JP5632808B2 - 建具 - Google Patents
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Description
また、障子に上下框を設けなくても、上枠および下枠に溝を形成し、縦框および面材の上端部および下端部を各溝に呑み込ませているので、障子を上下枠の溝に沿って面内方向(見付け方向)にスライド移動できる。
さらに、前記室外側保持板および室内側保持板は、金属製の板材を折り曲げて形成できる。そして、各見込み面部をリベット等で連結して一体化しているので、縦框として必要な剛性を確保でき、別途、骨材を用いる必要がないため、部材点数を少なくできてコストを抑えることができる。
また、1枚の板材で前記面材を保持する溝部を構成した場合に、曲げ加工が複雑になる。また、前記溝部内に接着剤を注入して面材を固定する場合、前記接着剤をムラ無く注入することが難しい。これに対し、本発明では、室外側保持板および室内側保持板の2つの部材を備えているので、曲げ加工も例えば各保持板をL字状やコ字状に折曲するだけでもよく、簡単に加工できる。また、室外側保持板および室内側保持板を一体化する前に、見付け面部に接着剤を塗布することもでき、接着剤を均一に塗布して面材の接着を確実に行うことができる。
なお、前記移動部材は、戸車でもよいし、摺動部材でもよい。移動部材として戸車を用いる場合は、前記下枠の溝内にレールを形成し、このレールで縦框の下端部に取り付けた戸車を案内すればよい。移動部材として摺動部材を用いる場合には、前記下枠の溝内に摺動面を形成し、この摺動面上に縦框の下端部に取り付けた摺動部材を接触させて移動すればよい。
このため、障子の開閉時に障子の転びで一方の縦框側が上方に移動したり、暴風などで障子が浮き上がった場合に、前記移動部材の係止部が前記下枠の突出片に当たって係止されるので、障子が下枠から外れて脱落することを防止できる。
さらに、この障子の外れ防止用の係止部は、縦框側に形成することもできるが、その場合は縦框の加工が複雑になる。これに対し、本発明では、縦框に取り付けられる別体の移動部材に係止部を形成しているので、縦框の構成を簡易にできて容易に加工できる。
この発明によれば、室外側保持板、室内側保持板の見付け面部を框材保持部で挟持するので、面材を保持する各保持板の見付け面部が広がることを防止できる。また、移動部材の框材保持部が、各保持板の見付け面部に係合するため、移動部材が回転することも防止できる。
図1〜5に示すように、本実施形態に係る建具は、建物の外壁1の開口部に設置される窓2の屋外側に設けられる防火戸10である。
窓2は、建物の開口部に固定される窓枠3と、窓枠3に支持される一対の障子4と、一対の障子4よりも屋外側にて窓枠3に支持される網戸5とを備えた一般的な引き違い窓である。なお、図1では網戸5を省略している。
この防火戸10は、建物の外壁1に固定される建具枠20と、この建具枠20に支持される四枚建ての障子40とを備える。障子40は、防火戸10の見付け方向中央部で互いに突き合わされる2枚の外障子(突合せ障子)41と、外障子41の内側に配置される2枚の内障子42とで構成される。
また、上枠21、下枠22と、縦枠23は、図3,4に示すように、L形ブラケット24にそれぞれボルト止めされて連結されている。すなわち、L形ブラケット24の垂直面部に縦枠23がねじ止めされている。このねじの先端には袋ナットが取り付けられている。また、L形ブラケット24の水平面部は縦枠23の上下両端に形成された切欠に配置され、この水平面部に裏板を用いて上枠21、下枠22がねじ止めされている。
下枠22は、図6にも示すように、下枠本体220と、レール部材31,32とを備えて構成されている。
下枠本体220は、主に2枚のスチール板221、222によって構成されている。スチール板221、222は、厚さ寸法がt0.8〜t1.5の鋼板であり、防火設備(防火戸)として求められる構造規定を満たすものである。
スチール板221は、外壁1に固定される固定部221Aと、この固定部221Aから水平方向に折曲されて下枠22の下面を構成する平面部221Bと、この平面部221Bの室外側端縁から上側に折曲され、さらに上端側においてヘミング加工で折り返された外面部221Cとを備えている。
スチール板222は、外壁1に固定される固定部222Aと、この固定部222Aから水平方向に折曲されて下枠22の上面を構成する平面部222Bと、この平面部222Bの室外側端縁から垂直方向下側に折曲された垂直壁部222Cと、垂直壁部222Cの下端から水平方向室外側に折曲された底面部222Dと、底面部222Dの室外側端縁から垂直方向下側に折曲された外面部222Eと、外面部222Eの下端から室内側に折曲された固定部222Fとを備えている。
また、下枠22の長手方向端面には、図5に示すように、端部キャップ25が取り付けられている。この端部キャップ25には、図示しないが平面部222Bに固定される固定片と、平面部221Bに固定される固定片を備えている。従って、各スチール板221,222は、端部キャップ25を介しても連結されている。
一方、窓2の下側の外壁1には、図5に示すように、平面コ字状の先付けブラケット26が固定されている。先付けブラケット26は、スチール板を折り曲げて構成され、外壁1に固定される固定部261と、固定部261に連続する支持部262とを備えている。
下枠22は、先付けブラケット26を開口部226に挿入した状態で外壁1に固定される。この際、先付けブラケット26は、支持部262が垂直面となる向きに固定されており、下枠22の支持強度を高めている。
下枠22は、図6にも示すように、固定部221A,222Aに所定間隔で形成された長孔227から固定ねじ27をねじ込むことで外壁1に固定される。なお、固定ねじ27の頭部はカバー材271で被覆されて外部に露出しない。
また、図示を略すが、後述するレール部材31の固定箇所にもアングル材28と同様のアングル材が配置され、レール部材31の固定ねじで固定されている。なお、前記アングル材28は、立上り部がレール部材32の室外側に配置されているが、レール部材31の下面側に配置されるアングル材は、立上り部がレール部材31の室内側に配置されている。
これにより、下枠22の上面には、2つの凹溝部22A,22Bが形成されている。外側の凹溝部22Aは、室外側壁部としての外面部221C、底面部222D、室内側壁部としての図示略のアングル材で構成される。また、内側の凹溝部22Bは、室外側壁部としてのアングル材28、底面部222D、室内側壁部としての垂直壁部222Cで構成される。なお、アングル材28はピース材であるため、各アングル材28の間に排水用の隙間が形成されている。
これらの凹溝部22A,22Bには、障子41,42を案内するレール部材31,32が配置されている。
レール部材31は外障子41を案内する外レール部材であり、レール部材32は内障子42を案内する内レール部材である。
外レール部材31は、凹溝部22Aに配置される。外レール部材31は、図7にも示すように、断面略コ字状のアルミ形材であり、底面部222Dに対向する水平面部311と、水平面部311の室外側端縁から連続する第1の立上り部312と、水平面部311の室内側端縁に連続する第2の立上り部313とを備える。
水平面部311の上面には、突条部314が形成されている。突条部314は、後述するように外障子41の摺動部材70を案内するレールである。
また、各立上り部312,313の上端には、外レール部材31の内周側に延長された突出片316がそれぞれ形成されている。従って、突出片316は互いに近づく方向に延長され、外レール部材31の開口幅寸法を、各立上り部312,313間の寸法よりも短くしている。
調整孔315は、図4にも示すように、外レール部材31の長手方向に延長された長孔であり、水平面部311を貫通して形成されている。
この調整ねじ33の頭部の直径は、前記調整孔315の長手方向の寸法以下であり、かつ、長手方向に直交する幅寸法よりも大きく設定されている。従って、調整ねじ33の頭部は、十字穴が形成された頂部側が前記調整孔315に係合するとともに、調整孔315の長手方向の両端部側では、調整ねじ33との間に隙間が形成されている。このため、調整孔315に水が入り込んだ場合、その水は前記隙間を通して凹溝部22Aの底面部222D上に流れる。凹溝部22Aの長手方向(見付け方向)の両端部には、凹溝部22A内の水を下枠22の外部に排水する図示略の排水孔があり、前記調整孔315から凹溝部22Aに流れ込んだ水は排水孔から下枠22の外部に排水される。
なお、水平面部311には、前記調整孔315に連通するV溝が形成され、水平面部311上に入った水をスムーズに調整孔315に流すことができる。
調整ねじ33の十字溝は、前記調整孔315に露出している。このため、調整ねじ33は、ドライバーで回すことで、高さ位置を調整できる。この調整ねじ33の高さ位置を調整すれば、調整ねじ33に載置されている外レール部材31の高さ位置も調整できる。すなわち、室内外の各調整ねじ33の高さを調整することで、外レール部材31の室内外方向の傾きを調整できる。また、外障子41の突合せ部を挟んで設けられた各調整ねじ33の高さを調整することで、外レール部材31の長手方向の傾きを調整できる。これにより、後述するように、外障子41を正しく立てることができ、外障子41の突合せ部分に隙間が生じることを防止できる。
水平面部321の上面には、突条部324が形成されている。突条部324は、内障子42の摺動部材70を案内するレールである。
立上り部322はアングル材28に沿って配置される。立上り部322の上端には、室外側に延長されて前記外レール部材31に当接するカバー部325が形成されている。
また、各立上り部322,323の上端には、内レール部材32の内周側に延長された突出片326がそれぞれ形成されている。従って、突出片326は互いに近づく方向に延長され、内レール部材32の開口幅寸法を、各立上り部322,323間の寸法よりも短くしている。
また、前記突出片316,326には、図4に示すように、障子41,42の幅寸法に合わせて切欠部316A、326Aが形成されている。この切欠部316A、326Aに後述する摺動部材70の係止部714を配置することで、係止部714をレール部材31,32の溝内部に配置したり、溝内部から取り外すことができるように構成されている。
上枠21は、図3に示すように、2枚のスチール板211、212によって構成された上枠本体210を備えている。スチール板211、212は、厚さ寸法がt0.8〜t1.5の鋼板であり、防火設備として求められる構造規定を満たすものである。
スチール板211は、上枠21の上面を構成するとともに、前記スチール板212との間に凹溝部21Aを構成している。
スチール板212は、上枠21の下面を構成するとともに、凹溝状に折曲されて凹溝部21Bを構成している。
これらのスチール板211,212は、凹溝部21B部分で上下に重なっており、この部分で固定ねじを用いて互いに固定されている。
前記凹溝部21A,21Bには、障子41,42の上端部を案内するレール部材36,37が、スチール板211,212にねじ止めされている。
レール部材36は外障子41の上端部を案内する外レール部材であり、レール部材37は内障子42の上端部を案内する内レール部材である。
立下り部362,363の内面には、モヘア38が外レール部材36の長手方向に沿って連続して取り付けられている。
立下り部372,373の内面には、モヘア38が内レール部材37の長手方向に沿って連続して取り付けられている。
また、上枠21は、図3に示すように、スチール板211に所定間隔で形成された長孔217から固定ねじ27をねじ込むことで外壁1に固定される。固定ねじ27の頭部はカバー材271で被覆されている。
縦枠23は、図4、5にも示すように、断面略コ字状のスチール材で構成されている。縦枠23は、厚さ寸法がt0.8〜t1.5の鋼板であり、防火設備として求められる構造規定を満たすものである。
この縦枠23は、外壁1に固定される固定部23Aと、固定部23Aから直交方向に折曲されて見込み方向に延びる縦枠本体部23Bと、縦枠本体部23Bの室外側端部から折曲された係合部23Cとを備える。
固定部23Aの見付け寸法は、係合部23Cよりも長くされており、固定部23Aから固定ねじ27をねじ込むことで、縦枠23は外壁1に固定されている。
次に、障子40の構成について説明する。障子40は、2枚の外障子41および2枚の内障子42からなる四枚建ての障子である。
各障子41,42は、図4、8に示すように、面材50と、面材50の左右の端部を保持する縦框51、52、53、54、55を備えている。
面材50は、障子41,42として必要な剛性と、暴風時の飛来物などによる破損を防止する強度と、耐火性とを有する面材で構成される。本実施形態の面材50は、耐火強化ガラスが用いられているが、スチール板や耐火ボードなどの面材を用いてもよい。
面材50として用いられる耐火強化ガラスは、光をやわらげて採り入れるとともに、プライバシーを守る目隠し効果を発揮するため、ミスト調ガラスが用いられている。
また、面材50である耐火強化ガラスの外周端面には、ガラス輸送時の破損などを防止するため、図8,9に示すように、保護シール50Aが貼られている。
外障子41は、図4,8に示すように、外障子41、内障子42を閉めた際に、内障子42に係合する縦框53と、外障子41の突合せ部に設けられる突合せ框である縦框54,55とを備えている。
内障子42の縦框52は、面材50を室内外から挟持する室外側保持板521、室内側保持板522で構成される。室外側保持板521は、断面略L字状に折曲された厚さ寸法がt0.5の化粧鋼板で構成されている。また、室内側保持板522は、断面略コ字状に折曲された厚さ寸法がt0.5の化粧鋼板で構成されている。
室外側保持板521および室内側保持板522は、縦框52の見込み方向に延長された見込み面部521A,522Aと、各見込み面部521A,522Aから縦框52の見付け方向に延長された見付け面部521B、522Bとを備えている。
また、見付け面部521B、522Bの端部は、ヘミング曲げ加工が施されている。そして、この見付け面部521B、522B間に面材50が保持されている。
なお、面材50と見付け面部521Bとの間には、ヘミング曲げによって形成される室外側保持板521の板厚分の空間が形成される。この空間に接着剤59が塗布され、面材50が接着されている。
室外側保持板531および室内側保持板532は、縦框53の見込み方向に延長された見込み面部531A,532Aと、各見込み面部531A,532Aから縦框53の見付け方向に延長された見付け面部531B、532Bとを備えている。
また、見付け面部531B、532Bの端部は、ヘミング曲げ加工が施され、この見付け面部531B、532B間に面材50が保持されている。
さらに、面材50と見付け面部531Bとの間には、ヘミング曲げによって形成される室外側保持板531の板厚分の空間が形成されて接着剤59が塗布され、面材50が接着されている。
これらの縦框52、53は、室外側保持板521、531の見付け面部521B、531Bに接着剤59を塗布して面材50を接着した後、室外側保持板521、531、室内側保持板522、532を、縦框52,53の見込み面でリベット止めすることで組み立てられる。
外障子41の縦框54は、凹部を形成する嵌合部材545を備え、この嵌合部材545に他方の縦框55を嵌合するように構成している。
すなわち、突合せ部における一方の縦框54は、図10に示すように、面材50を室内外から挟持する室外側保持板541、室内側保持板542と、各保持板541、542間の開口を塞ぐ閉塞板543とで構成される。
室外側保持板541、室内側保持板542は、縦框54の見込み方向に延長された見込み面部541A、542Aと、各見込み面部541A,542Aから縦框54の見付け方向に延長された見付け面部541B、542Bとを備えている。見付け面部541B、542Bのヘミング加工や接着剤59の塗布は、縦框52、53と同じであるため説明を略す。閉塞板543は、見込み面部543Aを備えている。
縦框54は、室外側保持板541の見付け面部541Bに接着剤59を塗布して面材50を接着し、室外側保持板541、室内側保持板542、閉塞板543、嵌合部材545を、縦框54の見込み面でリベット止めすることで組み立てられる。
なお、外障子41と内障子42の召合せ部も前記縦框52,53の煙返し部522C、531Cが設けられ、内障子42と縦枠23の召合せ部も前記縦框51や係合部23Cが煙返しとなり、障子41,42の外観側から内観側につながる空間がジグザク状の迷路形状となる。このため、これらの召合せ部にも貫通口が発生せず、防火性能を確保できる。
各障子41,42の縦框51〜55には、前記レール部材31,32の突条部314,324上をスライド移動する摺動部材70が取り付けられている。従って、本実施形態では、摺動部材70によって、下枠22の溝内(凹溝部22A,22B内)を移動する移動部材が構成されている。
摺動部材70は、図7,8に示すように、各縦框51〜55の見込み面の下端に取り付けられたステンレスなどの金属製の外れ止め部71と、この外れ止め部71の下面に固定された摺動部72とで構成されている。
固定部711は、縦框51〜55の見込み面にビス止めされている。面材支持部712は、固定部711の下端から水平方向に延長されている。この面材支持部712上に面材50の下端面が載置されている。
なお、前述したように、突出片316,326には切欠部316A、326Aが形成されている。このため、障子41,42を下枠22から着脱する場合には、前記係止部714を切欠部316A、326Aの位置に合わせて障子41,42を上下に移動すればよい。
この際、障子41,42の下端部は下框が設けられてないので、面材50の下端部が露出する。この面材50は、摺動部材70の面材支持部712および摺動部72の厚さ寸法分だけ、突条部314,324の上方に離れており、障子41,42のスライド移動を阻害することはない。
また、図8に示すように、障子41の上端部も上框が設けられていないので、面材50の上端部が露出する。この面材50の上端部は、縦框51〜55の上端部とともに、前記レール部材36、37のモヘア38で挟持され、障子41,42の上端部はモヘア38で案内されてスライド移動する。
また、図示しないが、外障子41の突合せ部の各縦框54,55には、錠および錠受を取り付けて施錠できるようにしてもよい。
外障子41を開いた場合には、最初は外障子41のみが移動し、外障子41が係合部材66に当接すると、外障子41の移動に連動して内障子42も移動する。そして、係合部材66が縦枠23に当接すると、外障子41および内障子42は停止する。この停止位置が障子41,42の全開位置であり、この際、外障子41および内障子42は内外方向に重なって配置される。また、この全開位置は、窓2のガラス部分の殆どが露出する位置とされ、室内からの眺めを遮ることがないようにされている。
一方、外障子41を全開位置から閉めると、最初は外障子41のみが移動し、外障子41の召合せ部の縦框53が、内障子42の召合せ部の縦框52に係合すると、外障子41の移動に連動して内障子42も移動する。そして、内障子42の戸先側の縦框51が縦枠23に当接すると、外障子41および内障子42は停止する。この停止位置が障子41,42の全閉位置である。
障子41,42は、ガラス製の面材50と、面材50の左右両端に取り付けられた縦框51〜55と、縦框51〜55の下端部に取り付けられた摺動部材70とで構成され、上框や下框は設けていない。このため、上框や下框で隠れる部分が無い分、面材50の見付け面の面積を大きくでき、採光性も向上できる。
また、上下框が設けられている場合は、上下框が上枠21、下枠22に沿って露出するが、本実施形態では、図1、2に示すように、上下框がなく、障子41,42の上下両端部は上枠21、下枠22の溝内に呑み込まれているので、上下枠部分の意匠がシンプルなものとなり、防火戸10の意匠性も向上できる。特に、本実施形態では、障子41,42は、見付け面の幅寸法に比べて高さ寸法が大きいスリムな障子であるため、上下方向に長い面材50および縦框51〜55のみが露出することで意匠性を向上できる。
さらに、縦框51〜55の下端に戸車を設ける場合に比べて、縦框51〜55の見付け寸法および見込み寸法を小さくできて、スリムな意匠デザインにできる。この点からも、採光性や意匠性を向上できる。
さらに、係止部714を摺動部材70に形成しているので、縦框51〜55に形成する場合に比べて、縦框51〜55の加工、組立が容易になり、生産効率も向上できる。
さらに、室外側保持板521、531、541、551および室内側保持板522、532、542、552は、各見込み面部をリベット等で連結して一体化しているので、縦框51〜55として必要な剛性を確保でき、別途、骨材を用いる必要がないため、部材点数を少なくできてコストを抑えることができる。
さらに、ヘミング曲げ加工で形成される隙間を、接着剤59を塗布する目地に利用でき、接着剤59がヘミング曲げ加工部分を乗り越えてはみ出すことを防止できる。
また、接着剤59は、面材50の室外側のみに設けているので、外部からの炎で接着剤59が発火した場合に、接着剤59の炎が室内側に吹き込むことを防止できる。
また、調整ねじ33を突条部314の内側および外側にそれぞれ設けているので、外レール部材31の傾きも調整できる。このため、外レール部材31上に外障子41を正しく立てることができる。
さらに、調整ねじ33が、外障子41の突合せ部に設けられているため、互いに突き合わされる外障子41同士が見付け方向に傾いたり、見込み方向に傾くことを直すことができる。このため、外障子41の突合せ部に隙間が生じることを防止でき、水密性能や防火性能が低下することを防止できる。
また、外レール部材31の立上り部312,313は、水平面部311よりも下方に突出しているので、調整ねじ33を最も低い位置に調整した場合でも、水平面部311および底面部222D間に隙間を確保でき、排水性が低下することを防止できる。
その上、調整ねじ33上にレール部材31,32が載置されるため、調整ねじ33はレール部材31,32の上面から突出しない。また、レール部材31,32を下枠本体220に固定する皿ネジ35も上面から突出しない。このため、調整ねじ33や皿ネジ35が障子41の移動を阻害することを防止でき、障子41をスムーズに移動できる。
また、調整ねじ33をドライバーで回すだけで高さ調整が行えるので、調整部材の構成も簡易にでき、コストをより低減できる。その上、調整ねじ33はドライバーによる回転数によってその高さを微調整できるため、外レール部材31の高さ位置も微妙に調整でき、調整作業性も向上できる。
さらに、レール部材31,32,36,37を断面コ字状に形成しているので、長尺なレール部材31,32,36,37の剛性を確保できて、レールの歪みや撓みを無くすことができる。さらに、レール部材31,32,36,37を凹溝部21A,21B,22A、22Bの室内側壁部や室外側壁部に当接させることができるので、凹溝部22A、22B内に対するレール部材31,32,36,37の位置決めを容易に行うことができる。
また、先付けブラケット26は下枠22内に納まるため、外部に露出せず、意匠性も向上できる。
さらに、先付けブラケット26が下枠22内に納まっているので、下枠22の強度を向上できる。特に、障子41,42の重量の一部を先付けブラケット26でも支持できるため、下枠22が障子41,42の荷重で垂れることもなく、障子41,42の支持強度も向上できる。
例えば、前記実施形態においては、防火戸10として、四枚建ての障子41,42で構成していたが、図11に示すように、2枚の外障子41のみで構成した防火戸10Aとしてもよい。すなわち、窓2の開口寸法が小さい場合には、2枚の外障子41のみを有する防火戸10Aを設ければよい。この場合、上枠21、下枠22には、1つの凹溝部21A,22Aを設ければよい。このため、スチール板212、スチール板222の形状を、凹溝部21A,22Aが1つ形成されるように設計すればよい。また、窓2の開口寸法が大きい場合には、5枚以上の障子を設けて構成してもよい。
また、前記実施形態では、外障子41のみに高さ調整機構を設けていたが、内障子42にも設けてもよい。特に、内障子42と外障子41や縦枠23との召合せ部に高さ調整機構を設ければ、召合せ部における各障子間や縦枠との間隔を一定にでき、内障子42を正しい向きに設置できる。ただし、召合せ部は、見込み方向に障子41,42や縦枠23が重なるため、召合せ部において障子41,42が多少傾いていても、耐火性に影響するような隙間が生じるおそれがない。従って、前記実施形態のように、少なくとも外障子41の突合せ部に高さ調整機構を設ければよい。
また、前記実施形態では、先付けブラケット26は、下枠22を支持する位置に設けていたが、上枠21の開口部に挿入されて上枠21を支持する位置に設けてもよい。この場合も、建具枠20を先付けブラケット26で仮固定できて作業性を向上でき、かつ、防火戸10の支持強度も向上できる。
さらに、上枠21および下枠22の両方を先付けブラケット26で支持してもよい。この場合は、防火戸10の支持強度をより一層向上できる。
また、本実施形態のレール部材31,32の突条部314,324は、戸車のレールとしても兼用できるので、戸車用のレール部材を別途用意する必要が無く、コストも低減できる。
さらに、レール部材31,32には、水平面部311,321から突出する突条部を形成せずに、水平面部311,321の表面を平らに形成して摺動面とし、摺動部材70の摺動部72に下方に突出する突出部を形成し、前記摺動面に接触させてもよい。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (3)
- 上枠および下枠を備える建具枠と、前記上枠および下枠に沿って移動する障子とを備える建具であって、
前記障子は、
金属製の板材で形成された左右の縦框と、
前記縦框間に取り付けられた面材と、
前記縦框の下端部に取り付けられた移動部材とを備え、
前記縦框は、
金属製の板材からなり前記面材を室外側から保持する室外側保持板と、
金属製の板材からなり前記面材を室内側から保持する室内側保持板とを備えて構成され、
前記室外側保持板および室内側保持板は、
前記縦框の見込み方向に延長された見込み面部と、
前記見込み面部から前記縦框の見付け方向に延長された見付け面部とを備え、
前記室外側保持板および室内側保持板の見込み面部は、前記見付け面部から室外側および室内側のうちのいずれか一方に向かって同方向に延長され、
前記室外側保持板および室内側保持板は、前記見込み面部同士を連結して一体化され、
前記室外側保持板および室内側保持板の見付け面部で前記面材を挟持して保持し、
前記上枠には下面に開口する溝が形成され、
前記下枠には上面に開口する溝が形成され、
前記障子は、前記縦框および前記面材の上端部が前記上枠の溝内に挿入され、前記縦框および前記面材の下端部が前記下枠の溝内に挿入され、
前記移動部材が前記下枠の溝内を移動することで、前記障子は前記建具枠の上枠および下枠に沿ってスライド移動する
ことを特徴とする建具。 - 前記下枠は、前記溝を区画形成する一対の立上り部を備え、
前記各立上り部から溝内部に突出する突出片が形成され、前記突出片間の見込み方向の幅寸法は前記溝の見込み方向の幅寸法よりも小さくされ、
前記移動部材は、前記溝内に配置されて前記突出片間の幅寸法よりも大きく、前記溝の幅寸法よりも小さい幅寸法の係止部を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の建具。 - 前記移動部材は、
前記室外側保持板の見付け面部および室外側保持板の見付け面部を挟持する框材保持部を備える
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建具。
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