本発明は、洗濯から乾燥までの各工程を実行可能な洗濯乾燥機に関するものである。
従来より、通常の洗濯乾燥機においては、使用者が予め、洗い工程,すすぎ工程,脱水工程,及び乾燥工程からなる標準的な洗濯コースを設定するか、或いは前記各工程の中で所望の工程を選択してなる洗濯コースを設定し、その設定後、運転を開始させる構成となっている。運転が開始されると、その洗濯乾燥機は、設定された洗濯コースの各工程を自動的に逐次実行させる。
このような洗濯乾燥機において、所望の洗濯コースを設定する設定手段の設定状態に基づき、使用者へ設定の誤りを報知する洗濯乾燥機が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。具体的には、例えば、ドラム式洗濯乾燥機において、使用者の誤操作によって、洗い工程又はすすぎ工程を含み、脱水工程を実行せずに乾燥工程を実行する洗濯コースが設定された場合や、標準的な洗濯コースを設定していても、誤操作によって運転中に脱水工程が設定解除された場合等について、それを判定する手段と設定の誤りを報知する異常報知手段とを備えた構成としている。
特許第2895938号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されているような従来の洗濯乾燥機では、設定の誤りを使用者に報知はするが、使用者にとってはどのように設定を誤っているのかが分かりにくく、不親切なものとなっている。また、設定の誤りを報知したときに、使用者がその場に居合わせていなかった場合には、運転が途中で中断された状態で放置されるので、不適切な乾燥運転が行なわれてしまう恐れもある。
さらに、設定を誤った場合だけでなく、使用者の誤使用によって、例えば水を含んだ衣類が槽内に投入され、乾燥工程のみを選択設定し実行するといった場合には、脱水されていないので有効な乾燥運転が行われず、不経済であってまた良好な仕上がりが得られないこととなる。また、通常使用状態で乾燥運転を行う場合にも、投入した洗濯物の容量や状態に適した乾燥運転内容となっているのか、また、それはどのようなものであるのかが、使用者には分かりにくいという問題があった。
本発明は、以上のような問題点に鑑み、いかなる状況において乾燥工程が実行されたとしても、常に効率良く、且つ、布はがれの良い乾燥運転を行うことができ、結果として良好な仕上がり状態を得ることが可能な洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、外槽と、その外槽内に弾性的に吊支された水槽と、その水槽内で回転可能に支持され洗濯物を収容する回転槽と、その回転槽内の洗濯物を乾燥させる乾燥装置とを備え、前記回転槽内にて洗い工程,すすぎ工程,脱水工程,及び乾燥工程の中から操作部により選択設定した工程を実行させる構成において、前記回転槽内の水位を検出する水位検出手段を設け、前記乾燥工程開始前の前記水位検出手段の検出結果により、前記乾燥工程の内容を決定するものであり、設定の誤りによって槽内の水位が高いままで乾燥工程が実行された場合や、多量の水を含んだ衣類が槽内に投入されて乾燥運転が実行された場合にも、途中で運転を中断することなく、効果的な脱水運転を実行させることで、効率良く乾燥運転を実行することができる。
また、前記回転槽内の水位が所定の水位以上である場合は、前記乾燥工程開始前に排水工程を追加するものであり、前述のような場合において、回転槽内の水を排出させることで、乾燥工程を効率良く実行することができる。
また、他の構成として、外槽と、その外槽内に弾性的に吊支された水槽と、その水槽内で回転可能に支持され洗濯物を収容する回転槽と、その回転槽内の洗濯物を乾燥させる乾燥装置とを備え、前記回転槽内にて洗い工程,すすぎ工程,脱水工程,及び乾燥工程の中から操作部により選択設定した工程を実行させる構成において、前記回転槽内に収容された洗濯物の容量を検出する容量検出手段を設け、その容量検出手段の検出結果により、前記乾燥工程の内容を決定するものであり、洗濯物の容量に応じて自動的に乾燥工程時間を長く設定したり、回転槽やパルセータの回転数を高く設定したりすることで、効率良く仕上がりの良い乾燥を行うことができる。また、脱水が十分でない少量の水を含んだ衣類が槽内へ投入されて乾燥運転が実行された場合には、脱水が十分な洗濯物のときよりも前記容量検出手段の検出結果が大きくなるため、水を含んだ衣類が投入されたと推定することができる。このような場合にも効率良く布はがれの良い効果的な乾燥運転を行うことができる。
また、前記容量検出手段により検出された前記洗濯物の容量に基づき、前記乾燥工程を選択設定するときの初期値を決定するものであり、運転の途中で使用者が乾燥運転内容を変更する場合に、洗濯物の容量に適した乾燥運転内容を最初に表示させることで、操作回数を減らすことができる。
また、前記容量検出手段の検出結果を表示する表示手段を設け、その表示手段は、検出された前記洗濯物の容量をこれに対応した色で表示するものであり、乾燥の定格容量に対する洗濯物の容量を色覚的に表示させることで、効果的に使用者に知らせることができる。
また、前記洗濯物の容量が所定の容量以上である場合と、その所定の容量より小さい他の所定の容量未満である場合は、前記表示手段は同色で表示するものであり、洗濯物が乾燥の定格容量を超えて入れられていると判定された場合、又は洗濯物が全く入れられていないと判定された場合には、表示手段の色を同色の警告色で表現させることで、警告を効果的に使用者に知らせることができる。
また、前記水位検出手段を設けた構成、又は前記容量検出手段を設けた構成において、前記乾燥工程が予備脱水工程と本乾燥工程とで構成されているものであり、初めに実行される予備脱水工程では回転槽を高回転で制御し、衣類に含まれた水分を十分に搾り出すことを重点におき、順次実行される本乾燥運転では回転槽とパルセータを低回転で制御し、布はがれの良い乾燥運転を行うことを重点におくことにより、結果として効率の良く布はがれの良い良好な仕上がり状態を得ることができる。
その他、外槽と、その外槽内に弾性的に吊支された水槽と、その水槽内で回転可能に支持され洗濯物を収容する回転槽と、その回転槽内の洗濯物を乾燥させる乾燥装置とを備え、前記回転槽内にて洗い工程,すすぎ工程,脱水工程,及び乾燥工程の中から操作部により選択設定した工程を実行させる構成において、前記回転槽内に金属イオンを溶出させるイオン溶出ユニットを設け、そのイオン溶出ユニットによりイオン溶出を実施するイオン溶出乾燥コースが設定されているか否かにより、前記乾燥工程の予備脱水内容を決定するものであり、イオン溶出乾燥コースを実行することによって乾燥運転中に衣類に水が供給される場合には、予備脱水時間を通常よりも長く設定したり、洗濯兼脱水槽の回転数を高く設定したりすることで、効率良く乾燥運転を行うことができる。
また、前記イオン溶出乾燥コースにおける前記乾燥工程時に、前記金属イオン、具体的には例えば銀イオンを含んだ水をミスト状にして前記洗濯物に注ぐようにしたものであり、これにより効果的にイオンコートすることができる。
また、外槽と、その外槽内に弾性的に吊支された水槽と、その水槽内で回転可能に支持され洗濯物を収容する回転槽と、その回転槽内の洗濯物を乾燥させる乾燥装置とを備え、前記回転槽内にて洗い工程,すすぎ工程,脱水工程,及び乾燥工程の中から操作部により選択設定した工程を実行させる構成において、前記乾燥工程開始直前に前記脱水工程が所定の時間以上実行されているか否かにより、前記乾燥工程の予備脱水内容を決定するものであり、乾燥工程開始前に十分な脱水がなされないまま乾燥工程が実行されたとしても、予備脱水時間を通常よりも長く設定することで、効率良く乾燥運転を行うことができる。
本発明の洗濯乾燥機は、いかなる状況において乾燥工程が実行されたとしても、常に効率良く、且つ、布はがれの良い乾燥運転を行うことができ、結果として良好な仕上がり状態を得ることが可能である。
具体的には、設定の誤りによって槽内の水位が高いままで乾燥工程が実行された場合や、多量の水を含んだ衣類が槽内に投入されて乾燥運転が実行された場合にも、途中で運転を中断することなく、効果的な脱水運転を実行させることで、効率良く乾燥運転を実行することができる。また、前述のような場合において、回転槽内の水を排出させることで、乾燥工程を効率良く実行することができる。
また、洗濯物の容量に応じて自動的に乾燥工程時間を長く設定したり、回転槽やパルセータの回転数を高く設定したりすることで、効率良く仕上がりの良い乾燥を行うことができる。また、脱水が十分でない少量の水を含んだ衣類が槽内へ投入されて乾燥運転が実行された場合にも効率良く布はがれの良い効果的な乾燥運転を行うことができる。
また、運転の途中で使用者が乾燥運転内容を変更する場合に、洗濯物の容量に適した乾燥運転内容を最初に表示させることで、操作回数を減らすことができる。また、乾燥の定格容量に対する洗濯物の容量を色覚的に表示させることで、効果的に使用者に知らせることができる。
また、洗濯物が乾燥の定格容量を超えて入れられていると判定された場合、又は洗濯物が全く入れられていないと判定された場合には、表示手段の色を同色の警告色で表現させることで、警告を効果的に使用者に知らせることができる。
また、前記乾燥工程において、初めに実行される予備脱水工程では回転槽を高回転で制御し、順次実行される本乾燥運転では回転槽とパルセータを低回転で制御することにより、結果として効率の良く布はがれの良い良好な仕上がり状態を得ることができる。
その他、イオン溶出乾燥コースを実行することによって乾燥運転中に衣類に水が供給される場合には、予備脱水時間を通常よりも長く設定したり、洗濯兼脱水槽の回転数を高く設定したりすることで、効率良く乾燥運転を行うことができる。
また、乾燥工程時に金属イオンを含んだ水をミスト状にして洗濯物に注ぐことにより、効果的にイオンコートすることができる。
また、乾燥工程開始前に十分な脱水がなされないまま乾燥工程が実行されたとしても、予備脱水時間を通常よりも長く設定することで、効率良く乾燥運転を行うことができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る洗濯乾燥機の構成を概略的に例示する図である。同図において、9は上方に開口する有底筒状の水槽であり、8は水槽9内部に同軸で配置され同じく上方に開口する有底筒状の洗濯兼脱水槽である。水槽9は、バネ2により外槽1の内側面から弾性的に吊り下げられている。
洗濯兼脱水槽8の上部周壁には、円周上に脱水のため及び乾燥用の温風を排気するための小孔8aが開けられている。なお、このような、洗濯兼脱水槽8の上部周壁に小孔8aが開けられた構成に限定されるものではない。例えば小孔を設けず洗濯兼脱水槽8の上部周縁部にて脱水及び温風排気を行う構成としても良いし、従来のように洗濯兼脱水槽8の周壁の広範囲に渡って小孔が開けられた構成としても良い。要するに孔の有無や大きさ,個数、或いは配置場所や範囲等については限定されない。また、洗濯兼脱水槽8及びその底部に設けられた撹拌用のパルセータ7は、水槽9の下方に配置された機構部19に回転可能に軸着され、更にパルセータ7は駆動用のモータMに連結している。そして、これらの運転は外槽1の上部前方(図の左上部)内部に配置された制御回路13によりコントロールされる。
また、この洗濯乾燥機には、洗濯兼脱水槽8内に収容される洗濯物の容量を検出するための、容量検出手段が設けられている(不図示)。この容量検出手段は、洗濯物の容量を検出できる手段として、洗濯乾燥機において公知の手段によって構成することができる。このような容量検出手段としては、例えばパルセータ7駆動時における負荷によって容量を判定するものを設けることができる。そして、この洗濯乾燥機では、運転を開始する前に、洗濯兼脱水槽8内に洗濯物を収容した状態で、容量検出手段によってその洗濯物の容量が検出されるようになっている。
洗濯兼脱水槽8には、外槽1上部後方(図の右上部)内部に配置された給水弁3を通して、水道水が給水される。給水弁3は、洗濯兼脱水槽8内に給水する場合には開くように駆動され、給水を停止する場合には閉じるように駆動される。また、水槽9後方には、管状で起立する水位センサー12が設けられている。これにより、洗濯兼脱水槽8内への上記給水に伴う水位を計測する。この場合、洗濯兼脱水槽8内の水が破線の矢印の如く水位センサー12に導入される。
また、後述するイオン溶出ユニット5は、図示しない水道栓から洗剤溶解ボックス6までの給水経路に設置するのが好ましい。そこで、本実施形態では、洗濯兼脱水槽8上部に配置された洗剤溶解ボックス6と、給水弁3との間に、そのイオン溶出ユニット5を設けている。さらに、この洗濯乾燥機は、外槽1上部に、洗濯物を出し入れするための、開閉可能な蓋4を有する。
図2は、本発明の洗濯乾燥機における乾燥ユニットの構成を概略的に例示する図である。乾燥ユニットは、同図に示すように、外槽1上部後方内部に配置されたヒータ16,送風用のファン17,及び温風ダクト18により構成されている。ここではヒータ16及びファン17による温風が、温風ダクト18を通って洗濯兼脱水槽8に供給される。
図3は、本発明の洗濯乾燥機における制御回路13のブロック図である。同図において、20はマイクロコンピュータ(以下、マイコンと略す)であり、ここには中央処理装置(CPU)23と、読み出し専用メモリ(ROM)21と、データ書き込みメモリ(RAM)22を備えている。読み出し専用メモリ21には、洗濯機の動作を制御するための手順が記述された運転プログラムが記憶されている。
さらに、この読み出し専用メモリ21には、乾燥工程開始前の洗濯兼脱水槽8内の水位に対して設定される乾燥工程内容のデータテーブルや、洗濯物の容量に対して設定される乾燥工程内容のデータテーブル、更には設定された内容に対して設定される乾燥工程内容のデータテーブル等が記憶されている。また、中央処理装置(CPU)23には、タイマ24が接続されている。
その他、中央処理装置23、読み出し専用メモリ21、及びデータ書き込みメモリ22には、I/Oポート25を介して、以下に示す各種回路が接続されている。入力回路26は、各入力スイッチからの信号をマイコン20に送信する。検知回路27は、水位センサ,蓋スイッチ等からの信号をマイコン20に送信する。表示回路28は、マイコン20からの表示信号に基づき各表示LEDで表示を行う。駆動回路29は、マイコン20からの駆動信号に基づき、給水弁,排水弁,モータ等を駆動する。
図4は、イオン溶出ユニットを水平面で切断したときの断面図である。なお、同図の矢印はこのイオン溶出ユニットに出入りする水流を表している。この例では、イオン溶出ユニット5は、電極A及びこれに接続される端子部aと、電極B及びこれに接続される端子部bとを有する。例えば、洗濯のすすぎ工程における給水中に、イオン溶出ユニット5の端子部aと端子部bとの間に電圧を印加すると、陽極から銀イオン(Ag+)などの金属陽イオンが溶出し、殺菌効果および防カビ効果を奏する。電極と端子部とは一体としても良いが、一体としない場合には、電触を防ぐために、電極と端子部との接合部と端子部は、水に接触しないように樹脂でコートしておくのが好ましい。
図1,図2に戻って、本発明の洗濯乾燥機を使用する際には、周知のように蓋4を開放して、外槽1上部に設けた投入口1aより、図示しない洗濯物を内部の洗濯兼脱水槽8内に投入する。そして、外槽1の上面前方(図の左上部)に配置された操作パネル15上の、スイッチキーやスタートキー等の入力スイッチ14を操作し、運転をスタートさせる。制御回路13は、これら操作入力に基づき、予め記憶された制御プログラム等に従って運転を開始する。
洗い工程においては、まず、パルセータ7を回転させることにより洗濯物の容量を測り、それに対応した設定水位まで給水を行う。給水が完了すると、駆動用のモータMが通電起動され、パルセータ7の回転動作により洗い工程が実行される。その所定時間後、すすぎ工程に移行し、洗い動作と同様にして例えば2回のすすぎが行われる。続いて脱水工程に移行し、機構部19を介して洗濯兼脱水槽8がパルセータ7を伴い、例えば回転速度900rpmで一体的に高速回転される。これにより、洗濯物が遠心脱水される。この遠心抽出された水は、小孔8aを通って水槽9側に放出された後、水槽9底部の排水口11から開放状態の排水弁10を経て機外に排出される。
このような、洗いから脱水までの一貫した洗濯運転が終了すると、乾燥運転に移行する。乾燥運転は、例えば予備脱水工程と本乾燥工程とで構成される乾燥工程を備え、予備脱水工程では、前記脱水工程のように、機構部19を介して洗濯兼脱水槽8がパルセータ7を伴い、例えば回転速度600rpmで一体的に高速回転される。これにより、洗濯物が遠心脱水される。
本乾燥工程では、洗濯兼脱水槽8がパルセータ7を伴い、洗い工程時より低速度の、例えば回転速度100rpmで低速回転制御されるとともに、送風用ファン17及びヒータ16が通電駆動されることに伴い温風が生成され、温風ダクト18から洗濯兼脱水槽8内に向けて吐出供給される。所定の運転を終えると、駆動用のモータMが停止して、パルセータ7の回転動作が停止するとともに、送風用ファン17やヒータ16への通電も断たれて機能を停止し、図示しない報知ブザーにより終了報知する。以下に、上記構成の洗濯乾燥機の制御内容について、実施例に沿って説明する。
図5において、乾燥運転がスタートされると、まずステップS1で、水位検出手段からの検出結果がリセット水位以上であるか否かを判定する。リセット水位以上であると判定されれば、ステップS2に移行し、乾燥工程開始前に排水工程の追加設定をする。次に、ステップS3で、例えば予備脱水工程の時間を8分、洗濯兼脱水槽8の回転数を900rpmに設定し、また順次実行する本乾燥工程の時間を4時間、洗濯兼脱水槽8の回転数を200rpmに設定する。最後に、各負荷動作をスタートする。
一方、ステップS1で、リセット水位未満であると判定されれば、ステップS4に移行し、例えば予備脱水工程の時間を3分、洗濯兼脱水槽の回転数を600rpmに設定し、また順次実行する本乾燥工程の時間を2時間、洗濯兼脱水槽8の回転数を150rpmに設定する。最後に、各負荷動作をスタートする。
本実施例において、前記乾燥運転のスタートは、乾燥運転のみが設定されてスタートする場合と、洗い〜脱水までの少なくとも1つの工程が実行され、洗濯運転終了後に続けて乾燥運転がスタートする場合との、いずれの場合であっても良い。また、乾燥運転の実行時間が使用者によって予め設定されている場合は、設定された時間だけ本乾燥工程を行うようにしても良い。
図6において、運転がスタートされると、まずステップS5で、容量検出手段からの検出結果が例えば4kgの容量以上であるか否かを判定する。4kgの容量以上と判定されれば、ステップS6に移行し、例えば予備脱水工程の時間を8分、洗濯兼脱水槽の回転数を900rpmに設定し、また順次実行する本乾燥工程の時間を4時間、洗濯兼脱水槽8の回転数を200rpmに設定する。最後に、各負荷動作をスタートする。
一方、ステップS5で、4kgの容量未満であると判定されれば、ステップS7に移行し、3kgの容量以上であるか否かを判定する。3kgの容量以上と判定されれば、ステップS8に移行し、例えば予備脱水工程の時間を4分、洗濯兼脱水槽の回転数を800rpmに設定し、また順次実行する本乾燥工程の時間を3時間、洗濯兼脱水槽8の回転数を160rpmに設定する。最後に、各負荷動作をスタートする。
一方、ステップS7で、3kgの容量未満であると判定されれば、ステップS9に移行し、1kgの容量以上であるか否かを判定する。1kgの容量以上と判定されれば、ステップS10に移行し、例えば予備脱水工程の時間を3分、洗濯兼脱水槽の回転数を700rpmに設定し、また順次実行する本乾燥工程の時間を2時間、洗濯兼脱水槽8の回転数を140rpmに設定する。最後に、各負荷動作をスタートする。
一方、ステップS9で、1kgの容量未満であると判定されれば、ステップS11に移行し、例えば予備脱水工程の時間を2分、洗濯兼脱水槽の回転数を600rpmに設定し、また順次実行する本乾燥工程の時間を1時間、洗濯兼脱水槽8の回転数を100rpmに設定する。最後に、各負荷動作をスタートする。本実施例では、前述のように、容量検出手段の検出結果に応じて、適切な実行時間と回転数のテーブルを持たせるようにする。
また、前記容量検出は、乾燥工程開始前のいずれかの状態において行うようにして、例えば洗濯運転開始時に行うようにしても、乾燥運転開始時に行うようにしても良い。或いは、乾燥運転開始時に、ステップS1でリセット水位未満であると判定された場合にステップS5へ移行するようにしても良い。また、乾燥運転の実行時間が使用者によって予め設定されている場合は、設定された時間だけ本乾燥工程を行うようにしても良い。
図7は、表示手段の例を模式的に示す図である。なお、ここでの表示手段は、例えば操作パネル15上に配設される。本実施例で、例えば、乾燥運転の定格容量が4kg、最大乾燥運転時間が4時間である洗濯乾燥機において、使用者が運転実行時間を特に設定せずに、いわゆる自動設定運転にて、洗い〜乾燥までの運転をスタートさせたとする。このとき、スタート後の前記容量検出手段の検出結果により、例えば洗濯物の容量が「3kg」と判定された場合には、この容量に適した乾燥運転時間である例えば「3時間」がデータ書き込みメモリ22に書き込まれ実行されることになり、このときの表示は図7(a)に示すように、一連のLED31のうち、「自動」LEDを点灯させる。
この自動設定がなされた後に、乾燥運転の実行時間を変更することが生じて、使用者が乾燥スイッチ30を押した場合には、図7(b)に示すように、洗濯物の容量に適した乾燥運転時間である「3時間」を最初に表示させるようにする。このように表示設定させることで、使用者の操作回数を減らす効果が期待できる。また、洗い〜脱水の一連の運転がスタートされ、運転スタート後に使用者が途中で乾燥運転を追加したい場合にも、洗濯物の容量に適した乾燥運転時間を最初に表示設定させるようにすることで、使用者の操作回数を減らす効果が期待できる。
容量検出手段の検出結果を表示する表示手段としては、図7(c)に示すように、例えば赤色と緑色の2つのLED32a,32bを用いて1つの表示内容とし、各々の点灯周期を変えることにより、様々な色を表現させる。本実施例では、図8において、ステップS20での容量検出手段からの検出結果が、4kgの容量以上である場合は、ステップS21に移行し、図7(d)に示すように、赤色のLED32aを100%デューティで点灯させ、緑色のLED32bを消灯することにより、赤色で表現する。4kgの容量未満である場合はステップS22に移行する。
ステップS22において、容量検出手段からの検出結果が、3kgの容量以上である場合は、ステップS23に移行し、赤色のLED32aを50%デューティで点灯させ、緑色のLED32bを50%デューティで点灯させることにより、赤と緑の中間色である橙色で表現する。3kgの容量未満である場合はステップS24に移行する。
ステップS24において、容量検出手段からの検出結果が、100gの容量以上、例えば1kgである場合は、ステップS25に移行し、洗濯物の容量は定格負荷に対して十分な乾燥運転が可能であるため、赤色のLED32aを消灯させ、緑色のLED32bを100%デューティで点灯させることにより、緑色で表現する。このように、前記LEDの各々の点灯周期を変えることにより、洗濯物の容量に応じて段階的な色で表現させるようにする。容量が大きくなるにつれて、波長の長い赤色に近づけて表現させるのが望ましい。また、前述のLEDには、2色発光タイプのものを用いても良い。
図8において、運転がスタートされ、ステップS20での容量検出手段からの検出結果が、例えば4kgの容量以上である場合は、ステップS21に移行し、赤色のLED32aを100%デューティで点灯させ、緑色のLED32bを消灯することにより、赤色で表現する。また、ステップS24で100gの容量未満である(言い替えれば洗濯物が投入されていない)と判定された場合は、ステップS26に移行し、このときにも赤色のLED32aを100%デューティで点灯させ、緑色のLED32bを消灯することにより、赤色で表現する。このように、本実施例では、洗濯物の容量が定格を超えていると判定された場合と、洗濯物が投入されていないと判定された場合には、十分な乾燥運転を保証できなかったり、洗濯乾燥機を傷めてしまったりする恐れがあるため、どちらについても同色の警告色、例えば赤色で表現する。
図9において、乾燥運転がスタートすると、ステップS40で初めに予備脱水工程を所定の時間実行させる。この予備脱水工程終了後、ステップS41,S42,及びS43で本乾燥工程を所定の時間実行させる。具体的には、ステップS41でほぐし工程を行い、続いてステップS42で乾燥を行い、最後にステップS43で本乾燥工程を所定の回数繰り返したか否かを判定する。所定の回数繰り返したなら運転を終了する。一方、未だ所定の回数繰り返していなければステップS41に戻る。
図10において、乾燥運転がスタートすると、ステップS30で、マイコン20によりイオン溶出を実施するイオン溶出乾燥コースが設定されているか否かを判定する。イオン溶出乾燥コースが設定されていると判定されれば、ステップS31に移行し、例えば予備脱水工程の時間を8分、洗濯兼脱水槽8の回転数を900rpmに設定する。最後に、各負荷動作をスタートする。
一方、ステップS30でイオン溶出を実施しない通常乾燥コースが設定されていると判定されれば、ステップS32に移行し、例えば予備脱水工程の時間を3分、洗濯兼脱水槽の回転数を600rpmに設定する。最後に、各負荷動作をスタートする。本実施例において、前記乾燥運転のスタートは、乾燥運転のみが設定されてスタートする場合と、洗い〜脱水までの少なくとも1つの工程が実行され、洗濯運転終了後に続けて乾燥運転がスタートする場合との、いずれの場合であっても良い。
ここで、イオン溶出乾燥コースとは、乾燥工程の初期段階で上述したイオン溶出ユニット5を作動させつつ給水弁3を開くことにより、イオンを含んだ水を短時間(数秒間)だけ洗濯兼脱水槽8中の衣類(洗濯物)に注ぎ、衣類をイオンコートし、その後、本来の乾燥工程を行うコースである。このときに給水される水をミスト状とすれば、効果的にイオンコートすることができる。なお、イオンコートされた衣類においては雑菌の発生が防止される。
特に、本例におけるイオン溶出乾燥コースは、銀イオンによるすすぎ→脱水→銀イオンによる乾燥、を行うものであり、従来より行われていた、銀イオンによるすすぎ→脱水→乾燥、といったコースよりもイオン溶出時間が長いため、衣類が確実にイオンコートされるので、イオンコートの効果がより期待できる。また、乾燥運転のみでイオンコートも行いたいという使用者の要望にも応えることができる。しかしながら、乾燥工程中にイオンに伴う水が衣類に供給されてしまうと、当然乾燥効率が低下してしまうため、通常の乾燥工程よりもモータMの回転数を高くすることで、この問題を解決している。
なお、乾燥工程の初期段階で銀イオンを添加する理由は、乾燥工程の初期段階では通常、衣類は水を含んでおり、或る程度乾燥した衣類に銀イオンを添加する場合と比較して、よりイオンの浸透性があるため、衣類が確実にイオンコートされるので、イオンコートの効果がより期待できるからである。また、たとえ乾燥工程の初期段階と後半とで衣類の含水率が同じであったとしても、一度衣類に銀イオンがコーティングされると、なかなか取れにくい性質があるため、乾燥工程の初期段階と後半とで銀イオンを添加する上での効果の違いはあまり生じない。さらに、乾燥工程の後半で銀イオンを添加してしまうと、同時に水も添加されるため、乾燥効率が低下してしまう問題もある。これらの理由から、乾燥工程の初期段階で銀イオンを添加するものである。
図11において、乾燥運転がスタートすると、ステップS33で、マイコン20により例えば直前に脱水工程が2分以上実行されていたか否かを判定する。実行されていないと判定されれば、ステップS34に移行し、例えば予備脱水工程の時間を8分、洗濯兼脱水槽8の回転数を900rpmに設定する。最後に、各負荷動作をスタートさせる。
一方、ステップS33で直前に脱水工程が2分以上実行されていたと判定されれば、ステップS35に移行し、例えば予備脱水工程の時間を3分、洗濯兼脱水槽の回転数を600rpmに設定する。最後に、各負荷動作をスタートさせる。本実施例において、前記乾燥運転のスタートは、乾燥運転のみが設定されてスタートする場合と、洗い〜脱水までの少なくとも1つの工程が実行され、洗濯運転終了後に続けて乾燥運転がスタートする場合との、いずれの場合であっても良い。
本実施形態では、運転開始時に検出した水位や容量のデータによって、乾燥工程の実行時間や洗濯兼脱水槽8の回転数を決定することを中心に記述しているが、これに限定されるものではなく、例えば洗濯兼脱水槽8の回転起動方法についても決定するようにして良い。また、図9のステップS41のように、布はがれを良くするために洗濯兼脱水槽8を停止させ、パルセータ7を単独で回転させるほぐし工程の制御内容についても決定して良い。
なお、上述した乾燥運転の予備脱水工程は必ずしも実行されなくても良い。また、特許請求の範囲で言う回転槽は、実施形態における洗濯兼脱水槽に対応しており、乾燥装置はヒータ,送風用のファン,及び温風ダクトの組み合わせに対応しており、乾燥工程を選択設定するときの初期値は、ここでの予備脱水工程や本乾燥工程の時間、並びに洗濯兼脱水槽の回転数に対応している。そして、操作部は操作パネルや入力スイッチに、水位検出手段は水位センサーにそれぞれ対応している。さらに、排水工程とは、水槽中の水を底部の排水口から開放状態の排水弁を経て機外に排出する工程であり、実施例1において設定されるものである。
本発明の一実施形態に係る洗濯乾燥機の構成を概略的に例示する図。
本発明の洗濯乾燥機における乾燥ユニットの構成を概略的に例示する図。
本発明の洗濯乾燥機における制御回路のブロック図。
イオン溶出ユニットを水平面で切断したときの断面図。
乾燥運転設定制御の一例を示すフローチャート。
乾燥運転設定制御の他例を示すフローチャート。
表示手段の例を模式的に示す図。
容量検出に対する表示制御を例示するフローチャート。
乾燥運転制御を例示するフローチャート。
イオン溶出乾燥の有無による乾燥運転設定制御を例示するフローチャート。
直前の脱水運転の有無による乾燥運転設定制御を例示するフローチャート。
符号の説明
1 外槽
2 バネ
3 給水弁
4 蓋
5 イオン溶出ユニット
6 洗剤溶解ボックス
7 パルセータ
8 洗濯兼脱水槽
9 水槽
10 排水弁
11 排水口
12 水位センサー
13 制御回路
14 入力スイッチ
15 操作パネル
16 ヒータ
17 送風用のファン
18 温風ダクト
19 機構部
20 マイクロコンピュータ
21 読み出し専用メモリ
22 データ書き込みメモリ
23 中央処理装置
24 タイマ
25 I/Oポート
26 入力回路
27 検知回路
28 表示回路
29 駆動回路
31 LED
30 乾燥スイッチ
32a 赤色のLED
32b 緑色のLED
M モータ
A,B 電極
a,b 端子部