JP5554745B2 - 固体酸化物形燃料電池システム - Google Patents

固体酸化物形燃料電池システム Download PDF

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Description

本発明は、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)システムおよび該システムに用いられる複合材料に関する。
一般に「SOFC」と呼称される固体酸化物形燃料電池は、種々のタイプの燃料電池の中でも、発電効率が高い、環境への負荷が低い、そして、多用な燃料の使用が可能であるなどの点から次世代の発電装置として期待されており、その開発が進められている。
SOFCの基本構造(セル)は、酸化物イオン伝導体からなる緻密な固体電解質(例えば緻密膜層)の一方の面に空気極(カソード)が形成され、他方の面に燃料極(アノード)が形成されることによって構成されている。上記空気極および燃料極は、ともにガス拡散性のよい多孔質構造で構成されている。固体電解質の燃料極側には燃料ガス(典型的には水素(H)ガスやメタン(CH)ガス等)が供給され、空気極側には酸素(O)含有ガス(典型的には空気)が供給される。
一般的に、SOFCの開発過程においては、上記燃料ガスとして高純度のガスが使用されている。これは、燃料ガス中に混入した不純物がSOFCの発電効率を低下させるためである。しかし、SOFCを広く普及させるにあたり、純度が低い燃料ガスを使用しなければならない状況も生じ得る。そこで、近年では、SOFCに供給される燃料ガスから不純物を除去するガス処理装置の開発が進められている。特許文献1,2には、燃料ガス中の不純物の一種である一酸化炭素(CO)を酸化するための触媒体が開示されている。また、特許文献3には不純物であるガス成分を除去処理するためのガス処理装置が示されている。
特開平11−347414号公報 特開平7−256112号公報 特開2006−281089号公報
特許文献1には、一酸化炭素(CO)を酸化させるための触媒体として、ゼオライト系の担体に白金合金触媒を担持させた改質ガス酸化触媒が開示されている。一酸化炭素を含んだ燃料ガスを当該酸化触媒に通過させると、燃料ガス中の物質のうち比較的サイズの大きい一酸化炭素は、上記ゼオライト系の担体の細孔を通過する速度が他の物質よりも遅くなるので、白金合金触媒の触媒機能により酸化されやすくなる。このように、特許文献1に記載の酸化触媒は、燃料ガスに含まれる物質(水素、酸素、一酸化炭素)の通過速度に差異が生じることを利用して一酸化炭素を選択的に酸化除去する。
ところで、燃料ガスには、一酸化炭素以外の不純物として有機化合物が含まれていることがある。有機化合物を除去するための一手段として、該有機化合物を燃焼分解することが挙げられる。白金族の金属は、有機化合物の分解温度を低下させる触媒体としても機能するが、上記有機化合物を吸着させる能力はほとんどない。従って、この種の金属触媒を用いる場合、有機化合物の分解量は単位面積あたりに配置される触媒量に依存するため、触媒単位量あたりの分解効率を向上させることが課題である。例えば、特許文献1に記載されているような酸化触媒をSOFC用の高純度燃料ガス生成用触媒に用いて有機化合物を除去するには、多量の触媒体(白金などの貴金属)が必要となり、固体酸化物形燃料電池システムの製造コストを高騰させる原因になり得る。
本発明は上述の問題を鑑みて創出されたものであり、白金族金属のようなコスト増の原因となる触媒体の使用量を抑えて燃料ガス中の不純物を好適に除去できる複合材料と、該複合材料を利用した固体酸化物形燃料電池システムを提供することを目的とする。
上記目的を実現するべく、本発明によって提供される固体酸化物形燃料電池システム(以下「SOFCシステム」ともいう。)について説明する。本発明のSOFCシステムは、燃料極と空気極と固体電解質とを有する燃料電池セルを少なくとも1つ備えた発電部と、該発電部に接続されており、該燃料極に燃料ガスを供給する燃料ガス供給ラインと、該発電部よりも燃料ガス供給ラインの上流に設けられており、該燃料ガス供給ラインを流れる燃料ガス中に不純物として含まれる有機化合物の少なくとも一種を除去可能な触媒部と、触媒部に酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給手段とを備えている。
そして、本発明によって提供されるSOFCシステムにおける触媒部は、少なくとも1種の白金族に属する金属からなる触媒体を基材に担持させてなる燃焼触媒体と、細孔を有するゼオライトとからなる複合材料を備えている。
ここで、「細孔を有するゼオライト」とは、種々のサイズの細孔を有するゼオライトを包括する用語であり、例えば、細孔入口が8員環の小細孔ゼオライト、10員環の中細孔ゼオライト、12員環の大細孔ゼオライト、14員環以上の超大細孔ゼオライトを包含するものである。ここで、上記の環構造についての数字は、当該環構造を構成している酸素原子の数である(以下同じ)。
また、上記酸素含有ガス供給手段は、触媒部に酸素含有ガスを供給できる構成を有していればよい。酸素含有ガス供給手段は、例えば、燃料ガス供給ラインを介して触媒部に接続された酸素含有ガス貯蔵部から構成されていてもよいし、酸素含有ガス貯蔵部と、酸素含有ガス貯蔵部と触媒部とを接続する酸素含有ガス供給ラインから構成されていてもよい。
本明細書においてSOFCシステムとは、少なくとも1つ以上の固体酸化物形燃料電池セルを備えた発電システムのことを指すものである。
本明細書における「不純物として含まれる有機化合物(以下、単に「不純物」と称する場合がある。)」とは、SOFCの燃料ガス(水素供給ガス:水素ガス若しくは炭化水素系ガス)中に含まれ得る有機化合物を指すものであり、所定の温度で加熱された場合に燃焼分解する性質を有している。例えば、メタン(CH)を燃料ガスとして用いた場合の不純物としては、トルエン(CCH)、ベンゼン(C)、キシレン(C10)などが挙げられる。
上記構成の本発明に係るSOFCシステムでは、ゼオライトを含む複合材料が上記触媒部に備えられているため、上記不純物を上記ゼオライトに吸着させることによって、燃料ガスから不純物を除去し、該不純物が除去された燃料ガスを発電部に供給することができる。
また、本発明に係るSOFCシステムは、触媒体を基材に担持させることによって構成される燃焼触媒体を含んだ複合材料を備えた触媒部と、該触媒部に酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給手段とを備えている。これによって、ゼオライトに吸着された不純物を、白金族に属する金属からなる触媒体と基材からなる燃焼触媒体の触媒機能によって効率よく燃焼分解することができる。従って、ここで開示されるSOFCシステムによると、上記触媒部において、ゼオライトによる吸着と燃焼触媒体による燃焼分解によって、効率よく不純物を除去して純度の高い燃料ガスを発電部に供給することを実現する。また、ここでは、触媒体は、基材に担持されており、該基材と触媒体とからなる燃焼触媒体は、ゼオライトに担持されている。このため、高価な白金族金属の使用量を抑えることができ、製造コストの削減に貢献することができる。さらに、ここで開示されるSOFCシステムでは、上記ゼオライトに吸着した不純物を燃焼分解させるため、ゼオライトの吸着能力を高い状態で維持することができる。また、触媒部の交換頻度を下げることができ、ランニングコストの低下にも貢献できる。
また、ここで開示されるSOFCシステムの好ましい一態様では、上記触媒部への燃料ガス供給および酸素含有ガス供給を制御する制御部を備えている。この制御部は、以下の2つの作動態様:
上記触媒部への上記酸素含有ガスの供給を停止するとともに上記燃料極へ上記燃料ガスを供給する発電モード;および
上記燃料極への上記燃料ガスの供給を停止するとともに上記触媒部へ上記酸素含有ガスを供給する洗浄モード;
があり、上記発電モードと上記洗浄モードとを切り替え可能に上記燃料ガス供給および酸素含有ガス供給を制御する。
上記構成のSOFCシステムでは、燃料極へ燃料ガスを供給することで発電部に発電をさせる発電モードにおいて、酸素含有ガスの供給を停止している。したがって、発電中の燃料極に酸素含有ガスが供給されることによる電池特性の低下を防止できる。さらに、上記洗浄モードにおいて、触媒部へ酸素含有ガスを供給している。これによって、上記複合材料のゼオライトに吸着された不純物を燃焼除去するため、触媒部の不純物除去能力を高い状態で維持できる。
さらに、上記制御部を備えたSOFCシステムは、好ましくは、上記燃料ガス供給ラインにおける触媒部よりも下流側に該触媒部における不純物浄化能力の指標となるパラメータを検知可能なセンサ(例えば、流速センサ、差圧センサ、成分センサ)が設けられており、上記制御部は該センサの検知結果に基づいて上記洗浄モードと上記発電モードとを切り替える。
触媒部を流れるガス流速を検知する流速センサを備えているとより好ましい。当該流速センサは、燃料ガス供給ラインにおける前記触媒部よりも下流側に設けられる。上記構成のSOFCシステムにおいて、制御部は、上記流速センサによって検知されたガス流速値に基づいて、所定の閾値を下回った場合に上記洗浄モードを開始させ、上記所定の閾値を上回った場合に上記発電モードを開始させる。
一般的に、複合材料に含まれるゼオライトに多量の不純物が吸着すると、触媒部における不純物除去能力が低下する。このとき、触媒部を流れるガス流速が遅くなるため、かかるガス流速を示す「ガス流速値」は触媒部の不純物除去能力を評価する指標の一つとして用いられ得る。
上記構成のSOFCシステムでは、燃料ガス供給ラインにおける触媒部よりも下流側に流速センサが設けられており、制御部は、該流速センサによって検知された「ガス流量値」に基づいて上記各モードを切り替えている。このため、触媒部の不純物除去能力を反映して、適切なタイミングで上記各モードを切り替えることができる。
また、ここで開示されるSOFCシステムの好ましい一態様では、上記触媒部に供給されるガスの温度を調整可能に構成されている。
かかる構成のSOFCシステムの場合、触媒部に供給されるガスの温度を上記不純物(有機化合物)の分解温度に調整することができるので、上記ゼオライトに吸着した不純物を好適に燃焼分解させることができる。また、特に好ましい態様では、上記触媒部に供給されるガスの温度を100℃〜400℃の温度域に調整可能に構成されていることを特徴とする。かかる態様によると比較的低温域である上記温度範囲において経済的に不純物を除去することができる。
また、ここで開示されるSOFCシステムの好ましい一態様では、上記基材は、平均粒子径が0.05μm〜0.5μmの粒状基材である。
本明細書において「平均粒子径」とは、測定対象の粒度分布におけるD50(メジアン径)をいう。かかるD50は、例えば従来公知のレーザー回折方式、光散乱方式等に基づく粒度分布測定装置によって容易に測定することができる。
平均粒子径が0.5μm以下の粒状基材を基材として備える燃焼触媒体は、上記ゼオライトに好適に担持される。また、平均粒子径が0.05μm以上の粒状基材は、上記触媒体を好適に担持することができる。
また、ここで開示されるSOFCシステムの好ましい一態様では、上記ゼオライトは、平均粒子径が1μm〜10μmの粒状ゼオライトである。かかる数値範囲内の平均粒子径を有した粒状ゼオライトは、上記燃焼触媒体を好適に担持することができ、且つ、燃料ガス中の不純物を好適に吸着させることができる程度の有効表面積を有する。
また、ここで開示されるSOFCシステムの好ましい一態様では、上記複合材料は、上記基材100質量部に対して、上記ゼオライトを50質量部〜200質量部含み、且つ、上記触媒体を0.1質量部〜10質量部含む。
このような割合で各構成要素を含む複合材料は、ゼオライトが十分な割合で含まれているため、燃料ガス中の不純物を好適に吸着させることができる。さらに、かかる複合材料は、基材と触媒体からなる燃焼触媒体が十分な割合で含まれているため、ゼオライトに吸着した不純物に対して触媒機能を好適に発揮することができる。
また、ここで開示されるSOFCシステムの好ましい一態様では、上記触媒体として白金粒子が用いられていることを特徴とする。白金粒子を触媒体として用いた複合材料は燃料ガス中に含まれる不純物(有機化合物)を好適に燃焼分解することができる。
また、ここで開示されるSOFCシステムの好ましい一態様では、基材としてγアルミナ粒子が用いられていることを特徴とする。γアルミナ粒子は、スピネル構造の酸化アルミニウム(Al)粒子であり、高比表面積を有しているため、上記触媒体を好適に担持することができる。
また、ここで開示されるSOFCシステムの好ましい一態様では、上記ゼオライトとして、細孔入口を構成する酸素原子を12又はそれ以上含むゼオライトが用いられていることを特徴とする。上述のようなゼオライトは、12員環以上の細孔入口を有しているため、ベンゼン環を含むような大きな分子からなる不純物を好適に吸着させることができる。典型的には、上記大細孔ゼオライトとしてX型ゼオライトを用いることができ、中でもナトリウムを含むNa−X型ゼオライトは安価であり好適に用いることができる。
本発明の一実施形態に係るSOFCシステムにおける発電部および触媒部を模式的に示す断面図である。 本発明のSOFCシステムにおける発電部の一例を模式的に示した断面図である。 本発明のSOFCシステムにおける触媒部の一例を模式的に示した立体断面図である。 実施例における各サンプルの不純物除去能力を測定するための検査装置を模式的に示したブロック図である。 実施例におけるサンプル1を通過した燃料ガスの熱伝導度と、該燃料ガス中のトルエンと二酸化炭素の質量電荷比の測定結果を示したグラフである。左側の縦軸は、上記燃料ガスの熱伝導度(TCD[μV])の測定結果を示しており、グラフ中の「Desorption curve」に対応している。また、右側の縦軸は、上記燃料ガス中のトルエンと二酸化炭素の質量電荷比(Electricity[nA])の測定結果を示しており、グラフ中の「MS(CO2)」と、「MS(toluene)」に対応している。横軸は、10℃/minで昇温する燃料ガスの温度を示している。 本発明の一実施形態に係るSOFCシステムの全体構成を模式的に示した図である。 本発明の他の実施形態に係るSOFCシステムの全体構成を模式的に示した図である。 本発明の他の実施形態に係るSOFCシステムの全体構成を模式的に示した図である。 本発明の一実施形態に係るSOFCシステムの使用方法の一例を示したフローチャートである。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、上記複合材料の構成、上記複合材料の製造方法)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、SOFCシステムを構成するセルやスタックの詳細な構築方法など)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここで開示されるSOFCシステムは、上記の構成の発電部と、燃料ガス供給ラインと、触媒部とを備えることにより特徴付けられる固体酸化物形燃料電池システムであり、他の構成成分の内容や組成などについては、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の基準に照らして決定することができる。
<複合材料の構成>
ここでは、先ず、SOFCシステムの触媒部が備えている複合材料について説明する。かかる複合材料は、上記燃料ガスに不純物として含まれている有機化合物を除去するために用いられる材料である。複合材料は、少なくとも1種の白金族に属する金属からなる触媒体を基材に担持させてなる燃焼触媒体と、細孔を有するゼオライトとを備える。かかる複合材料は、基材100質量部に対して、ゼオライトを50質量部〜200質量部含み、且つ、触媒体を0.1質量部〜10質量部含んでいると好ましい。このような割合で各材料を含んでいる複合材料は、ゼオライトが十分な割合で含まれているため、燃料ガス中の不純物を好適に吸着させることができる。さらに、各材料が上記割合で含まれている複合材料は、基材と触媒体からなる燃焼触媒体が十分な割合で含まれているため、ゼオライトに吸着した不純物或いはゼオライトにいったん吸着された後に脱離した不純物に対して触媒機能を好適に発揮することができる。
1.燃焼触媒体
燃焼触媒体は、触媒体を基材に担持させることによって構成されている。この燃焼触媒体は、上記不純物(有機化合物)が燃焼分解される温度(分解温度)を低下させるという触媒機能を有している。燃焼触媒体の存在下での不純物の分解温度は、燃焼触媒体を構成する触媒体と基材に用いられる物質の種類によって変動するが、150℃〜250℃(例えば190℃程度)であると好ましい。
上記燃焼触媒体を構成する触媒体は、少なくとも1種の白金族に属する金属を備える。ここで「白金族に属する金属」は、元素周期表における第5および第6周期のそれぞれ第8、9、10族に位置する元素(すなわち白金族元素)から構成された金属であり、有機化合物の分解温度を低下させる燃焼触媒機能を有している。上記白金族元素としては、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)が挙げられる。また、触媒体は、これらの白金族元素のうち1種の元素のみから構成されていてもよいし、硝酸塩や塩化物から構成されていてもよい。また、白金族の金属粒子を2種類以上混ぜ合わせた混合材料や、これらの元素を含む合金を用いることもできる。これらの中でも、触媒機能やコストを考慮すると、白金粒子や白金を含む合金などの白金系触媒体が好ましく用いられる。
また、上述したように、触媒体は、後述の基材100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部(好ましくは0.5質量部〜5質量部、より好ましくは0.5質量部〜2質量部)の割合で複合材料中に配合されているとよい。上記数値範囲の触媒体が含まれている複合粒子は、燃料ガス中の不純物に対する触媒機能を好適に発揮することができる。
他方、上記燃焼触媒体を構成する基材は、上記白金族に属する金属を安定に担持し得る物質である。また、基材は、上記触媒体を分散担持できる多孔質物質であると好ましい。具体的には、酸化アルミニウム(Al)、酸化セリウム(CeO)、酸化ケイ素(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)などの金属酸化物や、上述の金属酸化物を主成分として含む複合酸化物など挙げられる。また、これら材料の中でも酸化アルミニウム(Al)が好ましく用いられる。特に、スピネル構造の酸化アルミニウム(Al)粒子であるγアルミナ粒子は、高比表面積を有しているため、特に好ましく用いることができる。また、基材は、触媒体を担持できるだけでなく、不純物に対する触媒機能を有していてもよい。この場合、不純物の分解温度をさらに低くできるため、より容易に燃料ガスから不純物を除去できる。また、基材は、特に粒状のものを好適に用いることができる。例えば、平均粒子径が0.05μm〜0.5μm(好ましくは0.07μm〜0.3μm、より好ましくは0.08μm〜0.2μm)である粒状基材であるとよい。平均粒子径が0.5μm以下の粒状基材の場合、ゼオライトに好適に担持できる程度の粒径を有した燃焼触媒体を作製することができる。また、平均粒子径が0.05μm以上の粒状基材の場合、上記触媒体が好適に担持された燃焼触媒体が得られる。
2.ゼオライト
次に、燃焼触媒体とともに複合材料を構成するゼオライトについて説明する。
ゼオライトは、結晶構造に由来する規則正しい細孔を有しており、燃料ガス中の不純物を吸着させる機能を有している。また、ゼオライトは、所定の温度まで加熱されると、吸着した不純物が脱離するという性質を有している。有機化合物が脱離される温度(脱離温度)は、ゼオライトの構造によって変動するが、例えば200℃以上(典型的には200℃〜300℃)である。
ゼオライトは、典型的には、結晶性の多孔質アルミノケイ酸塩である。ここで開示されるゼオライトとしては、例えば、細孔入口が8員環の小細孔ゼオライト、10員環の中細孔ゼオライト、12員環の大細孔ゼオライト、14員環以上の超大細孔ゼオライトなどが挙げられる。これらの中でも大細孔ゼオライトは、12員環の大細孔(典型的には、細孔入口の直径74nm以下)を有しているため、ベンゼン環を含むような大きな分子(例えば芳香族化合物)からなる不純物を好適に吸着させることができる。ゼオライトの具体的な構造としては、X型ゼオライト、Y型ゼオライト、モルデナイト、フェリエライト、エリオナイト、チャバサイトなどが挙げられる。これらのなかでも、X型ゼオライトは、12員環の大細孔ゼオライトであるため、好ましく用いることができる。また、金属元素としてナトリウム(Na)を含むX型ゼオライト(Na−X型ゼオライト)は、X型ゼオライトの中でも比較的に安価であるため、より好ましく用いることができる。また、このNa−X型ゼオライトは、Naが1価の陽イオンであるため、2価の陽イオンを含むX型ゼオライトよりも多くの陽イオンサイト(反応の場)を有している。
また、ゼオライトは特に粒状のものを好適に用いることができる。例えば、平均粒子径が1μm〜10μm(好ましくは2μm〜9μm、より好ましくは4μm〜8μm)の粒状ゼオライトであるとよい。平均粒子径が10μm以下の粒状ゼオライトの場合、複合材料全体におけるゼオライトの有効表面積を大きくすることができ、燃料ガス中の不純物を好適に吸着させることができる。また、平均粒子径が1μm以上の粒状ゼオライトの場合、上記燃焼触媒体が好適に担持された複合粒子が得られる。また、ゼオライトは、基材100質量部に対して、50質量部〜200質量部(好ましくは70質量部〜150質量部、より好ましくは80質量部〜120質量部)の割合で複合材料中に含有されているとよい。上記数値範囲のゼオライトを含んだ複合材料は、燃料ガス中の不純物を好適に吸着させることができる。
<複合材料の作製>
上述の複合材料を作製する方法の一例を説明する。ここでは、先ず、従来公知の方法(例えば、含浸担持法)を用いて、触媒体を基材に担持させることによって燃焼触媒体を作製する。含浸担持法を用いる場合、触媒体を含む溶液に基材を添加した後に溶液を乾燥させることによって燃焼触媒体が作製できる。この場合に、触媒体を含む溶液としては、該触媒体のアンミン錯塩やジニトロアンミン錯塩を溶解させた硝酸溶液などが好ましく用いられる。
次に、得られた燃焼触媒体をゼオライトと混ぜ合わせる。当該混合処理を実施する方法は特に限定されず、最終的に燃焼触媒体とゼオライトとが均一になるように混合すればよい。この混合処理の前処理として、燃焼触媒体やゼオライトに対して焼成処理や乾燥処理を行ってもよい。
<SOFCシステムの構成>
上述の複合材料は、SOFCシステムに用いられる。以下、本発明の一実施形態に係るSOFCシステムについて図1〜図3及び図6を参照しながら説明する。図1は、ここで開示されるSOFCシステム100における発電部10と触媒部30を模式的に示す断面図である。図2は、当該SOFCシステム100における発電部10の一例を模式的に示した断面図である。また、図3は、SOFCシステム100における触媒部30の断面図である。図6は、SOFCシステム100の全体構成を模式的に示す図である。
図1及び図6に示すように、ここで開示されるSOFCシステム100は、発電部10と燃料ガス供給ライン20と触媒部30と酸素含有ガス供給手段60とを備えている。
A.発電部
発電部10は、燃料極と固体電解質と空気極とを有する燃料電池セルを備えている。該燃料電池セルとしては、種々の構造(例えば、従来公知の平板型(Planar)、円筒型(Tubular)、あるいは円筒の周側面を垂直に押し潰したフラットチューブラー(Flat tubular)型等)のものを用いることができ、燃料電池セルの構造は本発明を限定しない。また、発電部10は、上記燃料電池セルを少なくとも1つ備えていればよく、発電部10を構成する燃料電池セルの数は本発明を限定しない。すなわち、発電部10は、1つの燃料電池セルから構成されていてもよいし、複数の燃料電池セルを並べて配置することによって構成されていてもよいし、複数の燃料電池セルを重ね合わせたスタック構造から構成されていてもよい。例えば、図2には、発電部10を構成する1つのアノード支持型燃料電池セル12のみ示しているが、アノード支持型燃料電池セルを複数備えるスタックを備えるものが好ましい。
A−1.燃料極
上記燃料電池セルを構成する燃料極(アノード)としては、例えば、ニッケル(Ni)とセラミック(例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、カルシア安定化ジルコニア(CSZ)、スカンジア安定化ジルコニア(SSZ)など)とのサーメット、ルテニウム(Ru)とセラミックとのサーメットなどからなる多孔質材料が好適に採用される。燃料極の形状としては、筒状、板状、棒状など燃料電池セルの形状に応じて種々の形状を選択し得る。また、燃料極は、発電部に供給された燃焼ガスに接触可能に構成されている。図2に示すようなアノード支持型の燃料電池セル12では、筒状の燃料極14が燃料電池セル12の支持体として形成されており、燃料極14の内部空洞14bに燃料ガスが供給される。
A−2.固体電解質
固体電解質としては、例えば、ジルコニア系固体電解質を用いることができる。典型的には、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)、カルシア安定化ジルコニア(CSZ)、スカンジア安定化ジルコニア(SSZ)などが挙げられる。また、上記燃料極の材料にニッケルとセラミックとのサーメットを用いた場合には、固体電解質の材料に上記サーメットに含まれるセラミックと同じものを用いるとよい。固体電解質は、燃料極と空気極との間に形成される。図2で示す構成の燃料電池セル12では、筒状の燃料極14の外周を覆うようにして薄膜状の固体電解質18が形成されている。
A−3.空気極
空気極としては、例えば、ランタンコバルトネート(LaCoO)系やランタンマンガネート(LaMnO)系のペロブスカイト型酸化物からなる多孔質材料が好適に採用される。空気極は、固体電解質を挟んで燃料極の反対側に形成されており、外気(空気)に晒されている。図2で示す構成の燃料電池セル12では、固体電解質18の外周を覆うようにして薄膜状の空気極16が形成されている。
A−4.加熱手段
また、発電部には、発電部(若しくは発電部に供給される燃料ガス)を加熱する加熱手段が設けられているとよい。かかる加熱手段は、発電部(若しくは発電部に供給される燃料ガス)を、発電動作が行われる程度の温度(例えば、700℃〜800℃)で加熱することができればよく、種々の構成を採用することができる。なお、加熱手段は、発電部に取り付けられていてもよいし、発電部よりも上流(好ましくは触媒部よりも下流)の燃料ガス供給ラインに取り付けられていてもよい。
図6に示す構成のSOFCシステム100では、加熱手段としての発電部昇温ヒータ70が発電部10に取り付けられている。
B.燃料ガス供給ライン
図1に示すように、燃料ガス供給ライン20は、上記発電部10に接続されており、発電部10の燃料極に燃料ガスを供給する。当該燃料ガス供給ライン20としては、図2で示すように、ガス管20が好ましく用いられる。このガス管20は、従来のガス管と同様の素材・構造を有する物でよく特に制限されない。例えば、SOFCシステム用として市販されているSUS430金属等から構成されているものを用いてもよいし、固体電解質と同質材料であるYSZ等のジルコニア系酸化物の緻密体で構成されているものを用いてもよい。固体電解質と同質材料からなるガス管20は、固体電解質と接合させ易く、好適に用いることができる。図2に示すような構成の燃料電池セル12にガス管20を接続させるには、先ず、ガス管20の端面20aと、燃料電池セル12の燃料極14の連結面14aとを当接させた状態で、かかる当接面(接合面)を覆うようにして接合材22を付与する。これによって、燃料極14の内部空洞14b(燃料ガス供給ライン20の一部を構成する。)に燃料ガスが供給される。
B−1.燃料ガス供給手段
また、上記燃料ガス供給ラインは、後述の触媒部よりも上流の部分に、燃料ガスを供給するための手段である燃料ガス供給手段を備えていると好ましい。かかる燃料ガス供給手段は、燃料ガス供給ラインに接続された発電部の燃料極に燃料ガスを供給できる構成を有していればよく、種々の構成を採用することができる。図6に示す構成のSOFCシステム100では、燃料ガス供給ライン20は、触媒部30の上流に設けられたガス昇温ヒータ40(後に詳しく説明する。)よりも上流に燃料ガス供給手段50を有している。この燃料ガス供給手段50は、燃料ガスを貯蔵する燃料ガス貯蔵部52とバルブ54とを備えている。上記燃料ガス貯蔵部52は燃料ガス供給ライン20に接続されており、燃料ガス貯蔵部52と燃料ガス供給ライン20との間にバルブ54が設けられている。かかる構成の燃料ガス供給手段50は、バルブ54を開閉させることによって、燃料ガスの供給を調整することができる。
C.触媒部
図1及び図6に示すように、触媒部30は、発電部10よりも燃料ガス供給ライン20の上流に設けられている。この触媒部30は複合材料を備えている。複合材料の詳しい内容については、「1.複合材料」の項で説明しているため、ここでは説明を省略する。
触媒部30は燃料ガスが上記複合材料に接触可能に構成されていればよく、触媒部30の具体的な形状は本発明を限定するものではない。以下、図3を参照しながら、触媒部30の構成の一例を説明する。図3は、SOFCシステム100における触媒部30の一例を模式的に示した立体断面図である。図3に示される触媒部30では、ケース32内にガス浄化器34が収容されている。
C−1.ケース
浄化器ケース32は、後述のガス浄化器34を収納する部材である。浄化器ケース32は、ガス配管20と同じ素材で構成されていると好ましい。また、浄化器ケース32は、ガス管(燃料ガス供給ライン)20に接続されており、燃料ガス供給ライン20を介して発電部10の燃料極14の内部空洞14bと連通している。
C−2.ガス浄化器
ガス浄化器34は、ハニカム状の基体34aを備えており、当該基体34aには複数の小孔34bが形成されている。基体34aの表面は、上記複合材料にコーティングされている。基体34aの表面に複合材料をコーティングするには、複合材料を分散媒(純水など)に分散させたスラリー状の分散液に基材34aを浸した後に分散液を乾燥させるという方法を採ることができる。
D.酸素含有ガス供給手段
また、ここで開示されるSOFCシステムは、触媒部に酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給手段を備えている。
ここで、酸素含有ガスとは、少なくとも酸素(O)ガスを含んだ気体を指すものであり、酸素ガス濃度が100%に近い高純度のOガスを用いてもよいし、他の気体とOガスとの混合ガスを用いてもよい。混合ガスの一例としては、ヘリウム(He)ガスとOガスの混合ガス(Oガス濃度:5%〜50%、好ましくは10%〜40%、例えば20%程度)や、空気(Oガス濃度:20%程度)などが挙げられる。
上記酸素含有ガス供給手段は、上記触媒部に酸素含有ガスを供給できる構成を有していればよく、種々の構成を採用することができる。例えば、図6に示す構成のSOFCシステム100では、酸素含有ガス供給手段60として、燃料ガス供給ライン20を介して触媒部30に接続された酸素含有ガス貯蔵部62を含む構成が採用されている。酸素含有ガス貯蔵部62は、燃料ガス供給ライン20におけるガス昇温ヒータ40の上流に設けられており、酸素含有ガス貯蔵部62と燃料ガス供給ライン20との間にはバルブ64が設けられている。かかる構成の酸素含有ガス供給手段60は、バルブ64が開閉させることによって、酸素含有ガスの供給を調整することができる。
また、酸素含有ガス供給手段を備えるSOFCシステムの他の例として、図7に示す構成のSOFCシステム100Aや、図8に示す構成のSOFCシステム100Bが挙げられる。
図7に示す構成のSOFCシステム100Aにおける酸素含有ガス供給手段60aは、酸素含有ガス貯蔵部62と、該酸素含有ガス貯蔵部62と触媒部30とを接続する酸素含有ガス供給ライン66を含む構成が採用されている。かかる構成の場合、酸素含有ガスは、上記酸素含有ガス供給ライン66を経て、触媒部30に供給される。また、上記構成を採用する場合、酸素含有ガス供給ライン66にガス昇温ヒータ40が設けられていると好ましい。
図8に示す構成のSOFCシステム100Bにおける酸素含有ガス供給手段60bは、燃料ガス供給ライン20を介して触媒部30に接続された外気導入装置68を含む構成が採用されている。外気導入装置68は、空気をSOFCシステム100内(燃料ガス供給ライン20内)へ導入する装置であり、例えば、ファンモータなどを用いることができる。上記構成の酸素含有ガス供給手段60bは、酸素含有ガスとして空気を用いる場合に好ましく採用することができる。
また、図示は省略するが、燃料ガスに酸素(O)ガスを添加すれば、燃料ガス供給手段が酸素含有ガス供給手段を兼ねることもできる。
E.その他の構成
ここで開示されるSOFCシステムは、上述した構成以外に、種々の構成をさらに備えていてもよい。
E−1.温度調整手段
上記SOFCシステムは、触媒部に供給されるガスの温度を調整可能に構成されているとよい。また、上記構成のSOFCシステムは、触媒部に供給されるガスの温度を、燃焼触媒体の存在下での不純物の分解温度よりも高い温度に調整することができればよい。例えば、100℃〜400℃、好ましくは150℃〜300℃、より好ましくは150℃〜250℃の温度にガスを加熱できればよい。なお、温度調整手段は、触媒部の上流側に設けられていてもよいし、触媒部に取り付けられていてもよい。
例えば、図6に示す構成のSOFCシステム100では、温度調整手段としてのガス昇温ヒータ40が、燃料ガス供給ライン20における触媒部30の上流側に設けられている。
E−2.センサ
また、ここで開示されるSOFCシステムでは、燃料ガス供給ラインにおいて、触媒部よりも下流側(好ましくは発電部よりも上流側)にセンサが設けられていると好ましい。かかるセンサは、触媒部を流れるガスから、触媒部における不純物浄化能力の指標となり得るパラメータ(例えば、流速、差圧、含有成分など)を検知できる構成を有していればよい。例えば、ガス流速を検知する場合、上記触媒部を流れるガスの流速を検知する流速センサを好ましく用いることができる。また、差圧を検知する場合には差圧センサ、含有成分を検知する場合には成分センサを用いることができる。図6に示す構成のSOFCシステム100では、燃料ガス供給ライン20における触媒部30の下流側(触媒部30と発電部10との間)に流速センサ80が設けられている。
E−3.制御部
また、ここで開示されるSOFCシステムは、制御部を有しているとよい。制御部は、記憶部(HDD、フラッシュメモリなど)などを備えた記録演算装置であり、SOFCシステムを構成する各部材の動作(例えば、燃料ガス供給、酸素含有ガス供給、ヒータによる加熱温度など)を制御することができる。
また、制御部は、発電モードおよび洗浄モードの2つの作動態様を切り替えて、燃料ガス供給および酸素含有ガス供給を制御できれば好ましい。かかる発電モードおよび洗浄モードについては、後述の「SOFCシステムの使用態様2」の項で説明するため、ここでの詳しい説明は省略する。
また、制御部には、上記センサによって検知された不純物浄化能力の指標となり得るパラメータ(例えば、ガス流速値)に対する閾値が予め設定されているとより好ましい。
図6に示すSOFCシステム100では、制御部90は、流速センサ80と接続されており、当該流速センサ80で検知された「ガス流速値」に対する閾値が予め設定されている。この制御部90は、該閾値と「ガス流速値」とを対比させた結果に基づいて発電モードおよび洗浄モードを切り替えることができる。
また、図6では接続を省略しているが、制御部90は、燃料ガス供給手段50や酸素含有ガス供給手段60のバルブ54,64に接続されている。制御部90は、当該バルブ54,64の開閉を操作することによって、触媒部30へ供給するガスの種類(燃料ガス若しくは酸素含有ガス)を制御できる。
また、制御部90は、発電部10の加熱手段70に接続されており、加熱手段70が発電部10を加熱する温度を制御できる。接続部90は、ガス昇温ヒータ40にも接続しており、ガス昇温ヒータ40が燃料ガス供給ライン20内のガスを加熱する温度を制御できる。
<SOFCシステムの使用態様1>
次に、ここで開示されるSOFCシステムの使用態様の一例(以下、「使用態様1」と称する。)について説明する。ここでは、図6に示す構成のSOFCシステム100を、使用態様1で使用した場合について説明する。
この使用態様1では、燃料ガス供給手段50のバルブ54と、酸素含有ガス供給手段60のバルブ64とが同時に開き、燃料ガス供給ライン20に燃料ガスと酸素含有ガスとが供給される。これによって、燃料ガスと酸素含有ガスの混合ガスが、燃料ガス供給ライン20を通じて発電部10に向かって供給される。
発電部10に向かって供給された混合ガスは、ガス昇温ヒータ40で加熱されながら触媒部30内へ供給される。このときのガス昇温ヒータ40の加熱温度は、燃焼触媒体の存在下での不純物の分解温度よりも高い温度(例えば200℃)に設定するとよい。そして、混合ガスは、加熱された状態で触媒部30のガス浄化器34(図3参照)に形成されている小孔34bを通過し、基体34aの表面にコーティングされている複合材料に接触する。この際、上記混合ガスの温度がゼオライトの脱離温度を下回っている場合、ゼオライトに吸着されることによって燃料ガスから不純物が除去される。一方、混合ガスの温度がゼオライトの脱離温度を上回っている場合、不純物は、ゼオライトから脱離し、基材に担持されている触媒体の触媒機能により燃焼分解される。
このようにして、触媒部30は、燃料ガス中に不純物として含まれている有機化合物の吸着と燃焼分解を行うことによって、燃料ガスを浄化させることができる。
触媒部30を通過した燃料ガスは発電部10に供給される。発電部10の燃料電池セル12は、燃料極14に燃料ガス、空気極16に空気が供給される。このときに、発電部昇温ヒータ70が発電部10を加熱することによって、発電部10で発電動作が行われる。
ここで、開示されるSOFCシステム100では、上述のように、触媒部30を通過することで燃料ガス中の不純物が除去されることによって、純度の高い燃料ガスを燃料極14に供給できるため、電池特性が向上する。
ここで説明した使用態様1によると、ゼオライトによる不純物の吸着と、燃焼触媒体による不純物の燃焼分解とが同時に行われるため、触媒部が非常に高い不純物除去能力を発揮することができる。
ところで、発電中に酸素含有ガスが発電部に供給されると、電池特性が低下する虞がある。しかし、上述のように、この使用態様1によれば、非常に高い不純物除去能力を発揮できる。このため、上記使用態様1は、酸素含有ガスの供給による電池特性の低下と不純物除去による電池特性の向上との関係を考慮して、総合的に電池性能を向上させることができるような場合に用いると好ましい。例えば、不純物の含有割合が非常に高い燃料ガスを用いる場合、触媒部に高い不純物除去能力が要求されるので、上記使用態様1を特に好ましく用いることができる。
<SOFCシステムの使用態様2>
次に、ここで開示されるSOFCシステムの使用態様について他の例(以下、「使用態様2」と称する。)を説明する。以下、図6に示す構成のSOFCシステム100を上記使用態様2で使用した場合について、図9を参照しながら説明する。図9は、ここで説明する使用態様2を模式的に示したフローチャートである。
この使用態様2において、制御部90は、発電モードと洗浄モードの2つの作動態様を切り替え可能に燃料ガス供給および酸素含有ガス供給を制御する。以下、各モードの詳細およびモードの切り替えについて説明する。
a.発電モード
発電モード中のSOFCシステム100は、触媒部30への酸素含有ガスの供給を停止するとともに燃料極10へ燃料ガスを供給する。発電モードでは、先ず、発電部に燃料ガスを供給する(S10)。図6に示す構成のSOFCシステム100では、発電モードが開始すると、燃料ガス供給手段50のバルブ54が開き、燃料ガス貯蔵部52から燃料ガス供給ライン20内へ燃料ガスが供給される。このとき、酸素含有ガス供給手段60のバルブ64は閉じており、触媒部30への酸素含有ガスの供給が停止している。なお、発電モード中は、ガス昇温ヒータ40による加熱温度を触媒部30のゼオライトが不純物を脱離する温度よりも低く設定するとよい、より好ましくは、発電モード中はガス昇温ヒータ40を停止させておくとよい。
発電部10に向かって供給された燃料ガスは、発電部10よりも上流側に配置された触媒部30に供給される。触媒部30に供給された燃料ガスは、ガス浄化器34の小孔34bを通過し、基材34aの表面にコーティングされた複合材料に接触する。これによって、燃料ガス中に含まれている不純物が複合材料のゼオライトに吸着される。このようにして、触媒部30は燃料ガス中に不純物として含まれている有機化合物を除去する。
触媒部30を通過した燃料ガスは発電部10に供給される。このとき、発電部10の燃料電池セル12の空気極16には空気が供給されている。この状態で、発電部昇温ヒータ70が発電部10を加熱することによって、発電部10が発電動作を行う(S20)。発電部昇温ヒータ70が発電部10を加熱する温度は、例えば、700℃〜800℃に設定するとよい。上述のように、触媒部30を通過した燃料ガスは不純物が除去されているので、純度の高い燃料ガスが燃料極10に供給されることによって、SOFCシステム100は高い電池性能を発揮することができる。
b.発電モードから洗浄モードへの切り替え
この使用態様2では、制御部90は、発電モードと洗浄モードとを切り替えることができる。上記各モードの切り替えは、例えば、制御部90においてタイマを設定し、従来のSOFCシステムにおいて触媒部を交換していたタイミングで上記各モードが切り替わるようにしてもよい。また、触媒部30の下流にセンサを設け、当該センサの検知結果に基づいて各モードの切り替えを行ってもよい。センサの検知結果に基づいて各モードを切り替える場合、燃料ガス供給ラインにおける触媒部よりも下流側に、上記「E−2.センサ」の項で説明したセンサ(例えば、流速センサ、差圧センサ、成分センサなど)を設けるとよい。
図6に示す構成のSOFCシステム100では、触媒部30と発電部10との間に流速センサ80が設けられており、触媒部30を流れるガスの流速を検知する。検知されたガス流速値は、電気信号として制御部90へ送信される。制御部90には当該ガス流速値に対する所定の閾値が予め設定されており、制御部90は検知されたガス流速値と当該閾値とを対比する。このとき、検知されたガス流速値が閾値を上回っている場合、制御部90は、触媒部30の不純物除去能力(複合材料のゼオライトの吸着能力)が低下していないと判断し、上記発電モードを継続する(S30の「No」)。一方、検知されたガス流速値が上記閾値を下回った場合、制御部90は、触媒部30の不純物除去能力(複合材料のゼオライトの吸着能力)が低下していると判断し、上記発電モードを停止するとともに、洗浄モードを開始する(S30の「Yes」)。
c.洗浄モード
洗浄モードが開始すると、SOFCシステム100は、燃料極12への燃料ガスの供給を停止するとともに触媒部30へ酸素含有ガスを供給する。具体的には、洗浄モードが開始すると、発電部昇温ヒータ70の加熱が停止し、発電部10の発電動作が停止する(S40)。次に、燃料ガス供給手段50のバルブ54が閉じ、燃料ガスの供給が停止する(S50)。そして、酸素含有ガス供給手段60のバルブ64が開き、触媒部30に酸素含有ガスを供給する(S60)。さらに、ガス昇温ヒータ40によって燃料ガス供給ライン20内に供給された酸素含有ガスを加熱する。このときの加熱温度は、酸素含有ガスを燃焼触媒体の存在下での不純物の分解温度よりも高い温度(例えば200℃)に設定するとよい。
加熱された酸素含有ガスが触媒部30内に供給されると、複合材料のゼオライトに吸着されていた不純物が脱離する。そして、酸素(O)ガスが含まれる酸素含有ガスが供給され、燃焼触媒体により分解温度が低下した状態で加熱されることによって、ゼオライトから脱離した不純物が燃焼分解される。これによって、ゼオライトに吸着していた不純物が取り除かれ、ゼオライトの吸着能力が回復する。
d.洗浄モードから発電モードへの切り替え
また、ここで開示されるSOFCシステム100では、洗浄モードの間も上記流速センサ80によって酸素含有ガスの流速を検知しており、検知されたガス流速値が制御部90に送信されている。制御部90は、検知されたガス流速値が上記閾値を下回っている間は、触媒部30の不純物除去能力(ゼオライトの吸着能力)が十分に回復していないと判断し、上記洗浄モードを継続させる(S70の「No」)。そして、上記ガス流速値が上記閾値を上回ると、触媒部30の不純物除去能力(ゼオライトの吸着能力)が十分に回復したと判断して、上記発電モードを再開する(S70の「Yes」)。
このように、流速センサ80によって検知された流速値に基づいて発電モードと洗浄モードとを切り替える事によって、触媒部30の不純物除去能力を反映した適切なタイミングで各モードを切り替えることができる。
上述の使用態様2によれば、洗浄モードによりゼオライトの吸着能力を回復できるため、触媒部30の不純物除去能力を高い状態で維持することができる。また、発電モード中に酸素含有ガスが発電部へ供給されないので、発電動作中の発電部10に酸素含有ガスが供給されることによる電池特性の低下を防止できる。このため、使用態様2は、比較的に純度の高い燃料ガスを使用する場合などに特に好ましく用いることができる。
上述した何れの使用態様においても、不純物をゼオライトに一旦吸着させてから、不純物を燃焼分解するため、燃焼触媒体の触媒機能によって不純物を効率よく燃焼分解することができる。また、ここでは、触媒体は基材に担持されており、該基材と触媒体とからなる燃焼触媒体はゼオライトに担持されている。このため、高価な白金族金属の使用量を抑えることができ、製造コストの削減に貢献することができる。
また、上述した何れの使用態様でSOFCシステムを使用した場合でも、不純物を燃焼分解させることにより、ゼオライトの吸着能力を回復させることができる。これによって、触媒部の不純物除去能力を高い状態で維持できるため、高い純度の燃料ガスを安定して発電部に供給することができる。また、触媒部の交換頻度を少なくすることができるため、ランニングコストの低下にも貢献できる。
<実施例>
次に、本発明に関する実施例を説明するが、本発明を以下の実施例に示すものに限定することを意図したものではない。以下の実施例では、SOFCシステムの触媒部に用いられ得る材料を4種類用意し、それぞれの材料の不純物除去能力を比較した。
<サンプル1>
サンプル1は、白金をγアルミナ粒子に担持させてなる白金アルミナと、Na−X型ゼオライトとを混ぜ合わせたNa−X型ゼオライト−白金アルミナ複合材料である。以下、当該サンプル1を作製するプロセスについて説明する。
具体的には、先ず、白金含有量が4.527wt%のジニトロジアンミン白金硝酸水溶液2.2gに10gのγアルミナ(γAl)粒子(住友化学社製:AKP−G015)を投入した。これによって、ジニトロジアンミン白金硝酸水溶液中に含まれている白金の質量は、γアルミナ粒子に対して1mass%になった。そして、当該水溶液に純水を添加しながら攪拌し、スラリー状の分散液を得た。次に、この分散液を120℃で12時間加熱することによって分散液から水分を取り除いた後に、さらに500℃で3時間仮焼成を行うことによって、白金がアルミナに担持された燃焼触媒体(白金担持アルミナ)を得た。
次に、市販のNa−X型ゼオライト粉末(平均粒子径:6μm)を用意し、上記白金担持アルミナと混合した。ここでは、10gのNa−X型ゼオライト粉末と、10gの白金担持アルミナとを分散媒(純水)に投入して、よく混ぜ合わせた後に120℃12時間で乾燥させた。これによって、Na−X型ゼオライト−白金アルミナ複合材料(サンプル1)が得られた。
<サンプル2>
サンプル2は、Na−X型ゼオライトである。ここでは、上記サンプル1の作製時に用いたNa−X型ゼオライト粉末をサンプル2として用いた。
<サンプル3>
サンプル3は、白金担持アルミナである。ここでは、上記サンプル1の作製過程で得られた白金担持アルミナをサンプル3として用いた。
<サンプル4>
サンプル4として、市販のFe−Y型ゼオライト(平均粒子径:6μm)を用いた。
<不純物燃焼除去評価>
ここでは、図4に示されるような検査装置を用いて、上述の各サンプル1〜4の不純物除去能力を測定した。以下、図4を参照しながら、ここで行った測定について説明する。
図4に示す検査装置1000は、いわゆるTPD−MS装置である。この装置1000は、ガス発生ユニット110と、ガス処理ユニット120と、ガス分析ユニット130とから構成されており、各ユニット110,120,130は、移送ライン140によって接続されている。ここでは、上記検査装置1000として、大倉理研社製のガス吸着量測定装置(型番:BP−1)を用いている。
ガス発生ユニット110は、ガス供給部112と、トルエン混入部114と、パルスガス発生部116とから構成されている。
ガス供給部112は、試験用のガスを移送ライン140へ供給する部材である。ここでは、Heガス貯蔵部112aと、Oガス貯蔵部112bと、ガス供給量を調整するバルブ112c,112dとから構成されている。
トルエン混入部114は、不純物としてのトルエンをHeガス中へ混入させる部材である。図4に示すように、トルエン混入部114は、液体のトルエンを貯蔵しているトルエン貯蔵部114aと、該トルエン貯蔵部114aの温度を一定に保つ恒温槽114bとから構成されている。また、トルエン貯蔵部114aは移送ライン140に接続されている。
パルスガス発生部116は、Heガスをパルスガスにする装置で構成されている。このパルスガス発生部116は、トルエン含有Heガスをロータリー六方バルブに計量することによって、トルエン含有Heガスを1パルス当たり0.8843mlのパルスガス状態にしてガス処理ユニット120に供給する。
次に、ガス処理ユニット120は、石英製の試料管122と、ヒータ128とを備えている。
試料管122は、移送ライン140を介してガス発生ユニット110とガス分析ユニット130とに接続されている。また、試料管122内には、上述のうち何れかのサンプル126が配置されている。また、試料管122内には、サンプル126の他にシリカウール127a,127bが配置されている。シリカウール127a,127bは、試料管122内においてサンプル126を挟み込むようにして配置されており、サンプルから生じる破片(粉体)が試料管122外へ移送されるのを防いでいる。
ヒータ128は、試料管122の外部に配置されており,ヒータ128を稼働させることによって試料管122内を加熱することができる。
ガス分析ユニット130は、熱伝導度検出器132(TCD:Thermal Conductivity Detector)と、質量分析計134(MS:Mass Spectrometer)とから構成されている。熱伝導度検出器132は、燃料ガスの熱伝導度を連続的に測定する。一方、質量分析計134は、燃料ガスの含有物をイオン化することによって当該含有物の質量電荷比を連続的に測定する。質量分析計134にも、従来公知の分析計を用いることができる。ここでは、質量分析計134として、シンク社製の四重極型質量分析計が用いられている。
上述の検査装置1000で行った各サンプル1〜4の不純物除去能力の測定について説明する。
先ず、ガス供給部112からトルエン混入部114へHeガスを供給し、Heガスにトルエンを混入させた。具体的には、Heガス貯蔵部112a側のバルブ112cを開けてトルエン貯蔵部114a内にHeガスを供給し、高温槽114bによって20℃に維持された液体トルエンをHeガスでバブリングした。これによって、Heガス中に飽和蒸気圧のトルエンを混入させ、トルエン含有Heガスを生成した。
次に、トルエン含有Heガスをパルスガス発生部116にてパルスガス化し、ガス処理ユニット120の試料管122内に30パルス(26.529ml)分のトルエン含有Heガスを供給した。その後、Oガス貯蔵部112bのバルブ112dを開けて、OガスとHeガスの混合気体(O:He=2:8)を試料管122内に供給した。この状態で、ヒータ128を稼働させて、試料管122内を昇温速度10℃/minで加熱し、試料管122の内部温度が600℃に達したら、当該内部温度を維持しながら10分間保持した。そして、以上の処理を経て試料管122内で生じた気体を、ガス分析ユニット130に供給した。ガス分析ユニット130では、ガス処理ユニット120から供給された気体の全ガス組成変化を熱伝導度検出器132で測定するとともに、当該気体中に含まれる各ガス組成の変化を質量分析計134で測定した。
ここで上述の測定結果から各サンプル1〜4の「トルエン吸着量」を算出した。「トルエン吸着量」を算出するには、先ず、サンプルなし(ブランク)の状態で、1パルスあたりに導入したトルエン物質量(nblank)を求める。かかるトルエン物質量(nblank)は、下記式(1)によって求めることができる。
PV=nRT (1)
具体的には、ブランクの状態におけるトルエンのパルス面積値の平均値(「Ablank」)を測定する。このときの測定で設定した高温槽114bの平均温度を「Tblank」とし、式(1)中の「T」に代入する。また、かかる平均温度(Tblank)時のトルエンの飽和蒸気圧を「Pblank」とし、式(1)中の「P」に代入する。そして、1パルスあたりのパルスガス供給量(0.8843ml)を「V」に、気体定数0.082を「R」に代入することによって、上記トルエンの物質量(「nblank」)を求めることができる。
次に、上記トルエンの物質量(「nblank」)とトルエンの分子量(92)とを乗じた値を、上記パルス面積値の平均値(「Ablank」)で割ることによって、パルス面積値1あたりのトルエンの質量(M)を求める。
一方で、上述のサンプル1〜4を試料管122内に配置した状態で測定を行った。ここでは、サンプル配置時の高温槽114bの平均温度を「T’」とし、かかる平均温度「T’」時のトルエンの飽和蒸気圧を「P’」と定めた。このときの「T’」におけるトルエンのパルス面積値の平均値(「A’blank」)は、下記の式(2)によって求めることができる。
Figure 0005554745
そして、サンプルを配置した状態でのk回目のトルエンのパルス面積値を「A」として、下記式(3)に代入すると、トルエン含有パルスガスをn回導入した際に、サンプルに吸着したトルエンの全量を示す面積値「Aads」を求めることができる。
Figure 0005554745
このようにして算出された「Aads」に、予め求めておいた「M」を乗ずることによって「トルエン吸着量」が算出される。かかるトルエン吸着量の算出結果を表1に示す。
Figure 0005554745
上記表1における「触媒作用」は、トルエン燃焼活性の有無を示すものであり、該燃焼活性があるものを「○」、トルエン酸化活性があるものを「△」、いずれもないものを「×」と示している。
また、「トルエン燃焼除去率」は、飽和蒸気圧状態のトルエンの量から、試料管122内を300℃に昇温させた後のトルエンの量を引いた値(触媒から脱離したトルエンの量)を、飽和蒸気圧状態のトルエンの量で割った値を百分率で表した値である。
上述の測定の結果、サンプル1のトルエン燃焼除去率は53.1%であった。これは、Heガス中に含まれたトルエンがサンプル1中のNa−X型ゼオライトに好適に吸着され、温度上昇に伴ってNa−X型ゼオライトから脱離したトルエンの一部が白金担持アルミナによって燃焼分解されたためと考えられる。
また、サンプル2のトルエン燃焼除去率は0%であった。サンプル2では、トルエンがNa−X型ゼオライトに好適に吸着されているが、Na−X型ゼオライトだけでは吸着したトルエンを燃焼分解することができないためと考えられる。
また、サンプル3のトルエン燃焼除去率は0%であった。これは、サンプル3には、トルエンが好適に吸着されなかったため、触媒が機能し得る温度まで該サンプルの温度を上昇させたときには試料管122内にトルエンが残っていなかったためと考えられる。
また、サンプル4のトルエン燃焼除去率は0%であった。サンプル4は、触媒作用を有する鉄(Fe)とY型ゼオライトとを有している。しかし、鉄は、トルエンに対する吸着能力に乏しいため、燃焼触媒として好適に機能することができず、Y型ゼオライトに吸着したトルエンを燃焼分解できなかったためと考えられる。
次に、サンプル1の「全ガス組成変化」と「各ガス組成変化」を測定した。ここでは、「全ガス組成変化」の指標として上記熱伝導度検出器132によって測定された燃料ガスの熱伝導度を測定し、「各ガス組成変化」の指標として質量分析計134によって測定された燃料ガス中のトルエンと二酸化炭素の質量電荷比を測定した。図5の左側の縦軸は、上記燃料ガスの熱伝導度(TCD[μV])の測定結果を示しており、グラフ中の「Desorption curve(脱着曲線)」に対応している。右側の縦軸は、上記燃料ガス中のトルエンと二酸化炭素の質量電荷比(Electricity[nA])の測定結果を示しており、グラフ中の「MS(CO2)(CO質量分析)」と、「MS(toluene)(トルエン質量分析)」に対応している。また、図5における横軸は、10℃/minで昇温する試料管122の内部温度を示している。なお、横軸の右端における「600℃←→600℃」は、加熱処理の最終段階で行った10分間の保持を示している。
図5に示されるように、試料管122内の温度が190℃以下の時には、トルエンも二酸化炭素(CO)もほとんど確認されなかった。これは、ガス中に含まれているトルエンがサンプル1中のNa−X型ゼオライトに吸着されたためと考えられる。そして、試料管122内の温度を190℃付近まで昇温させると、燃料ガスの熱伝導度とCO質量が上昇した。このことから、試料管122内で多量のCOが発生したと解される。これは、Na−X型ゼオライトからトルエンが脱離し、当該トルエンが白金担持アルミナの触媒機能によってCOに分解されたためと考えられる。その後、試料管122内をさらに昇温させながら保持し続けたが、トルエンも二酸化炭素(CO)もほとんど確認されなかった。これは、190℃付近に達した際にゼオライトに吸着されていたトルエンがほぼ全て分解されたためと考えられる。
以上の結果から、サンプル1(Na−X型ゼオライト−白金アルミナ複合材料)は、気体中に含まれた有機化合物(トルエン)をNa−X型ゼオライトに吸着することができるとともに、該Na−X型ゼオライトから脱離した有機化合物を好適に分解することができることが分かった。このように、サンプル1は、気体中の不純物としての有機化合物を好適に除去できる。
本発明のSOFCシステムは、白金族に属する金属(貴金属)の使用量を従来よりも少なくしても燃料ガス中の不純物を好適に除去し、純度の高い燃料ガスを発電部に供給するため、低コストで電池性能の高いSOFCシステムを提供することができる。
また、不純物が多く含まれたガスを燃料ガスとして用いることが可能になるため、ランニングコストの低減や、使用可能な燃料ガスの種類を増やすことができるため、SOFCシステムの普及に大きく貢献することができる。
10 発電部
12 燃料電池セル
14 燃料極
16 空気極
18 固体電解質
20 燃料ガス供給ライン(ガス管)
22 接合材
30 触媒部
32 浄化器ケース
34 ガス浄化器
34a 基材
34b 小孔
40 ガス昇温ヒータ(温度調整手段)
50 燃料ガス供給手段
52 燃料ガス貯蔵部
54 バルブ
60 酸素含有ガス供給手段
62 酸素含有ガス貯蔵部
64 バルブ
66 酸素含有ガス供給ライン
68 外気導入装置
70 発電部昇温ヒータ(加熱手段)
80 センサ(流速センサ)
90 制御部
100(100A,100B) 固体酸化物形燃料電池(SOFC)システム
110 ガス発生ユニット
112 ガス供給部
112a Heガス貯蔵格納部
112b Oガス貯蔵部112b
112c、d バルブ
114 トルエン混入部
114a トルエン貯蔵部
114b 恒温槽
116 パルスガス発生部
120 ガス処理ユニット
122 試料管
126 サンプル
127a,b シリカウール
128 ヒータ
130 ガス分析ユニット
132 熱伝導度検出器
134 質量分析計
140 移送ライン
1000 検査装置

Claims (13)

  1. 固体酸化物形燃料電池システムであって、
    燃料極と空気極と固体電解質とを有する燃料電池セルを少なくとも1つ備えた発電部と、
    前記発電部に接続されており、前記燃料極に燃料ガスを供給する燃料ガス供給ラインと、
    前記発電部よりも前記燃料ガス供給ラインの上流に設けられており、該燃料ガス供給ラインを流れる燃料ガス中に不純物として含まれる有機化合物の少なくとも一種を除去可能な触媒部と、
    前記触媒部に酸素含有ガスを供給する酸素含有ガス供給手段と、
    前記触媒部への燃料ガス供給および酸素含有ガス供給を制御する制御部と、
    を備え、
    前記触媒部は、少なくとも1種の白金族に属する金属からなる触媒体を基材に担持させてなる燃焼触媒体と、細孔を有するゼオライトとからなる複合材料を備えており、
    前記制御部は、以下の2つの作動態様:
    前記触媒部への前記酸素含有ガスの供給を停止するとともに前記燃料極へ前記燃料ガスを供給する発電モード;および
    前記燃料極への前記燃料ガスの供給を停止するとともに前記触媒部へ前記酸素含有ガスを供給する洗浄モード;
    があり、
    前記発電モードと前記洗浄モードとを切り替え可能に前記燃料ガス供給および前記酸素含有ガス供給を制御し、
    ここで、前記燃料ガス供給ラインにおける前記触媒部よりも下流側には、該触媒部における不純物浄化能力の指標となるパラメータを検知可能なセンサが設けられており、前記制御部は、前記センサの検知結果に基づいて前記洗浄モードと前記発電モードとを切り替える、固体酸化物形燃料電池システム。
  2. 前記センサとして、前記触媒部を流れるガスの流速を検知する流速センサ、該ガスの差圧を検知する差圧センサ、または、該ガス中の含有成分を検知する成分センサを備える、請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  3. 前記センサとして、前記触媒部を流れるガス流速を検知する流速センサを備え、
    前記制御部は、前記流速センサによって検知されたガス流速値に基づいて、所定の閾値を下回った場合に前記洗浄モードを開始させ、
    前記所定の閾値を上回った場合に前記発電モードを開始させる、請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  4. 前記酸素含有ガス供給手段として、前記燃料ガス供給ラインを介して前記触媒部に接続された酸素含有ガス貯蔵部を含む構成を有している、請求項1〜3の何れか一項に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  5. 前記酸素含有ガス供給手段として、酸素含有ガス貯蔵部と、前記酸素含有ガス貯蔵部と前記触媒部とを接続する酸素含有ガス供給ラインを含む構成を有している、請求項1〜3の何れか一項に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  6. 前記触媒部に供給されるガスの温度を調整可能に構成されている、請求項1〜5の何れか一項に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  7. 前記触媒部に供給されるガスの温度を100℃〜400℃の温度域に調整可能に構成されている、請求項6に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  8. 前記基材は、平均粒子径が0.05μm〜0.5μmの粒状基材である、請求項1〜7の何れか一項に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  9. 前記ゼオライトは、平均粒子径が1μm〜10μmの粒状ゼオライトである、請求項1〜8の何れか一項に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  10. 前記複合材料は、前記基材100質量部に対して、前記ゼオライトを50質量部〜200質量部含み、且つ、前記触媒体を0.1質量部〜10質量部含む、請求項1〜9の何れか一項に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  11. 前記触媒体として、白金粒子が用いられている、請求項1〜10の何れか一項に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  12. 前記基材として、γアルミナ粒子が用いられている、請求項1〜11の何れか一項に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
  13. 前記ゼオライトとして、細孔入口を構成する酸素原子を12又はそれ以上含むゼオライトが用いられている、請求項1〜12の何れか一項に記載の固体酸化物形燃料電池システム。
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