JP5630276B2 - 半導体発光素子、半導体発光装置 - Google Patents
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半導体発光素子は、通常、透明電極上に、金(Au)等のボンディングワイヤと接続する部分にAuまたはAuを含む合金からなるボンディングパッドを形成している。最近、発光波長に対して透明な基板上に形成された半導体発光素子を裏返して回路基板(サブマウント)またはパッケージに搭載するフリップチップボンディング(FC)実装技術が開発されている。
本発明の目的は、半導体発光素子のFC(フリップチップ)実装技術における光の取り出し効率を改良することを目的とする。
[1]第1の導電型を有する第1の半導体層、発光層及び当該第1の導電型とは逆の第2の導電型を有する第2の半導体層が積層された積層半導体層と、前記積層半導体層の前記第1の半導体層の表面に形成された第1の電極と、前記積層半導体層の前記第2の半導体層の表面に形成された第2の電極と、を備え、前記第2の電極は、前記積層半導体層の前記第2の半導体層上に、当該第2の半導体層側と反対側の膜面が凹凸形状を有するように形成された、又は当該第2の半導体層を覆わない不連続な部分を設けるように形成された、前記発光層から出力される光に対して透過性且つ導電性の透明導電層と、前記透明導電層上に設けられ、前記発光層から出力される光に対して反射性を有する反射層と、を有し、前記透明導電層の前記凹凸形状は、当該透明導電層の前記反射層側の凸部が平面視で、前記第1の電極から放射状に伸びた複数の直線状部分と当該第1の電極を中心に同心円状に形成された複数の円弧状部分とが交差した網目構造を形成していることを特徴とする半導体発光素子。
[2]前記第2の電極の前記透明導電層は、前記第2の半導体層側と反対側の膜面が凹凸形状を有するように形成されることを特徴とする前項1に記載の半導体発光素子。
[3]前記透明導電層の前記凹凸形状は、平面視で、当該透明導電層の前記反射層側の表面の少なくとも15%を占有するように、当該反射層側に凸部が形成されていることを特徴とする前項1または2に記載の半導体発光素子。
[4]前記第2の電極の前記透明導電層は、導電性の酸化物から構成されることを特徴とする前項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
[5]前記第2の電極の前記透明導電層は、インジウム(In)を含む導電性の酸化物から構成されることを特徴とする前項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
[6]前記積層半導体層は、III族窒化物半導体から構成されることを特徴とする前項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
[7]前記積層半導体層は、前記第1の半導体層の前記第1の導電型が電子をキャリアとするn型であり、前記第2の半導体層の前記第2の導電型が正孔をキャリアとするp型であることを特徴とする前項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
[8]前記第1の電極と外部との電気的な接続に用いられる第1の接続子と、前記第2の電極と外部との電気的な接続に用いられる第2の接続子と、を備えることを特徴とする前項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
前記透明導電層上に設けられ、前記発光層から出力される光に対して反射性を有する反射層と、を有し、前記透明導電層の前記凹凸形状は、当該透明導電層の前記反射層側の凸部が平面視で、前記第1の電極から放射状に伸びた複数の直線状部分と当該第1の電極を中心に同心円状に形成された複数の円弧状部分とが交差した網目構造を形成し、前記回路基板は、前記半導体発光素子の前記反射層を備える側と対向するように配置されることを特徴とする半導体発光装置。
[10]前記回路基板は、前記半導体発光素子の前記第1の電極及び前記第2の電極と、それぞれ接続子により接続された一対の配線を備えることを特徴とする前項9に記載の半導体発光装置。
図1は、本実施の形態が適用される半導体発光装置1の断面模式図の一例である。半導体発光装置1は、光を出射する半導体発光素子10と、半導体発光素子10を固定するとともに、半導体発光素子10に電力を供給する配線を設けた回路基板の一例としてのサブマウント15とを備えている。
また、第1の電極180および第2の電極170の表面の一部を除き、中間層120、下地層130、積層半導体層100の表面および側面を覆う保護層190を備えている。尚、半導体発光素子10の詳細については後述する。
サブマウント15のサブマウント基板10Bとしては特に限定されず、例えば、セラミック基板、AlN(窒化アルミニウム)基板、Al(アルミ)基板、Cu(銅)基板、ガラスエポキシ基板等の絶縁性または導電性の各種の基板を選択して用いることができる。
尚、Al基板等の導電性の基板を用いるときには、サブマウント配線11,12とサブマウント基板10Bとを電気的に絶縁するため、サブマウント配線11,12の少なくとも一方は絶縁層を介して設けられている。
半導体発光素子10の第1の電極180及び第2の電極170とサブマウント基板10Bのサブマウント配線11,12とを接続するバンプ21,22としては、例えば、Sn(錫)を添加したAu(Au−Sn合金)ボールや半田ボールが用いうる。特に、接続(圧着)時の加熱温度が約300℃のAu−Sn合金が好ましい。
以下、半導体発光素子10について詳細な構成を説明する。
図2は、半導体発光素子の断面模式図の一例である。図3は、図2に示すように、半導体発光素子をIII方向からみた平面模式図の一例である。図4は、半導体発光素子を構成する積層半導体の断面模式図の一例である。
図2に示すように、半導体発光素子10は、基板110と、基板110上に積層される中間層120と、中間層120上に積層される下地層130とを備える。また、半導体発光素子10は、下地層130上に積層される積層半導体層100を備えている。積層半導体層100は、下地層130側から、第1の導電型を有する第1の半導体層としてのn型半導体層140と、n型半導体層140上に積層される発光層150と、発光層150上に積層される第1の導電型とは逆の第2の導電型を有する第2の半導体層としてのp型半導体層160とから構成されている。
第2の電極170は、第1の電極180を形成するためにエッチング等の手段により一部が除去された部分を除き、p型半導体層160の上面160cの略全面を覆うように形成されている。第2の電極170の上面には、第2の電極170を露出させ、外部との電気的な接続に用いられる第2の開口部170aが形成されている。尚、図3では、第1の電極180及び第2の電極170の表面を覆う保護層190を省略している。
次に、半導体発光素子10の各層について説明する。
基板110としては、III族窒化物半導体結晶が表面にエピタキシャル成長される基板であれば、特に限定されず、各種の基板を選択して用いることができる。ただし、本実施の形態の半導体発光素子10は、後述するように、基板110側から光を取り出すようにフリップチップ実装されることから、発光層150から出射される光に対する光透過性を有していることが好ましい。例えば、サファイア、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウムアルミニウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化リチウムガリウム、酸化リチウムアルミニウム、酸化ネオジウムガリウム、酸化ランタンストロンチウムアルミニウムタンタル、酸化ストロンチウムチタン、酸化チタン等からなる基板110を用いることができる。
また、上記材料の中でも、特に、C面を主面とするサファイアを基板110として用いることが好ましい。サファイアを基板110として用いる場合は、サファイアのC面上に中間層120(バッファ層)を形成するとよい。
III族窒化物半導体層の一例としての積層半導体層100は、例えば、III族窒化物半導体からなる層であって、図2に示すように、基板110上に、n型半導体層140、発光層150およびp型半導体層160の各層が、この順で積層されて構成されている。また、図4に示すように、n型半導体層140、発光層150及びp型半導体層160の各層は、それぞれ、複数の半導体層から構成してもよい。積層半導体層100は、さらに下地層130、中間層120を含めて呼んでもよい。ここで、n型半導体層140は、電子をキャリアとする第1の導電型にて電気伝導を行い、p型半導体層160は、正孔をキャリアとする第2の導電型にて電気伝導を行う。
尚、積層半導体層100は、MOCVD法で形成すると結晶性の良いものが得られるが、スパッタ法によっても条件を最適化することで、MOCVD法よりも優れた結晶性を有する半導体層を形成できる。以下、順次説明する。
中間層120は、多結晶のAlxGa1−xN(0≦x≦1)からなるものが好ましく、単結晶のAlxGa1−xN(0≦x≦1)のものがより好ましい。
中間層120は、上述のように、例えば、多結晶のAlxGa1−xN(0≦x≦1)からなる厚さ0.01〜0.5μmのものとすることができる。中間層120の厚みが0.01μm未満であると、中間層120により基板110と下地層130との格子定数の違いを緩和する効果が十分に得られない場合がある。また、中間層120の厚みが0.5μmを超えると、中間層120としての機能には変化が無いのにも関わらず、中間層120の成膜処理時間が長くなり、生産性が低下するおそれがある。
中間層120は、基板110と下地層130との格子定数の違いを緩和し、基板110の(0001)面(C面)上にC軸配向した単結晶層の形成を容易にする働きがある。したがって、中間層120の上を介して、より一層結晶性の良い下地層130が積層できる。尚、本発明においては、中間層120を形成することが好ましいが、行なわなくても良い。
下地層130としては、AlxGayInzN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)を用いることができるが、AlxGa1−xN(0≦x<1)を用いると結晶性の良い下地層130を形成できるため好ましい。
下地層130の膜厚は0.1μm以上が好ましく、より好ましくは0.5μm以上であり、1μm以上が最も好ましい。この膜厚以上にした方が結晶性の良好なAlxGa1−xN層が得られやすい。また、下地層130の膜厚は、生産コストの点で好ましくは10μm以下がよい。
下地層130の結晶性を良くするためには、下地層130は不純物をドーピングしない方が望ましい。しかし、p型あるいはn型の導電性が必要な場合は、アクセプター不純物あるいはドナー不純物を添加することができる。
図4に示すように、例えば、第1の導電型を有する第1の半導体層の一例としての、電子をキャリアとするn型半導体層140は、nコンタクト層140aとnクラッド層140bとから構成されるのが好ましい。尚、nコンタクト層140aはnクラッド層140bを兼ねることも可能である。また、前述の下地層130をn型半導体層140に含めてもよい。
nコンタクト層140aは、第1の電極180を設けるための層である。nコンタクト層140aとしては、AlxGa1−xN層(0≦x<1、好ましくは0≦x≦0.5、さらに好ましくは0≦x≦0.1)から構成されることが好ましい。
nコンタクト層140aの膜厚は、0.5μm〜5μmに設定することが好ましく、1μm〜3μmの範囲に設定することがより好ましい。nコンタクト層140aの膜厚が上記範囲にあると、半導体の結晶性が良好に維持される。
nクラッド層140bの膜厚は、特に限定されないが、好ましくは0.005〜0.5μmであり、より好ましくは0.005〜0.1μmである。nクラッド層140bのn型ドープ濃度は1×1017〜1×1020/cm3が好ましく、より好ましくは1×1018〜1×1019/cm3である。ドープ濃度がこの範囲であると、良好な結晶性の維持および発光素子の動作電圧低減の点で好ましい。
n型半導体層140の上に積層される発光層150としては、単一量子井戸構造あるいは多重量子井戸構造などを採用することができる。
図4に示すような、量子井戸構造の井戸層150bとしては、Ga1−yInyN(0<y<0.4)からなるIII族窒化物半導体層が通常用いられる。井戸層150bの膜厚としては、量子効果の得られる程度の膜厚、例えば1〜10nmとすることができ、好ましくは2〜6nmとすると発光出力の点で好ましい。
また、多重量子井戸構造の発光層150の場合は、上記Ga1−yInyNを井戸層150bとし、井戸層150bよりバンドギャップエネルギーが大きいAlzGa1−zN(0≦z<0.3)を障壁層150aとする。井戸層150bおよび障壁層150aには、設計により不純物をドープしてもしなくてもよい。
尚、本実施の形態では、発光層150が、青色光(発光波長λ=400nm〜465nm程度)を出力するようになっている。
図4に示すように、例えば、第2の導電型を有する第2の半導体層の一例としての、正孔をキャリアとするp型半導体層160は、通常、pクラッド層160aおよびpコンタクト層160bから構成される。また、pコンタクト層160bがpクラッド層160aを兼ねることも可能である。
pクラッド層160aは、発光層150へのキャリアの閉じ込めとキャリアの注入とを行なう層である。pクラッド層160aとしては、発光層150のバンドギャップエネルギーより大きくなる組成であり、発光層150へのキャリアの閉じ込めができるものであれば特に限定されないが、好ましくは、AlxGa1−xN(0<x≦0.4)のものが挙げられる。
pクラッド層160aのp型ドープ濃度は、1×1018〜1×1021/cm3が好ましく、より好ましくは1×1019〜1×1020/cm3である。p型ドープ濃度が上記範囲であると、結晶性を低下させることなく良好なp型結晶が得られる。
また、pクラッド層160aは、複数回積層した超格子構造としてもよく、AlGaNとAlGaNとの交互構造又はAlGaNとGaNとの交互構造であることが好ましい。
p型不純物(ドーパント)を1×1018〜1×1021/cm3の濃度、好ましくは5×1019〜5×1020/cm3の濃度で含有していると、良好なオーミック接触の維持、クラック発生の防止、良好な結晶性の維持の点で好ましい。p型不純物としては、特に限定されないが、例えば好ましくはMgが挙げられる。
pコンタクト層160bの膜厚は、特に限定されないが、10nm〜500nmが好ましく、より好ましくは50nm〜200nmである。pコンタクト層160bの膜厚がこの範囲であると、発光出力の点で好ましい。
続いて、第1の電極180の構成について詳細に説明する。図5は、第1の電極180の断面模式図の一例を示す図である。
第1の電極180は、例えば、n型半導体層140の半導体層露出面140c上に積層される第1導電層181と、第1導電層181上に積層される第1ボンディング層182と、上述した第1ボンディング層182の露出部位である第1の開口部180aを除いて第1ボンディング層182を覆うように設けられ、第1ボンディング層182と反対側の面には保護層190が積層される第1密着層183とを有している。
図5に示すように、n型半導体層140の上には第1導電層181が積層されている。前述したように平面視で第1導電層181(図3参照)の片側は、半円形状の外形を有している。そして、第1導電層181の中央部は一定の膜厚を有し半導体層露出面140c(図2参照)に対しほぼ平坦に形成される一方、第1導電層181の端部側は膜厚が漸次薄くなることでn型半導体層140の半導体層露出面140c(図2参照)に対し傾斜して形成されている。ただし、第1導電層181は、このような形状に限定されるわけでなく、隙間を開けて格子状や樹形状に形成してもよく、また、矩形状の断面を有していてもよく、さらに円形状以外の外形を有していてもよい。
本実施の形態では、第1導電層181として、例えば、Al(アルミニウム)を用いている。第1導電層181を構成するAl(アルミニウム)は、後述する第2の電極1700の金属反射層172(図6参照)を構成するAg(銀)と同様、発光層150から出射される青色〜緑色の領域の波長の光に対して、高い光反射性を有しており、こちらも金属反射層として機能するようになっている。
図5に示すように、第1導電層181の上には第1ボンディング層182が積層されている。第1ボンディング層182は、第1導電層181の全域を覆うように形成されている。そして、第1ボンディング層182の中央部は一定の膜厚を有しほぼ平坦に形成される一方、第1ボンディング層182の端部側は膜厚が漸次薄くなることでn型半導体層140の半導体層露出面140c(図2参照)に対し傾斜して形成されている。
図5に示すように、第1ボンディング層182の上には第1密着層183が積層されている。第1密着層183は第1ボンディング層182の露出部位を除く領域を覆うように形成されている。そして、第1密着層183の中央部は一定の膜厚を有し且つほぼ平坦に形成される一方、第1密着層183の端部側はn型半導体層140の半導体層露出面140c(図2参照)に対し傾斜して形成されている。この第1密着層183の側面側の端部は、n型半導体層140の半導体層露出面140c(図2参照)と接するように設けられている。
次に、第2の電極170の構成について説明する。図6は、第2の電極170の断面模式図の一例である。図6(a)は、凹凸形状を有する透明導電層171を備えた第2の電極170の例であり、図6(b)は、第2の半導体層であるp型半導体層160を覆わない不連続な部分を設けるように形成された第2の電極170の例である。
透明導電層の構造の一例として、図6(a)を示す。図6(a)に示す第2の電極170において、本実施の形態では、透明導電層171が、p型半導体層160の上面を覆う連続的な連続膜部171aと、透明導電層171のp型半導体層160側と反対側の金属反射層172側の膜面が凹凸形状を有するように形成された凸部171bとから構成されている。
さらに、本実施の形態では、透明導電層171を、p型半導体層160の表面を覆う連続的な連続膜部171aの上に凸部171bを設けた形状にすることにより、従来構造の半導体発光素子と比較して、発光出力(Po:単位mW)が増大するとともに、さらに順方向電圧(Vf:単位V)が低下する。
このように、連続膜部171aと凸部171bを設ける利点には、トレードオフの関係があり、発光素子の発光効率を上げる為には、例えば、平面視において凹部としての連続膜部171aと凸部171bの面積に好ましい割合が存在する。
これらの材料を、この技術分野でよく知られた慣用の手段で設けることによって、透明導電層171を形成できる。また、透明導電層171を形成した後に、透明導電層171の透明化と更なる低抵抗化とを目的とした熱アニールを施す場合もある。
例えば、六方晶構造のIn2O3結晶を含むIZOを透明導電層171として使用する場合、エッチング性に優れたアモルファスのIZO膜を用いて特定形状に加工することができ、さらにその後、熱処理等によりアモルファス状態から結晶を含む構造に転移させることで、アモルファスのIZO膜よりも透光性の優れた電極に加工することができる。
図6(a)及び図6(b)に示すように、金属反射層172は、透明導電層171の全域を覆うように形成されている。金属反射層172の中央部は、一定の膜厚を有しほぼ平坦に形成される一方、金属反射層172の端部側は膜厚が漸次薄くなることでp型半導体層160の上面160cに対し傾斜して形成されている。
図6(a)及び図6(b)に示すように、金属反射層172の上面および側面には、金属反射層172を覆うように第2ボンディング層173が積層されている。第2ボンディング層173は、金属反射層172の全域を覆うように形成されている。第2ボンディング層173の中央部は一定の膜厚を有し且つほぼ平坦に形成される。本実施の形態では、第2ボンディング層173の端部側は膜厚が漸次薄くなることでp型半導体層160の上面160cに対し傾斜して形成されている。
図6(a)及び図6(b)に示すように、第2ボンディング層173の上面および側面には、第2ボンディング層173を覆うように第2密着層174が積層されている。第2密着層174は第2ボンディング層173の露出部位を除く領域を覆うように形成されている。そして、第2密着層174の中央部は一定の膜厚を有し且つほぼ平坦に形成される一方、第2密着層174の端部側はp型半導体層160の上面160cに対し傾斜して形成されている。この第2密着層174の側面側の端部は、p型半導体層160の上面160cと接するように設けられている。
図5又は図6に示すように、SiO2等のシリコン酸化物からなる保護層190は、第1の電極180の一部および第2の電極170の一部を除いて、これら第1の電極180
および第1の電極180を覆い、且つ、p型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140の一部(半導体層露出面140cよりも発光層150側(図2参照))を覆うように積層されている。保護層190は、外部から水等が発光層150、第2の電極170および第1の電極180に浸入するのを抑制する保護層としての機能と、発光層150から出射された光のうち、直接基板110側に向かわず、しかも、第2の電極170の金属反射層172や第1の電極180の第1導電層181で反射されなかった光を基板110側に向けて反射する補助反射層としての機能とを有している。
また、図1に示すバンプ(接続子)21,22は、実装基板側に予め形成しておいたボールバンプや半田バンプであるだけではなく、半導体発光素子10側の第1の電極180と第2の電極170の上に予めメッキ法や蒸着を用いて突起状にバンプを形成しておいてもよい。
本実施の形態においては、この方法により半導体発光素子10側にバンプを作製することができる。特に、フォトリソグラフィー工程によりウェハ毎にバンプを形成できるので、4インチ以上の大口径ウェハでは、実装基板毎にバンプボールを形成していくよりも、生産負荷を大幅に減らすことができる利点がある。
図1に示す半導体発光装置1に実装された半導体発光素子10を製造する方法は、第1の導電型を有する第1の半導体層、発光層及び当該第1の導電型とは逆の第2の導電型を有する第2の半導体層が積層された積層半導体層を形成する工程と、前記積層半導体層の一部を露出する工程と前記積層半導体層の前記第1の半導体層の表面に第1の電極を形成する工程と、前記積層半導体層の前記第2の半導体層の表面に第2の電極を形成する工程と、を備え、さらに前記第2の電極は、前記積層半導体層の前記第2の半導体層上に、当該第2の半導体層側と反対側の膜面が凹凸形状を有するように形成され、又は当該第2の半導体層を覆わない不連続な部分を設けるように形成され、光に対して透過性且つ導電性の透明導電層を形成する工程と、前記透明導電層上に光に対して反射性を有する反射層を設ける工程を有する。
さらに、本発明の半導体発光素子10は、半導体発光素子10側の第1の電極180と第2の電極170を、接続子を介して実装基板に電気的に接続する工程を経て半導体発光装置1として製造される。以下、詳細に説明する。
基板110の一面110cに、図2および図3に示すような、III族窒化物半導体からなるエピタキシャル層を形成する。例えば、基板110の一面110c上に、中間層120と下地層130とn型半導体層140と発光層150とp型半導体層160とをこの順で積層する。n型半導体層140と発光層150とp型半導体層160とを構成するIII族窒化物半導体からなるエピタキシャル層の形成方法は、特に限定されず、例えば、MOCVD(有機金属化学気相成長法)、HVPE(ハイドライド気相成長法)、MBE(分子線エピタキシー法)などの方法を適用することができる。特に、GaN系化合物半導体の形成方法としては、膜厚制御性、量産性の観点からMOCVD法を用いることが好ましい。
また、MOCVD法を用いる場合、p型ドーパントとしてMg原料であるビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)やビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム(EtCp2Mg)などを用いることができる。
次に、p型半導体層160上に、よく知られたフォトリソグラフィー技術と公知なスパッタ法などを用いて、p型半導体層160の上面を覆う連続的な連続膜部171aを所定の膜厚で形成後、さらにフォトリソグラフィー技術により、所定形状のパターン(例えば、後述する図8(A)〜(C)、又は図7(b)など)に所定膜厚を有する凸部171bを積層する。
なお、オーミックコンタクト性能および光透過性を向上させるために、透明導電層171は、好ましくは、熱処理される。例えば、透明導電層171(連続膜部171a+凸部171b)の熱処理には、700℃の温度で1分〜60分間行うのが好ましい。
さらに同様に、第2ボンディング層173上を覆うように所定の膜厚を有する第2密着層174と保護層190を順次積層する。次に公知のフォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用い、第2の電極170の一部に第2ボンディング層173のAuが露出するように開口部170aを形成した。
例えば、フォトリソグラフィーの手法により、図2および図3に示すように、第1の電極180を形成する領域の積層半導体層100(p型半導体層160、発光層150、n型半導体層140)の一部を公知なエッチング方法で処理して、n型コンタクト層からなる半導体層露出面140cを露出させる。
半導体層露出面140c上に、例えば、第2の電極170の形成の際に用いた光透過性の導電性材料(例えば、IZO)により所定の膜厚の透明導電層を形成する。なお、この透明導電層の形成は、公知のフォトリソグラフィー技術を用いて、スパッタ法で第1の電極180と第2の電極170を同時に形成してもよい。そして、その上に、第2の電極170の形成と同様に金属反射層を所定の膜厚で形成する。この金属反射層には、例えば、銀が用いられる。
このようにして形成した透明導電層と金属反射層は、図5の構造では、第1導電層181に相当する。例えば、IZO/Agからなる第1導電層181となる。
次に、TiWを公知のスパッタ法でウェハ全面に成膜した後、公知のフォトリソグラフィー技術により第1の開口部180a及び第2の開口部170aを開口させたレジストを形成し、続いて公知の成膜法により第1の電極180と第2の電極170上に所定膜厚のAuを成長させ、バンプ21、22を形成する。AlN基板を用いたサブマウント15上に発光チップを裏返して設置し、サブマウント配線11、12と、半導体発光素子10のバンプ21、22とがそれぞれ対応するように半導体発光素子10とサブマウント15とを位置合わせして電気的に接続する。
サブマウント基板10Bのサブマウント配線11、12を介して半導体発光素子10に電流を流すと、半導体発光素子10では、第2の電極170からp型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140を介して第1の電極180に向かう電流が流れ、発光層150は四方に向けて青色光を出力する。このとき、第2の電極170では、第2ボンディング層173、金属反射層172および透明導電層171を介して電流が流れ(以上、図6参照)、p型半導体層160には、上面160cの面上において均一化された状態の電流が供給される。
図1、図4に示すように、C面サファイア単結晶の基板に、AlNからなる中間層120を介してアンドープGaNからなる厚さ4μmの下地層130を形成した。次に、下地層130の上に、Siドープ(濃度1×1019/cm3)GaNからなる厚さ2μmのnコンタクト層140a、Siドープ(濃度1×1018/cm3)In0.1Ga0.9Nからなる厚さ12.5nmのnクラッド層140b(nコンタクト層140aおよびnクラッド層140bによりn型半導体層140が構成される。)、GaNからなる厚さ16nmの障壁層150aとIn0.2Ga0.8Nからなる厚さ2.5nmの井戸層150bを交互に5回積層し、最後に障壁層150aを設けた多重量子井戸構造の発光層150を形成した。続いて、発光層150の上に、Mgドープ(濃度1×1020/cm3)Al0.07Ga0.93Nからなる厚さ2.5nmのpクラッド層160aおよびMgドープ(濃度8×1019/cm3)GaNからなる厚さ0.15μmのpコンタクト層160b(pクラッド層160aおよびpコンタクト層160bによりp型半導体層160が構成される。)を順次積層してなる厚み9μmのIII族窒化物半導体からなる積層半導体層100を形成した。
実施例2〜12において使用した透明導電層171の平面視のパターンを図8(A)〜(D)に示す。なお、図8には、金属反射層172側に形成された透明導電層171の凸部171bの平面視のパターンを4種類、平面視の模式図として示している。パターン(A)は、実施例1に記載のとおり、径φ10μm、高さ150nmの複数の突起(凸部171b)が間隔35μmを隔てて、第1の電極180を形成するために除去された部分を除くp型半導体層160の上面全体に設けて形成されている。
Claims (10)
- 第1の導電型を有する第1の半導体層、発光層及び当該第1の導電型とは逆の第2の導電型を有する第2の半導体層が積層された積層半導体層と、
前記積層半導体層の前記第1の半導体層の表面に形成された第1の電極と、
前記積層半導体層の前記第2の半導体層の表面に形成された第2の電極と、を備え、
前記第2の電極は、前記積層半導体層の前記第2の半導体層上に、当該第2の半導体層側と反対側の膜面が凹凸形状を有するように形成された、又は当該第2の半導体層を覆わない不連続な部分を設けるように形成された、前記発光層から出力される光に対して透過性且つ導電性の透明導電層と、
前記透明導電層上に設けられ、前記発光層から出力される光に対して反射性を有する反射層と、
を有し、
前記透明導電層の前記凹凸形状は、当該透明導電層の前記反射層側の凸部が平面視で、前記第1の電極から放射状に伸びた複数の直線状部分と当該第1の電極を中心に同心円状に形成された複数の円弧状部分とが交差した網目構造を形成していることを特徴とする半導体発光素子。 - 前記第2の電極の前記透明導電層は、前記第2の半導体層側と反対側の膜面が凹凸形状を有するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
- 前記透明導電層の前記凹凸形状は、平面視で、当該透明導電層の前記反射層側の表面の少なくとも15%を占有するように、当該反射層側に凸部が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体発光素子。
- 前記第2の電極の前記透明導電層は、導電性の酸化物から構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
- 前記第2の電極の前記透明導電層は、インジウム(In)を含む導電性の酸化物から構成されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
- 前記積層半導体層は、III族窒化物半導体から構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
- 前記積層半導体層は、前記第1の半導体層の前記第1の導電型が電子をキャリアとするn型であり、前記第2の半導体層の前記第2の導電型が正孔をキャリアとするp型であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
- 前記第1の電極と外部との電気的な接続に用いられる第1の接続子と、前記第2の電極と外部との電気的な接続に用いられる第2の接続子と、を備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体発光素子。
- 半導体発光素子と当該半導体発光素子を実装する回路基板を備える半導体発光装置であって、
前記半導体発光素子は、
第1の導電型を有する第1の半導体層、発光層及び当該第1の導電型とは逆の第2の導電型を有する第2の半導体層が積層された積層半導体層と、
前記積層半導体層の前記第1の半導体層の表面に形成された第1の電極と、
前記積層半導体層の前記第2の半導体層の表面に形成された第2の電極と、を備え、
前記第2の電極は、前記積層半導体層の前記第2の半導体層上に、不連続な膜形状又は当該第2の半導体層側と反対側の膜面が凹凸形状を有するように形成され、前記発光層から出力される光に対して透過性且つ導電性の透明導電層と、
前記透明導電層上に設けられ、前記発光層から出力される光に対して反射性を有する反射層と、を有し、
前記透明導電層の前記凹凸形状は、当該透明導電層の前記反射層側の凸部が平面視で、前記第1の電極から放射状に伸びた複数の直線状部分と当該第1の電極を中心に同心円状に形成された複数の円弧状部分とが交差した網目構造を形成し、
前記回路基板は、前記半導体発光素子の前記反射層を備える側と対向するように配置されることを特徴とする半導体発光装置。 - 前記回路基板は、前記半導体発光素子の前記第1の電極及び前記第2の電極と、それぞれ接続子により接続された一対の配線を備えることを特徴とする請求項9に記載の半導体発光装置。
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