JP5633275B2 - 光配線プリント基板の製造方法 - Google Patents
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Description
このような光通信を用いるデバイスでは、電気信号から変換された光信号を光導波路に結合させる必要があり、光導波路と受発光素子との光軸を合致させる必要がある。光信号を光導波路に結合させる方法としては、例えば、コアの端部にコアの長手方向に対して45度の角度を持つ傾斜面を形成しておき、光導波路のコアと空気との屈折率差を利用して光を全反射させる光路変換ミラーが用いられる(特許文献1、図1参照)。
しかしながら、特許文献1に示されるような構造の場合、ミラー周囲に空洞ができるため、異物が付着する可能性があり、また熱膨張等による変形等によって信頼性の確保が困難な場合がある。
しかしながら、特許文献2に開示される配線基板では、数十ミクロン程度の大きさの微小なミラー部材を、高精度に位置決めし、基板上に搭載することが困難である。また、ミラー部材を埋め込んだ光導波路の線膨張係数差や金属界面での密着不良によるコアの剥離などによって歩留まりや信頼性を悪化させる場合がある。
この方法を用いることで、ミラー部と配線コアを相対的にμmオーダーの高い位置精度で形成でき、異物の付着や熱膨張による変形等による信頼性及び性能劣化を回避することができる。しかしながら、特許文献3に開示される方法では、ミラー用バンプと配線コアパターンを異なるフォトマスクを用いて順に形成する必要があるため、両者の位置合わせにおいて小さいながらもずれが発生すること、また、ラミネートや露光、現像の工程を2回繰り返さなければならず、工程が煩雑であることが課題であった。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
本発明の(A)工程は、基材11上に第1クラッド層12を形成する工程である(図1(a)参照)。ここで用いられる基材としては、通常、光配線プリント基板に用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、ガラスエポキシ、ポリイミド、シリコン、石英、セラミックなどを用いることができる。基材の厚さとしては、通常0.01〜1mm程度である。なお、後述する嵌合用バンプ、ミラー用バンプ、及び配線コアパターンを形成する工程において、これらの位置決めのために、基材11上に位置合わせ用マーカー13を形成しておいてもよい。
第1クラッド層12の形成方法としては、形成材料をワニス化して基材に塗布するか、又はあらかじめ形成材料でフィルムを作製しておき、該フィルムを積層した後、光又は加熱により硬化して、クラッド層12を得る。
コア層の厚さについては、特に制限はないが、10〜150μmであることが好ましい。コア層の厚さが10μm以上であると、後に製造される配線コアパターンの受発光素子又は光ファイバーとの結合において位置合わせトレランスが小さくなることがなく、150μm以下であると、配線コアパターンの受発光素子又は光ファイバーとの結合において、結合効率が小さくなることがない。以上の観点から、コア層の厚さは、20〜100μmの範囲であることがより好ましい。
ここで用いるフォトマスクの材質には特に制限はなく、樹脂フィルム、ソーダガラス、石英ガラスなどが挙げられるが、寸法安定性、パターン精度、露光光線透過率の点から石英ガラスが好ましい。
活性光線の光源としては、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に放射する公知の光源が挙げられる。また、他にも写真用フラッド電球、太陽ランプ等の可視光を有効に放射するものも用いることができる。
現像液としては、有機溶剤、アルカリ性水溶液等の安全かつ安定であり、操作性が良好なものが好ましく用いられる。
また、図1(c)及び図2に示す態様では、ミラー用バンプ16と配線コアパターン17は連続したものとなっているが、これらの間に間隙を設けることもできる。また、ミラー用バンプ16は図2に示すように連続的につながった状態で形成してもよいし、図3に示すように、コアパターン17の各光配線に合わせて、その光配線の部分にのみ設けてもよい。
該傾斜部を形成する方法としては、図1(d)に示すように、直方体のミラー用バンプ16に対して、金属ブレード18を用いたダイシングによって形成することができる。なお、傾斜部形成の手法としては、ダイシングによる切削の他に、高出力レーザー照射による物理加工を用いることもできる。
ミラー反射膜形成用マスク19は、図4に示すように、ハーフエッチング部23とフルエッチング部24を有するものであることが肝要である。ここで、フルエッチング部とは、ミラー反射膜形成用マスク素材を抜き加工し設けた開口部のことであり、ハーフエッチング部とは、マスク素材の途中までエッチングした加工部のことである。フルエッチング部はミラー反射膜を形成するために、ハーフエッチング部は配線コアパターンを覆い、ミラー反射膜形成時に反射膜が付かないように保護するために設ける。
従来、ミラー反射膜形成用マスクとして、フルエッチング部のみを有するメタルマスクを用いていた。しかしながら、このようなマスクを用いた場合、嵌合用バンプ、ミラー用バンプおよび配線コアパターンが形成された基板にミラー反射膜を形成しようとすると、図6(i)に示すように、配線コアパターン上にマスクが単に置かれる形態となり、位置合わせ用の嵌合パターンを利用したマスクの位置決めが行えない。また、第1クラッド層12とマスクの間にコア層分の高さのギャップができるため、ミラー反射膜形成材料の回り込みが大きくなり、配線コアパターンにも反射膜が付いてしまう場合がある。
これらの課題を解決するため、本発明では、フルエッチング部とハーフエッチング部を有するマスクを用いる方法を見出した。すなわち、図6(j)に示すように嵌合用バンプ15を用いてマスクの位置決めを行い、ミラー用バンプへの反射膜形成にはフルエッチング部を使用し、配線コアパターンの保護にはハーフエッチング部を使用することにより、上述の課題を解決したものである。
また、ミラー反射膜形成用マスク19の配線コアパターン17を保護する部分は、配線コアパターンよりもわずかに大きめに作製しておき、反射膜20をコーティングする際に配線コアパターン17に接しないようにすることが好ましい。
反射膜のコーティングは、蒸着法やスパッタ法などを用いることができる。また、反射膜の種類としては誘電体多層膜や金、銀、銅、アルミニウムなどの種々の金属材料を用いることができるが、反射率、安定性の点から金が好ましい。また、ミラー用バンプとの密着性向上のため、下地層としてクロム、ニッケル、チタンなどを用いてもよい。
また、第2クラッド層22を形成するための材料及び形成方法については、第1クラッド層と同様である。
実施例1
(1)クラッド層形成用樹脂フィルムの作製
(A)バインダポリマーとして、フェノキシ樹脂(商品名:フェノトートYP−70、東都化成(株)製)48質量部、(B)光又は熱重合性化合物として、アリサイクリックジエポキシカルボキシレート(商品名:KRM−2110、分子量:252、(株)アデカ製)49.6質量部、(C)光又は熱重合開始剤として、トリフェニルスルホニウムヘキサフロロアンチモネート塩(商品名:SP−170、(株)アデカ製)2質量部、増感剤として、SP−100(商品名、(株)アデカ製)0.4質量部、有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部を広口のポリ瓶に秤量し、メカニカルスターラ、シャフト及びプロペラを用いて、温度25℃、回転数400rpmの条件で、6時間撹拌し、クラッド層形成用樹脂ワニスAを調合した。その後、孔径2μmのポリフロンフィルタ(商品名:PF020、アドバンテック東洋(株)製)を用いて、温度25℃、圧力0.4MPaの条件で加圧濾過し、さらに真空ポンプ及びベルジャーを用いて減圧度50mmHgの条件で15分間減圧脱泡した。
上記で得られたクラッド層形成用樹脂ワニスAを、PETフィルム(商品名:コスモシャインA4100、東洋紡績(株)製、厚さ:50μm)の非処理面上に塗工機(マルチコーターTM−MC、(株)ヒラノテクシード製)を用いて塗布し、80℃、10分、その後100℃、10分乾燥し、次いで保護フィルムとして離型PETフィルム(商品名:ピューレックスA31、帝人デュポンフィルム(株)、厚さ:25μm)を離型面が樹脂側になるように貼り付け、クラッド層形成用樹脂フィルムを得た。このとき樹脂層の厚さは、塗工機のギャップを調節することで、任意に調整可能であり、本実施例では、下部クラッド用フィルムが25μm、上部クラッド用フィルムが66μmとなるように調節した。
(A)バインダポリマーとして、フェノキシ樹脂(商品名:フェノトートYP−70、東都化成(株)製)26質量部、(B)光又は熱重合性化合物として、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(商品名:A−BPEF、新中村化学工業(株)製)36質量部、およびビスフェノールA型エポキシアクリレート(商品名:EA−1020、新中村化学工業(株)製)36質量部、(C)光又は熱重合開始剤として、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(商品名:イルガキュア819、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1質量部、及び1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン(商品名:イルガキュア2959、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1質量部、有機溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート40質量部を用いたこと以外は上記製造例と同様の方法及び条件でコア層形成用樹脂ワニスBを調合した。その後、上記製造例と同様の方法及び条件で加圧濾過さらに減圧脱泡した。
上記で得られたコア層形成用樹脂ワニスBを、PETフィルム(商品名:コスモシャインA1517、東洋紡績(株)製、厚さ:16μm)の非処理面上に、上記製造例と同様な方法で塗布乾燥し、次いで保護フィルムとして離型PETフィルム(商品名:ピューレックスA31、帝人デュポンフィルム(株)、厚さ:25μm)を離型面が樹脂側になるように貼り付け、コア層形成用樹脂フィルムを得た。本実施例では膜厚が50μmとなるよう、塗工機のギャップを調整した。
以下の方法により、光導波路長(ミラー間距離)4cm、コアサイズ50μm、コアピッチ250μm、コア本数4本を有する、光路変換ミラーを内蔵した光配線プリント基板を作製した。
基材として、ガラスエポキシ基板(日立化成工業(株)製「MCL−E679FGB」、厚さ0.6mm)を準備した。基材には、後のダイシングによる斜面ミラー形成用のアライメントマークを銅パターンにより形成した。該基材上に厚さ25μmのクラッド層形成用樹脂フィルムを真空加圧式ラミネータ((株)名機製作所製「MVLP−500」)を用い、500Pa以下にて7秒間真空引きした後、圧力0.4MPa、温度50℃、加圧時間30秒の条件で貼付して第1クラッド層を設け、紫外線照射装置(日立ビアメカニクス(株)製、「EV0800」)を用い、365nmの紫外線を1000mJ/cm2照射した後、オーブン中で80℃で12分加熱し第1クラッド層を形成した。次いで第1クラッド層上に、厚さ50μmのコア層形成用樹脂フィルムを、同ラミネータを用い、500Pa以下にて7秒間真空引きした後、圧力0.4MPa、温度50℃、加圧時間30秒の条件で積層した。
次に、ガラスエポキシ基材上に形成したダイシング用マークを基準に位置決めを行いながら、ダイシングブレード((株)ディスコ製「NBC−ZB226J」)を用い、ミラー用バンプに傾斜部を形成してミラー部を形成した。
次いで、前記嵌合用バンプを基準に位置決めを行いながらミラー反射膜形成用マスクを用いて前記配線コアパターンを保護しつつ、ミラー用バンプに反射膜を選択的にコーティングしてミラー部を形成した。ミラー反射膜形成用マスクとしては、厚さが150μmのメタルマスクを用いた。本メタルマスクは、嵌合用バンプを嵌め合わせるための開口部と、配線コアパターン保護のためのハーフエッチング部を有し、ハーフエッチング部の凹部の深さは75μmとした。
次に、前記ミラー部と前記配線コアパターンとを含む領域上に、厚さ66μmのクラッド層形成用樹脂フィルムをラミネータによって貼付し、第2クラッド層を形成した。第2クラッド層の材質及び形成方法は、第1クラッド層と同様の方法である。コア上部の第2クラッド層の厚さは、25μmであった。作製した光配線プリント基板では、ミラー用バンプと光配線コアパターンを同一のマスクにより形成したため、両者の位置ずれはなかった。
作製した光プリント配線板の光損失を図7に示すセットアップにて測定した。光源に850nmの面発光レーザー(VCSEL(EXFO社製、「FLS−300−01−VCL」)を、受光センサ(PD)に株式会社アドバンテスト製「Q82214」を用いた。入射ファイバーとして、GI−50/125マルチモードファイバー(GI50−MMF、NA=0.20)、出射ファイバーとしてSI−114/125マルチモードファイバー(SI−114−MMF、NA=0.22))用い、ミラー損失を含む光損失を測定した結果、4ch平均で3.2dBであった。なお、光ファイバーと光導波路界面には、20μmのエアギャップを設けて測定した。別途測定した光導波路の伝搬損失は光路長4cmで0.4dBであったので、ミラー損失は片側1.4dBと求められる。
従来の方法、すなわち、ミラー用バンプと配線コアパターンをそれぞれのフォトマスクを用いて別工程で作製した。この場合、ミラー用バンプと配線コアパターンとの間に、1〜10μm程度の位置ずれが生じた。
12.第1クラッド層
13.位置合わせ用マーカー
14.コア層
15.嵌合用バンプ
16.ミラー用バンプ
17.配線コアパターン
18.金属ブレード
19.ミラー反射膜形成用マスク
20.反射膜
21.ミラー部
22.第2クラッド層
23.ハーフエッチング部
24.フルエッチング部
Claims (4)
- (A)基材上に第1クラッド層を形成する工程、(B)第1クラッド層上に該クラッド層よりも屈折率の高い材料からなるコア層を積層する工程、(C)フォトマスクを用いて該コア層を加工し、ミラー反射膜形成用マスクの位置決め部をはめ込むための嵌合用バンプ、ミラー用バンプ、及び配線コアパターンを同時に形成する工程、(D)ミラー用バンプに傾斜部を形成する工程、(E)前記嵌合用バンプを基準に位置決めを行いながら、前記嵌合用バンプの位置に合致するようにあらかじめ形成された位置決め部を前記嵌合用バンプにはめ込んだミラー反射膜形成用マスクを用いて前記配線コアパターンを保護し、ミラー用バンプに反射膜を選択的にコーティングしてミラー部を形成する工程、及び(F)前記ミラー部と前記配線コアパターンとを含む領域上に第2クラッド層を形成する工程を有し、
前記ミラー反射膜形成用マスクとして、ハーフエッチング部とフルエッチング部を有し、前記フルエッチング部は開口部であり、前記ハーフエッチング部はマスク途中までエッチングした凹形状の窪みによって形成されている加工部であり、前記フルエッチング部はミラー反射膜を形成するために設けたものであり、前記ハーフエッチング部は配線コアパターンを覆いミラー反射膜形成時に反射膜が付かないように保護するために設けられたものであるミラー反射膜形成用マスクを用いることを特徴とする光配線プリント基板の製造方法。 - 前記第1クラッド層及び前記コア層にそれぞれ感光性ポリマー材料を用い、前記ミラー用バンプ及び前記配線コアパターンは、紫外光を用いたリソグラフィによって形成する請求項1に記載の光配線プリント基板の製造方法。
- 前記傾斜部がダイシング又はレーザー照射によって前記ミラー用バンプの側面に、前記基板の表面に対して順テーパをなすように形成する請求項1又は2に記載の光配線プリント基板の製造方法。
- 前記傾斜部が、前記基材の表面に対して43〜47度の角度をなす請求項1〜3のいずれか1項に記載の光配線プリント基板の製造方法。
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