JP5636681B2 - リチウム二次電池の電極用バインダー組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム二次電池の電極用バインダー組成物、その製造方法、該バインダー組成物を含む電極合剤用スラリー、電極およびリチウム二次電池に関する。
リチウム二次電池の電極は、電極活物質および結着剤を水性分散媒に混練分散させたスラリーを集電体に塗工し乾燥して製造されている。なかでも正極活物質としてはリチウム含有遷移金属複合酸化物が有用であり、結着剤としてはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が使用され、集電体としてはアルミニウム箔に代表される金属箔が用いられている。しかし、PTFEは正極活物質との接着性は良好であるが集電体との接着性に難がある。
集電体や電極活物質との接着性を改善するため、結着剤としてPTFEとテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)樹脂とを水に分散させた水性バインダー組成物を含む電極合剤水性スラリーを塗布し、FEPの融点(240〜270℃)以上の温度(具体的には280℃または300℃)に加熱することによりFEPを溶融してPTFE同士の接着およびPTFEと集電体との接着力を向上させることが行われている(特許文献1〜3)。
しかし、水性バインダー組成物を使用する場合、残留水分が電極活物質と反応したり電池特性を低下させたりするという問題を完全には排除できない。
そこで、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)やメチルエチルケトン、トルエン、シクロヘキサノンとトルエンとの混合溶媒などの有機溶媒を溶媒とし、必要に応じてフッ化ビニリデン(VdF)系重合体の共存下に、PTFEの乳化重合分散液から凝析して得られるPTFE粒子(ファインパウダー)を分散させたバインダー組成物が検討されている(特許文献4〜8)。
さらに、特許文献9では、PTFE粒子をトルエンなどの芳香族炭化水素類やケトン類、エステル類に分散させたオルガノゾルと電極活物質材料とをボールミルなどで剪断混合してPTFE−電極活物質材料スラリーとした後、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)などの補助バインダー成分を溶解したN−メチル−2−ピロリドン溶液と混合して電極合剤用スラリーを調製している。
特開2000−149954号公報 特開2001−216957号公報 特開2001−266854号公報 特開平10−134819号公報 特開平11−003711号公報 特開平11−003709号公報 特開平10−074505号公報 特開平10−302780号公報 特開平11−329904号公報
しかし、特許文献4〜8のようにPTFE粒子をPTFEの乳化重合分散液から凝析して得た場合、得られたPTFE粒子(ファインパウダー)は二次凝集して粒径が数μm〜数十μmとなっているため、NMPなどの有機溶媒に添加混合しても均一な分散状態にはならず、容易に沈降してしまう。分散状態を改善しようとして強く撹拌すると、PTFE粒子が繊維化してしまい、それ以後の処理に支障をきたしてしまう。
特許文献9のように、PTFE粒子のオルガノゾルを水性分散液からの転層法により製造するときは、比較的安定なオルガノゾルが得られるが、このPTFEオルガノゾルを電極活物質材料などと剪断混合したり、さらに補助バインダー溶液と混合したりするときに、PTFE粒子が繊維化してしまうという問題は避けられない。特許文献9には剪断混合せずに塗布後に繊維化してもよいとの記載もあるが、電極活物質材料などとの均一なスラリーを形成するにはやはり、充分な混合が必要であり、PTFE粒子の繊維化は避けられない。
本発明は、PTFE粒子が繊維化していない状態でN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散している電極用バインダー組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、PTFE粒子を含むNMP分散液を安定させるために種々検討を重ねたところ、PTFE粒子のオルガノゾルにFEP粒子を共存させることで、オルガノゾルをさらに安定させると共に、NMPに他の樹脂またはゴムを溶解したNMP溶液にPTFEとFEPのオルガノゾルを添加混合することによって、PTFE粒子が沈降することなく安定した電極用のバインダー組成物を製造することができることを見出した。さらに検討を重ね、FEP粒子が存在することにより、電極活物質を配合した合剤スラリーにおけるPTFE粒子の繊維化を抑えたまま、合剤スラリーの安定性も向上し、集電体への塗工も容易になることが見出され、さらに、FEPは集電体との密着性の向上効果も奏していることも見出された。
すなわち本発明は、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)(A)と、集電体との結着性に優れ、かつNMP(A)に溶解し得る集電体用バインダーポリマー(B)と、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)粒子(C)と、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂(FEP)粒子(D)とを含み、電極活物質(E)を含まない組成物であって、
集電体用バインダーポリマー(B)がNMP(A)に溶解して溶液を形成しており、かつ
PTFE粒子(C)とFEP粒子(D)が、集電体用バインダーポリマー(B)のNMP(A)溶液中に分散している
電極用バインダー組成物に関する。
本発明のバインダー組成物において、PTFE粒子(C)/FEP粒子(D)の質量比(C)/(D)は、8/2〜2/8であることがPTFEの電極活物質結着効果とFEPの集電体密着性のバランスが良好な点から好ましい。
溶媒として、NMP(A)のほかに、さらにケトン類および芳香族炭化水素類よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでいてもよい。これらの他の溶媒は、PTFE粒子(C)のオルガノゾルに由来するものである。
また、PTFE粒子(C)としては、未凝集の一次粒子であってその平均粒径が0.1〜0.3μmであることが、均一に分散でき沈降しにくい点から好ましい。
FEP粒子(D)は、集電体との密着性(結着性)を向上させるが、基本的には、FEPとは別に、集電体との結着性に優れかつNMP(A)に溶解し得る集電体用バインダーポリマー(B)が必要である。
集電体用バインダーポリマー(B)の1つとしては、フッ素樹脂および/またはフッ素ゴム、さらに具体的にはフッ化ビニリデン(VdF)単位を含む樹脂および/またはゴムが好ましく例示できる。
集電体用バインダーポリマー(B)の別のものとしては、非フッ素系の樹脂および/またはゴム、さらに具体的にはポリアミドイミドおよび/またはポリイミドが好ましく例示できる。
本発明はまた、NMP(A)に、集電体との結着性に優れ、かつNMPに溶解し得る集電体用バインダーポリマー(B)を溶解して溶液を形成する工程、および
得られた溶液にPTFE粒子(C)とFEP粒子(D)の混合オルガノゾルを分散させる工程
を含む電極用バインダー組成物の製造方法にも関する。
また本発明は、本発明の電極用バインダー組成物と電極活物質(E)とを含む電極合剤用スラリーにも関する。
また本発明は、本発明の電極合剤用スラリーを集電体に塗布して得られる電極、さらには、本発明の電極を正極および/または負極とし、非水電解液を備えるリチウム二次電池にも関する。
本発明によれば、電極活物質同士の結着を担うPTFE粒子を沈降させることなく、また繊維化させることなく均一に分散した電極用バインダー組成物を提供できると共に、このバインダー組成物を用いて、安定した電極合剤用スラリー、さらには電極およびリチウム二次電池を提供することができる。
本発明の電極用バインダー組成物は、電極活物質を含まない(電極活物質を配合しない前の)組成物であって、NMP(A)と、集電体との結着性に優れ、かつNMP(A)に溶解し得る集電体用バインダーポリマー(B)と、PTFE粒子(C)と、FEP粒子(D)とを含み、集電体用バインダーポリマー(B)がNMP(A)に溶解して溶液を形成しており、かつPTFE粒子(C)とFEP粒子(D)が、電極活物質(E)が存在しない状態で、集電体用バインダーポリマー(B)のNMP(A)溶液中に分散している点に特徴がある。
以下、各成分について説明する。
(A)N−メチル−2−ピロリドン(NMP)
NMPは集電体用バインダーポリマー(B)の溶解性に優れ、正極活物質の分散が容易である点から、電極の製造用のスラリーの溶剤として広く使用されている。
なお、本発明においては、後述するPTFE−FEPオルガノゾル用の溶媒をさらに含んでいてもよい。具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素系溶媒;メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶媒などが例示できる。
(B)集電体との結着性に優れかつNMP(A)に溶解し得る集電体用バインダーポリマー
このバインダーポリマーは、PTFEで結着された電極合剤と焦電体とを結着するために使用される。後述するように、FEP粒子(D)も焦電体との結着性の向上に寄与するが、NMPに解けない点でバインダーポリマー(B)と異なる。
集電体用バインダーポリマー(B)としては、フッ素樹脂、フッ素ゴム、非フッ素系の樹脂または非フッ素系のゴムの中で、集電体との結着性に優れかつNMP(A)に溶解し得るものであれば、特に限定されない。
フッ素樹脂としては、フッ化ビニリデン(VdF)単位を含む樹脂、具体的にはポリフッ化ビニリデン(PVdF)、VdF−テトラフルオロエチレン(TFE)共重合体樹脂、VdF−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体樹脂、VdF−TFE−HFP共重合体樹脂などが、耐酸化性、集電体との密着性が良好な点から好ましくあげられる。
フッ素ゴムとしては、VdF単位を含むゴム、具体的にはVdF−TFE共重合体ゴム、VdF−HFP共重合体ゴム、TFE−VdF−HFP共重合体ゴムなどが、耐酸化性、集電体との密着性が良好な点から好ましくあげられる。
非フッ素系樹脂としては、ポリアミドイミド、ポリイミド、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、カルボキシエチルセルロースまたはその塩、カルボキシブチルセルロースまたはその塩、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレンオキシドまたはその誘導体、ポリメタクリル酸またはその誘導体、ポリアクリル酸またはその誘導体などがあげられる。
電極塗布後の乾燥・熱処理工程で非フッ素樹脂が電極中に残存する可能性がある場合は、耐酸化性に優れた樹脂であるポリアミドイミド、ポリイミドが好ましい。一方、電極塗布後の乾燥・熱処理工程で完全に電極中から非フッ素樹脂を除去できる場合は、分解しやすい樹脂であることが好ましく、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、カルボキシエチルセルロースまたはその塩、カルボキシブチルセルロースまたはその塩、ウレタン樹脂、ポリエチレンオキシドまたはその誘導体、ポリメタクリル酸またはその誘導体、ポリアクリル酸またはその誘導体が好ましい。
非フッ素系ゴムとしては、EPDMゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ネオプレンゴム、アクリルゴムがあげられる。電極に残存する可能性がある場合はアクリルゴムが好ましく、除去できる場合はスチレンブタジエンゴムが好ましい。
この焦電体用バインダーポリマー(B)は、NMPに溶解した状態で本発明のバインダー組成物中に存在する。
(C)PTFE粒子
前述のように、特許文献4〜8に記載されているPTFE粒子は乳化重合で得られたPTFEの一次粒子(平均粒径が0.1〜0.3μm)の水性分散液を凝析して回収しているため、凝集して二次粒子(平均粒径が数μm〜数十μm)を形成している。
本発明では、後述するように、PTFEの水性分散液を相転換してPTFE粒子のオルガノゾルの形態にして配合しているため、本発明のバインダー組成物中におけるPTFE粒子は、未凝集の一次粒子が主となっている。したがって、PTFE粒子(C)は、焦電体用バインダーポリマー(B)のNMP溶液中で沈降することなく、安定した状態で存在している。
PTFEとしては、TFEの単独重合体でも、また極少量のヘキサフルオロプロピレン(HFP)やパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)などの他のモノマーで変性された変性PTFEでもよい。分子量は繊維化し得る程度の高分子量であればよく、たとえば100万〜500万程度である。
(D)FEP粒子
FEP粒子は、上述のようにPTFEオルガノゾルの安定性をさらに向上させると共に、NMP溶液に配合してもPTFE粒子の沈降を抑制する働きを有している。さらに、電極活物質を配合したときにもPTFE粒子の繊維化を抑え、合剤スラリーの安定性の向上に寄与し、また、乾燥時、プレス時、高温での熱処理時に変形して集電体との間にアンカーの役割を果たし、焦電体との密着性の向上効果も奏する。
FEPはTFEとヘキサフルオロプロピレン(HFP)の共重合体であり、その組成割合はTFE/HFP(モル比)で90/10〜99.5/0.5の範囲の樹脂である。
FEP粒子の平均粒径としては、0.01〜10μm、さらには0.1〜5μmであることが、集電体との密着が良好な点から好ましい。
FEP粒子(D)は、焦電体用バインダーポリマー(B)のNMP溶液中で沈降することなく、安定した状態で存在している。
本発明の電極用バインダー組成物において、PTFE粒子(C)およびFEP粒子(D)の合計量(100質量部)に対する焦電体用バインダーポリマー(B)の割合は、集電体用バインダーポリマーが電極に残存する可能性がある場合は90〜1質量部、さらには80〜10質量部、特に密着性が良好な点から70〜20質量部が好ましい。
PTFE粒子(C)とFEP粒子(D)との比率(質量比)(C)/(D)は、8/2〜2/8であることがPTFEの電極活物質結着効果とFEPの集電体密着性のバランスが良好な点から好ましく、特に、7/3〜5/5であることが好ましい。
NMPは、これらの固形分((B)、(C)および(D)の合計)濃度を70〜1質量%、さらには60〜3質量%、特に50〜5質量%とする量が好ましい。
また、本発明の電極用バインダー組成物においては、後述する電極活物質(E)は含まれていない。
かかる電極用バインダー組成物は、NMP(A)に、集電体との結着性に優れ、かつNMPに溶解し得る集電体用バインダーポリマー(B)を溶解して溶液を形成する工程、および得られた溶液にPTFE粒子(C)とFEP粒子(D)の混合オルガノゾルを分散させる工程により、製造することができる。
集電体用バインダーポリマー(B)のNMP溶液の調製は、集電体用バインダーポリマー(B)を40〜0.1質量%程度の濃度になるようにNMPに溶解させることで容易に行うことができる。溶解は、撹拌や加熱下に行ってもよい。
PTFE粒子(C)とFEP粒子(D)の混合オルガノゾルの調製は、たとえば特公昭48−17548号公報に記載されている方法により行うことができる。すなわち、PTFE粒子の水性分散液とFEP粒子の水性分散液を混合し、水と共沸状態を形成し得る有機溶媒を加えたのち、水と有機溶媒の共沸混合物を共沸除去することによって得られる。
水と共沸状態を形成し得る有機溶媒としては、上述したベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、クメンなどの芳香族炭化水素系溶媒;メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶媒などが例示できる。
共沸除去した後、共沸除去に用いた溶媒と同じかまたは異なる有機溶媒で濃度調整をしてもよい。
PTFE粒子(C)とFEP粒子(D)の混合オルガノゾルの固形分濃度としては、70〜10質量%程度とするのが、分散安定性が良好な点から好ましい。
そのほか、デイスパージョンを転層させてのち分液で水を除去する方法、デイスパージョンに溶媒を入れて凍結乾燥し水を除去する方法などによっても、PTFE粒子(C)とFEP粒子(D)の混合オルガノゾルを調製することができる。
集電体用バインダーポリマー(B)のNMP溶液とPTFE粒子(C)とFEP粒子(D)の混合オルガノゾルの混合の仕方は、特に制限されず、混合オルガノゾルをNMP溶液に少量ずつ添加混合してもよいし、混合オルガノゾルをNMP溶液に少量ずつ添加混合してもよい。混合は撹拌下に行ってもよいが、PTFE粒子(C)が繊維化を起こさないように加える剪断力に注意する。
本発明はまた、本発明の電極用バインダー組成物と電極活物質(E)とを含む電極合剤用スラリーにも関する。
本発明の電極合剤用スラリーは正極用にも負極用にも使用できる。したがって、電極活物質も正極活物質(a1)でも負極活物質(a2)でもよい。
(a1)正極活物質
正極活物質としては、リチウム含有遷移金属複合酸化物(a1−1)、リチウム含有リン酸(a1−2)などがあげられる。
(a1−1)リチウム含有遷移金属複合酸化物
正極活物質(a1)としては、式(A1):
Lix1 y2 1-y2
(式中、0.4≦x≦1;0.3≦y≦1;M1はNiおよびMnよりなる群から選ばれる少なくとも1種;M2はCo、AlおよびFeよりなる群から選ばれる少なくとも1種)で示されるリチウム含有複合金属酸化物である。
具体的には、
式(A1−1):
LiNixCoyAlz2
(式中、0.7≦x≦1;0≦y≦0.3;0≦z≦0.03;0.9≦x+y+z≦1.1)、
式(A1−2):
LiNixCoyMnz2
(式中、0.3≦x≦0.6;0≦y≦0.4;0.3≦z≦0.6;0.9≦x+y+z≦1.1)、
式(A1−3):
LixMnz2
(式中、0.4≦x≦0.6;0.9≦z≦1)、または
式(A1−4):
LiFexCoyMnz2
(式中、0.3≦x≦0.6;0.1≦y≦0.4;0.3≦z≦0.6;0.9≦x+y+z≦1.1)
で示されるリチウム含有複合金属酸化物が好ましい。
式(A1−1)で示されるリチウム含有複合金属酸化物の具体例としては、たとえばLiNi0.8Co0.22、LiNi0.7Co0.32、LiNi0.82Co0.15Al0.032、LiNi0.7Co0.2Al0.12、LiNi0.85Co0.1Al0.52などがあげられ、なかでもLiNi0.82Co0.15Al0.032(NCA)が好ましい。
式(A1−2)で示されるリチウム含有複合金属酸化物の具体例としては、たとえばLiNi0.5Mn0.52、LiNi0.75Mn0.252、LiNi0.25Mn0.752、LiNi1/3Co1/3Mn1/32、LiNi0.4Co0.2Mn0.42、LiNi0.3Co0.5Mn0.22などがあげられ、なかでもLiNi1/3Co1/3Mn1/32(NCM)が好ましい。
式(A1−3)で示されるリチウム含有複合金属酸化物の具体例としては、たとえばLi0.5MnO2(スピネルマンガン)、LiMnO2などがあげられる。
式(A1−4)で示されるリチウム含有複合金属酸化物の具体例としては、たとえばLiFe1/3Co1/3Mn1/32、Li0.5Fe1/3Co1/3Mn1/32、LiFe0.4Co0.3Mn0.32、Li0.5Fe0.4Co0.3Mn0.32などがあげられる。
そのほか、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24なども使用できる。
なかでも具体的には、LiCoO2、LiMnO2、LiNiO2、LiMn24、LiNi0.8Co0.15Al0.052、またはLiNi1/3Co1/3Mn1/32が、エネルギー密度が高く、高出力なリチウム二次電池を提供できる点から好ましい。
(a1−2)リチウム含有リン酸
式:
LiMPO4
(式中、MはFeおよび/またはMn)で示されるリチウム含有リン酸が例示できる。なかでも、具体的にはLiFePO4は大型で安全性を重視するリチウム二次電池を提供できる点から好ましい。
正極活物質(a1)の配合量は、正極合剤用スラリー全体の50〜99質量%、さらには80〜99質量%が、電池容量が高い点から好ましい。
(a2)負極活物質
本発明で負極に使用する負極活物質(a2)としては炭素材料があげられ、リチウムイオンを挿入可能な金属酸化物や金属窒化物などもあげられる。炭素材料としては天然黒鉛、人造黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、メソカーボンマイクロビーズ、炭素ファイバー、活性炭、ピッチ被覆黒鉛などがあげられ、リチウムイオンを挿入可能な金属酸化物としては、スズやケイ素、チタンを含む金属化合物、たとえば酸化スズ、酸化ケイ素、チタン酸リチウムなどがあげられ、金属窒化物としては、Li2.6Co0.4Nなどがあげられる。
負極活物質(a2)の配合量は、負極合剤用スラリー全体の50〜99質量%、さらには80〜99質量%が、電池容量が高い点から好ましい。
必要に応じて、リチウム二次電池の電極の製造に使用する添加剤を配合することができる。そうした添加剤としては、正極用にはたとえば導電材、増粘剤、界面活性剤などがあげられ、負極用には正極と同様に導電材、増粘剤、界面活性剤などがあげられる。
導電材としては、たとえばアセチレンブラック、ケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラック;グラファイト、炭素繊維などの炭素質材料があげられる。
増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アクリル酸系樹脂などが例示できる。
アクリル酸系樹脂は増粘作用のほか、集電体との接着性を向上させる働きも期待できる。アクリル酸系樹脂としては、酸化電位が高いものが好ましく、たとえばポリアクリル酸、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸系共重合体のアンモニウム塩およびアクリル酸系共重合体のナトリウム塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく例示できる。これらの対リチウム換算の酸化電位は4.3V以上である。また、ポリアクリル酸、アクリル酸系共重合体のアンモニウム塩およびアクリル酸系共重合体のナトリウム塩の市販品としては、たとえば東亞合成(株)製のA−10H、A−93、A−7100、A−30、A−7185などが例示できる。なお、「アクリル酸系」とは、アクリル酸に限らず、メタクリル酸も含む概念である。
アクリル酸系樹脂の配合量は、電極合剤用スラリー全体の0.2〜20質量%、さらには0.5〜10質量%が好ましい。配合量が少なくなると電極集電体との接着性が弱くなり、多くなりすぎるとスラリーの粘度が高くなりすぎて、塗工しにくくなるほか、活物質表面を樹脂が覆い抵抗が高くなり電池容量が小さくなる傾向がある。
これらの成分を適宜混合し、撹拌などによって均一な混合物として電極合剤用スラリーが調製される。
本発明は、本発明の電極合剤用スラリーを集電体に塗工して製造された電極(正極または負極)にも関する。
正極または負極集電体としては、化学的に安定な電子伝導体であれば特に限定されない。かかる集電体を構成する材料としては、例えば、アルミニウムやその合金、ステンレス鋼、ニッケルやその合金、チタンやその合金、炭素、導電性樹脂などの他に、アルミニウムまたはステンレス鋼の表面にカーボンまたはチタンを処理させたものなどが用いられる。これらの中でも、アルミニウムおよびアルミニウム合金が特に好ましい。これらの材料は表面を酸化して用いることもできる。また、表面処理により集電体表面に凹凸を付けることにより接着性が上がるため好ましい。
塗工方法としては、通常の方法でよく、たとえばスリットダイコーター、リバースロールコーター、リップコーター、ブレードコーター、ナイフコーター、グラビアコーター、およびディップコーターなどを用いて行うことができる。
電極合剤用スラリーは集電体に塗布後、乾燥することで電極を形成することができる。
集電体にスラリーが塗工された電極は、熱処理に供される。熱処理は、100〜400℃の温度範囲で行えばよい。
乾燥条件や熱処理条件は、バインダー中のバインダーポリマー(B)を電極中に残存させるか、それとも完全に除去するかによって最適条件が異なる。
バインダーポリマー(B)を残存させる場合は(B)成分の熱分解温度以下で熱処理を行い、完全に除去する場合は熱分解温度以上で熱処理をすることが好ましい。さらに、除去する場合は密着性をFEP成分(D)で保持することが必要であるため、200℃以上、さらには250℃以上で熱処理をすることが好ましい。
熱処理は、塗工後直ちに行ってもよいし、圧延(プレス)した後に行ってもよいし、自然乾燥させた後に行ってもよい。また、熱処理を2回以上行ってもよい。
熱処理された電極は、通常、要すればさらに圧延処理された後、切断処理され、所定の厚さと寸法に加工されてリチウム二次電池用電極が得られる。圧延処理および切断処理は、通常の方法でよい。
この本発明の電極は集電体との接着力に優れているため、電極の柔軟性が向上しており、巻回型のリチウム二次電池のように巻いても割れや脱落は生じない。
また、本発明はリチウム二次電池にも関する。本発明のリチウム二次電池は、正極、負極および非水電解液を備えており、正極および/または負極として本発明のリチウム二次電池用電極を用いたものである。
なお、本発明の電極以外の電極を正極または負極の一方に用いる場合、それらの正極または負極は従来公知の電極を用いることができる。しかし、柔軟性の課題が大きい正極に本発明の電極を用いることが好ましい。
非水電解液も、電解質塩と電解質塩の溶解用の有機溶媒を含む電解液でリチウム二次電池に使用される非水電解液であれば特に制限されない。
電解質としては、たとえばLiPF6、LiBF4、LiN(SO2CF32、LiN(SO2252などの公知の電解質塩が例示でき、有機溶媒としては、たとえばエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネートなどの炭化水素系溶媒;HCF2CF2CH2OCF2CF2H、CF3COOCF3、CF3COOCH2CF3などのフッ素系溶媒、これらの混合溶媒などが例示できるが、これらのみに限定されるものではない。
本発明のリチウム二次電池にはセパレータを配置してもよい。セパレータとしては特に制限はなく、微孔性ポリエチレンフィルム、微孔性ポリプロピレンフィルム、微孔性エチレン−プロピレンコポリマーフィルム、微孔性ポリプロピレン/ポリエチレン2層フィルム、微孔性ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレン3層フィルムなどがあげられる。また、Liデントライトによって起こる短絡などの防止のために安全性向上を目的として作られた、セパレータ上にアラミド樹脂を塗布したフィルムあるいはポリアミドイミドおよびアルミナフィラーを含む樹脂をセパレータ上に塗布したフィルムなどもあげられる(たとえば特開2007−299612号公報、特開2007−324073号公報参照)。
本発明のリチウム二次電池は、ハイブリッド自動車用や分散電源用の大型リチウム二次電池、携帯電話、携帯情報端末などの小型のリチウム二次電池などとして有用である。
つぎに実施例をあげて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1(電極用バインダー組成物の調製)
(1)集電体用バインダーポリマー(B)のNMP溶液の調製
溶液1:PVdF(アルケマ社製カイナー761)10質量部およびNMP90質量部を密閉下にローターで攪拌することにより、PVdFの10質量%NMP溶液を調製した。
溶液2:TFE/VdF/HFP共重合体(ダイキン工業(株)製のVT470)10質量部およびNMP90質量部を密閉下にローターで攪拌することにより、TFE/VdF/HFP共重合体の10質量%NMP溶液を調製した。
溶液3:エチルセルロースアセテート(ECA)(ダイセル(株)製)10質量部およびNMP90質量部を密閉下にローターで攪拌することにより、ECAの10質量%NMP溶液を調製した。
溶液4:ポリアミドイミド(PAI)の12質量%NMP溶液(日立化成(株)製のHPC7200)にNMPを加えてPAIの10質量%NMP溶液を調製した。
溶液5:アクリルゴム(AR)粒子(商品名W450A。三菱レーヨン(株)製)5質量部およびNMP95質量部を密閉下にローターで攪拌することにより、アクリルゴム(AR)の5質量%NMP溶液を調製した。
溶液6:スチレン−ブタジエンゴム(SBR)微粒子(ロームアンドハース社製KCZ201N)5質量部およびNMP95質量部を密閉下にローターで攪拌することにより、SBRの5質量%NMP溶液を調製した。
(2)PTFE−FEP混合オルガノゾルの調製
オルガノゾル1:PTFE水性デイスパージョン(ダイキン工業(株)製、PTFE粒子の平均粒径0.3μm)とFEP水性デイスパージョン(ダイキン工業(株)製、FEP粒子の平均粒径0.2μm)を1/4(質量比)の固形分割合で混合し、ついでメチルエチルケトン(MEK)を加えて2層に分離した混合液を調製した。この混合液を攪拌することによりPTFE粒子とFEP粒子をMEK層に転層し、水を除去してPTFE粒子とFEP粒子を含むMEKデイスパージョンを調製した。このMEKデイスパージョンをエバポレータにより濃縮することにより、固形分濃度30質量%のPTFE−FEP(1/4)のオルガノゾル1を調製した。
オルガノゾル2:PTFE水性デイスパージョンとFEP水性デイスパージョンの混合割合を1/1(質量比)としたほかはオルガノゾル1の調製方法と同様にして固形分濃度30質量%のPTFE−FEP(1/1)のオルガノゾル2を調製した。
(3)電極用バインダー組成物の調製と成分割合
表1に示す割合(固形分比)で集電体用バインダーポリマー(B)のNMP溶液とPTFE−FEP混合オルガノゾルを混合し、不等速攪拌機で室温下30分間の条件で撹拌して、電極用バインダー組成物を調製した。
なお、ECA溶液3を用いたバインダー組成物については、最終的に真空下にて250℃で8時間乾燥し、バインダー組成物22〜31では、集電体用バインダーポリマー(B)のNMP溶液とPTFE−FEP混合オルガノゾルを混合した後、さらにエバポレータで固形分濃度約30質量%に濃縮した。
比較組成物1は、集電体用バインダーポリマー(B)のNMP溶液を混合せずに、オルガノゾル1に対してNMPを同量加えたバインダー組成物である。
比較組成物2は、集電体用バインダーポリマー(B)のNMP溶液を混合せずに、オルガノゾル2に対してNMPを同量加えたバインダー組成物である。
比較組成物3は、PVdF(アルケマ社製カイナー761)10質量部およびNMP90質量部で調製したバインダー組成物である。
(4)電極用バインダー組成物の特性評価
バインダー組成物の特性評価は、下記の手順にて行った。
試験1(沈降性)
50ccサンプル瓶に電極用バインダー組成物入れ、室温で3日間静置した後の状態を目視にて観察する。
評価基準はつぎのとおりである。
○:均一な分散状態が維持されていた。
△:沈降がみられるが、再度ローターで1時間攪拌(60rpm)すると回復した。
×:沈降がみられ、再度ローターで1時間攪拌(60rpm)しても沈降したままであった。
Figure 0005636681
表1から、単にオルガノゾルをNMPに分散させただけでは速やかに沈降し回復しない状態になってしまうのに対して、樹脂が溶解したNMP溶液にオルガノゾルを混合すると安定に分散している、または一部沈降がみられても速やかに分散が回復するということが分かる。
実施例2
(1)正極合剤用スラリーの調製と電極の製造
正極1:正極活物質としてLiNi1/3Co1/3Mn1/32(日本化学工業(株)製)、アセチレンブラック(電気化学工業(株)製)、上記(3)電極用バインダー組成物の調製と成分割合で調製した電極用バインダー組成物を正極活物質/アセチレンブラック/バインダー(固形分の質量比:94/3/3)で混合し、さらにNMPを加えることにより固形分濃度65質量%に調整し、ついで双腕式練合機にて攪拌して正極合剤用スラリーを調製した。
得られた正極合剤用スラリーを15μm厚のアルミニウム箔に塗布乾燥し、厚さが約80μmの塗膜を得た。この塗膜を全厚が60μmとなるようにプレス(圧延)した後、所定の寸法(300mm×100mm)に切断し、ついで、真空乾燥機にて120℃で8時間熱処理を行い、シート状の正極1を作製した。
ただし、溶液3を使用したバインダーを用いる場合は、真空乾燥機にて250℃で8時間乾燥を行った。
正極2:正極活物質として、LiNiMnAlO2(戸田工業(株)製)を用いたほかは正極1と同様にして正極合剤用スラリーを調製し、正極2を作製した。
(2)負極合剤用スラリーの調製と電極の製造
負極1:人造黒鉛粉末(日立化成(株)製。商品名MAG−D)と、カルボキシメチルセルロース(CMC)のナトリウム塩水溶液(第一工業製薬(株)製。商品名セロゲン4H。固形分含量1質量%)と、SBRゴムバインダー((株)JSR製。商品名TRD2001)とを各成分割合(固形分)として人造黒鉛粉末が94質量%、CMCのナトリウム塩が3質量%、SBRゴムバインダーが3質量%になるように混合し、さらに水を加えて固形分濃度を60質量%に調整し、双腕式練合機にて攪拌して負極合剤用スラリーを調製した。
得られた負極合剤用スラリーを10μm厚の銅箔に塗布乾燥し、厚さが約80μmの塗膜を得た。この塗膜を全厚が70μmとなるようにプレス(圧延)した後、所定の寸法(300mm×100mm)に切断し、ついで、熱風乾燥機にて120℃で4時間熱処理を行って負極1を作製した。
負極2:人造黒鉛粉末(日立化成(株)製。商品名MAG−Dと、アセチレンブラックと、電極用バインダー組成物5(溶液1とオルガノゾル2を質量比で1:1で混合したもの)とを各成分割合(固形分)として人造黒鉛粉末が94質量%、アセチレンブラックが3質量%、バインダー組成物5が固形分で3質量%になるように混合し、さらにNMPを加えて固形分濃度を60質量%に調整し、双腕式練合機にて攪拌して負極合剤用スラリーを調製した。
得られた負極合剤用スラリーを10μm厚の銅箔に塗布乾燥し、厚さが約80μmの塗膜を得た。この塗膜を全厚が70μmとなるようにプレス(圧延)した後、所定の寸法(300mm×100mm)に切断し、ついで、熱風乾燥機にて120℃で4時間熱処理を行って負極2を作製した。
負極3:シリカ粒子、人造黒鉛粉末(日立化成(株)製。商品名MAG−D)と、アセチレンブラックと、電極用バインダー組成物14(溶液4とオルガノゾル2を質量比で1:3で混合したもの)とを各成分割合(固形分)として、シリカ粒子が40質量%、人造黒鉛粉末が54質量%、アセチレンブラックが3質量%、電極用バインダー組成物14が3質量%になるように混合し、さらにNMPを加えて固形分濃度を60質量%に調整し、双腕式練合機にて攪拌して負極合剤用スラリーを調製した。
得られた負極合剤用スラリーを10μm厚の銅箔に塗布乾燥し、厚さが約80μmの塗膜を得た。この塗膜を全厚が70μmとなるようにプレス(圧延)した後、所定の寸法(300mm×100mm)に切断し、ついで、熱風乾燥機にて120℃で4時間熱処理を行って負極3を作製した。
試験2(柔軟性の評価:巻き付け試験)
表2に示すシート状の正極および負極を直径2mmの円筒に巻き付けた後拡げ、正極および負極の塗膜のクラックの発生を目視で調べた。結果を表2に示す。クラックなしを○、クラックありを×とする。
試験3(電池特性)
(ラミネート電池の作製)
表2に示す正極を40mm×72mm(10mm×10mmの正極端子付)に切り取り、また表2に示す負極を42mm×74mm(10mm×10mmの負極端子付)に切り取り、各端子にリード体を溶接した。また、厚さ20μmの微孔性ポリエチレンフィルムを78mm×46mmの大きさに切ってセパレータとし、セパレータを挟むように正極と負極をセットし、これらをアルミニウムラミネート包装材内に入れ、ついで包装材中に電解液を2mlずつ入れて密封して容量72mAhのラミネートセルを作製した。電解液としてはLiPF6を電解質塩とするエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート(=30/70(体積比))溶液(濃度1.0モル/リットル)を用いた。
このリチウム二次電池のサイクル特性(容量維持率)をつぎの要領で調べた。結果を表2に示す。
表2の結果から、本発明の電極を用いたリチウム二次電池の電池特性は高いレベルで維持されていることが分かる。
(サイクル特性)
充放電電流をCで表示した場合、72mAを1Cとして以下の充放電測定条件で測定を行う。
充放電条件
充電:0.5C、4.2Vにて充電電流が1/10Cになるまでを保持(CC・CV充電)
放電:1C 2.5Vcut(CC放電)。
温度条件:50℃
サイクル特性については上記の充放電条件で充放電試験を行い100サイクルの放電容量を測定する。サイクル特性についてはつぎの計算式で求められた値を容量維持率として記載する。
容量維持率(%)=100サイクル放電容量(mAh)/1サイクル放電容量(mAh)×100
Figure 0005636681
表2の結果から、本発明の電極用バインダー組成物を使用した電極が柔軟性に富むことが分かる。また、本発明の電極用バインダー組成物を使用したとき、サイクル特性が向上していることが分かる。この原因として電極の膨潤性が低いため、サイクル試験中に集電が不充分になることによるサイクル劣化が生じなかったものと考えられる。

Claims (11)

  1. N−メチル−2−ピロリドン(A)と、集電体との結着性に優れ、かつN−メチル−2−ピロリドンに溶解し得る集電体用バインダーポリマー(B)と、ポリテトラフルオロエチレン粒子(C)と、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂粒子(D)とを含み、電極活物質(E)を含まない組成物であって、
    集電体用バインダーポリマー(B)がN−メチル−2−ピロリドン(A)に溶解して溶液を形成しており、
    ポリテトラフルオロエチレン粒子(C)とテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂粒子(D)が、集電体用バインダーポリマー(B)のN−メチル−2−ピロリドン(A)溶液中に分散しており、
    集電体用バインダーポリマー(B)のN−メチル−2−ピロリドン(A)溶液にポリテトラフルオロエチレン粒子(C)とテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂粒子(D)の混合オルガノゾルを分散させることにより得られ、かつ
    ポリテトラフルオロエチレン粒子(C)が未凝集の一次粒子であり、その平均粒径が0.1〜0.3μmである
    電極用バインダー組成物。
  2. ポリテトラフルオロエチレン粒子(C)/テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂粒子(D)の質量比(C)/(D)が8/2〜2/8である請求項1記載の電極用バインダー組成物。
  3. 溶媒として、さらにケトン類および芳香族炭化水素類よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1または2記載の電極用バインダー組成物。
  4. 集電体用バインダーポリマー(B)が、フッ素樹脂および/またはフッ素ゴムである請求項1〜3のいずれかに記載の電極用バインダー組成物。
  5. 集電体用バインダーポリマー(B)が、フッ化ビニリデン単位を含む樹脂および/またはゴムである請求項4記載の電極用バインダー組成物。
  6. 集電体用バインダーポリマー(B)が、非フッ素系の樹脂および/またはゴムである請求項1〜3のいずれかに記載の電極用バインダー組成物。
  7. 集電体用バインダーポリマー(B)が、ポリアミドイミドおよび/またはポリイミドである請求項6記載の電極用バインダー組成物。
  8. N−メチル−2−ピロリドン(A)に、集電体との結着性に優れ、かつN−メチル−2−ピロリドンに溶解し得る集電体用バインダーポリマー(B)を溶解して溶液を形成する工程、および
    得られた溶液にポリテトラフルオロエチレン粒子(C)とテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体樹脂粒子(D)の混合オルガノゾルを分散させる工程
    を含む電極用バインダー組成物の製造方法であって、
    該電極用バインダー組成物中のポリテトラフルオロエチレン粒子(C)が未凝集の一次粒子であり、その平均粒径が0.1〜0.3μmである
    ことを特徴とする電極用バインダー組成物の製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の電極用バインダー組成物と電極活物質(E)とを含む電極合剤用スラリー。
  10. 請求項9記載の電極合剤用スラリーを集電体に塗布して得られる電極。
  11. 請求項10記載の電極を正極および/または負極とし、非水電解液を備えるリチウム二次電池。
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