JP5636869B2 - 感放射線性組成物、硬化膜、及びそれらの形成方法 - Google Patents
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[A]ラジカル反応性官能基を有するシロキサンポリマー(以下、「[A]シロキサンポリマー」ともいう)、及び
[B]下記式(1)で表される光重合開始剤(以下、「[B]光重合開始剤」ともいう)
を含有する感放射線性組成物である。
R2及びR3は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数3〜10のシクロアルキル基である。
R4は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン、2−フリル基、2−フルフリル基、2−チエニル基又は2−テニル基である。
R5は、スルホ基、又はSO2R6、P(R7)2、PO(R8)2若しくはSi(R9)3で表される基である。
R6は、水素原子、メチル基、炭素数2〜12のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。上記炭素数2〜12のアルキル基の水素原子の一部又は全部は、カルボキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、炭素数1〜6のアシロキシ基、ベンゾイルオキシ基及び炭素数1〜20のアシル基からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい。上記フェニル基又はナフチル基の水素原子の一部又は全部は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲンで置換されていてもよい。
R7、R8及びR9は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基又はナフチル基であり、このフェニル基又はナフチル基の水素原子の一部又は全部は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲンで置換されていてもよい。)
(1)当該感放射線性組成物を基板上に塗布して塗膜を形成する工程、
(2)上記塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
(3)上記塗膜を現像する工程、及び
(4)上記塗膜を加熱する工程
を含む。
[A]シロキサンポリマーは、シロキサン結合を有する化合物のポリマーの主鎖又は側鎖にラジカル反応性官能基を有するものであれば、特に限定されるものではない。[A]シロキサンポリマーは、ラジカル反応性官能基を有しているので、ラジカル重合により硬化させることができ、硬化収縮を最小限に抑えることが可能である。後述する[B]光重合開始剤は、放射線照射によりラジカルを生じ、そのラジカルによって[A]シロキサンポリマーのラジカル重合が誘発される。
p=1の場合、
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、o−スチリルトリメトキシシラン、o−スチリルトリエトキシシラン、m−スチリルトリメトキシシラン、m−スチリルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、メタクリロキシトリメトキシシラン、メタクリロキシトリエトキシシラン、メタクリロキシトリプロポキシシラン、アクリロキシトリメトキシシラン、アクリロキシトリエトキシシラン、アクリロキシトリプロポキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリプロポキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、2−アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−アクリロキシエチルトリエトキシシラン、2−アクリロキシエチルトリプロポキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリプロポキシシラン等のトリアルコキシシラン化合物;
p=2の場合、
ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルフェニルジメトキシシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン化合物;
p=3の場合、
アリルジメチルメトキシシラン、アリルジメチルエトキシシラン、ジビニルメチルメトキシシラン、ジビニルメチルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジフェニルメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジフェニルメトキシシラン、3,3’−ジメタクリロキシプロピルジメトキシシラン、3,3’−ジアクリロキシプロピルジメトキシシラン、3,3’,3’’−トリメタクリロキシプロピルメトキシシラン、3,3’,3’’−トリアクリロキシプロピルメトキシシラン等のモノアルコキシシラン化合物が挙げられる。
q=0の場合、
4個の加水分解性基で置換されたシラン化合物として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン等;
q=1の場合、
1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物として、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−i−プロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−i−プロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、アミノトリメトキシシラン、アミノトリエトキシシラン、2−(3,4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシ、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアノプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアノプロピルトリエトキシシラン等;
q=2の場合、
2個の非加水分解性基と2個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物として、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン等;
q=3の場合、
3個の非加水分解性基と1個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物として、トリメチルメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリブチルメトキシシラン、トリ(3−メタクリロキシプロピル)メトキシシラン、トリ(3−アクリロキシプロピル)メトキシシラン等をそれぞれ挙げることができる。
[B]光重合開始剤は上記式(1)で表される化合物である。当該感放射線性組成物は上記式(1)で表される[B]光重合開始剤を含有するので、高い放射線感度を有する。そのため当該感放射線性組成物を用いると、露光量が小さくても正確なパターン及び十分な表面硬度を有する硬化膜を得ることができる。さらに[B]光重合開始剤は、可視光領域における吸収が少なく透明性に優れているので、当該感放射線性組成物から形成される硬化膜は高い透明性を有する。また[B]光重合開始剤が上記式(1)で表される構造を有することから、昇華性が低いため、昇華による設備やフォトマスクの汚染を効果的に抑制することが可能となる。さらに[B]光重合開始剤は末端に嵩高い脂環式炭化水素基を有することから、結晶性が低く、当該感放射線性組成物への高い溶解性を可能にする。
R2及びR3は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数3〜10のシクロアルキル基である。
R4は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン、2−フリル基、2−フルフリル基、2−チエニル基又は2−テニル基である。
R5は、スルホ基、又はSO2R6、P(R7)2、PO(R8)2若しくはSi(R9)3で表される基である。
R6は、水素原子、メチル基、炭素数2〜12のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。上記炭素数2〜12のアルキル基の水素原子の一部又は全部は、カルボキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、炭素数1〜6のアシロキシ基、ベンゾイルオキシ基及び炭素数1〜20のアシル基からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい。上記フェニル基又はナフチル基の水素原子の一部又は全部は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲンで置換されていてもよい。
R7、R8及びR9は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基又はナフチル基であり、このフェニル基又はナフチル基の水素原子の一部又は全部は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲンで置換されていてもよい。
本発明の新規化合物の合成方法としては特に限定されず、公知の技術を組み合わせて合成することができる。上記式(4)で表される化合物の合成方法として、代表的に、以下の手順が挙げられる。塩基条件下、カルバゾールとハロフェニルアルキルケトンとを反応させて3級アミン体とし、これとハロ・アルキル置換塩化ベンゾイルとを反応させてジケトン体とする。ジケトン体とアセチルクロリドとを反応させてトリケトン体とし、さらにメルカプトエタノールを反応させてフェニル基上のハロゲンを置換する。次いで、次亜塩素酸ナトリウムで硫黄原子を酸化し、ヒドロキシルアミンにてアルキルケトン部分のみを選択的にオキシム化して、最後に塩基条件下、無水酢酸でヒドロキシル基をアセチル化することで目的の化合物を得ることができる。式(5)〜(9)の化合物も上記手順に準じて、又は上記手順の一部を変更して合成することができる。
2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メトキシベンゾチアゾール等の芳香族チオール化合物;
3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸メチル等の脂肪族モノチオール化合物;
ペンタエリストールテトラ(メルカプトアセテート)、ペンタエリストールテトラ(3−メルカプトプロピオネート)等の2官能以上の脂肪族チオール化合物を挙げることができる。これらのチオール化合物の中でも、2−メルカプトベンゾチアゾールが特に好ましい。
当該感放射性組成物の好適成分である[C]エチレン性不飽和化合物は、[B]光重合開始剤等の存在下において放射線を照射することにより重合する不飽和化合物である。このような重合性不飽和単量体としては、重合性が良好であり、得られる硬化膜の強度が向上するという観点から、単官能、2官能又は3官能以上の(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。当該感放射線性組成物がこれらの化合物を含有することにより、透明性と表面硬度が高度にバランスされた硬化膜を形成することができる。
[D]酸発生剤又は塩基発生剤は、放射線を照射することにより、酸性活性物質又は塩基性活性物質を放出することができる化合物と定義される。[A]シロキサンポリマーは[D]酸発生剤又は塩基発生剤の触媒作用により硬化し、耐熱性、密着性等に優れ、高い表面硬度を有する硬化膜が得られる。
当該感放射線性組成物は、上述のように[A]シロキサンポリマー及び[B]光重合開始剤に加え、好適な成分として[C]エチレン性不飽和化合物、又は[D]酸発生剤又は塩基発生剤を含有することができる。さらに、本発明の所期の効果を損なわない範囲で、その他の任意成分([E]その他のシラン化合物、[F]有機粒子・無機粒子、[G]多官能エポキシ化合物[H]界面活性剤、[I]接着助剤、又は[J]保存安定剤)を含有していてもよい。
当該感放射線性組成物は、[E]その他のシラン化合物として、下記式(4)及び(6)でそれぞれ表される化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種のシラン化合物を含有することができる。[E]その他のシラン化合物をさらに含有することにより、得られる硬化膜のITO透明導電膜に対する密着性及び耐クラック性が向上する。[E]その他のシラン化合物は、当該成分を含む感放射線性組成物に放射線を照射することにより、[D]感放射線性酸発生剤又は感放射線性塩基から発生した酸(酸性活性種)又は塩基(塩基活性種)を触媒として、[A]シロキサンポリマーと共に縮合し、硬化物を形成する。
当該感放射線性組成物は、有機粒子及び/又は無機粒子を含有してもよい(以下、[F]成分とも言う)。有機粒子及び/又は無機粒子をさらに含有することにより、耐擦傷性、クラック耐性等を高めることができる。有機粒子又は無機粒子の平均粒径は、0.005〜0.1μmの範囲が好ましい。有機粒子及び無機微粒子は、粉体状のものを直接、他の成分に添加・混合してもよいし、溶媒分散液としたものを他の成分に添加・混合して溶媒を留去してもよい。
[G]多官能エポキシ化合物は、重合反応性を高め、感放射線性組成物から形成される硬化膜の表面硬度をより向上させるために、感放射線性組成物に添加することができる。多官能エポキシ化合物としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するカチオン重合性化合物が用いられる。
[H]成分の界面活性剤は、当該感放射線性組成物の塗布性の改善、塗布ムラの低減、放射線照射部の現像性を改良するために添加することができる。好ましい界面活性剤の例としては、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤が挙げられる。
接着助剤は、得られる層間絶縁膜、スペーサー又は硬化膜の硬化膜の基板との接着性をさらに向上させるために使用できる。このような接着助剤としては、カルボキシル基、、メタクリロイル基、ビニル基、イソシアネート基、オキシラル基等の反応性官能基を有する官能性シランカップリング剤が好ましく、例えばトリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
保存安定剤としては、例えば硫黄、キノン類、ヒドロキノン類、ポリオキシ化合物、アミン、ニトロニトロソ化合物等が挙げられ、より具体的には、4−メトキシフェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアルミニウム等が挙げられる。保存安定剤の使用量としては、[A]シロキサンポリマー100質量部に対して3.0質量部以下が好ましく、1.0質量部以下がより好ましい。保存安定剤の配合量が3.0質量部を超えると、当該感放射線性組成物の感度が低下してパターン形状が劣化する場合がある。
当該感放射線性組成物は、上記の[A]シロキサンポリマー及び[B]光重合開始剤、好適成分である[C]エチレン性不飽和化合物、[D]酸発生剤又は塩基発生剤、上記その他任意的に添加される成分等を均一に混合することによって調製される。通常、当該感放射線性組成物は、好ましくは適当な溶媒に溶解又は分散させた状態に調製され使用される。例えば溶媒中で、[A]シロキサンポリマー、[B]光重合開始剤、[C]エチレン性不飽和化合物、及び[D]酸発生剤又は塩基発生剤、及びその他の任意成分を所定の割合で混合することにより、溶液又は分散液状態の感放射線性組成物を調製することができる。
アルコール系溶媒としては、1−ヘキサノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−ドデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール等の長鎖アルキルアルコール類;、
ベンジルアルコール等の芳香族アルコール類;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル類;
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;等を挙げることができる。これらのアルコール系溶媒は、単独若しくは、2種以上併用して使用することができる。
これらアルコール系溶媒のうち、特に塗工性向上の観点から、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。
ジエチレングリコールアルキルエーテル類として、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等;
エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類として、例えばメチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等;
プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類として、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等;
プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート類として、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート等;
ケトン類として、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジプロピルケトン等;
エステル類として、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロピル、3−ヒドロキシプロピオン酸ブチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸プロピル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸プロピル、エトキシ酢酸ブチル、プロポキシ酢酸メチル、プロポキシ酢酸エチル、プロポキシ酢酸プロピル、プロポキシ酢酸ブチル、ブトキシ酢酸メチル、ブトキシ酢酸エチル、ブトキシ酢酸プロピル、ブトキシ酢酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル等をそれぞれ挙げることができる。これらの溶媒は、単独で又は混合して用いることができる。
当該感放射線性組成物から形成された硬化膜は、後述の実施例からも明らかなように、高い表面硬度及び優れた透明性を有する。このような硬化膜は、高い表面硬度や透明性を要する技術用途に好適に用いることができる。例えば液晶デバイス、半導体デバイス、その他表示素子等の保護膜、絶縁膜及びパターン形成用材料として好適に用いることができる。
当該感放射線性組成物から形成される硬化膜は、後述の実施例からも明らかなように、高い表面硬度及び優れた透明性を有する。このような硬化膜は、高い表面硬度や透明性を要する技術用途に好適に用いることができ、例えば液晶デバイスや半導体デバイスの保護膜、層間絶縁膜及びその他のパターン形成用材料として好適に用いることができる。さらにはタッチパネル内部の硬化膜としても好適に用いることができる。本発明において硬化膜とは、当該感放射線性組成物を用いて形成される熱硬化物の総称であり、表示素子用の保護膜及び層間絶縁膜、さらにはタッチパネル用の保護膜も含む。
(1)本発明の感放射線性組成物の被膜を基板上に形成する工程、
(2)工程(1)で形成した被膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
(3)工程(2)で放射線を照射された被膜を現像する工程、及び
(4)工程(3)で現像された被膜を加熱する工程。
[(1)当該感放射線性組成物の被膜を基板上に形成する工程]
ここで用いられる基板としては特に限定されず、透明基板や金属基板等が挙げられる。この透明基板としては、例えばガラス基板、樹脂基板等を挙げることができ、その具体例としては、ソーダライムガラス、無アルカリガラス等のガラス基板;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチックからなる樹脂基板を挙げることができる。このような透明基板の片面に透明導電膜を形成し、この透明導電膜の上に当該感放射線性組成物の被膜を形成することができる。
次いで、形成された被膜の少なくとも一部に放射線を照射する。このとき、被膜の一部にのみ照射する際には、例えば所定のパターンを有するフォトマスクを介して照射する方法によることができる。
次に露光後の塗膜を現像することにより、不要な部分(放射線の非照射部分)を除去して所定のパターンを形成する。現像工程に使用される現像液としては、アルカリ性の水溶液が好ましい。アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリ;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
また、このようなアルカリ水溶液には、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。アルカリ水溶液におけるアルカリの濃度は、適当な現像性を得る観点から、0.1質量%以上5質量%以下が好ましい。現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、シャワー法等の適宜の方法を利用できる。現像時間は、当該組成物の組成によって異なるが、好ましくは10秒〜180秒間程度である。このような現像処理に続いて、例えば流水洗浄を30秒〜90秒間行った後、例えば圧縮空気や圧縮窒素で風乾させることによって、所望のパターンを形成できる。
上記現像処理の後、パターニングされた被膜に対して、好ましくは流水洗浄を30〜90秒間行った後、圧縮空気や圧縮窒素で風乾することができる。次いで、得られたパターン状の被膜を、ホットプレート、オーブン等の適当な加熱装置により、所定温度、例えば100〜250℃で、所定時間、例えばホットプレート上では5〜30分間、オーブン中では30〜180分間、加熱(ポストベーク)することにより、高い表面硬度を有する硬化膜を得ることができる。
装置:GPC−101(昭和電工社製)
カラム:GPC−KF−801、GPC−KF−802、GPC−KF−803及びGPC−KF−804(昭和電工社製)を結合したもの
移動相:テトラヒドロフラン
[合成例1]シロキサンポリマー(A−1)の合成
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル24質量部を仕込み、続いて、フェニルトリメトキシシラン39質量部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン18質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、ギ酸0.1質量部、水19質量部を仕込み、75℃になるまで加熱し、2時間保持した。45℃に冷却後、脱水剤としてオルト蟻酸メチル28質量部を加え、1時間攪拌した。さらに溶液温度を40℃にし、温度を保ちながらエバポレーションすることで、水及び加水分解縮合で発生したメタノールを除去した。以上により、加水分解縮合物(A−1)を得た。加水分解縮合物(A−1)の固形分濃度は35質量%であり、得られた加水分解縮合物の重量平均分子量(Mw)は1,800であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.2であった。
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル24質量部を仕込み、続いて、メチルトリメトキシシラン39質量部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン18質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、ギ酸0.1質量部、水19質量部を仕込み、75℃になるまで加熱し、2時間保持した。45℃に冷却後、脱水剤としてオルト蟻酸メチル28質量部を加え、1時間攪拌した。さらに溶液温度を40℃にし、温度を保ちながらエバポレーションすることで、水及び加水分解縮合で発生したメタノールを除去した。以上により、加水分解縮合物(A−2)を得た。加水分解縮合物(A−2)の固形分濃度は35質量%であり、得られた加水分解縮合物の重量平均分子量(Mw)は1,800であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.2であった。
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル23質量部を仕込み、続いて、メチルトリメトキシシラン24質量部、テトラメトキシシラン16質量部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン17質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、ギ酸0.1質量部、水21質量部を仕込み、75℃になるまで加熱し、2時間保持した。45℃に冷却後、脱水剤としてオルト蟻酸メチル30質量部を加え、1時間攪拌した。さらに溶液温度を40℃にし、温度を保ちながらエバポレーションすることで、水及び加水分解縮合で発生したメタノールを除去した。以上により、加水分解縮合物(A−3)を得た。加水分解縮合物(A−3)の固形分濃度は35質量%であり、得られた加水分解縮合物の重量平均分子量(Mw)は2,500であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.3であった。
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル27質量部を仕込み、続いて、メチルトリメトキシシラン12質量部、フェニルトリメトキシシシラン30質量部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン15質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、ギ酸0.1質量部、水16質量部を仕込み、75℃になるまで加熱し、2時間保持した。45℃に冷却後、脱水剤としてオルト蟻酸メチル30質量部を加え、1時間攪拌した。さらに溶液温度を40℃にし、温度を保ちながらエバポレーションすることで、水及び加水分解縮合で発生したメタノールを除去した。以上により、加水分解縮合物(A−4)を得た。加水分解縮合物(A−4)の固形分濃度は28質量%であり、得られた加水分解縮合物の重量平均分子量(Mw)は1,800であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル27質量部を仕込み、続いて、メチルトリメトキシシラン6質量部、フェニルトリメトキシシシラン20質量部、テトラメトキシシラン16質量部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン15質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、ギ酸0.1質量部、水16質量部を仕込み、75℃になるまで加熱し、2時間保持した。45℃に冷却後、脱水剤としてオルト蟻酸メチル30質量部を加え、1時間攪拌した。さらに溶液温度を40℃にし、温度を保ちながらエバポレーションすることで、水及び加水分解縮合で発生したメタノールを除去した。以上により、加水分解縮合物(A−5)を得た。加水分解縮合物(A−5)の固形分濃度は28質量%であり、得られた加水分解縮合物の重量平均分子量(Mw)は1,800であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル27質量部を仕込み、続いて、メチルトリメトキシシラン6質量部、フェニルトリメトキシシシラン20質量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン16質量部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン15質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、ギ酸0.1質量部、水16質量部を仕込み、75℃になるまで加熱し、2時間保持した。45℃に冷却後、脱水剤としてオルト蟻酸メチル30質量部を加え、1時間攪拌した。さらに溶液温度を40℃にし、温度を保ちながらエバポレーションすることで、水及び加水分解縮合で発生したメタノールを除去した。以上により、加水分解縮合物(A−6)を得た。加水分解縮合物(A−6)の固形分濃度は28質量%であり、得られた加水分解縮合物の重量平均分子量(Mw)は1,800であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル27質量部を仕込み、続いて、メチルトリメトキシシラン16質量部、フェニルトリメトキシシシラン20質量部、n−デシルトリメトキシシラン6質量部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン15質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、ギ酸0.1質量部、水16質量部を仕込み、75℃になるまで加熱し、2時間保持した。45℃に冷却後、脱水剤としてオルト蟻酸メチル30質量部を加え、1時間攪拌した。さらに溶液温度を40℃にし、温度を保ちながらエバポレーションすることで、水及び加水分解縮合で発生したメタノールを除去した。以上により、加水分解縮合物(A−7)を得た。加水分解縮合物(A−7)の固形分濃度は28質量%であり、得られた加水分解縮合物の重量平均分子量(Mw)は1,800であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル27質量部を仕込み、続いて、メチルトリメトキシシラン16質量部、フェニルトリメトキシシシラン20質量部、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン6質量部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン15質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、ギ酸0.1質量部、水16質量部を仕込み、75℃になるまで加熱し、2時間保持した。45℃に冷却後、脱水剤としてオルト蟻酸メチル30質量部を加え、1時間攪拌した。さらに溶液温度を40℃にし、温度を保ちながらエバポレーションすることで、水及び加水分解縮合で発生したメタノールを除去した。以上により、加水分解縮合物(A−58)を得た。加水分解縮合物(A−8)の固形分濃度は28質量%であり、得られた加水分解縮合物の重量平均分子量(Mw)は1,800であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。
[合成例9]シロキサンポリマー(a−1)の合成
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル25質量部を仕込み、続いて、メチルトリメトキシシラン23質量部、フェニルトリメトキシシラン34質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、ギ酸0.1質量部、水18質量部を仕込み、75℃になるまで加熱し、30分保持した。次いでトリエチルアミンを0.1質量部仕込み、75℃のまま1.5時間保持した。45℃に冷却後、脱水剤としてオルト蟻酸メチル27質量部を加え、1時間攪拌した。さらに溶液温度を40℃にし、温度を保ちながらエバポレーションすることで、水及び加水分解縮合で発生したメタノールを除去した。以上により、加水分解縮合物(a−1)を得た。加水分解縮合物(a−1)の固形分濃度は34質量%であり、得られた加水分解縮合物の重量平均分子量(Mw)は2,400であり、分子量分布(Mw/Mn)は2.4であった。
[合成例10](化合物(B−1)の合成)
下記合成スキームに従って、最終生成物としての化合物(B−1)(上記式(4)で表される化合物)を合成した。
1L3口フラスコに冷却管を装着し、窒素雰囲気下、カルバゾール50g(299mmol)をジメチルスルホキサイド500mLに溶解した。そこに、1−(4−Fluorophenyl)−octan−1−one63g(284mmol)と炭酸カリウム103g(748mmol)を加え、反応温度135℃で12時間、加熱攪拌を行なった。反応液を氷中に注ぎ、析出した固体を吸引ろ過し、固体をさらに蒸留水で洗浄した。ここで得られた粗結晶について、tert−ブチルメチルエーテルで再結晶を行い、中間体(ii)を105g得た。
300mLのナス型フラスコに4−Fluoro−2−methylbenzoic acid25g(162mmol)及び塩化チオニル193g(1620mmol)を加え、室温25℃にて攪拌し、次いで、ジメチルホルムアミド1mLを加え、さらに20時間攪拌した。反応液を減圧留去し、4−Fluoro−2−methylbenzoyl chloride28.0gを得た。
2Lのナス型フラスコに、上記実験で得られた中間体(iii)59.0g(117mmol)を加え、これに塩化メチレン1000mLを加えて中間体(iii)を溶解し、さらに塩化アルミニウム54.6g(410mmol)を添加後、氷冷により0℃まで反応液温度を降温させた。この反応系に対して、アセチルクロリド27.5g(351mmol)を滴下した。滴下中は、反応液温度を10〜20℃に保持した。滴下終了後、反応液を20℃で20時間攪拌した。反応液を氷水400g中にクエンチして攪拌し、さらに水を200mL加え、次いでクロロホルム500mLで3回抽出した。有機層を集め、飽和炭酸水素ナトリウムで洗浄し、次いで、蒸留水300mLで洗浄し、溶媒を減圧留去した後、粗生成物を得た。この粗成生物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで中間体(iv)53.2gを得た。
1Lナス型フラスコに、上記で合成した中間体(iv)53.2g(97.1mmol)、メルカプトエタノール11.4g(146mmol)を加え、これらをジメチルアセトアミド300mLに溶解した。窒素雰囲気下、炭酸カリウム26.7g(194mmol)を添加し、50℃で12時間反応させた。反応液を室温まで冷却後、蒸留水を300mL注ぎ、これを分液ロートに移し、酢酸エチル300mLで3回抽出した。次いで、有機層を集め、蒸留水300mLで2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。この粗成生物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで中間体(v)32.9gを得た。
100mLナス型フラスコに、上記で合成した中間体(vi)32.9g(54.3mmol)を量り取った。ここに、30%過酸化水素水溶液12.4g(109mmol)と、文献(Tetrahedron 60(2004)4087−4096)に従って調製したPWAA(poly{PW12O40 3−[(N−isopropylacrylamide)−co−(acrylamide with ammonium salt)]3})0.027mmol相当量とを添加し、25℃で10時間攪拌した。次に、トルエン200mLを加えてろ過し、ろ液を分液ロートに移して水層を除去した。その後、この有機層に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液50mLを加えて洗浄し、蒸留水50mLによる洗浄を行なった。その後、有機層に硫酸マグネシウムを加え乾燥し、有機層を減圧留去して粗生成物を得た。この粗成生物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することで中間体(vi)30.8gを得た。
500mLのナス型フラスコに、上記で合成した中間体(vi)30.8g(48.3mmol)を量り取り、これにジメチルアセトアミド250mLを加えて中間体(vi)を溶解し、さらに水酸化ナトリウム4.8g(120mmol)を加え65℃で1時間攪拌した。ここに塩化ヒドロキシアンモニウム11.8g(170mmol)を加え、90℃まで昇温し1時間攪拌した。次いで、反応液を室温まで冷却し、蒸留水200mLを加え酢酸エチル200mLで3回抽出した。有機層をまとめ、蒸留水200mLで洗浄し、有機層を減圧留去することで中間体(vii)26.1gを得た。
次いで、中間体(vii)のフリーの3つのヒドロキシル基を同時にアセチル化し、最終生成物(viii)を合成した。
UV(0.02mM エタノール溶液):λmax:251nm、303nm、339nm
TG−DTA:222℃(分解点)
LC−MS:m/z=816.2988(M++Na:816.2931(計算値))
上記(B−1)の合成スキームを変更し、上記式(6)で表される化合物を合成した。上記(B−1)の合成スキームのステップ(II)において、200mLのナス型フラスコに、4−トリメチルシリル−2−メチル安息香酸33.7g(162mmol)及び塩化チオニル193g(1620mmol)を加え、室温25℃にて攪拌し、次いで、ジメチルホルムアミド1mLを加え、さらに20時間攪拌した。反応液を減圧留去し、4−トリメチルシリル−2−メチルベンゾイルクロリド36.7gを得た。
1H−nmr(溶媒:CDCl3)化学シフトδ:8.77ppm(カルバゾール環上水素、1H)、8.54ppm(カルバゾール環上水素、1H)、8.05ppm(カルバゾール環上水素及びN−フェニル基上水素及びCO−Phベンゼン環上水素、4H)、7.88ppm(カルバゾール環上水素及びCO−Phベンゼン環上水素、3H)、7.65ppm(N−フェニル基上水素、2H)、7.48ppm(カルバゾール環上水素、1H)、7.43ppm(カルバゾール環上水素、1H)、2.98ppm(N−CO−CH2−、2H)、2.51ppm(ベンゼン環上メチル基、3H)、2.30ppm(3つのアセトキシ基、9H)、1.64ppm(N−CO−CH2−CH2−、2H)、1.41ppm(N−CO−CH2−CH2−CH2−、2H)、1.35〜1.25ppm(脂肪族長鎖メチレン基、8H)、0.87ppm(メチル基、3H)、0.19ppm(Siのメチル基、9H)。
LC−MS:m/z=738.3383(M++Na:738.3339(計算値))
上記(B−1)の合成スキームを変更し、上記式(8)で表される化合物を合成した。上記(B−1)の合成スキームのステップ(II)において、200mLのナス型フラスコに4−ジフェニルフォスフィニル−2−メチル安息香酸54.4g(162mmol)及び塩化チオニル193g(1620mmol)を加え、室温25℃にて攪拌し、次に、ジメチルホルムアミド1mLを加え、さらに20時間攪拌した。反応液を減圧留去し、4−ジフェニルフォスフィニル−2−メチルベンゾイルクロリド60.9gを得た。
の場合と同様に合成し、化合物(B−3)を得た。
1H−nmr(溶媒:CDCl3)化学シフトδ:8.77ppm(カルバゾール環上水素、1H)、8.54ppm(カルバゾール環上水素、1H)、8.05ppm(カルバゾール環上水素及びN−フェニル基上水素及びCO−Phベンゼン環上水素、4H)、7.88ppm(カルバゾール環上水素及びCO−Phベンゼン環上水素、3H)、7.65ppm(N−フェニル基上水素、2H)、7.48ppm(カルバゾール環上水素、1H)、7.43ppm(カルバゾール環上水素、1H)、7.49〜7.87ppm(−PO−Phの水素、10H)、2.98ppm(N−CO−CH2−、2H)、2.51ppm(ベンゼン環上メチル基、3H)、2.30ppm(3つのアセトキシ基、9H)、1.64ppm(N−CO−CH2−CH2−、2H)、1.41ppm(N−CO−CH2−CH2−CH2−、2H)、1.35〜1.25ppm(脂肪族長鎖メチレン基、8H)、0.87ppm(メチル基、3H)。
LC−MS:m/z=866.3388(M++Na:866.3335(計算値))
[実施例1]
合成例1で得られた加水分解縮合物(A−1)を含む溶液(加水分解縮合物(A−1)50質量部(固形分)に相当する量)に、[B]光重合開始剤として(B−1)5質量部を加え固形分濃度が25質量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルを添加し、感放射線性組成物を調製した。
この感放射線性組成物を、スピンナーを用いてSiO2ディップガラス基板に塗布した後、ホットプレート上で90℃、2分間プレベークして塗膜を形成した(後述のITO密着性評価においてはITO付基板を用いた。次いで、得られた塗膜に50mJ/cm2の露光量で紫外線を露光した。続いて、0.4質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、25℃で60秒現像した後、純水で1分間洗浄し、さらに230℃のオーブン中で60分間加熱することにより、膜厚2.0μmの保護膜を形成した。また、加熱後の膜厚が3.0μmになるように塗膜形成時のスピンナーの回転数を調節し、20μm、30μm、40μm、50μmのサイズのコンタクトホールパターンを有するフォトマスクを介して、露光ギャップ(基板とフォトマスクの間隔)を150μmで露光した以外は、上記の保護膜形成と同様にして、層間絶縁膜を形成した。以下、保護膜と層間絶縁膜に共通する評価の場合、保護膜と層間絶縁膜を硬化膜と記載する。
各成分の種類及び量を表1に記載の通りとした他は、実施例1と同様にして感放射線性組成物を調製した。次いで、このように調製した感放射線性組成物を使用し、実施例1と同様にして保護膜及び層間絶縁膜を形成した。
実施例1〜18、比較例1〜4で形成された保護膜の透明性、鉛筆硬度、耐擦傷性、耐クラック性、耐熱クラック性、ITO密着性、感度、及び屈折率を以下の方法により評価した。感放射線性組成物の「解像性」は、組成物が層間絶縁膜の精密なコンタクトホールを形成可能な性能の評価を与えると同時に、層間絶縁膜の「解像度」としての評価を与えるものである。
各実施例及び比較例にて上記のように形成した保護膜を有する基板について、分光光度計(日立製作所社製の150−20型ダブルビーム)を用い、波長400〜800nmの光線透過率(%)を測定した。波長400〜800nmの光線透過率(%)の最小値を、透明性の評価として表1に示した。この値が95%以上のとき、保護膜の透明性は良好であると言える。層間絶縁膜の場合、膜厚(3.0μm)が保護膜と異なるだけであるので、層間絶縁膜の透明性の評価は、保護膜の透明性の評価と同様であると判断した。
各実施例及び比較例にて上記のように形成した保護膜を有する基板について、JIS K−5400−1990の8.4.1鉛筆引っかき試験により保護膜の鉛筆硬度(表面硬度)を測定し、結果を表1に示した。この値が4H又はそれより大きいとき、保護膜の表面硬度は良好であると言える。層間絶縁膜の場合、膜厚(3.0μm)が保護膜と異なるだけであるので、層間絶縁膜の鉛筆硬度の評価は、保護膜の鉛筆硬度の評価と同様であると判断した。
各実施例及び比較例にて上記のように形成した保護膜を有する基板について、学振型磨耗試験機を用い、スチールウール#0000の上に200gの荷重をかけて10往復させた。擦傷の状況を肉眼で以下の判定基準で評価し、結果を表1に示した。
判定基準
◎:全く傷がつかない
○:1〜3本の傷がつく
△:4〜10本の傷がつく
×:11本以上の傷がつく
◎又は○であれば、良好な耐擦傷性を有すると言える。層間絶縁膜の場合、膜厚(3.0μm)が保護膜と異なるだけであるので、層間絶縁膜の耐擦傷性の評価は、保護膜の耐擦傷性の評価と同様であると判断した。
各実施例及び比較例にて上記のように形成した保護膜を有する基板について、23℃で24時間放置し、その保護膜表面にクラックが発生しているか、レーザー顕微鏡(キーエンス社製VK−8500)を用いて確認した。以下の判定基準で評価し、結果を表1に示した。
判定基準
◎:全くクラックがない
○:1〜3個のクラックがある
△:4〜10個のクラックがある
×:11個以上のクラックがある
◎又は○であれば、クラック発生有無の確認結果は良好であると言える。
各実施例及び比較例にて上記のように形成した保護膜を有する基板について、300℃で30分追加焼成を行い、その後23℃で24時間放置し、その保護膜表面にクラックが発生しているか、レーザー顕微鏡(キーエンス社製VK−8500)を用いて確認した。以下の判定基準で評価し、結果を表1に示した。
判定基準
◎:全くクラックがない
○:1〜3個のクラックがある
△:4〜10個のクラックがある
×:11個以上のクラックがある
ITO付基板を用いた以外は、各実施例及び比較例にて上記のように保護膜を形成し、プレッシャークッカー試験(120℃、湿度100%、4時間)を行った。その後、JIS K−5400−1990の8.5.3付着性碁盤目テープ法を行い、碁盤目100個中で残った碁盤目の数を求め、保護膜のITO密着性を評価した。結果を表1に示した。碁盤目100個中で残った碁盤目の数が80個以下の場合に、ITO密着性は不良と言える。層間絶縁膜の場合、膜厚(3.0μm)が保護膜と異なるだけであるので、層間絶縁膜のITO密着性の評価は、保護膜のITO密着性の評価と同様であると判断した。
上記にて得られた塗膜に対し、トプコン社製露光機TME−400PRJを用い、10μm/30μmのライン・アンド・スペースのパターンを有するマスクを介して露光量を変化させて露光を行った後、0.4質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にて25℃、60秒間、浸漬法で現像した。次いで、超純水で1分間流水洗浄を行い、乾燥させてガラス基板上にパターンを形成した。このとき、10μm/30μmのライン・アンド・スペースのパターンが剥離せず残るのに必要な最小露光量を測定した。この最小露光量を放射線感度として表1に示す。最小露光量が50mJ/cm2以下の時、感度は良好であると言える。
アッベ屈折計を用いて、上記「硬化膜の光線透過率(透明性)の評価」の方法によって得られた硬化膜の25℃、633nmの光線における屈折率を測定した。
b−2:1,2オクタンジオン−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−2−(O−ベンゾイルオキシム)(商品名:イルガキュアOXE01、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
b−3:2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパン(商品名:イルガキュア907、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
b−4:2−ジメチルアミノ−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホルニル)フェニル]−1−ブタノン(商品名:イルガキュア379EG、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)
C−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:MAX−3510、日本化薬社製)
C−2:ペンタエリスリトールトリアクリレート(商品名:A−TMM−3LMN、新中村化学工業社製)
D−1:1−(4,7−ジブトキシ−1−ナフタレニル)テトラヒドロチオフェニウ
ムトリフルオロメタンスルホナート
D−2:2−ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート
E−1:1,4−ビス(トリメトキシシリルメチル)ベンゼン
E−2:トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート(信越化学製X−12−965)
F−1:ZrO2ゾル(商品名 ID191、テイカ社製)
F−2:TiO2ゾル(商品名 TS−103、テイカ社製)
Claims (9)
- [A]ラジカル反応性官能基を有するシロキサンポリマー、及び
[B]下記式(1)で表される光重合開始剤
を含有する感放射線性組成物。
R2及びR3は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数3〜10のシクロアルキル基である。
R4は、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ハロゲン、2−フリル基、2−フルフリル基、2−チエニル基又は2−テニル基である。
R5は、SO2R6、P(R7)2、PO(R8)2 又はSi(R9)3で表される基である。
R6は、水素原子、メチル基、炭素数2〜12のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。上記炭素数2〜12のアルキル基の水素原子の一部又は全部は、カルボキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、炭素数1〜6のアシロキシ基、ベンゾイルオキシ基及び炭素数1〜20のアシル基からなる群より選択される少なくとも1つの基で置換されていてもよい。上記フェニル基又はナフチル基の水素原子の一部又は全部は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲンで置換されていてもよい。
R7、R8及びR9は、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキル基、フェニル基又はナフチル基であり、このフェニル基又はナフチル基の水素原子の一部又は全部は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基又はハロゲンで置換されていてもよい。) - [A]シロキサンポリマーが、
(a−1)下記式(2)で表される加水分解性シラン化合物と、
(a−2)下記式(3)で表される加水分解性シラン化合物と
の加水分解縮合物である請求項1に記載の感放射線性組成物。
- 上記ラジカル反応性官能基が(メタ)アクリロイル基である請求項1又は請求項2に記載の感放射線性組成物。
- [C][A]シロキサンポリマー以外のエチレン性不飽和化合物をさらに含有する請求項1、請求項2又は請求項3に記載の感放射線性組成物。
- [D]感放射線性酸発生剤又は感放射線性塩基発生剤をさらに含有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の感放射線性組成物。
- 上記R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基であり、
上記R5は、SO2R6、PO(R8)2又はSi(R9)3で表される基であり、
上記R6は、水素原子の一部又は全部がアセトキシ基で置換された炭素数2〜6のアルキル基であり、
上記R8はフェニル基であり、
上記R9は炭素数1〜6のアルキル基である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の感放射線性組成物。 - 表示素子又はタッチパネル用の、保護膜又は層間絶縁膜としての硬化膜形成に用いられる請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の感放射線性組成物。
- 請求項7に記載の感放射線性組成物を用いて形成される硬化膜。
- (1)請求項7に記載の感放射線性組成物を基板上に塗布して塗膜を形成する工程、
(2)上記塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程、
(3)上記塗膜を現像する工程、及び
(4)上記塗膜を加熱する工程
を含む硬化膜の形成方法。
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