JP5638762B2 - 建築物 - Google Patents

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本発明は、下部構造物上に上部構造物を支持して免震層を構成する免震装置、及びこの免震装置を有する建築物に関する。
地盤上に構造物を支持すると共に免震層を構成する免震装置として、積層ゴム支承、滑り支承、又は転がり支承が一般的に用いられている。
また、積層ゴム支承と滑り支承とを組み合わせた複合型の支承が提案されている。例えば、図15に示すように、特許文献1の免震支承装置300では、積層ゴム体302の下端面に取付け板304が取り付けられ、この取付け板304が基礎306上に固定されている。
積層ゴム体302は、薄肉補強鋼板308とゴム層310とを交互に積層して形成されている。また、積層ゴム体302の上端面には、厚肉補強鋼板312を介して滑り材314が取り付けられており、上部構造物316に固定された介在体本体318の下面に形成された低摩擦層320に滑り材314が摺動自在に当接している。
よって、微小地震が発生した場合には、低摩擦層320と滑り材314との間の摩擦力により低摩擦層320と滑り材314との間に相対的滑り変位は生じず、積層ゴム体302のせん断変形によって上部構造物316へ伝達される振動が減衰される。
また、比較的大きな地震が発生した場合には、低摩擦層320と滑り材314との間に相対的滑り変位が生じ、この滑り変位による摩擦熱と、積層ゴム体302のせん断変形とによって上部構造物316へ伝達される振動が減衰される。
しかし、滑り当接面(低摩擦層320と滑り材314との接触面)の摩擦力が小さいので、積層ゴム体302だけでもまだ十分に免震性能を発揮できる(せん断変形できる)状態で低摩擦層320と滑り材314との間に相対的滑り変位が始まってしまうので、積層ゴム体302のゴム総厚が10〜30cm程度の場合には、積層ゴム体302の利用効率が悪くなってしまう。
また、滑り当接面の摩擦力が小さいために、摩擦熱による減衰(エネルギー吸収)効果が十分に期待できない。よって、他の減衰装置(例えば、鋼製ダンパーや粘性ダンパーなど)の設置が必要となる場合がある。
図16(a)、(b)に示すように、特許文献2の免震装置332では、コンクリート334上に積層ゴム336が固定されており、建物の下部338に取り付けられている円盤状の摩擦板340に積層ゴム336の上端面が接している。
摩擦板340は、図17の平面図に示すように、半径rの円の領域が低摩擦面部342となっており、この低摩擦面部342の外側の領域が高摩擦面部344となっている。
高摩擦面部344の摩擦係数は、低摩擦面部342の摩擦係数よりも大きく設定されており、低摩擦面部342及び高摩擦面部344の広さは、地震の規模に応じた免震性(摩擦板340に対する積層ゴム336の上端面の相対滑り変形)が発揮できるように設定されている。
このような構成により、地震時に積層ゴム336が変形し、摩擦板340に対する積層ゴム336の上端面の相対滑り変形量が小さい場合には、積層ゴム336の上端面と低摩擦面部342との間に生じる摩擦力によってダンパー効果を発揮し、摩擦板340に対する積層ゴム336の上端面の相対滑り変形量が大きい場合には、積層ゴム336の上端面と高摩擦面部344との間に生じる摩擦力によって積層ゴム336の変位を抑制することができる。
しかし、低摩擦面部342及び高摩擦面部344の摩擦係数は、摩擦板340に対する積層ゴム336の上端面の相対滑り変形による免震効果を発揮させる(相対滑り変形を開始する)タイミングに基づいて設定されているものであり、すなわち、積層ゴム336の性能低下や破損の防止、又は積層ゴム336の性能の最大限の利用を意図して設定されていない。
例えば、低摩擦面部342の摩擦係数が小さい場合、積層ゴム336がまだ十分に免震性及び減衰性を発揮できる(せん断変形できる)状態なのに相対すべり変形を開始してしまうことが懸念される。また、高摩擦面部344の摩擦係数が大きい場合、摩擦板340に対する積層ゴム336の上端面の相対滑り変形が抑制されて積層ゴム336の変形が大きくなり過ぎてしまい、積層ゴム336にハードニングや損傷を生じてしまうことが危惧される。
特開平9−310408号公報 実開昭62−61856号公報
本発明は係る事実を考慮し、積層ゴムの性能低下又は損傷を防ぐと共に、積層ゴムの性能を最大限に利用することができる免震装置、及びこの免震装置を有する建築物を提供することを課題とする。
第1態様の発明は、外乱により横方向に相対移動する下部構造物と上部構造物との間に設けられ、前記下部構造物上に前記上部構造物を支持する免震装置において、ゴム層と板部材とを交互に積層して形成され前記下部構造物の上面又は前記上部構造物の下面に取り付けられた積層ゴムと、前記上部構造物又は前記下部構造物と前記積層ゴムとの間に設けられて前記上部構造物の荷重を前記下部構造物に伝え、滑り変形によって前記下部構造物と前記上部構造物とを相対移動させる滑り装置と、を有し、前記積層ゴムに所定のせん断歪を生じさせるせん断力と前記滑り変形が開始される滑り出し荷重を等しくする。
第1態様の発明では、外乱により横方向に相対移動する下部構造物と上部構造物との間に免震装置が設けられている。免震装置は、下部構造物上に上部構造物を支持している。
免震装置は、積層ゴムと滑り装置を有している。積層ゴムは、ゴム層と板部材とを交互に積層して形成されており、下部構造物の上面又は上部構造物の下面に取り付けられている。
滑り装置は、上部構造物又は下部構造物と積層ゴムとの間に設けられて、上部構造物の荷重を下部構造物に伝える。また、この滑り装置は、滑り変形によって下部構造物と上部構造物とを相対移動させる。
そして、滑り装置の滑り変形が開始される滑り出し荷重を、積層ゴムに所定のせん断歪を生じさせるせん断力と等しくしている。
よって、中小規模の地震や風等により上部構造物に滑り出し荷重よりも小さい水平力が作用したときには、積層ゴムのせん断変形によって免震性能を発揮することができる。
また、大地震等により上部構造物に滑り出し荷重以上の水平力が作用したときには、滑り装置の滑り変形によって下部構造物と上部構造物とが横方向に相対移動するので、積層ゴムの大変形に起因して生じるこの積層ゴムの破損を防ぐことができる。
また、積層ゴムに所定のせん断歪を生じさせるせん断力以上の水平力が積層ゴムに作用するのを防ぐことができる。よって、積層ゴムの性能の低下が始まるせん断歪、又は積層ゴムの破損が始まるせん断歪を所定のせん断歪とすれば、積層ゴムの性能低下又は破損を防いで免震装置を安全に使用することができると共に、積層ゴムの性能を最大限に利用することができる。
第2態様の発明は、前記所定のせん断歪は、前記積層ゴムにハードニングが生じるせん断歪である。
第2態様の発明では、積層ゴムにハードニングが生じるせん断歪を所定のせん断歪とすることにより、積層ゴムの大変形(例えば、積層ゴムのせん断歪=2.5(250%)程度)に起因して生じる積層ゴムのハードニング(ゴム硬化)を防ぐことができ、大地震等により下部構造物から上部構造物へ伝わる振動がこのハードニングによって急増するのを防ぐことができる。すなわち、積層ゴムの免震性能の低下を防ぐことができる。
第3態様の発明は、前記所定のせん断歪は、前記積層ゴムに破断が生じるせん断歪である。
第3態様の発明では、積層ゴムに破断が生じるせん断歪を所定のせん断歪とすることにより、例えば、再現期間500年の地震(500年に1回発生する極めて稀な地震)よりも大きな極大地震時等に起こり得る積層ゴムの大変形(例えば、積層ゴムのせん断歪=4(400%)程度)に起因して生じる積層ゴムのゴム破断を防ぐことができる。
第4態様の発明は、前記積層ゴムは、減衰機能を有する。
第4態様の発明では、積層ゴムの減衰機能によって、風や地震等によって上部構造物に生じる振動(変位)を低減することができる。
第5態様の発明は、前記積層ゴムは、鉛入り積層ゴム又は高減衰積層ゴムである。
第5態様の発明では、鉛入り積層ゴム又は高減衰積層ゴムの構成要素である、鉛部材又は高減衰ゴムの履歴減衰によって、風や地震等により上部構造物に生じる振動を効率よく減衰することができる。
第6態様の発明は、前記滑り装置は、滑り支承である。
第6態様の発明では、下部構造物に対して上部構造物が横方向に相対移動するときに滑り支承に生じる滑り摩擦力の摩擦減衰によって、振動エネルギーを吸収することができる。
また、滑り支承が滑り変形するときに、積層ゴムの上面又は下面の水平を保持した状態で積層ゴムをせん断変形させることができ、これによって積層ゴムの性能低下を防ぐことができる。
第7態様の発明は、前記滑り装置は、前記上部構造物の下面又は前記積層ゴムの下面に設けられた上滑り部材と、前記積層ゴムの上面又は前記下部構造物の上面に設けられた下滑り部材と、前記下滑り部材と前記上滑り部材との間に配置されて前記下滑り部材及び前記上滑り部材に回転可能に接触する複数の球体と、を有する。
第7態様の発明では、滑り装置が、上部構造物の下面又は積層ゴムの下面に設けられた上滑り部材と、積層ゴムの上面又は下部構造物の上面に設けられた下滑り部材と、前記下滑り部材と前記上滑り部材との間に配置された複数の球体を有している。
複数の球体は、下滑り部材及び上滑り部材に回転可能に接触している。
よって、下滑り部材(下部構造物)に対して上滑り部材(上部構造物)が横方向に相対移動するときに、下滑り部材と上滑り部材との間に生じる転がり摩擦力の摩擦減衰によって振動エネルギーを吸収することができる。
また、積層ゴムの上面又は下面の水平を保持した状態で積層ゴムをせん断変形させることができ、これによって積層ゴムの性能低下を防ぐことができる。
第8態様の発明は、第1〜第7態様の何れか1態様に記載の免震装置が、基礎免震層又は中間免震層に配置されている建築物である。
第8態様の発明では、建築物の基礎免震層又は中間免震層に免震装置が配置されている。
よって、積層ゴムの性能低下又は損傷を防ぐと共に、積層ゴムの性能を最大限に利用することができる免震装置を基礎免震層又は中間免震層に有する建築物を構築することができる。
第9態様の発明は、第1〜第7態様の何れか1態様に記載の免震装置のみによって、前記下部構造物上に前記上部構造物が支持されている建築物である。
第9態様の発明では、建築物の上部構造物が、免震装置のみによって下部構造物上に支持されている。
例えば、免震層に、免震装置と積層ゴムと鉛ダンパーとを並列に設置した場合、地震等により上部構造物が揺れて、下部構造物と上部構造物との相対移動変位が積層ゴムや鉛ダンパーの限界変位を過度に超えてしまうと、積層ゴムや鉛ダンパーに破損が生じ、積層ゴムや鉛ダンパーの性能を喪失してしまうことが危惧される。
これに対して、第9態様の建築物では、積層ゴム及び鉛ダンパーの破損を心配する必要のない免震層を構築することができる。
本発明は上記構成としたので、積層ゴムの性能低下又は損傷を防ぐと共に、積層ゴムの性能を最大限に利用することができる。
本発明の第1の実施形態に係る建築物を示す立面図である。 本発明の第1の実施形態に係る免震装置を示す側断面図である。 免震層の水平変位に対する免震層のせん断係数を示す線図である。 本発明の第1の実施形態に係る滑り面の摩擦係数の求め方を説明する線図である。 従来の免震構造を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る免震装置を示す側断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る免震装置を示す斜視図である。 従来の曲面転がり支承を示す側断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る免震装置の変形例を示す説明図である。 本発明の実施形態に係る滑り面の摩擦係数の求め方を説明する線図である。 本発明の実施形態に係る建築物の変形例を示す立面図である。 本発明の実施例に係る免震層の水平変位に対する免震層のせん断係数を示す線図である。 本発明の実施例に係る免震層の水平変位に対する免震層のせん断係数を示す線図である。 本発明の実施例に係る免震層の水平変位に対する免震層のせん断係数を示す線図である。 従来の免震支承装置を示す説明図である。 従来の免震装置を示す説明図である。 従来の免震装置を示す説明図である。
図を参照しながら、本発明の免震装置及び建築物を説明する。なお、本実施形態では、鉄筋コンクリート造の建築物に本発明を適用した例を示すが、鉄骨造、鉄骨鉄筋コンクリート造、CFT造(Concrete-Filled Steel Tube:充填形鋼管コンクリート構造)、それらの混合構造など、さまざまな構造や規模の建築物に対して適用することができる。
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1の立面図に示すように、建築物10は、地盤18上に設けられた下部構造物としての鉄筋コンクリート造の基礎12と、上部構造物としての鉄筋コンクリート造の上部建物14とを有している。
基礎12と上部建物14との間には、基礎12上に上部建物14を支持する免震装置16が設けられている。すなわち、建築物10の基礎免震層44に免震装置16が配置されている。
これによって、基礎12と上部建物14とは、外乱により横方向に相対移動する。上部建物14は、免震装置16のみによって基礎12上に支持されている。
図2(a)の側断面図に示すように、免震装置16は、積層ゴムとしての鉛入り積層ゴム20と、滑り装置としての滑り支承22とを有している。
鉛入り積層ゴム20は、鉛入り積層ゴム20の下部フランジ32を基礎12の上面に取り付けることによって基礎12に固定されている。
鉛入り積層ゴム20は、円盤状のゴム層24と円盤状の鋼製の板部材26とを交互に積層して形成されており、平面視にてゴム層24及び板部材26の略中央に形成された孔28に圧入された円柱状の鉛プラグ30の塑性変形によって減衰機能を発揮する。
鉛入り積層ゴム20は、建築物10の構造設計において設定される地震動レベルに対して最適な免震周期と減衰とが得られるように設計すればよい。
滑り装置22は、上部建物14と鉛入り積層ゴム20との間に設けられて、上部建物14の荷重を基礎12に伝える。
滑り支承22は、滑り材40、滑り層34、及び滑り部材36によって構成されている。
上部建物14の下面には、下面に滑り層34が形成された滑り部材36が取り付けられている。すなわち、滑り部材36と滑り層34とによって、上滑り部材が構成されている。
また、鉛入り積層ゴム20の上端面には、鉛入り積層ゴム20の上部フランジ38を介して下滑り部材としての滑り材40が取り付けられており、この滑り材40が滑り層34に摺動可能に接触している。
滑り層34は、ステンレス鋼板によって形成され、滑り材40は、四フッ化エチレン(PTFE)によって形成されている。なお、滑り部材36と滑り層34とは一体化されていてもよい。例えば、滑り部材をステンレス鋼板によって形成し、この滑り部材の表面を滑り層と考えてもよい。
これによって、図2(b)の側断面図に示すように、滑り支承22は、滑り出し荷重以上の水平力が上部建物14に作用したときに滑り変形し、基礎12と上部建物14とを相対移動させる。滑り支承22の場合には、滑り層34と滑り材40とが接触する滑り面(以下、「滑り面」とする)に生じる静止摩擦力を僅かに超える値が滑り出し荷重となる。
そして、滑り支承22の滑り変形が開始される滑り出し荷重を、鉛入り積層ゴム20に所定のせん断歪を生じさせるせん断力と等しくしている。第1の実施形態では、鉛入り積層ゴム20にハードニングが生じるせん断歪を所定のせん断歪としている。
ハードニングとは、地震等により積層ゴムが大変形を生じたときに、積層ゴムを構成するゴム層が急激に硬化する現象のことである。積層ゴムにハードニングが発生すると、積層ゴムの水平剛性が過大となるため、上部構造物を長周期に支持することができなくなり、設計で想定した所定の免震効果が大きく損なわれる。
図3(a)〜(c)は、積層ゴムが配置された免震層の水平変位(横軸)に対する免震層のせん断力係数(縦軸)を示した地震応答解析結果の一例を示すグラフである。図3(b)の値42Bは、500年に1回発生する極めて稀な地震(以下、「想定レベルの地震」とする)に対する値であり、図3(a)の値42Aは、想定レベルよりも小さい地震に対する値であり、図3(c)の値42Cは、想定レベルよりも大きい地震に対する値である。なお、本解析に用いた積層ゴムのゴム総厚は20cmであり、免震層の水平変位80cmはゴムのせん断歪みに換算すると、400%に相当する。
図3(c)の値42Cからわかるように、想定レベルよりも大きい地震によって積層ゴムに大変形が生じると、ゴム層が破断する(一般的には、ゴム層のせん断歪が400%程度以上となるとき)せん断歪に至る恐れが高まると共に、ゴム層の急激なハードニング(領域U)により上部構造物へ伝達される振動が急増する。その結果、上部構造物に作用するせん断力や、発生する加速度が過大となる可能性がある。
ここで、鉛入り積層ゴム20を有する免震装置16における、滑り層34と滑り材40との滑り面の摩擦係数の求め方の一例を説明する(図4を参照のこと)。
図4の縦軸には、上部建物14に作用する水平荷重が示され、横軸には、この水平荷重によって生じる基礎免震層44の水平変位が示されている。
免震装置16の支持軸力をN、滑り面の摩擦係数をμ、滑り支承22の滑り変形が開始される水平力(滑り出し荷重)をQとすると、支持軸力N、摩擦係数μ、水平力Qは式(1)の関係を満たす。
また、鉛入り積層ゴム20のゴム層24の断面積をA、面圧をσとすると、支持軸力Nは式(2)によって求めることができる。
また、鉛プラグ30の降伏荷重をQ、鉛プラグ30の降伏後の鉛入り積層ゴム20の水平剛性をK、鉛入り積層ゴム20のせん断歪をγ、ゴム層24の総厚さをHとすると、水平力Qは式(3)によって求めることができる。
ここで、鉛プラグ30の降伏せん断応力度をσpb、鉛プラグ30の断面積をAとすると、γ≧0.5のときに、鉛プラグ30の降伏荷重Q、降伏せん断応力度σpb、断面積Aは式(4)の関係を満たす。
さらに、鉛入り積層ゴム20のゴム層24のせん断弾性係数をGとし、α、CKを補正係数とすると、鉛プラグ30の降伏後の鉛入り積層ゴム20の水平剛性Kは式(5)によって求めることができる。
よって、滑り面の摩擦係数μは、式(1)〜式(5)を用いて式(6)のように表わされる。
そして、得られた式(6)によって、滑り面の摩擦係数μを求める。例えば、一般的な鉛入り積層ゴムの有する値である、σpb=8.33N/mm、G=0.392N/mm、α=0.588、ハードニング(図4の点線46の部分)の開始時のγ=2.5、γ=2.5のときのCK=0.896を代入すると、式(6)は式(7)になる。
この式(7)に、例えば、一般的に用いられている鉛入り積層ゴムのA=2,144,470mm2、A=85,530mm2、σ=7.8MPaを代入することにより、μ=μ=0.162が求められる。
なお、σpb、G、α、γ、CK、A、A、σは、実施する免震装置の値とすればよい。特にσは、個々の積層ゴムに常時において作用する長期面圧を用いるとよい。
次に、本発明の第1の実施形態の作用及び効果について説明する。
第1の実施形態では、中小規模の地震や風等により上部建物14に滑り出し荷重よりも小さい(静止摩擦力以下の)水平力が作用したときには、鉛入り積層ゴム20のせん断変形によって免震性能を発揮することができる。
また、大地震等により上部建物14に滑り出し荷重以上の水平力が作用したときには、滑り支承22の滑り変形によって基礎12と上部建物14とが横方向に相対移動するので、鉛入り積層ゴム20の大変形に起因して生じるこの鉛入り積層ゴム20の破損を防ぐことができる。
また、鉛入り積層ゴム20に所定のせん断歪を生じさせるせん断力以上の水平力が鉛入り積層ゴム20に作用するのを防ぐことができる。第1の実施形態では、鉛入り積層ゴム20のゴム層24にハードニングが生じるせん断歪を所定のせん断歪とすることにより、鉛入り積層ゴム20の大変形に起因して生じる鉛入り積層ゴム20のゴム層24のハードニング(ゴム硬化)を防ぐことができ、大地震等により基礎12から上部建物14へ伝わる振動がこのハードニングによって急増するのを防ぐことができる。すなわち、鉛入り積層ゴム20の免震性能の低下を防いで安全に使用することができると共に、鉛入り積層ゴム20の性能を最大限に利用することができる。
また、鉛入り積層ゴム20は、鉛入り積層ゴム20の構成要素である鉛プラグ30の塑性変形による履歴減衰(減衰機能)によって、風や地震等により上部建物14に生じる振動を効率よく減衰することができる。
また、基礎12に対して上部建物14が横方向に相対移動するときに滑り支承22に生じる滑り摩擦力の摩擦減衰によって、振動エネルギーを吸収することができる。
また、滑り装置を滑り支承22とすることにより、滑り支承22が滑り変形するときに、鉛入り積層ゴム20の上面の水平を保持した状態で鉛入り積層ゴム20をせん断変形させることができ、これによって鉛入り積層ゴム20の性能低下を防ぐことができる。
また、図5に示すように、例えば、基礎免震層44に免震装置16と積層ゴム48と鉛ダンパー50とを並列に設置した場合、地震等により上部建物14が揺れて、基礎12と上部建物14との相対移動変位が積層ゴム48や鉛ダンパー50の限界変位を過度に超えてしまうと、積層ゴム48や鉛ダンパー50に破損が生じ、積層ゴム48や鉛ダンパー50の性能を喪失してしまうことが危惧される。
これに対して、第1の実施形態の建築物10では、上部建物14が、免震装置16のみによって基礎12上に支持されているので、積層ゴム48及び鉛ダンパー50の破損を心配する必要のない免震層を構築することができる。
以上、本発明の第1の実施形態について説明した。
なお、第1の実施形態では、鉛入り積層ゴム20にハードニングが生じるせん断歪を所定のせん断歪とした例を示したが、鉛入り積層ゴム20にハードニングが生じる直前のせん断歪を所定のせん断歪とするのが好ましい。一般に、ハードニングを生じるせん断歪は、2.5(250%)程度であるが、積層ゴムに用いられるゴムのせん断弾性係数、面圧、形状係数などの要因によって変動するので、実際に使用する積層ゴムの諸元を用いて定めるとよい。
また、所定のせん断歪をハードニング以外の条件でのせん断歪としてもよい。例えば、鉛入り積層ゴム20に破断が生じるせん断歪を所定のせん断歪の値とすれば、再現期間500年の地震よりも大きな極大地震時等に起こり得る鉛入り積層ゴム20の大変形に起因して生じるゴム層24のゴム破断を防ぐことができる。
一般に、ゴム層24に破断が生じるせん断歪は、4.0(400%)程度であるが、実際に使用する積層ゴムの破断歪みに応じて定めるとよい。
また、滑り層34が、ステンレス鋼板によって形成され、滑り材40が、四フッ化エチレン(PTFE)によって形成されている例を示したが、滑り層34と滑り材40との間に必要とする静止摩擦力を生じさせると共に、この静止摩擦力よりも大きな水平力が上部建物14に作用したときに摺動し合うものであればよく、例えば、滑り層34を、フッ素系樹脂をコーティングした板材等としてもよいし、滑り材40を、ポリアミド、ポリエチレン等によって形成してもよい。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態は、第1の実施形態の滑り装置としての滑り支承22を球体転がり支承としたものである。したがって、第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。
図6(a)の側断面図、及び図7の斜視図に示すように、球体転がり支承56では、鉛入り積層ゴム20の上部フランジ38上面に円環状の枠部材52が固定されている。枠部材52の内側のスペースには、複数の球体54が密に敷き並べられている。複数の球体54同士は、回転可能に接触している。球体54の上端部は、枠部材52の上端部よりも上方に位置している。
複数の球体54は、滑り材40と滑り層34との間に配置され、滑り材40及び滑り層34に回転可能に接触している。
球体54には、熱処理した高硬度の鋼球を用いるのが好ましく、滑り層34及び滑り材40には、熱処理した高硬度の鋼板を用いるのが好ましい。なお、滑り層34及び滑り材40は、一般的な鉄によって形成してもよい。また、球体転がり支承の摩擦係数はかなり小さいので、所定のせん断歪みで滑るように必要に応じて摩擦係数を調整する。例えば、球体54、滑り材40、又は滑り層34の表面に凹凸をつけたり、粗面処理を施したりする。
これによって、図6(b)の側断面図に示すように、球体転がり支承56は、球体54の転がりによる滑り出し荷重よりも大きな水平力が上部建物14に作用したときに滑り変形し、基礎12と上部建物14とを相対移動させる。
球体転がり支承56の場合には、滑り層34と球体54、及び滑り材40と球体54が接触する点に生じる転がり静止摩擦力を合計した力を僅かに超える値が滑り出し荷重となる。
そして、球体転がり支承56の滑り変形が開始される滑り出し荷重を、鉛入り積層ゴム20に所定のせん断歪を生じさせるせん断力と等しくしている。第2の実施形態では第1の実施形態と同様に、鉛入り積層ゴム20にハードニングが生じるせん断歪を所定のせん断歪としている。
次に、本発明の第2の実施形態の作用及び効果について説明する。
第2の実施形態では、第1の実施形態と同様に、鉛入り積層ゴム20の免震性能の低下を防いで安全に使用することができると共に、鉛入り積層ゴム20の性能を最大限に利用することができる。
また、滑り材40(基礎12)に対して滑り層34(上部建物14)が横方向に相対移動するときに滑り材40と滑り層34との間に生じる転がり摩擦力の摩擦減衰によって、振動エネルギーを吸収することができる。
また、球体転がり支承56が滑り変形するときに、鉛入り積層ゴム20の上面の水平を保持した状態で鉛入り積層ゴム20をせん断変形させることができ、これによって鉛入り積層ゴム20の性能低下を防ぐことができる。
例えば、図8(a)の側断面図に示すように、曲面状の転がり面を有する下滑り部材62と上滑り部材64とに接触する1つの球体60によって上部建物14の荷重を鉛入り積層ゴム20に伝える曲面転がり支承58では、図7(b)の側断面図に示すように、下滑り部材62(基礎12)に対して上滑り部材64(上部建物14)が横方向に相対移動するときに、上部建物14の荷重Fが球体60を介して積層ゴム20の片側に集中して伝達される。
このような場合、積層ゴム20に回転変形(矢印68)が発生することが考えられ、これによって、積層ゴム20は、上面(上部フランジ38)が傾いた状態でせん断変形することが危惧される。
以上、本発明の第2の実施形態について説明した。
なお、第2の実施形態では、複数の球体54を密に敷き並べた例を示したが、鉛入り積層ゴム20の上面の水平を保持できるように球体が配置されていればよい。例えば、図9(a)の斜視図、及び図9(a)のA−A矢視図である図9(b)に示すように、滑り材70に平面視にて距離をおいて形成した円柱状の穴72に球体54を配置してもよい。この場合、球体54の上端部は、滑り材70の上面よりも上方に位置させる。
また、鉛入り積層ゴム20の上面の水平保持が問題にならないようであれば、図8(a)、(b)で示したような曲面転がり支承を滑り装置として用いてもよい。
以上、本発明の第1及び第2の実施形態について説明した。
なお、第1及び第2の実施形態では、基礎12の上面に鉛入り積層ゴム20を取り付けて、上部建物14と鉛入り積層ゴム20との間に滑り装置(滑り支承22、球体転がり支承56)を設けた例を示したが、上部建物14の下面に鉛入り積層ゴム20を取り付けて、基礎12と鉛入り積層ゴム20との間に滑り装置(滑り支承22、球体転がり支承56)を設けてもよい。
また、第1及び第2の実施形態では、積層ゴムを鉛入り積層ゴム20とした例を示したが、ゴム層24及び板部材26のみによって構成される積層ゴムとしてもよい。減衰機能を有する積層ゴムとすれば、風や地震等によって上部建物14に生じる振動(変位)を低減する効果を向上できるので好ましい。例えば、積層ゴムを高減衰積層ゴムとすれば、高減衰ゴムの履歴減衰により、風や地震等により上部建物14に生じる振動を効率よく減衰することができる。
ここで、高減衰積層ゴムを有する免震装置16における、滑り層34と滑り材40との滑り面の摩擦係数の求め方の一例を説明する(図10を参照のこと)。図10の縦軸には、上部建物14に作用する水平荷重が示され、横軸には、この水平荷重によって生じる基礎免震層44の水平変位が示されている。
免震装置16の滑り面の摩擦係数をμ、滑り支承22の滑り変形が開始される水平力をQ、高減衰積層ゴムのゴム層の断面積をA、面圧をσとすると、摩擦係数μ、断面積A、面圧σ、水平力Qは式(8)の関係を満たす。
また、高減衰積層ゴムの等価剛性をKeq、せん断歪をγ、ゴム層の総厚さをHとすると、水平力Qは式(9)によって求めることができる。
ここで、標準的な高減衰積層ゴム(E0.6タイプ)の場合には、式(10)、(11)の関係が満たされる。
よって、滑り面の摩擦係数μは、式(8)〜式(11)を用いて式(12)のように表わされる。
そして、得られた式(12)によって、滑り面の摩擦係数μを求める。
また、第1及び第2の実施形態では、上部建物14が免震装置16のみによって基礎12上に支持されている例を示したが、対象とする地震規模を考慮の上、滑り支承、転がり支承、積層ゴム等の他の免震装置を免震層に併設してもよい。
また、第1及び第2の実施形態では、建築物10の基礎免震層44に免震装置16を配置した例を示したが、図11に示すように、下部構造物としての下部建物76と、上部構造物としての上部建物14とによって構成される建築物10の中間免震層74に免震装置16を配置してもよい。
以上、本発明の第1及び第2の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものでなく、第1及び第2の実施形態を組み合わせて用いてもよいし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
近年、建築物が、この建築物の設計時において想定した地震動レベル(例えば再現期間500年の大地震)を遥かに超える極大地震や長周期地震に見舞われる事例が増えている。従来の免震装置は、設計時に想定した地震動レベル以下の地震動に対しては高い耐震安全性を有することが実証されているが、想定した地震動レベルを遥かに超える極大地震に対応したものではない。
これに対して、本発明の第1及び第2の実施形態で示した免震装置やこの免震装置を有する建築物は、想定した地震動レベルの地震に対して、積層ゴムが上部構造物(建築物)と下部構造物(基礎など)に緊結された従来の免震建築物として挙動する。そして、想定以上の極大地震や長周期地震に対しては、滑り装置によって上部構造物と下部構造物の間に滑り変形を生じさせ、積層ゴムにハードニングやゴムの破断を生じさせるような過大な変形を生じさせないことができる。このように、本発明の免震装置やこの免震装置を有する建築物は、積層ゴムの性能低下又は損傷を防ぐと共に、積層ゴムの性能を最大限に利用することができるものなので、極大地震や長周期地震に対しても高い耐震安全性を確保することができる。
(実施例)
本実施例では、本発明の第1の実施形態に対して実施した地震応答解析の結果について示す。
図12(a)〜(c)は、鉛入り積層ゴム20が配置された免震層(基礎免震層44)の水平変位(横軸)に対する免震層(基礎免震層44)のせん断力係数(縦軸)を示した地震応答解析結果のグラフである。
図12(b)の値78B、80Bは、想定レベルの地震に対する値であり、図12(a)の値78A、80Aは、想定レベルよりも小さい地震に対する値であり、図12(c)の値78C、80Cは、想定レベルよりも大きい地震に対する値である。
また、値78A、78B、78Cは、本発明の第1の実施形態で示した免震装置16のみによって基礎12上に上部建物14を支持した場合(図1を参照のこと)の値であり、値80A、80B、80Cは、本発明の第1の実施形態で示した鉛入り積層ゴム20のみによって基礎12上に上部建物14を支持した場合の値である。すなわち、値80A、80B、80Cは、図2で示した免震装置16から滑り支承22を無くした構成であり、値78A、78B、78Cと比較する従来の免震装置として示されている。
なお、滑り層34と滑り材40とが接触する滑り面の摩擦係数μを0.15とした。
図12(a)〜(c)からわかるように、想定レベルよりも小さい地震では、本発明の免震装置16には滑りが発生せず(図12(a)の値78A)、従来の免震装置(図12(a)の値80A)と同じ挙動となっている。
また、想定レベルの地震では、本発明の免震装置16には若干の滑りが発生しているが(図12(b)の値78B)、従来の免震装置(図12(b)の値80B)とほとんど変わらない挙動となっている。
このように、本発明の免震装置16は、想定レベル以下の地震に対して、従来の免震装置と同様に最適な免震性能を発揮する。
また、想定レベルよりも大きい地震では、従来の免震装置(図12(c)の値80C)にはハードニング(領域82、84)が生じているが、本発明の免震装置16にこのようなハードニングの現象が見られない。
これは、本発明の免震装置16は、ハードニングを生じる前に滑り始めるためである。これによって、鉛入り積層ゴム20のゴム層24が破断したり、基礎免震層44のせん断力が急増して下部構造物から上部構造物へ伝わる振動が急増したりすることを防止できると共に、滑り層34と滑り材40との滑り面に生じる摩擦減衰や鉛プラグ30の履歴減衰によって、高いエネルギー吸収性能を発揮し、基礎免震層44の変位を従来の免震装置よりも小さくすることができる。
図13(a)〜(c)は、鉛入り積層ゴム20が配置された免震層(基礎免震層44)の水平変位(横軸)に対する免震層(基礎免震層44)のせん断力係数(縦軸)を示した地震応答解析結果のグラフである。
図13(b)の値86Bは、本発明の第1の実施形態で示した免震装置16のみによって基礎12上に上部建物14を支持し、滑り層34と滑り材40との滑り面の摩擦係数μを最適値である0.15とした場合の値であり、図13(a)の値86Aは、本発明の第1の実施形態で示した免震装置16のみによって基礎12上に上部建物14を支持し、滑り層34と滑り材40との滑り面の摩擦係数μを最適値(0.15)よりも小さい0.10とした場合の値であり、図13(c)の値86Cは、本発明の第1の実施形態で示した免震装置16のみによって基礎12上に上部建物14を支持し、滑り層34と滑り材40との滑り面の摩擦係数μを最適値(0.15)よりも大きい0.20とした場合の値である。なお、図13に示す各解析例では、減衰材としてオイルダンパを免震層に設置しており、免震層のせん断力係数にはオイルダンパの負担するせん断力を含んでいる。
図13(a)〜(c)からわかるように、滑り層34と滑り材40との滑り面の摩擦係数μが最適値よりも小さい場合には、免震装置16において大きな滑りを生じるので免震層(基礎免震層44)の変位が大きくなる。
このような小さい摩擦係数μの場合には、想定レベルよりも小さい地震においても免震層に滑り変形を生じさせ、想定レベルよりも大きい地震においては、滑り面の摩擦係数μを最適値にした場合に比べて滑り変形が過度に大きくなる。このため、滑り層34の面積を大きくしたり、免震層に大きな免震クリアランスを確保したりしなければならなくなる。
図14(a)は、本発明の第1の実施形態で示した免震装置16が配置された免震層(基礎免震層44)の水平変位(横軸)に対する免震層(基礎免震層44)のせん断力係数(縦軸)を示した地震応答解析結果のグラフ(値92A)であり、図14(b)は、本発明の第1の実施形態で示した免震装置16の鉛入り積層ゴム20を天然ゴム系積層ゴム(鉛プラグ30を有していない)にした免震装置が配置された免震層(基礎免震層44)の水平変位(横軸)に対する免震層(基礎免震層44)のせん断力係数(縦軸)を示した地震応答解析結果のグラフ(値92B)である。
なお、図14(a)、(b)共に、滑り層34と滑り材40とが接触する滑り面の摩擦係数μを0.15とした。
図14(a)、(b)からわかるように、本発明の免震装置16(値92A)と、天然ゴム系積層ゴムを有する免震装置(値92B)とは、摩擦係数μが同じなので、上部建物14に伝達させる振動は変わらない。しかし、天然ゴム系積層ゴムを有する免震装置は、本発明の免震装置16のように減衰機能を有していないのでエネルギー吸収に劣り、これによって、免震層(基礎免震層44)の変位(変位量94)が大きくなる。
これに対して、本発明の免震装置16では、鉛入り積層ゴム20が減衰性能を有しているのでエネルギー吸収に優れ、これによって、免震層(基礎免震層44)の変位(変位量94)が小さくなる。
10 建築物
12 基礎(下部構造物)
14 上部建物(上部構造物)
16 免震装置
20 鉛入り積層ゴム(積層ゴム)
22 滑り支承(滑り装置)
24 ゴム層
26 板部材
34 滑り層(上滑り部材)
36 滑り部材(上滑り部材)
40、70 滑り材(下滑り部材)
44 基礎免震層
54 球体
56 球体転がり支承(滑り装置)
74 中間免震層
76 下部建物(下部構造物)

Claims (4)

  1. 下部構造物上に設けられ、独立して構築された上部構造物を支持する免震装置を備える建築物において、
    前記免震装置は、ゴム層と板部材とを交互に積層して形成されるとともに鉛プラグが備えられ前記下部構造物の上面又は前記上部構造物の下面に取り付けられた鉛入り積層ゴムと、前記上部構造物と前記鉛入り積層ゴムとの間、又は前記下部構造物と前記鉛入り積層ゴムとの間に設けられて前記上部構造物の荷重を前記下部構造物に伝え、滑り面に生じる滑り変形によって前記下部構造物と前記上部構造物とを相対移動させる滑り支承と、を有するとともに、前記滑り面の摩擦係数をμ、前記ゴム層の面圧をσ 、前記ゴム層の断面積をA 、前記鉛プラグの降伏せん断応力度をσ pb 、前記鉛プラグの断面積をA 、前記ゴム層のせん断弾性係数をG 、及び前記鉛入り積層ゴムのせん断歪をγとし、補正係数をCK 、αとして、前記μを式(1)とすることにより、前記鉛入り積層ゴムに所定のせん断歪を生じさせるせん断力と前記滑り変形が開始される滑り出し荷重を等しくし、
    前記上部構造物は、前記免震装置のみで前記下部構造物上に支持されている建築物。
  2. 前記所定のせん断歪は、前記鉛入り積層ゴムにハードニングが生じるせん断歪である請求項1に記載の建築物。
  3. 前記所定のせん断歪は、前記鉛入り積層ゴムに破断が生じるせん断歪である請求項1に記載の建築物。
  4. 前記下部構造物と前記上部構造物との間に形成される層は、基礎免震層又は中間免震層である請求項1〜3の何れか1項に記載の建築物。
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