JP5353809B2 - 半導体発光素子及び発光装置 - Google Patents
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Description
このような半導体発光素子において、前記第1電極は、前記第2半導体層に積層される透明導電層をさらに含む。
このような発光装置において、前記配線基板は、前記第1半導体層と略平行に設けられる。
また、このような発光装置において、前記第1電極は、前記第2半導体層に積層される透明導電層をさらに含む。
図1は本実施の形態が適用される半導体発光素子(発光ダイオード)1の断面模式図の一例を示しており、図2は半導体発光素子1を構成する積層半導体層100の断面模式図の一例を示している。
図1に示すように、半導体発光素子1は、基板110と、基板110上に積層される中間層120と、中間層120上に積層される下地層130とを備える。また、半導体発光素子1は、下地層130上に積層されるn型半導体層140と、n型半導体層140上に積層される発光層150と、発光層150上に積層されるp型半導体層160とを備える。なお、以下の説明においては、必要に応じて、これらn型半導体層140、発光層150およびp型半導体層160を、まとめて積層半導体層100と呼ぶ。また、積層半導体層100に、中間層120および下地層130を含めることもある。
このように、本実施の形態の半導体発光素子1は、基板110とは反対側となる一方の面側に第1電極170および第2電極180が形成された構造を有している。
<基板>
基板110としては、III族窒化物半導体結晶が表面にエピタキシャル成長される基板であれば、特に限定されず、各種の基板を選択して用いることができる。ただし、本実施の形態の半導体発光素子1は、後述するように、基板110側から光を取り出すようにフリップチップ実装されることから、発光層150から出射される光に対する光透過性を有していることが好ましい。したがって、例えば、サファイア、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウムアルミニウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化リチウムガリウム、酸化リチウムアルミニウム、酸化ネオジウムガリウム、酸化ランタンストロンチウムアルミニウムタンタル、酸化ストロンチウムチタン、酸化チタン等からなる基板110を用いることができる。
また、上記材料の中でも、特に、C面を主面とするサファイアを基板110として用いることが好ましい。サファイアを基板110として用いる場合は、サファイアのC面上に中間層120(バッファ層)を形成するとよい。
さらに、基板110のうち、積層半導体層100が形成されない側の面については、基板110の反りを抑制するために、面を荒らす処理を施しておくことが好ましい。
III族窒化物半導体層の一例としての積層半導体層100は、例えば、III族窒化物半導体からなる層であって、図1に示すように、基板110上に、n型半導体層140、発光層150およびp型半導体層160の各層が、この順で積層されて構成されている。
また、図2に示すように、n型半導体層140、発光層150及びp型半導体層160の各層は、それぞれ、複数の半導体層から構成してもよい。ここで、n型半導体層140は、電子をキャリアとする第1の導電型にて電気伝導を行うものであり、p型半導体層160は、正孔をキャリアとする第2の導電型にて電気伝導を行うものである。
なお、積層半導体層100は、MOCVD法で形成すると結晶性の良いものが得られるが、スパッタ法によっても条件を最適化することで、MOCVD法よりも優れた結晶性を有する半導体層を形成できる。以下、順次説明する。
基板100上に形成する中間層120は、多結晶のAlxGa1-xN(0≦x≦1)からなるものが好ましく、単結晶のAlxGa1-xN(0≦x≦1)のものがより好ましい。
中間層120は、上述のように、例えば、多結晶のAlxGa1-xN(0≦x≦1)からなる厚さ0.01〜0.5μmのものとすることができる。中間層120の厚みが0.01μm未満であると、中間層120により基板110と下地層130との格子定数の違いを緩和する効果が十分に得られない場合がある。また、中間層120の厚みが0.5μmを超えると、中間層120としての機能には変化が無いのにも関わらず、中間層120の成膜処理時間が長くなり、生産性が低下するおそれがある。
下地層130としては、AlxGayInzN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)を用いることができるが、AlxGa1-xN(0≦x<1)を用いると結晶性の良い下地層130を形成できるため好ましい。
下地層130の膜厚は0.1μm以上が好ましく、より好ましくは0.5μm以上であり、1μm以上が最も好ましい。この膜厚以上にした方が結晶性の良好なAlxGa1-xN層が得られやすい。
下地層130の結晶性を良くするためには、下地層130は不純物をドーピングしない方が望ましい。しかし、p型あるいはn型の導電性が必要な場合は、アクセプター不純物あるいはドナー不純物を添加することができる。
図2に示すように、例えば電子をキャリアとする第1の導電型(n型)を有する第1の半導体層の一例としてのn型半導体層140は、nコンタクト層140aとnクラッド層140bとを備えている。なお、前述の下地層130をn型半導体層140に含めてもよい。
nコンタクト層140aは、第2電極180を設けるための層である。nコンタクト層140aとしては、AlxGa1-xN層(0≦x<1、好ましくは0≦x≦0.5、さらに好ましくは0≦x≦0.1)から構成されることが好ましい。
より具体的に説明すると、nクラッド層140bは、III族窒化物半導体からなり、100Å(10nm)以下の膜厚を有するn側第1層141と、このn側第1層141とは組成が異なるIII族窒化物半導体からなり、100Å(10nm)以下の膜厚を有するn側第2層142とが交互に積層された構造を有している。そして、nクラッド層140bは、2つのn側第1層141で1つのn側第2層142を挟み込む構造を有しており、nコンタクト層140aと接する側および発光層150と接する側は、それぞれ、n側第1層141となっている。
なお、本明細書中には、AlGaN、GaN、GaInNについて、各元素の組成比を省略した形で記述する場合がある。
n型半導体層140の上に積層される発光層150としては、単一量子井戸構造あるいは多重量子井戸構造などを採用することが可能である。本実施の形態では、図2に示すように、発光層150を、障壁層150aと井戸層150bとが交互に積層されてなる多重量子井戸構造で構成している。そして、発光層150は、nクラッド層140bと接する側およびpクラッド層160a(後述)と接する側は、それぞれ障壁層150aとなっている。
また、障壁層150aとしては、井戸層150bよりバンドギャップエネルギーが大きいAlzGa1-zN(0≦z<0.3)が用いられる。井戸層150bおよび障壁層150aには、設計により不純物をドープしてもしなくてもよい。
なお、本実施の形態では、発光層150が、青色光(発光波長λ=400nm〜465nm程度)を出力するようになっている。
図2に示すように、例えば正孔をキャリアとする第2の導電型(p型)を有する第2の半導体層の一例としてのp型半導体層160は、通常、pクラッド層160aおよびpコンタクト層160bから構成される。ただし、pコンタクト層160bがpクラッド層160aを兼ねることも可能である。
pクラッド層160aにおけるp型不純物の濃度は、1×1018〜1×1021/cm3が好ましく、より好ましくは1×1019〜1×1020/cm3である。p型不純物濃度が上記範囲であると、結晶性を低下させることなく良好なp型結晶が得られる。
また、pクラッド層160aは、上述したnクラッド層140bと同様に超格子構造としてもよく、この場合には、組成比が異なるAlGaNと他のAlGaNとの交互構造または組成が異なるAlGaNとGaNとの交互構造であることが好ましい。
p型不純物を1×1018〜1×1021/cm3の濃度、好ましくは5×1019〜5×1020/cm3の濃度で含有していると、良好なオーミック接触の維持、クラック発生の防止、良好な結晶性の維持の点で好ましい。p型不純物としては、特に限定されないが、例えば好ましくはMgが挙げられる。
pコンタクト層160bの膜厚は、特に限定されないが、0.01〜0.5μmが好ましく、より好ましくは0.05〜0.2μmである。pコンタクト層160bの膜厚がこの範囲であると、発光出力の点で好ましい。
次に、第1電極170の構成について詳細に説明する。
第1電極170は、好ましくは、p型半導体層160の上面160c上に積層される第1導電層171と、この第1導電層171上に積層される金属反射層172と、この上に積層される第1ボンディング層174と、上述した第1ボンディング層174の露出部位を除いて第1ボンディング層174を覆うように設けられ、第1ボンディング層174と反対側の面には保護層190が積層される第1密着層175とを有している。
なお、金属反射層172と第1ボンディング層174との間に第1拡散防止層173を設けるようにしてもよい。ここで、図1では、好ましい例として第1拡散防止層173を設けた場合を例示している。
図1に示すように、p型半導体層160の上には第1導電層171が積層されているのが好ましい。第1導電層171(図1参照)は、平面視したときに、第2電極180を形成するために、エッチング等の手段によって一部が除去されたp型半導体層160の上面160cの周縁部を除くほぼ全面を覆うように形成されている。そして、第1導電層171の中央部は一定の膜厚を有し上面160cに対しほぼ平坦に形成される一方、第1導電層171の端部側は膜厚が漸次薄くなることでp型半導体層160の上面160cに対し傾斜して形成されている。ただし、第1導電層171は、このような形状に限定されるわけでなく、隙間を開けて格子状や樹形状に形成してもよく、また、矩形状の断面を有していてもよい。
これらの材料を、この技術分野でよく知られた慣用の手段で設けることによって、第1導電層171を形成できる。また、第1導電層171を形成した後に、第1導電層171の透明化と更なる低抵抗化とを目的とした熱アニールを施す場合もある。
例えば、六方晶構造のIn2O3結晶を含むIZOを第1導電層171として使用する場合、エッチング性に優れたアモルファスのIZO膜を用いて特定形状に加工することができ、さらにその後、熱処理等によりアモルファス状態から結晶を含む構造に転移させることで、アモルファスのIZO膜よりも透光性の優れた電極に加工することができる。
例えば、IZO中のZnO濃度は1〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%の範囲であることが更に好ましく、10質量%であると特に好ましい。
また、IZO膜の熱処理温度は、500℃〜1000℃が好ましい。500℃未満の温度で熱処理を行なった場合、IZO膜を十分に結晶化できない恐れが生じ、IZO膜の光透過率が十分に高いものとならない場合がある。1000℃を超える温度で熱処理を行なった場合には、IZO膜は結晶化されているが、IZO膜の光透過率が十分に高いものとならない場合がある。また、1000℃を超える温度で熱処理を行なった場合、IZO膜の下にある半導体層を劣化させる恐れもある。
図1に示すように、第1導電層171の上には金属反射層172が積層されている。
金属反射層172(図1参照)は、平面視したときに第1導電層171の全域を覆うように形成されている。そして、金属反射層172の中央部は一定の膜厚を有しほぼ平坦に形成される一方、金属反射層172の端部側は膜厚が漸次薄くなることでp型半導体層160の上面160cに対し傾斜して形成されている。また、金属反射層172は、第1導電層171上に形成され、p型半導体層160上には形成されないようになっている。すなわち、p型半導体層160と金属反射層172とが直接接触しないように構成されている。
なお、本実施の形態では、金属反射層172としてAg単体を用いているが、Agを含む合金を使用するようにしてもかまわない。
図1に示すように、金属反射層172の上には第1拡散防止層173が積層されているのが好ましい。この第1拡散防止層173は、接触状態にある金属反射層172を構成する金属(この例ではAg(銀))の拡散を抑制するために設けられている。
第1拡散防止層173は、平面視したときに、金属反射層172の全域を覆うように形成されている。そして、第1拡散防止層173の中央部は一定の膜厚を有し且つほぼ平坦に形成される一方、第1拡散防止層173の端部側は膜厚が漸次薄くなることでp型半導体層160の上面160cに対し傾斜して形成されている。また、第1拡散防止層173は、金属反射層172上に形成され、p型半導体層160上には形成されないようになっている。すなわち、p型半導体層160と第1拡散防止層173とが直接接触しないように構成されている。
図1に示すように、第1拡散防止層173の上面および側面には、第1拡散防止層173を覆うように第1ボンディング層174が積層されている。
第1ボンディング層174は、平面視したときに、第1拡散防止層173の全域を覆うように形成されている。そして、第1ボンディング層174の中央部は一定の膜厚を有し且つほぼ平坦に形成される一方、第1ボンディング層174の端部側は膜厚が漸次薄くなることでp型半導体層160の上面160cに対し傾斜して形成されている。
図1に示すように、第1ボンディング層174の上面および側面には、第1ボンディング層174を覆うように第1密着層175が積層されているのが好ましい。
第1密着層175は、平面視したときに、第1ボンディング層174の露出部位を除く領域を覆うように形成されている。そして、第1密着層175の中央部は一定の膜厚を有し且つほぼ平坦に形成される一方、第1密着層175の端部側はp型半導体層160の上面160cに対し傾斜して形成されている。この第1密着層175の側面側の端部は、p型半導体層160の上面160cと接するように設けられている。
続いて、第2電極180の構成について詳細に説明する。
第2電極180は、好ましくは、n型半導体層140の半導体層露出面140c上に積層される第2導電層181と、第2導電層181の上に積層される第2ボンディング層183と、上述した第2ボンディング層183の露出部位を除いて第2ボンディング層183を覆うように設けられ、第2ボンディング層183と反対側の面には保護層190が積層される第2密着層184とを有している。
なお、第2導電層181と第2ボンディング層183との間に第2拡散防止層182を設けるようにしてもよい。ここで、図1には、好ましい例として第2拡散防止層182を設けた場合を例示している。
図1に示すように、n型半導体層140の上には第2導電層181が積層されているのがよい。
第2導電層181(図1参照)は、平面視したときに、円形状の外形を有している。そして、第2導電層181の中央部は一定の膜厚を有し半導体層露出面140cに対しほぼ平坦に形成される一方、第2導電層181の端部側は膜厚が漸次薄くなることでn型半導体層140の半導体層露出面140cに対し傾斜して形成されている。ただし、第2導電層181は、このような形状に限定されるわけでなく、隙間を開けて格子状や樹形状に形成してもよく、また、矩形状の断面を有していてもよく、さらに円形状以外の外形を有していてもよい。
本実施の形態では、第2導電層181として、Al(アルミニウム)を用いている。第2導電層181を構成するAl(アルミニウム)は、上述した第1電極170の金属反射層172を構成するAg(銀)と同様、発光層150から出射される青色〜緑色の領域の波長の光に対して、高い光反射性を有しており、こちらも金属反射層として機能するようになっている。また、本実施の形態では、第2導電層181の厚さは100nm(1000Å)に設定されている。なお、第2導電層181の厚さは50nm〜1000nmの範囲より選択することができる。ここで、第2導電層181の厚さが50nmよりも薄いと、光が透過してしまうことによって光の取り出し効率が低下し、また、第2導電層181の厚さが100nmよりも厚いと、成膜時間が長くなることによりレジストが加熱され、レジスト残渣が生じやすくなるなど、信頼性の面で好ましくない場合がある。
図1に示すように、第2導電層181の上には第2拡散防止層182が積層されているのが好ましい。この第2拡散防止層182は、接触状態にある第2導電層181を構成する金属(この例ではAl(アルミニウム))の拡散を抑制するために設けられている。
第2拡散防止層182は、平面視したときに、第2導電層181の全域を覆うように形成されている。そして、第2拡散防止層182の中央部は一定の膜厚を有しほぼ平坦に形成される一方、第2拡散防止層182の端部側は膜厚が漸次薄くなることでn型半導体層140の半導体層露出面140cに対し傾斜して形成されている。また、第2拡散防止層182は、第2導電層181上に形成され、n型半導体層140上には形成されないようになっている。すなわち、n型半導体層140と第2拡散防止層182とが直接接触しないように構成されている。
なお、第2拡散防止層182としては、Pt(白金)の他に、Rh(ロジウム)、W(タングステン)などの金属材料を用いるようにしてもよい。
図1に示すように、第2拡散防止層182の上には第2ボンディング層183が積層されている。
第2ボンディング層183は、図2に示すように、第2拡散防止層182の全域を覆うように形成されている。そして、第2ボンディング層183の中央部は一定の膜厚を有しほぼ平坦に形成される一方、第1ボンディング層174の端部側は膜厚が漸次薄くなることでn型半導体層140の半導体層露出面140cに対し傾斜して形成されている。
図1に示すように、第2ボンディング層183の上には第2密着層184が積層されているのが好ましい。
第2密着層184は、平面視したときに、第2ボンディング層183の露出部位を除く領域を覆うように形成されている。そして、第2密着層184の中央部は一定の膜厚を有し且つほぼ平坦に形成される一方、第2密着層184の端部側はn型半導体層140の半導体層露出面140cに対し傾斜して形成されている。この第2密着層184の側面側の端部は、n型半導体層140の半導体層露出面140cと接するように設けられている。
図1に示すように、保護層190は、第1電極170および第2電極180を覆う。より具体的には、保護層190は、第1電極170の一部および第2電極180の一部を除いて、第1電極層170における基板110とは反対側の面である第1密着層上面175c、および第2電極層180における基板110とは反対側の面である第2密着層上面184cを覆う。
さらに、保護層190は、p型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140の一部(半導体層露出面140cよりも発光層150側)を覆うように積層されている。保護層190は、外部から水等が発光層150、第1電極170および第2電極180に浸入するのを抑制してこれらを保護する機能を備えている。なお、本実施の形態では、保護層190をSiO2(酸化珪素)で構成している。
ここで、第1電極170と第2電極180との関係をみると、第2電極180の端部であって基板110とは反対側の端部が、第1電極170の端部であって基板110とは反対側の端部と比較して、突出している。この第1電極170の端部と比較して第2電極180の端部の突出した部分を段差とすると、この段差の高さは、本発明では、10nmを超えるのが好ましく、さらに100nm以上であることがより好ましい。また、この段差は、3μm以下であることが好ましい。
本発明において、より具体的には、第2電極180の第2密着層上面184cと、第1電極層170の第1密着層上面175cとを、基板110との位置関係で比較すると、第2密着層上面184cの方が、基板110から、より遠い位置に配置されている。いわば、基板110からの高さとして考えると、第1電極170の高さよりも、第2電極180の高さの方が高い。
さらに、本発明においては、第2電極180の第2密着層上面184c上に設けられた第2はんだ22(Auメッキバンプとも言う。)と、第1電極170の第1密着層上面175c上に、または第1ボンディング層174上に設けられた第1はんだ21(Auメッキバンプとも言う。)とを、基板110との位置関係で比較すると、第2はんだ22の方が基板110から、より遠い位置に配置されている。すなわち、第2はんだ22まで含めた構成の第2電極180の高さの方が、第1はんだ21まで含めた構成の第1電極170の高さよりも、高い構成を有する半導体発光素子であってもよい。
この場合、半導体発光素子1の第1電極170及び第2電極180にはんだ(Auメッキバンプとも言う。)が設けられており、この半導体発光素子1を用いてAu、スズ、はんだをさらに介して配線基板に実装されてもよい。
図3は、図1に示す半導体発光素子1を配線基板10に実装した発光装置の構成の一例を示す図である。
配線基板10の一方の面には、正電極11と負電極12とが形成されている。
そして、配線基板10に対し、図1に示す半導体発光素子1の上下を反転させた状態で、正電極11には第1電極170(具体的には第1ボンディング層174)を、また、負電極12には第2電極180(具体的には第2ボンディング層183)を、それぞれ第1はんだ21および第2はんだ22を用いて電気的に接続すると共に機械的に固定している。このような配線基板10に対する半導体発光素子1の接続手法は、一般にフリップチップ接続と呼ばれるものである。フリップチップ接続においては、配線基板10からみて、半導体発光素子1の基板110が発光層150よりも遠い位置に置かれる。
このことを具体的に説明する。まず、例えば第1電極170の高さが、第2電極180の高さよりも高い場合を考える。図1に示すように、第2電極180と比較して、第1電極170はより面積が広いことから、配線基板10に固定する際に、第1電極170のみが配線基板10側と接触して、第2電極180が配線基板10側と接触することなく固定されることも考えられる。この場合、第2電極180が配線基板10側との電気的な接触不良を起こす可能性が高まる。一方で、第2電極180の高さが第1電極170の高さよりも高いと、第2電極180は、より確実に配線基板10側と接触して、固定される。したがって、第2電極180と配線基板10との接触不良の発生を低減することができる。
ここで、当技術分野では、光取り出し効率を向上させるため、第2電極180の面積をより小さくすることが望まれている。一方で、第2電極180の面積が小さくなることは、第2電極180とn型半導体層140との導通をとることをより困難とする。このような技術的背景から、第2電極180と基板110との接触不良の発生を低減し、導通を確保する上記の構成は特に有効である。
しかしながら、基板110からの高さとして考えて、第2電極180の高さを第1電極170の高さよりも高くするべく半導体発光素子1を製造すると、その半導体発光素子1は第1電極170側に傾いて固定される可能性が高まる。したがって、半導体発光素子1から出射される光をより制御しやすくなる。
配線基板10の正電極11および負電極12を介して、半導体発光素子1に正電極11から負電極12に向かう電流を流すと、半導体発光素子1では、第1電極170からp型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140を介して第2電極180に向かう電流が流れ、発光層150から青色光が出力される。なお、このとき、第1電極170では、第1ボンディング層174、第1拡散防止層173、金属反射層172および第1導電層171を介して電流が流れ、p型半導体層160には、上面160cの面上において均一化された状態の電流が供給される。
(実施例1)
<半導体発光素子の作製>
本実施の形態の具体例として、窒化ガリウム系化合物半導体からなる半導体発光素子1を次のようにして製造した。先ず、サファイアからなる基板110上に、AlN(窒化アルミニウム)からなる中間層120(バッファ層)を介して、厚さ5μmのアンドープGaN(窒化ガリウム)からなる下地層130を形成した。次に、厚さ2μmのSiドープn型GaNコンタクト層、厚さ250nmのn型In0.1Ga0.9Nクラッド層を形成した後、厚さ16nmのSiドープGaN障壁層および厚さ2.5nmのIn0.2Ga0.8N井戸層を5回積層し、最後に障壁層を設けた多重量子井戸構造の発光層150を形成した。
さらに、厚さ10nmのMg(マグネシウム)ドープp型Al0.07Ga0.93Nクラッド層、厚さ150nmのMgドープp型GaNコンタクト層を順に形成し、半導体ウェーハを作製した。
なお、窒化ガリウム系化合物半導体層の積層は、MOCVD法により、当該技術分野においてよく知られた通常の条件で行なった。但し、AlNからなる中間層は、スパッタ法により当該技術分野においてよく知られた通常の条件で行なった。
次に、前記第1のマスクを具備した状態で、スパッタ法により、厚さ5nmのIZOからなる第1導電層171、厚さ150nmのAgからなる金属反射層172、厚さ50nmのIZOからなる第1拡散防止層173及び厚さ300nmのAu(金)からなる第1ボンディング層174を形成した。
次に、レジスト剥離液を用いて、第1のマスクを除去した。
前記第2のマスクを具備した状態で、スパッタ法により、厚さ10nmのTa(タンタル)からなる第1密着層175を形成した。その後、レジスト剥離液を用いて、第2のマスクを除去した。
このマスクを具備した状態で、スパッタ法により、厚さ10nmのTaからなる第2密着層184を形成した。その後、レジスト剥離液を用いて、第4のマスクを除去した。
このようにして、n型GaNコンタクト層の露出面から延伸した第2電極180の長さが、第1電極170よりも突出して高い構成とする半導体発光素子1を製造した。
第1電極170(p電極)の高さは、第1電極170と第2電極180(n電極)との間に形成されたn型コンタクト層の露出面を覆う保護層190の表面から、第1電極170を覆う保護層190の表面までの距離を、接触式測定器を用いて測定した。第2電極180の高さは、第1電極170と第2電極180との間に形成されたnコンタクト層140aの露出面を覆う保護層190の表面から、第2電極180を覆う保護層190の表面までの距離を、接触式測定器を用いて測定した。
1枚のウエーハから、任意に5点の発光素子チップパターンを選び出し、それぞれの第1電極170及び第2電極180の高さを測定した。この測定を10枚のウエーハに対して実施した。合計50点の第1電極170と第2電極180の高さの差を求めたところ、その平均値は−(マイナス)10nmであった。
続いて、10枚のウエーハの裏面を研磨し、所定の厚さに薄板化し、350μm角のサイズに分割して51万個の実装用の半導体発光素子1のチップを製造した。これらのチップは、当該技術分野においてよく知られた通常の条件で基板に実装した。
この時の実装後の接触不良率の評価は、以下の方法に準じた。実装前のチップ毎にプローバで20mA順方向駆動電圧を測定し、その後チップを基板に実装した後、20mAの順方向駆動電圧を再び測定した。実装前後での当該駆動電圧が0.01V以下であるものを合格として、それ以外のチップは不合格として、実装後の接触不良率を求めた。以上、実施例1における電極構造および評価結果を図4に示す。実装後の接触不良数は、5個であり、実装不良率は0.001%であった。
第1電極170における第1導電層171を厚さ5nmのITOとし、第1拡散防止層173を厚さ50nmのITOとし、第1密着層175を厚さ10nmのTiとし、第2電極180における第2ボンディング層183を厚さ1700nmのAuとし、第2密着層184を厚さ10nmのTiとした以外は、実施例1と同様にして、半導体発光素子1のチップを形成したウエーハを製造した。そして、実施例1と同様にして、10枚のウエーハに対し合計50点の第1電極170と第2電極180の高さの差を求めた。その結果、第1電極170と第2電極180との高さの差の平均値は、−721nmであった。
次に、実施例1と同様にして実装後の接触不良率を求めた。10枚のウエーハを、それぞれ所定の厚さに薄板化し、350μm角のサイズに分割して52万8800個のチップを製造した。さらに実施例1と同様にして、これらのチップを基板に実装し評価したところ、実装後の接触不良数は、0個であった。実施例2における電極構造および評価結果を図4に示す。
第1電極170における第1拡散防止層173を厚さ50nmのTiとし、第2電極180における第2拡散防止層182を厚さ100nmのRhとし、第2ボンディング層183を厚さ2200nmのAuとした以外は、実施例1と同様にして、半導体発光素子1のチップを形成したウエーハを製造した。そして、実施例1と同様にして、10枚のウエーハに対し、合計50点の第1電極170と第2電極180の高さの差を求めた。その結果、第1電極170と第2電極180の高さの差の平均値は、−1235nmであった。
次に、実施例1と同様にして実装後の接触不良率を求めた。10枚のウエーハを、それぞれ所定の厚さに薄板化し、350μm角のサイズに分割して50万2300個の実装用の半導体発光素子1のチップを製造した。さらに実施例1と同様にして、これらのチップを基板に実装し評価したところ、実装後の接触不良数は、0個であった。実施例3における電極構造および評価結果を図4に示す。
第2電極180における第2ボンディング層183を厚さ300nmのAuとした以外は、実施例1と同様にして、半導体発光素子1を形成したウエーハを製造した。そして、実施例1と同様にして、10枚の基板ウエーハに対し、合計50点の第1電極170と第2電極180の高さの差を求めた。その結果、第1電極170と第2電極180の高さの差の平均値は、+698nmであった。
次に、実施例1と同様にして実装後の接触不良率を求めた。10枚のウエーハを、それぞれ所定の厚さに薄板化し、350μm角のサイズに分割して49万9600個の実装用の半導体発光素子1のチップを製造した。さらに実施例1と同様にして、これらのチップを基板に実装し評価したところ、実装後の接触不良数は、32個と多かった。また、実装不良率は0.006%と高かった。比較例1における電極構造および評価結果を図4に示す。
Claims (5)
- 第1導電型を有するIII族窒化物半導体で構成される第1半導体層と、
前記第1半導体層の一方の面に当該一方の面の一部を露出させるように積層され、通電により発光する発光層と、
前記第1導電型とは異なる第2導電型を有するIII属窒化物半導体で構成され、前記発光層に積層される第2半導体層と、
前記第2半導体層に積層され、前記発光層から出射される光に対する反射性を有する反射層を備える第1電極と、
前記第1半導体層の前記一方の面の露出部位から延伸し、前記第1電極よりも突出する第2電極と
を含む半導体発光素子。 - 前記第1電極は、前記第2半導体層に積層される透明導電層をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
- 第1導電型を有するIII族窒化物半導体で構成される第1半導体層と、
前記第1半導体層の一方の面に当該一方の面の一部を露出させるように積層され、通電により発光する発光層と、
前記第1導電型とは異なる第2導電型を有するIII属窒化物半導体で構成され、前記発光層に積層される第2半導体層と、
前記第2半導体層に積層される第1電極と、
前記第1半導体層の前記一方の面の露出部位から延伸し、前記第1電極よりも突出する第2電極と、
前記第1電極の前記第2半導体層側とは反対側の端部に備えられた第1接続部と、
前記第2電極の前記露出部位側とは反対側の端部に備えられた第2接続部と、
前記第1接続部および前記第2接続部と電気的に接続された配線基板と
を含む発光装置。 - 前記配線基板は、前記第1半導体層と略平行に設けられることを特徴とする請求項3記載の発光装置。
- 前記第1電極は、前記第2半導体層に積層される透明導電層をさらに含むことを特徴とする請求項3または4記載の発光装置。
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