JP5640353B2 - 窒素酸化物分離膜、並びにそれを用いた窒素酸化物分離装置、窒素酸化物分離方法、窒素酸化物浄化装置及び窒素酸化物浄化方法 - Google Patents

窒素酸化物分離膜、並びにそれを用いた窒素酸化物分離装置、窒素酸化物分離方法、窒素酸化物浄化装置及び窒素酸化物浄化方法 Download PDF

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Description

本発明は、窒素酸化物分離膜、並びにそれを用いた窒素酸化物分離装置、窒素酸化物分離方法、窒素酸化物浄化装置及び窒素酸化物浄化方法に関する。
ディーゼルエンジン等の内燃機関、火力発電等の固定設備から排出される排ガス中の窒素酸化物(NOx)は、大気汚染や酸性雨の原因であるため、排ガス等からのNOxの分離及び浄化は世界規模で取り組まれている課題である。
従来より、その浄化方法の一つとして、窒素酸化物を窒素に還元する三元触媒法が実用化され、効果を上げている。しかしながら、この方法に用いられる触媒は窒素酸化物に特異的に作用するものではないので、酸素共存下で窒素酸化物を還元して浄化するためには大量の還元性ガスを要し、窒素酸化物の浄化効率の向上に限界があるという問題があった。
そこで、酸素共存下における排ガス等に含まれる窒素酸化物を浄化する方法として、以下のような方法が開示されている。
すなわち、例えば、特開平8−24579号公報(特許文献1)には、排ガス等の中の窒素酸化物を吸着剤で吸着して除去する乾式の窒素酸化物吸着除去法が開示されている。しかしながら、この乾式の窒素酸化物吸着除去法で用いる吸着剤は二酸化窒素(NO)を吸着し易い性質を有するため、一酸化窒素の除去効率が不充分であるという欠点を有していた。また、窒素酸化物吸着飽和前の吸着剤の交換や再生が必要となるので、メンテナンスが煩雑になり、コストが高くなるという欠点も有していた。
また、例えば、特開平6−99030号公報(特許文献2)には、酸性ガスである窒素酸化物をアルカリ溶液で吸収して除去する湿式の窒素酸化物吸収除去法が開示されている。しかしながら、この湿式の窒素酸化物吸収除去法においては、アルカリ溶液を常に補充しなければならないというメンテナンスの面での煩雑さや、窒素酸化物吸収液等の処理に大規模な設備が必要であるという問題があった。
特開平8−24579号公報 特開平6−99030号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、酸素等の他のガスが共存する窒素酸化物含有ガスから窒素酸化物だけを選択的に分離することを可能とする窒素酸化物分離膜、窒素酸化物分離装置及び窒素酸化物分離方法を提供することを目的とする。また、本発明は、酸素等の他のガスが共存する窒素酸化物含有ガスから窒素酸化物だけを選択的に分離した後に窒素酸化物を効率よく還元して浄化することを可能とする窒素酸化物浄化装置及び窒素酸化物浄化方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、絶縁性金属酸化物からなる多孔体と、イオン性液体と、導電性金属からなる多孔質膜とを用いることにより、酸素等の他のガスが共存する窒素酸化物含有ガスから窒素酸化物だけを分離できるようになることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の窒素酸化物分離膜は、絶縁性金属酸化物からなる多孔体と、前記多孔体に含浸されているイオン性液体と、前記多孔体の両面上に配置されている導電性金属からなる多孔質膜とを備え、前記導電性金属が貴金属であり且つ前記イオン性液体が、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドからなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とするものである。
本発明にかかる前記多孔体としては、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ及びマグネシアからなる群から選択される少なくとも一つの絶縁性金属酸化物からなるものであることが好ましい。
また、本発明にかかる前記多孔体としては、平均細孔径が0.01〜1.0μmであり、厚さが10〜1000μmのものであることが好ましい。
また、本発明の窒素酸化物分離装置は、前記本発明の窒素酸化物分離膜と、前記窒素酸化物分離膜の前記多孔質膜の間に直流電圧を印加する電圧印加装置と、カソード側の前記多孔質膜の面上に窒素酸化物含有ガスを接触させた状態とするためのカソード側容器と、アノード側の前記多孔質膜の面上に還元性ガスを接触させた状態とするためのアノード側容器とを備えることを特徴とするものである。
さらに、本発明の窒素酸化物分離方法は、前記本発明の窒素酸化物分離膜を用い、前記窒素酸化物分離膜の前記多孔質膜の間に直流電圧を印加した状態で、カソード側の前記多孔質膜の面上に窒素酸化物含有ガスを接触させ且つアノード側の前記多孔質膜の面上に還元性ガスを接触させることにより、前記窒素酸化物含有ガス中の窒素酸化物を前記還元性ガス中に選択的に分離することを特徴とする方法である。
また、本発明の窒素酸化物浄化装置は、前記本発明の窒素酸化物分離膜と、前記窒素酸化物分離膜の前記多孔質膜の間に直流電圧を印加する電圧印加装置と、カソード側の前記多孔質膜の面上に窒素酸化物含有ガスを接触させた状態とするためのカソード側容器と、アノード側の前記多孔質膜の面上に還元性ガスを接触させた状態とするためのアノード側容器と、前記アノード側容器中の前記還元性ガスに含まれる窒素酸化物を浄化するための窒素酸化物浄化触媒とを備えることを特徴とするものである。
さらに、本発明の窒素酸化物浄化方法は、前記本発明の窒素酸化物分離膜を用い、前記窒素酸化物分離膜の前記多孔質膜の間に直流電圧を印加した状態で、カソード側の前記多孔質膜の面上に窒素酸化物含有ガスを接触させ且つアノード側の前記多孔質膜の面上に還元性ガスを接触させることにより、前記窒素酸化物含有ガス中の窒素酸化物を前記還元性ガス中に選択的に分離した後、前記還元性ガスに含まれる窒素酸化物を窒素酸化物浄化触媒により浄化することを特徴とする方法である。
なお、本発明の窒素酸化物分離膜、並びにそれを用いた窒素酸化物分離装置及び窒素酸化物分離方法を用いて窒素酸化物含有ガスから窒素酸化物だけを分離することができる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下に示すように推察する。
すなわち、図1に示すように、本発明の窒素酸化物分離膜1の多孔質膜1aと多孔質膜1bの間に電圧印加装置2を用いて直流電圧を印加した状態で、カソード側の多孔質膜1aの面上に酸素(O)等の他のガス4を含有する窒素酸化物含有ガスを接触させると、多孔質膜1aにおいて、前記窒素酸化物含有ガス中の窒素酸化物(NO等のNO)が亜硝酸イオン(NO )や硝酸イオン(NO )に酸化される。そして、亜硝酸イオンや硝酸イオンは窒素酸化物分離膜1中の多孔体に含浸されているイオン性液体1cに溶解し、アノード側の多孔質膜1bまで移動して一酸化窒素(NO)に還元されるため、多孔質膜1bの面上に接触している還元性ガス中に放出される。一方、窒素酸化物含有ガス中の酸素等の他のガス4はイオン性液体1cに溶解することができないため、結果的に窒素酸化物のみが窒素酸化物含有ガスから選択的に分離されると本発明者らは推察する。
従って、本発明の窒素酸化物分離膜を用いた本発明の窒素酸化物浄化装置及び窒素酸化物浄化方法においては、窒素酸化物浄化触媒で処理される前に窒素酸化物のみが酸素等の他のガスから予め分離されているため、従来のように窒素酸化物を浄化する際に大量の還元性ガスが酸素の還元に消費されてしまうことなく、非常に少ない量の還元性ガスを用いて効率的に窒素酸化物を浄化することが可能になる。
本発明によれば、酸素等の他のガスが共存する窒素酸化物含有ガスから窒素酸化物だけを選択的に分離することを可能とする窒素酸化物分離膜、窒素酸化物分離装置及び窒素酸化物分離方法を提供することができる。また、本発明によれば、酸素等の他のガスが共存する窒素酸化物含有ガスから窒素酸化物だけを選択的に分離した後に窒素酸化物を効率よく還元して浄化することを可能とする窒素酸化物浄化装置及び窒素酸化物浄化方法を提供することができる。
本発明の窒素酸化分離膜による窒素酸化物の分離メカニズムのモデルを示す模式図である。 本発明の窒素酸化物分離装置を備える本発明の窒素酸化物浄化装置の好適な一実施形態を示す模式図である。 実施例1及び比較例1〜2で用いた窒素酸化物分離装置に用いた電極ホルダーの正面図である。 実施例1及び比較例1〜2で用いた窒素酸化物分離装置を示す模式断面図である。 実施例1における一酸化窒素の濃度及び電流の経時変化を示すグラフである。 比較例1における一酸化窒素の濃度及び電流の経時変化を示すグラフである。 実施例2における一酸化窒素の濃度と水素ガスの濃度との関係を示すグラフである。 比較例3における一酸化窒素の濃度と水素ガスの濃度との関係を示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の窒素酸化物分離膜は、絶縁性金属酸化物からなる多孔体と、前記多孔体に含浸されているイオン性液体と、前記多孔体の両面上に配置されている導電性金属からなる多孔質膜とを備えることを特徴とするものである。
先ず、本発明において用いられる多孔体について説明する。本発明において用いられる多孔体は、絶縁性金属酸化物からなるものであることが必要であり、このような絶縁性金属酸化物としては、特に制限されないが、化学的安定性、物理的安定性という観点から、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ、マグネシアが好ましい。なお、このような絶縁性金属酸化物としては一種を単独で用いてもよく又は2種以上を組合せて用いてもよい。
また、本発明において用いられる多孔体の平均細孔径は、0.01〜1.0μmであることが好ましく、0.1〜0.5μmであることがより好ましい。前記多孔体の平均細孔径が前記下限未満では、後述のイオン性液体が浸透しにくくなり、また後述の多孔質膜を備えた場合に孔が埋まってしまう傾向にある。他方、前記多孔体の平均細孔径が前記上限を超えると、後述のイオン性液体を孔中に保持できなくなる傾向にある。なお、このような平均細孔径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察を行い、任意の100箇所の平均をとることにより求めることができる。
また、本発明において用いられる多孔体の厚さは、10〜1000μmであることが好ましく、50〜200μmであることがより好ましい。前記多孔体の厚さが前記下限未満では、十分な量のイオン性液体が保持できず、また強度が低くなって使用に耐えられなくなる傾向にある。他方、前記多孔体の厚さが前記上限を超えると、窒素酸化物が本発明の窒素酸化物分離膜に取り込まれる際に生じると考えられる亜硝酸イオンや硝酸イオンの窒素酸化物分離膜内での移動が妨げられる傾向にある。
次に、本発明において用いられるイオン性液体について説明する。本発明において用いられるイオン性液体は、イオン(アニオン又はカチオン)からなり、室温(25℃)付近で液体特性を表す物質のことであり、より具体的には、前記多孔体の中で液体状態を保つという観点から、10℃以下の融点を有するイオンからなる物質であることが好ましい。
また、窒素酸化物が本発明の窒素酸化物分離膜に取り込まれる際に生じると考えられる亜硝酸イオンや硝酸イオンの溶解を可能にするという観点から、本発明において用いられるイオン性液体の酸化還元が生じない電位範囲(いわゆる電位窓)は、後述する本発明の窒素酸化物分離膜の多孔質膜間に印加される直流電圧以上であることが好ましい。
さらに、前記多孔体に含浸されているイオン性液体の量は特に制限されないが、多孔体100質量部に対して0.1〜10質量部程度であることが好ましい。前記イオン性液体の量が前記下限未満では、後述の窒素酸化物含有ガス等のシールが不十分になったり、前述の亜硝酸イオンや硝酸イオンの溶解が不十分となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、使用中に液滴となったり、後述の多孔質膜上の電気化学的な酸化還元効果を妨げる傾向にある。
また、本発明において用いられるイオン性液体は、前記本発明において用いられる多孔体に保持されるという観点から、また後述の直流電圧が印加されていない状態において窒素酸化物含有ガスや還元性ガスを透過させないという観点から、室温において同体積の純水と混合した場合に均一にならずに2層に分離する疎水性のものであることが好ましく、室温における水分含有量が0.1質量%以下であることがより好ましい。
このような疎水性のイオン性液体を構成するカチオンとしては、例えば、イミダゾリウムカチオンの場合は、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−ペンチルイミダゾリウムイオン、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−ヘプチル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムイオン、1−デシル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、3−エチル−1,2−ジメチル−イミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−ヘキシルイミダゾリウムイオン、1,2−ジメチル−3−オクチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウムイオンなどが挙げられる。
また、前記疎水性のイオン性液体を構成するカチオンとしては、アンモニウムカチオンの場合は、N,N,N,N−テトラメチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルプロピルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルブチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルペンチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルヘキシルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルヘプチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルオクチルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルデシルアンモニウムイオン、N,N,N−トリメチルドデシルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルブチルアンモニウムイオン、N−エチル−N,N−ジメチルヘキシルアンモニウムイオン、2−メトキシ−N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムイオン、2−エトキシ−N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムイオン、2−プロポキシ−N,N,N−トリメチルエチルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルプロピルアンモニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N,N−ジメチルブチルアンモニウムイオンなどが挙げられる。
また、前記疎水性のイオン性液体を構成するカチオンとしては、ピロリジニウムカチオンの場合は、N,N−ジメチルピロリジニウムイオン、N−エチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−ペンチルピロリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−メチル−N−オクチルピロリジニウムイオン、N−デシル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−ドデシル−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−プロポキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオン、N−(2−イソプロポキシエチル)−N−メチルピロリジニウムイオンなどが挙げられる。
また、前記疎水性のイオン性液体を構成するカチオンとしては、ピペリジニウムカチオンの場合は、N,N−ジメチルピペリジニウムイオン、N−エチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムイオン、N−ブチル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−ペンチルピペリジニウムイオン、N−ヘキシル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−オクチルピペリジニウムイオン、N−デシル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−ドデシル−N−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−エチルピペリジニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルピペリジニウムイオン、N−メチル−N−(2−メトキシフェニル)ピペリジニウムイオン、N−メチル−N−(4−メトキシフェニル)ピペリジニウムイオン、N−エチル−N−(2−メトキシフェニル)ピペリジニウムイオン、N−エチル−N−(4−メトキシフェニル)ピペリジニウムイオンなどが挙げられる。
また、前記疎水性のイオン性液体を構成するカチオンとしては、モルホリニウムカチオンの場合は、N,N−ジメチルモルホリニウムイオン、N−エチル−N−メチルモルホリニウムイオン、N−メチル−N−プロピルモルホリニウムイオン、N−ブチル−N−メチルモルホリニウムイオン、N−メチル−N−ペンチルモルホリニウムイオン、N−ヘキシル−N−メチルモルホリニウムイオン、N−メチル−N−オクチルモルホリニウムイオン、N−デシル−N−メチルモルホリニウムイオン、N−ドデシル−N−メチルモルホリニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルモルホリニウムイオン、N−(2−メトキシエチル)−N−エチルモルホリニウムイオン、N−(2−エトキシエチル)−N−メチルモルホリニウムイオン、N−メチル−N−(2−メトキシフェニル)モルホリニウムイオン、N−メチル−N−(4−メトキシフェニル)モルホリニウムイオン、N−エチル−N−(2−メトキシフェニル)モルホリニウムイオン、N−エチル−N−(4−メトキシフェニル)モルホリニウムイオンが挙げられる。なお、このようなカチオンとしては一種を単独で用いてもよく又は2種以上を組合せて用いてもよい。
一方、前記カチオンとともに疎水性のイオン性液体を構成するアニオンとしては、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオンが挙げられる。なお、このようなアニオンとしては一種を単独で用いてもよく又は2種以上を組合せて用いてもよい。
前記カチオンと前記アニオンの組合せによって構成される疎水性のイオン性液体の中でも、疎水性に優れ且つ電位窓が広いという点から、イミダゾリウムカチオンとビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオンとから構成されるものが好ましく、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが挙げられる。
また、このような本発明において用いられるイオン性液体を前記多孔体に含浸させる方法としては、特に制限されず、イオン性液体を多孔体に保持させることが可能な公知の方法を適宜採用でき、例えば、イオン性液体を多孔体の表面全体に滴下した後に余分なイオン性液体をエアーダスター等で除去する方法を採用してもよい。
次に、本発明において用いられる多孔質膜について説明する。本発明において用いられる多孔質膜は、導電性金属からなるものであることが必要であり、このような導電性金属としては特に制限されないが、触媒作用を有し且つ劣化しにくいという観点から貴金属が好ましく、中でも、白金、ロジウム、パラジウムが特に好ましい。なお、このような金属としては1種を単独で用いてもよくあるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
このような多孔質膜は、後述の本発明の窒素酸化物分離装置及び窒素酸化物分離方法において直流電圧が印加される際の電極として機能するために、前記多孔体の両面上に配置されている。前記多孔質膜の厚さとしては、0.05μm以上であることが好ましい。前記多孔質膜の厚さが前記下限未満では、電極としての機能が十分に発揮されなくなる傾向にある。他方、前記多孔質膜の厚さの上限としては、前記多孔体の孔を塞がないように0.5μm以下であることが好ましく、前記多孔体の平均細孔径の3分の2以下であることがより好ましい。例えば、前記多孔体の平均細孔径が0.2μmの場合、前記多孔質膜の厚さは0.05〜0.13μm程度であることがより好ましい。
このような多孔質膜を前記多孔体の両面上に配置する方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、多孔体の表面に前記導電性金属を蒸着する方法を採用してもよい。
次に、本発明の窒素酸化物分離装置について説明する。本発明の窒素酸化物分離装置は、前記本発明の窒素酸化物分離膜と、前記窒素酸化物分離膜の前記多孔質膜の間に直流電圧を印加する電圧印加装置と、カソード側の前記多孔質膜の面上に窒素酸化物含有ガスを接触させた状態とするためのカソード側容器と、アノード側の前記多孔質膜の面上に還元性ガスを接触させた状態とするためのアノード側容器とを備えることを特徴とするものである。
以下、図2を参照しながら本発明の窒素酸化物分離装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図2に示す窒素酸化物分離装置は、前記窒素酸化物分離膜1と、窒素酸化物分離膜1の前記多孔質膜の間に直流電圧を印加する電圧印加装置2と、窒素酸化物分離膜1が内部に配置されている容器5とを備えている。そして、容器5は、カソード側の前記多孔質膜の面上に窒素酸化物含有ガスを接触させた状態とするためのカソード側容器5aと、アノード側の前記多孔質膜の面上に還元性ガスを接触させた状態とするためのアノード側容器5bとに、窒素酸化物分離膜1によって仕切られている。さらに、容器5には、窒素酸化物含有ガスを取り込むための吸入口6(カソード側吸入口6)と、窒素酸化物含有ガスを排出するための排出口7(カソード側排出口7)と、還元性ガスを取り込むための吸入口8(アノード側吸入口8)と、還元性ガスを排出するための排出口9(アノード側排出口9)とが設けられている。
このような容器5の材質、大きさ、形状等は特に制限されず、目標とする処理能力等に応じてそれらの設計を適宜変更することができる。
また、このような電圧印加装置2は、直流の電圧を窒素酸化物分離膜1に印加できる装置であればよく、窒素酸化物分離膜1の多孔質膜の間に直流電圧を印加する際には、前記電圧印加装置2の負極を窒素酸化物分離膜1の多孔質膜のカソード側の面に接続し、前記電圧印加装置2の正極を窒素酸化物分離膜1の多孔質膜のアノード側の面に接続する必要がある。さらに、前記接続の際には、通気性を有する電極ホルダーで窒素酸化物分離膜1を挟むことが好ましい。
次に、本発明の窒素酸化物分離方法について説明する。本発明の窒素酸化物分離方法は
前記窒素酸化物分離膜を用い、前記窒素酸化物分離膜の前記多孔質膜の間に直流電圧を印加した状態で、カソード側の前記多孔質膜の面上に窒素酸化物含有ガスを接触させ且つアノード側の前記多孔質膜の面上に還元性ガスを接触させることにより、前記窒素酸化物含有ガス中の窒素酸化物を前記還元性ガス中に選択的に分離することを特徴とするものである。図2に示す窒素酸化物分離装置を用いた場合においては、電圧印加装置2を用いて多孔質膜の間に直流電圧を前記本発明の窒素酸化物分離膜1に印加した状態で、図2に示すような前記本発明の窒素酸化物分離装置を用いた場合には、カソード側吸入口6より容器5a内に取り込まれた排ガス等の窒素酸化物含有ガスは、カソード側の窒素酸化物分離膜1の多孔質膜の面上に接触することにより、前記窒素酸化物含有ガス内の窒素酸化物は選択的に窒素酸化物分離膜1のイオン性液体の中に溶解する。そのため、カソード側排出口7から排出されるガスには窒素酸化物がほとんど含まれていないものとなる。
次に、前記イオン性液体の中に溶解した窒素酸化物は、アノード側の窒素酸化物分離膜1の多孔質膜の面上まで移動して一酸化窒素に還元されるため、アノード側の窒素酸化物分離膜1の多孔質膜の面上に接触している還元性ガス中に放出されることになる。
この際、前記多孔質膜の間に印加する直流電圧は特に制限されないが、1V以上が好ましく、2〜3Vであることがより好ましい。前記直流電圧が前記下限未満では窒素酸化物が前記イオン性液体の中に溶解されず、また溶解された場合でも一酸化窒素に還元されない傾向にある。他方、前記多孔質膜の間に印加する直流電圧は、前記イオン性液体の分解を生じさせないという観点から、前記イオン性液体の電位窓を超えないことが好ましい。
また、窒素酸化物を窒素酸化物含有ガスから分離させる際の温度(容器5中の温度)としては特に制限されないが、イオン性液体の熱安定性の点から、0〜300℃であることが好ましい。
また、カソード側吸入口6から前記カソード側排出口7に入れる窒素酸化物含有ガスとしては、一酸化窒素及び二酸化窒素等の窒素酸化物を含有しているガスであればよく、特に制限されないが、二酸化窒素の生成の点から、酸素の濃度は1%以上であることが好ましい。さらに、イオン性液体の熱安定性の点から、カソード側の窒素酸化物分離膜1の面上又はアノード側の窒素酸化物分離膜1の面上に接触する際の窒素酸化物含有ガスの温度は300℃未満となっていることが好ましい。
また、アノード側吸入口8からアノード側排出口9に入れる還元性ガスとしては、後述する窒素酸化物浄化触媒を用いる場合においては、この窒素酸化物浄化触媒で一酸化窒素や二酸化窒素を窒素に還元できるガスが少しでも含まれていれば、特に制限されないが、このような還元性ガスとしては、例えば、水素ガス、一酸化炭素ガス、炭化水素ガスが含まれているものが挙げられる。さらに、このような還元性ガスの濃度は、反応速度、浄化する一酸化窒素量の点から、0.5%以上であることが好ましい。前記還元性ガスの濃度が前記未満では、前記本発明の窒素酸化物分離膜で分離した一酸化窒素を窒素に還元されにくくなる傾向にある。また、前記還元性ガスに混合可能なガスとしては、酸化性ガスを含まないことが好ましく、例えば、ヘリウムガス、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを用いることが好ましい。
また、前記窒素酸化物含有ガス又は前記還元性ガスの流速は特に制限されず、前記本発明の窒素酸化物分離膜の組成又は構成、窒素酸化物含有ガス又は前記還元性ガスと前記多孔質膜との接触面積、若しくは本発明の窒素酸化物分離装置を用いる際の温度等によって、適宜調整される。
次に、本発明の窒素酸化物浄化装置について説明する。本発明の窒素酸化物浄化装置は、前記本発明の窒素酸化物分離装置と、前記アノード側容器中の前記還元性ガスに含まれる窒素酸化物を浄化するための窒素酸化物浄化触媒とを備えることを特徴とするものである。
図2に示す窒素酸化物浄化装置においては、窒素酸化物浄化触媒10がアノード側排出口9の下流側に接続された管中に配置されているが、これに限定されるものではなく、
アノード側排出口9の下流側に接続された触媒容器(図示せず)中に配置されていてもよい。さらに、本発明の窒素酸化物浄化装置は窒素酸化物浄化触媒の触媒活性を向上させるために温度調節を行う観点から、加熱器、温度調節機等を備えてもよい。
本発明において用いられる窒素酸化物浄化触媒としては、特に制限されることなく、いわゆる三元触媒を用いることができ、例えば、金属酸化物多孔質担体と前記金属酸化物多孔質担体に担持された貴金属とを備えるものが挙げられる。
このような金属酸化物多孔質担体としては、特に制限されないが、高い触媒活性が得られるという観点から、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ、セリアが好ましい。このような金属酸化物多孔質担体としては1種を単独で用いてもよく又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、このような貴金属としては白金、パラジウム、ロジウム、金、イリジウム、ルテニウム等が挙げられるが、より高い触媒活性が得られるという観点からは、白金、パラジウム、ロジウムが好ましく、白金が特に好ましい。なお、このような貴金属としては1種を単独で用いてもよく又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記金属酸化物多孔質担体及び貴金属中における貴金属の含有比率としては0.1〜10質量%であることが好ましい。このような貴金属の含有比率が前記下限未満では、窒素酸化物を十分に分解して浄化することが困難となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、貴金属を担持することにより得られる効果が飽和する傾向にある。なお、前記本発明において用いられる窒素酸化物浄化触媒においては、前記担体に貴金属以外にも窒素酸化物浄化触媒に用いることが可能な各種成分を適宜担持してもよい。
また、前記本発明において用いられる窒素酸化物浄化触媒は、触媒活性を向上させるために、例えば公知の触媒基材上に窒素酸化物浄化触媒をコートすることで、ハニカム形状のモノリス触媒、ペレット形状のペレット触媒等の形態をとることができる。
次に、本発明の窒素酸化物浄化方法について説明する。本発明の窒素酸化物浄化方法は、前記窒素酸化物分離膜を用い、前記窒素酸化物分離膜の前記多孔質膜の間に直流電圧を印加した状態で、カソード側の前記多孔質膜の面上に窒素酸化物含有ガスを接触させ且つアノード側の前記多孔質膜の面上に還元性ガスを接触させることにより、前記窒素酸化物含有ガス中の窒素酸化物を前記還元性ガス中に選択的に分離した後、前記還元性ガスに含まれる窒素酸化物を窒素酸化物浄化触媒により浄化することを特徴とするものである。すなわち、図2に示す窒素酸化物浄化装置を用いた場合においては、窒素酸化物含有ガスから選択的に分離された窒素酸化物はアノード側吸入口8から流れる還元性ガスと共にアノード側排出口9から排出されて、窒素酸化物浄化触媒10と接触することになる。この際、前記窒素酸化物浄化触媒10によって、窒素酸化物は還元され窒素となり、浄化されることになる。
また、窒素酸化物をこのように浄化する際の温度(窒素酸化物浄化触媒10の温度)としては特に制限されないが、一般的に150〜300℃であることが好ましい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
陽極酸化アルミナ膜(直径25mm、厚さ60μm、平均細孔径0.2μm、Whatman社製、製品名:Anodise)を真空容器内に設置し、その一方の面に厚さ0.1μmの白金膜を蒸着した。次に、白金膜を蒸着していない他方の面から陽極酸化アルミナ膜にイオン性液体(1一エチルー3一メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルポニル)イミド、東京化成製)をスポイドで滴下して含浸せしめた後、表面の余分なイオン性液体をエアーダスターで除去し、続いてその他方の面にも厚さ0.1μmの白金膜を蒸着させることによって、イオン性液体を含浸させ、両面に厚さ0.1μmの白金膜を備え且つイオン性液体が含浸しているアルミナ膜(窒素酸化物分離膜:試料膜)を得た。
なお、陽極酸化アルミナ膜に含浸されているイオン性液体の量は、前記陽極酸化アルミナ膜100質量部に対して2質量部であった。
このようにして得られた試料膜を図3に示す2mmの孔を有するステンレス製の電極ホルダーで挟み、図4に示す装置に組み込んだ。図4に示す装置は、基本的には図2に示した窒素酸化物分離装置と同様の構成であり、窒素酸化物分離膜(試料膜)1と、窒素酸化物分離膜1の多孔質膜の間に直流電圧を印加する電圧印加装置2と、カソード側の前記白金膜の面上に窒素酸化物含有ガスを接触させた状態とするためのカソード側容器5aと、アノード側の前記白金膜の面上にヘリウムガスを接触させた状態とするためのアノード側容器5bとを備える。この際、電圧印加装置2には2Vの直流電圧を印加できる直流電源を使用し、またカソード側容器5a(容積:20cm)及びアノード側容器5b(容積:20cm)は、電極ホルダー11で挟んだ窒素酸化物分離膜1をセラミックス絶縁体12(石原薬品株式会社製、製品名:マコール)及びOリング13(NOK株式会社製、製品名:IAP)を用いて固定することで作製し、更に各々の容器に窒素酸化物含有ガス又はヘリウムガスを吸入、排出できる管(カソード側吸入口6、カソード側排出口7、アノード側吸入口8、アノード側排出口9)を設けた。
前記図4に示す装置のカソード側容器5aには濃度200ppmの一酸化窒素及び濃度10%の酸素を含有する窒素酸化物含有ガス(残部はヘリウムガス)を60cc/分の流速でカソード側吸入口6から流し(窒素酸化物含有ガスの供給装置は図示せず)、他方、前記アノード側容器5bには濃度100%のヘリウムガスを60cc/分の流速でアノード側吸入口8から流し(ヘリウムガスの供給装置は図示せず)、各々の容器に備えた排出口から流れるガス中の一酸化窒素の濃度及び酸素の濃度が、2Vの直流電圧印加の有無によって変化するかどうかを、四重極型質量分析計(キャノンアネルバ株式会社製、製品名:M−101QA、図示せず)を用いて測定した。前記一酸化窒素の濃度の測定結果のみを図5に示す。
図5に示した結果から明らかなように、本発明の窒素酸化物分離膜を備えた本発明の窒素酸化物分離装置(実施例1)に2Vの直流電圧を印加することにより、カソード側排出口7から排出されるガス中の一酸化窒素の濃度が減少し、アノード側排出口8から排出されるガス中の一酸化窒素の濃度の増加が同時にみられ、本発明の窒素酸化物分離膜によって、一酸化窒素が分離されることが確認された。また、アノード側排出口9から排出されるガス中においては、酸素が検出されなかったので、本発明の窒素酸化物分離膜は一酸化窒素を選択的に透過できることも確認された。また、一酸化窒素1分子を本発明の窒素酸化物分離膜に透過させるのに電子1つが必要であると仮定すると、電流0.1mAオーダに対し、およそ10ppmの一酸化窒素が透過できると考えられる。図5に示した結果から、約0.5mA電流を流すことによって、50ppmの一酸化窒素がカソード側で減少したことから、本発明の窒素酸化物分離方法は、電流効率がほぼ100%であるという極めて効率的な方法であることも確認された。
(比較例1)
陽極酸化アルミナ膜の両面に白金膜を蒸着させなかった以外は実施例1と同様にして試料膜を調製し、窒素酸化物分離装置を作製した。そして、得られた装置を用いて、カソード側排出口7から排出されるガス中の一酸化窒素の濃度及びアノード側排出口9から排出されるガス中の一酸化窒素の濃度を実施例1と同様にして測定した。得られた結果を図6に示す。
図6に示した結果から明らかなように、比較例1においては、電圧の印加に応じた一酸化窒素の透過は全く確認されなかった。
(比較例2)
イオン性液体の代わりに水を含浸させた以外は実施例1と同様にして試料膜を調製し、窒素酸化物分離装置を作製した。そして、得られた装置を用いて、カソード側排出口7から排出されるガス中の一酸化窒素の濃度並びに酸素の濃度及びアノード側排出口9から排出されるガス中の一酸化窒素の濃度並びに酸素の濃度を実施例1と同様にして測定した。
比較例2においては、電圧を印加しない状態でも、一酸化窒素及び酸素がアノード側排出口9から排出されるガス中において検出され、そもそもガスを封止する性質を有さないことが確認された。
(実施例2)
陽極酸化アルミア板を、長さ5cm、幅5cm、厚さ100μm、孔径0.2μmのものに変更して5枚用いた以外は、実施例1と同様の方法にて、試料膜を得た。なお、陽極酸化アルミナ膜に含浸されているイオン性液体の量は、前記陽極酸化アルミナ膜100質量部に対して2質量部であった。得られた試料膜を用いて図2に示す窒素酸化物浄化装置を作製した。すなわち、前記試料膜を5枚並べたもの(窒素酸化物分離膜1)を、2mmの孔を有するステンレス製電極(長さ25cm、幅5cm、図示せず)で挟み、容器5(全長:25cm、直径:5cm、容積:約500cm)内に配置し、電圧印加装置2を接続した。更に、得られた装置のアノード側排出口9の下流に、γアルミナ多孔質担体に担持された白金(γアルミナ及び白金の合計量に対する白金の含有比率:1質量%)からなる厚さ200μmの窒素酸化物浄化触媒をコートし、電熱線(図示せず)を用いて200℃に加熱したハニカム状のセル(直径3cm、長さ5cm、容積:35cm、材質:コージェライト)を窒素酸化物浄化触媒10として配置した。
得られた窒素酸化物浄化装置を用いて直流電圧2Vを印加しながら、カソード側容器5aには濃度1000ppmの一酸化窒素及び濃度20%の酸素を含有する窒素酸化物含有ガス(残部はヘリウムガス)を600cc/分の流速でカソード側吸入口6から流し(窒素酸化物含有ガスの供給装置は図示せず)、他方、アノード側容器5bには水素ガスを含有する還元性ガス(残部はヘリウムガス)を60cc/分の流速で水素ガスの濃度を変化させながらアノード側吸入口8から流し(還元性ガスの供給装置は図示せず)、カソード側排出口7から排出されるガス中の一酸化窒素の濃度及び窒素酸化物浄化触媒10を通り排出される一酸化窒素の濃度を、四重極型質量分析計(キャノンアネルバ株式会社製、製品名:M−101QA、図示せず)を用いて測定した。得られた結果を図7に示す。
実施例2では、直流電圧を印加することにより、カソード側排出口7から排出されるガス中の一酸化窒素の濃度は48ppmに減少した。すなわち、窒素酸化物含有ガスからの窒素酸化物の分離率は95.2%であることが確認された。
また、図7に示した結果から明らかなように、アノード側吸入口8から流されるガス中の水素ガスの濃度が3%の時に窒素酸化物浄化触媒10を通り排出される一酸化窒素の濃度がほぼゼロになることから、本発明の窒素酸化物浄化装置を用いた本発明の窒素酸化物浄化方法は、窒素酸化物を還元し浄化するという点において非常に優れたものであった。
また、前記結果から、NO+0.5O+3H→0.5N+3HOという理論通りの反応が起こっていることが推測された。更に、一酸化窒素の透過量から見積もられる電流の必要量(理論値)は40mAであるのに対し、前記試料膜に流した電流量は45mAであった。したがって、本発明の窒素酸化物浄化装置を用いた本発明の窒素酸化物浄化方法は極めて効率的な方法であることが確認された。
(比較例3)
試料膜を備えず、カソード側排出口7を塞いだ以外は、実施例2と同様に窒素酸化物浄化装置を用意し、実施例2と同様にして、窒素酸化物浄化触媒10を通り排出されるガス中の一酸化窒素の濃度を測定した。得られた結果を図8に示す。
図8に示した結果から明らかなように、比較例3において一酸化ガス濃度の減少は全く確認されなかった。これは、投入した水素ガスが酸素の還元にほとんど使われてしまったためと考えられる。
また、200℃に加熱した触媒に流すガス量は、実施例2では比較例3の1/10の以下の量で充分であったことから、触媒を加熱する電力量を抑えるという点でも、本発明の窒素酸化物分離方法は優れていることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、酸素等の他のガスが共存する窒素酸化物含有ガスから窒素酸化物だけを選択的に分離することを可能とする窒素酸化物分離膜、窒素酸化物分離装置及び窒素酸化物分離方法を提供することが可能となり、また、本発明によれば、酸素等の他のガスが共存する窒素酸化物含有ガスから窒素酸化物だけを選択的に分離した後に窒素酸化物を効率よく還元して浄化することを可能とする窒素酸化物浄化装置及び窒素酸化物浄化方法を提供することも可能となる。
したがって、本発明は、ディーゼルエンジン等の内燃機関、火力発電等の固定設備から排出される排ガス中の窒素酸化物の分離及び浄化するための技術として非常に有用である。
1…窒素酸化物分離膜、1a…カソード側の多孔質膜、1b…アノード側の多孔質膜、1c…イオン性液体、2…電圧印加装置、3…窒素酸化物、4…酸素等の他のガス、5…容器、5a…カソード側容器、5b…アノード側容器、6…カソード側吸入口、7…カソード側排出口、8…アノード側吸入口、9…アノード側排出口、10…窒素酸化物浄化触媒、11…電極ホルダー、12…セラミックス絶縁体、13…Oリング。

Claims (7)

  1. 絶縁性金属酸化物からなる多孔体と、前記多孔体に含浸されているイオン性液体と、
    前記多孔体の両面上に配置されている導電性金属からなる多孔質膜とを備え、前記導電性金属が貴金属であり且つ前記イオン性液体が、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドからなる群から選択される少なくとも一つであることを特徴とする窒素酸化物分離膜。
  2. 前記多孔体が、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ及びマグネシアからなる群から選択される少なくとも一つの絶縁性金属酸化物からなるものであることを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物分離膜。
  3. 前記多孔体の平均細孔径が0.01〜1.0μmであり、前記多孔体の厚さが10〜1000μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の窒素酸化物分離膜。
  4. 請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の窒素酸化物分離膜と、前記窒素酸化物分離膜の前記多孔質膜の間に直流電圧を印加する電圧印加装置と、カソード側の前記多孔質膜の面上に窒素酸化物含有ガスを接触させた状態とするためのカソード側容器と、アノード側の前記多孔質膜の面上に還元性ガスを接触させた状態とするためのアノード側容器とを備えることを特徴とする窒素酸化物分離装置。
  5. 請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の窒素酸化物分離膜を用い、前記窒素酸化物分離膜の前記多孔質膜の間に直流電圧を印加した状態で、カソード側の前記多孔質膜の面上に窒素酸化物含有ガスを接触させ且つアノード側の前記多孔質膜の面上に還元性ガスを接触させることにより、前記窒素酸化物含有ガス中の窒素酸化物を前記還元性ガス中に選択的に分離することを特徴とする窒素酸化物分離方法。
  6. 請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の窒素酸化物分離膜と、前記窒素酸化物分離膜の前記多孔質膜の間に直流電圧を印加する電圧印加装置と、カソード側の前記多孔質膜の面上に窒素酸化物含有ガスを接触させた状態とするためのカソード側容器と、アノード側の前記多孔質膜の面上に還元性ガスを接触させた状態とするためのアノード側容器と、前記アノード側容器中の前記還元性ガスに含まれる窒素酸化物を浄化するための窒素酸化物浄化触媒とを備えることを特徴とする窒素酸化物浄化装置。
  7. 請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の窒素酸化物分離膜を用い、前記窒素酸化物分離膜の前記多孔質膜の間に直流電圧を印加した状態で、カソード側の前記多孔質膜の面上に窒素酸化物含有ガスを接触させ且つアノード側の前記多孔質膜の面上に還元性ガスを接触させることにより、前記窒素酸化物含有ガス中の窒素酸化物を前記還元性ガス中に選択的に分離した後、前記還元性ガスに含まれる窒素酸化物を窒素酸化物浄化触媒により浄化することを特徴とする窒素酸化物浄化方法。
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