JP5638669B2 - 表面被覆切削工具 - Google Patents
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Description
本発明の表面被覆切削工具は、基材と、該基材上に形成された被膜とを備え、該被膜は、物理的蒸着膜であり、かつ基材上に形成された厚み7〜15μmの窒化物層と、該窒化物層上に形成された厚み3〜10μmの炭窒化物層と、該炭窒化物層上に形成された厚み0.2〜5μmのAlN層とを含むことを特徴とする。
本発明の表面被覆切削工具の基材としては、このような切削工具の基材として知られる従来公知のものを特に限定なく使用することができる。たとえば、超硬合金(たとえばWC基超硬合金、WCの他、Coを含み、あるいはさらにTi、Ta、Nb等の炭窒化物等を添加したものも含む)、サーメット(TiC、TiN、TiCN等を主成分とするもの)、高速度鋼、セラミックス(炭化チタン、炭化硅素、窒化硅素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、およびこれらの混合体など)、立方晶型窒化硼素焼結体、ダイヤモンド焼結体等をこのような基材の例として挙げることができる。
本発明の被膜は、物理的蒸着膜であり、かつ基材上に形成された厚み7〜15μmの窒化物層と、該窒化物層上に形成された厚み3〜10μmの炭窒化物層と、該炭窒化物層上に形成された厚み0.2〜5μmのAlN層とを含むことを特徴とする。本発明の被膜は、このような構造を有することにより、次のような優れた作用効果が示される。すなわち、高硬度を有することから耐摩耗性に優れるという好適な特性を有する反面、欠け易いという短所を併せ持つ炭窒化物層に対して、その下層として窒化物層を形成したことにより、炭窒化物層に発生した亀裂が基材に伝播することを有効に防止することができ、工具全体の破壊を抑制することができる。さらに、潤滑作用に優れ、かつ異常摩耗を抑制できるAlN層を該炭窒化物層上に形成したことにより、切削加工時における該炭窒化物層に対する切削抵抗を低減することができる。このようにして、本発明の表面被覆切削工具は、工具自体が破壊されることを極めて有効に防止し得、かつ切削抵抗を低減でき、以って極めて優れた耐摩耗性が示される。
本発明の窒化物層は、基材上に形成されるものであって、7〜15μmの厚みを有するものである。ここで、「基材上に形成される」とは、基材直上に基材と接するようにして形成されることをいう。上記厚みは、より好ましくは8〜12μmである。該厚みが7μm未満では、被膜中で発生した亀裂が基材に伝播するのを防止することができず、靭性が不十分となってしまう。また、該厚みが15μmを超えると、当該層にドロップレットを含むこととなり当該層の面粗さが粗くなってしまう。当該層の面粗さが粗くなると、当該層上に形成される炭窒化物層が疎に形成されてしまい両層の密着性に劣ることとなる。
本発明の炭窒化物層は、上記の窒化物層上に形成されるものであって、3〜10μmの厚みを有するものである。上記厚みは、より好ましくは4〜7μmである。該厚みが3μm未満では、耐摩耗性が不十分となってしまう。また、該厚みが10μmを超えると、該層中に亀裂が発生しやすくなり、自己破壊してしまう。
本発明のAlN層は、AlN(窒化アルミニウム、なおAlが1に対してNが0.9〜1.1である原子比のものも含む)により構成される層であり、上記の炭窒化物層上に形成されるものであって、0.2〜5μmの厚みを有するものである。上記厚みは、より好ましくは0.5〜3μmである。該厚みが0.2μm未満では、炭窒化物層の表面粗さの影響が大きくなり、本来のAlN層の効果が示されなくなる。また、該厚みが5μmを超えると、生産性が極めて劣るとともに結晶化を抑制することができず均一摩耗が困難となる。
本発明の上記TiAlN層、上記TiCN層、および上記AlN層のうち少なくとも1層は、その層を構成する化合物(すなわちTiAlN、TiCN、およびAlNのうち少なくとも1種)がV、Cr、Y、Nb、Hf、Ta、B、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素をその化合物に含まれる金属成分に対して0.1〜20原子%(より好ましくは1〜10原子%)含むことが好ましい。このような他の元素を含むことにより、結晶格子中に歪みが入り硬度がさらに向上することから耐摩耗性がより向上したものとなる。しかも、切削加工時において被膜中あるいは被膜と基材間において原子拡散が抑制され、耐酸化性等の耐反応性が良好となる。
本発明の被膜を構成する窒化物層、炭窒化物層、およびAlN層は、それぞれ次のような超多層構造とすることが好ましい。すなわち、上記窒化物層は、TiAlMe1N層とTiAlMe2N層とを交互に積層させた超多層構造またはTiAlN薄層とTiAlMe2N層とを交互に積層させた超多層構造を有し、上記炭窒化物層は、TiMe3CN層とTiMe4CN層とを交互に積層させた超多層構造またはTiCN薄層とTiMe4CN層とを交互に積層させた超多層構造を有し、上記AlN層は、AlMe5N層とAlMe6N層とを交互に積層させた超多層構造またはAlN薄層とAlMe6N層とを交互に積層させた超多層構造を有し、上記Me1、Me2、Me3、Me4、Me5、およびMe6は、それぞれ独立してV、Cr、Y、Nb、Hf、Ta、B、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示すが、Me1とMe2とは同じ元素を示すことはなく、Me3とMe4とは同じ元素を示すことはなく、Me5とMe6とは同じ元素を示すことはない態様とすることが好ましい。なお、上記において、窒化物層および炭窒化物層を上記のような超多層構造とし、AlN層のみを通常の層(すなわち超多層構造ではない層)とする態様を採用することもできる。
本発明の被膜全体の残留応力は、+1〜−1GPa(−1GPa以上+1GPa以下)であることが好ましい。より好ましくは+0.5〜−0.7GPaであり、さらに好ましくは+0.2〜−0.5GPaである。残留応力が+1GPaを超えると被膜の剛性が不十分となる場合があり、−1GPa未満では被膜の自己破壊が生じる場合がある。被膜がこのような範囲の残留応力、特にその絶対値が小さくなる残留応力を有する場合、耐欠損性に優れた旋削加工が可能となり、極めて信頼性に優れた工具を得ることができる。
以下のようにして表面被覆切削工具を作成し、その評価を行なった。
まず、表面被覆切削工具の基材として材質がP20(JIS)であり形状がCNMG120408(JIS)である旋削加工用刃先交換型切削チップを準備し、その基材をカソードアークイオンプレーティング・スパッタ装置に装着した。
上記で作製した実施例1〜44および比較例1〜6の表面被覆切削工具のそれぞれについて、以下の条件による連続旋削試験を行なうことにより耐摩耗性の評価を行なった。該評価は、刃先の逃げ面摩耗幅が0.2mmを超える時間を切削時間として測定することにより行なった。その結果を表3に示す。切削時間が長いもの程耐摩耗性が優れていることを示している。
被削材:SCM435丸棒
切削速度:250m/分
切り込み:2.0mm
送り:0.3mm/rev
DRY/WET:DRY
Claims (2)
- 基材と、該基材上に形成された被膜とを備える表面被覆切削工具であって、
前記被膜は、物理的蒸着膜であり、12〜30μmの厚みを有し、
前記被膜全体の残留応力は、+1〜−1GPaであり、
前記被膜は、基材上に形成された厚み7〜15μmの窒化物層と、該窒化物層上に形成された厚み3〜10μmの炭窒化物層と、該炭窒化物層上に形成された厚み0.2〜5μmのAlN層とを含み、
前記AlN層は、スパッタリング法で形成され、六方晶型の結晶構造を含んでおり、2800〜3800mgf/μm2の硬度を有し、
前記窒化物層は、TiAlN層であって、TiAlMe1N層とTiAlMe2N層とを交互に積層させた超多層構造またはTiAlN薄層とTiAlMe2N層とを交互に積層させた超多層構造を有し、
前記炭窒化物層は、TiCN層であって、TiMe3CN層とTiMe4CN層とを交互に積層させた超多層構造またはTiCN薄層とTiMe4CN層とを交互に積層させた超多層構造を有し、
前記Me1、Me2、Me3、およびMe4は、それぞれ独立してV、Cr、Y、Nb、Hf、Ta、B、およびSiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を示すが、Me1とMe2とは同じ元素を示すことはなく、Me3とMe4とは同じ元素を示すことはなく、
前記窒化物層を構成する前記超多層構造のそれぞれにおけるTiとAlとの原子比は、TixAl1-xN(式中xは0.3≦x≦0.7である)で表され、
前記炭窒化物層を構成する前記超多層構造のそれぞれにおけるCとNとの原子比は、TiCyN1-y(式中yは0.05≦y≦0.60である)で表され、
前記Me1、Me2、Me3、およびMe4は、これらを含む化合物に含まれる金属成分に対して0.1〜20原子%含まれる、
表面被覆切削工具。 - 前記基材は、超硬合金、サーメット、高速度鋼、セラミックス、立方晶型窒化硼素焼結体、またはダイヤモンド焼結体のいずれかにより構成される、請求項1に記載の表面被覆切削工具。
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