JP5641473B2 - 傾斜機能性複合材料の製造方法 - Google Patents
傾斜機能性複合材料の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5641473B2 JP5641473B2 JP2010239837A JP2010239837A JP5641473B2 JP 5641473 B2 JP5641473 B2 JP 5641473B2 JP 2010239837 A JP2010239837 A JP 2010239837A JP 2010239837 A JP2010239837 A JP 2010239837A JP 5641473 B2 JP5641473 B2 JP 5641473B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- powder
- composite material
- producing
- functionally gradient
- functionally
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
Description
この整流子は、円筒型をしており、電気の良導体である金属(銅)と絶縁体である高分子材料(フェノール樹脂)の結合体であるため、高速連続運転時に発生する熱に起因する熱応力や、断続運転に起因する疲労現象により、金属と高分子材料との界面に亀裂が生じ、最終的に破壊する恐れがあるため、安全性の確保や長寿命化が望まれてきた。
そこで、この円筒型の整流子に傾斜機能材料の概念を導入し、電気の良導体である銅と絶縁体であるフェノール樹脂という2つの性質を持ち、同時に単一の界面ではなく、傾斜層により熱応力や応力集中を緩和する傾斜機能性複合材料の導入が試みられてきた。
特許文献1には、円筒状の型枠にスラリーを入れて遠心力を付加することにより、外周から内周にかけて傾斜組成を連続形成してパイプ形状に成形する方法が記載されている。具体的には、2種類以上の粉末材料に有機分散剤及び溶媒を加えてスラリーを作製し、このスラリーに遠心力を付与することにより、傾斜組成を形成している。
また、特許文献2には、円筒状の仕切体と、内部に同心円状に階段状凹部を持つ円柱状凸起の支持台とを組合わせ、半径方向に組成を傾斜させた傾斜機能性複合材料を作製する方法が記載されている。
また、特許文献2の方法では、仕切体の間に各混合粉を充填するため、仕切体の間隔を狭くするとブリッジ等が発生し易く、粉末の均一な充填が難しい。特に、軸方向に長い傾斜機能材料を造る場合、仕切体の高さを高くする必要があるが、仕切体を高くし、隣り合う仕切体の間隔を狭くすると、ブリッジ等が更に発生し易くなり、粉末の充填がますます阻害され、良好な傾斜組成化した層の形成が難しくなる。
更に、特許文献1、2のいずれの方法も、傾斜機能性複合材料を構成する2種類の材料の配合割合を考慮することなく、一度の焼結で製造しようとしているため、例えば、各層ごとの収縮や膨張が考慮されておらず、目的とする寸法形状や必要な強度を得ることが難しい。
前記傾斜機能材料を、前記材料Yの粉末に前記材料Xの粉末を傾斜配合した積層体とし、しかも該積層体を、該材料Xの粉末の配合割合ごとに圧縮成形した径の異なる円筒状圧粉体で構成し、
前記材料X、前記積層体、及び前記材料Yを、融点の高い側から低い側へかけて、順次、加圧加熱処理をすることで、前記材料X、前記積層体、前記材料Y、及びそれらの界面も結合する。
前記傾斜機能材料を、前記有機樹脂材料A又は前記有機樹脂材料Aと接合可能な有機樹脂材料Bの粉末に、前記金属材料の粉末を傾斜配合した積層体とし、しかも該積層体を、該金属材料の粉末の配合割合ごとに圧縮成形した径の異なる円筒状圧粉体で構成し、
前記金属材料、前記積層体、及び前記有機樹脂材料Aを、融点の高い側から低い側へかけて、順次、加圧加熱処理をすることで、前記金属材料、前記積層体、前記有機樹脂材料A、及びそれらの界面も結合する。
また、他方に配置される前記有機樹脂材料Aには無機質繊維Dが含まれることが好ましい。
ここで、前記各環状圧粉体の成形は、前記金型の温度を上げて又は前記環状圧粉体を構成する原料粉末の湿度を下げて、前記環状圧粉体を構成する際に原料粉末の流動性を高めて行うのがよい。
更に、第1、第2の発明に係る傾斜機能性複合材料の製造方法において、前記加圧加熱処理には、放電プラズマ焼結法を用いることが好ましい。
また、材料X、積層体、及び材料Yを、融点の高い側から低い側へかけて、順次、加圧加熱処理をすることで、材料X、積層体、材料Y、及びそれらの界面も結合するので、材料Xの粉末の配合割合の変化による収縮や膨張を考慮しながら、傾斜機能性複合材料を製造できる。
従って、製品構成の自由度が図れ、目的とする寸法形状や必要な強度が得られる傾斜機能性複合材料を製造できる。
また、金属材料、積層体、及び有機樹脂材料Aを、融点の高い側から低い側へかけて、順次、加圧加熱処理をすることで、金属材料、積層体、有機樹脂材料A、及びそれらの界面も結合するので、金属材料の粉末の配合割合の変化による収縮や膨張を考慮しながら、傾斜機能性複合材料を製造できる。
従って、製品構成の自由度が図れ、目的とする寸法形状や必要な強度が得られる傾斜機能性複合材料を製造できる。
そして、各環状圧粉体の成形を、金型の温度を上げて又は環状圧粉体を構成する原料粉末の湿度を下げて、環状圧粉体を構成する際に原料粉末の流動性を高めて行う場合、金型内へ流し込まれた原料粉末内の空隙を低減できる。
まず、本発明の一実施の形態に係る傾斜機能性複合材料の製造方法により製造した傾斜機能性複合材料について説明した後、本発明の一実施の形態に係る傾斜機能性複合材料の製造方法について説明する。
この傾斜機能性複合材料10は、フェノール樹脂の粉末(以下、フェノール樹脂粉末ともいう)に銅の粉末(以下、銅粉ともいう)を傾斜配合して焼結させた焼結体であり、銅11側からフェノール樹脂12側へかけて2つの層、即ち半径方向の外側層14、内側層15が段階的(ここでは、2段階)に設けられたものである。なお、図1(B)は、自動車用電動モータに設けられた整流子16を示しており、整流子16は、傾斜機能性複合材料10を機械加工して形成したものである。
整流子における銅部分の埋め込み深さは、フェノール樹脂部分に絶縁層を併せ持たせる必要があることから整流子のタイプによってその形状や寸法が異なるため、一概に設定することが困難である。しかし、例えば、汎用性のあるタイプの整流子に着目すると6mm以下(下限は、2mm程度)が好ましい。なお、製品によっては、銅部分により近づいたポイントでも絶縁がとれる必要があることから、傾斜機能材料の厚みを更に好ましくは2〜3mm程度とするのがよい。
なお、各層14、15を形成する銅粉の傾斜配合は、銅11側からフェノール樹脂12側へかけて、銅粉の配合割合を減少させた配合とする。例えば、銅の含有量を、層14では65〜85質量%(ここでは75質量%)と多く、層15では40〜60質量%(ここでは50質量%)と層14よりも少なくする。
電解により得られた銅粉は、薄い層を形成するために粒径をある程度細かくすることができる(例えば、平均粒径が30〜60μm程度)。また、成型性に優れるため、層中の銅の割合が多くなっても、圧粉体の成型性が低下しない作用を備えている。更に、電解により得られた銅粉は、アトマイズにより得られた銅粉よりも、熱伝導率が高いことから、熱放出(割れ防止)の観点からも好ましい。
しかし、銅粉には、アトマイズ粉を使用することもできる。このアトマイズ粉は、一般に球形で流動性がよく、樹脂粉との混合時における均一混合性がよい。
更に、銅粉には、例えば、銀コーティングの銅粉等も使用でき、これにより電気伝導率を向上させて薄膜化を図ることができる。
また、樹脂にフェノール樹脂を使用したが、これに限定されるものではなく、金属との接合が考えられる他の樹脂、例えば、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等(例えば、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)樹脂)を使用することもできる。
なお、複合材料の各層の形成に使用する樹脂には、接合対象であるフェノール樹脂との接合性が良好な同一成分のフェノール樹脂を使用したが、接合性が良好(接合可能)であれば、フェノール樹脂以外の他の樹脂(有機樹脂材料B)でもよい。
このガラス繊維には、アスペクト比が10〜500(好ましくは、上限を450、更には400)のものを使用することが好ましい。これにより、金属材料と有機樹脂材料及びガラス繊維との混合性(分散性)を良好にでき、その結果、製品品質の向上が図れる。
なお、ガラス繊維の含有量は、傾斜機能材料の線膨張係数(熱膨張係数)が、銅の線膨張係数に近似する(近傍となる)ように調整されている。
この熱硬化性フェノール樹脂の粉末とガラス繊維は、予め混合されその混合物の線膨張係数が調整されたものを使用することが好ましい。
しかし、加熱温度を上昇させると、焼結体の線膨張係数がフェノール樹脂の含有量に影響され、焼結体の線膨張係数が大きくなる。このため、混合物に銅粉を傾斜配合した層を、銅側からフェノール樹脂側へかけて複数形成することで、隣合う層の界面で傾斜機能性複合材料にかかる応力を分散でき、傾斜機能性複合材料の割れを抑制できる。この分割は、隣合う各層の線膨張係数の差が±20%(好ましくは±15%、更に好ましくは±10%)以内となるように行うのがよい。
なお、傾斜配合した層は、銅粉の含有率を徐々に変化させ、焼結後は各層の含有率をなだらかにして、連続的にすることもできる。
更に、傾斜機能性複合材料の他方側のフェノール樹脂に、無機質繊維Dが含まれてもよい(無機質繊維Dの含有量は、例えば、0を超え50質量%以下程度)。この無機質繊維Dには、上記した無機質繊維Cと同一形状で同一材質のものを使用できるが、異なる形状又は材質のものを使用することもできる。
なお、傾斜機能性複合材料の径方向両側に配置される銅とフェノール樹脂は、塊状物を機械加工することにより成形できるが、粉末原料を焼結して製造してもよい。
図1(A)、(B)に示す傾斜機能性複合材料10の製造に際しては、銅11とフェノール樹脂12の間に配置される傾斜機能材料13を、フェノール樹脂の粉末に銅の粉末を傾斜配合した積層体とし、しかもこの積層体を、銅の粉末の配合割合ごとに圧縮成形した径の異なる円筒状圧粉体、即ち層14(高融点材リッチ層)となる円筒状圧粉体と、層15(高融点材リッチ層よりも融点の低い低融点材リッチ層)となる円筒状圧粉体とで構成する。
図2(A)に示すように、金型20は、ステンレス鋼製のものであり、受け皿21と、受け皿21の中央に軸心を合わせて立設配置される円柱状の中子22と、受け皿21に立設され、中子22の外周面とは一定の隙間23を有して配置される円筒型のダイ24とを有している。なお、中子22とダイ24はそれぞれ、複数の案内ボルト25〜27を介して受け皿21に取付け取外し可能になっている。
上記した中子22の外周面とダイ24の内周面とで形成される隙間23には、円筒型のパンチ28が挿入可能となっており、このパンチ28は、パンチ押さえ部材29により、受け皿21に対して所定の圧力で押圧可能になっている。なお、隙間23の内幅は、製造する層14の厚みに応じて、ダイ24の内径又は中子22の外径を変えることで調整できる。
図2(B)に示すように、隙間23内に層14を構成する原料粉体30を充填する。なお、隙間23への原料粉末30の充填は、中子22とダイ24の温度を上げて(温度:50〜100℃程度)、又は原料粉末30の湿度を下げて(湿度:30%以下程度)、環状圧粉体31を構成する際に原料粉末30の流動性を高めながら行うのがよい。
次に、図2(C)に示すように、充填した原料粉末30の上にパンチ28を配置し、更に、図2(D)に示すように、パンチ28の上にパンチ押さえ部材29を配置する。そして、図3(A)に示すように、パンチ押さえ部材29を押圧し、円筒状圧粉体よりも軸方向の長さが短い短尺の環状圧粉体31を成形する。なお、パンチ押さえ部材29の押圧力は、環状圧粉体31の成型後の密度を考慮して調整する。
このように、環状圧粉体31を成形した後は、図3(B)に示すように、隙間23内からパンチ押さえ部材29を取外し、図3(C)に示すように、受け皿21から中子22とダイ24を取外す。そして、図3(D)に示すように、ダイ24の下に圧粉体抜取り治具32を配置し、再度、パンチ28の上にパンチ押さえ部材29を配置した後、図3(E)に示すように、パンチ押さえ部材29を押圧することで、圧粉体抜取り治具32の抜取り用受け皿21a上にパンチ28と環状圧粉体31を押出し、図3(F)に示すように、環状圧粉体31を成形できる。
従って、円筒状圧粉体の軸方向の長さが、1つの環状圧粉体31で充分である場合は、上記した操作を繰り返し行う必要はない。
なお、ここで成形する環状圧粉体33は、上記した層14の内側に配置して焼結されるため、成形する環状圧粉体33の外径を、層14の内径と同等に又は僅かに(2mm以下程度)小さくする。そのため、ここでは、これに応じた図4(A)に示す金型34(寸法以外は金型20と同一構成)を使用する。
まず、図4(B)に示すように、隙間35内に層15を構成する原料粉体36を充填する。
このように、環状圧粉体33を成形した後は、図5(B)に示すように、隙間35内からパンチ押さえ部材38を取外し、図5(C)に示すように、受け皿39から中子40とダイ41を取外す。そして、図5(D)に示すように、ダイ41の下に圧粉体抜取り治具42を配置し、再度、パンチ37の上にパンチ押さえ部材38を配置した後、図5(E)に示すように、パンチ押さえ部材38を押圧することで、圧粉体抜取り治具42の抜取り用受け皿39a上にパンチ37と環状圧粉体33を押出し、図5(F)に示すように、環状圧粉体33を成形できる。
まず、図6(B)に示すように、円筒型のダイ44内に、フェノール樹脂12を構成する原料粉体45を充填する。次に、図6(C)に示すように、充填した原料粉末45の上にパンチ46を配置し、図6(D)に示すように、パンチ46の上にパンチ押さえ部材47を配置する。そして、図7(A)に示すように、パンチ押さえ部材47を押圧し、円筒状圧粉体よりも軸方向の長さが短い短尺の圧粉体48を成形する。
傾斜機能性複合材料10の焼結(加圧加熱処理)は、図8〜図12に示す放電プラズマ焼結装置を用いて、放電プラズマ焼結法(SPS法:Spark Plasma Sintering)により行う。
放電プラズマ焼結法は、例えば、取扱い操作の容易さ、ランニングコストの低廉さ、材料を選ばない多様性、ハイスピード焼結等の特性をもち、焼結技術の熟練を不要とし、金属、セラミックス、ポリマー、コンポジット材料をはじめ、傾斜機能材料、ナノフェーズ材料、熱電半導体材料など、広範囲の材料を対象とする焼結法である。
しかし、以下に示す方法により、図8(A)に示す放電プラズマ焼結装置を用いて傾斜機能性複合材料10を製造できる。
この下部パンチ62の外周には、ステンレス鋼製のストッパー63が嵌め込まれ、下部パンチ62の拡径した部分により、ストッパー63が所定の高さ位置に支持されている。また、下部パンチ62の外周には、セラミックス製の絶縁リング64も嵌め込まれ、この絶縁リング64がストッパー63上に配置されている。
そして、下部パンチ62内には、円柱状の中子65の下部が嵌入され、中子65が下部パンチ62を介してスペーサ61上に立設されている。なお、中子65は、グラファイトで構成されているが、導電性のないセラミックス等で構成するのが好ましい。
図8(A)、(B)に示すように、絶縁リング64上に傾斜機能性複合材料10を構成する円筒型の銅11をセットする。これにより、銅11の内周面と、中子65の外周面との間に隙間66が形成される。
そして、図8(B)、図9に示すように、隙間66内に、層14を構成する環状圧粉体31を、中子65の外周面に沿って、予め設定した高さまで複数個積み上げ、残存する隙間66(環状圧粉体31が配置されていない部分)に円筒型の上部パンチ67の下部を嵌め込む。なお、中子65は、銅11の内周面側に複数の環状圧粉体31を積み上げた後、環状圧粉体31内に挿入してもよい。また、積み上げられた環状圧粉体31と中子65との間に、BN(ボロンナイトライド)又はカーボンペーパーを配置することで、焼結体の中子65からの焼結体の離型を容易にすることが好ましい。
ここで、ダイ68は、上部にボルト70が取付けられたボルト受け71を介して、下部スペーサ61上に支持されている。このボルト70はセラミックス製であり、ボルト受け71はステンレス鋼製である。
これらを放電プラズマ焼結装置の真空チャンバー(図示しない)内に配置し、上部パンチ67と下部パンチ62を、上部パンチ電極と下部パンチ電極(図示しない)とで挟込み、加圧手段(図示しない)により加圧する。
この焼結は、銅11と銅の含有率が高い層14の焼結であるため、焼結保持温度を400〜550℃(ここでは、450〜500℃)とし、保持時間を2〜10分(ここでは3分)、加圧力を40〜70MPa(50〜60MPa)とする。なお、焼結保持温度までは、10〜20分(ここでは、14〜15分)で昇温する。
ここで、温度制御は、ダイ68に設けられた熱電対挿入孔72に、熱電対を挿入して行う。
焼結が終了した後は、加圧力を抜いて自然冷却する。
これにより、図10(C)に示すように、銅11の内周面側に層14が形成された円筒型の焼結体73が得られるため、これを図10(D)に示すように機械加工する。
図11(A)、(B)に示すように、絶縁リング64上に円筒型の焼結体73をセットし、その内側に、層15を構成する環状圧粉体33を、焼結体73の内周面に沿って、予め設定した高さまで複数個積み上げる。そして、この環状圧粉体33の内側に、フェノール樹脂12を構成する圧粉体48を、環状圧粉体33の内周面に沿って、予め設定した高さまで複数個積み上げる。
そして、図12(A)に示すように、焼結体73の外周を囲むように、ダイ68を配置し、上部パンチ75上に上部スペーサ69を取付ける。
これらを放電プラズマ焼結装置の真空チャンバー内に配置し、上部パンチ75と下部パンチ74を、上部パンチ電極と下部パンチ電極とで挟込み、加圧手段により加圧する。
そして、電源により、上部パンチ電極と下部パンチ電極に通電して、図12(B)に示すように、環状圧粉体33及び圧粉体48の焼結を行う。なお、焼結により層14と環状圧紛体33の界面及び環状圧紛体33と圧紛体48の界面も結合される(2回目の焼結)。
この焼結は、銅の含有率が低い層15とフェノール樹脂12の焼結であるため、焼結保持温度を、1回目の焼結よりも低く設定する。
また、焼結保持温度までの昇温途中でステップヒーティングを行うこともできる。
具体的には、保持温度を、樹脂の軟化温度(ここでは約100℃)よりやや高めの100〜120℃(ここでは120℃)とし、保持時間を1〜10分(ここでは5分)、加圧力を40〜70MPa(ここでは、60MPa)とする。なお、保持温度までは、1〜5分(ここでは、2分)で昇温する。軟化点直上の温度におけるステップヒーティングにより、加圧力の作用下で軟化した樹脂の流動性がよくなり、内部の空隙が減少し、ガス抜きができると共に、緻密性も上昇する。
その後、焼結保持温度まで昇温する。
これにより、図1(A)に示す傾斜機能性複合材料10が得られる。
このように、複合材料10を構成する銅11、層14、15からなる積層体、及びフェノール樹脂12を、融点(高融点材料の含有率)の高い側から低い側へかけて、順次、加圧加熱処理をすることで、銅11、積層体、フェノール樹脂12、及びそれらの界面も結合でき、フェノール樹脂の品質低下を招くことなく、複合材料10を製造できる。
また、上記したように、残留熱応力の緩和機能を有する複合材料10を、焼結処理時間の極めて短い放電プラズマ焼結法により製造することで、焼結させた複合材料10の残留応力の除去熱処理が不要となるため、整流子1個を製造するのに要する消費エネルギーを、更に減少させることができる。
なお、複合材料の焼結条件は、上記した条件に限定されるものではなく、例えば、各金属材料、有機材料、及び無機材料の種類に応じて、その融点や焼結後の密度等を考慮して適宜設定できる。
また、傾斜機能性複合材料10の製造は、以上に示した放電プラズマ焼結法に限定されるものではなく、傾斜機能性複合材料10の性能が得られれば、他の製造方法を用いてもよい。
以上の方法により、製品構成の自由度が図れ、目的とする寸法形状や必要な強度を得ることが可能となる。
また、前記実施の形態においては、傾斜機能性複合材料を、自動車用電動モータに設けられた整流子の銅とフェノール樹脂とを接合する箇所に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、家電用モータの整流子に適用することもでき、更には金属と樹脂を接合する箇所であれば、例えば、自動車、電車、航空機、船舶、各種家電製品、テンションローラ等に適用することもできる。
なお、前記実施の形態においては、材料Xを金属材料とし、材料Yを有機樹脂材料Aとした場合について説明したが、傾斜機能性複合材料の使用用途に応じて、材料Xを金属材料、セラミックス材料、又は有機樹脂材料とし、また材料Yを、材料Xとは融点が異なる金属材料、セラミックス材料、又は有機樹脂材料とすることもできる。
更に、前記実施の形態においては、円柱状の傾斜機能性複合材料を製造した場合について説明したが、円筒型の傾斜機能性複合材料を製造することもできる。この場合、傾斜機能性複合材料の製造のための最後の焼結にも、中子を使用すればよい。
なお、金属材料、傾斜機能材料、及び有機樹脂材料の同心円状の配置とは、断面真円状のみならず、例えば、各層の厚みが部分的に異なる場合や、また楕円や卵形でもよい。
Claims (7)
- 円筒又は円柱の半径方向内側又は外側の一方に材料Xを、他方に該材料Xとは融点の異なる材料Yを、前記材料Xと前記材料Yの間に傾斜機能材料を、それぞれ同心円状に配置した傾斜機能性複合材料の製造方法であって、
前記傾斜機能材料を、前記材料Yの粉末に前記材料Xの粉末を傾斜配合した積層体とし、しかも該積層体を、該材料Xの粉末の配合割合ごとに圧縮成形した径の異なる円筒状圧粉体で構成し、
前記材料X、前記積層体、及び前記材料Yを、融点の高い側から低い側へかけて、順次、加圧加熱処理をすることで、前記材料X、前記積層体、前記材料Y、及びそれらの界面も結合することを特徴とする傾斜機能性複合材料の製造方法。 - 円筒又は円柱の半径方向内側又は外側の一方に金属材料を、他方に有機樹脂材料Aを、前記金属材料と前記有機樹脂材料Aの間に傾斜機能材料を、それぞれ同心円状に配置した傾斜機能性複合材料の製造方法であって、
前記傾斜機能材料を、前記有機樹脂材料A又は前記有機樹脂材料Aと接合可能な有機樹脂材料Bの粉末に、前記金属材料の粉末を傾斜配合した積層体とし、しかも該積層体を、該金属材料の粉末の配合割合ごとに圧縮成形した径の異なる円筒状圧粉体で構成し、
前記金属材料、前記積層体、及び前記有機樹脂材料Aを、融点の高い側から低い側へかけて、順次、加圧加熱処理をすることで、前記金属材料、前記積層体、前記有機樹脂材料A、及びそれらの界面も結合することを特徴とする傾斜機能性複合材料の製造方法。 - 請求項2記載の傾斜機能性複合材料の製造方法において、前記積層体には無機質繊維Cを添加し、前記金属材料に線膨張係数を近似させたことを特徴とする傾斜機能性複合材料の製造方法。
- 請求項2又は3記載の傾斜機能性複合材料の製造方法において、他方に配置される前記有機樹脂材料Aには無機質繊維Dが含まれることを特徴とする傾斜機能性複合材料の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の傾斜機能性複合材料の製造方法において、前記円筒状圧粉体は、予め金型により圧縮成形した複数の環状圧粉体を軸方向に積層して形成したことを特徴とする傾斜機能性複合材料の製造方法。
- 請求項5記載の傾斜機能性複合材料の製造方法において、前記各環状圧粉体の成形は、前記金型の温度を上げて又は前記環状圧粉体を構成する原料粉末の湿度を下げて、前記環状圧粉体を構成する際に原料粉末の流動性を高めて行うことを特徴とする傾斜機能性複合材料の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の傾斜機能性複合材料の製造方法において、前記加圧加熱処理には、放電プラズマ焼結法を用いることを特徴とする傾斜機能性複合材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010239837A JP5641473B2 (ja) | 2010-10-26 | 2010-10-26 | 傾斜機能性複合材料の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010239837A JP5641473B2 (ja) | 2010-10-26 | 2010-10-26 | 傾斜機能性複合材料の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012091379A JP2012091379A (ja) | 2012-05-17 |
JP5641473B2 true JP5641473B2 (ja) | 2014-12-17 |
Family
ID=46385307
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010239837A Active JP5641473B2 (ja) | 2010-10-26 | 2010-10-26 | 傾斜機能性複合材料の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5641473B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108334688B (zh) * | 2018-01-29 | 2022-04-01 | 南京理工大学 | 基于matlab的旋转功能梯度厚板动力学行为计算方法 |
-
2010
- 2010-10-26 JP JP2010239837A patent/JP5641473B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2012091379A (ja) | 2012-05-17 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5652603B2 (ja) | 傾斜機能性複合材料及びその製造方法 | |
KR102395755B1 (ko) | 다이나모일렉트릭 회전 기계를 위한 재료층 및 재료층 구조체를 제조하기 위한 방법 | |
KR102238218B1 (ko) | 금속 분말, 적층 조형물의 제조방법 및 적층 조형물 | |
CN114560715A (zh) | 一种坩埚托杆及其制备方法 | |
JP5641473B2 (ja) | 傾斜機能性複合材料の製造方法 | |
JP2007251125A (ja) | 軟磁性合金圧密体及びその製造方法 | |
CA2910502C (en) | Electric machine with a squirrel cage rotor comprising a granulated electrically-conductive material | |
KR20120084307A (ko) | 탄소 재료 및 그 제조 방법 | |
JP5867674B2 (ja) | 圧粉磁心およびその製造方法 | |
KR101296330B1 (ko) | 자동변속기용 유성 캐리어의 제조방법 | |
JP5802413B2 (ja) | ボンド磁石およびその製造方法 | |
KR20150013847A (ko) | 단열체 제조 방법 | |
KR101832395B1 (ko) | 탄소섬유 분말 소재의 제조방법, 이를 포함하는 탄소섬유 전극 및 이의 제조방법 | |
CN105083052A (zh) | 云母陶瓷绝缘子的制造方法 | |
JP5048704B2 (ja) | 通電加圧焼結装置の焼結型および通電加圧焼結装置による焼結方法 | |
JP5766064B2 (ja) | ダイスの製造方法とダイスを備えるホットプレス装置 | |
JPH09294342A (ja) | モータコアおよびこれの製造方法 | |
JP4132882B2 (ja) | 粉末冶金による成形体の製造方法 | |
JP2014001427A (ja) | 焼結部品の製造方法 | |
KR20170135104A (ko) | 전자석 및 그 제조방법 | |
JP6489775B2 (ja) | SiC成形体の製造方法及びSiC成形体の加工方法 | |
JP6003085B2 (ja) | 磁石の製造方法 | |
JP2005045917A (ja) | 焼結リング磁石ローターおよびその製造方法 | |
JP6132586B2 (ja) | SiC成形体の製造方法 | |
JP2015124124A (ja) | SiC/金属複合材料体の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20131003 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20131015 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20131004 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20140919 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140930 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20141017 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5641473 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |