JP2008110277A - 低温作動型電気化学リアクター - Google Patents

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Koichi Hamamoto
孝一 濱本
Yoshinobu Fujishiro
芳伸 藤代
Masanobu Tanno
正信 淡野
Shinichi Kikuchi
伸一 菊池
Tetsuo Endo
哲雄 遠藤
Yusuke Imai
裕介 今井
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Abstract

【課題】エンジン排ガス中に過剰の酸素が存在する場合でも、低温作動でかつ少ない消費電力で高効率に窒素酸化物を浄化できる電気化学リアクターを提供する。
【解決手段】被処理物中の窒素酸化物に対して電気化学反応を行うための素子を有する電気化学リアクターであって、イオン伝導体及び電極より構成される基本セル構造を有し、当該電極上又は電極内に窒素酸化物の吸着能を有する吸着材を配設した化学反応部を構成したことを特徴とする電気化学リアクター、窒素酸化物の吸着能を有する窒素酸化物吸着性複合材及び/又は窒素酸化物吸着物質、第1の電極、酸素イオン伝導性を有する固体電解質、及び第2の電極で形成され、最表面の片面もしくは両面に直接又は窒素酸化物選択還元触媒を介して窒素酸化物吸着性複合材を配置した、電気化学リアクター。
【選択図】図7

Description

本発明は、電気化学リアクターに関するものであり、更に詳しくは、酸素を含む燃焼排ガスから窒素酸化物を効率的に浄化する電気化学リアクターに関するものである。本発明は、排ガス中の窒素酸化物を浄化する際に、排ガス中に共存する酸素分子が電気化学リアクターの反応表面に吸着して反応性が低下するという問題を解決するための新しい技術に係るものであり、従来技術に比べて、大幅に少ない消費電力で浄化反応が可能であり、かつ従来技術では作動が極めて困難である、相対的に低温度領域においても、高効率かつ連続的に、被処理物質を処理することを可能とする、新しい電気化学リアクターを提供するものである。
本発明は、イオン伝導体及び電極より構成される基本セル構造を有し、イオン伝導性固体電解質を挟む両面に、混合伝導性を有する酸化物電極もしくは、電子伝導性を有する集電電極、及びその両方が塗布され、更に、当該電極上又は電極内に窒素酸化物の吸着能を有する吸着材を配設した、窒素酸化物の浄化を行う電気化学リアクターを提供するものである。
従来、ガソリンエンジンから発生する窒素酸化物は、三元触媒で無害化されているが、リーンバーンエンジン、ディーゼルエンジンのように、排ガス中に数%以上の酸素が存在する場合、三元触媒表面への酸素被毒によって触媒活性が低下することが問題となっている。一方、イットリア安定化ジルコニア等の酸素イオン導電性酸化物の焼結体を用いた固体電解質型リアクターシステムが提案されている。このシステムは、酸素イオン伝導性を有する固体電解質基板を挟んだ両面に電極を付与し、これに電界を印加する方法である。
この固体電解質リアクターシステムに電界を印加すると、カソード電極部に存在する電極−電解質−気相の三相界面において、電極からの電子供与により排ガス中に含まれる窒素酸化物が還元され、酸素イオンと窒素に分解される。この分解された酸素イオンは、固体電解質を介して拡散し、アノード電極上にて酸素として放出される。このように作動中、カソード電極部における固体電解質表面は、常に酸素が枯渇した状態であり、排ガス中の窒素酸化物の浄化は、連続的に行われる。
しかし、実際のディーゼル排ガスでは、窒素酸化物に対して酸素の濃度差が数十〜千倍程度高い。そのため、窒素酸化物の効率的な浄化には、優先的に窒素酸化物を分解させる必要がある。この問題については、既出特許(特許文献1)において、電気化学素子の電極表面に酸化ニッケルとイットリア安定化ジルコニア等の混合物層を形成することでその浄化効率が向上することが示されている。
しかしながら、一般的に、ディーゼルエンジンの排ガス中には数%以上の酸素が存在するため、共存している酸素が、優先的にカソード電極部においてイオン化されて、固体電解質中を流れるため、窒素酸化物を分解するには、ある程度以上の電流を流す必要がある。上記の固体電解質型電気化学素子の効率は、最大でも15%程度である。この電気化学素子は、排ガス中の窒素酸化物と酸素の濃度比が数十〜千倍であることを考慮すれば、非常に高い窒素酸化物選択性を示すが、85%の電流が余剰酸素のポンピングに使用されている事実は、大きな消費電力の必要性を意味するため、実用化には大きな障害となる。
更に、従来型の固体電解質型電気化学素子の固体電解質は、ディーゼルエンジン排ガスのガス温度域では有効に作動せず、効果的な浄化特性を得るためには、イオン伝導性が十分に高く発現する500℃以上の温度において作動させなければならないという問題がある。このため、実際の作動には、ヒーター等を用いてイオン伝導性の高い温度域まで素子を加熱する等、更に大きなエネルギーを要する。
特開2003−33646号公報
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、被処理物の排ガス中に過剰の酸素が共存する場合でも、従来技術に比べて、大幅に少ない消費電力で浄化反応を行うことを可能とする新しい電気化学リアクターを開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた。その結果、本発明者らは、電気化学リアクターを構成するイオン伝導体及び電極の基本セル構造において、当該電極上又は電極内に窒素酸化物の吸着能を有する吸着材を配設することにより所期の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、排ガス中に過剰の酸素が共存する場合においても、電気化学素子反応電極上で窒素酸化物を浄化するのに必要な電力を低減させることを可能とする新しい電気化学リアクターを提供することを目的とするものである。
すなわち、本発明は、燃焼排ガス中の窒素酸化物に対する選択分解性を向上させることにより、少ない消費電力での高効率な窒素酸化物の浄化を達成し、電流を多く流すことが困難な、より低い温度域でも作動させることが可能な電気化学リアクターを提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)被処理物の窒素酸化物に対して電気化学反応を行うための素子を有する電気化学リアクターであって、イオン伝導体及び電極より構成される基本セル構造を有し、当該電極上又は電極内に窒素酸化物の吸着能を有する吸着材を配設した化学反応部を構成したことを特徴とする電気化学リアクター。
(2)窒素酸化物の吸着能を有する窒素酸化物吸着性複合材及び/又は窒素酸化物吸着物質、第1の電極、酸素イオン伝導性を有する固体電解質、及び第2の電極で形成され、最表面の片面もしくは両面に直接又は窒素酸化物選択還元触媒を介して窒素酸化物吸着性複合材を配置した、前記(1)記載の電気化学リアクター。
(3)前記窒素酸化物吸着性複合材が、Na、K、Rb、Cs、Ba、Caから選ばれた少なくとも1種を含み、その含有率が、全窒素酸化物吸着性複合材に対して、0.1〜30wt%である、前記(2)記載の電気化学リアクター。
(4)前記窒素酸化物吸着性複合材が、Os、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Auから選ばれた少なくとも1種を含み、その含有率が、全窒素酸化物吸着性複合材に対して、多くても20wt%である、前記(2)記載の電気化学リアクター。
(5)前記窒素酸化物吸着性複合材が、そのサポート材として、CeO、TiO、Al、SiO、ZrOから選ばれた少なくとも1種を含む、前記(2)記載の電気化学リアクター。
(6)前記窒素酸化物吸着性複合材の塗布量が、0.1〜10mg/cmである、
前記(2)記載の電気化学リアクター。
(7)被処理物が内燃機関の排ガスである、前記(1)記載の電気化学リアクター。
(8)前記窒素酸化物吸着物質として、Na、K、Rb、Cs、Ba、Caから選ばれた少なくとも1種以上のアルカリ又はアルカリ土類金属を、両電極の表面もしくは内部に配置又は担持した、前記(2)記載の電気化学リアクター。
(9)固体電解質として、酸素イオン伝導体以外に、プロトン伝導体及び/又は混合導電体を用いる、前記(1)から(8)のいずれかに記載の電気化学リアクター。
(10)前記(1)から(9)のいずれかに記載の電気化学リアクターの作動方法であって、作動温度域が500℃以下であり、前記窒素酸化物吸着性複合材又は窒素酸化物吸着物質の選択により窒素酸化物を高選択的に分解する温度を任意の領域に設定することを特徴とする電気化学リアクターの低温作動方法。
(11)前記(8)又は(9)に記載の電気化学リアクターへ交流電界を印加することで、電極の表面もしくは内部に配置又は担持した窒素酸化物吸着物質を微粒子化し、表面積を増加させ、被処理物質の吸着・分解性能を増加させることを特徴とする電気化学リアクターの微構造形成方法。
(12)前記(8)又は(9)に記載の電気化学リアクターへ変調周波数0.001〜10Hzの交流電界の印加により、被処理物質の吸着、放出、分解の反応周期を制御し、高効率に被処理物質を分解することを特徴とする電気化学リアクターの作動方法。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、排ガス中に過剰の酸素が共存する場合においても少ない消費電力で高効率に窒素酸化物を浄化する電気化学リアクターであって、イオン伝導体及び電極より構成される基本セル構造を有し、当該電極上又は電極内に窒素酸化物の吸着能を有する吸着材を配設した化学反応部を構成したことを特徴とするものである。本発明では、前記電気化学リアクターにおいて、窒素酸化物の吸着能を有する窒素酸化物吸着性複合材及び/又は窒素酸化物吸着物質、第1の電極、酸素イオン伝導性を有する固体電解質、及び第2の電極で形成され、最表面の片面もしくは両面に直接又は窒素酸化物選択還元触媒を介して窒素酸化物吸着性複合材を配置したこと、を好ましい実施の態様としている。窒素酸化物選択還元触媒としては、好適には、例えば、Pt−K−CeO、Pt−Ba−CeO、Pt−Na−CeO、Pt−K−Al、Pt−Ba−Al、Pt−Na−Alや硝酸カリウム、硝酸バリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム等が用いられ、窒素酸化物の高選択ストレージの作用を発揮する。
また、本発明では、前記窒素酸化物吸着性複合材が、Na、K、Rb、Cs、Ba、Caから選ばれた少なくとも1種を含み、その含有率が、全窒素酸化物吸着性複合材に対して、0.1〜30wt%であること、また、前記窒素酸化物吸着性複合材が、Os、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Auから選ばれた少なくとも1種を含み、その含有率が、全窒素酸化物吸着性複合材に対して、多くても20wt%、例えば、0.01〜20wt%であること、を好ましい実施の態様としている。
また、本発明では、前記窒素酸化物吸着性複合材が、そのサポート材として、CeO、TiO、Al、SiO、ZrOから選ばれた少なくとも1種を含むこと、また、前記窒素酸化物吸着物質として、Na、K、Rb、Cs、Ba、Caから選ばれた少なくとも1種以上のアルカリ又はアルカリ土類金属を、両電極の表面もしくは内部に配置又は担持したこと、を好ましい実施の態様としている。
本発明の電気化学リアクターについては、電気化学素子は、図1a、図1b及び図1cに示すように、固体電解質及び電極から構成される基本セル構造を有し、好適には、例えば、窒素酸化物選択還元触媒層、電極層及び酸素イオン伝導性を有する固体電解質層で構成される。
窒素酸化物の浄化に関する一般的なメカニズムは、まず、電気化学素子への通電を行い、電極層からの電子供与により窒素酸化物をイオン化する。窒素原子は、その場で分子となり放出される。生成した酸素イオンは、酸素イオン伝導性を有する固体電解質層内を拡散して反対側の電極層にて酸素分子として排出される。この反応が連続して起こることにより、窒素酸化物を窒素と酸素へ分解浄化する。
しかし、リーンバーンエンジンやディーゼルエンジンのように、排ガス中に数%以上の酸素を含む場合、多量に存在する共存酸素の分解が大量に起こり、窒素酸化物が効率的に浄化されないという問題がある。また、その浄化温度は、酸素イオン導電性の問題から、500℃以上という高い温度であることも問題であった。
そこで、本発明では、窒素酸化物の選択吸着・分解性を向上させることを目的として、電気化学素子における反応電極の上部もしくは内部へ、効率的に窒素酸化物を吸着する材料を配置する。これにより、意識的に反応電極近傍へ窒素酸化物濃度の高い状態を作り、窒素酸化物の浄化に必要な電流量を低減することが可能となり、更に、効率向上に伴う分解エネルギーの低減効果によって、これまでと比較して、顕著に浄化用電気化学素子の作動温度を低温下させることが可能となる。
本発明の電気化学リアクターの電気化学素子の構成について、以下に説明する。本発明では、電気化学素子に、窒素酸化物吸着性複合材もしくは窒素酸化物吸着能を有するアルカリ及びアルカリ土類金属を配置することで、内燃機関排ガス中の窒素酸化物を窒素酸化物浄化処理部である反応電極において効率的に浄化することが可能となる。
また、窒素酸化物吸着性複合材に、0.1〜30wt%のNa、K、Rb、Cs、Ba、Caの少なくとも1種を含むことで、窒素酸化物の吸着量が増し、窒素酸化物の分解効率が向上する。しかしながら、0.1wt%未満の場合、窒素酸化物の吸着量が少なく、浄化性能の向上は小さい。一方、30wt%以上の場合には、反応場から遠い部分での窒素酸化物の過剰な吸着現象、もしくは吸着物質の合成時の巨大化及び低分散化等の比表面積の減少に伴う吸着触媒性能の低下により、上記元素の含有の効果が小さくなる。
窒素酸化物吸着性複合材に、多くても20wt%、例えば、0.01〜20wt%のOs、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Auの少なくとも1種を含むことで、窒素酸化物の吸着量が増し、窒素酸化物の分解効率が向上する。0.01wt%未満の場合、塗布量が少ないことから、窒素酸化物の吸着量が少なく、性能向上が小さい。一方、20wt%以上の場合にも上記元素の含有の効果が小さい。
窒素酸化物吸着性複合材のサポート材として、CeO、TiO、Al、SiO、ZrOの少なくとも1種を含むことにより、窒素酸化物吸着性複合材の比表面積が大きくなることによって、より多くの窒素酸化物の吸着が可能となり浄化性能が向上する。窒素酸化物吸着性複合材の塗布量が0.1mg/cm以下の場合、吸着量が少なく塗布の効果が小さい。一方、塗布量が10mg/cm以上の場合、吸着層が厚く、最表面に吸着された窒素酸化物は、分解反応部である電極−電解質界面への拡散距離が長くなり、反応部への高濃度の窒素酸化物を速やかに供給することが困難になり、分解反応効率の向上が小さくなる。
窒素酸化物吸着性複合材の塗布量の増加に伴う、窒素酸化物吸着部と分解反応部である電極−電解質界面の間の間隔が増大する問題に関連して、反応部への高濃度の窒素酸化物の速やかな供給のために、窒素酸化物吸着能を有するNa、K、Rb、Cs、Ba、Caから選ばれた少なくとも1種以上のアルカリ及びアルカリ土類金属を反応電極の内部に担持した電気化学素子により窒素酸化物の分解効率が向上する。
電気化学素子の反応電極内部に担持した窒素酸化物吸着能を有するNa、K、Rb、Cs、Ba、Caから選ばれた少なくとも1種以上のアルカリ及びアルカリ土類金属塩を仮焼後、交流電界の印加により構造を微粒子化させることで、表面積を増大させて窒素酸化物の吸着・分解能が向上する。
固体電解質挟む二つ以上の反応電極に窒素酸化物吸着能を有する触媒又はNa、K、Rb、Cs、Ba、Caから選ばれた少なくとも1種以上のアルカリ及びアルカリ土類金属塩を配置又は担持した電気化学素子へ、変調周波数0.001〜10Hzの交流電界の印加により、被処理物質の吸着、放出、分解の反応周期を制御することで、被処理物質の分解効率が向上する。
本発明において、上記電気化学リアクターの作動方法は、作動温度域が500℃以下であり、前記の電気化学リアクターの作動方法であって、前記窒素酸化物吸着性複合材又は窒素酸化物吸着物質の選択により、窒素酸化物を高選択的に分解する温度を任意の領域に設定することができる。また、前記窒素酸化物吸着物質を両電極の表面もしくは内部に配置又は担持した電気化学リアクターへ交流電界を印加することで、電極の表面もしくは内部に配置又は担持した窒素酸化物吸着物質を微粒子化し、表面積を増加させ、被処理物質の吸着・分解性能を増加させる微構造を形成することができる。
本発明の電気化学リアクターにおいて、固体電解質として、酸素イオン伝導体以外に、プロトン伝導体及び/又は混合導電体を用いることができる。また、本発明では、図1及び2に示されるように、固体電解質の表面に複合電極を形成し、当該複合電極の片方又は両方に、窒素酸化物選択還元触媒を形成し、更に、その上に、窒素酸化物吸着層を形成することができる。その場合、複合電極の内部に窒素酸化物吸着材を担持させることも適宜可能であり、電極上又は電極内に窒素酸化物吸着材を配設する手段及び方法、その形状及び構造は、任意に選択し、設計することができる。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)本発明により、被処理物質の窒素酸化物の化学反応を妨害する酸素が過剰に存在する場合においても、従来技術と比較して、作動を大幅に低温化でき、更に、少ない消費電力で高効率かつ連続的に被処理物質の窒素酸化物を処理できる電気化学リアクターを提供できる。
(2)イオン電導体及び電極より構成される基本セル構造を有する電気化学リアクターにおいて、電極上又は電極内に窒素酸化物の吸着能を有する吸着材を配設することにより、燃焼排ガス中の窒素酸化物に対する選択性を向上させることができる。
(3)窒素酸化物の吸着能を有する窒素酸化物吸着性複合材を電極の表面に塗布した、あるいは、窒素酸化物吸着物質を電極の表面もしくは内部は配置又は担持した、新しい構造を有する電気化学リアクターを提供できる。
(4)窒素酸化物吸着性複合剤の種類を変えることにより、窒素酸化物の吸着活性温度を変化させることが可能となることから、窒素酸化物浄化の作動温度域を任意に設定したデバイスを提供できる。
(5)窒素酸化物吸着性複合剤の吸着脱離性能が材料ごとに異なるため、交流電界の変調周波数を吸着脱離速度に合わせて変化させることによって、窒素酸化物の浄化の活性を向上させることができる。
以下、本発明の実施例を説明する。図1a、b及びcは、本発明の一実施形態に係る電気化学素子の模式図である。以下、被処理物質として、窒素酸化物を用いた場合について具体的に説明する。
図1aと同様の構造を有する素子を、下記の方法により作製した。酸素イオン伝導性を有する固体電解質には、イットリア安定化ジルコニア(8mol%Y)を用い、30mm×100mm、厚さ0.5mmの成形体を用いた。電極は、窒素酸化物浄化側には白金とイットリア安定化ジルコニアの混合物を、酸素排出側にはLa−Sr−Mn−O系複合酸化物を用い、前記成形体の両面にスクリーン印刷にて印刷して形成した。窒素酸化物選択還元触媒層には、イットリア安定化ジルコニア(8mol%Y)と酸化ニッケルを混合したペーストを用いて、前述の成形体へ電極を形成したものに、更に、窒素酸化物浄化側へスクリーン印刷にて形成した。その成形体を1450℃×2時間焼成した物の両電極に、白金線を接続し、直流電源へと接続した。
窒素酸化物吸着性複合材として、γ−アルミナ43.5g、硝酸カリウム12.9g、硝酸白金5wt%溶液30g、水を混合し、ロータリーエバポレーターで濃縮・乾燥の後、600℃で2時間焼成を行い、窒素酸化物吸着性複合材の粉末を得た。
この粉末1.9gに対して、シリカバインダー20wt%含有エタノール溶液を0.5g添加し、エタノールを少量混合して、濃度調整したスラリーを得た。このスラリーを、上記成形体の窒素酸化物選択還元触媒層表面に塗布し、500℃で1時間焼成することで、カリウム10wt%と白金を3wt%含むγ−アルミナをサポート材とする窒素酸化物吸着性複合材を窒素酸化物選択還元触媒層上部に被服した電気化学素子を得た。窒素酸化物吸着層材の厚さは約1mg/cmである。
この電気化学素子の両面に、直流10Vを印加して、NOx浄化性能の評価を行った。窒素酸化物吸着性複合材を塗布した電気化学素子の模式図を図2aに示す。また、評価装置の模式図を図3に示す。
実験に用いた電気化学素子の吸着材以外は、実施例1と同じとして、窒素酸化物吸着性複合材を作製した。窒素酸化物吸着性複合材として、γ−アルミナ43.5g、硝酸セシウム7.3g、硝酸白金5wt%溶液30g、水を混合し、ロータリーエバポレーターで濃縮・乾燥の後、600℃で2時間焼成を行い、窒素酸化物吸着性複合材の粉末を得た。
この粉末1.9g、シリカバインダー20wt%含有エタノール溶液を0.5g添加し、エタノールを少量混合して、スラリーを得た。このスラリーを、上記成形体の窒素酸化物選択還元触媒層表面に塗布し、500℃で1時間焼成することで、セシウム10wt%と白金を3wt%含むγ−アルミナをサポート材とする窒素酸化物吸着性複合材を塗布した電気化学素子を得た。窒素酸化物吸着性複合材の厚さは約1mg/cmである。
実験に用いた電気化学素子の吸着材以外は、実施例2と同じとして、窒素酸化物吸着性複合材を作製した。窒素酸化物吸着性複合材として、γ−アルミナ43.5g、硝酸ナトリウム18.5g、硝酸白金5wt%溶液30g、水を混合し、ロータリーエバポレーターで濃縮・乾燥の後、600℃で2時間焼成を行い、窒素酸化物吸着性複合材を得た。
この粉末1.9g、シリカバインダー20wt%含有エタノール溶液を0.5g添加し、エタノールを少量混合して、スラリーを得た。このスラリーを、上記成形体の窒素酸化物選択還元触媒層表面に塗布し、500℃で1時間焼成することで、ナトリウム10wt%と白金を3wt%含むγ−アルミナをサポート材とする窒素酸化物吸着性複合材を塗布した電気化学素子を得た。窒素酸化物吸着性複合材の厚さは約1mg/cmである。
実験に用いた電気化学素子の吸着材以外は、実施例1と同じとして、窒素酸化物吸着性複合材を作製した。窒素酸化物吸着性複合材として、酸化セリウム43.5g、硝酸カリウム12.9g、硝酸白金5wt%溶液30g、水を混合し、ロータリーエバポレーターで濃縮・乾燥の後、600℃で2時間焼成を行い、窒素酸化物吸着性複合材を得た。
この粉末1.9g、シリカバインダー20wt%含有エタノール溶液を0.5g、エタノールを少量混合して、スラリーを得た。このスラリーを、上記成形体の窒素酸化物選択還元触媒層表面に塗布し、500℃で1時間焼成することで、カリウム10wt%と白金を3wt%含む酸化セリウムをサポート材とする窒素酸化物吸着性複合材を塗布した電気化学素子を得た。窒素酸化物吸着性複合材の厚さは約1mg/cmである。
実験に用いた電気化学素子の吸着材以外は、実施例1と同じとして、窒素酸化物吸着性複合材を作製した。窒素酸化物吸着性複合材として、γ−アルミナ45g、硝酸カリウム12.9g、水を混合し、ロータリーエバポレーターで濃縮・乾燥の後、600℃で2時間焼成を行い、窒素酸化物吸着性複合材を得た。
この粉末1.9g、シリカバインダー20wt%含有エタノール溶液を0.5g添加し、エタノールを少量混合して、スラリーを得た。このスラリーを、上記成形体の窒素酸化物選択還元触媒層表面に塗布し、500℃で1時間焼成することで、カリウム10wt%を含むγ−アルミナをサポート材とする窒素酸化物吸着性複合材を塗布した電気化学素子を得た。窒素酸化物吸着性複合材の厚さは約1mg/cmである。
実験に用いた電気化学素子の吸着材以外は、実施例1と同じとして、窒素酸化物吸着性複合材を作製した。窒素酸化物吸着性複合材として、γ−アルミナ46g、硝酸カリウム6.5g、硝酸白金5wt%溶液30g、水を混合し、ロータリーエバポレーターで濃縮・乾燥の後、600℃で2時間焼成を行い、窒素酸化物吸着性複合材を得た。
この粉末1.9g、シリカバインダー20wt%含有エタノール溶液を0.5g添加し、エタノールを少量混合して、スラリーを得た。このスラリーを、上記成形体の窒素酸化物選択還元触媒層表面に塗布し、500℃で1時間焼成することで、カリウム5wt%と白金を3wt%含むγ−アルミナをサポート材とする窒素酸化物吸着性複合材を塗布した電気化学素子を得た。窒素酸化物吸着性複合材の厚さは約1mg/cmである。
実験に用いた電気化学素子の吸着材以外は、実施例1と同じとして、窒素酸化物吸着性複合材を作製した。窒素酸化物吸着性複合材として、γ−アルミナ38.5g、硝酸カリウム25.8g、硝酸白金5wt%溶液 30g、水を混合し、ロータリーエバポレーターで濃縮・乾燥の後、600℃で2時間焼成を行い、窒素酸化物吸着性複合材を得た。
この粉末1.9g、シリカバインダー20wt%含有エタノール溶液を0.5g添加し、エタノールを少量混合して、スラリーを得た。このスラリーを上記成形体の窒素酸化物選択還元触媒層表面に塗布し、500℃で1時間焼成することで、カリウム20wt%と白金を3wt%含むγ−アルミナをサポート材とする窒素酸化物吸着性複合材を塗布した電気化学素子を得た。窒素酸化物吸着性複合材の厚さは約1mg/cmである。
実験に用いた電気化学素子の吸着材以外は、実施例1と同じとして、窒素酸化物吸着性複合材を作製した。窒素酸化物吸着性複合材として、γ−アルミナ40g、硝酸カリウム12.9g、硝酸白金5wt%溶液100g、水を混合し、ロータリーエバポレーターで濃縮・乾燥の後、600℃で2時間焼成を行い、窒素酸化物吸着性複合材を得た。
この粉末1.9g、シリカバインダー20wt%含有エタノール溶液を0.5g添加し、エタノールを少量混合して、スラリーを得た。このスラリーを、上記成形体の窒素酸化物選択還元触媒層表面に塗布し、500℃で1時間焼成することで、カリウム10wt%と白金を10wt%含むγ−アルミナをサポート材とする窒素酸化物吸着性複合材を塗布した電気化学素子を得た。窒素酸化物吸着性複合材の厚さは約1mg/cmである。
実験に用いた電気化学素子の吸着材以外は、実施例1と同じとして、窒素酸化物吸着性複合材を作製した。窒素酸化物吸着性複合材として、γ−アルミナ37.5g、硝酸カリウム12.9g、硝酸白金5wt%溶液150g、水を混合し、ロータリーエバポレーターで濃縮・乾燥の後、600℃で2時間焼成を行い、窒素酸化物吸着性複合材を得た。
この粉末1.9g、シリカバインダー20wt%含有エタノール溶液を0.5g添加し、エタノールを少量混合して、スラリーを得た。このスラリーを、上記成形体の窒素酸化物選択還元触媒層表面に塗布し、500℃で1時間焼成することで、カリウム10wt%と白金を15wt%含むγ−アルミナをサポート材とする窒素酸化物吸着性複合材を塗布した電気化学素子を得た。窒素酸化物吸着性複合材の厚さは約1mg/cmである。
実験に用いた電気化学素子は、実施例1と同じとして、窒素酸化物吸着性複合材を作製した。窒素酸化物吸着性複合材の厚さは約0.2mg/cmである。
実験に用いた電気化学素子は、実施例1と同じとして、窒素酸化物吸着性複合材を作製した。窒素酸化物吸着性複合材の厚さは約4mg/cmである。
実験に用いた電気化学素子は、実施例1と同じとして、窒素酸化物吸着性複合材を作製した。窒素酸化物吸着性複合材の厚さは約7mg/cmである。
(比較例1)
実験に用いた電気化学素子の吸着材以外は、実施例1と同じとして、窒素酸化物吸着性複合材を作製した。電気化学素子のみを配置した。吸着材は無しとした。
(比較例2)
実験に用いた電気化学素子の吸着材以外は、実施例1と同じとして、窒素酸化物吸着性複合材を作製した。窒素酸化物吸着性複合材として、γ−アルミナ48.5g、硝酸白金5wt%溶液30g、水を混合し、ロータリーエバポレーターで濃縮・乾燥の後、600℃で2時間焼成を行い、窒素酸化物吸着性複合材を得た。
この粉末1.9g、シリカバインダー20wt%含有エタノール溶液を0.5g添加し、エタノールを少量混合して、スラリーを得た。このスラリーを、上記成形体の窒素酸化物選択還元触媒層表面に塗布し、500℃で1時間焼成することで、白金を3wt%含むγ−アルミナをサポート材とする窒素酸化物吸着性複合材を塗布した電気化学素子を得た。窒素酸化物吸着性複合材の厚さは約1mg/cmである。
(比較例3)
実験に用いた電気化学素子の吸着材以外は、実施例1と同じとして、窒素酸化物吸着性複合材を作製した。窒素酸化物吸着性複合材として、γ−アルミナ48.4g、硝酸カリウム1.3g、硝酸白金5wt%溶液30g、水を混合し、ロータリーエバポレーターで濃縮・乾燥の後、600℃で2時間焼成を行い、窒素酸化物吸着性複合材を得た。
この粉末1.9g、シリカバインダー20wt%含有エタノール溶液を0.5g添加し、エタノールを少量混合して、スラリーを得た。このスラリーを、上記成形体の窒素酸化物選択還元触媒層表面に塗布し、500℃で1時間焼成することで、カリウム0.1wt%と白金を3wt%含むγ−アルミナをサポート材とする窒素酸化物吸着性複合材を塗布した電気化学素子を得た。窒素酸化物吸着性複合材の厚さは約1mg/cmである。
(比較例4)
実験に用いた電気化学素子の吸着材以外は、実施例1と同じとして、窒素酸化物吸着性複合材を作製した。窒素酸化物吸着性複合材として、γ−アルミナ33.5g、硝酸カリウム38.7g、硝酸白金5wt%溶液 30g、水を混合し、ロータリーエバポレーターで濃縮・乾燥の後、600℃で2時間焼成を行い、窒素酸化物吸着性複合材を得た。
この粉末1.9g、シリカバインダー20wt%含有エタノール溶液を0.5g添加し、エタノールを少量混合して、スラリーを得た。このスラリーを、上記成形体の窒素酸化物選択還元触媒層表面に塗布し、500℃で1時間焼成することで、カリウム30wt%と白金を3wt%含むγ−アルミナをサポート材とする窒素酸化物吸着性複合材を塗布した電気化学素子を得た。窒素酸化物吸着性複合材の厚さは約1mg/cmである。
(比較例5)
実験に用いた電気化学素子の吸着材以外は、実施例1と同じとして、窒素酸化物吸着性複合材を作製した。窒素酸化物吸着性複合材として、γ−アルミナ35g、硝酸カリウム12.9g、硝酸白金5wt%溶液200g、水を混合し、ロータリーエバポレーターで濃縮・乾燥の後、600℃で2時間焼成を行い、窒素酸化物吸着性複合材を得た。
この粉末1.9g、シリカバインダー20wt%含有エタノール溶液を0.5g添加し、エタノールを少量混合して、スラリーを得た。このスラリーを、上記成形体の窒素酸化物選択還元触媒層表面に塗布し、500℃で1時間焼成することで、カリウム10wt%と白金を20wt%含むγ−アルミナをサポート材とする窒素酸化物吸着性複合材を塗布した電気化学素子を得た。窒素酸化物吸着性複合材の厚さは約1mg/cmである。
(比較例6)
実験に用いた電気化学素子、窒素酸化物吸着性複合材は、実施例1と同じとして、窒素酸化物吸着性複合材を作製した。窒素酸化物吸着性複合材の塗布厚さは10mg/cmである。
図1bと同様の構造を有する素子を、下記の方法により作製した。酸素イオン伝導性を有する固体電解質として、Gd添加セリア(10mol%−Ga)を用い、直径20mm、厚さ0.5mmの成形体を用いた。電極は、白金とGd添加セリアの混合物を前記成形体の両面にスクリーン印刷にて印刷して形成した。窒素酸化物選択還元触媒層には、Gd添加セリア(10mol%−Ga)と酸化ニッケルを混合したペーストを用いて、前述の成形体へ電極を形成したものに、更に、窒素酸化物浄化側へスクリーン印刷にて形成した。その成形体を1400℃×5時間焼成したものの両電極に、電圧印加のための白金線を接続した。
窒素酸化物吸着性複合材は、前述の実施例1における記述と同様な作製法により作製し、この窒素酸化物吸着性複合材を、電解質の両面に配置した窒素酸化物選択還元触媒層の上部に被服した電気化学素子を得た。窒素酸化物吸着層材の厚さは約1mg/cmである。
電気化学素子のNOx浄化性能は、電圧をファンクションジェネレーター及び電源増幅器を用いて、sin波による変調周波数0.3Hzの交流にて±4.5Vの印加条件で評価を行った。窒素酸化物吸着性複合材を塗布した電気化学素子の模式図を図2bに示す。
(比較例7)
実験に用いた電気化学素子の吸着材以外は、実施例13と同じとした。電気化学素子のみを配置した。吸着材は無しとした。
図1cと同様の構造を有する素子を、下記の方法により作製した。酸素イオン伝導性を有する固体電解質には、Gd添加セリア(10mol%−Ga)を用い、直径20mm、厚さ0.5mmの成形体を用いた。電極として、焼成後に多孔質になるように調製された、白金とGd添加セリアの混合物を前記の固体電界質成形体の両面にスクリーン印刷にて印刷後、1400℃×1時間の焼成を施し、電気化学セルとした。
これに対する窒素酸化物吸着物の担持は、以下のようにして行った、上記のセルを、濃度が0.1mol/Lの硝酸カリウム水溶液を用いて、ディップコート後、500℃で熱処理を行うという一連のプロセスを数回繰り返し、電極内部に、窒素酸化物吸着物を担持した。その後、このセルの両電極に白金線を接続し、電気化学素子を得た。電気化学素子の模式図を図2cに示す。
実験に用いた電気化学セルは、実施例14と同じとした。
これに対する窒素酸化物吸着物の担持は、以下のようにして行った、上記のセルを、濃度が0.1mol/Lの硝酸バリウム水溶液を用いて、ディップコート後、500℃で熱処理を行うという一連のプロセスを数回繰り返し、電極内部に、窒素酸化物吸着物を担持した。その後、このセルの両電極に白金線を接続し、電気化学素子を得た。
(実験の実施結果)
表1に示す測定条件にて、実施例1〜12及び比較例1〜6のサンプルを用いて、窒素酸化物浄化性能の試験を行った。各電気化学素子の窒素酸化物浄化率を表2に示す。図4に、窒素酸化物吸着性複合材に含まれるアルカリ金属種の効果を示す。このグラフから、窒素酸化物吸着性複合材にアルカリ金属を含有させることで、窒素酸化物の浄化率向上が見られる。
図5に、窒素酸化物吸着性複合材に含まれるアルカリ金属量の効果を示す。窒素酸化物吸着性複合材に含まれるアルカリ金属濃度が30wt%以下の場合には、窒素酸化物の浄化率向上が見られる。図6に、窒素酸化物吸着性複合材に含まれる貴金属量の効果を示す。窒素酸化物吸着性複合材に含まれる貴金属量が20wt%以下の場合には、貴金属含有の効果が見られる。
図7に、窒素酸化物吸着性複合材の塗布量の効果を示す。窒素酸化物吸着性複合材の塗布量が10mg/cm以下の場合に、窒素酸化物浄化率向上が見られる。図8に、浄化温度の低減効果を示す。窒素酸化物吸着性複合材を配置することで、浄化温度域の低下が見られた。
表3に示す模擬排ガス条件にて、実施例13及び比較例7の素子を用いて、窒素酸化物浄化性能の試験を行った。図9に、電解質の両面に窒素酸化物の選択浄化層を配置した電気化学素子の窒素酸化物吸着性複合材塗布による低温作動化効果を示す。これにより、低周波数域の交流電圧作動において、窒素酸化物吸着性複合材を配置することで、窒素酸化物浄化の低温作動化が可能であることが分かる。
表3に示す模擬排ガス条件にて、実施例14及び15の素子の作動温度300℃における窒素酸化物の浄化特性を評価した。図10に、窒素酸化物浄化率の経時変化を示す。この結果から、作動開始から3〜4時間程度の間、浄化特性の向上がみられる。これは、図11の電子顕微鏡写真に示すように、電気化学素子の交流電圧作動により、電極に担持した窒素酸化物吸着物質が構造変化を起こして微粒子化することで、吸着面積が増大することにより浄化量が劇的に増えたものと考えられる。
このように、交流電界作動を用いた窒素酸化物吸着物質の組織形成は、浄化効率の向上に有効である。また、図12に示すように、交流電界作動において、その変調周波数の違いにより浄化性能が変化する。更に、本発明者らは、窒素酸化物吸着物質のガス吸・脱着性能の違いにより、それぞれに対して、最適な作動周波数が異なることを明らかにした。
以上詳述したように、本発明は、低温作動型電気化学リアクターに係るものであり、本発明の電気化学リアクターは、被処理物質と共存する過剰な酸素の吸着による性能低下に対し、高効率かつ持続的な電気化学反応を行うことを可能とし、また、窒素酸化物の浄化に必要な電流量を低減し、浄化温度域を低下せしめることを実現する。また、本発明によれば、被処理物質の化学反応を妨害する酸素が過剰に存在する場合においても、従来と比較して、作動を大幅に低温化でき、更に少ない消費電力で高効率かつ連続的に被処理物質を処理できる電気化学リアクターを提供することができる。
電気化学素子の構成を示す。 窒素酸化物吸着性複合材を塗布した電気化学素子を示す。 評価装置の模式図を示す。 アルカリ金属種の効果を示す。 アルカリ金属含有量の効果を示す。 貴金属量の効果を示す。 窒素酸化物吸着性複合材塗布量の効果を示す。 窒素酸化物吸着性複合材塗布による低温化効果を示す。 両面作動型セルへの窒素酸化物吸着性複合材塗布による低温作動化の効果を示す。 交流作動による窒素酸化物浄化量の経時変化を示す。 交流電界印加による窒素酸化物吸着物の微構造化(電子顕微鏡写真)を示す。 窒素酸化物浄化率における交流作動電圧の変調周波数依存性を示す。

Claims (12)

  1. 被処理物の窒素酸化物に対して電気化学反応を行うための素子を有する電気化学リアクターであって、イオン伝導体及び電極より構成される基本セル構造を有し、当該電極上又は電極内に窒素酸化物の吸着能を有する吸着材を配設した化学反応部を構成したことを特徴とする電気化学リアクター。
  2. 窒素酸化物の吸着能を有する窒素酸化物吸着性複合材及び/又は窒素酸化物吸着物質、第1の電極、酸素イオン伝導性を有する固体電解質、及び第2の電極で形成され、最表面の片面もしくは両面に直接又は窒素酸化物選択還元触媒を介して窒素酸化物吸着性複合材を配置した、請求項1記載の電気化学リアクター。
  3. 前記窒素酸化物吸着性複合材が、Na、K、Rb、Cs、Ba、Caから選ばれた少なくとも1種を含み、その含有率が、全窒素酸化物吸着性複合材に対して、0.1〜30wt%である、請求項2記載の電気化学リアクター。
  4. 前記窒素酸化物吸着性複合材が、Os、Rh、Ir、Pd、Pt、Ag、Auから選ばれた少なくとも1種を含み、その含有率が、全窒素酸化物吸着性複合材に対して、多くても20wt%である、請求項2記載の電気化学リアクター。
  5. 前記窒素酸化物吸着性複合材が、そのサポート材として、CeO、TiO、Al、SiO、ZrOから選ばれた少なくとも1種を含む、請求項2記載の電気化学リアクター。
  6. 前記窒素酸化物吸着性複合材の塗布量が、0.1〜10mg/cmである、請求項2記載の電気化学リアクター。
  7. 被処理物が内燃機関の排ガスである、請求項1記載の電気化学リアクター。
  8. 前記窒素酸化物吸着物質として、Na、K、Rb、Cs、Ba、Caから選ばれた少なくとも1種以上のアルカリ又はアルカリ土類金属を、両電極の表面もしくは内部に配置又は担持した、請求項2記載の電気化学リアクター。
  9. 固体電解質として、酸素イオン伝導体以外に、プロトン伝導体及び/又は混合導電体を用いる、請求項1から8のいずれかに記載の電気化学リアクター。
  10. 請求項1から9のいずれかに記載の電気化学リアクターの作動方法であって、作動温度域が500℃以下であり、前記窒素酸化物吸着性複合材又は窒素酸化物吸着物質の選択により窒素酸化物を高選択的に分解する温度を任意の領域に設定することを特徴とする電気化学リアクターの低温作動方法。
  11. 請求項8又は9に記載の電気化学リアクターへ交流電界を印加することで、電極の表面もしくは内部に配置又は担持した窒素酸化物吸着物質を微粒子化し、表面積を増加させ、被処理物質の吸着・分解性能を増加させることを特徴とする電気化学リアクターの微構造形成方法。
  12. 請求項8又は9に記載の電気化学リアクターへ変調周波数0.001〜10Hzの交流電界の印加により、被処理物質の吸着、放出、分解の反応周期を制御し、高効率に被処理物質を分解することを特徴とする電気化学リアクターの作動方法。
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