエトキシシリル)−エチル]−テトラスルフィド等が挙げられる。シランカップリング剤の添加量は特に限定されないが、効果と経済性の観点から、無機充填剤100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることが好ましい。
(ゴム用軟化剤)
ゴム用軟化剤としては、鉱物油又は液状若しくは低分子量の合成あるいは植物性の軟化剤が好適に用いられる。ゴム用軟化剤の添加量は特に限定されないが、相容性と環境安全上の観点から、アロマ油、ナフテン油、パラフィン油、IP346法による多環芳香族成分が3質量%以下であるアロマ代替油等であることが好ましい。
(加硫剤他)
加硫剤としては、ラジカル開始剤、硫黄、硫黄化合物等が用いられる。硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等が挙げられる。硫黄化合物としては、一塩化硫黄、二塩化硫黄、有機ポリサルファイド等が挙げられる。加硫助剤としては、亜鉛華、ステアリン酸等が用いられる。加硫促進剤としては、公知の各種の加硫促進剤が用いられ、グアニジン系、チオウレア系、チアゾール系、チウラム系、スルフェンアミド系等が用いられる。
その他の添加剤として、老化防止剤、ワックス、導電剤、着色剤等が用いられる。
老化防止剤としては、例えば、p−フェニレンジアミン系、ナフチルアミン系、ジフェニルアミン系、キノリン系、フェノール系等が挙げられる。
(加硫ゴム製品の製造)
本実施形態の分岐変性共役ジエン系重合体は、配合、加硫して種々のゴム製品の製造に供される。特に、タイヤ用の原料ゴムとして最適に使われ、トレッドでは耐摩耗性、低温での柔軟性に優れ、カーカスでは低発熱性、耐屈曲亀裂性に優れる性能で好ましく用いられる。また、各種工業用品、靴底等の製造に用いられる。
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、分析方法は次に示す方法によって行った。
(1)1,4−シス含有量
赤外分光光度計を用いて測定し、モレロ法にてデータ処理して求めた。
(2)ムーニー粘度
JIS K6300−1に従い、L型ローターを用い、予熱を1分間行い、その4分後の粘度を測定した。なお、測定温度は、100℃で行った。
(3)平均分子量、分子量分布
ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラム3本連結して用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用してクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用した検量線により得られる保持容量と分子量の関係から、常法に従い、各分子量範囲の全ピーク面積に対する頻度を算出し、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布を計算した。
溶離液はテトラヒドロフラン(THF)を使用した。
カラムは、ガードカラム;東ソー TSK guard column HHR−H、カラム;東ソーTSK−Super H 7000、TSK−Super H 6000、TSK−Super H 5000、オーブン温度:40℃、THF流量0.6mL/分、東ソー製:HLC−8020、検出器;RIを使用した。
測定用試料は、10mgを20mLのTHFに溶解したものを用い、20μL注入して測定した。
(4)カップリング率
GPCによるクロマトグラムからデータ解析を行い、低分子量側のピークとカップリングによって生成した高分子側のピークをその中間の谷で分離して、そのピーク面積を定量することにより、ポリマー中に含まれるカップリングポリマーの質量含率を示す。
(5)変性率
シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに、変性した成分が吸着する特性を応用し、試料及び低分子量内部標準ポリスチレン分子量5000(ポリスチレンは吸着しない)を含む試料溶液を用い、上記(5)のポリスチレン系ゲル(東ソー製:TSK)のGPC(東ソー製:HLC−8020)と、シリカ系カラム(ガードカラム;DIOL 4.6×12.5mm 5micron、カラム;Zorbax PSM−1000S、PSM−300S、PSM−60S、オーブン温度:40℃、THF流量0.5mL/分)のGPC(東ソー製:CCP8020シリーズ ビルドアップ型GPCシステム;AS−8020、SD−8022、CCPS、CO−8020、RI−8021)の両クロマトグラムを測定し、内部標準ポリスチレンピークを基準として、それらの差分より、シリカカラムへの吸着量を測定し、カップリング反応率を求めた。
測定用試料としては、共通して、測定対象10mgを、標準ポリスチレン5mgとともに20mLのTHFに溶解したものを用い、200μL注入して測定を行った。
具体的には、ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピークの面積の全体を100として、サンプルピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2とし、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、サンプルピーク面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、それぞれ求め、カップリング反応率は、下記式により算出した。
カップリング反応率(%)=〔1−(P2×P3)/(P1×P4)〕×100
〔製造例1〕
1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンの0.5モル濃度トルエン溶液1リットルにブロモ酢酸エチルを1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンに対して5倍モルを攪拌下に氷水浴中で滴下し、その後、炭酸カリウムの2モル濃度水溶液を0.5リットル滴下し、更に2日間水浴で反応させた。有機相を氷冷水で洗浄し、3N塩酸0.4リットルを加えてアンモニウム塩として水相へ移し、水相を酢酸エチルで洗浄した。その後、ヘキサン0.6リットル、水酸化ナトリウム水溶液及び炭酸ナトリウムを加え、炭酸ガスの泡が出ないことを確認して、有機相を取り出し、冷水で洗浄し、更に食塩水で塩析した後、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。その後、有機相をエバポレータで減圧乾燥して、N,N,N’,N’−テトラキスカルボキシメチル−1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのテトラエチルエステルを調製し、分岐変性剤として用いた。得られた分岐変性剤の構造は、1H−NMRによって確認した。また、ガスクロマトグラフィーで純度を確認したところ99%であった。なお、ガスクロマトグラフィーは、カラム:ULTRA1(Agilent Technologies社製)、キャリアとしてヘリウムを用い、オーブン温度を200℃から300℃へ昇温して測定した。GPCによる分岐変性剤の分子量は約550であった。
〔実施例1〕
十分に乾燥した300ミリリットル耐圧ミニボンベの内部を乾燥窒素で十分に置換した。そこに、1,3−ブタジエン20gを含む20質量%のシクロヘキサン溶液、及び、予めイソステアリン酸(和光純薬工業社製、2−(1,3,3−トリメチルブチル)−5,7,7−トリメチルオクタン酸)のナトリウム塩と塩化ネオジムを反応させて得られたイソステアリン酸ネオジム2.7ミリモルを含む30質量%のシクロヘキサン溶液を挿入して、室温で5分間振とうした。続いて、ジイソブチルアルミニウムハイドライド22.5ミリモルを含む1モル濃度のヘキサン溶液を更に加えて振とうした後、5分間静置した。そして、エチルアルミニウムセスキクロライドの1モル濃度のヘキサン溶液をCl/Nd=3の元素比になるように加えて振とうした後、20分間静置することで開始剤を調製した。
次に、十分に乾燥した内容積11リットルの攪拌機付き耐圧オートクレーブの内部を乾燥窒素で十分置換した。そこに、900gの1,3−ブタジエンを含む6kgのシクロヘキサン混液をオートクレーブ内に仕込み、あらかじめ調製した開始剤溶液を加えて,50℃で2時間重合を行った。重合反応後、分岐変性剤としてN,N,N’,N’−テトラキスカルボキシメチル−1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンのテトラエチルエステルを2.8ミリモル添加し、50℃で1時間反応させた。その後、2,6−ビス(tert−ブチル)−4−メチルフェノール5gを含むメタノール/シロクヘキサン混合溶液100mLを加えて反応を停止させた。そして、ドラムドライヤーを用いて溶剤を除去し、重合体Aを得た。
得られた重合体Aの測定結果を表1に示す。アミノ基を含有する高度に分岐した高シスポリブタジエンが得られた。なお、GPCから、2山となっているクロマトグラムにおいて高分子側ピークのピークトップ分子量は低分子側ピークのピークトップ分子量に比べ、約5倍の分子量を有していた。
〔実施例2〕
ビス(6−メチルヘキシル)アミン1モルに対し、トリメチルクロロシラン1.5モルを、温度上昇に注意しながら、反応させ、5モルのブロモ酢酸エチルを更に反応させて、製造例1と同様に注意深く精製処理を行うことによって、N,N,N’,N’−テトラキスカルボキシメチル−N’’−トリメチルシリル−ビス(6−アミノヘキシル)アミンのテトラメチルエステル、N,N,N’,N’’−テトラキスカルボキシメチル−N’−トリメチルシリル−ビス(6−アミノヘキシル)アミンのテトラメチルエステルの混合物を調製し、分岐変性剤として用いた。得られた分岐変性剤の構造は、1H−NMRによって確認した。また、ガスクロマトグラフィーで純度を確認したところ、95%であった。GPCによる分岐変性剤の分子量は約580であった。
イソステアリン酸ネオジムにかえて2−イソプロピル−5−メチルヘキサン酸ネオジムを用い、分岐変性剤としてN,N,N’,N’−テトラキスカルボキシメチル−N’’−トリメチルシリル−ビス(6−アミノヘキシル)アミンのテトラメチルエステル、N,N,N’,N’’−テトラキスカルボキシメチル−N’−トリメチルシリル−ビス(6−アミノヘキシル)アミンのテトラメチルエステルの混合物を用いた以外の重合条件は実施例1と同様にして実施した。得られた重合体Bの測定結果を表1に示す。
〔比較例1〕
イソステアリン酸ネオジム2.2ミリモル、ジイソブチルアルミニウムハイドライド18ミリモルとし、変性剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、商品名KBM−403)11ミリモルを用い、他は実施例1と同様におこなった。得られた重合体Cの測定結果を表1に示す。
〔比較例2〕
ネオジム開始剤を用いた市販のハイシスゴムであるLanxess社製Buna CB24を重合体Dとして用いた。
Figure 0005646947
〔配合評価〕
下記の割合で原材料を配合し、槽温度130℃に設定して、モリヤマ社製、加圧型ニーダーD0.3−3型を用いて、第一段混練りとして、原料ゴム、オイル、シリカ、シランカップリング剤の順に投入して4分間混練りした。その後、約160℃でダンプアウトし、ロール通しして冷却後、第二段混練りとして、硫黄と加硫促進剤を除く他の原材料を追加して3分間混練りした。そして、約160℃でダンプアウトし、ロール通しした。この際の、ストックの纏まり、ロールの肌、エッジを目視で評価し、加工性を比較した。ストックの纏まりは塊で出てくるものを良とし、ロールの肌は滑らかで光沢があるものを良とし、エッジはスムーズなものを良とした。冷却後、ロールを用いて、70℃で硫黄及び加硫促進剤を加えた。加硫は170℃、12分間の条件で行った。得られた加硫ゴムの性能を評価した結果を表2に示す。
配合
共役ジエン系重合体 :70質量部
SBR(旭化成ケミカルズ社製アサプレンE15) :30質量部
シリカ(エボニックデグサ社製ウルトラジルVN3) :75質量部
シランカップリング剤 Si75(エボニックデグサ社製) :6質量部
カーボンブラックN550(キャボットジャパン社製) :5質量部
SRAEオイル(JOMO社製NC140) :20質量部
ワックス(大内新興化学工業社製サンノックN) :1.5質量部
老化防止剤(大内新興化学工業社製ノクラック6C) :2質量部
ステアリン酸(花王社製ルナックS−90) :2質量部
亜鉛華(堺化学社製) :2.5質量部
硫黄(細井化学社製) :1.7質量部
加硫促進剤CZ(大内新興化学工業社製ノクセラーCZ−G):1.7質量部
加硫促進剤D(大内新興化学工業社製ノクセラーDP) :1.7質量部
なお、評価方法は、次に示す方法によって行った。
(1)配合物ムーニー粘度
上述した加硫前のゴム配合物のムーニー粘度を、ムーニー粘度計を使用し、JIS K6300−1により、L型ローターを用い、100℃で、予熱を1分間行った後に、毎分2回転で回転させ、4分後の粘度を測定した。ムーニー粘度が小さい値(75以下)であると、混練時に消費エネルギーが小さく加工性が良好であると判断した。
(2)粘弾性
TAインスツルメント社製のARES粘弾性試験機を使用し、ねじり方式によって、周波数10Hz、各測定温度(0℃及び50℃)で歪を変化させて、tanδを測定した。
なお、低温(0℃)、ひずみ1%で測定したtanδ(損失正接)の高いものほど、ウェットスキッド抵抗性、すなわちグリップ性能が優れ、高温(50℃)、ひずみ3%で測定したtanδ(損失正接)の低いものほどヒステリシスロスが少なく、タイヤの低転がり抵抗性、すなわち省燃費性に優れているものと判断した。
また、50℃での歪が小さい場合(0.1%)のG’と歪が大きい場合(10%)のG’の差ΔG’をもって、フィラーの分散性を評価した。ΔG’’が小さいほどフィラーの分散性が良いと判断した。
(3)アクロン磨耗
耐摩耗性は、安田精機製作所製アクロンゴム摩耗試験機を使用し、JIS K6264−2に従い、試験方法A、荷重44.1N、3000回転の摩耗量を測定した。比較例2を100とする指数で評価した。指数が高いほど摩耗量が少なく良好であると判断した。
Figure 0005646947
表2から、各実施例は、加工性、省燃費性、フィラーの分散性、及び耐磨耗性に優れていることが確認された。一方、各比較例は、加工性、省燃費性、フィラーの分散性、及び耐摩耗性の少なくともいずれかが劣っていることが確認された。
本発明の分岐変性共役ジエン系重合体は、タイヤ用の原料ゴム等として用いることができ、これを含むゴム組成物は、タイヤトレッド、サイドウォール他タイヤの部材として用いることができ、またホース、ベルト、靴底、窓用シール、他のシール、振動減衰用ゴム及び他の工業製品の原料等として用いることも可能である。

Claims (2)

  1. ランタン系列金属化合物を開始剤に用いて、共役ジエン系単量体を重合させ、共役ジエン系重合体を得る工程と、
    前記共役ジエン系重合体と、下記式(2)で表されるアミノ基含有化合物とを反応させる工程と、
    を有する、分岐変性共役ジエン系重合体の製造方法。
    Figure 0005646947
    (ここで、R’、R’’は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、又は活性水素基を有しない酸素、窒素、珪素、硫黄から選ばれる1種もしくは2種以上の元素を含む炭素数2〜20の有機基を表し、mは0又は1以上の整数である。B、C、D、Eは、それぞれ独立して、エステル化されたカルボキシル基を有する炭化水素基、トリアルキルシリル基、又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、Fは、エステル化されたカルボキシル基を有する炭化水素基、トリアルキルシリル基、炭素数1〜20のアルキル基、又は下記式(3)で表されるアミノ有機基を表す。なお、式(2)において、エステル化されたカルボキシル基の数は3〜10である。)
    Figure 0005646947
    (ここで、R’、B、Cは、式(2)の定義と同じである。)
  2. 請求項1記載の製造方法により得られる分岐変性共役ジエン系重合体と、
    充填剤と、
    を含む分岐変性共役ジエン系重合体組成物。
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