以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳述する。図1は、本実施の形態に係る洗濯乾燥機の外観を略示する斜視図である。本実施の形態に係る洗濯乾燥機は、外装を構成する外箱1の内部に水槽2(図2参照)を備えている。
外箱1の前面には、洗濯物の投入口11が開設されている。投入口11は、蓋体10により開閉自在になしてある。蓋体10は、開閉のために把持される把持部13を備える。また外箱1の前面には、蓋体10の近傍にドア開ボタン14が配してあり、蓋体10は、把持部13又はドア開ボタン14が操作されることにより開閉される。
また、外箱1の前面上部には、操作パネル15が設けてある。操作パネル15は、各種の操作のための操作キー、各種の表示のための表示部を備える。操作パネル15は、操作パネル15の内側に位置して外箱1の内部に設けた運転制御部16(図2参照)に接続してある。洗濯工程、乾燥工程、及び、スチーム供給工程を含む洗濯乾燥機の運転は、操作パネル15から入力される操作内容に従う運転制御部16の動作により実行される。洗濯工程、及び、乾燥工程は、夫々公知の手順で実施されるものであり、詳細な説明は省略する。
外箱1の上面には、後述する乾燥工程中に塵埃を除去するフィルタを取り出すフィルタ取出口68が設けられている。フィルタ取出口68は、ケース蓋69により開閉自在になしてある。外箱1の後部上面には、水道への接続端となる給水口17が設けてある。
図2は、本実施の形態に係る洗濯乾燥機の内部構成を略示する縦断面図である。外箱1の内部に備えられた水槽2は、洗濯物の投入のための開口20を一側に備える大径の有底円筒体である。開口20は、投入口11が臨む位置にあり、投入口11と開口20とはベローズ12により、液密に封止されている。なお、水槽2の開口20にも蓋板(内蓋)を備えてもよい。
水槽2は、外箱1の底面に立設された複数本の支持脚21(1本のみ図示)により、開口20の側を上とした傾斜姿勢を保って弾性支持されている。水槽2の傾斜角度は、水平面に対して数度から数十度程度である。
水槽2の内部には、回転ドラム3が、中心軸を水槽2の中心軸に対して平行をなし、外箱1の天面側に偏心するように支持されている。水槽2の底部にはドラムモータ4が出力軸40を回転ドラム3の中心軸と一致させて固設してある。
ドラムモータ4は、水槽2の底板の外側に連接されたモータ室41の内部に固設されている。ドラムモータ4の出力軸40は、水槽2の内部に水槽2の底板を液密に貫通して突出しており、回転ドラム3は、この突出端部に連結してある。出力軸40の回転は、運転制御部16の制御により、回転速度を変化することができる。
回転ドラム3は、水槽2よりもやや小径の有底円筒体であり、一側には洗濯物の投入のための開口30が開設されている。開口30は、水槽2の開口20の内側に臨んでいる。回転ドラム3は、ドラムモータ4の出力軸40の端部に同軸をなして連結され、運転制御部16が制御するドラムモータ4からの電動により水槽2の内部にて回転するようになしてある。
回転ドラム3の周壁には、多数の小孔32が全面に亘って貫通形成されており、また回転ドラム3の内面には、軸長方向に延びるバッフル33が周方向に等配をなして複数突設されている。なお、図2中には、小孔32の一部と一つのバッフル33を図示している。
回転ドラム3の開口30の外側には、流体バランサ31が周設されており、回転ドラム3の回転に伴う振動を吸収するようになしてある。
以上の如く構成された洗濯乾燥機の洗濯工程は、外箱1の前面の蓋体10を移動させることにより投入口11が開放されて洗濯物が投入され、蓋体10が閉止された後、水槽2の内部に適量の洗濯水を給水し、ドラムモータ4を駆動し、回転ドラム3を回転せしめて実施する。
より詳細には、投入口11から投入された洗濯物は、開口20及び開口30を経て回転ドラム3の内部に導入される。回転ドラム3の内部には、周面に設けた小孔32から水槽2の内部の洗濯水が流入しており、また回転ドラム3の内面には、複数のバッフル33が突設されているため、回転ドラム3内に投入された洗濯物は、小孔32を経て回転ドラム3内に流入する洗濯水中に浸され、バッフル33の作用による持ち上げ及び落下を含めて洗濯水と共に攪拌されて洗濯される。
なお、洗濯工程に先んじて、センサ9(図4参照)が、回転ドラム3に導入された洗濯物の量を検出し、検出した洗濯物の量に基づいて、運転制御部16が、洗濯水の量、回転ドラムの回転時間及び回転速度を決定する。センサ9は、例えば、ドラムモータ4に取り付けられている負荷センサ、回転ドラム3の開口30付近に取り付けられている加速度センサ、回転ドラム3に導入された洗濯物の重量を測定する重量センサ、及び、水槽2の水位を測定する水位センサの何れか一つ以上のセンサである。
外箱1の後部上面に設けられた給水口17は、外箱1の内側に設けた給水弁18に接続されている。給水弁18は、複数の給水出口を有する多連形の電磁弁である。給水弁18の第1給水出口は、給水管19を介して水槽2の底板近傍の上部周面に接続されている。給水弁18が第1給水出口に切り替えられた場合、給水口17へ供給される水は、給水弁18及び給水管19を経て水槽2の内部に供給されるようになしてある。なお、給水管19の中途には、例えば、洗剤ケースを配置し、給水と共に適量の洗剤が導入されるように構成することができる。
水槽2には、最下位置となる底板近傍の周面に導水管22が接続されている。導水管22は、外箱1内側の前下部に固定支持された筒型のフィルタケース23に接続されている。フィルタケース23の内部には、水中に混在する異物を捕捉するリントフィルタ24が収容されている。フィルタケース23の下部は、排水弁25を介して外箱1の底面に沿って敷設された配水管26に接続されている。フィルタケース23の後端部には、循環ポンプ27を介して戻し管28が接続されている。戻し管28は、水槽2の前部に沿って上方に延長され、水槽2の前部の開口20に上方から接続されている。
水槽2内に給水される洗濯水は、導水管22を経てフィルタケース23に導入され、フィルタケース23の内部に充満する。フィルタケース23に付設された循環ポンプ27は、前述した洗濯工程中に、連続又は間欠的に駆動される。この駆動により、フィルタケース23の内部の洗濯水は、循環ポンプ27に吸い込まれて昇圧され、戻し管28を経て水槽2の上部に送水されて、戻し管28の先端から回転ドラム3内部の洗濯物に対して吹出されて洗浄効果を高めるべく作用する。
また、この間フィルタケース23の内部には、導水管22を経て水槽2内部の洗濯水が連続的に供給されるから、水槽2からフィルタケース23の内部を通って回転ドラム3内に戻る洗濯水の循環が生じる。このように循環する洗濯水中に含まれる繊維屑等の異物は、フィルタケース23内に設けたリントフィルタ24に捕捉されて除去される。これにより、回転ドラム3内部には、戻し管28を経て清浄な洗濯水が降り注がれる。
以上の洗濯工程の後に、排水弁25が開放される。排水弁25の開放により、水槽2内部の洗濯水は、導水管22及びフィルタケース23を経て配水管26に排出され、配水管26が接続される下水管に排水される。この排水に際しても、洗濯水中に含まれる異物は、フィルタケース23内部のリントフィルタ24に捕捉されるから、配水管26を経て下水管に排出される虞が無く、環境負荷の軽減を図ることができる。
乾燥風の循環風路の導出口65aは、水槽2の底部近傍の下部周面に開設してある。図2は、循環風路の図示を省略してある。図3は、循環風路の構成を略示する縦断面図である。循環風路は、図2に示す導出口65aから、水槽2の外側を巡るダクト65、並びに、水槽2の上側に設けられている送風機61、乾燥ヒータ62、及び、フィルタケース63を経て、水槽2の上部に設けられている導入口66へ連絡している。
ダクト65は、水槽2に開設されている導出口65aと、送風機61側の開口65bとを連通している。ダクト65は、導出口65a付近で、循環風路の通風方向が、略水平方向から略鉛直方向に急峻に変化するようになしてある。ダクト65の開口65b付近では、循環風路の断面積が急に大きくなり、通風方向が略鉛直方向から水平方向に対して数度上向きの方向に変化した後、すぐに略垂直方向に変化するようになしてある。導出口65aから開口65bまでの長さは、開口65b付近の空気と、導出口65a付近の空気とが交わらない程度になしてある。
送風機61は、ファンケース61a、乾燥ファン61b、及び、ファンモータ61cを備える。ファンケース61aは、水槽2の上方に配置され、ダクト65と開口65bにより連絡している。ファンケース61aの内部に備えられた乾燥ファン61bは、開口65bに対向し、乾燥ファン61bの後方に配置されているファンモータ61cにより回転駆動されるようにしてある。
循環風路の送風機61の後方には、乾燥ヒータ62が循環風路に交差する方向に加熱面を有して取り付けられている。フィルタケース63は、循環風路の乾燥ヒータ62より後方に配置されている。フィルタケース63は、上部が外箱1に設けられているフィルタ取出口68に連結され、内部に塵埃フィルタ64を備える。塵埃フィルタ64は、循環風路に交差する方向に、循環風路を塞ぐように配置されている。
フィルタケース63から循環風路により連絡する導入口66は、水槽2の開口20の周縁に、戻し管28よりやや離れた位置に設けられている。
以上の如く構成された洗濯乾燥機の乾燥工程は、洗濯後の洗濯物が回転ドラム3内部に入っている状態で、乾燥工程を開始する指示が運転制御部16から各部に出力されることにより、開始される。乾燥工程は、洗濯工程に続いて行われる。
乾燥工程が開始されると、洗濯工程の開始時にセンサ9により測定された洗濯物の量に基づいて、運転制御部16が、回転ドラム3の回転速度、及び、乾燥時間を決定し、これらの運転を開始させる。これにより、ドラムモータ4が制御され、回転ドラム3が所定の回転パターンにより回転し、ファンモータ61cが制御されることにより、乾燥ファン61bが回転する。また、乾燥ヒータ62が加熱を開始する。そして、循環風路内の空気が移動して乾燥ヒータ62により加熱された後、塵埃フィルタ64により塵埃が除去されて、乾燥風となり導入口66から回転ドラム3の内部に導入される。
回転ドラム3の内部で、乾燥風は、回転ドラム3内を回転する洗濯物に当たり、洗濯物から水分を奪うことにより加湿され湿潤空気となる。湿潤空気は、導出口65aからダクト65に戻る。ダクト65の導出口65a付近は、循環風路の送風方向が急に変わる形状をなしているため、湿潤空気は、ダクト65の内壁に衝突し、湿潤空気に含まれている水分の一部が液滴に変わり内壁を伝って導出口65aから導水管22の方向に落ちる。
湿潤空気は、さらに、ダクト65の内部を通って開口65b付近に移動する。開口65b付近で循環風路の断面積が急に大きくなることにより、湿潤空気の気圧が低下するので、湿潤空気の温度が低下し、水蒸気は液化して液滴となり、湯気も同様に液滴となる。開口65b付近では、さらに、循環風路の通風方向が急に2回変化するため、液滴となった水分がダクト65の内壁に衝突する。また、空気に残る水分も空気がダクト65の内壁に衝突することにより液滴となる。このようにして発生した液滴は、通風方向に対して逆向き、すなわち、下方に向かうようにダクト65の内壁を伝って移動し、導出口65aから導水管22の方向に進んで排水される。ダクト65を通過して除湿された空気は、ファンケース61aを通って再び乾燥ヒータ62により加熱され乾燥風となる。
図2に戻り、水槽2の上方には、さらに、スチーム供給手段5が配されている。スチーム供給手段5は、水タンク51、定量ポンプ52、スチーム発生器53、給水管54、蒸気管55、及び、スチーム吹出口56を備える。
小径の給水管54は、給水弁18の第2給水口に一端が接続され、給水弁18が第2給水口に切り替えられることにより、給水口17からの水が供給される。給水管54は、水槽2の上方空間内で洗濯乾燥機の前方に延設されている。給水管54の中途には、給水口17からの水を一旦貯蔵する水タンク51、及び、一定量の水を送水可能な定量ポンプ52が設けてあり、給水管54の他端は、スチーム発生器53に接続されている。
スチーム発生器53には、給水管54と蒸気管55とが接続されている。スチーム発生器53は、給水管54からの水を加熱蒸発させて、スチームを発生する動作をなす。なお、スチームとは、水蒸気及び湯気の何れか一つ以上である。蒸気管55は、スチーム発生器53からさらに洗濯乾燥機の前方に延長され、水槽2の前部の開口20の周縁に、導入口66と並べて設けたスチーム吹出口56に接続されている。
以上の構成により、スチーム供給手段5は、水タンク51に貯蔵された水を、一定量毎に定量ポンプ52により、スチーム発生器53に送水する。スチーム発生器53は、送水された水を加熱してスチームを発生させる。発生したスチームは、スチームの圧力によりスチーム発生器53の内部から蒸気管55に噴出され、スチーム吹出口56から水槽2に吹出される。
次に、本実施の形態に係る洗濯乾燥機の運転制御について説明する。図4は、本実施の形態に係る洗濯乾燥機の制御ブロック図である。運転制御部16は、操作パネル15、ドラムモータ4、センサ9、乾燥ファン61b、乾燥ヒータ62、給水弁18、排水弁25、及び、スチーム供給手段5に接続されている。
運転制御部16は、コンピュータプログラムを実行するCPU16a、コンピュータプログラムを格納したメモリ16b、及び、計時機能を提供するタイマー16cを有する。CPU16aは、コンピュータプログラムを実行して洗濯乾燥機の各部の制御を実現する。メモリ16bは、CPU16aが実行するコンピュータプログラム、及び、スチーム供給工程における回転ドラムの回転パターンの情報を格納する。メモリ16bは、また、CPU16aがコンピュータプログラムを実行する際のワークメモリの機能を実現する。タイマー16cは、CPU16aがコンピュータプログラムを実行する際に用いる計時機能を提供する。
CPU16aが実現する各部の制御は、以下の通りである。CPU16aは、操作パネル15から入力される指示の信号、及び、センサ9が検出する洗濯物の量に係る信号を受け付け、受け付けた信号に基づいて生成する制御信号を、各部に出力する。
CPU16aは、給水弁18に対し、給水管19を介して水槽2へ給水する第1給水口、及び、スチーム供給手段5へ給水する第2給水口の何れの給水口に給水するかを指示する信号を含む、給水弁18の弁の開閉を制御する制御信号を出力する。CPU16aは、排水弁25に対し、弁の開閉を制御する制御信号を出力する。
CPU16aは、乾燥ファン61b及び乾燥ヒータ62に対し、駆動を制御する信号を出力する。なお、乾燥ファン61b及び乾燥ヒータ62は、夫々乾燥手段として、協働するように制御信号が出力されてもよい。
CPU16aは、定量ポンプ52に対し、駆動を制御する信号を出力する。
CPU16aは、スチーム発生器53に対し、スチームの発生のための制御信号を出力する。スチームの発生のための制御信号は、例えば、図示しないスチーム発生用ヒータの温度を制御する信号である。CPU16aは、スチーム発生器53が備える図示しない温度センサからのスチーム発生器53の温度に係る信号に基づいて、温度を制御する信号を出力する。
なお、スチーム発生器53と定量ポンプ52とは、協働するように制御信号が出力される。
CPU16aは、ドラムモータ4に駆動制御の信号を出力する。CPU16aは、スチーム供給工程において、洗濯物の量に応じて回転ドラム3の回転パターンを設定し、回転パターンに基づく駆動制御の信号を、ドラムモータ4に出力する。スチーム供給工程における回転ドラム3の回転パターンは、隙間形成動作と水分浸透動作とを含む。隙間形成動作は、回転ドラム3内に収容された洗濯物の間に、スチームが入り込むための隙間を形成する回転動作又は休止動作である。水分浸透動作は、スチームが当てられた洗濯物にスチームによる水分が浸透するための回転動作又は休止動作である。
図5は、回転ドラム3の乾燥工程の回転パターン及びスチーム供給工程の3つの回転パターンの一例を示すテーブルである。なお、回転パターンとは、周期的に繰り返される回転ドラム3の回転動作及び/又は休止動作の一周期分の動作である。回転パターンとは、例えば、回転動作及び休止動作が連続する一連の動作、又は、異なる回転速度の回転動作が連続する一連の動作である。乾燥工程で繰り返される回転パターンとスチーム供給工程で繰り返される回転パターンとは、互いに異なる。
図5には、「容量少」、「容量中」、「容量多」の3つの洗濯物の量の夫々に対する、スチーム供給工程の回転パターンの、回転速度及び休止時間の一例が、乾燥工程における回転速度及び休止時間とともに示されている。何れの回転パターンも、右回転→左回転→休止の順に動作している。なお、図中には、1つの回転パターンについて、2周期分を示している。
図5に示す乾燥工程の回転パターンは、低速(46rpm)から高速(150rpm)まで変化した後に、反転又は休止する。反転する際又は休止する際に洗濯物に対して負の加速度が発生するので、洗濯物の向きや配置が入れ替わる。これにより、乾燥風が満遍なく洗濯物に当たり、洗濯物から水分を奪うことができる。
一方、スチーム供給工程では、洗濯物の量が約2kg以下の「容量少」、洗濯物の量が約2kgを超え約4kg以下の「容量中」、及び、洗濯物の量が約4kgを超え約6kg(定格量)以下の「容量多」の3つの容量のそれぞれに対して回転パターン1から回転パターン3が設定されている。
「容量少」に対応する回転パターン1では、隙間形成動作中の等速回転速度R1は、120rpmであり、水分浸透動作中の休止時間T1は4秒である。「容量中」に対応する回転パターン2では、隙間形成動作中の等速回転速度R2は、140rpmであり、水分浸透動作中の休止時間T2は、10秒である。「容量多」に対応する回転パターン3では、隙間形成動作中に高速回転した後に、少しずつ減速して低速回転する。高速回転速度R3は、220rpmであり、低速回転速度R4は、80rpmである。水分浸透動作中の休止時間T3は、15秒である。
なお、図5中の回転速度には、回転ドラム3が回転を開始又は反転した後、図中に示す回転速度に達するまでの加速期間の回転速度、及び、回転ドラム3が回転を止めるための又は反転するための減速期間の回転速度を含まない。
また、図5中の休止期間は、スチーム供給を効率良くするために行われるものであるため、ドラムモータ4の制御方法に関わらず、回転ドラム3が回転を休止している。
図6は、本実施の形態に係る洗濯乾燥機の洗濯乾燥工程を示すフローチャートである。操作者が、蓋体10を開け投入口11から洗濯物を投入した後に蓋体10を閉じ、操作パネル15より洗濯乾燥工程の開始の指示を入力すると、センサ9の検出値に基づいて、運転制御部16が洗濯物の量を測定する(ステップS1)。
測定された洗濯物の量に基づいて、運転制御部16が、洗濯工程における洗濯水の量、回転ドラム3の回転速度、及び、回転時間を含む回転パターンを決定する。運転制御部16は、決定した内容に基づいて、ドラムモータ4を駆動し、給水弁18及び排水弁25を制御して、洗濯工程を行う(ステップS2)。なお、洗濯工程において、スチーム供給手段5が回転ドラム3にスチームを供給してもよい。これにより、洗濯水の温度が高くなり、洗濯物の洗浄効果を高めることができる。
洗濯工程の後、乾燥工程が実行される(ステップS3)。乾燥工程は、運転制御部16が、ステップS1で検出された洗濯物の量に基づいて、回転ドラム3の回転速度と回転時間を含む回転パターン、乾燥時間、及び、乾燥風の温度を決定する。運転制御部16は、決定した内容に基づいて、ドラムモータ4を駆動し、乾燥ファン61b、及び、乾燥ヒータ62を制御して、乾燥工程を行う。
乾燥工程の後、運転制御部16が、ステップS1で検出された洗濯物の量に基づいて、回転パターンを設定し、洗濯物にスチームを供給するスチーム供給工程を行う(ステップS4)。
図7は、スチーム供給工程の詳細を示すフローチャートである。スチーム供給工程では、運転制御部16は、洗濯乾燥運転の開始時(図6のステップS1)に測定された洗濯物の量を判定する(ステップS41)。洗濯物の量が「容量少」の場合(ステップS41:容量少)には、運転制御部16は、回転パターン1を設定する(ステップS51)。回転パターン1は、隙間形成動作の際に、速度R1の等速回転を行い、水分浸透動作の際にT1秒間回転を休止する動作を含む。
運転制御部16は、設定された回転パターン1に基づいて、ドラムモータ4を駆動させ、回転ドラム3を右方向に速度R1で回転させ(ステップS52)、その後に、回転ドラム3を左方向に速度R1で回転させる(ステップS53)。運転制御部16は、さらに、回転ドラム3の回転をT1秒間休止させる(ステップS54)。
運転制御部16は、スチーム供給工程が終了しているか否かを判断する(ステップS55)。スチーム供給工程が終了している場合(ステップS55:YES)には、一連の処理を終了する。スチーム供給工程が終了していない場合(ステップS55:NO)は、再び、回転パターン1により回転ドラムを回転させる。
洗濯乾燥運転の開始時(図6のステップS1)に測定された洗濯物の量が、「容量中」の場合(ステップS41:容量中)には、運転制御部16は、回転パターン2を設定する(ステップS61)。回転パターン2は、隙間形成動作の際に、速度R2の等速回転を行い、水分浸透動作の際にT2秒間回転を休止する動作を含む。速度R2は、速度R1よりも高速であり、時間T2は、時間T1よりも長い。
運転制御部16は、設定された回転パターン2に基づいて、ドラムモータ4を駆動させ、回転ドラム3を右方向に速度R2で回転させ(ステップS62)、その後に、回転ドラム3を左方向に速度R2で回転させる(ステップS63)。運転制御部16は、さらに、回転ドラム3の回転をT2秒間休止させる(ステップS64)。
運転制御部16は、スチーム供給工程が終了しているか否かを判断する(ステップS65)。スチーム供給工程が終了している場合(ステップS65:YES)には、一連の処理を終了する。スチーム供給工程が終了していない場合(ステップS65:NO)は、再び、回転パターン2により回転ドラムを回転させる。
洗濯乾燥運転の開始時(図6のステップS1)に測定された洗濯物の量が、「容量多」の場合(ステップS41:容量多)には、運転制御部16は、回転パターン3を設定する(ステップS71)。回転パターン3は、隙間形成動作の際に、速度R3で回転した後に、少しずつ減速して速度R4で回転する。速度R3は、速度R2よりも高速であり、速度R4は、速度R1よりも低速である。回転パターン3では、さらに、水分浸透動作の際にT3秒間回転を休止する動作を含む。時間T3は、時間T2よりも長い。
運転制御部16は、設定された回転パターン3に基づいて、ドラムモータ4を駆動させ、回転ドラム3を右方向に速度R3で回転させた後、少しずつ減速して速度R4にする(ステップS72)、その後に、回転ドラム3を左方向に速度R3で回転させた後、少しずつ減速して速度R4にする(ステップS73)。運転制御部16は、さらに、回転ドラム3の回転をT3秒間休止させる(ステップS74)。
運転制御部16は、スチーム供給工程が終了しているか否かを判断する(ステップS75)。スチーム供給工程が終了している場合(ステップS75:YES)には、一連の処理を終了する。スチーム供給工程が終了していない場合(ステップS75:NO)は、再び、回転パターン3により回転ドラムを回転させる。
スチーム供給工程(ステップS41からステップS75)が終了することにより、図6に戻り、一連の洗濯乾燥運転が終了する。
「容量少」の場合は、回転ドラム3が回転することにより、回転ドラム3の下に蓄積されている洗濯物が遠心力により回転ドラム3の内壁に貼り付くようにして持ち上げられた後、バッフル33により回転ドラム3の内周の頂上付近から舞い落ちるように落下する。これにより、洗濯物の間に隙間ができ、スチームが洗濯物の間に良く行き渡るので、水分が浸透し易い。換言すれば、回転ドラム3を休止させた状態でスチームを供給する場合に比して、スチームの当たり方に偏りが生じることが無いので、洗濯物が濡れてしまうことを防止することができる。
すなわち、洗濯物の量が「容量少」の場合には、回転ドラム3をできるだけ回転させておき、休止時間を短くすることにより、効率的に洗濯物に水分を浸透させることができる。
洗濯物の量が、「容量中」の場合は、「容量少」の場合に比して、洗濯物が持ち上げられにくいので、隙間の形成がなされ難い。そこで、回転パターン2は、回転ドラムの回転速度R2を回転パターン1の回転速度R1よりも若干高速にすることにより、遠心力を大きくし、洗濯物が持ち上げられ易くなるようにしている。さらに、回転を休止する時間T2を回転パターン1の休止時間T1よりも若干長くすることにより、回転パターン1により回転する際よりも多量の洗濯物に対して、十分に水分を浸透させることができる。
洗濯物の量が、「容量多」の場合は、隙間の形成が、上記2つのパターンよりも、さらになされ難い。そこで、回転パターン3では、先ず、回転ドラム3を、速度R3で高速回転させる。速度R3は、速度R2よりも高速である。速度R3で回転させることにより、洗濯物が回転ドラム3の内周に張り付くように配置される。次に、回転ドラム3の回転速度を、少しずつ減速し、速度R4で低速回転させる。速度R4は、速度R1よりも低速である。
この速度変化により、回転ドラム3の内周に張り付くように配置されていた洗濯物が、下方に落下し始める。この間、スチーム供給手段5がスチームを回転ドラム3の内部に供給し続けているため、スチームが回転ドラム内の洗濯物に満遍なく当たるようにすることができる。回転パターン3は、さらに、回転ドラム3の回転を休止する時間T3が、時間T2よりも長い。これにより、水槽2内にスチームを満たすことができるので、水槽2内に配置されている回転ドラム3に収容されている洗濯物全体を蒸らし、スチームを行き渡らせ、洗濯物に水分を浸透させることができる。
以上の実施の形態では、スチーム供給手段5は、水が熱せられてスチームが発生する際の気圧により、スチームが、スチーム吹出口56から回転ドラム3の内部に供給される。この構成では、スチームを回転ドラム3内に送り出すためのファンを必要としないため、静音でスチームの供給を実現することができる。さらに、回転ドラム3が洗濯物の量に基づく回転パターンにより回転するため、洗濯物の隙間形成と、スチームによる水分の浸透とを、好適に実現することができる。
また、以上の実施の形態では、洗濯物の量を「容量少」、「容量中」、「容量多」の3つに分けて、回転ドラム3の回転パターンを異ならせているが、全ての容量に対して、同一の回転パターンでもよい。すなわち、全ての容量に対して、回転パターン3により回転してもよく、又は、全ての容量に対して、回転パターン1又は回転パターン2により回転してもよい。
なお、以上の実施の形態では、洗濯乾燥機を例に説明したが、本発明の実施の形態は、洗濯機能を有していない乾燥機でもよい。
以上、発明を実施するための形態について説明を行ったが、本発明は、この発明を実施するための形態で述べた実施形態に限定されるものではない。本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能である。