JP5630276B2 - 半導体発光素子、半導体発光装置 - Google Patents

半導体発光素子、半導体発光装置 Download PDF

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本発明は、半導体発光素子、半導体発光素子の製造方法及び半導体発光装置に関する。
近年、短波長光発光素子用の半導体材料として、GaN系化合物半導体が注目を集めている。GaN系化合物半導体は、サファイア単結晶を始め、種々の酸化物やIII−V族化合物を基板として、その上に有機金属気相化学反応法(MOCVD法)や分子線エピタキシー法(MBE法)等によって形成される。
半導体発光素子は、通常、透明電極上に、金(Au)等のボンディングワイヤと接続する部分にAuまたはAuを含む合金からなるボンディングパッドを形成している。最近、発光波長に対して透明な基板上に形成された半導体発光素子を裏返して回路基板(サブマウント)またはパッケージに搭載するフリップチップボンディング(FC)実装技術が開発されている。
例えば、特許文献1には、透光性基板と、n型半導体層、発光層及びp型半導体層が透光性基板上に順次積層されてなる半導体層と、n型半導体層に接合される負電極と、p型半導体層に接合される正電極と、正電極及び負電極にそれぞれ接続される正電極パッド及び負電極パッドとを具備してなるフリップチップ型半導体発光素子が記載されている。
特開2007−173269号公報
ところで、FC実装技術によれば、従来の電極が形成されている側から光を取り出す方式(フェイスアップ型)に比べ、電極による遮光を回避できる利点がある。現在、GaN系化合物半導体を発光層とする半導体発光素子を照明用途等に適用する際、実用化のために光の取り出し効率のさらなる改良が必要とされている。
本発明の目的は、半導体発光素子のFC(フリップチップ)実装技術における光の取り出し効率を改良することを目的とする。
本発明によれば、以下、[1]〜[10]が提供される。
[1]第1の導電型を有する第1の半導体層、発光層及び当該第1の導電型とは逆の第2の導電型を有する第2の半導体層が積層された積層半導体層と、前記積層半導体層の前記第1の半導体層の表面に形成された第1の電極と、前記積層半導体層の前記第2の半導体層の表面に形成された第2の電極と、を備え、前記第2の電極は、前記積層半導体層の前記第2の半導体層上に、当該第2の半導体層側と反対側の膜面が凹凸形状を有するように形成された、又は当該第2の半導体層を覆わない不連続な部分を設けるように形成された、前記発光層から出力される光に対して透過性且つ導電性の透明導電層と、前記透明導電層上に設けられ、前記発光層から出力される光に対して反射性を有する反射層と、を有し、前記透明導電層の前記凹凸形状は、当該透明導電層の前記反射層側の凸部が平面視で、前記第1の電極から放射状に伸びた複数の直線状部分と当該第1の電極を中心に同心円状に形成された複数の円弧状部分とが交差した網目構造を形成していることを特徴とする半導体発光素子。
[2]前記第2の電極の前記透明導電層は、前記第2の半導体層側と反対側の膜面が凹凸形状を有するように形成されることを特徴とする前項1に記載の半導体発光素子。
[3]前記透明導電層の前記凹凸形状は、平面視で、当該透明導電層の前記反射層側の表面の少なくとも15%を占有するように、当該反射層側に凸部が形成されていることを特徴とする前項1または2に記載の半導体発光素子。
[4]前記第2の電極の前記透明導電層は、導電性の酸化物から構成されることを特徴とする前項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
[5]前記第2の電極の前記透明導電層は、インジウム(In)を含む導電性の酸化物から構成されることを特徴とする前項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
[6]前記積層半導体層は、III族窒化物半導体から構成されることを特徴とする前項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
[7]前記積層半導体層は、前記第1の半導体層の前記第1の導電型が電子をキャリアとするn型であり、前記第2の半導体層の前記第2の導電型が正孔をキャリアとするp型であることを特徴とする前項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
[8]前記第1の電極と外部との電気的な接続に用いられる第1の接続子と、前記第2の電極と外部との電気的な接続に用いられる第2の接続子と、を備えることを特徴とする前項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
[9]半導体発光素子と当該半導体発光素子を実装する回路基板を備える半導体発光装置であって、前記半導体発光素子は、第1の導電型を有する第1の半導体層、発光層及び当該第1の導電型とは逆の第2の導電型を有する第2の半導体層が積層された積層半導体層と、前記積層半導体層の前記第1の半導体層の表面に形成された第1の電極と、前記積層半導体層の前記第2の半導体層の表面に形成された第2の電極と、を備え、前記第2の電極は、前記積層半導体層の前記第2の半導体層上に、不連続な膜形状又は当該第2の半導体層側と反対側の膜面が凹凸形状を有するように形成され、前記発光層から出力される光に対して透過性且つ導電性の透明導電層と、
前記透明導電層上に設けられ、前記発光層から出力される光に対して反射性を有する反射層と、を有し、前記透明導電層の前記凹凸形状は、当該透明導電層の前記反射層側の凸部が平面視で、前記第1の電極から放射状に伸びた複数の直線状部分と当該第1の電極を中心に同心円状に形成された複数の円弧状部分とが交差した網目構造を形成し、前記回路基板は、前記半導体発光素子の前記反射層を備える側と対向するように配置されることを特徴とする半導体発光装置。
[10]前記回路基板は、前記半導体発光素子の前記第1の電極及び前記第2の電極と、それぞれ接続子により接続された一対の配線を備えることを特徴とする前項9に記載の半導体発光装置。
透明導電層171は、p型半導体層160とオーミックコンタクトがとれる導電性を有し、且つp型半導体層160との接触抵抗が小さいものを用いることが好ましい。
本発明によれば、p型半導体層160とオーミックコンタクト特性の優れた透明導電層171を、当該第2の半導体層側と反対側の膜面が凹凸形状を有するように形成された、又は当該第2の半導体層を覆わない不連続な部分を設けるように形成された、光に対して透過性且つ導電性の透明導電層とすることで、凹凸形状を有しない従来の透明導電層を備えた半導体発光素子(比較例)と比較して、発光出力(Po:単位mW)が増大し、FC実装技術における光の取り出し効率を格段と改良することができる。
さらに、本発明によれば、透明導電層を、積層半導体層の第2の半導体層(例えば、p型半導体層160)の表面を覆う連続的な膜部分(連続膜部171a)の上に凸部171bを設けた形状にすることにより、凹凸形状を有しない従来の透明導電層を設ける場合と比較して、発光出力(Po:単位mW)が増大し、さらに順方向電圧(Vf:単位V)を低下させることができる。
また、さらに、本発明によれば、透明導電層を、積層半導体層の第2の半導体層の表面を一部覆い、2の半導体層を覆わない不連続な部分を設けるように形成することにより、凹凸形状を有しない従来の透明導電層を設ける場合と比較して、発光出力(Po:単位mW)が増大し、さらに順方向電圧(Vf:単位V)を低下させることができる。
また、透明導電層171は、p型半導体層160の上面を覆う連続的な連続膜部171aを形成し、または前記連続的な連続膜部171aを形成しないで、金属反射層172側に凸部171bが形成されることにより、発光出力を増大させることができる。
特に、本発明では、平面視で、透明導電層171の金属反射層172側の表面は、第2の電極領域の少なくとも15%が凸部171bにより占有されるのが効果的である。また、平面視で凸部171bの総面積は、第2の電極領域の面積又は透明導電層171の連続膜部171aを形成する場合の平面視の面積に対し、少なくとも15%占有するのが効果的である。
本実施の形態が適用される半導体発光装置の断面模式図の一例を示す図である。 半導体発光素子の断面模式図の一例である。 半導体発光素子の平面模式図の一例である。 積層半導体の断面模式図の一例である。 第1の電極の断面模式図の一例である。 第2の電極の断面模式図の一例である。 第2の電極の凸部の平面模式図の一例である。 実施例及び比較例に使用した第2の電極パターンの平面模式図である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。また、使用する図面は、本実施の形態を説明するための一例であり、実際の大きさを表すものではない。
<半導体発光装置>
図1は、本実施の形態が適用される半導体発光装置1の断面模式図の一例である。半導体発光装置1は、光を出射する半導体発光素子10と、半導体発光素子10を固定するとともに、半導体発光素子10に電力を供給する配線を設けた回路基板の一例としてのサブマウント15とを備えている。
半導体発光素子10は、基板110、中間層120、下地層130、積層半導体層100を備えている。また、半導体発光素子10は、正負一対の接続電極の一例として、負極として働く第1の電極180と、正極として働く第2の電極170とを備えている。積層半導体層100は、後述するように、n型半導体層140、発光層150およびp型半導体層160から構成されている。尚、第1の電極180は、積層半導体層100の一部を切り欠いた部分に設けられている。
また、第1の電極180および第2の電極170の表面の一部を除き、中間層120、下地層130、積層半導体層100の表面および側面を覆う保護層190を備えている。尚、半導体発光素子10の詳細については後述する。
サブマウント15は、サブマウント基板10B、サブマウント基板10B上に設けられたサブマウント配線11、12、半導体発光素子10の第1の電極180および第2の電極170とサブマウント配線11、12とを電気的に接続する接続子の一例としてのバンプ21,22を備えている。
図1では、半導体発光素子10は、基板110側が上側に位置している。すなわち、半導体発光素子10は、裏返してサブマウント15に実装されている。このように、サブマウント15に対して、半導体発光素子10を裏返して実装することをフリップチップ(FC)実装またはフリップチップ(FC)ボンディングと呼ぶ。また、半導体発光素子10が裏返して実装されることから、この実装形式をフェイスダウン(FD)実装とも呼ぶ。
本実施の形態における光の取り出しについて説明する。半導体発光素子10の積層半導体層100(具体的には、後述する図2における発光層150)において出射した光のうち、基板110側に進む光は、外部(図1の上側方向)に取り出される。一方、発光層150が出射する光のうち、第2の電極170側に進む光は、第2の電極170に設けられ、発光層150が出射する光に対して反射性を示す反射層(後述する図6の金属反射層172)で反射され、基板110側に向かい、外部(図1の上側方向)に取り出される。また、積層半導体層100、中間層120、下地層130の側面から外部に取り出される光もある。以下、サブマウント15、半導体発光素子10の順に詳細な構成を説明する。
(サブマウント)
サブマウント15のサブマウント基板10Bとしては特に限定されず、例えば、セラミック基板、AlN(窒化アルミニウム)基板、Al(アルミ)基板、Cu(銅)基板、ガラスエポキシ基板等の絶縁性または導電性の各種の基板を選択して用いることができる。
尚、Al基板等の導電性の基板を用いるときには、サブマウント配線11,12とサブマウント基板10Bとを電気的に絶縁するため、サブマウント配線11,12の少なくとも一方は絶縁層を介して設けられている。
半導体発光素子10の第1の電極180及び第2の電極170とサブマウント基板10Bのサブマウント配線11,12とを接続するバンプ21,22としては、例えば、Sn(錫)を添加したAu(Au−Sn合金)ボールや半田ボールが用いうる。特に、接続(圧着)時の加熱温度が約300℃のAu−Sn合金が好ましい。
以下、半導体発光素子10について詳細な構成を説明する。
<半導体発光素子>
図2は、半導体発光素子の断面模式図の一例である。図3は、図2に示すように、半導体発光素子をIII方向からみた平面模式図の一例である。図4は、半導体発光素子を構成する積層半導体の断面模式図の一例である。
図2に示すように、半導体発光素子10は、基板110と、基板110上に積層される中間層120と、中間層120上に積層される下地層130とを備える。また、半導体発光素子10は、下地層130上に積層される積層半導体層100を備えている。積層半導体層100は、下地層130側から、第1の導電型を有する第1の半導体層としてのn型半導体層140と、n型半導体層140上に積層される発光層150と、発光層150上に積層される第1の導電型とは逆の第2の導電型を有する第2の半導体層としてのp型半導体層160とから構成されている。
さらに、半導体発光素子10は、積層されたp型半導体層160、発光層150および第1の半導体層としてのn型半導体層140の一部を切り欠くことによって露出したn型半導体層140の半導体層露出面140cに形成される第1の電極180と、第2の半導体層としてのp型半導体層160の上面160cに形成される第2の電極170とを備えている。
さらにまた、半導体発光素子10は、第1の電極180および第2の電極170と、p型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140の一部(半導体層露出面140cよりも発光層150側)に積層される保護層190をさらに備える。ただし、保護層190は、p型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140の一部(半導体層露出面140cよりも発光層150側)の側壁面の全域、基板110の一部の上面110cを覆うように形成される。
第1の電極180に対しては、図2において上方側となる面の一部を露出させ、後述するように、バンプ(第1の接続子)21により外部との電気的な接続に用いられる第1の開口部180aが形成されている。同様に、第2の電極170に対しては、図2において上方側となる面の一部を露出させ、後述するように、バンプ(第2の接続子)22により外部との電気的な接続に用いられる第2の開口部170aが形成されている。
このように、本実施の形態の半導体発光素子10は、基板110とは反対側となる一方の面側に第1の電極180および第2の電極170が形成された構造を有している。この半導体発光素子10においては、第1の電極180を負極、第2の電極170を正極とし、両者を介して積層半導体層100(より具体的にはp型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140)に電流を流すことで、発光層150が発光するようになっている。
次に、図3に示すように、平面視したとき(図2に示す半導体発光素子10をIII方向からみた平面模式図)、第1の電極180は、平面形状が正方形の基板110の一つの角部に近接した部分に形成されている。第1の電極180は、露出した半導体層露出面140c上に形成され、さらに、第1の電極180の上面には、外部との電気的な接続に用いられる第1の開口部180aが形成されている。
第2の電極170は、第1の電極180を形成するためにエッチング等の手段により一部が除去された部分を除き、p型半導体層160の上面160cの略全面を覆うように形成されている。第2の電極170の上面には、第2の電極170を露出させ、外部との電気的な接続に用いられる第2の開口部170aが形成されている。尚、図3では、第1の電極180及び第2の電極170の表面を覆う保護層190を省略している。
次に、半導体発光素子10の各層について説明する。
(基板)
基板110としては、III族窒化物半導体結晶が表面にエピタキシャル成長される基板であれば、特に限定されず、各種の基板を選択して用いることができる。ただし、本実施の形態の半導体発光素子10は、後述するように、基板110側から光を取り出すようにフリップチップ実装されることから、発光層150から出射される光に対する光透過性を有していることが好ましい。例えば、サファイア、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウムアルミニウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化リチウムガリウム、酸化リチウムアルミニウム、酸化ネオジウムガリウム、酸化ランタンストロンチウムアルミニウムタンタル、酸化ストロンチウムチタン、酸化チタン等からなる基板110を用いることができる。
また、上記材料の中でも、特に、C面を主面とするサファイアを基板110として用いることが好ましい。サファイアを基板110として用いる場合は、サファイアのC面上に中間層120(バッファ層)を形成するとよい。
(積層半導体層)
III族窒化物半導体層の一例としての積層半導体層100は、例えば、III族窒化物半導体からなる層であって、図2に示すように、基板110上に、n型半導体層140、発光層150およびp型半導体層160の各層が、この順で積層されて構成されている。また、図4に示すように、n型半導体層140、発光層150及びp型半導体層160の各層は、それぞれ、複数の半導体層から構成してもよい。積層半導体層100は、さらに下地層130、中間層120を含めて呼んでもよい。ここで、n型半導体層140は、電子をキャリアとする第1の導電型にて電気伝導を行い、p型半導体層160は、正孔をキャリアとする第2の導電型にて電気伝導を行う。
尚、積層半導体層100は、MOCVD法で形成すると結晶性の良いものが得られるが、スパッタ法によっても条件を最適化することで、MOCVD法よりも優れた結晶性を有する半導体層を形成できる。以下、順次説明する。
(中間層)
中間層120は、多結晶のAlGa1−xN(0≦x≦1)からなるものが好ましく、単結晶のAlGa1−xN(0≦x≦1)のものがより好ましい。
中間層120は、上述のように、例えば、多結晶のAlGa1−xN(0≦x≦1)からなる厚さ0.01〜0.5μmのものとすることができる。中間層120の厚みが0.01μm未満であると、中間層120により基板110と下地層130との格子定数の違いを緩和する効果が十分に得られない場合がある。また、中間層120の厚みが0.5μmを超えると、中間層120としての機能には変化が無いのにも関わらず、中間層120の成膜処理時間が長くなり、生産性が低下するおそれがある。
中間層120は、基板110と下地層130との格子定数の違いを緩和し、基板110の(0001)面(C面)上にC軸配向した単結晶層の形成を容易にする働きがある。したがって、中間層120の上を介して、より一層結晶性の良い下地層130が積層できる。尚、本発明においては、中間層120を形成することが好ましいが、行なわなくても良い。
また、中間層120は、III族窒化物半導体からなる六方晶系の結晶構造を持つものであってもよい。また、中間層120をなすIII族窒化物半導体の結晶は、単結晶構造を有するものが好ましく用いられる。III族窒化物半導体の結晶は、成長条件を制御することにより、上方向だけでなく、面内方向にも成長して単結晶構造を形成する。このため、中間層120の成膜条件を制御することにより、単結晶構造のIII族窒化物半導体の結晶からなる中間層120とすることができる。このような単結晶構造を有する中間層120を基板110上に成膜した場合、中間層120のバッファ機能が有効に作用するため、その上に成膜されたIII族窒化物半導体は良好な配向性及び結晶性を有する結晶膜となる。
(下地層)
下地層130としては、AlGaInN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)を用いることができるが、AlGa1−xN(0≦x<1)を用いると結晶性の良い下地層130を形成できるため好ましい。
下地層130の膜厚は0.1μm以上が好ましく、より好ましくは0.5μm以上であり、1μm以上が最も好ましい。この膜厚以上にした方が結晶性の良好なAlGa1−xN層が得られやすい。また、下地層130の膜厚は、生産コストの点で好ましくは10μm以下がよい。
下地層130の結晶性を良くするためには、下地層130は不純物をドーピングしない方が望ましい。しかし、p型あるいはn型の導電性が必要な場合は、アクセプター不純物あるいはドナー不純物を添加することができる。
(n型半導体層)
図4に示すように、例えば、第1の導電型を有する第1の半導体層の一例としての、電子をキャリアとするn型半導体層140は、nコンタクト層140aとnクラッド層140bとから構成されるのが好ましい。尚、nコンタクト層140aはnクラッド層140bを兼ねることも可能である。また、前述の下地層130をn型半導体層140に含めてもよい。
nコンタクト層140aは、第1の電極180を設けるための層である。nコンタクト層140aとしては、AlGa1−xN層(0≦x<1、好ましくは0≦x≦0.5、さらに好ましくは0≦x≦0.1)から構成されることが好ましい。
また、nコンタクト層140aにはn型不純物がドープされていることが好ましく、n型不純物を1×1017〜1×1020/cm、好ましくは1×1018〜1×1019/cmの濃度で含有すると、第2の電極170との良好なオーミック接触を維持できる点で好ましい。n型不純物としては、特に限定されないが、例えば、Si、GeおよびSn等が挙げられ、好ましくはSiおよびGeが挙げられる。
nコンタクト層140aの膜厚は、0.5μm〜5μmに設定することが好ましく、1μm〜3μmの範囲に設定することがより好ましい。nコンタクト層140aの膜厚が上記範囲にあると、半導体の結晶性が良好に維持される。
nコンタクト層140aと発光層150との間には、nクラッド層140bを設けることが好ましい。nクラッド層140bは、発光層150へのキャリアの注入とキャリアの閉じ込めを行なう層である。nクラッド層140bはAlGaN、GaN、GaInNなどで形成することが可能である。また、これらの構造のヘテロ接合や複数回積層した超格子構造としてもよい。nクラッド層140bをGaInNで形成する場合には、発光層150のGaInNのバンドギャップよりも大きくすることが望ましい。
nクラッド層140bの膜厚は、特に限定されないが、好ましくは0.005〜0.5μmであり、より好ましくは0.005〜0.1μmである。nクラッド層140bのn型ドープ濃度は1×1017〜1×1020/cmが好ましく、より好ましくは1×1018〜1×1019/cmである。ドープ濃度がこの範囲であると、良好な結晶性の維持および発光素子の動作電圧低減の点で好ましい。
尚、nクラッド層140bを、超格子構造を含む層とする場合には、詳細な図示を省略するが、100オングストローム以下の膜厚を有したIII族窒化物半導体からなるn側第1層と、n側第1層と組成が異なるとともに100オングストローム以下の膜厚を有したIII族窒化物半導体からなるn側第2層とが積層された構造を含むものであっても良い。また、nクラッド層140bは、n側第1層とn側第2層とが交互に繰返し積層された構造を含んだものであってもよく、GaInNとGaNとの交互構造又は組成の異なるGaInN同士の交互構造であることが好ましい。
(発光層)
n型半導体層140の上に積層される発光層150としては、単一量子井戸構造あるいは多重量子井戸構造などを採用することができる。
図4に示すような、量子井戸構造の井戸層150bとしては、Ga1−yInN(0<y<0.4)からなるIII族窒化物半導体層が通常用いられる。井戸層150bの膜厚としては、量子効果の得られる程度の膜厚、例えば1〜10nmとすることができ、好ましくは2〜6nmとすると発光出力の点で好ましい。
また、多重量子井戸構造の発光層150の場合は、上記Ga1−yInNを井戸層150bとし、井戸層150bよりバンドギャップエネルギーが大きいAlGa1−zN(0≦z<0.3)を障壁層150aとする。井戸層150bおよび障壁層150aには、設計により不純物をドープしてもしなくてもよい。
尚、本実施の形態では、発光層150が、青色光(発光波長λ=400nm〜465nm程度)を出力するようになっている。
(p型半導体層)
図4に示すように、例えば、第2の導電型を有する第2の半導体層の一例としての、正孔をキャリアとするp型半導体層160は、通常、pクラッド層160aおよびpコンタクト層160bから構成される。また、pコンタクト層160bがpクラッド層160aを兼ねることも可能である。
pクラッド層160aは、発光層150へのキャリアの閉じ込めとキャリアの注入とを行なう層である。pクラッド層160aとしては、発光層150のバンドギャップエネルギーより大きくなる組成であり、発光層150へのキャリアの閉じ込めができるものであれば特に限定されないが、好ましくは、AlGa1−xN(0<x≦0.4)のものが挙げられる。
pクラッド層160aが、このようなAlGaNからなると、発光層150へのキャリアの閉じ込めの点で好ましい。pクラッド層160aの膜厚は、特に限定されないが、好ましくは1〜400nmであり、より好ましくは5〜100nmである。
pクラッド層160aのp型ドープ濃度は、1×1018〜1×1021/cmが好ましく、より好ましくは1×1019〜1×1020/cmである。p型ドープ濃度が上記範囲であると、結晶性を低下させることなく良好なp型結晶が得られる。
また、pクラッド層160aは、複数回積層した超格子構造としてもよく、AlGaNとAlGaNとの交互構造又はAlGaNとGaNとの交互構造であることが好ましい。
pコンタクト層160bは、第2の電極170を設けるための層である。pコンタクト層160bは、AlGa1−xN(0≦x≦0.4)であることが好ましい。Al組成が上記範囲であると、良好な結晶性の維持および第2の電極170との良好なオーミック接触の維持が可能となる点で好ましい。
p型不純物(ドーパント)を1×1018〜1×1021/cmの濃度、好ましくは5×1019〜5×1020/cmの濃度で含有していると、良好なオーミック接触の維持、クラック発生の防止、良好な結晶性の維持の点で好ましい。p型不純物としては、特に限定されないが、例えば好ましくはMgが挙げられる。
pコンタクト層160bの膜厚は、特に限定されないが、10nm〜500nmが好ましく、より好ましくは50nm〜200nmである。pコンタクト層160bの膜厚がこの範囲であると、発光出力の点で好ましい。
(第1の電極)
続いて、第1の電極180の構成について詳細に説明する。図5は、第1の電極180の断面模式図の一例を示す図である。
第1の電極180は、例えば、n型半導体層140の半導体層露出面140c上に積層される第1導電層181と、第1導電層181上に積層される第1ボンディング層182と、上述した第1ボンディング層182の露出部位である第1の開口部180aを除いて第1ボンディング層182を覆うように設けられ、第1ボンディング層182と反対側の面には保護層190が積層される第1密着層183とを有している。
(第1導電層)
図5に示すように、n型半導体層140の上には第1導電層181が積層されている。前述したように平面視で第1導電層181(図3参照)の片側は、半円形状の外形を有している。そして、第1導電層181の中央部は一定の膜厚を有し半導体層露出面140c(図2参照)に対しほぼ平坦に形成される一方、第1導電層181の端部側は膜厚が漸次薄くなることでn型半導体層140の半導体層露出面140c(図2参照)に対し傾斜して形成されている。ただし、第1導電層181は、このような形状に限定されるわけでなく、隙間を開けて格子状や樹形状に形成してもよく、また、矩形状の断面を有していてもよく、さらに円形状以外の外形を有していてもよい。
第1導電層181は、n型半導体層140とオーミックコンタクトがとれ、しかもn型半導体層140との接触抵抗が小さいものを用いることが好ましい。
本実施の形態では、第1導電層181として、例えば、Al(アルミニウム)を用いている。第1導電層181を構成するAl(アルミニウム)は、後述する第2の電極1700の金属反射層172(図6参照)を構成するAg(銀)と同様、発光層150から出射される青色〜緑色の領域の波長の光に対して、高い光反射性を有しており、こちらも金属反射層として機能するようになっている。
(第1ボンディング層)
図5に示すように、第1導電層181の上には第1ボンディング層182が積層されている。第1ボンディング層182は、第1導電層181の全域を覆うように形成されている。そして、第1ボンディング層182の中央部は一定の膜厚を有しほぼ平坦に形成される一方、第1ボンディング層182の端部側は膜厚が漸次薄くなることでn型半導体層140の半導体層露出面140c(図2参照)に対し傾斜して形成されている。
第1ボンディング層182は、後述する第2の電極170の第2ボンディング層173と同様、第1導電層181と接するように少なくとも1層以上の金属層を備える。また、最も外側となる最表層の金属層(第1ボンディング層182)には、例えば、Au(金)が用いられる。また、第1ボンディング層182の全体の厚さは、好ましくは50nm〜8000nmに設定されている。尚、第1ボンディング層182を複数の金属層の積層構造とすることもできる。
(第1密着層)
図5に示すように、第1ボンディング層182の上には第1密着層183が積層されている。第1密着層183は第1ボンディング層182の露出部位を除く領域を覆うように形成されている。そして、第1密着層183の中央部は一定の膜厚を有し且つほぼ平坦に形成される一方、第1密着層183の端部側はn型半導体層140の半導体層露出面140c(図2参照)に対し傾斜して形成されている。この第1密着層183の側面側の端部は、n型半導体層140の半導体層露出面140c(図2参照)と接するように設けられている。
第1密着層183は、例えば、Au(金)で構成された第1ボンディング層182と保護層190との物理的な密着性を向上させるために設けられている。本実施の形態において、第1密着層183はTa(タンタル)で形成されている。ただし、第1密着層183として、Ta(タンタル)以外に、例えば、Ti(チタン)やNi(ニッケル)を用いることも可能である。
(第2の電極)
次に、第2の電極170の構成について説明する。図6は、第2の電極170の断面模式図の一例である。図6(a)は、凹凸形状を有する透明導電層171を備えた第2の電極170の例であり、図6(b)は、第2の半導体層であるp型半導体層160を覆わない不連続な部分を設けるように形成された第2の電極170の例である。
第2の電極170は、第2の半導体層としてのp型半導体層160の上面160c上に積層される透明導電層171と、この透明導電層171上に積層される反射層としての金属反射層172と、金属反射層172上に積層される第2ボンディング層173と、第2ボンディング層173の露出部位である第2の開口部170aを除き第2ボンディング層173を覆うように設けられた第2密着層174とを有している。また、第2密着層174の第2ボンディング層173側と反対側の面に保護層190が積層されている。
図6に示すように、透明導電層171は、前述した第1の電極180(図5参照)を形成するために、エッチング等の手段によって一部が除去されたp型半導体層160の上面160cの周縁部を除くほぼ全面に形成されている。
(透明導電層)
透明導電層の構造の一例として、図6(a)を示す。図6(a)に示す第2の電極170において、本実施の形態では、透明導電層171が、p型半導体層160の上面を覆う連続的な連続膜部171aと、透明導電層171のp型半導体層160側と反対側の金属反射層172側の膜面が凹凸形状を有するように形成された凸部171bとから構成されている。
連続膜部171aの厚さは、本実施の形態では、5nm〜500nmの範囲より選択することができる。また、好ましくは、本実施の形態では50nm〜200nmの範囲より選択される。尚、本実施の形態では、連続膜部171aの中央部は一定の膜厚を有し、p型半導体層160の上面160cに対しほぼ平坦に形成される一方、連続膜部171aの端部側は膜厚が漸次薄くなることでp型半導体層160の上面160cに対し傾斜して形成されている。
凸部171bの厚さは、本実施の形態では、20nm〜500nmの範囲より選択される。また、好ましくは本実施の形態では50nm〜200nmの範囲より選択される。発光素子チップあたり、平面視における凸部171bの合計面積は、チップ表面面積から第1の電極180の面積を除いた範囲内より選択される。平面視における凸部171bの断面形状は特に限定されず、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、台形、五角形その他の多辺形(星形を含む)、楔形等が挙げられる。また、図6(a)に示す凸部171bの断面形状は、特に限定されず、長方形、台形、円錐、角錐、楔形等が挙げられる。
尚、本実施の形態では、透明導電層171の全体の厚さ(連続膜部171a及び凸部171bの合計厚さ)が200〜300nmに設定されている。尚、透明導電層171は、FC実装技術における使用において、光吸収性があるが故に特定の膜厚以下の薄膜として使用するのが良い。透明導電層171の全体の厚さは25nm〜10000nmの範囲より選択される。透明導電層171の厚さが過度に薄いと、p型半導体層160とオーミックコンタクトが取れにくい傾向があり、また、透明導電層171の厚さが過度に厚いと、発光層150からの発光及び金属反射層172からの反射光の光透過性の点で好ましくない傾向がある。
次に、透明導電層の構造の他の一例として、図6(b)を示す。図6(b)に示す第2の電極170において、透明導電層(171)は、第2の半導体層としてのp型半導体層160の上面を覆わない連続又は不連続な部分を残しつつ、複数の透明導電部171bから構成されるように形成されている。この場合、図6(a)に示す第2の電極170の場合とは異なり、p型半導体層160の上面を覆う連続的な膜部分が形成されていない。また、透明導電層171の上面に形成される金属反射層172の一部は、複数の透明導電部171bの隙間を埋め、p型半導体層160の上面と接している。
透明導電部171bの厚さは5nm〜500nmの範囲より選択される。本実施の形態では、透明導電部171bの厚さが、例えば、250nmに設定されている。図6(a)に示す透明導電部171bの断面形状は特に限定されず、長方形、台形、円錐、角錐、楔形等が挙げられる。
本実施の形態では、第2の電極170の透明導電層171を、少なくともp型半導体層160側とは反対側の金属反射層172側に凹凸形状を有するように形成することにより、凹凸形状を有しない透明導電層を有する従来構造の半導体発光素子と比較して、発光出力(Po:単位mW)が増大する。
さらに、本実施の形態では、透明導電層171を、p型半導体層160の表面を覆う連続的な連続膜部171aの上に凸部171bを設けた形状にすることにより、従来構造の半導体発光素子と比較して、発光出力(Po:単位mW)が増大するとともに、さらに順方向電圧(Vf:単位V)が低下する。
図7は、第2の電極170の凸部171bの平面模式図の一例である。図7には、図6に示した第2の電極170の断面模式図において、VII方向から見た凸部171bの平面模式図が示されている。このとき、本発明においては、図7(a)および図7(b)のパターンは、図6(a)の凸部171bの平面模式図であってもよく、図6(b)の凸部171bの平面模式図であってもよく、断面構造に制限されない。
図7(a)に示すように、透明導電層171の金属反射層172側に形成された凸部171bが平面視で、第1の電極180から放射状に伸びた複数の直線状部分171bと、第1の電極180を中心に同心円状に形成された複数の円弧状部分171bとが交差した網目構造を形成している。本発明においては、直線状部分171bや円弧状部分171bの幅に制限されない。
次に、図7(b)に示すように、透明導電層171の凸部171bが平面視で、所定の径を有する複数の突起が、第1の電極180を形成するために除去された部分を除くp型半導体層160の上面全体に、所定の間隔を設けて形成されている。凸部171bを構成する突起の径は特に限定されず、本実施の形態では、例えば、10μm程度である。突起間の間隔は特に限定されず、本実施の形態では、例えば、5μm〜10μm程度である。
尚、凸部171bを構成する突起の平面形状は特に限定されず、例えば、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、台形、五角形その他の多辺形(星形を含む)が挙げられる。また、突起の平面断面積は特に限定されず、さらに、複数の突起の平面断面積は、同一又は異なる場合も含まれる。
図7(a)及び7(b)において、透明導電層171は、p型半導体層160の上面を覆う連続的な連続膜部171aを形成し、または前記連続的な連続膜部171aを形成しないで、金属反射層172側に凸部171bが形成されることにより、平面視で、透明導電層171の金属反射層172側の凸部171bの表面は、第2の電極領域の面積(または、連続膜部171aが存在する場合は、連続膜部171aの面積)の少なくとも15%、より好ましくは20%以上、さらに望ましくは25%以上または85%以下、より好ましくは65%以下が凸部171bにより占有されている。すなわち、凸部171bの平面視の総面積は、第2の電極領域の面積又は透明導電層171の連続膜部171aを形成する場合の平面視の面積に対し、少なくとも15%、または85%以下が好ましい。
本発明においては、透明導電層171の凸部171bを除く凹部としての連続膜部171aの面積が広くなると光の吸収が減り、光取りだし効率は上がる。しかし、一方で、凸部171bでは、凸部171b本体およびその周辺において、連続膜部171aと比べて電流拡散がしやすくなり、結果的に発光素子の発光効率が上がる。
このように、連続膜部171aと凸部171bを設ける利点には、トレードオフの関係があり、発光素子の発光効率を上げる為には、例えば、平面視において凹部としての連続膜部171aと凸部171bの面積に好ましい割合が存在する。
平面視において、凸部171bの総面積が連続膜部171aを含む透明導電層171の表面に対する占有割合が、15%以下の場合では、光吸収が減る一方で電流拡散が悪いために光取り出し効率が悪くなり、結果的にVfも高くなり、望ましくない傾向がある。また、平面視において、凸部171bの総面積が連続膜部171aを含む透明導電層171の表面に対する占有割合が、85%以上の場合では、電流拡散はよくなるが、凸部171bの光吸収量が大きくなり、発光素子として光取り出し効率が悪くなる可能性がある。
また、図6(b)に示すように、透明導電層171が連続膜部171aを形成しないで金属反射層172側に凸部171bを形成する場合でも、透明導電層171のオーミックコンタクト性能により、金属反射層172から注入されたホールが凸部171b本体およびその周辺において効果的にp型半導体層160に注入され、結果的に発光素子の発光効率が上がる。従って、図6(b)の配置の場合でも、金属反射層172側の凸部171bの表面は、第2の電極領域の面積(金属反射層172側の面積)に対し、上記範囲にするのが好ましい。
透明導電層171は、p型半導体層160とオーミックコンタクトがとれる導電性を有し、且つp型半導体層160との接触抵抗が小さいものを用いることが好ましい。また、この半導体発光素子10では、発光層150からの光を、金属反射層172を介して基板110側に取り出すことから、透明導電層171は光に対して透過性に優れたものを用いることが好ましい。さらに、p型半導体層160の全面に渡って均一に電流を拡散させるために、透明導電層171は優れた導電性を有し、且つ、抵抗分布が少ないものを用いることが好ましい。
本実施の形態では、透明導電層171として、酸化物の導電性材料であって、発光層150から出射される波長の光に対する光透過性のよいものが用いられる。特に、Inを含む酸化物の一部は、他の透明導電膜と比較して光透過性および導電性の両者がともに優れている点で好ましい。Inを含む導電性の酸化物としては、例えば、ITO(酸化インジウム錫(In−SnO))、IZO(酸化インジウム亜鉛(In−ZnO))、IGO(酸化インジウムガリウム(In−Ga))、ICO(酸化インジウムセリウム(In−CeO))等が挙げられる。尚、これらの中に、例えばフッ素などのドーパントが添加されていてもかまわない。また、例えばInを含まない酸化物、例えばキャリアをドープしたSnO、ZnO、TiO等の導電性材料を用いてもよい。
これらの材料を、この技術分野でよく知られた慣用の手段で設けることによって、透明導電層171を形成できる。また、透明導電層171を形成した後に、透明導電層171の透明化と更なる低抵抗化とを目的とした熱アニールを施す場合もある。
本実施の形態において、透明導電層171は、結晶化された構造のものを使用してよく、特に六方晶構造又はビックスバイト構造を有するIn結晶を含む透光性材料(例えば、ITOやIZO等)を好ましく使用することができる。
例えば、六方晶構造のIn結晶を含むIZOを透明導電層171として使用する場合、エッチング性に優れたアモルファスのIZO膜を用いて特定形状に加工することができ、さらにその後、熱処理等によりアモルファス状態から結晶を含む構造に転移させることで、アモルファスのIZO膜よりも透光性の優れた電極に加工することができる。
また、透明導電層171に用いるIZO膜としては、比抵抗が最も低くなる組成を使用することが好ましい。例えば、IZO中のZnO濃度は1〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%の範囲であることが更に好ましく、10質量%であると特に好ましい。
透明導電層171に用いるIZO膜の熱処理は、Oを含まない雰囲気で行なうことが望ましく、Oを含まない雰囲気としては、N雰囲気などの不活性ガス雰囲気や、またはNなどの不活性ガスとHとの混合ガス雰囲気などを挙げることができ、N雰囲気、またはNとHとの混合ガス雰囲気とすることが望ましい。尚、IZO膜の熱処理をN雰囲気、またはNとHとの混合ガス雰囲気中で行なうと、例えば、IZO膜を六方晶構造のIn結晶を含む膜に結晶化させるとともに、IZO膜のシート抵抗を効果的に減少させることが可能である。
IZO膜の熱処理温度は、500℃〜1000℃が好ましい。熱処理温度が過度に低いと、IZO膜を十分に結晶化できず、IZO膜の光透過率が十分に高いものとならない傾向がある。熱処理温度が過度に高いと、IZO膜は結晶化されているが光透過率が十分に高いものとならない傾向がある。また、この場合、IZO膜の下にある半導体層を劣化させるおそれもある。
アモルファス状態のIZO膜を結晶化させる場合、成膜条件や熱処理条件などが異なるとIZO膜中の結晶構造が異なる。しかし、本発明の実施形態においては、他の層との接着性の点において、透明導電層171は材料に限定されないが結晶性の材料の方が好ましく、特に結晶性IZOの場合にはビックスバイト結晶構造のIn結晶を含むIZOであってもよく、六方晶構造のIn結晶を含むIZOであってもよい。特に六方晶構造のIn結晶を含むIZOがよい。
特に、前述のように、熱処理によって結晶化したIZO膜は、アモルファス状態のIZO膜に比べて、p型半導体層160との密着性が良いため、本発明の実施形態において有効である。また、熱処理によって結晶化したIZO膜は、アモルファス状態のIZO膜に比べて、抵抗値が低下することから、半導体発光素子10を構成した際に、順方向電圧Vを低減できる点でも好ましい。
(金属反射層)
図6(a)及び図6(b)に示すように、金属反射層172は、透明導電層171の全域を覆うように形成されている。金属反射層172の中央部は、一定の膜厚を有しほぼ平坦に形成される一方、金属反射層172の端部側は膜厚が漸次薄くなることでp型半導体層160の上面160cに対し傾斜して形成されている。
金属反射層172は、例えば、Ag(銀)で構成されている。Ag(銀)は、発光層150から出射される青色〜緑色の波長領域の光に対し、高い光反射性を有しているため好ましい。また、金属反射層172は、透明導電層171を介しp型半導体層160への給電(ホール注入)機能も有することから、その抵抗値が低く、且つ透明導電層171との接触抵抗を低く抑えることが可能なAg(銀)は好ましい材料である。
本実施の形態では、金属反射層172の厚さが、例えば、100nmに設定されている。この金属反射層172の厚さは、好ましくは50nm以上、または、さらに好ましくは1μm以下の範囲より選択することができる。ここで、金属反射層172の厚さが過度に薄いと、発光層150からの光の反射性能が低下する傾向がある。また、金属反射層172の厚さが過度に厚いと、生産コスト高となる。尚、本実施の形態では、金属反射層172としてAg単体を用いているが、Agを含む合金を使用するようにしてもかまわない。
(第2ボンディング層)
図6(a)及び図6(b)に示すように、金属反射層172の上面および側面には、金属反射層172を覆うように第2ボンディング層173が積層されている。第2ボンディング層173は、金属反射層172の全域を覆うように形成されている。第2ボンディング層173の中央部は一定の膜厚を有し且つほぼ平坦に形成される。本実施の形態では、第2ボンディング層173の端部側は膜厚が漸次薄くなることでp型半導体層160の上面160cに対し傾斜して形成されている。
外部との電気的な接続に用いられる接続層としての第2ボンディング層173は、最も内側の金属反射層172等と接するように、少なくとも1層の金属層を備える。また、最も外側となる最表層の金属層には、例えば、Au(金)が用いられる。さらに、本実施の形態では、第2ボンディング層173として、例えば、金属反射層172に接して形成される第1層としてのNi(ニッケル)層と、このNi層の外側に形成される第2層としてのPt(白金)層と、このPt層の外側であって最も外側に形成される第3層としてのAu(金)層とを有する構造を採用してもよい。第2ボンディング層173の全体の厚さは、フリップチップ実装する際のパッド電極としての機能を有する厚さがあれば、厚さに制限なく、本実施の形態では、好ましくは50nm〜8,000nmに設定されている。
尚、第2ボンディング層173を複数の金属層で構成する場合において、金属反射層172と接する第1層を構成する材料としては、例えば、上述したNi(ニッケル)の他、Ta(タンタル)、Ti(チタン)、NiTi(ニッケルチタン)合金、およびこれらの窒化物を使用することができる。
(第2密着層)
図6(a)及び図6(b)に示すように、第2ボンディング層173の上面および側面には、第2ボンディング層173を覆うように第2密着層174が積層されている。第2密着層174は第2ボンディング層173の露出部位を除く領域を覆うように形成されている。そして、第2密着層174の中央部は一定の膜厚を有し且つほぼ平坦に形成される一方、第2密着層174の端部側はp型半導体層160の上面160cに対し傾斜して形成されている。この第2密着層174の側面側の端部は、p型半導体層160の上面160cと接するように設けられている。
密着層の一例としての第2密着層174は、Au(金)で構成された第2ボンディング層173と保護層190との物理的な密着性を向上させるために設けられている。本実施の形態において、第2密着層174は、例えば、Ta(タンタル)で形成されている。ただし、第2密着層174として、Ta(タンタル)以外に、例えばTi(チタン)やNi(ニッケル)を用いることも可能である。
(保護層)
図5又は図6に示すように、SiO等のシリコン酸化物からなる保護層190は、第1の電極180の一部および第2の電極170の一部を除いて、これら第1の電極180
および第1の電極180を覆い、且つ、p型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140の一部(半導体層露出面140cよりも発光層150側(図2参照))を覆うように積層されている。保護層190は、外部から水等が発光層150、第2の電極170および第1の電極180に浸入するのを抑制する保護層としての機能と、発光層150から出射された光のうち、直接基板110側に向かわず、しかも、第2の電極170の金属反射層172や第1の電極180の第1導電層181で反射されなかった光を基板110側に向けて反射する補助反射層としての機能とを有している。
(バンプ)
また、図1に示すバンプ(接続子)21,22は、実装基板側に予め形成しておいたボールバンプや半田バンプであるだけではなく、半導体発光素子10側の第1の電極180と第2の電極170の上に予めメッキ法や蒸着を用いて突起状にバンプを形成しておいてもよい。
本実施の形態においては、この方法により半導体発光素子10側にバンプを作製することができる。特に、フォトリソグラフィー工程によりウェハ毎にバンプを形成できるので、4インチ以上の大口径ウェハでは、実装基板毎にバンプボールを形成していくよりも、生産負荷を大幅に減らすことができる利点がある。
<半導体発光素子の製造方法>
図1に示す半導体発光装置1に実装された半導体発光素子10を製造する方法は、第1の導電型を有する第1の半導体層、発光層及び当該第1の導電型とは逆の第2の導電型を有する第2の半導体層が積層された積層半導体層を形成する工程と、前記積層半導体層の一部を露出する工程と前記積層半導体層の前記第1の半導体層の表面に第1の電極を形成する工程と、前記積層半導体層の前記第2の半導体層の表面に第2の電極を形成する工程と、を備え、さらに前記第2の電極は、前記積層半導体層の前記第2の半導体層上に、当該第2の半導体層側と反対側の膜面が凹凸形状を有するように形成され、又は当該第2の半導体層を覆わない不連続な部分を設けるように形成され、光に対して透過性且つ導電性の透明導電層を形成する工程と、前記透明導電層上に光に対して反射性を有する反射層を設ける工程を有する。
さらに、本発明の半導体発光素子10は、半導体発光素子10側の第1の電極180と第2の電極170を、接続子を介して実装基板に電気的に接続する工程を経て半導体発光装置1として製造される。以下、詳細に説明する。
(積層半導体層を形成する工程)
基板110の一面110cに、図2および図3に示すような、III族窒化物半導体からなるエピタキシャル層を形成する。例えば、基板110の一面110c上に、中間層120と下地層130とn型半導体層140と発光層150とp型半導体層160とをこの順で積層する。n型半導体層140と発光層150とp型半導体層160とを構成するIII族窒化物半導体からなるエピタキシャル層の形成方法は、特に限定されず、例えば、MOCVD(有機金属化学気相成長法)、HVPE(ハイドライド気相成長法)、MBE(分子線エピタキシー法)などの方法を適用することができる。特に、GaN系化合物半導体の形成方法としては、膜厚制御性、量産性の観点からMOCVD法を用いることが好ましい。
GaN系化合物半導体の形成方法としてMOCVD法を用いる場合、キャリアガスとして水素(H)または窒素(N)などを用いることができ、III族原料であるGa源としてトリメチルガリウム(TMG)またはトリエチルガリウム(TEG)、Al源としてトリメチルアルミニウム(TMA)またはトリエチルアルミニウム(TEA)、In源としてトリメチルインジウム(TMI)またはトリエチルインジウム(TEI)、V族原料であるN源としてアンモニア(NH)、ヒドラジン(N)などを用いることができる。
また、MOCVD法を用いてGaN系化合物半導体を形成する場合、n型ドーパントとしてSi原料であるモノシラン(SiH)またはジシラン(Si)や、Ge原料であるゲルマンガス(GeH)や、テトラメチルゲルマニウム((CHGe)やテトラエチルゲルマニウム((CGe)等の有機ゲルマニウム化合物などを用いることができる。
また、MOCVD法を用いる場合、p型ドーパントとしてMg原料であるビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)やビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム(EtCpMg)などを用いることができる。
また、GaN系化合物半導体の形成方法としてMBE法を用いる場合、n型ドーパントとして元素状のシリコンやゲルマニウムを用いることができる。
(積層半導体層の第2の半導体層の表面に第2の電極170を形成する工程)
次に、p型半導体層160上に、よく知られたフォトリソグラフィー技術と公知なスパッタ法などを用いて、p型半導体層160の上面を覆う連続的な連続膜部171aを所定の膜厚で形成後、さらにフォトリソグラフィー技術により、所定形状のパターン(例えば、後述する図8(A)〜(C)、又は図7(b)など)に所定膜厚を有する凸部171bを積層する。
また、別の実施形態として、p型半導体層160上に、よく知られたフォトリソグラフィー技術と公知なスパッタ法などを用いて、p型半導体層160の上面を覆う連続的な連続膜部171aを所定膜厚で形成後、さらにフォトリソグラフィー技術とエッチングプロセスにより、連続膜部171aを所定形状のパターン(例えば、後述する図8(A)〜(C)、又は図7(b)など)にエッチングして凸部171bを有するパターンを形成することができる。
即ち、本発明では、第2の電極170を形成する工程として、積層半導体層100の第2の半導体層上に、当該第2の半導体層側と反対側の膜面が凹凸形状を有するように形成され、又は当該第2の半導体層を覆わない不連続な部分を設けるように形成され、光に対して透過性且つ導電性の透明導電層171を形成する。そして、その後、透明導電層171上に光に対して反射性を有する金属反射層172を設ける工程を有する。
なお、オーミックコンタクト性能および光透過性を向上させるために、透明導電層171は、好ましくは、熱処理される。例えば、透明導電層171(連続膜部171a+凸部171b)の熱処理には、700℃の温度で1分〜60分間行うのが好ましい。
次に、図6に示すように、透明導電層171(連続膜部171a+凸部171b)の全域に、よく知られたフォトリソグラフィー技術と公知なスパッタ法などを用いて、金属反射層172を積層する。なお、金属反射層172の中央部は、一定の膜厚を有しほぼ平坦に形成される一方、金属反射層172の端部側は膜厚が漸次薄くなるように、p型半導体層160の上面160cに対し傾斜して形成した。金属反射層172の端部側は膜厚が漸次薄くなるようにする為に逆テーパー型マスクを利用する方法などが採用される(国際公開公報WO2009/154191号参照)。
続いて、同様に図6(a)に示すように、金属反射層172の上面および側面に金属反射層172を覆うように、Au(金)からなる第2ボンディング層173を積層する。
さらに同様に、第2ボンディング層173上を覆うように所定の膜厚を有する第2密着層174と保護層190を順次積層する。次に公知のフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用い、第2の電極170の一部に第2ボンディング層173のAuが露出するように開口部170aを形成した。
(積層半導体層100の一部を露出する工程)
例えば、フォトリソグラフィーの手法により、図2および図3に示すように、第1の電極180を形成する領域の積層半導体層100(p型半導体層160、発光層150、n型半導体層140)の一部を公知なエッチング方法で処理して、n型コンタクト層からなる半導体層露出面140cを露出させる。
(第1の電極180を形成する工程)
半導体層露出面140c上に、例えば、第2の電極170の形成の際に用いた光透過性の導電性材料(例えば、IZO)により所定の膜厚の透明導電層を形成する。なお、この透明導電層の形成は、公知のフォトリソグラフィー技術を用いて、スパッタ法で第1の電極180と第2の電極170を同時に形成してもよい。そして、その上に、第2の電極170の形成と同様に金属反射層を所定の膜厚で形成する。この金属反射層には、例えば、銀が用いられる。
このようにして形成した透明導電層と金属反射層は、図5の構造では、第1導電層181に相当する。例えば、IZO/Agからなる第1導電層181となる。
続いて、第1導電層181上にスパッタ法で第1ボンディング層182を積層し、次いで、第1密着層183と保護層190を順次積層する。次に、公知のフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用い、第1の電極180の一部に第1ボンディング層182のAuが露出するように第1の開口部180aを形成した。なお、第1導電層181や第1ボンディング層182の膜厚は、端部に向かって漸次薄くなるようにする。その為に、逆テーパー型マスクを利用する方法などが採用される(国際公開公報WO2009/154191号参照)。また第1導電層181、第1ボンディング層182、第1密着層183や保護層190は、第2の電極170を形成する際に同時に形成してもよい。
(サブマウントへの実装工程)
次に、TiWを公知のスパッタ法でウェハ全面に成膜した後、公知のフォトリソグラフィー技術により第1の開口部180a及び第2の開口部170aを開口させたレジストを形成し、続いて公知の成膜法により第1の電極180と第2の電極170上に所定膜厚のAuを成長させ、バンプ21、22を形成する。AlN基板を用いたサブマウント15上に発光チップを裏返して設置し、サブマウント配線11、12と、半導体発光素子10のバンプ21、22とがそれぞれ対応するように半導体発光素子10とサブマウント15とを位置合わせして電気的に接続する。
次に、図1に示す半導体発光装置1の発光動作について説明する。尚、第2の電極170については、図6を参照する。
サブマウント基板10Bのサブマウント配線11、12を介して半導体発光素子10に電流を流すと、半導体発光素子10では、第2の電極170からp型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140を介して第1の電極180に向かう電流が流れ、発光層150は四方に向けて青色光を出力する。このとき、第2の電極170では、第2ボンディング層173、金属反射層172および透明導電層171を介して電流が流れ(以上、図6参照)、p型半導体層160には、上面160cの面上において均一化された状態の電流が供給される。
発光層150から出力される光のうち基板110側に向かう光は、n型半導体層140、下地層130、中間層120および基板110を透過し、半導体発光素子10の外部に出射される。また、発光層150から出射される光のうち第2の電極170側に向かう光は、p型半導体層160および透明導電層171を介して金属反射層172に到達し、金属反射層172で反射される。そして、金属反射層172で反射した光は、透明導電層171、p型半導体層160、発光層150、n型半導体層140、下地層130、中間層120および基板110を透過し、半導体発光素子10の外部に出射される。
一方、発光層150から出射される光のうち側方に向かう光は、例えば発光層150を介して保護層190に到達し、保護層190で反射される。そして、保護層190で反射した光は、半導体発光素子10内を進行し、直接あるいは金属反射層172や保護層190等で反射した後、半導体発光素子10の外部に出射される。
ここで、発光層150から直接基板110に向かう光の一部、発光層150から金属反射層172を介して基板110に向かう光の一部、そして、発光層150から保護層190を介して基板110に向かう光の一部は、例えば基板110と外部との境界において反射され、半導体発光素子10内へと戻ってくる。このようにして半導体発光素子10内に戻ってきた光は、第2の電極170に設けられた金属反射層172、第1の電極180に設けられた第1導電層181、そして保護層190によって反射され、再び基板110側へと向かう。このように、本実施の形態では、半導体発光素子10に金属反射層172および保護層190を設け、発光層150から基板110とは反対側に出射された光をこれら金属反射層172および保護層190によって反射させることで、半導体発光素子10からの光の取り出し効率を高めている。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1、図4に示すように、C面サファイア単結晶の基板に、AlNからなる中間層120を介してアンドープGaNからなる厚さ4μmの下地層130を形成した。次に、下地層130の上に、Siドープ(濃度1×1019/cm)GaNからなる厚さ2μmのnコンタクト層140a、Siドープ(濃度1×1018/cm)In0.1Ga0.9Nからなる厚さ12.5nmのnクラッド層140b(nコンタクト層140aおよびnクラッド層140bによりn型半導体層140が構成される。)、GaNからなる厚さ16nmの障壁層150aとIn0.2Ga0.8Nからなる厚さ2.5nmの井戸層150bを交互に5回積層し、最後に障壁層150aを設けた多重量子井戸構造の発光層150を形成した。続いて、発光層150の上に、Mgドープ(濃度1×1020/cm)Al0.07Ga0.93Nからなる厚さ2.5nmのpクラッド層160aおよびMgドープ(濃度8×1019/cm)GaNからなる厚さ0.15μmのpコンタクト層160b(pクラッド層160aおよびpコンタクト層160bによりp型半導体層160が構成される。)を順次積層してなる厚み9μmのIII族窒化物半導体からなる積層半導体層100を形成した。
次に、第2の電極170まで形成された積層半導体層100を、公知のフォトリソグラフィー技術および反応性イオンエッチング技術により所定形状にエッチングし、nコンタクト層140aを半円状に露出させた。さらに、露出させたnコンタクト層140aに表面側からAl/Ta/Pt/Au/Taの積層構造の第1の電極180を公知の方法で形成した。
次に、積層半導体層100のpコンタクト層160b上の所定の位置に、公知のフォトリソグラフィー技術およびリフトオフ技術を用いて、IZOからなる透明導電層171の連続膜部171aを厚さ50nmで形成した。続いて、連続膜部171aの上に公知のフォトリソグラフィー技術及びリフトオフ技術を用いて、間隔20μ、径φ10μm、高さ150nmの複数の突起(凸部171b)を設けて、図8(A)に記載のパターンAを形成した。透明導電層171の表面積に対する凸部171bの平面視の総面積の割合は、18%であった。
次に、透明導電層171の全域を覆うように金属反射層172を形成した。金属反射層172の厚さは100nmに設定した。なお、金属反射層172の中央部は、一定の膜厚を有しほぼ平坦に形成される一方、金属反射層172の端部側は膜厚が漸次薄くなるように、p型半導体層160の上面160cに対し傾斜して形成した。
続いて、図6(a)に示すように、金属反射層172の上面および側面には、金属反射層172を覆うように、Au(金)からなる第2ボンディング層173を積層した。第2ボンディング層173の膜厚を200nmとした。
次に、膜厚200nmを有するSiOからなる保護層190を成膜し、公知のフォトリソグラフィー技術および反応性エッチング技術によりエッチングして、第1の電極180及び第2の電極170のAu面を露出させた。
次に、膜厚100nmを有するTiWを公知のスパッタ法でウェハ全面に成膜した後、公知のフォトリソグラフィー技術により第1の開口部180a及び第2の開口部170aを開口させたレジストを形成した。続いて、公知の電解メッキ法により第1の開口部180a及び第2の開口部170aに露出しているTiW上にAuを13μm成長させ、その後、蒸着法によりAuSnを2μ成膜した。公知のリフトオフ法によりレジスト及びレジスト上のAuSnを除去し、エッチング法によりAu及びTiWを除去して、バンプ21、22を形成した。
最後に、AlN基板を用いたサブマウント基板10B上に発光チップ1を裏返して設置し、サブマウント配線11、12と、半導体発光素子10のバンプ21、22とがそれぞれ対応するように半導体発光素子とサブマウント基板10Bとを位置合わせし、その後、300℃に加熱しつつ、半導体発光素子をサブマウント基板10Bに押圧(圧着)し、サブマウント配線11、12とバンプ21、22とを電気的に接続した。
半導体発光素子10を搭載したサブマウントをTO18缶に載せて、TO18缶の電極端子とサブマウント配線とをワイヤーで接続した。実施例1において得られた発光チップのLED特性は、順方向電圧Vfが3.27V(電流80mA印加)のとき、発光波長λdが451nmであり、発光出力(Po)が81.1mWであった。また、このときの発光効率η(%)は31.0%であった。
(実施例2〜12、比較例)
実施例2〜12において使用した透明導電層171の平面視のパターンを図8(A)〜(D)に示す。なお、図8には、金属反射層172側に形成された透明導電層171の凸部171bの平面視のパターンを4種類、平面視の模式図として示している。パターン(A)は、実施例1に記載のとおり、径φ10μm、高さ150nmの複数の突起(凸部171b)が間隔35μmを隔てて、第1の電極180を形成するために除去された部分を除くp型半導体層160の上面全体に設けて形成されている。
パターン(B)、(C)及び(D)は、複数の直線状部分171bと複数の円弧状部分171bとが交差した凸部形状からなる網目構造のパターンとして形成されている。そして、網目構造のパターン形状を有する透明導電層171(171b+171b)の表面積は、第2の電極170を形成する領域の面積以内で設定される。例えば、図8のパターンにおいて、第2の電極170を形成する領域の面積に対する凸部171b(171bや171bも含む。)の平面視における総面積の割合は、パターン(A)が18%、パターン(B)が22%、パターン(C)が42%、パターン(D)が59%である。
なお、パターン(B)、(C)及び(D)における直線状部分171bと円弧状部分171bの幅は、任意に設定される。例えば、本実施例におけるパターンでは、5〜20μmの範囲から設定される。実施例2〜12において、金属反射層172側に形成された透明導電層171の凸部171bのパターンが異なること以外は、実施例1と同様に半導体発光素子10を製造した。
また、比較例として、凸部形状を有しない透明導電層を備えた半導体発光素子を製造し、実施例1と同様にAlN基板を用いたサブマウント基板上に実装し、LED特性を評価した。実施例2〜12における半導体発光素子の特徴として、実施例1の結果も含め、表1にまとめた。
Figure 0005630276
表1に示す結果から、12種類の半導体発光素子の発光出力(Po:単位mW)は、比較例(従来型)の半導体発光素子と比べ増大することが分かる。すなわち、凸部形状を有しない従来の透明導電層を備えた半導体発光素子(比較例)と比較して、例えば、実施例11では、発光出力(Poの最大値:83.1mW)が11.2%程度増大し、順方向電圧(Vf:3.20V)が約4.8%低下することが分かる。さらに発光効率η(%)は比較例と比較して3.5%増大していることがわかる。
1…半導体発光装置、10…半導体発光素子、10B…サブマウント基板、11、12…サブマウント配線、15…サブマウント、21,22…バンプ(接続子)、100…積層半導体層、110…基板、110c,160c…上面、120…中間層、130…下地層、140…n型半導体層、140c…半導体層露出面、150…発光層、160…p型半導体層、170…第2の電極、171…透明導電層、171a…連続膜部、171b…凸部、171b…透明導電部、171b…直線状部分、171b…円弧状部分、172…金属反射層、173…第2ボンディング層、174…第2密着層、180…第1の電極、180a…第1の開口部、181…第1導電層、182…第1ボンディング層、183…第1密着層、190…保護層

Claims (10)

  1. 第1の導電型を有する第1の半導体層、発光層及び当該第1の導電型とは逆の第2の導電型を有する第2の半導体層が積層された積層半導体層と、
    前記積層半導体層の前記第1の半導体層の表面に形成された第1の電極と、
    前記積層半導体層の前記第2の半導体層の表面に形成された第2の電極と、を備え、
    前記第2の電極は、前記積層半導体層の前記第2の半導体層上に、当該第2の半導体層側と反対側の膜面が凹凸形状を有するように形成された、又は当該第2の半導体層を覆わない不連続な部分を設けるように形成された、前記発光層から出力される光に対して透過性且つ導電性の透明導電層と、
    前記透明導電層上に設けられ、前記発光層から出力される光に対して反射性を有する反射層と、
    を有し、
    前記透明導電層の前記凹凸形状は、当該透明導電層の前記反射層側の凸部が平面視で、前記第1の電極から放射状に伸びた複数の直線状部分と当該第1の電極を中心に同心円状に形成された複数の円弧状部分とが交差した網目構造を形成していることを特徴とする半導体発光素子。
  2. 前記第2の電極の前記透明導電層は、前記第2の半導体層側と反対側の膜面が凹凸形状を有するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 前記透明導電層の前記凹凸形状は、平面視で、当該透明導電層の前記反射層側の表面の少なくとも15%を占有するように、当該反射層側に凸部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光素子。
  4. 前記第2の電極の前記透明導電層は、導電性の酸化物から構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  5. 前記第2の電極の前記透明導電層は、インジウム(In)を含む導電性の酸化物から構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  6. 前記積層半導体層は、III族窒化物半導体から構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  7. 前記積層半導体層は、前記第1の半導体層の前記第1の導電型が電子をキャリアとするn型であり、前記第2の半導体層の前記第2の導電型が正孔をキャリアとするp型であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  8. 前記第1の電極と外部との電気的な接続に用いられる第1の接続子と、前記第2の電極と外部との電気的な接続に用いられる第2の接続子と、を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
  9. 半導体発光素子と当該半導体発光素子を実装する回路基板を備える半導体発光装置であって、
    前記半導体発光素子は、
    第1の導電型を有する第1の半導体層、発光層及び当該第1の導電型とは逆の第2の導電型を有する第2の半導体層が積層された積層半導体層と、
    前記積層半導体層の前記第1の半導体層の表面に形成された第1の電極と、
    前記積層半導体層の前記第2の半導体層の表面に形成された第2の電極と、を備え、
    前記第2の電極は、前記積層半導体層の前記第2の半導体層上に、不連続な膜形状又は当該第2の半導体層側と反対側の膜面が凹凸形状を有するように形成され、前記発光層から出力される光に対して透過性且つ導電性の透明導電層と、
    前記透明導電層上に設けられ、前記発光層から出力される光に対して反射性を有する反射層と、を有し、
    前記透明導電層の前記凹凸形状は、当該透明導電層の前記反射層側の凸部が平面視で、前記第1の電極から放射状に伸びた複数の直線状部分と当該第1の電極を中心に同心円状に形成された複数の円弧状部分とが交差した網目構造を形成し、
    前記回路基板は、前記半導体発光素子の前記反射層を備える側と対向するように配置されることを特徴とする半導体発光装置。
  10. 前記回路基板は、前記半導体発光素子の前記第1の電極及び前記第2の電極と、それぞれ接続子により接続された一対の配線を備えることを特徴とする請求項9に記載の半導体発光装置。
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