JP5048704B2 - 通電加圧焼結装置の焼結型および通電加圧焼結装置による焼結方法 - Google Patents
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このため、モールド181の貫通孔における上下一対のパンチ182,183間の空間に、粉末mを気密に収容して、上下一対のパンチ182,183を接近させれば、上下のパンチ182 ,183 によって粉末mを加圧することができる。しかも、直流電源によって上下一対のパンチ182,183に通電すれば、焼結型180および粉末mを電流が流れ、焼結型180および粉末mが発熱するので、粉末mを加圧焼結することができる。
そして、上記のごとき通電加熱焼結装置では、焼結型180や粉体mに直接通電するので、焼結型180や粉体mが自己発熱して急速に昇温するから、焼結時間を短縮出来るというメリットがある。
しかも、焼結型180に供給された電流は、焼結型180と粉体mの両方を流れるのであるが、モールド181に比べて粉体mの導電性が高い場合には、粉体mに流れる電流が多くなる一方、モールド181に流れる電流が少なくなる。すると、モールド181も供給した電流量に対して十分な発熱ができず、モールド181も十分に昇温させにくくなる。
特許文献1の技術では、焼結の初期には、モールド181のみを発熱させて、温度が上昇しにくい粉末mの外周部の温度を内部よりも先に上昇させてから、粉末m内部を粉末mの自己発熱によって加熱するようにしている。よって、焼結中における粉末m内部の温度分布を均一にすることができるから、焼結品の内部に焼結状態や密度のバラツキが生じることを防ぐことができ、焼結品の品質を向上することができる。
しかし、大型の焼結品(例えば、直径300mm以上)を焼結する場合、限られた電流値に対し、モールドからの発熱だけでは粉末の外周部の温度を十分に上昇させることができない可能性がある。すると、粉末外周部の温度が十分に高くならないまま、粉末m内部を自己発熱によって加熱することになり、粉末mの内部と粉末外周部の温度差が大きくなる可能性ある。かかる温度差が生じれば、製造された焼結品の内部に焼結状態や密度のバラツキが生じて、焼結品の品質が低下してしまう。
第2発明の通電加圧焼結装置の焼結型は、第1発明において、スペーサは、前記導電性領域が、該スペーサの中心軸に対して回転対称な形状となるように形成されていることを特徴とする。
第3発明の通電加圧焼結装置の焼結型は、第1または第2発明において、前記スペーサの非導電性領域は、前記被焼結粉末が焼結する温度では炭化する素材によって形成されていることを特徴とする。
第4発明の通電加圧焼結装置による焼結方法は、第1、第2または第3発明の通電加圧焼結装置の焼結型を使用した焼結方法であって、通電開始初期における加圧力を、焼結中の他の期間における加圧力よりも小さくすることを特徴とする。
第2発明によれば、スペーサの導電性領域が回転対称となるように設けられているので、被焼結粉末の断面内において通電経路の偏りが生じることを防ぐことができる。よってパンチとモールド間の接触抵抗の不均一による局部発熱を抑制することができるので、被焼結粉末内に部分的に強く加熱される領域ができることを防ぐことができる。すると、焼結中における被焼結粉末の断面内の温度を均一にできるから、所定の特性を有する焼結品を製造することができる。
第3発明によれば、スペーサの非導電性領域は被焼結粉末が焼結する温度では炭化するので、被焼結粉末が焼結温度に到達すると、被焼結粉末の断面全面に均一に電流を流すことができる。よって、被焼結粉末の焼結終期には、被焼結粉末の全体で発熱するので、焼結を促進することができる。
第4発明によれば、粉体の温度が低い焼結開始初期における粉末の抵抗を大きくできるので、粉末の発熱を促進でき、迅速に昇温させることができる。しかも、製造された焼結品の特性にばらつきが生じることを防ぐことができる。
図1において、符号80は本実施形態の通電加圧焼結装置の焼結型を示しており、符号mは本実施形態の焼結型80によって焼結される被焼結粉末を示している。
同図に示すように、本実施形態の通電加圧焼結装置の焼結型80(以下、単に本実施形態の焼結型80で示す)は、焼結型80および被焼結粉末mに対して通電を行いながら加圧することによって、導電性を有する被焼結粉末m(例えば、銅やニッケル等)を焼結するために使用されるものであり、後述する上下一対のパンチ82,83と被焼結粉末mとの間にスペーサ95を設けたことに特徴を有している。
このため、上方のパンチ82の下端部および下方のパンチ83の上端部を、前記モールド81の中空部分にそれぞれ挿入すれば、モールド81の中空部分に、モールド81の内面、パンチ82の下端およびパンチ83の上端で囲まれた空間を形成することができるのである。このモールド81の内面、パンチ82の下端およびパンチ83の上端に囲まれた空間が被焼結粉末mを収容する焼結室Aである。
図1に示すように、本発明の特徴であるスペーサ95は、上下一対の導電性シート96,96と、この上下一対の導電性シート96,96の間に配置された絶縁シート97とから構成されている。
そして、この絶縁シート97は、その厚さが、上下一対のパンチ82,83によって被焼結粉末mを加圧したときに、絶縁シート97を挟む上下一対の導電性シート96,96同士が絶縁シート97の存在しない部分で接触することができる程度の厚さに形成されている。例えば、絶縁シート97は、約0.2〜1.0mm程度、より好ましくは、約0.5mm程度の厚さに形成されている。
ついで、スペーサ95の上に所定の量の被焼結粉末mを配置し、この被焼結粉末mの上に、上下一対の導電性シート96,96の間に絶縁シート97を挟んだ状態のスペーサ95を配置する。このときにも、上下一対の導電性シート96,96および絶縁シート97の中心が、モールド81の中空部分の中心軸CLと一致するように配置する。
そして、モールド81の中空部分にパンチ82下端部を挿入すれば、被焼結粉末mの焼結準備が完了する。
この状態で上下一対のパンチ82,83間に電流が供給されると、絶縁シート97が設けられているスペーサ95の中央部分は電流が流れないが、スペーサ95の外周部分では、上下一対の導電性シート96,96を通って、上下一対のパンチ82,83と被焼結粉末mとの間に電流が流れる。
よって、焼結初期では、スペーサ95が無い場合に比べて、被焼結粉末mの自己発熱によって発生する熱量を大きくすることができるので、被焼結粉末mを迅速かつ十分に昇温させることができる。
しかし、スペーサ95を使用した本実施形態の焼結型80は、モールド81からの熱に加えて、被焼結粉末m自体の発熱でも被焼結粉末mの外周部を加熱することができるから、大型の焼結品を製造する場合であっても、焼結初期に被焼結粉末mの外周部の温度を十分に上昇させることができる。
このため、焼結時に上下一対の導電性シート96,96同士が接触する部分(図3(A)の導電性領域CA)は、モールド81の中空部分の中心軸を中心とするリング状になる。つまり、導電性領域CAは、モールド81の中空部分の中心軸に対して回転対称な形状となる(図3(A))。
すると、被焼結粉末mに電流が流れても、被焼結粉末mの断面内において通電経路の偏りが生じることを防ぐことができる。つまり、被焼結粉末mの外周部にほぼ均一な電流が流れるので、被焼結粉末mはモールド81の中空部分の中心軸周りにほぼ均一に発熱することになる。
よって、被焼結粉末m内において、その中心から等距離に位置する部分では、ほぼ均一に加熱されるので、被焼結粉末m内に部分的に強く加熱される領域ができることを防ぐことができる。したがって、所定の特性を有する焼結品を製造することができる。
一方、非導電性領域の面積は被焼結粉末mの素材や焼結品の大きさによって適切に設定する必要があるが、スペーサ95Bの場合、非導電性領域97の面積を調整することができないので、各焼結品ごとに専用のスペーサが必要になる。
しかし、スペーサ95を上下一対の導電性シート96,96と絶縁シート97とから構成すれば、一般的なシート状部材を加工して使用したり、市販品をそのまま使用したりすることができるので、焼結コストを抑えることができる。
さらに、通電開始初期における加圧力を、最終的に焼結に必要な加圧力よりも小さくすれば(焼結終期の20〜30%程度)、被焼結粉末m内の抵抗をより大きくできるので、被焼結粉末mの発熱をより促進でき、迅速に昇温させることができる。
そして、上下一対のパンチ82,83は、通常、冷却手段によって冷却されているが、上記のごとく上下一対のパンチ82,83の加圧力を小さくすれば、上下一対のパンチ82,83を介して被焼結粉末mから奪われる熱量も小さくできるので、好適である。
81 モールド
82 パンチ
83 パンチ
95 スペーサ
96 導電性シート
97 絶縁シート
A 焼結室
m 被焼結粉末
CA 導電性領域
IA 非導電性領域
Claims (4)
- 通電加圧焼結装置の焼結型であって、
該焼結型が、
中空部分を備えたモールドと、
該モールドの中空部分に挿入離脱自在に取り付けられた、電源に接続される上下一対のパンチと、
一対のスペーサと、を備えており、
前記モールドの中空部分において、該モールドと前記上下一対のパンチによって焼結室が形成されており、
前記一対のスペーサは、
前記上下一対のパンチと前記焼結室に収容された被焼結粉末との間にそれぞれ配置されるものであり、
各スペーサは、
中央部に非導電性領域を有し、外周部に導電性領域を有するものであって、
導電性素材からなる上下一対の導電性シートと、
該上下一対の導電性シート間に配置された、その外径が前記導電性シートより小さい絶縁性素材からなる絶縁シートとからなり、
該絶縁シートは、
該スペーサが前記被焼結粉末と前記パンチとの間に配置された状態においてその外周端縁が前記モールド内面と非接触状態となるように、前記上下一対の導電性シート間に配設されている
ことを特徴とする通電加圧焼結装置の焼結型。 - 該スペーサは、
前記導電性領域が、該スペーサの中心軸に対して回転対称な形状となるように形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の通電加圧焼結装置の焼結型。 - 前記スペーサの非導電性領域は、
前記被焼結粉末が焼結する温度では炭化する素材によって形成されている
ことを特徴とする請求項1または2記載の通電加圧焼結装置の焼結型。 - 請求項1、2または3記載の通電加圧焼結装置の焼結型を使用した焼結方法であって、
通電開始初期における加圧力を、焼結中の他の期間における加圧力よりも小さくする
ことを特徴とする通電加圧焼結装置による焼結方法。
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