JP6489775B2 - SiC成形体の製造方法及びSiC成形体の加工方法 - Google Patents

SiC成形体の製造方法及びSiC成形体の加工方法 Download PDF

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Description

本発明は、SiC成形体の製造方法及びSiC成形体の加工方法に関する。
SiC成形体(炭化ケイ素の焼結体)は、耐摩耗性や耐腐食性等に優れ、各種機械部品等へ広く用いられている。SiC成形体は、例えばSiC粉末、焼結助剤及び熱可塑性樹脂の混合物をプレス成形し、これを焼結することにより得ることができる。このような製造方法において、プレス成形性や得られる焼結体の緻密性を高めるため、前記混合物にさらに特定の成型用バインダー及び特定の離型剤を所定量添加する方法が提案されている(特許文献1参照)。また、焼結以外の製造方法として、炭化された樹脂成形体をケイ素原子を含むガス(SiO、Si蒸気、SiCl、SiH、SiHCl等)と反応させてSiC成形体を得る製造方法も提案されている(特許文献2参照)。
特開平5−319905号公報 特開平10−45477号公報
しかし、緻密性の高い成形体は耐磨耗性等が高まるものの、高強度となっているため焼結後の機械加工(研磨、切削等)が容易ではない。特に、焼結助剤を添加して得られたSiC成形体では、電気伝導率が1014Ωcmオーダーと非常に低いため放電加工機を用いた精密加工を施すことができず、SiC成形体の利用分野の拡大を妨げている。
また、離型性を高めるために、型内部にアルミホイル等を敷いてプレス成形することがあるが、この場合、成型物表面に皺が生じる。そこで、研磨等により表面の皺を容易に取り除くためにも、プレス成形後に容易に機械加工ができることが望まれている。更に、プレス成形による場合、屈曲管状構造や、その他複雑な形状の成形体を得ることは容易でなく、得られる成形体のサイズや形状に制約が生じるという問題がある。
一方、炭化された樹脂成形体をケイ素ガス等と反応させる場合、反応が成形体表面のみで生じやすく、炭化された樹脂成形体の内部にまでケイ素ガス等を十分に浸透させて反応させることは容易でない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、緻密性が高く複雑な形状の成形体も得ることができ、機械加工、放電加工や集束イオンビーム(FIB)加工等の精密加工を容易に施すことができるSiC成形体の製造方法、及びSiC成形体の加工方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う第1の発明に係るSiC成形体の製造方法は、SiCを含有するSiC成形体の製造方法において、
SiC粉末及び有機物を含む有機物成形体の加熱により前記有機物を炭化させ、炭化成形体を得る炭化工程と、
前記炭化成形体及びフェロシリコンを一の密閉空間内で加熱し、加熱により溶融した前記フェロシリコンを前記炭化成形体に浸透させ、前記炭化成形体中の炭素と前記フェロシリコン中のシリコンとを反応させてSiCを生成し前記SiC成形体を形成する反応工程とを有し、
前記反応工程では、生成するSiCを介して前記炭化成形体中のSiC粉末同士を焼結させ、連続したSiCネットワークを形成すると共に、該SiCネットワークの周囲に、前記炭素と反応せずに残存した前記フェロシリコンのシリコン中に前記フェロシリコン中の鉄が点在するフェロシリコン部を存在させて、前記SiC成形体を形成する。
炭化成形体では、有機物成形体を構成していたSiC粉末の充填状態が略維持され、SiC粉末同士の接触を主体とする(部分的に、有機物が炭化した炭素(カーボン)を介したSiC粉末同士の接触が存在する)SiC粉末連続体が形成され、SiC粉末連続体の周囲には有機物が炭化した炭素が存在し、更に、SiC粉末連続体及び炭素の外側には、炭化成形体の外部と通じる空隙が存在している。
このため、炭化成形体及びフェロシリコンを一の密閉空間内で加熱して、溶融したフェロシリコンと炭化成形体が接触すると、溶融フェロシリコンは炭化成形体の空隙内に浸透する。その結果、空隙内の溶融フェロシリコン中のシリコンが炭化成形体中の炭素と接触すると反応してSiCが生成するので、生成するSiCを介して炭化成形体中のSiC粉末同士が焼結することになって、連続するSiCネットワーク(SiCネットワーク)が形成される。SiCが生成することにより炭化成形体中の炭素量は徐々に減少するので、炭化成形体中の炭素が消失した時点でSiCが生成する反応は停止する。従って、密閉空間内での加熱を停止すると、SiCネットワークと、SiCネットワークの周囲に存在し、フェロシリコンのシリコンが炭素と反応して除去されて形成された鉄粒子が、炭素と反応せずにそのまま残存した(即ち、未反応の)シリコン中に点在するフェロシリコン部とを有するSiC成形体が得られる。SiC成形体中にSiCネットワークが存在することで、SiC成形体は炭化成形体と比較して、強度及び硬度が飛躍的に向上する。更に、SiCネットワークの周囲を充填するフェロシリコン部が存在することで、SiC成形体は緻密になると共に、SiCネットワークの強度が補強される。
第1の発明に係るSiC成形体の製造方法において、前記反応工程の前記密閉空間を30Pa以下の減圧状態に保持することが好ましい。
減圧状態(略真空雰囲気下)で反応工程を行うと、炭化成形体中の空気は脱気されているため、溶融フェロシリコンは炭化成形体全体に速やかにかつ均一に浸透し、フェロシリコン中のシリコンが炭化成形体中の炭素と反応する。ここで、密閉空間の雰囲気圧が30Paを超えると、炭化成形体の脱気が不十分になると共に、炭化成形体の表層は密閉空間に残留する空気(酸素)により酸化され、溶融フェロシリコンの炭化成形体中への浸透が悪くなる。一方、炭化成形体中では、炭化成形体中の炭素が炭化成形体中に残留する空気(酸素)により酸化されるため、炭化成形体中における炭素とシリコンとの反応により生成するSiC量が低下する。その結果、SiC成形体内に連続するSiCネットワークが形成され難くなり、SiCネットワークの周囲をフェロシリコン部で充填することも困難になって、得られるSiC成形体の強度及び緻密性が低下する。
そこで、密閉空間雰囲気を30Pa以下、好ましくは10Pa以下にすることで、炭化成形体の脱気が十分に行われ、炭化成形体の表層の酸化が防止されて溶融フェロシリコンが炭化成形体全体に均一に浸透することができると共に、炭化成形体内の炭素の酸化(炭素の減少)が防止されるのでSiCの生成効率が向上する。これにより、SiC成形体内には、連続するSiCネットワークと、SiCネットワークの周囲を充填するフェロシリコン部が存在することになって、強度、硬度、及び緻密性に優れたSIC成形体を効率的に得ることができる。
第1の発明に係るSiC成形体の製造方法において、前記有機物成形体が炭素粉末を更に含むことが好ましい。
このように炭化前の有機物成形体に炭素粉末を含ませておくことで、炭化成形体の加工性を維持しつつ炭素含有量を高めることができる。その結果、連続するSiCネットワークの形成が促進され、得られるSiC成形体の強度及び硬度を更に高めることができる。
第1の発明に係るSiC成形体の製造方法において、前記有機物が熱硬化性樹脂であることが好ましい。
熱硬化性樹脂を用いることで、プレス成形等により容易に成形を行うことができ、また炭化工程の際の形状変形を抑制することができる。
第1の発明に係るSiC成形体の製造方法において、前記SiC粉末及び前記熱硬化性樹脂を少なくとも含む原料の加熱プレス成形により、前記有機物成形体を得る成形工程を更に有することが好ましい。
加熱プレス成形を行うことで、任意の形状の有機物成形体を比較的容易に得ることができる。
第1の発明に係るSiC成形体の製造方法において、前記反応工程の前に、前記炭化成形体に機械加工を施す加工工程を更に有することが好ましい。
反応工程前の炭化成形体は脆く、機械加工(研磨、研削、切削等)が容易である。従って、このように加工工程を有することで、複雑な又は精密な形状のSiC成形体を比較的容易に得ることができる。
第1の発明に係るSiC成形体の製造方法において、前記加工工程における機械加工が、前記炭化成形体の表面の少なくとも一部の研磨であり、前記反応工程を、複数の前記炭化成形体を用い、前記加工工程にて研磨された該各炭化成形体の表面同士を接触させた状態で行うことが好ましい。
これによって、面接触する領域の面積を広くして、反応工程において強い結合が生じる領域を拡大することができる。その結果、炭化成形体からそれぞれ形成されるSiC成形体同士の接合強度を向上させることができ、例えば、管構造、分岐管等のプレス成形では成形困難な形状の成形体を容易かつ効率的に得ることができる。
第1の発明に係るSiC成形体の製造方法において、前記有機物成形体が、融点が前記フェロシリコンの融点を超える金属製中子を更に含み、前記反応工程以降に、前記SiC成形体を前記金属製中子と共に該金属製中子の融点以上SiCの融点未満の温度域で加熱し、前記金属製中子を溶融させて前記SiC成形体から除去する除去工程を更に有することが好ましい。
また、前記有機物成形体が、融点が前記フェロシリコンの融点を超えると共に酸又はアルカリに可溶な金属製中子を更に含み、前記反応工程以降に、前記SiC成形体を前記金属製中子と共に酸又はアルカリに接触させ、前記金属製中子を溶解させて前記SiC成形体から除去する除去工程を更に有してもよい。
このようにすることで、空洞部等を有するSiC成形体を効率的に得ることができる。
前記目的に沿う第2の発明に係るSiC成形体の加工方法は、第1の発明に係るSiC成形体の製造方法により得られるSiC成形体に、放電加工及び集束イオンビーム加工のいずれか一方又は双方を施す
iC成形体は、SiC粉末同士が焼結して連続したSiCネットワークを有し、該SiCネットワークの周囲に、シリコン中に鉄が点在するフェロシリコン部が存在する。
iC成形体において、切削加工用チップ、アルミニウム繊維製造用ノズル、又はレンズ用精密型の加工素材とすることができる。
SiC成形体中には連続するSiCネットワークが存在するので、硬さ、緻密さが向上する。
また、SiCネットワークの周囲に、フェロシリコンのシリコンが炭素と反応して除去されて形成された鉄粒子が、炭素と反応せずにそのまま残存したシリコン中に点在するフェロシリコン部が存在するので、電気伝導度が向上する。これにより、例えば、SiC成形体の放電加工や集中イオンビーム加工(FIB加工)が可能となり、切削加工用チップ、アルミニウム繊維製造用ノズル、又はレンズ用精密型等の精密加工を容易に行うことができる。
第1の発明に係るSiC成形体の製造方法によれば、反応工程前に、強度が高くない炭化成形体に対して機械加工を容易に施すことなどができ、複雑な形状の成形体を得ることができる。更に、反応工程において生成するSiCによりSiC粉末間の焼結が進行するため、得られるSiC成形体の焼結収縮が小さくなって、複雑な形状物でもニアネットシェイプに製造することができる。
iC成形体によれば、炭化成形体中の炭素とフェロシリコン中のシリコンとの反応により生成するSiCを介して炭化成形体中に存在するSiC粉末同士が焼結(連結)するので、SiC成形体中に連続するSiCネットワークが存在することになって、強度及び硬度が向上する。更に、SiCネットワークの周囲を充填するようにフェロシリコン部が存在するので、SiC成形体は緻密になると共に、SiCネットワークの強度が補強される。
更に、SiC成形体中に連続するSiCネットワークの周囲に、フェロシリコンのシリコンが炭素と反応して除去されて形成された鉄粒子が、炭素と反応せずにそのまま残存したシリコン中に点在するフェロシリコン部が存在することにより、SiC成形体の電気伝導率が向上して放電加工が可能になるので、SiC成形体を用いて、複雑な形状物を容易に作製することが可能になる。
本発明の第1の実施の形態に係るSiC成形体の製造方法を示すフロー図である。 (A)は同SiC成形体の製造方法における成形工程で得られる有機物成形体を示す模式図であり、(B)は炭化工程で得られる炭化成形体を示す模式図であり、(C)は反応工程に供する状態の炭化成形体を示す模式図である。 本発明の第2の実施の形態に係るSiC成形体の製造方法を示すフロー図である。 (A)は同SiC成形体の製造方法における成形工程で得られる有機物成形体を示す模式図であり、(B)は得られるSiC成形体を示す模式図である。 本発明の第3の実施の形態に係るSiC成形体の製造方法を示すフロー図である。 同SiC成形体を加工素材としてレンズ成形型を製造する方法の説明図である。 同SiC成形体を加工素材として細胞培養マイクロチップ成形型を製造する方法の説明図である。 同SiC成形体を加工素材としてアルミニウム繊維射出型を製造する方法の説明図である。
続いて、添付した図面を参照しながら本発明を具体化した実施の形態について説明する。
<第1の実施の形態:SiC成形体の製造方法>
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るSiC成形体の製造方法は、SiC(炭化ケイ素)粉末及び有機物を含む有機物成形体を作製する成形工程と、有機物成形体を加熱して含まれる有機物を炭化させて炭化成形体を得る炭化工程と、炭化成形体の機械加工を行う加工工程と、機械加工された炭化成形体及びフェロシリコンを一の密閉空間内で加熱し、加熱により溶融したフェロシリコンを炭化成形体に浸透させて、フェロシリコン中のシリコンと炭化成形体中の炭素との反応により生成するSiCを介して炭化成形体中のSiC粉末同士を焼結させてSiC成形体を形成する反応工程とを有する。
ここで、SiC成形体とは、SiCを主成分とする、例えば、SiCの含有率が90質量%以上の成形体であり、残部は、例えば、フェロシリコン等のSiC以外の成分である。
(成形工程)
本工程においては、原料の加熱プレス成形により、図2(A)に示すように、所望の形状の有機物成形体10(SiC粉末と有機物を含有する成形体)を得る。加熱プレス成形を行うことで、任意の形状の有機物成形体10を比較的容易に得ることができる。この加熱プレス成形に供する原料は、SiC粉末及び熱硬化性樹脂(有機物の一例)を少なくとも含み、更に炭素粉末を含むことが好ましい。炭素粉末を更に含有させることで、加熱プレス成形時にSiC粉末同士の滑りを促進することができ、SiC粉末の充填性を更に高めることができる。
SiC粉末の充填性が向上すると、有機物成形体の強度及び有機物を炭化させて得られる炭化成形体の強度をそれぞれ高めることができ、有機物成形体及び炭化成形体の取り扱いが容易になって、炭化工程、加工工程、及び反応工程における作業性が向上する。更に、SiC粉末の充填性が向上すると、反応工程において生成するSiCによるSiC粉末間の焼結が促進されて連続する強固なSiCネットワークが形成される。
有機物成形体10の形状としては特に限定されず、所望する最終的なSiC成形体の形状に応じて適宜設定すればよい。例えば、図2(A)に示すような円筒を軸方向に二分割した形状とすることができる。この場合、後工程で順に説明するように円筒状のSiC成形体を得ることができる。
SiC粉末は、α型SiC、β型SiCなど、特に限定されず、公知のものを用いることができる。SiC粉末の平均粒径としては、特に制限されず例えば0.05μm以上50μm以下程度とすることができ、0.3μm以上10μm以下が好ましい。原料に占めるSiC粉末の含有量(固形分換算、以下他の成分も同様)としては、例えば30質量%以上99質量%以下とすることができ、50質量%以上90質量%以下が好ましい。SiC粉末の含有量が少なすぎると緻密性の高い成形体が得られ難くなる場合がある。逆に、SiC粉末の含有量が多すぎると、有機物成形体10の成形性が低下する場合がある。
なお、SiC粉末は、複数の粒度範囲を有するSiC粉末を所定の割合で組合わせて使用することもできる。これによって、成形体中のSiC粉末の充填性を更に高めることができる。
熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えばフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができ、これらの中でもフェノール樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂は粉末状のものを用い、SiC粉末と混合させることが好ましい。粉末状のものを用いることで、均一に混合することができる。粉末状の熱硬化性樹脂の平均粒径としては、特に制限されず例えば0.05μm以上50μm以下程度とすることができ、0.3μm以上10μm以下が好ましい。原料に占める熱硬化性樹脂の含有量としては、例えば1質量%以上50質量%以下とすることができ、10質量%以上30質量%以下が好ましい。熱硬化性樹脂の含有量が少なすぎると、成形性が低下する場合がある。逆に熱硬化性樹脂の含有量が多すぎると、得られる成形体の緻密性が低下するおそれがある。
炭素粉末は、いわゆるカーボンブラック等、公知のものを用いることができる。炭素粉末の平均粒径としては、特に限定されず、例えば0.05μm以上50μm以下程度とすることができ、0.3μm以上10μm以下が好ましい。原料に占める炭素粉末の含有量としては、例えば1質量%以上30質量%以下とすることができ、5質量%以上20質量%以下が好ましい。炭素粉末の含有量が少なすぎると緻密性を高める効果が十分に発揮されない場合がある。逆に、炭素粉末の含有量が多すぎると、有機物成形体10の成形性が低下する場合がある。
また、SiC粉末、熱硬化性樹脂粉末及び炭素粉末の平均粒径が全て、0.05μm以上50μm以下であることが好ましく、0.3μm以上10μm以下であることがより好ましい。このように各粉末の粒径を所定範囲とすることで均一混合性が高まり、均一な性情の成形体を得ることができる。
なお、この原料には、その他の成分、例えば熱硬化性樹脂以外の有機物、硬化促進剤、離型剤等が含有されていてもよい。
加熱プレス成形は、公知の加熱プレス機を用いて行うことができる。加熱プレス成形の条件としては特に限定されず、用いる熱硬化性樹脂の特性等に応じて適宜設定することができる。例えば、熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂を用いる場合、加熱温度を150℃以上200℃以下とすることができる。また、プレス成形の際の圧力としては、例えば5MPa以上100MPa以下とすることができる。
(炭化工程)
本工程においては、成形工程で得られた有機物成形体10の加熱により、有機物成形体10中の有機物(熱硬化性樹脂)を炭化させ、炭化成形体(炭化物を含有する成形体)11を得る(図2(B)参照)。
この炭化は、公知の炭化炉等を用いて行うことができる。炭化の際の加熱温度としては、有機物成形体10中の有機物が炭化する温度であれば特に限定されず、例えば800℃以上1000℃以下とすることができる。炭化の際の加熱時間としては、十分に炭化がなされる時間であれば特に限定されず、有機物成形体10のサイズ等に応じて適宜調整すればよいが、例えば30分以上6時間以下程度とすることができる。この炭化は、通常、不活性ガス(窒素ガス、希ガス等)雰囲気下で行われ、希ガス下が好ましく、アルゴンガス下がより好ましい。また、炭化の際の雰囲気圧としては特に制限されず、大気圧でよい。
(加工工程)
本工程においては、炭化工程によって得られた炭化成形体11に対して、必要に応じて機械加工を施す。機械加工としては、工具や加工機械を用いて行う加工であれば特に限定されず、切削、穴(孔)開け、研削、研磨等を挙げることができる。炭化成形体11は、SiC粉末同士の焼結が生じてなく、熱硬化性樹脂由来の炭化物(炭素)を含有しているので快削性に優れる。従って、炭化成形体11に対して、金属加工に使用する刃物及び加工機械を用いて加工機械を行うことができ、複雑な形状への加工(細かい切削や穴(孔)開け等)や、精密な形状への加工(寸法精度や平滑性の高い研削等)等を比較的容易に行うことができる。
ここで、図2(B)に示した炭化成形体11に対しては、円筒を軸方向に二分割したときの断面に相当する端面12(表面の一部であり、反応工程において互いに接合させる接合面)を研磨する(図2(B)参照)。この端面12の平滑性を高めることで、次の反応工程における接合性を高めることができる。なお、炭化成形体11における端面12以外の表面も、必要に応じ、切削、研削、穴(孔)開け(ドリル加工)等を施してよい。
(反応工程)
本工程においては、炭化成形体11とフェロシリコンとを一の密閉空間内で、好ましくは減圧(略真空)状態で加熱する。これにより、炭化成形体11中の空気は脱気され、加熱によりフェロシリコンが溶融すると、溶融したフェロシリコンは炭化成形体11に接触し脱気された炭化成形体11内に容易に浸透(炭化成形体11内の空隙に浸入)することができる。そして、炭化成形体11中の空隙内を満たしたフェロシリコン中のシリコンは、炭化成形体11中の炭素と反応し、炭化成形体11中で炭化珪素(SiC)が生成する。これにより、炭化成形体11中のSiC粉末同士は生成したSiCを介して焼結してSiCネットワークを形成しSiC成形体が得られる。なお、SiCネットワークの隙間は、フェロシリコンで充填される。
具体的には、図2(C)に示すように、端面12を研磨した2つの炭化成形体11を用い、端面12同士を重ねて(接触させて)円筒状にした状態で反応工程に供する。このようにすることで、端面12上においても炭化成形体11の炭素と浸入したフェロシリコン中のシリコンとが反応しSiCが生成するため、重ね合わせた端面12(接合面)同士が結合する。
なお、炭化成形体11の端面12同士は密接状態に保持されることが好ましく、必要に応じて炭化成形体11同士を押圧状態としてもよい。また、カーボンブラック等の炭素微粉を介して複数の炭化成形体11の端面12同士を密接させることも可能である。
フェロシリコンとは鉄と珪素との合金(例えば、Si:20〜90質量%、Fe:10〜80質量%)であって、その他微量の元素(C、P、S、Al等)を含んでいる。フェロシリコンは、鉄鋼の製造に用いる還元剤、脱酸剤、造さい剤又は合金成分添加剤として広く用いられており、融点は1200〜1400℃である。フェロシリコンとしては、例えばJIS G2302:1998で規定される1号、2号、3号等を用いることができる。これらの中でも、比較的一般的かつ珪素含有量の高いフェロシリコン2号(Si:75〜80質量%)が好ましい。フェロシリコンは、粉末状又は粒状物の市販品を用いることができ、安価に入手できる。
フェロシリコンの使用量は、特に限定されず、共に加熱する炭化成形体11の量(炭化成形体11中の炭素の量)に応じて調整すればよい。例えば、100質量部の炭化成形体11に対して、5質量部以上50質量部以下が好ましい。また、炭化成形体11中の炭素100質量部に対して、60質量部以上300質量部以下が好ましく、90質量部以上200質量部以下がより好ましい。
炭化成形体11とフェロシリコンとは例えば真空炉中に、互いに接触した状態で配置した方がよいが、離間させて溶融したフェロシリコンが炭化成形体11に接触するように配置してもよい。炭化成形体11とフェロシリコンとを接触した状態で配置する場合、炭化成形体11の最上部にフェロシリコンを載置するのがよい。このようにすることで、加熱溶融したフェロシリコンを重力で炭化成形体11内部に(下方に)向かって速やかに浸透させることができる。一方、フェロシリコンを炭化成形体11の下側に配置した場合、炭化成形体11の下側は溶融したフェロシリコンに浸漬されることになって、溶融したフェロシリコンは毛細管現象で徐々に炭化成形体11内部に浸透(炭化成形体11内部を上昇)する。
なお、反応工程において、炭化成形体11の空隙内に浸透したフェロシリコン中のシリコンは炭素と反応して消費され、炭化成形体11の空隙内にはフェロシリコン中の鉄が未反応のシリコンと共に残存することとなるが、性能等に特別に負の影響を与える範囲ではない。逆に、鉄等を残存させることが、緻密なSiC成形体を得ることができる要因の一つであるとも推測される。
密閉空間の減圧(略真空)状態としては、30Pa以下が好ましく、10Pa以下がさらに好ましい。減圧状態(略真空雰囲気)下で反応工程を行うと、炭化成形体11中の空気は脱気されているため、溶融したフェロシリコンは炭化成形体11全体に速やかにかつ均一に浸透することができ、フェロシリコン中のシリコンが炭化成形体11中の炭素と効率的に反応できる。ここで、密閉空間の雰囲気圧が30Paを超えると、炭化成形体11中の空気の脱気が不十分となって、溶融フェロシリコンの炭化成形体11中への浸透性が低下すると共に炭化成形体11中の炭素が炭化成形体11中の残留空気(酸素)に酸化されて炭化成形体11中の炭素量が減少すること、炭化成形体11の表層が密閉空間の残留空気にそれぞれ酸化され、炭化成形体11に対する溶融フェロシリコンの濡れ性が低下すると共にフェロシリコン中には反応生成物(酸化ケイ素、酸化鉄等)が混入し溶融フェロシリコンの炭化成形体11中への浸透が阻害されることになって、炭化成形体11中の炭素とシリコンとの反応効率(SiCの生成効率)が低下するので好ましくない。
なお、密閉空間内を、減圧(略真空)とする代わりに不活性ガス雰囲気としてもよい。不活性ガスとしては、窒素ガス、希ガス類等を用いることができ、アルゴンガスがより好ましい。
反応工程における加熱温度としては、フェロシリコンの融点以上であればよいが、フェロシリコンの融点近傍、例えば、1200℃以上1400℃以下(但し、フェロシリコンの融点以上)が好ましい。加熱温度が高すぎると形状の変形等が生じる虞がある。
反応工程における加熱時間としては、例えば0.1時間以上2時間以下が好ましい。加熱時間が短すぎると、溶融したフェロシリコンが炭化成形体11内部全体に浸透せずに十分に反応が進行しない虞があり、加熱時間が長すぎると形状の変形等が生じるおそれがある。
なお、反応工程を経たSiC成形体は必要に応じて、例えば最終的な機械加工(例えば、研削処理や研磨処理)等の後処理を施してもよい。
<第2の実施の形態:SiC成形体の製造方法>
図3に示すように、本発明の第2の実施の形態に係るSiC成形体の製造方法は、成形工程、炭化工程、加工工程、反応工程及び除去工程を有する。
(成形工程)
図4(A)に示すように、第2の実施の形態における成形工程においては、空洞部22を有するSiC成形体23を形成するための金属製中子21を原料に封入した状態で加熱プレス成形を行う。このようにすることで、金属製中子21を含む有機物成形体20を得ることができる。なお、金属製中子21の一部は、有機物成形体20表面に露出していてもよいし、露出していなくてもよい。金属製中子21を用いること以外は、第1の実施の形態の成形工程と同様である。
金属製中子21に使用する素材の融点は、反応工程でフェロシリコンを溶融する際の加熱温度を超える必要があり、例えば、1400℃超、更には1500℃以上が好ましい。これにより、反応工程においても金属製中子21の形状をそのまま維持することができると共に、反応工程において金属製中子21が溶融して炭化成形体内部に浸透することを防止できる。このような金属としては、例えば鉄(融点1539℃)、コバルト(融点1478℃)、クロム(融点1900℃)、ニッケル(融点1455℃)等を挙げることができる。
金属製中子21は、円柱状のものを用いているが、この形状に限定されず、所望する空洞部22の形状に応じて適宜設定すればよい。また、成形工程で金属製中子21に外力が作用しない場合、金属製中子21に外力が作用しても変形を防止することが可能な場合、金属製中子21を繊維状とすることもできる。なお、貫通した形状の空洞部22(孔部)の代わりに、貫通していない凹状の空洞部(穴部)を形成することもできる。
(炭化工程、加工工程及び反応工程)
第2の実施の形態における炭化工程、加工工程及び反応工程は、第1の実施の形態と同様である。但し、金属製中子21が表面に露出していない場合、加工工程において研削等により金属製中子21の一部を露出させる。
(除去工程)
反応工程を経て得られたSiC成形体から金属製中子21を除去する工程であって、SiC成形体を金属製中子21の露出面が下向きとなるように配置し、真空下又は非酸化性雰囲気下で金属製中子21の融点以上SiCの融点未満の温度で加熱し、溶融した金属製中子21をSiC成形体から流出させる。
ここで、金属製中子を、融点がフェロシリコンの融点(反応工程でフェロシリコンを溶融する際の加熱温度)を超えると共に酸又はアルカリに可溶な特性を有する素材で形成することもできる。この場合、SiC成形体を酸性水溶液又はアルカリ性水溶液に浸漬することにより酸性水溶液又はアルカリ性水溶液を露出面を介して金属製中子と接触させ、金属製中子を酸性水溶液又はアルカリ性水溶液中に溶解させてSiC成形体から除去する。このような金属としては、例えば鉄(融点1539℃)、コバルト(融点1478℃)、クロム(融点1900℃)、ニッケル(融点1455℃)等を挙げることができる。
このように第2の実施の形態に係る製造方法においては、金属製中子21を用いることで、図4(B)に示すように、空洞部22を有するSiC成形体23を効率的に得ることができる。
<第3の実施の形態:SiC成形体>
本発明の第3の実施の形態に係るSiC成形体は、本発明の第1又は第2の実施の形態に係るSiC成形体の製造方法により得られるSiC成形体であって、反応工程で生成するSiCを介して炭化成形体中のSiC粉末同士が焼結して形成される連続するSiCネットワークを有している。ここで、第2の実施の形態に係るSiC成形体の製造方法は、第1の実施の形態に係るSiC成形体の製造方法と比較して、有機物成形体を作製する際に金属性中子21を用いることが特徴となっており、得られるSiC成形体の特性に差は生じない。このため、第1の実施の形態に係るSiC成形体の製造方法により得られるSiC成形体について説明する。
反応工程においては、炭化成形体11中に溶融したフェロシリコンが浸透し、炭化成形体11に含まれる炭素とフェロシリコン中のシリコンとが反応して生成するSiCにより、炭化成形体11に含まれるSiC粉末間の焼結が進行する。このため、炭化成形体11を基準として、得られるSiC成形体の焼結収縮は非常に小さく(例えば、収縮率は5%以下、好ましくは0.1%程度)なる。また、機械加工した炭化成形体11同士を接触させた接合状態で反応工程に供すると、炭化成形体11同士が接合された状態と略等しい形状のSiC成形体が得られる。従って、プレス成形では困難な複雑形状及び高い寸法精度を有するSiC成形体をニアネットシェイプに製造することができる。
SiC成形体中には、反応工程において生成するSiCにより炭化成形体11中のSiC粉末間の焼結が進行して連続する強固なSiCネットワークが形成され、強固なSiCネットワークとSiCネットワークの周囲を充填するフェロシリコン部とを有するSiC成形体が得られる。これにより、SiC成形体は、高緻密性、高強度、高硬度となる。なお、SiC成形体中のフェロシリコン部は、炭化成形体11内に浸透した当初のフェロシリコンと比較して、シリコンがSiCの生成により消費されるため鉄の含有率は向上している。更に、SiC成形体中のSiCネットワークの周囲には、フェロシリコンのシリコンが炭素と反応して除去されて形成された鉄粒子が、炭素と反応せずにそのまま残存したシリコン中に点在するフェロシリコン部が存在しているので、SiC成形体は高い電気伝導率(例えば、10−3Ωcmオーダー)を有することになる。その結果、焼結助剤を用いたSiC成形体(焼結体)では電気伝導率が、例えば、1014Ωcmオーダーとなって放電加工することができないが、第3の実施の形態のSiC成形体では放電加工が可能になると共に、集束イオンビーム加工も可能になって精密加工を容易に行うことができる。
例えば、図5に示すように、炭化工程と反応工程の間に加工工程(以下、第1の加工工程という)を設け、更に、反応工程の後に仕上げ加工を行う加工工程(以下、第2の加工工程という)を設けることにより、トータルの加工負担を軽減して複雑、高精度の形状を有する製品を容易に製造することが可能になる。
例えば、図6に示すように、精密レンズ成形物24を製造するレンズ成形型(レンズ用精密型)25を製造する場合、炭化工程で得られた炭化成形体26に第1の加工工程において加工機械を用いて炭化成形体26の形状を整えると共に球面状の窪み27を形成した後、反応工程によりSiC成形体28を製造する。次いで、第2の加工工程の前段において機械加工によりSiC成形体28の形状を整え、必要に応じて窪み27の表面を研磨した後、第2の加工工程の後段においてガリウムイオン29の集束イオンビーム30をSiC成形体28の窪み27の表面に照射する集束イオンビーム加工を施して表面の凹凸を除去する。これにより、レンズ成形面31が形成されたレンズ成形型25を得ることができる。
また、図7に示すように、細胞培養マイクロチップ32を製造する細胞培養マイクロチップ成形型33を製造する場合、炭化工程で得られた炭化成形体に第1の加工工程において加工機械を用いて炭化成形体の形状を整えた後、反応工程によりSiC成形体34を製造する。次いで、第2の加工工程の前段において機械加工によりSiC成形体34の形状を整えると共に放電加工により溝部35が一面側に形成されたSiC成形体36を形成した後、第2の加工工程の後段において集束イオンビーム加工を施し溝部35が形成された側の表面の凹凸を除去する。これにより、細胞培養マイクロチップ32の培養部パターンが転写された細胞培養マイクロチップ成形上型37を得ることができ、細胞培養マイクロチップ成形上型37と対となる細胞培養マイクロチップ成形下型38を別途製造することにより、細胞培養マイクロチップ成形型33が得られる。
更に、図8に示すように、アルミニウムの射出口39が並べて形成されたアルミニウム繊維射出型(アルミニウム繊維製造用ノズル)40を製造する場合、炭化工程で得られた炭化成形体に第1の加工工程において加工機械を用いて炭化成形体の形状を整えた後、反応工程によりSiC成形体41を製造する。次いで、第2の加工工程の前段において機械加工によりSiC成形体41の形状を整えると共に放電加工により射出口39の下加工部42が一面側に形成されたSiC成形体43を形成した後、第2の加工工程の後段において集束イオンビーム加工を施し下加工部42の表面の凹凸を除去して射出口39を形成する。これにより、射出口39が並べて形成されたアルミニウム繊維射出型40が得られる。
本発明は前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲でその構成を変更することもできる。例えば、有機物は熱硬化性樹脂に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂であってもよく、その他パルプ繊維等の天然物であってもよい。
また、反応工程において複数の炭化成形体を接合させず、一の炭化成形体を機械加工してそのまま反応工程に供してもよい。
以下、実施例を挙げて、本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
SiC粉末(平均粒径3μm)73質量%、炭素粉末(平均粒径1μm)11質量%及びフェノール樹脂粉末(平均粒径2.5μm)15質量%を混合し、加熱プレス成形に供する原料を得た。公知のプレス機を用い、得られた原料を20MPa、150〜200℃の加圧加熱条件でプレス成形し、有機物成形体を得た。なお、有機物成形体は、円筒を軸方向に2分割した形状のもの(断面視して、外周及び内周が半径が異なる同心の半円で形成されている)を2個成形した。
2つの有機物成形体を公知の炭化炉により炭化させた。この炭化は、アルゴン雰囲気中の大気圧下で、800〜1000℃の範囲で2.5時間加熱して行った。そして、得られた炭化成形体の軸方向に沿った端面同士を合わせた際に、端面同士が密接するように、各炭化成形体の端面を研削(研磨)した。
炭化成形体の研磨した端面同士を重ね合わせて形成される円筒を、軸方法が水平となるように公知の真空炉内に配置し、円筒上部にフェロシリコン粒を載置した。ここで、フェロシリコン(Si:75質量%、Al:1〜2質量%、P:微量、Fe:残部)の量は、炭化成形体100質量部に対して26質量%とした。
そして、真空炉を10Paに減圧して1400℃まで加熱し、1400℃で0.5時間保持した。この加熱によりフェロシリコンが溶融し、溶融したフェロシリコンは円筒を構成している炭化成形体内に浸透し、炭化成形体中の炭素(炭素粉末とフェノール樹脂が炭化した炭素)と反応してSiCを生成する。これにより、生成したSiCを介して炭化成形体中のSiC粉末間、対向する端面にそれぞれ露出している(存在する)SiC粉末間の焼結が進行して円筒形状のSiC成形体が得られる。
本発明に係るSiC成形体の製造方法並びにその加工方法は、複雑形状の機械部品を分割してパーツ化し、各パーツの基になる部材を作製し、組み合わせることで、高強度、高硬度、耐摩耗性、耐腐食性等が要求される機械部品及びその製造方法に好適に用いることができる。また、パーツの基になる部材を成形する際に使用する金属性中子として金属細線を用いれば、極めて細い孔が開いた部材を作製することができるので、SiC製の繊維製造用型部材を安価かつ容易に製造できる。
更に、SiC成形体は、高強度及び高硬度というSiC成形体の特性を活かして、例えば、切削加工用チップを製造するための加工素材としても利用できる。
10:有機物成形体、11:炭化成形体、12:端面、20:有機物成形体、21:金属製中子、22:空洞部、23:SiC成形体、24:精密レンズ成形物、25:レンズ成形型、26:炭化成形体、27:窪み、28:SiC成形体、29:ガリウムイオン、30:集束イオンビーム、31:レンズ成形面、32:細胞培養マイクロチップ、33:細胞培養マイクロチップ成形型、34:SiC成形体、35:溝部、36:SiC成形体、37:細胞培養マイクロチップ成形上型、38:細胞培養マイクロチップ成形下型、39:射出口、40:アルミニウム繊維射出型、41:SiC成形体、42:下加工部、43:SiC成形体

Claims (10)

  1. SiCを含有するSiC成形体の製造方法において、
    SiC粉末及び有機物を含む有機物成形体の加熱により前記有機物を炭化させ、炭化成形体を得る炭化工程と、
    前記炭化成形体及びフェロシリコンを一の密閉空間内で加熱し、加熱により溶融した前記フェロシリコンを前記炭化成形体に浸透させ、前記炭化成形体中の炭素と前記フェロシリコン中のシリコンとを反応させてSiCを生成し前記SiC成形体を形成する反応工程とを有し、
    前記反応工程では、生成するSiCを介して前記炭化成形体中のSiC粉末同士を焼結させ、連続したSiCネットワークを形成すると共に、該SiCネットワークの周囲に、前記炭素と反応せずに残存した前記フェロシリコンのシリコン中に前記フェロシリコン中の鉄が点在するフェロシリコン部を存在させて、前記SiC成形体を形成することを特徴とするSiC成形体の製造方法。
  2. 請求項1記載のSiC成形体の製造方法において、前記反応工程の前記密閉空間を30Pa以下の減圧状態に保持することを特徴とするSiC成形体の製造方法。
  3. 請求項1又は2記載のSiC成形体の製造方法において、前記有機物成形体が炭素粉末を更に含むことを特徴とするSiC成形体の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のSiC成形体の製造方法において、前記有機物が熱硬化性樹脂であることを特徴とするSiC成形体の製造方法。
  5. 請求項4記載のSiC成形体の製造方法において、前記SiC粉末及び前記熱硬化性樹脂を少なくとも含む原料の加熱プレス成形により、前記有機物成形体を得る成形工程を更に有することを特徴とするSiC成形体の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のSiC成形体の製造方法において、前記反応工程の前に、前記炭化成形体に機械加工を施す加工工程を更に有することを特徴とするSiC成形体の製造方法。
  7. 請求項6記載のSiC成形体の製造方法において、前記加工工程における機械加工が、前記炭化成形体の表面の少なくとも一部の研磨であり、前記反応工程を、複数の前記炭化成形体を用い、前記加工工程にて研磨された該各炭化成形体の表面同士を接触させた状態で行うことを特徴とするSiC成形体の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のSiC成形体の製造方法において、前記有機物成形体が、融点が前記フェロシリコンの融点を超える金属製中子を更に含み、前記反応工程以降に、前記SiC成形体を前記金属製中子と共に該金属製中子の融点以上SiCの融点未満の温度域で加熱し、前記金属製中子を溶融させて前記SiC成形体から除去する除去工程を更に有することを特徴とするSiC成形体の製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載のSiC成形体の製造方法において、前記有機物成形体が、融点が前記フェロシリコンの融点を超えると共に酸又はアルカリに可溶な金属製中子を更に含み、前記反応工程以降に、前記SiC成形体を前記金属製中子と共に酸又はアルカリに接触させ、前記金属製中子を溶解させて前記SiC成形体から除去する除去工程を更に有することを特徴とするSiC成形体の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のSiC成形体の製造方法により得られた前記SiC成形体に、放電加工及び集束イオンビーム加工のいずれか一方又は双方を施すことを特徴とするSiC成形体の加工方法。
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