JP2016149038A - 硬化性樹脂組成物、硬化膜、タッチパネルおよびタッチパネルの製造方法 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、硬化膜、タッチパネルおよびタッチパネルの製造方法 Download PDF

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晃久 本田
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Abstract

【課題】タッチパネルの配線との密着性に優れた硬化膜を形成する硬化性樹脂組成物を提供し、その硬化膜、タッチパネルおよびタッチパネルの製造方法を提供する。
【解決手段】タッチパネル21の硬化膜25を形成する硬化性樹脂組成物を、(A)エポキシ基を有する化合物、(B)金属キレート化合物、および(C)下記式(1)で示される化合物を含有させて調製する。この硬化性樹脂組成物を用いて、第1検知電極23、第2検知電極24、および、配線31が配置された透明基板22上に硬化膜25を形成し、タッチパネル21を提供する。

【選択図】図1

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物、硬化膜、タッチパネルおよびタッチパネルの製造方法に関する。
近年、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)、ノートPC、OA機器およびカーナビゲーションシステム等の電子機器では、それらのディスプレイの入力装置としてタッチパネルが盛んに用いられている。
タッチパネルは、その表面を、操作者の指やペン等でタッチ(押圧)し、そのタッチ操作にかかるデータを各種処理装置に出力することで、電子機器の操作を可能とする。タッチパネルは、キーボードに代わる入力装置であり、上述した電子機器等において、対話形式で簡便に情報入力することを可能にする。
タッチパネルには、動作原理によって、抵抗膜方式、静電容量方式、赤外線方式、超音波方式および電磁誘導結合方式などがある。
こうしたタッチパネルでは、例えば、静電容量方式のように、所定方向に延在する複数の第1検知電極と、それと交差する方向に延在する第2検知電極とを組み合わせて、ガラス等の透明基板上に配置する構造のものがある。それら検知電極は各々に電気的に接続する配線によって透明基板の端部に引き回される。検知電極に接続する配線のもう一方の端部には、例えば、そのタッチパネルを接続するための端子が形成されている。
そして、静電容量方式においては、例えば、特許文献1に開示されるように、第1検知電極と第2検知電極とを、透明基板の一方の面の上で同層に配置する構造が知られている。
特許文献1に記載のタッチパネルは、第1検知電極および第2検知電極のそれぞれが、菱形形状で大面積の複数の電極パッドと、それらの間を繋ぐ、電極パッドより狭い細幅形状の接続部分とから構成される。そして、第1検知電極と第2検知電極とは、それぞれの接続部分でお互いに交差するが、その交差部分には、光透過性の層間絶縁膜が配置されている。したがって、特許文献1に記載のタッチパネルは、第1検知電極と第2検知電極とが、それぞれの接続部分で層間絶縁膜を介して重畳するようにされ、絶縁性が確保されるように構成されている。そして、それら第1検知電極および第2検知電極は、各々に電気的に接続する配線によって透明基板の端部に引き回される。検知電極に接続する配線のもう一方の端部には、タッチパネルを接続するための端子が形成されている。
上述したように、絶縁性の基板上に、検知電極と、その検知電極を基板の端部に引き回すための配線とを有する構造のタッチパネルは、さらに、検知電極や配線等を被覆して保護するための絶縁性の保護膜を設けることができる(例えば、特許文献2を参照)。このような保護膜は、例えば、有機材料からなる有機膜とすることができる。その場合、保護膜の形成には、液状の樹脂組成物等を用いた塗布法等の利用が可能であり、また、タッチパネルの検知電極や配線等の配置構造に適合するようにパターニングをすることも可能である。こうした保護膜は、タッチパネルの耐久性等の信頼性の向上に有効となる。
特開2008−310551号公報 特許第5212571号公報
以上のような構造のタッチパネルは、絶縁性の基板上に、検知電極と、その検知電極に電気的に接続して基板の端部に引き回すための配線とを有するが、各検知電極に接続する配線は、操作者の指等によるタッチ操作の検出のために直接に用いられるものではない。すなわち、タッチパネルにおいて、各検知電極に接続する配線の形成領域は、タッチ操作およびその検出に使用されない領域となる。
したがって、タッチパネルにおいて、配線形成領域は、小さく狭いものであることが好ましい。そのように配線形成領域を狭小化することで、タッチパネルにおいては、操作者の指等が触れてタッチ操作を行う操作領域を大きく設けることができて、操作性を向上することができる。
タッチパネルにおいて、配線形成領域を狭小化するためには、検知電極に電気的に接続する各配線を細く形成することが好ましい。そのためには、配線を低抵抗な材料を用いて形成することが求められる。例えば、タッチパネルにおいて、検知電極に接続する配線は、モリブデン(Mo)とアルミニウム(Al)等の金属膜を用い、Mo/Al/Moとなる積層構造を有して構成された金属配線とすることができる。こうした構造を有することにより、タッチパネルにおいては、配線の低抵抗化を実現することができる。
しかしながら、タッチパネルにおいて、低抵抗の材料、特に低抵抗の金属からなる配線を用いた場合、上述の有機膜である保護膜と組み合わせようとすると、配線と保護膜との間の密着性が問題となることがあった。すなわち、上述したMo/Al/Moとなる積層構造を有して構成された配線等の金属からなる配線と、有機膜である保護膜とは、互いの間の密着性が低い。このような配線と保護膜との間の低い密着性は、タッチパネルの経時的な劣化を招き、信頼性を低下させる原因となることがあった。
したがって、タッチパネルにおいては、配線を低抵抗化するとともに、タッチパネルを高信頼化する技術が求められている。より具体的には、タッチパネルが金属からなる配線とそれを覆って保護する保護膜とを有して構成され、その保護膜と配線との間の密着性を向上させる技術が求められている。
そのため、有機材料からなって簡便な形成とパターニングが可能であり、タッチパネルに適用されて配線と間で優れた密着性を示す硬化膜が求められており、その硬化膜をタッチパネルの保護膜として用いることが求められている。そして、そのタッチパネルの有する硬化膜の形成に用いられ、ひいてはタッチパネルの形成に用いられる硬化性樹脂組成物が求められている。
そして、その硬化性樹脂組成物を用いたタッチパネルの製造方法およびタッチパネルが求められている。
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものである。すなわち、タッチパネルの形成に用いられて、配線との密着性に優れた硬化膜を形成する硬化性樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の目的は、配線との密着性に優れたタッチパネルの硬化膜を提供することにある。
また、本発明の目的は、配線との密着性に優れた硬化膜を有するタッチパネルを提供することにある。
さらに、本発明の目的は、上述の硬化性樹脂組成物を用い、配線との密着性に優れた硬化膜を有するタッチパネルを製造するタッチパネルの製造方法を提供することにある。
本発明の他の課題および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
本発明の第1の態様は、
(A)エポキシ基を有する化合物、
(B)金属キレート化合物、および
(C)下記式(1)で示される化合物
を含み、タッチパネルの形成に用いられる硬化性樹脂組成物に関する。
(式(1)中、Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜8のアシル基または炭素数6〜15のアリール基である。nは、1〜3の整数である。)
本発明の第1の態様において、前記(A)エポキシ基を有する化合物が、重合体であることが好ましい。
本発明の第1の態様において、前記重合体が、不飽和無水カルボン酸から形成される構造単位を含むことが好ましい。
本発明の第1の態様において、前記重合体が、カルボキシル基を有する構造単位を含むことが好ましい。
本発明の第1の態様において、さらに、(D)感光剤を含むことが好ましい。
本発明の第1の態様において、前記(D)感光剤が、光酸発生体および光重合開始剤の少なくとも一方を含むことが好ましい。
本発明の第1の態様において、前記タッチパネルが配線と該配線の少なくとも一部を覆う硬化膜とを有し、
前記硬化膜の形成に用いられて前記タッチパネルの形成に用いられることが好ましい。
本発明の第1の態様において、前記タッチパネルの有する前記配線が、モリブデン、銀、銅、アルミニウムおよび炭素よりなる群から選ばれる1種以上の元素を含む配線であることが好ましい。
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の硬化性樹脂組成物から形成される硬化膜であって、
タッチパネルの形成に用いられる硬化膜に関する。
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様の硬化性樹脂組成物を用いて形成されるタッチパネルに関する。
本発明の第4の態様は、本発明の第1の態様の硬化性樹脂組成物を用いるタッチパネルの製造方法に関する。
本発明の第1の態様によれば、タッチパネルの形成に用いられ、配線との密着性に優れた硬化膜を形成する硬化性樹脂組成物を提供することができる。
本発明の第2の態様によれば、配線との密着性に優れたタッチパネルの硬化膜を提供することができる。
本発明の第3の態様によれば、配線との密着性に優れた硬化膜を有するタッチパネルを提供することができる。
本発明の第4の態様によれば、配線との密着性に優れた硬化膜を有するタッチパネルを製造するタッチパネルの製造方法を提供することができる。
本発明の第3実施形態のタッチパネルを示す平面図である。 図1のB−B’線に沿う断面図である。 タッチパネルを形成するため透明基板上に形成された配線、第1検知電極および第2検知電極を示す平面図である。 タッチパネルを形成するため透明基板上に形成された配線、第1検知電極、第2検知電極、層間絶縁層およびブリッジ配線を示す平面図である。
本発明者は、鋭意検討の結果、基板上に配線を有してなるタッチパネルの保護膜を、有機材料からなる硬化膜(有機膜)とする場合、硬化膜の形成材料を最適化することによって、配線と硬化膜との間の密着性を向上できることを見出した。特に、タッチパネルの配線が、例えば、Mo/Al/Moとなる積層構造を有して構成された配線のように、金属から構成された金属配線である場合、硬化膜の形成材料の最適化は、その金属配線と硬化膜との密着性の向上に有効であることを見出した。
その結果、本発明者は、タッチパネルの形成に用いられる硬化性樹脂組成物、具体的には、タッチパネルを構成する硬化膜の形成に用いられる硬化性樹脂組成物を製造した。
したがって、本発明の硬化性樹脂組成物は硬化膜を製造し、得られた硬化膜は、タッチパネルの保護膜として、特に、配線に対して優れた密着性を示す保護膜として、好適に使用することができる。
すなわち、本発明の硬化性樹脂組成物は、タッチパネルが配線として、例えば、Mo/Al/Moとなる積層構造を有して構成された配線を有するものである場合、その配線との密着性に優れた硬化膜を提供することができる。本発明の硬化性樹脂組成物を用いて形成された硬化膜は、配線との密着性に優れ、保護膜として、タッチパネルの高信頼化を実現することができる。
以下、本発明の実施形態である、硬化性樹脂組成物、硬化膜、タッチパネルおよびタッチパネルの製造方法について、適宜図面を用いて説明する。
尚、本発明において、露光に際して照射される「放射線」には、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線および荷電粒子線等が含まれる。
実施の形態1.
<硬化性樹脂組成物>
本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物は、パターニングが可能で、優れた光透過性と硬度を有する硬化膜を形成することができる感放射線性の樹脂組成物である。そして、本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物は、タッチパネルの形成に用いられて、当該タッチパネルの配線との間で優れた密着性を示す硬化膜を形成することができる。
そして、後述する本発明の第3実施形態のタッチパネルは、配線として、例えば、モリブデン、銀、銅、アルミニウムおよび炭素よりなる群から選ばれる1種以上の元素を含む配線を有することができる。そして、例えば、Mo/Al/Moとなる積層構造のように、異なる材料の層を積層して構成された金属配線を有することができる。
したがって、本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物は、本発明の第3実施形態のタッチパネルが、例えば、配線としてMo/Al/Moとなる積層構造を有して構成された金属配線を有する場合でも、その配線の保護膜としての使用が可能な硬化膜を提供することができる。すなわち、本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物は、本発明の第4実施形態のタッチパネルの製造方法にしたがい、本発明の第2実施形態の硬化膜を形成し、その結果、本発明の第3実施形態のタッチパネルを提供することができる。
本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物は、(A)エポキシ基を有する化合物(以下、単に、(A)成分ということがある。)、(B)金属キレート化合物(以下、単に、(B)成分ということがある。)、および(C)下記式(1)で示される化合物(以下、単に、(C)成分または(C)化合物ということがある。)
を含有して構成される。
(式(1)中、Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜8のアシル基または炭素数6〜15のアリール基である。nは、1〜3の整数である。)
さらに、本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物は、(D)感光剤(以下、単に、(D)成分ということがある。)を含有することができる。
また、本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、(A)成分〜(C)成分の他に、あるいは、(A)成分〜(D)成分の他に、(E)多官能モノマー(以下、単に、(E)成分ということがある。)を含有することができる。
またさらに、本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限り、溶剤等の(F)その他の任意の成分(以下、単に、(F)成分ということがある。)を含有することができる。
以下、本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物に含有される各成分について説明する。
〔(A)エポキシ基を有する化合物〕
本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物の(A)成分である(A)エポキシ基を有する化合物は、分子中に1個以上のエポキシ基を有する化合物である。
本実施形態の硬化性樹脂組成物において、(A)成分は、例えば、分子中に2個以上のグリシジル基または、3,4−エポキシシクロヘキシル基を有する多官能エポキシ化合物であることが望ましい。
上述の分子内に2個以上のグリシジル基を有する化合物の具体例としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールADジグリシジルエーテル等のビスフェノールのポリグリシジルエーテル類;1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
さらに、分子内に2個以上の3,4−エポキシシクロヘキシル基を有する化合物の具体例としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等を挙げることができる。
本実施形態の硬化性樹脂組成物においては、さらに(A)エポキシ基を有する化合物が、エポキシ基を有する重合体であることが望ましい。
(A)成分が重合体である場合、その具体例としては、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールの脂肪族ポリグリシジルエーテル類;ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;ポリフェノール型エポキシ樹脂;環状脂肪族エポキシ樹脂;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等を挙げることができる。これらはいずれも分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物であるが、これらの分子内に2個以上のエポキシ基を有する化合物のうち、(A)成分としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂およびポリフェノール型エポキシ樹脂が好ましい。
上述した、(A)エポキシ基を有する化合物の市販品としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂として、エピコート1001、同1002、同1003、同1004、同1007、同1009、同1010、同828(ジャパンエポキシレジン(株)製);ビスフェノールF型エポキシ樹脂として、エピコート807(ジャパンエポキシレジン(株)製);フェノールノボラック型エポキシ樹脂(ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂等)として、エピコート152、同154、同157S65(ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPPN201、同202(日本化薬(株)製);クレゾールノボラック型エポキシ樹脂として、EOCN102、同103S、同104S、1020、1025、1027(日本化薬(株)製)、エピコート180S75(ジャパンエポキシレジン(株)製);ポリフェノール型エポキシ樹脂として、エピコート1032H60、同XY−4000(ジャパンエポキシレジン(株)製);環状脂肪族エポキシ樹脂として、CY−175、同177、同179、アラルダイトCY−182、同192、184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)、ERL−4234、4299、4221、4206(U.C.C社製)、ショーダイン509(昭和電工(株)製)、エピクロン200、同400(大日本インキ(株)製)、エピコート871、同872(ジャパンエポキシレジン(株)製)、ED−5661、同5662(セラニーズコーティング社製);脂肪族ポリグリシジルエーテルとして、エポライト100MF(共栄社化学(株)製)、エピオールTMP(日本油脂(株)製)が挙げられる。
また、(A)エポキシ基を有する化合物は、エポキシ基を有するポリシロキサンであってもよく、さらに、エポキシ基とカルボキシル基とを有する重合体であってもよい。
以下では、まず、(A)成分である、エポキシ基とカルボキシル基を有する重合体について説明する。
(A)成分がエポキシ基とカルボキシル基を有する重合体である場合、(A)成分は、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。(A)成分がアルカリ可溶性樹脂であることにより、当該(A)成分を含む硬化性樹脂組成物は、フォトリソグラフィ法の現像処理工程において用いられるアルカリ現像液に対して可溶性を有することができる。
そして特に、(A)成分であるエポキシ基とカルボキシル基を有する重合体の中では、(a1)カルボキシル基を有する構造単位、すなわち、カルボキシル基含有構造単位、および、(a2)エポキシ基を有する構造単位、すなわち、エポキシ基含有構造単位を有する共重合体が、アルカリ現像液に対する優れた可溶性と製造される硬化膜の高い膜硬度の観点から望ましい。
上述の(a1)カルボキシル基含有構造単位および(a2)エポキシ基含有構造単位を有する共重合体は、具体的には、(a1)不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸無水物(不飽和無水カルボン酸)(以下、化合物(a1)ともいう。)と、(a2)エポキシ基を有するラジカル重合性化合物(以下、化合物(a2)ともいう。)と、(a3)(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸脂環式エステル、酸素原子を含む不飽和複素五および六員環(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、マレイミド化合物、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、スチレン、α−メチルスチレンおよび1,3−ブタジエンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の他のラジカル重合性化合物(以下、化合物(a3)ともいう。)との共重合体である(以下、共重合体(A)ともいう)。
上述の化合物(a1)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸等のジカルボン酸;前記ジカルボン酸の酸無水物等を挙げることができる。
これらの化合物(a1)のうち、共重合反応性、得られる重合体や共重合体のアルカリ現像液に対する溶解性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、無水マレイン酸等が好ましい。
共重合体(A)において、化合物(a1)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。共重合体(A)において、化合物(a1)に由来する繰り返し単位の含有率は、好ましくは5質量%〜40質量%、さらに好ましくは7質量%〜30質量%、特に好ましくは8質量%〜25質量%である。化合物(a1)に由来する繰り返し単位の含有率が5質量%〜40質量%である場合、感放射線感度、現像性および保存安定性等の諸特性がより高いレベルで最適化された硬化性樹脂組成物が得られる。
上述の化合物(a2)としては、エポキシ基を有するラジカル重合性化合物を用いることができる。エポキシ基を有するラジカル重合性化合物の具体例としては、例えば、アクリル酸グリシジル、アクリル酸2−メチルグリシジル、アクリル酸3,4−エポキシブチル、アクリル酸6,7−エポキシヘプチル、アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル、アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル等のアクリル酸エポキシアルキルエステル;メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−メチルグリシジル、メタクリル酸3,4−エポキシブチル、メタクリル酸6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシル、メタクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル等のメタクリル酸エポキシアルキルエステル;α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸6,7−エポキシヘプチル等のα−アルキルアクリル酸エポキシアルキルエステル;o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテルを挙げることができる。
また、上述の化合物(a2)のエポキシ基を有するラジカル重合性化合物としては、例えば、オキセタニル基含有重合性不飽和化合物を用いることもできる。このオキセタニル基含有重合性不飽和化合物の具体例としては、例えば、3−(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−2−メチルオキセタン、3−(メタクリロイルオキシエチル)オキセタン、3−(メタクリロイルオキシエチル)−3−エチルオキセタン、2−エチル−3−(メタクリロイルオキシエチル)オキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシメチル)−2−メチルオキセタン、3−(アクリロイルオキシエチル)オキセタン、3−(アクリロイルオキシエチル)−3−エチルオキセタン、2−エチル−3−(アクリロイルオキシエチル)オキセタン、2−(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、2−メチル−2−(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−メチル−2−(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、4−メチル−2−(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、2−(2−(2−メチルオキセタニル))エチルメタクリレート、2−(2−(3−メチルオキセタニル))エチルメタクリレート、2−(メタクリロイルオキシエチル)−2−メチルオキセタン、2−(メタクリロイルオキシエチル)−4−メチルオキセタン、2−(アクリロイルオキシメチル)オキセタン、2−メチル−2−(アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−メチル−2−(アクリロイルオキシメチル)オキセタン、4−メチル−2−(アクリロイルオキシメチル)オキセタン、2−(2−(2−メチルオキセタニル))エチルメタクリレート、2−(2−(3−メチルオキセタニル))エチルメタクリレート、2−(アクリロイルオキシエチル)−2−メチルオキセタン、2−(アクリロイルオキシエチル)−4−メチルオキセタン等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
これらのうち、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−メチルグリシジル、メタクリル酸3,4−エポキシブチル、3−(アクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン、3−(メタクリロイルオキシメチル)−3−エチルオキセタン、2−(メタクリロイルオキシメチル)オキセタン等が、得られる硬化膜の基板や配線に対する密着性を高め、耐熱性を向上し、ひいては、タッチパネル等における信頼性を高めることから好ましく用いられる。
上記不飽和化合物(a2)は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
共重合体(A)において、化合物(a2)の共重合割合は、全不飽和化合物に対して、好ましくは10質量%〜70質量%、さらに好ましくは15質量%〜65質量%である。化合物(a2)の共重合割合が10質量%〜70質量%の時、特に共重合体の分子量の制御が容易となり、現像性、感度等がより高いレベルで最適化された硬化性樹脂組成物が得られる。
化合物(a3)としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸脂環式エステル、酸素原子を含む不飽和複素五および六員環(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、不飽和ジカルボン酸ジエステル、マレイミド化合物、スチレン、α−メチルスチレン、1,3−ブタジエンを挙げることができる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレートを挙げることができる。
(メタ)アクリル酸脂環式アルキルエステルの具体例としては、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−2−メチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(以下、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルを「ジシクロペンタニル」ということもある。)、メタクリル酸−2−ジシクロペンタニルオキシエチル、メタクリル酸イソボロニル、アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−メチルシクロヘキシル、アクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル、アクリル酸−2−ジシクロペンタニルオキシエチル、アクリル酸イソボロニル等が挙げられる。
酸素原子を含む不飽和複素五および六員環メタクリル酸エステルの具体例としては、テトラヒドロフラン骨格を含有する不飽和化合物として、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイルオキシ−プロピオン酸テトラヒドロフルフリルエステル、3−(メタ)アクリロイルオキシテトラヒドロフラン−2−オン等;
フラン骨格を含有する不飽和化合物として、例えば、2−メチル−5−(3−フリル)−1−ペンテン−3−オン、フルフリル(メタ)アクリレート、1−フラン−2−ブチル−3−エン−2−オン、1−フラン−2−ブチル−3−メトキシ−3−エン−2−オン、6−(2−フリル)−2−メチル−1−ヘキセン−3−オン、6−フラン−2−イル−ヘキシ−1−エン−3−オン、アクリル酸−2−フラン−2−イル−1−メチル−エチルエステル、6−(2−フリル)−6−メチル−1−ヘプテン−3−オン等;
テトラヒドロピラン骨格を含有する不飽和化合物として、例えば、(テトラヒドロピラン−2−イル)メチルメタクリレート、2,6−ジメチル−8−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−オクト−1−エン−3−オン、2−メタクリル酸テトラヒドロピラン−2−イルエステル、1−(テトラヒドロピラン−2−オキシ)−ブチル−3−エン−2−オン等;
ピラン骨格を含有する不飽和化合物として、例えば、4−(1,4−ジオキサ−5−オキソ−6−ヘプテニル)−6−メチル−2−ピラン、4−(1,5−ジオキサ−6−オキソ−7−オクテニル)−6−メチル−2−ピラン等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、すなわち、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−2,3−ジヒドロキシプロピル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アリールエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸ジエステルの具体例としては、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等が挙げられる。
マレイミド化合物として、例えば、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシベンジル)マレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミド等を挙げることができる。
共重合体(A)において、化合物(a3)の共重合割合は、全不飽和化合物に対して、好ましくは10質量%〜70質量%、さらに好ましくは15質量%〜65質量%である。化合物(a2)の共重合割合が10質量%〜70質量%の時、特に共重合体の分子量の制御が容易となり、現像性、感度、密着性等がより高いレベルで最適化された硬化性樹脂組成物が得られる。
次に、共重合体(A)を製造する重合方法について説明する。
共重合体(A)を製造する重合は、例えば、共重合体(A)を構成する化合物(a1)、化合物(a2)、化合物(a3)を、溶媒中、ラジカル重合開始剤を使用して重合することにより実施することができ、それにより共重合体(A)を得ることができる。
共重合体(A)を製造する重合方法における上述のラジカル重合開始剤としては、使用される重合性不飽和化合物の種類に応じて適宜選択されるが、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス−(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4―シアノバレリン酸)、ジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物;等を挙げることができる。
これらのラジカル重合開始剤のうち、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等が好ましい。
上述の前記ラジカル重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
上述した共重合体(A)を製造する重合において、ラジカル重合開始剤の使用量は、重合性不飽和化合物100質量%に対して、通常、0.1質量%〜50質量%、好ましくは0.1質量%〜20質量%である。
上述した共重合体(A)を製造するための重合反応においては、得られる共重合体(A)の分子量を調整するために、分子量調整剤を使用することができる。分子量調整剤の具体例としては、クロロホルム、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸等のメルカプタン類;ジメチルキサントゲンスルフィド、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド等のキサントゲン類;ターピノーレン、α−メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
共重合体(A)を製造する重合方法において、分子量調整剤の使用量は化合物(a1)、化合物(a2)、化合物(a3)の合計100質量%に対して、通常は0.1質量%〜50質量%、好ましくは0.2質量%〜16質量%、より好ましくは0.4質量%〜8質量%である。
また、共重合体(A)を製造する重合方法において、重合温度は、通常、0℃〜150℃、好ましくは50℃〜120℃であり、重合時間は、通常、10分〜20時間、好ましくは30分〜6時間である。
共重合体(A)を製造する重合方法において、得られる共重合体(A)のポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という)は、好ましくは2×10〜1×10、より好ましくは5×10〜5×10である。
共重合体(A)のMwを2×10以上とすることによって、本実施形態の硬化性樹脂組成物の十分な現像マージンを得るとともに、形成される塗膜の残膜率(パターン状薄膜が適正に残存する比率)の低下を防止し、さらには得られる硬化膜のパターン形状や耐熱性等を良好に保つことが可能となる。一方、共重合体(A)のMwを1×10以下にすることによって、高度な放射線感度を保持し、良好なパターン形状を得ることができる。
また、共重合体(A)を製造する重合方法において、得られる共重合体(A)の分子量分布(以下、「Mw/Mn」という)は、好ましくは5.0以下、より好ましくは3.0以下である。共重合体[A]のMw/Mnを5.0以下にすることによって、得られる硬化膜のパターン形状を良好に保つことができる。
そして、上記のような好ましい範囲のMwおよびMw/Mnを有する共重合体(A)を含む本実施形態の硬化性樹脂組成物は、高度な現像性を有するため、現像工程において、現像残りを生じることなく容易に所定パターン形状を形成することができる。
共重合体(A)を製造する重合方法において、重合反応に用いられる溶媒としては、例えば、アルコール類、エーテル類、グリコールエーテル、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート、芳香族炭化水素類、ケトン類、他のエステル類等を挙げることができる。
次に、本実施形態の硬化性樹脂組成物においては、上述したように、(A)エポキシ基を有する化合物として、エポキシ基を有するポリシロキサンを用いることも可能である。
本実施形態の硬化性組成物において(A)成分として使用可能なポリシロキサンは、加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物であることが好ましく、より具体的には、エポキシ基を有する加水分解性シラン化合物を含む加水分解性シラン化合物の加水分解縮合物であることが好ましい。
上述の(A)成分として好ましいポリシロキサンを形成する加水分解性シラン化合物は、(s1)下記式(S−1)で示される加水分解性シラン化合物(以下、「(s1)化合物」ともいう。)と、(s2)下記式(S−2)で示される加水分解性シラン化合物(以下、「(s2)化合物」ともいう。)とを含む加水分解性シラン化合物であることが好ましい。その場合、その加水分化性シラン化合物は、少なくとも、下記式(S−2)中のR14がエポキシ基である(s2)化合物を含むことになる。そして、その加水分化性シラン化合物における下記式(S−2)中のR14がエポキシ基である(s2)化合物の含有量については、(s2)化合物の合計100質量%に対して、0.1質量%〜100質量%とすることが好ましい。
上記式(S−1)中、R11は炭素数1〜6のアルキル基である。R12はラジカル反応性官能基を含む有機基である。pは1〜3の整数である。但し、R11およびR12が複数となる場合、複数のR11およびR12はそれぞれ独立している。
上記式(S−2)中、R13は炭素数1〜6のアルキル基である。R14は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のフッ化アルキル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、エポキシ基、アミノ基またはイソシアネート基である。nは0〜20の整数である。qは0〜3の整数である。但し、R13およびR14が複数となる場合、複数のR13およびR14はそれぞれ独立している。
本発明において、「加水分解性シラン化合物」とは、通常、無触媒、過剰の水の共存下、室温(約25℃)〜約100℃の温度範囲内で加熱することにより、加水分解してシラノール基を生成することができる基またはシロキサン縮合物を形成することができる基を有する化合物を指す。上記式(S−1)および上記式(S−2)で表される加水分解性シラン化合物の加水分解反応においては、生成するポリシロキサン中に、一部の加水分解性基が未加水分解の状態で残っていてもよい。ここで、「加水分解性基」とは、上述した加水分解してシラノール基を生成することができる基またはシロキサン縮合物を形成することができる基のことをいう。また、本実施形態の硬化性樹脂組成物中において、一部の加水分解性シラン化合物は、その分子中の一部または全部の加水分解性基が未加水分解の状態で、且つ他の加水分解性シラン化合物と縮合せずに単量体の状態で残っていてもよい。尚、「加水分解縮合物」は加水分解されたシラン化合物の一部のシラノール基同士が縮合した加水分解縮合物を意味する。
以下、(s1)化合物および(s2)化合物について詳述する。
((s1)化合物)
上記式(S−1)中、R11は炭素数1〜6のアルキル基である。R12はラジカル反応性官能基を含む有機基である。pは1〜3の整数である。但し、R11およびR12が複数となる場合、複数のR11およびR12はそれぞれ独立している。
上述のR11である炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基等が挙げられる。これらのうち、加水分解の容易性の観点から、メチル基、エチル基が好ましい。上記のpとしては、加水分解縮合反応の進行の観点から1または2が好ましく、1がより好ましい。
上述のR12であるラジカル反応性官能基を有する有機基としては、上述のラジカル反応性官能基により1個以上の水素原子が置換された直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜12のアラルキル基等が挙げられる。同一分子内に複数のR12が存在するとき、これらはそれぞれ独立している。
また、R12が示す有機基はヘテロ原子を有していてもよい。そのような有機基としては、例えば、エーテル基、エステル基、スルフィド基等が挙げられる。
p=1の場合における(s1)化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、o−スチリルトリメトキシシラン、o−スチリルトリエトキシシラン、m−スチリルトリメトキシシラン、m−スチリルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、メタクリロキシトリメトキシシラン、メタクリロキシトリエトキシシラン、メタクリロキシトリプロポキシシラン、アクリロキシトリメトキシシラン、アクリロキシトリエトキシシラン、アクリロキシトリプロポキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、2−メタクリロキシエチルトリプロポキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、2−アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−アクリロキシエチルトリエトキシシラン、2−アクリロキシエチルトリプロポキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロブチルトリメトキシシラン、3−(トリメトキシシリル)プロピル無水コハク酸等のトリアルコキシシラン化合物が挙げられる。
p=2の場合における(s1)化合物としては、例えば、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルフェニルジメトキシシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、フェニルトリフルオロプロピルジメトキシシラン等のジアルコキシシラン化合物が挙げられる。
p=3の場合における(s1)化合物としては、例えば、アリルジメチルメトキシシラン、アリルジメチルエトキシシラン、ジビニルメチルメトキシシラン、ジビニルメチルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジフェニルメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジフェニルメトキシシラン、3,3’−ジメタクリロキシプロピルジメトキシシラン、3,3’−ジアクリロキシプロピルジメトキシシラン、3,3’,3’’−トリメタクリロキシプロピルメトキシシラン、3,3’,3’’−トリアクリロキシプロピルメトキシシラン、ジメチルトリフルオロプロピルメトキシシラン等のモノアルコキシシラン化合物が挙げられる。
これらの(s1)化合物のうち、耐擦傷性等を高いレベルで達成できるとともに、縮合反応性が高くなることから、ビニルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(トリメトキシシリル)プロピル無水コハク酸が好ましい。
((s2)化合物)
上記式(S−2)中、R13は炭素数1〜6のアルキル基である。R14は水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のフッ化アルキル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、エポキシ基、アミノ基またはイソシアネート基である。nは0〜20の整数である。qは0〜3の整数である。但し、R13およびR14がそれぞれ複数となる場合、複数のR13およびR14はそれぞれ独立している。
上述のR13である炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基等が挙げられる。これらのうち、加水分解の容易性の観点から、メチル基、エチル基が好ましい。上記のqとしては、加水分解縮合反応の進行の観点から1または2が好ましく、1がより好ましい。
上述のR14が上記炭素数1〜20のアルキル基である場合、そのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、3−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、n−ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、5−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、1−メチルヘキシル基、4,4−ジメチルペンチル基、3,4−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、1,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、1,3−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、1,2−ジメチルペンチル基、1,1−ジメチルペンチル基、2,3,3−トリメチルブチル基、1,3,3−トリメチルブチル基、1,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、6−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、1−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノナニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘプタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基等が挙げられる。好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。
q=0の場合における(s2)化合物としては、例えば、4個の加水分解性基で置換されたシラン化合物として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン等が挙げられる。
q=1の場合における(s2)化合物としては、1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物として、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−i−プロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−i−プロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、トリルトリメトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ナフチルトリエトキシシラン、アミノトリメトキシシラン、アミノトリエトキシシラン、2−(3,4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアノプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアノプロピルトリエトキシシランo−トリルトリメトキシシラン、m−トリルトリメトキシシランp−トリルトリメトキシシラン等が挙げられる。
q=2の場合における(s2)化合物としては、2個の非加水分解性基と2個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物として、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジトリルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン等が挙げられる。
q=3の場合における(s2)化合物としては、3個の非加水分解性基と1個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物として、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリトリルメトキシシラン、トリブチルメトキシシラン等が挙げられる。
これらの(s2)化合物のうち、エポキシ基を有する加水分解性シラン化合物である、2−(3,4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシ、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの他に、4個の加水分解性基で置換されたシラン化合物、1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物が好ましく、1個の非加水分解性基と3個の加水分解性基とで置換されたシラン化合物がより好ましい。特に好ましい加水分解性シラン化合物としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが挙げられ、その他に、例えば、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−i−プロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、トリルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ナフチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランおよびγ−イソシアネートプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
上記(s1)化合物および(s2)化合物の混合比については、(s1)化合物が5モル%を超えることが望ましい。(s1)化合物が5モル%以下の場合、硬化膜を形成する際の露光感度が低く、さらに得られる硬化膜の耐擦傷性等を低下させる傾向にある。
((s1)化合物および(s2)化合物の加水分解縮合)
上記(s1)化合物および(s2)化合物を加水分解縮合させる条件としては、(s1)化合物および(s2)化合物の少なくとも一部を加水分解して、加水分解性基をシラノール基に変換し、縮合反応を起こさせるものである限り特に限定されるものではないが、一例として以下のように実施することができる。
加水分解縮合反応に供される水としては、逆浸透膜処理、イオン交換処理、蒸留等の方法により精製された水を使用することが好ましい。このような精製水を用いることによって、副反応を抑制し、加水分解の反応性を向上させることができる。水の使用量としては上記(s1)化合物および(s2)化合物の加水分解性基の合計量1モルに対して、好ましくは0.1モル〜3モル、より好ましくは0.3モル〜2モル、特に好ましくは0.5モル〜1.5モルである。このような量の水を用いることによって、加水分解縮合の反応速度を最適化することができる。
加水分解縮合に供される溶媒としては、例えば、アルコール類、エーテル類、グリコールエーテル、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート、芳香族炭化水素類、ケトン類、他のエステル類等が挙げられる。これらの溶媒は、単独でまたは2種以上を併用して使用することができる。
これらの溶媒のうち、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、メトキシ酢酸ブチルが好ましく、特に、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシ酢酸ブチルが好ましい。
〔(B)キレート化合物〕
本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物に含有される(B)金属キレート化合物は、触媒として、特に、硬化触媒として作用する。そして、(B)金属キレート化合物は、架橋反応を促進し、低温、短時間の熱処理であっても、本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物を用いた硬化膜の形成を実現することができる。
(B)金属キレート化合物としては、例えば、ジルコニウム化合物、チタニウム化合物およびアルミニウム化合物等が挙げられる。
上述のジルコニウム化合物、チタニウム化合物およびアルミニウム化合物の構造としては、例えば、それぞれ下記式(2−1)〜(2−4)等で表される。
上記式(2−1)〜上記式(2−3)中、R23、R24、R26、R27、R29およびR30は、それぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜16のアルコキシ基、アリール基またはシクロアルキル基である。R25、R28およびR31は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜16のアルコキシ基、アリール基またはシクロアルキル基である。Rは、水素原子またはメチル基である。mおよびm’は、それぞれ独立して0〜3の整数である。m’’は、0〜2の整数である。但し、R23〜R31が、それぞれ複数ある場合、複数のR23〜R31はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
上記式(2−1)〜上記式(2−3)中のR23〜R31の炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。上記炭素数1〜16のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ラウリルオキシ基、ステアリルオキシ基等が挙げられる。上記アリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。上記シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基等が挙げられる。
上記式(2−4)中、Rは、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜16のアルコキシ基、アリール基またはシクロアルキル基である。Arは、アリール基である。但し、RおよびArが、それぞれ複数ある場合、複数のRおよびArはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。Rは、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、シクロアルキル基またはアルコキシ基である。m’’’は、0〜2の整数である。但し、Rが複数ある場合、複数のRは同一であっても異なっていてもよい。
上記式(2−4)中のRの炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。上記炭素数1〜16のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ラウリルオキシ基、ステアリルオキシ基等が挙げられる。上記アリール基としては、例えば、フェニル基、ベンジル基等が挙げられる。上記シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基等が挙げられる。
具体的なジルコニウム化合物としては、例えば、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等が挙げられる。
具体的なチタニウム化合物としては、例えば、ジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトン)チタニウム等のチタニウム化合物等が挙げられる。
具体的なアルミニウム化合物としては、例えば、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート−ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、および下記式で表される化合物等が挙げられる。
これらの(B)金属キレート化合物のうち、アルミニウム化合物が好ましく、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムがより好ましい。
これらの(B)金属キレート化合物は、単独または2種以上を混合して使用することができる。また、(B)金属キレート化合物としては、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物における(B)金属キレート化合物の使用量としては、(A)成分100質量部に対し、0.1質量部〜30質量部が好ましく、0.5質量部〜15質量部がより好ましい。(B)金属キレート化合物の使用量を上記特定範囲とすることで、架橋反応を促進し、低温、短時間の熱処理であっても硬化膜の製造が可能となり、且つ保存安定性を良好に保持することができる。
〔(C)化合物〕
本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物は、(C)成分として、(C)下記式(1)で示される化合物((C)化合物)を含有する。
本実施形態の硬化性樹脂組成物において、(C)化合物は、水素供与体となるシラノール基を有することが可能なシラン化合物であり、その結果、(A)成分中のエポキシ基に対して触媒活性を発現させることができる成分となる。
(式(1)中、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜20の1価の有機基である。Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜8のアシル基または炭素数6〜15のアリール基である。nは、1〜3の整数である。)
上記式(1)のRで表わされる炭素数1〜20の1価の有機基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数4〜20のシクロアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基および炭素数6〜20のアリール基等が挙げられる。
上記式(1)のRのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。また、その置換基としては、例えば、ハロゲン、エポキシ基、グリシジル基、オキセタニル基、カルボキシル基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基およびコハク酸無水物基等が挙げられる。Rのアルキル基の置換体としては、例えば、トリフルオロメチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピル基、1−カルボキシ−2−カルボキシペンチル基、3−アミノプロピル基、3−メルカプトプロピル基、3−イソシアネートプロピル基等が挙げられる。
上記式(1)のRのシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、その置換基としては、例えば、ハロゲン、エポキシ基、グリシジル基、オキセタニル基、カルボキシル基、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基およびコハク酸無水物基等が挙げられる。
上記式(1)のRのアルケニル基およびその置換体としては、例えば、ビニル基、アリル基、3−(メタ)アクリロキシプロピル基および2−(メタ)アクリロキシエチル基等が挙げられる。上記式(1)のRのアリール基およびその置換体としては、例えば、フェニル基、4−トリル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、4−スチリル基、2−フェニルエチル基、1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル基、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル基および4−ヒドロキシ−5−(4−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチル基等が挙げられる。
また、上記式(1)のRのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基またはn−ブチル基が挙げられる。上記式(1)のRのアシル基としては、例えば、アセチル基が挙げられる。上記式(1)のRのアリール基としては、例えば、フェニル基、4−トリル基、4−ヒドロキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−t−ブチルフェニル基または1−ナフチル基が挙げられる。
上記式(1)において、n=1の場合は三官能シラン、n=2の場合は二官能シラン、n=3の場合は一官能シランである。
上記式(1)で表される化合物、すなわち、(C)化合物の具体例としては、例えば、以下の芳香族基を有するシラン化合物、エチレン性不飽和二重結合基を有するシラン化合物、および酸性基を有するシラン化合物を挙げることができる。
上述の芳香族基を有するシラン化合物としては、例えば、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、4−トリルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、4−メトキシフェニルトリメトキシシラン、4−t−ブチルフェニルトリメトキシシラン、1−ナフチルトリメトキシシラン、2−ナフチルトリメトキシシラン、4−スチリルトリメトキシシラン、2−フェニルエチルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシベンジルトリメトキシシラン、1−(4−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン若しくは4−ヒドロキシ−5−(4−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシラン等の三官能シランまたはジフェニルジメトキシシラン若しくはジフェニルジエトキシシラン等の二官能シランが挙げられる。
上述のエチレン性不飽和二重結合基を有するシラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン若しくは4−スチリルトリメトキシシラン等の三官能シランまたはメチルビニルジメトキシシラン若しくはジビニルジエトキシシラン等の二官能シランが挙げられる。
上述の酸性基を有するシラン化合物としては、例えば、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸、3−トリメトキシシリルプロピオン酸、3−トリエトキシシリルプロピオン酸、4−トリメトキシシリル酪酸、4−トリエトキシシリル酪酸、5−トリメトキシシリル吉草酸、5−トリエトキシシリル吉草酸、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、4−(3−トリメトキシシリルプロピル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(3−トリエトキシシリルプロピル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(3−トリメトキシシリルプロピル)フタル酸無水物、4−(3−トリエトキシシリルプロピル)フタル酸無水物、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシフェニルトリメトキシシラン、4−メトキシフェニルトリメトキシシラン、4−ヒドロキシベンジルトリメトキシシラン、1−(4−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルトリメトキシシラン若しくは4−ヒドロキシ−5−(4−ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)ペンチルトリメトキシシランなどの三官能シランまたは3−ジメチルメトキシシリルプロピオン酸、3−ジメチルエトキシシリルプロピオン酸、4−ジメチルメトキシシリル酪酸、4−ジメチルエトキシシリル酪酸、5−ジメチルメトキシシリル吉草酸、5−ジメチルエトキシシリル吉草酸、3−ジメチルメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−ジメチルエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、4−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(3−ジメチルメトキシシリルプロピル)フタル酸無水物若しくは4−(3−ジメチルエトキシシリルプロピル)フタル酸無水物などの一官能シランが挙げられる。
またさらに、(C)化合物の具体例としては、以下に示すその他のシラン化合物を挙げることができる。その他のシラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピルトリメトキシシラン、[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン若しくは3−アミノプロピルトリエトキシシランなどの三官能シラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン若しくはシクロヘキシルメチルジメトキシシランなどの二官能シランまたはトリメチルメトキシシラン、トリ−n−ブチルエトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン若しくは(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシランなどの一官能シランが挙げられる。
以上の(C)化合物は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物における(C)化合物の使用量としては、(A)成分中のエポキシ基に対する(C)化合物のモル比として、0.01以上が好ましく、0.03以上がより好ましく、0.05以上が特に好ましい。そして、(C)化合物の使用量としては、エポキシ基に対する(C)化合物のモル比が上記特定範囲となるように調製することが好ましく、具体的には、(A)成分100質量部に対し、0.5質量部〜70質量部用いることが好ましく、1質量部〜50質量部用いることがより好ましく、2質量部〜40質量部用いることがさらに好ましい。(C)化合物の使用量を上記特定範囲とすることで、架橋反応を促進し、低温、短時間の熱処理であっても硬化膜の製造が可能となり、且つ本実施形態の硬化性樹脂組成物の保存安定性を良好に保持することができる。
〔(D)感光剤〕
上述した本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物の(D)成分である(D)感光剤は、感光性の材料であって、露光によって反応活性な活性種を生じる材料である。(D)感光剤としては、例えば、光酸発生体および光重合開始剤の少なくとも一方を含むことが好ましい。
[光酸発生体]
(D)感光剤として好ましい光酸発生体は、放射線の照射によって酸を発生する化合物である。ここで、放射線としては、上述したように、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線(荷電粒子線)、X線等を使用することができる。本実施形態の硬化性樹脂組成物が(D)感光剤として光酸発生体を含むことで、本実施形態の硬化性樹脂組成物はポジ型の感放射線特性を発揮することができる。
(D)感光剤として好ましい光酸発生体は、放射線の照射によって酸(例えば、カルボン酸、スルホン酸等)を発生させる化合物である限り、特に限定されない。光酸発生体の本実施形態の硬化性樹脂組成物における含有形態としては、後述するような化合物である光酸発生剤の形態でもよく、また、後述するような(A)エポキシ基を有する化合物または他の樹脂成分の一部として組み込まれた光酸発生基の形態でもよく、これらの両方の形態でもよい。
(D)感光剤として好ましい光酸発生剤((D)光酸発生剤ともいう。)としては、オキシムスルホネート化合物、オニウム塩、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、カルボン酸エステル化合物、キノンジアジド化合物等が挙げられる。
(オキシムスルホネート化合物)
上述のオキシムスルホネート化合物としては、下記式(3)で表されるオキシムスルホネート基を含有する化合物が好ましい。
上記式(3)中、R41は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、これらの基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていてもよい。
上記式(3)において、R41のアルキル基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐状アルキル基が好ましい。R41のアルキル基は、炭素数1〜10のアルコキシ基または脂環式基(7,7−ジメチル−2−オキソノルボルニル基等の有橋式脂環式基を含む、好ましくはビシクロアルキル基等)で置換されていてもよい。R41のアリール基としては、炭素数6〜11のアリール基が好ましく、フェニル基またはナフチル基がさらに好ましい。R41のアリール基は、炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子で置換されてもよい。
上記式(3)で表されるオキシムスルホネート基を含有する化合物について、さらに好ましい化合物としては、下記式(4)で表されるオキシムスルホネート化合物を例示することができる。
上記式(4)において、R41は、上記式(3)におけるR41の説明と同義である。Xは、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子である。m1は0〜3の整数である。m1が2または3であるとき、複数のXは同一でも異なっていてもよい。Xとしてのアルキル基は、炭素数1〜4の直鎖状または分岐状アルキル基が好ましい。
上記式(4)において、Xとしてのアルコキシ基としては、炭素数1〜4の直鎖状または分岐状アルコキシ基が好ましい。Xとしてのハロゲン原子は、塩素原子またはフッ素原子が好ましい。mは0または1が好ましい。特に、上記式(4)において、m1が1、Xがメチル基であり、Xの置換位置がオルトである化合物が好ましい。
上述のオキシムスルホネート化合物の具体例としては、例えば、下記式(4−i)〜(4−v)でそれぞれ表される化合物(4−i)、化合物(4−ii)、化合物(4−iii)、化合物(4−iv)および化合物(4−v)等が挙げられる。
これらは単独または2種類以上を組み合わせて使用することができ、(D)成分としての他の光酸発生剤と組み合わせて使用することもできる。上記化合物(4−i)[(5−プロピルスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル]、化合物(4−ii)[(5H−オクチルスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル]、化合物(4−iii)[(カンファースルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル]、化合物(4−iv)[(5−p−トルエンスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル]および化合物(4−v)2−(オクチルスルホニルオキシイミノ)−2−(4−メトキシフェニル)アセトニトリルは、市販品として入手できる。
(オニウム塩)
上述のオニウム塩としては、ジフェニルヨードニウム塩、トリフェニルスルホニウム塩、スルホニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、テトラヒドロチオフェニウム塩、スルホンイミド化合物等が挙げられる。
上述のスルホンイミド化合物としては、例えば、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(カンファスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(4−フルオロフェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(カンファスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(2−フルオロフェニルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(カンファスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド等が挙げられる。
その他の光酸発生剤としては、特開2011−215503号公報に記載の光酸発生剤を用いることができる。
以上までで説明した(D)光酸発生剤の、オキシムスルホネート化合物、オニウム塩、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物およびカルボン酸エステル化合物の中では、放射線感度、溶解性の観点から、オキシムスルホネート化合物が好ましく、上記式(3)で表されるオキシムスルホネート基を含有する化合物がより好ましい。また、上記式(4)で表されるオキシムスルホネート化合物をさらに好ましいものとして挙げることができる。
そして、上記式(3)で表されるオキシムスルホネート基を含有する化合物の中で、市販品として入手可能なことを考慮して、[(5−プロピルスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル]、[(5H−オクチルスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル]、[(5−p−トルエンスルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル]、[(カンファースルフォニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル]、2−(オクチルスルホニルオキシイミノ)−2−(4−メトキシフェニル)アセトニトリルが特に好ましい。
また、(D)光酸発生剤としては、オニウム塩についても好ましく、テトラヒドロチオフェニウム塩およびベンジルスルホニウム塩がより好ましく、4,7−ジ−n−ブトキシ−1−ナフチルテトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネートおよびベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートが特に好ましい。
(D)光酸発生剤がオキシムスルホネート化合物、オニウム塩、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物およびカルボン酸エステル化合物のうちのいずれかである場合、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。(D)光酸発生剤がオキシムスルホネート化合物、オニウム塩、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物およびカルボン酸エステル化合物のうちのいずれかである場合、本実施形態の硬化性樹脂組成物における(D)光酸発生剤の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、1質量部〜5質量部がより好ましい。上述の(D)光酸発生剤の含有量が上述の範囲にあると、本実施形態の硬化性樹脂組成物の放射線感度を最適化することができ、良好なパターニング性を示して、本発明の第2実施形態の硬化膜の形成とタッチパネルの製造に好適なものとなる。
(キノンジアジド化合物)
本実施形態の硬化性樹脂組成物の(D)感光剤として好ましい光酸発生剤は、上述したオキシムスルホネート化合物等の他に、キノンジアジド化合物を挙げることができる。このキノンジアジド化合物は、光酸発生剤として、特に好ましく用いることができる。
キノンジアジド化合物は、放射線の照射によってカルボン酸を発生するキノンジアジド化合物である。キノンジアジド化合物としては、フェノール性化合物またはアルコール性化合物(以下、「母核」と称する。)と、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの縮合物を用いることができる。
上述の母核としては、例えば、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ペンタヒドロキシベンゾフェノン、ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、(ポリヒドロキシフェニル)アルカン、その他の母核等が挙げられる。
1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとしては、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドが好ましい。1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸クロリドとしては、例えば、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸クロリド、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド等が挙げられる。これらのうち、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリドがより好ましい。
フェノール性化合物またはアルコール性化合物(母核)と、1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドとの縮合反応においては、フェノール性化合物またはアルコール性化合物中のOH基数に対して、好ましくは30モル%〜85モル%、より好ましくは50モル%〜70モル%に相当する1,2−ナフトキノンジアジドスルホン酸ハライドを用いることができる。縮合反応は、公知の方法によって実施することができる。
これらのキノンジアジド化合物としては、4,4’−[1−[4−[1−[4−ヒドロキシフェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール(1.0モル)と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリド(2.0モル)の縮合物が好適に用いられる。
これらのキノンジアジド化合物は、単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いること
ができる。
また、上述したオキシムスルホネート化合物、オニウム塩、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物およびカルボン酸エステル化合物等とともに組み合わせて用いることもできる。
本実施形態の硬化性樹脂組成物におけるキノンジアジド化合物の含有量としては、(A)成分100質量部に対して、好ましくは、5質量部〜100質量部、より好ましくは10質量部〜50質量部である。キノンジアジド化合物の含有量を上述の範囲とすることで、現像液となるアルカリ水溶液に対する放射線の照射部分と未照射部分との溶解度の差を大きくして、パターニング性能を向上させることができる。また、この硬化性樹脂組成物を用いて得られる硬化膜の耐溶媒性を良好なものとすることもできる。
[光重合開始剤]
(D)感光剤として好ましい光重合開始剤((D)光重合開始剤ともいう。)は、放射線に感応して、重合性を備えた化合物の重合を開始し得る活性種を生じる成分である。光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤を挙げることができる。
(D)光重合開始剤としては、例えば、O−アシルオキシム化合物、アセトフェノン化合物、ビイミダゾール化合物等が挙げられる。これらの化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
(D)光重合開始剤の具体例であるO−アシルオキシム化合物としては、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルメトキシベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)またはエタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)が好ましい。
上述した(D)光重合開始剤の具体例であるアセトフェノン化合物としては、例えば、α−アミノケトン化合物、α−ヒドロキシケトン化合物が挙げられる。
これらの(D)光重合開始剤としては、特開2013−164471号公報、特開2012−212114号公報、特開2010−85929号公報に記載の光重合開始剤を使用することができる。
(D)感光剤として例示した光重合開始剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
(D)感光剤として例示した光重合開始剤の含有量は、(A)成分100質量部に対して、好ましくは1質量部〜40質量部であり、より好ましくは5質量部〜30質量部である。(D)光重合開始剤の含有量を1質量部〜40質量部とすることで、本実施形態の硬化性樹脂組成物は、低露光量であっても、高い耐溶媒性、高い硬度および高い密着性を有する硬化膜を形成することができる。
〔(E)多官能モノマー〕
本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物に含有される(E)成分の(E)多官能モノマーは、上述した(D)成分の例である(D)光重合開始剤とともに含有することが好ましい。(D)光重合開始剤と(E)多官能モノマーとを含有することにより、本実施形態の硬化性樹脂組成物は、ネガ型の感光性を有する硬化性樹脂組成物として好適に使用することができる。
(E)多官能モノマーとしては、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、2,5−ヘキサンジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類;
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリ(メタ)アクリレート、ベンジルメルカプタン(メタ)トリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート類;等の多官能(メタ)アクリレートが好ましい。
本実施形態の硬化性樹脂組成物において、(E)多官能モノマーの含有量は、露光光に対する感度の点から、本実施形態の硬化性樹脂組成物に含有される樹脂成分の合計100重量部に対して、10重量%以上が好ましく、より好ましくは50重量%〜150重量%の範囲にある。
〔(F)溶剤およびその他の任意成分〕
本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物は、上述した(A)成分、(B)成分および(C)成分に加え、(D)感光剤および(E)多官能モノマーを含有することができ、さらに、本発明の効果を損なわない限り、(F)溶剤およびその他の任意成分を含有することができる。
本実施形態において、(F)成分としては、溶剤のほか、例えば、無機酸化物粒子や界面活性剤等を挙げることができる。
上述した(F)成分である溶剤(以下、単に、(F)溶剤ともいうことがある。)は、本実施形態の硬化性樹脂組成物を所望の固形分濃度に調整するほか、(A)成分〜(C)成分を均一かつ安定に溶解または分散させることができ、また、(D)成分および(E)成分のほか、(F)成分としてのその他任意成分を均一かつ安定に溶解または分散させることができることが好ましい。そして、本実施形態の硬化性樹脂組成物を基板に塗布する際の、塗布性および製膜性を向上させることができることが好ましい。すなわち、(F)成分である溶剤は、上述のような機能を有すれば特に限定されない。
(F)溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類;エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類を用いることができる。
本実施形態の硬化性樹脂組成物において、(F)溶剤は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
本実施形態の硬化性樹脂組成物において任意の成分であり、(F)成分として使用可能な無機酸化物粒子(以下、単に、(F)無機酸化物粒子ともいう。)は、硬化性樹脂組成物を用いて得られる硬化膜の電気絶縁性を維持しながら、誘電特性である比誘電率を制御することができる。また、(F)無機酸化物粒子は、硬化膜の屈折率の制御、硬化膜の透明性の制御、硬化収縮を緩和することによるクラックの抑制、硬化膜の表面硬度向上という目的等でも使用することができる。
(F)無機酸化物粒子は、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、亜鉛、インジウム、スズ、アンチモン、ストロンチウム、バリウム、セリウムおよびハフニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化物である無機酸化物粒子とすることができる。
そして、この群の中でも(F)無機酸化物粒子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタンまたは亜鉛の酸化物粒子が好ましく、ケイ素の酸化物粒子であるシリカ粒子、ジルコニウムまたはチタンの酸化物粒子やチタン酸バリウム(BaTiO)が特に好ましい。これらは(F)無機酸化物粒子として、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、(F)無機酸化物粒子としては、上述の元素の複合酸化物粒子であってもよい。この複合酸化物粒子としては例えば、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム等が挙げられる。また硬化物の電気絶縁性を損なわない範囲でATO(antimoy−tin oxide)、ITO(indium−tin oxide)、IZO(indium−zinc oxide)等を用いることもできる。これらの無機酸化物粒子としては、市販のもの、例えば、シーアイ化成(株)のナノテック(登録商標)等を使用することができる。
(F)無機酸化物粒子の形状は、特に限定されず、球状でも不定形のものでもよく、中空粒子、多孔質粒子、コア・シェル型粒子等であっても構わない。また、動的光散乱法で求めた(F)無機酸化物粒子の体積平均粒子径は5nm〜200nmが好ましく、5nm〜100nmがさらに好ましく、10nm〜80nmが特に好ましい。(F)無機酸化物粒子の体積平均粒子径が5nm未満であると、本実施形態の硬化性樹脂組成物を用いて得られる硬化膜の硬度が低下するおそれや、意図した比誘電率を発現できないおそれがあり、200nmを超えると硬化膜のヘイズが高くなり透過率が低下するおそれや、硬化膜の平滑性が悪くなるおそれがある。
(F)無機酸化物粒子の配合量としては、特に限定されないが、本実施形態の硬化性樹脂組成物に含有される樹脂成分の合計100質量部に対して、1質量部〜500質量部が好ましく、5質量部〜300質量部がより好ましい。(F)無機酸化物粒子の配合量が1質量部未満であると、得られる硬化膜の上述した特性を所望とする範囲内に制御することができない。逆に、(F)無機酸化物粒子の配合量が500質量部を超えると塗布性や膜の硬化性が低下し、また、得られる硬化膜のヘイズが高くなるおそれがある。
また、本実施形態の硬化性樹脂組成物において任意の成分であり、(F)成分として使用可能な界面活性剤は、本実施形態の硬化性樹脂組成物の塗布性の改善、塗布ムラの低減、放射線照射部の現像性を改良するために添加することができる。好ましい界面活性剤の例としては、フッ素系界面活性剤およびシリコーン系界面活性剤が挙げられる。このような界面活性剤としては、特開2011−128469号公報記載の分散剤を用いることができる。
(F)成分として界面活性剤を使用する場合の配合量は、本実施形態の硬化性樹脂組成物に含有される樹脂成分の合計100質量部に対して、好ましくは0.01質量部〜10質量部、より好ましくは0.05質量部〜5質量部である。界面活性剤の配合量を0.01質量部〜10質量部とすることによって、本実施形態の硬化性樹脂組成物の塗布性を最適化することができる。
〔硬化性樹脂組成物の調製〕
本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物は、上述した(A)成分、(B)成分および(C)成分を所定の割合で混合することで調製される。また、(D)感光剤や(E)多官能モノマーが含有される場合、(A)成分、(B)成分および(C)成分に加え、(D)成分および(E)成分を所定の割合で混合することで調製される。さらに、上述した任意の成分である(F)が含有される場合、(A)成分、(B)成分および(C)成分、あるいは、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分および(E)成分に加え、(F)成分を所定の割合で混合することで調製される。
実施の形態2.
<硬化膜>
本発明の第2実施形態の硬化膜は、上述した、本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物を用いて形成されることを特徴とする。
本発明の第2実施形態の硬化膜は、パターニング性を備えるとともに、優れた光透過性と硬度とを有し、さらに、基板や基板上の金属からなる膜との間で優れた密着性を示す。すなわち、本発明の第2実施形態の硬化膜は、モリブデン、銀、銅、アルミニウムおよび炭素よりなる群から選ばれる1種以上の元素を含む配線との間で優れた密着性を示し、例えば、Mo/Al/Moとなる積層構造等のように、異なる層を積層して構成された配線との間で優れた密着性を示す。
本発明の第2実施形態の硬化膜は、配線や電極の形成された基板上に形成され、必要に応じて、フォトリソグラフィ法等の公知の方法を利用してパターニングが施される。そして、本発明の第2実施形態の硬化膜は、タッチパネルの配線の少なくとも一部を覆ってなる、高信頼性の保護膜を構成することができる。
本発明の第2実施形態の硬化膜は、後述する本発明の第4実施形態のタッチパネルの製造方法に含まれる、硬化膜の形成工程と同様の方法によって形成することができる。
実施の形態3.
<タッチパネル>
本発明の第3実施形態であるタッチパネルは、配線とその配線の少なくとも一部を覆う硬化膜とを有するタッチパネルである。すなわち、本実施形態のタッチパネルは、基板上に、操作者の指等のタッチ操作を検出するための検知電極を有し、その検知電極に電気的に接続する配線を有し、その配線の少なくとも一部および検知電極の少なくとも一部を覆ってそれらを保護する硬化膜を有する。
本実施形態のタッチパネルにおいて、配線は、金属材料を用い形成された金属配線である。そして、本実施形態のタッチパネルにおいて、その配線の少なくとも一部を覆う硬化膜は、上述した、本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物を用いて形成されたものである。すなわち、本実施形態のタッチパネルは、後述する、本発明の第4実施形態のタッチパネルの製造方法にしたがい、本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物を用いた硬化膜の形成等を行って製造される。したがって、本実施形態のタッチパネルは、配線の少なくとも一部を覆う硬化膜を、本発明の第2実施形態の硬化膜を用いて構成することができる。
尚、本実施形態のタッチパネルにおいて、検知電極に接続する配線は、検知電極をタッチパネルの基板の端部に引き回すための配線を含み、また、分断された検知電極の部分同士を接続するための配線を含む。本実施形態のタッチパネルは、これら配線の少なくとも一部を覆ってそれを保護する硬化膜を有して構成される。
本実施形態のタッチパネルは、例えば、静電容量方式のタッチパネルとすることができる。
図1は、本発明の第3実施形態のタッチパネルを示す平面図である。
図2は、図1のB−B’線に沿う断面図である。
図2では、図1のB−B’線に沿う断面を模式的に示している。
図1に示すように、本発明の第3実施形態のタッチパネル21は、透明基板22の表面に、X方向に延在する第1検知電極23と、X方向に直交するY方向に延在する第2検知電極24とを有する。
透明基板22はガラス基板とすることができる。また、透明基板22は、樹脂基板とすることもでき、その場合、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、環状オレフィンの開環重合体フィルムおよびその水素添加物からなるフィルム等を用いることができる。透明基板22の厚みとしては、ガラス基板の場合、0.1mm〜3mmとすることができる。樹脂基板の場合、10μm〜3000μmとすることができる。
第1検知電極23および第2検知電極24は、それぞれ複数が配置される。そして、第1検知電極23および第2検知電極24は、タッチパネル21の操作領域でマトリクス状に配置されている。第1検知電極23は、操作者によるタッチ位置のY方向の座標を検出するために用いられる。第2検知電極24は、操作者によるタッチ位置のX方向の座標を検出するために用いられる。第1検知電極23と第2検知電極24とは、透明基板22の同一面の同一層に設けられている。
尚、タッチパネル21において、第1検知電極23および第2検知電極24の数は図1の例に限られるものではなく、操作領域の大きさと必要とされるタッチ位置の検出精度に応じて決定されることが好ましい。すなわち、タッチパネル21は、より多い数や少ない数の第1検知電極23および第2検知電極24を用いた構成とすることができる。
図1に示すように、第1検知電極23および第2検知電極24はそれぞれ、菱形形状の複数の電極パッド30から構成されている。第1検知電極23と第2検知電極24とは、第1検知電極23の電極パッド30がそれと隣接する第2検知電極24の電極パッド30と離間するように配置される。このとき、それら電極パッド30間の隙間は、絶縁性が確保できる程度のごく小さなものとされる。
そして、第1検知電極23と第2検知電極24とは、互いに交差する部分をできる限り小さくできるように配置される。そして、第1検知電極23および第2検知電極24を構成する電極パッド30がタッチパネル21の操作領域全体に配置されるようにする。
尚、図1に示すように、電極パッド30は菱形形状とすることができるが、こうした形状に限られず、例えば、六角形等の多角形形状とすることができる。
第1検知電極23および第2検知電極24はそれぞれ、透明電極であることが好ましい。ここで、透明電極とは、可視光に対して高い透過性を備える電極である。第1検知電極23および第2検知電極24としては、ITOからなる電極や、酸化インジウムと酸化亜鉛からなる電極等、透明導電材料からなる電極を用いることができる。第1検知電極23および第2検知電極24がそれぞれITOからなる場合、十分な導電性を確保できるよう、それらの厚さを10nm〜100nmとすることが好ましい。
第1検知電極23および第2検知電極24の形成は、公知の方法を用いて行うことができ、例えば、ITO等の透明導電材料からなる膜をスパッタリング法等を用いて製膜し、フォトリソグラフィ法等を利用してパターニングすることで行うことができる。
図1および図2に示すように、第1検知電極23および第2検知電極24は、透明基板22の同一面上に形成されており、同一層をなしている。そのため、第1検知電極23と第2検知電極24とは、操作領域において、複数の箇所で交差しており、交差部28を形成している。
本実施形態のタッチパネル21では、図2に示すように、交差部28において、第1検知電極23および第2検知電極24のいずれか一方が他方と接触しないように分断される。すなわち、交差部28において、第1検知電極23は繋がっているが、図2の左右方向に伸びる第2検知電極24は分断されて形成されている。そして、第2検知電極24の途切れた箇所を電気的に接続させるために、ブリッジ配線32が設けられている。ブリッジ配線32と第1検知電極23との間には、絶縁性物質からなる層間絶縁膜29が設けられている。
図2に示すように、交差部28で、第1検知電極23の上に設けられた層間絶縁膜29は、光透過性に優れた材料から形成されている。層間絶縁膜29は、ポリシロキサン、アクリル系樹脂、およびアクリルモノマー等の印刷法を用いて塗布し、必要な場合にパターニングを行った後、それを加熱硬化させて形成することができる。ポリシロキサンを用いて形成した場合には、層間絶縁膜29はシリコン酸化物(SiO)からなる無機絶縁層となる。また、アクリル系樹脂、およびアクリルモノマーを用いた場合には、層間絶縁膜29は樹脂からなる有機絶縁層となる。層間絶縁膜29にSiOを用いる場合には、例えば、マスクを用いたスパッタリング法によって、交差部28における第1検知電極23の上にのみSiO膜を形成して、層間絶縁膜29を構成することもできる。
層間絶縁膜29の上層には、ブリッジ配線32が設けられている。ブリッジ配線32は、上述したように、交差部28で途切れた第2検知電極24同士を電気的に接続する機能を果たす。ブリッジ配線32は、ITO等の光透過性に優れた材料によって形成されることが好ましい。また、ブリッジ配線32は、抵抗特性に優れた金属材料を用いて構成し、金属配線とすることも可能である。ブリッジ配線32は、抵抗特性に優れた金属配線とすることにより、線幅を細くすることができ、タッチパネル21の操作者に対して目立ち難くすることができる。タッチパネル21では、ブリッジ配線32を設けることにより、第2検知電極24をY方向に電気的に接続することができる。
図2に示すように、第1検知電極23および第2検知電極24は、上述したように、菱形の電極パッド30を縦または横に複数並べた形状を有する。第1検知電極23において、交差部28に位置する接続部分は、第1検知電極23の菱形の電極パッド30より幅の狭い形状とされる。また、ブリッジ配線32も、菱形の電極パッド30より幅の狭い形状であって、短冊状に形成されている。
タッチパネル21の第1検知電極23と第2検知電極24の端部には、それぞれ端子(図示されない)が設けられており、その端子からそれぞれ配線31が引き出される。配線31は、モリブデン、銀、銅、アルミニウムおよび炭素よりなる群から選ばれる1種以上の元素を含む配線とすることができる。そして、モリブデンとアルミニウムの金属膜を積層して用いた金属配線、例えば、Mo/Al/Moとなる積層構造を形成して構成された金属配線とすることができる。
配線31は、その端部の接続端子(図示されない)を用いて、第1検知電極23および第2検知電極24への電圧印加やタッチ操作の位置を検出する外部の制御回路(図示されない)に電気的に接続される。
図1および図2に示すように、第1検知電極23、第2検知電極24および配線31の形成された透明基板22の表面には、配線31を覆うように、光透過性の硬化膜25が設けられている。同様に、硬化膜25は、第1検知電極23および第2検知電極24も覆うように形成されている。したがって、ブリッジ配線32が、配線31と同様に金属配線である場合、硬化膜25は、配線31とともに、金属配線であるブリッジ配線32も覆うことができる。
硬化膜25は、タッチパネル21の配線形成領域で配線31の少なくとも一部を覆って保護し、また、操作領域で、第1検知電極23および第2検知電極24等を覆って保護するようにパターニングされて形成される。具体的に、硬化膜25は、第1検知電極23および第2検知電極24から引き出される配線31の端部の接続端子(図示されない)が露出するようにパターニングされて形成される。
硬化膜25の形成には、本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物を用いることができる。そして、所定のパターニングを行って、配線31の少なくとも一部の上、並びに、第1検知電極23および第2検知電極24の上に配置することができる。硬化膜25は、本発明の第2実施形態の硬化膜となる。
すなわち、本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物は、後述する本発明の第4実施形態のタッチパネルの製造方法において詳細に説明されるように、基板上、金属配線である配線31の少なくとも一部の上に適用され、硬化され、それを覆って保護するための硬化膜となる。このとき、使用する本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物は、金属配線である配線31を腐食させる等の不具合を生じさせること等がなく、配線31の保護膜として硬化膜25を形成することができる。
そして、本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物を用いて形成された硬化膜25は、光透過性に優れ、また、タッチパネル21の透明基板22上に形成された、モリブデン、銀、銅、アルミニウムおよび炭素よりなる群から選ばれる1種以上の元素を含む配線、例えば、Mo/Al/Moとなる積層構造を形成して構成された金属配線である配線31に対して優れた密着性を備えている。
したがって、タッチパネル21は、硬化膜25を有することによって高信頼化を実現することができる。
また、硬化膜25の形成されたタッチパネル21は、透明基板22の配線31並びに第1検知電極23および第2検知電極24の形成面に、例えば、アクリル系の透明接着剤からなる接着層(図示されない)を用いて透明な樹脂からなるカバーフィルム(図示されない)を設けることが可能である。
以上の構成を有するタッチパネル21は、第1検知電極23と第2検知電極24がマトリクス状に配置された操作領域において静電容量を計測し、操作者の指等のタッチ操作があった場合に生じる静電容量の変化から、指等の接触位置を検知することができる。そして、タッチパネル21は、第1検知電極23および第2検知電極24に電気的に接続する配線31を介して接続され、液晶表示素子や有機EL素子等のディスプレイの上に載置され、電子機器のディスプレイの入力装置として好適に使用することが可能である。
実施の形態4.
<タッチパネルの製造方法>
本発明の第4実施形態であるタッチパネルの製造方法においては、上述した本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物を用いて行う硬化膜の形成工程が主要な工程として含まれる。そして、この硬化膜の形成工程では、硬化膜のパターニングが行われる。そして、この硬化膜の形成工程において、本発明の第2実施形態の硬化膜が形成される。以下、主要工程である硬化膜の形成工程を主に説明し、タッチパネルの製造方法について説明する。
本実施形態の硬化膜の形成とタッチパネルの製造方法では、検知電極および配線等の配置された基板上に硬化膜が形成されるように、少なくとも下記の工程[1]〜工程[3]を下記の順で含むことが好ましい。
[1]本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物の塗膜を形成する工程
[2]工程[1]で形成した塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程
[3]工程[2]で放射線を照射された塗膜を現像する工程
以下で、上記[1]〜[3]の各工程について説明する。
[1]硬化性樹脂組成物の塗膜を基板上に形成する工程
工程[1]においては、基板上に本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物を塗布する。次いで、好ましくは塗布面を加熱(プレベーク)し、塗膜に溶剤が含有される場合にその溶剤を除去して、塗膜を形成する。
基板としては可視光透過性に優れた透明基板を用いることが好ましい。使用できる基板の例としては、ガラス基板や樹脂基板等を挙げることができる。樹脂基板の具体例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、環状オレフィンの開環重合体フィルムおよびその水素添加物からなるフィルム等を挙げることができる。
そして、この基板には、検知電極、層間絶縁膜および配線等が形成されている。検知電極や層間絶縁膜は、公知の方法により形成されたものである。すなわち、検知電極は、ITOからなる透明導電膜や、酸化インジウムと酸化亜鉛からなる透明導電膜等を、上記のガラス基板や樹脂基板上に公知の方法を用いて形成した後、必要な場合に、フォトリソグラフィ法によるエッチングを行って形成することができる。
また、基板上の配線についても公知の方法にしたがい形成されたものである。すなわち、配線は、例えば、モリブデン、銀、銅、アルミニウムおよび炭素よりなる群から選ばれる1種以上の元素を含む配線とすることができるが、より具体的に、その配線がMo/Al/Moとなる積層構造を有して構成されたものである場合、ターゲットとしてモリブデンおよびアルミニウムを用い、スパッタリング法によりMo/Al/Moとなる金属膜の積層構造を基板上に形成する。そして、例えば、ポジ型フォトレジストを用い、フォトリソグラフィ法を利用した公知のパターニング方法により、Mo/Al/Moとなる積層構造を有して構成された配線のパターンを形成する。すなわち、基板上にMo/Al/Moとなる積層構造の配線を形成することができる。
基板上に硬化性樹脂組成物を塗布する塗布方法は、特に限定されない。例えば、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法(スピンコート法)、スリットダイ塗布法、バー塗布法、インクジェット法等の適宜の方法を採用することができる。これらの塗布方法の中でも、特にスピンコート法またはスリットダイ塗布法が好ましい。プレベークの条件は、各成分の種類、配合割合等によっても異なるが、好ましくは70℃〜120℃で1分間〜10分間程度とすることができる。
[2]塗膜の少なくとも一部に放射線を照射する工程
工程[2]では、工程[1]で形成された基板上の塗膜の少なくとも一部に、放射線を照射(以下、露光ともいう。)する。この場合、塗膜の一部に露光する際には、通常、タッチパネルの硬化膜の形成に好適となるパターンを有するフォトマスクを介して露光する。露光に使用される放射線としては、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を使用できる。これらの放射線の中でも、波長が190〜450nmの範囲にある放射線が好ましく、特に365nmの紫外線を含む放射線が好ましい。
工程[2]における露光量は、放射線の波長365nmにおける強度を、照度計(OAI model356、OAI Optical Associates Inc.製)により測定した値として、好ましくは100J/m〜10000J/m、より好ましくは500J/m〜6000J/mである。
[3]現像工程
工程[3]では、工程[2]で得られた露光後の塗膜を現像することにより、不要な部分(硬化性樹脂組成物の塗膜がポジ型の場合は、放射線の照射部分。ネガ型の場合は、放射線の非照射部分。)を除去して、所定のパターンを形成する。
現像工程に使用される現像液としては、アルカリ(塩基性化合物)の水溶液かならなるアルカリ現像液の使用が好ましい。アルカリの例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア等の無機アルカリ;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩等を挙げることができる。
また、このようなアルカリ現像液には、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加して使用することもできる。アルカリ現像液におけるアルカリの濃度は、適当な現像性を得る観点から、好ましくは0.1質量%〜5質量%とすることができる。現像方法としては、例えば、液盛り法、ディッピング法、揺動浸漬法、シャワー法等の適宜の方法を利用することができる。現像時間は、硬化性樹脂組成物の組成によって異なるが、好ましくは10秒間〜180秒間程度である。このような現像処理に続いて、例えば、流水洗浄を30秒間〜90秒間行った後、例えば、圧縮空気や圧縮窒素で風乾させることによって、所望のパターンを形成することができる。
このように工程[1]〜工程[3]により形成された基板上の硬化膜は、透明性が高く、また、検知電極および配線を保護するように機能する。
尚、工程[3]の現像後、必要に応じて、露光により硬化膜をさらに硬化させてもよい。また、現像後の露光の代わりに、あるいは、露光と併せて、80℃〜280℃の加熱処理を施してもよい。こうすることにより、より高強度の硬化膜が得られる。
硬化膜の膜厚としては、好ましくは0.1μm〜8μm、より好ましくは0.1μm〜6μm、さらに好ましくは0.1μm〜4μmである。本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物から形成された硬化膜は透明性に優れ、また、タッチパネルを構成可能な上述の基板およびその基板上に形成された金属配線に対して優れた密着性を備えている。
以上のようにして、本発明の第4実施形態であるタッチパネルの製造方法は、光透過性を有する基板上に検知電極と配線と硬化膜とを配置して、例えば、上述した本発明の第3実施形態のタッチパネルを製造することができる。すなわち、上述の本発明の第1実施形態の硬化性樹脂組成物を用い、配線との密着性に優れた硬化膜を有して高信頼性を有するタッチパネルを製造することができる。
以下、実施例に基づき本発明の実施形態をより詳しく説明するが、この実施例によって本発明が限定的に解釈されるものではない。
<エポキシ基を有する化合物の合成>
合成例1(エポキシ基を有する化合物(A−1)の合成)
冷却管および攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)7重量部およびジエチレングリコールエチルメチルエーテル220重量部を仕込んだ。引き続きメタクリル酸20重量部、メタクリル酸グリシジル40重量部、メタクリル酸メチル30重量部、N−シクロヘキシルマレイミド10重量部、およびα−メチルスチレンダイマー7重量部を仕込み窒素置換した後、ゆるやかに撹拌を始めた。溶液の温度を70℃に上昇し、この温度を5時間保持することにより、共重合体としてエポキシ基を有する化合物(A−1)を合成し、それを含む重合体溶液を得た。
得られた重合体溶液の固形分濃度(重合体溶液の全重量に占める重合体重量の割合を言う。以下同じ。)は31.0重量%であった。また、共重合体であるエポキシ基を有する化合物(A−1)のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は10000、分子量分布(分散度)(Mw/Mn)は2.5であった。
合成例2(エポキシ基を有する化合物(A−2)の合成)
冷却管および攪拌機を備えたフラスコに、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)7重量部およびジエチレングリコールエチルメチルエーテル220重量部を仕込んだ。引き続きメタクリル酸20重量部、メタクリル酸グリシジル40重量部、無水マレイン酸10重量部、スチレン30重量部、およびα−メチルスチレンダイマー7重量部を仕込み窒素置換した後、ゆるやかに撹拌を始めた。溶液の温度を70℃に上昇し、この温度を5時間保持することにより、共重合体としてエポキシ基を有する化合物(A−2)を合成し、それを含む重合体溶液を得た。
得られた重合体溶液の固形分濃度は30.0重量%であった。また、共重合体であるエポキシ基を有する化合物(A−2)のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は9000、分子量分布(分散度)(Mw/Mn)は2.6であった。
合成例3(エポキシ基を有する化合物(A−3)の合成)
撹拌機付の容器内に、プロピレングリコールモノメチルエーテル24質量部を仕込み、
続いて、メチルトリメトキシシラン25質量部、フェニルトリメトキシシラン25質量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン50質量部を仕込み、溶液温度が60℃になるまで加熱した。溶液温度が60℃に到達後、無水マレイン酸0.2質量部、イオン交換水19質量部を仕込み、75℃になるまで加熱し、2時間保持した。45℃に冷却後、エバポレーションすることで、イオン交換水および加水分解縮合で発生したメタノールを除去した。以上により、ポリシロキサンであるエポキシ基を有する化合物(A−3)を合成し、それを含む重合体溶液を得た。
得られた重合体溶液の固形分濃度は40質量%であった。また、ポリシロキサンであるエポキシ基を有する化合物(A−3)のポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は610であり、分散度(Mw/Mn)は1.1であった。
<硬化性樹脂組成物の調製>
実施例1
合成例1で得られた、(A)成分であるエポキシ基を有する化合物(A−1)を含む重合体溶液(固形分換算で100質量部)に、(B)成分として(B−1)アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)0.5質量部、(C)成分として(C−1)トリ−p−トリルシラノール 2質量部、(D)成分として(D−1)エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)5質量部、(E)成分として(E−1)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(モル比50/50)100質量部を加えた。次いで、固形分濃度が25重量%となるようにジエチレングリコールエチルメチルエーテルを加え、硬化性樹脂組成物を調製した。
実施例2〜11
使用する(A)成分であるエポキシ基を有する化合物、(B)成分である金属キレート化合物、(C)成分である上述の(C)化合物、(D)成分である感光剤、(E)成分である多官能モノマーを下記の表1に記載のとおり変更した以外は、上述の実施例1と同様に調製して、実施例2〜8および実施例10〜11の硬化性樹脂組成物を得た。
そして、実施例9では、(A)成分〜(E)成分とともに、(F)成分である無機酸化物粒子を用いて硬化性樹脂組成物を調製した。すなわち、実施例9では、(A)成分であるエポキシ基を有する化合物、(B)成分である金属キレート化合物、(C)成分である上述の(C)化合物、(D)成分である感光剤、(E)成分である多官能モノマーおよび(F)成分である無機酸化物粒子を下記の表1に記載のとおり変更した以外は、上述の実施例1と同様に調製して、硬化性樹脂組成物を得た。
比較例1〜4
比較例1〜3では、(A)成分であるエポキシ基を有する化合物、(D)成分である感光剤、(E)成分である多官能モノマーを下記の表1に記載のとおりの使用量で用い、それ以外の方法については上述の実施例1と同様の方法によって調製を行い、それぞれ硬化性樹脂組成物を得た。
そして、比較例4では、(A)成分、(D)成分および(E)成分とともに、上述した実施例1の(C)成分に対する比較成分となる(c−1)テトラメトキシシランを用いて硬化性樹脂組成物を調製した。すなわち、比較例4では、(A)成分であるエポキシ基を有する化合物、(D)成分である感光剤、(E)成分である多官能モノマーおよび(c−1)テトラメトキシシランを下記の表1に記載のとおりの使用量とした以外は、上述の実施例1と同様に調製して、硬化性樹脂組成物を得た。
下記の表1中に記載の(A)〜(F)の各成分の詳細は以下のとおりである。
このとき、表1の組成欄中の「−」は該当する成分を使用しなかったことを表す。
(A)成分:エポキシ基を有する化合物
A−1:合成例1のエポキシ基を有する化合物(A−1)
A−2:合成例2のエポキシ基を有する化合物(A−2)
A−3:合成例3のエポキシ基を有する化合物(A−3)
A−4:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(エピコート152、ジャパンエポキシレジン社製)
(B)成分:金属キレート化合物
B−1:アルミニウムトリス(アセチルアセトネート) (アルミキレートA(W)、川研ファインケミカル社製)
B−2:ジイソプロポキシモノ(9−オクタデカニルアセトアセタートアルミニウム)(AL−M、川研ファインケミカル社製)
(C)成分:(C)化合物、およびその比較成分
C−1:トリ−p−トリルシラノール
c−1:テトラメトキシシラン
(D)成分:感光剤
D−1:エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)(IRGACURE(登録商標) OX02、BASF社製)
D−2:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE(登録商標) 819、BASF社製)
(E)成分:多官能モノマー
E−1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(モル比50/50)(DPHA、日本化薬社製)
E−2:コハク酸変性ペンタエリスリトールトリアクリレート(アロニックス TO−756、東亞合成社製)
(F)成分:無機酸化物粒子
F−1:ZrOゾル(ID191、テイカ社製)
<硬化膜の製造と評価>
実施例12
[透過率の評価]
ガラス基板(「コーニング7059」(コーニング社製))に、実施例1〜実施例11および比較例1〜比較例4で調製した硬化性樹脂組成物を、スピンナを用いて塗布した後、ホットプレート上で90℃にて2分間プレベークして塗膜を形成した。次いで、キヤノン(株)製PLA−501F露光機(超高圧水銀ランプ)を用い露光を行い、0.4質量%としたテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像を行った。さらに30分間加熱することで膜厚2.0μmの硬化膜を得た。このとき、実施例1〜実施例8および比較例1〜比較例2で調製した硬化性樹脂組成物を用いた場合の加熱温度は、150℃とし、実施例9〜実施例11および比較例3〜比較例4で調製した硬化性樹脂組成物を用いた場合の加熱温度は、230℃とした。
上述の硬化膜が形成されたガラス基板について、分光光度計「150−20型ダブルビーム」((株)日立製作所製)を用いて波長400nm〜800nmの範囲の光透過率を測定し、各ガラス基板について、波長400nm〜800nmの範囲の光透過率の最低値(最低光透過率とも称する。)を評価した。そして、波長400nmでの光透過率を評価の基準とし、波長400nmの光透過率が85%以上の場合、光透過率特性が特に良好であると判断した。得られた評価結果は、「透過率(%)」として、下記の表1にまとめて示した。
実施例13
[密着性の評価]
ターゲットとしてモリブデンおよびアルミニウムを用い、ガラス基板(「コーニング7059」(コーニング社製))上にスパッタし、30nmの厚さでMo/Al/Moとなる積層構造を有して構成された金属膜を製膜した。同様の金属膜の形成された基板を多数準備して評価用の基板とした。次いで、各評価用の基板上に実施例1〜実施例11および比較例1〜比較例4で調製した硬化性樹脂組成物を、それぞれスピンナを用いて塗布した後、ホットプレート上で90℃にて2分間プレベークして各塗膜を形成した。次いで、キヤノン(株)製PLA−501F露光機(超高圧水銀ランプ)を用い露光を行い、0.4質量%としたテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像を行った。さらに30分間加熱することで膜厚2.0μmの硬化膜を得た。このとき、実施例1〜実施例8および比較例1〜比較例2で調製した硬化性樹脂組成物を用いた場合の加熱温度は、150℃とし、実施例9〜実施例11および比較例3〜比較例4で調製した硬化性樹脂組成物を用いた場合の加熱温度は、230℃とした。
上述の硬化膜が作成された各評価用の基板について、「JIS K−5400−1990の8.5.3付着性碁盤目テープ法」を行い、碁盤目100個中で残った碁盤目の数を求め、各硬化膜の密着性を評価した。そして、得られた評価結果を、各硬化膜の「密着性」として、下記の表1にまとめた。
実施例14
[耐薬品性(密着)の評価]
上述した実施例13の密着性の評価と同様にして、評価用の基板上に各硬化膜を形成した。次いで、形成した硬化膜を有する各基板について、30℃にて5%NaOH水溶液中に30分間浸漬させた後、水分を除去した。この硬化膜が形成された各評価用の基板について、プレッシャークッカー試験(120℃、湿度100%、4時間)を行った。プレッシャークッカー試験後の基板について「JIS K−5400−1990の8.5.3付着性碁盤目テープ法」を行い、碁盤目100個中で残った碁盤目の数を求め、各硬化膜の密着性を評価した。密着性の評価については、碁盤目100個中で残った碁盤目の数が80個以下の場合に、密着性は不良と判断し、耐薬品性(密着)は不良であると判断した。そして、得られた評価結果を、各硬化膜の「耐薬品性(密着)」として、下記の表1にまとめた。
実施例15
[鉛筆硬度の評価]
上述した実施例13の密着性の評価と同様にして、評価用の基板上に各硬化膜を形成した。次いで、形成した硬化膜を有する各評価用の基板について、「JIS K−5400−1990の8.4.1鉛筆引っかき試験」により各硬化膜の鉛筆硬度(表面硬度)を測定した。この値が2Hまたはそれより大きいとき、硬化膜の表面硬度は良好であると判断した。そして、得られた評価結果を、各硬化膜の「鉛筆硬度」として、下記の表1にまとめた。
表1には、実施例1〜11および比較例1〜4で調製した硬化性樹脂組成物の組成と製膜時の条件である現像後の加熱温度を示すとともに、それらを用いて製造された硬化膜の評価結果をまとめて示している。尚、表1において、硬化膜の製膜条件である加熱温度、すなわち、現像後の加熱温度が150℃である場合には、該当する欄に○符号が付され、その加熱温度が230℃である場合には、該当する欄に○符号が付されている。
表1に示すように、実施例1〜11の硬化性樹脂組成物を用いて形成された硬化膜は、光透過特性(透過率(%))、密着性、耐薬品性および硬度(鉛筆硬度)のいずれにおいても優れた評価結果を示し、タッチパネルの保護膜として好適に使用できることがわかった。
<タッチパネルの製造と評価>
実施例16
本実施例では、図1で例示された本実施形態のタッチパネル21と同様の構造を備えたタッチパネルを製造し、評価を行った。尚、以下、本実施例のタッチパネルにおいては、便宜上、図1のタッチパネルと共通する構成要素について同一の符号を付すようにし、図1等を適宜参照しながら説明を行うこととする。
本実施例で製造されたタッチパネル21は、図1に示すように、透明基板22上に縦3cm×横3cmの操作領域を有し、膜厚30nmのITOから形成されてX方向に延在する第1検知電極23と、X方向に直交するY方向に延在する第2検知電極24とをそれぞれ3列ずつ有している。
タッチパネル21の製造では、始めに、透明基板22を準備した。透明基板22としては、無アルカリガラスである0.55mm厚のガラス基板を用い、超純水を用いて界面活性剤処理し、引き続き超音波洗浄処理により洗浄して使用した。
次に、透明基板22上に金属配線である配線31を形成した。まず、ターゲットとしてモリブデンおよびアルミニウムを用い、スパッタリング法により、透明基板22上に30nmの厚さでMo/Al/Moとなる積層構造を有して構成された金属膜を製膜した。引き続き、ポジ型フォトレジストを用い、フォトリソグラフィ法により、操作領域外となる配線領域に、Mo/Al/Moとなる積層構造を有して構成された配線31を形成した。
次に、配線31が形成された透明基板22上に、第1検知電極23および第2検知電極24を形成するために、スパッタリング法により全面に30nmの厚さでITOを製膜した。そして、配線31の形成時と同様のポジ感光性材料を用い、フォトリソグラフィ法により第1検知電極23および第2検知電極24を形成した。
図3は、タッチパネルを形成するため透明基板上に形成された配線、第1検知電極および第2検知電極を示す平面図である。
図3に示すように、第1検知電極23および第2検知電極24はそれぞれ、菱形形状の4個の電極パッド30から構成されている。そして、第1検知電極23および第2検知電極24が交差する交差部28において、第1検知電極23は繋がっているが、第2検知電極24は分断されて形成されている。
次に、アクリル樹脂材料(JSR社製、NN902番号)を用い、配線31、第1検知電極23および第2検知電極24の形成された透明基板22上に、スピンコート法により塗膜を形成した。次いで、90℃のホットプレート上で45秒間加熱(プレベーク)して、溶剤成分を除去した。基板を室温まで冷却した後、層間絶縁層29形成用のマスクパターンを備えたフォトマスクを使用し、キヤノン(株)製PLA−501F露光機(超高圧水銀ランプ)により365nmで100mJの露光量で露光処理をした。次いで、現像液として無機アルカリ溶液(JSR社製 CD150−CR)を用いてディップ現像し、未露光部分を除去して、この後に層間絶縁層29となるパターンを形成した。さらに、透明基板22上に形成されたパターンをオーブン中、大気雰囲気下で、230℃1時間加熱(ポストベーク)して硬化させ、膜厚1.5μmのパターニングされた層間絶縁層29を交差部28の第1検知電極23上に形成した。
次に、層間絶縁層29上で第2検知電極24の途切れた箇所を電気的に接続させるため、交差部28の層間絶縁層29上にブリッジ配線32を形成した。具体的には、まずブリッジ配線32を形成するために、ITOを用い、スパッタリング法により基板全面に50nmの厚さで製膜した。次いで、第1検知電極23等と同様にポジ感光性材料を用い、フォトリソグラフィ法によってITO膜のパターニングを行い、タッチパネル21の交差部28の層間絶縁膜29上に、複数のブリッジ配線32を形成した。
図4は、タッチパネルを形成するため透明基板上に形成された配線、第1検知電極、第2検知電極、層間絶縁層およびブリッジ配線を示す平面図である。
図4に示したように、透明基板22上の交差部28では、第1検知電極23は繋がり、第2検知電極24は分断されて形成されている。したがって、第2検知電極24の途切れた箇所を電気的に接続させるために、ブリッジ配線32が設けられている。ブリッジ配線32と第1検知電極23との間には、層間絶縁膜29が設けられている。
次に、上述した実施例1で調製された硬化性樹脂組成物を用い、スピンナを使用して基板全面に塗布した後、ホットプレート上で90℃にて2分間プレベークして塗膜を形成した。実施例1の硬化性樹脂組成物は、合成例1で得られた、(A)成分であるエポキシ基を有する化合物(A−1)を含む重合体溶液(固形分換算で100質量部)に、(B)成分として(B−1)アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)0.5質量部、(C)成分として(C−1)トリ−p−トリルシラノール 2質量部、(D)成分として(D−1)エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)5質量部、(E)成分として(E−1)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物(モル比50/50)100質量部を加え、次いで、固形分濃度が25重量%となるようにジエチレングリコールエチルメチルエーテルを加えて調製されたものである。
次いで、硬化膜25形成用のマスクパターンを備えたフォトマスクと、キヤノン(株)製PLA−501F露光機(超高圧水銀ランプ)とを用いて露光を行い、0.4質量%としたテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像を行った。さらに、150℃で30分間加熱することで膜厚2.0μmの硬化膜29を形成し、図1と同様の構造を備えた本実施例のタッチパネル21を得た。
次に、製造された本実施例のタッチパネル21を用い、温度85℃、湿度85%の高温高湿槽内に設置し、240時間経過後に取出して、配線31と硬化膜25との間の剥離の有無を評価した。その結果、本実施例のタッチパネル21においては、配線31と硬化膜25との間に剥離は生じておらず、配線31と硬化膜25との密着性は良好であって、優れた信頼性を有することがわかった。
尚、本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。
本発明のタッチパネルは高い信頼性を有する。したがって、本発明のタッチパネルは、優れた表示品位と信頼性が求められる携帯用情報機器の入力装置として好適である。
21 タッチパネル
22 透明基板
23 第1検知電極
24 第2検知電極
25 硬化膜
28 交差部
29 層間絶縁膜
30 電極パッド
31 配線
32 ブリッジ配線

Claims (11)

  1. (A)エポキシ基を有する化合物、
    (B)金属キレート化合物、および
    (C)下記式(1)で示される化合物
    を含み、タッチパネルの形成に用いられる硬化性樹脂組成物。
    (式(1)中、Rは、炭素数1〜20の1価の有機基である。Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜8のアシル基または炭素数6〜15のアリール基である。nは、1〜3の整数である。)
  2. 前記(A)エポキシ基を有する化合物が、重合体である請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記重合体が、不飽和無水カルボン酸から形成される構造単位を含む請求項2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記重合体が、カルボキシル基を有する構造単位を含む請求項2または3に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. さらに、(D)感光剤を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 前記(D)感光剤が、光酸発生体および光重合開始剤の少なくとも一方を含む請求項5に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 前記タッチパネルが配線と該配線の少なくとも一部を覆う硬化膜とを有し、
    前記硬化膜の形成に用いられて前記タッチパネルの形成に用いられる請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  8. 前記配線が、モリブデン、銀、銅、アルミニウムおよび炭素よりなる群から選ばれる1種以上の元素を含む配線である請求項7に記載の硬化性樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物から形成される硬化膜であって、
    タッチパネルの形成に用いられる硬化膜。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を用いて形成されるタッチパネル。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を用いるタッチパネルの製造方法。
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