JP5630076B2 - 反射スクリーン、映像表示システム、反射スクリーンの製造方法 - Google Patents

反射スクリーン、映像表示システム、反射スクリーンの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、反射スクリーン、映像表示システム、反射スクリーンの製造方法に関するものである。
映像光を反射させて観察可能に表示する反射スクリーンは、会議や家庭用のホームシアター等において広く利用されており、コントラストの向上や輝度向上を図った様々な反射スクリーンが開発されてきている(例えば、特許文献1及び特許文献2)。
特開2002−311507号公報 特開2008−40153号公報
しかし、特許文献1のような従来の反射スクリーンは、通常暗室環境下で使用されることを想定しており、照明の点いた室内での使用には適しておらず、室内照明や窓からの太陽光等の不要な光(以下、このような光を外光という)が多い場所では、コントラストが著しく低下するという問題があった。照明の点いた屋内のような明室環境下であっても、よりコントラストが高く、高輝度な映像を表示したいという欲求は、反射スクリーンに対して常に要求されることである。
また、反射スクリーンの観察面側の表面の形状等によっては、反射する映像光のうち正反射する成分が多くなり、スクリーンの一部が他の部分よりも明るく見えるホットスポット等が生じたり、外光が観察者側へ反射されて映像のコントラストが低下したりする等の問題が生じる場合がある。特許文献2の反射スクリーンは、その表面に微細な凹凸形状が形成されているが、その形状に関する詳細な開示はなく、ホットスポットやコントラスト低下に対して具体的な改善がなされていない。
本発明の課題は、コントラストが高く、光源の映りこみのない、画質の良好な反射スクリーン、その反射スクリーンを備える映像表示システム、反射スクリーンの製造方法を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1の発明は、映像源(LS)から投影された映像光(L1,L2)を反射させて観察可能に表示する反射スクリーンであって、基材層と、前記基材層の映像源側に、少なくとも一部に略球形の一部形状である曲面を有する微細な凸形状(111)が、略一様な分布密度で互いに隣接しながら不規則に複数形成された凹凸形状部(11)とを備え、前記凹凸形状部の前記凸形状は、スクリーン面の法線方向から見た外形の径が、0.5〜4.0μmであり、前記凹凸形状部は、その表面の算術平均粗さRa(JIS B0601−2001)が、0.42〜0.52μmであり、前記基材層に前記凹凸形状部が形成された状態における全光線透過率が90%以上であり、ヘイズ値が68〜72%であること、
を特徴とする反射スクリーン(10,20)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の反射スクリーンにおいて、前記曲面の曲率半径は、略一定であること、を特徴とする反射スクリーン(11,20)である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の反射スクリーンにおいて、前記凹凸形状部(11)は、電離放射線硬化樹脂により形成されていること、を特徴とする反射スクリーン(10,20)である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の反射スクリーンにおいて、前記凹凸形状部(11)より背面側に、樹脂層(13)を備え、前記樹脂層は、スクリーン面に対して直交する断面において、光を透過可能であり略台形形状である光透過部(14)と、光を吸収する作用を有しており前記光透過部の屈折率よりも小さい屈折率を有する光吸収部(15)とが、スクリーン面に沿って交互に配列されていること、を特徴とする反射スクリーン(10)である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の反射スクリーンにおいて、背面側に設けられ、前記映像光を反射する反射層と、前記反射層の映像源側に設けられ、前記反射層の映像源側の表面に形状を賦形する賦形層と、を有し、前記賦形層は、スクリーン面に直交する方向における断面の断面形状が、スクリーン面に対して直交するとともに前記断面と直交する方向に同一断面形状で延在し、かつ、前記断面と同一の方向に多数並べて配置された単位表面形状を前記反射層側の表面に有していること、を特徴とする反射スクリーンである。
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の反射スクリーン(10,20)と、前記反射スクリーンに映像光を投射する映像源(LS)と、を備える映像表示システムである。
請求項7の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の反射スクリーンの製造方法であって、前記凹凸形状部(11)は、電離放射線硬化樹脂を用いて形成されており、その表面に前記凹凸形状部の逆型を有する成形型に電離放射線硬化樹脂を塗布し、電離放射線を照射して硬化させることにより前記凹凸形状部を形成すること、を特徴とする反射スクリーンの製造方法である。
請求項8の発明は、請求項7に記載の反射スクリーンの製造方法において、前記成形型の表面に形成された前記凹凸形状部の逆型は、略真球形状の粒子を前記成形型の表面にブラストすることにより形成されているものを用いること、を特徴とする反射スクリーンの製造方法である。
請求項9の発明は、請求項8に記載の反射スクリーンの製造方法において、前記粒子は、ガラスビーズであること、を特徴とする反射スクリーンの製造方法である。
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明による反射スクリーンは、映像源側に、少なくとも一部に略球形の一部形状である曲面を有する微細な凸形状が、略一様な分布密度で互いに隣接しながら不規則に複数形成された凹凸形状部を備えるので、主に反射スクリーンの上方からの外光の一部を凹凸形状部によって正反射して反射スクリーンの下方へ進ませることできる。従って、外光によるコントラストの低下(黒浮き)を防止できる。
また、凹凸形状部は、少なくとも一部に略球形の一部形状である曲面を有する微細な凸形状が、略一様な分布密度で互いに隣接しながら不規則に複数形成されているので、反射スクリーンに投射された映像光が凹凸形状部によって拡散され、光源の映りこみ(ホットスポット)を低減することができる。
(2)曲面の曲率半径は、略一定であるので、凹凸形状部の凸形状は、その外形が略一様であって、高さ等のばらつきが小さい。従って、凹凸形状部による粗面を、むらの無いものとすることができ、コントラスト向上や光源の映りこみ低減効果をさらに高めることができる。
(3)凹凸形状部は、電離放射線硬化樹脂により形成されているので、電離放射線硬化樹脂を成形型に塗布して硬化させることによって凹凸形状部の表面形状を賦形することができ、賦形率の高い凹凸形状部を形成できる。従って、上方からの外光を反射スクリーンの下方へ正反射させる作用をより高めることができ、コントラスト向上を図ることができる。また、凹凸形状部の賦形率を高めることにより、拡散効果が高まり、光源の映りこみ低減効果を高めることができる。
(4)凹凸形状部より背面側に、樹脂層を備え、樹脂層は、スクリーン面に対して直交する断面において、光を透過可能であり略台形形状である光透過部と、光を吸収する作用を有しており光透過部の屈折率よりも小さい屈折率を有する光吸収部とが、スクリーン面に沿って交互に配列されている。従って、反射スクリーンに入射した映像光の少なくとも一部を光透過部と光吸収部との界面で全反射して反射層側へ進ませ、反射層で反射した後再び全反射する等によって観察者側に進ませることができる。また、主に反射スクリーンの上方から映像光に比べて比較的大きな入射角度で入射する照明光等の外光は、光透過部と光吸収部との界面に対して臨界角を超えない角度で入射するので、光吸収部へ入射して吸収される。これにより、映像の輝度を高め、外光によるコントラストの低下を防止できる。
(5)背面側に設けられ、映像光を反射する反射層と、反射層の映像源側に設けられ、反射層の映像源側の表面に形状を賦形する賦形層とを有し、賦形層は、スクリーン面に直交する方向における断面の断面形状が、スクリーン面に対して直交するとともに該断面と直交する方向に同一断面形状で延在し、かつ、該断面と同一の方向に多数並べて配置された単位表面形状を反射層側の表面に有しているので、反射面(反射層の映像源側の表面)に形状を賦形することができ、反射面の形状によって映像の視野角を制御することができ、その制御も賦形層の単位表面形状を変えることにより容易に行える。
(6)本発明による反射スクリーンと、反射スクリーンに映像光を投射する映像源とを備える映像表示システムであるので、コントラストが高く、光源の映りこみの無い、良好な映像を表示できる。
(7)本発明による反射スクリーンの製造方法であって、凹凸形状部は、電離放射線硬化樹脂を用いて形成されており、その表面に凹凸形状部の逆型を有する成形型に電離放射線硬化樹脂を塗布し、電離放射線を照射して硬化させることにより凹凸形状部を形成するので、凹凸形状部の凸形状を賦形率の高いものとすることができる。
(8)成形型の表面に形成された凹凸形状部の逆型が、略真球形状の粒子を成形型の表面にブラストすることにより形成されているので、凸形状の曲面がなだらかなものとなり、また、凸形状の分布の偏りを低減することができ、コントラスト向上効果や光源の映りこみ防止効果を高めることができる。
(9)粒子は、ガラスビーズであるので、入手が容易であり、安価で成形型を形成でき、反射スクリーンの製造コストを抑えることができる。
第1実施形態の映像表示システムを示す図である。 第1実施形態の凹凸形状部11を示す図である。 第1実施形態の凹凸形状部11、及び、従来例の1つであるサンドブラスによる凹凸形状部51のスクリーン面に直交する方向での断面の一部を拡大して示した図である。 第1実施形態の反射スクリーン10及びサンドブラストによる凹凸形状部51を備える反射スクリーン50を示す図である。 第2実施形態の反射スクリーン20の層構成を示す図である。 変形形態の反射スクリーン30を示す図である 賦形層の一例を示す図である。
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の映像表示システムを示す図である。
図1では、室内照明(外光源)G、映像源LS、反射スクリーン10をまとめて模式的に示しているので、実際とは配置関係が異なる部分があり、また、各光線の入射角度等が後述の説明における大小関係とは異なる部分が含まれている。
映像表示システムは、反射スクリーン10、映像源LSを備えており、映像源LSから投射された映像光を、反射スクリーン10で反射し、その観察面(映像源LS側の面)上に表示する。
映像源LSは、反射スクリーン10の観察面へ観察者O側から映像光を投射するプロジェクター等である。
本実施形態の映像表示システムでは、映像光を投影する映像源LSを、反射スクリーン10の中央を通る法線に対して下方に設置し、図1に示すように、映像光L1,L2を、主に、正面方向や斜め上方へ投射させる配置としている。なお、これに限らず、反射スクリーン10の中央に対して水平に映像光を投射する位置に映像源LSを配置した映像表示システムとしてもよい。
そして、図1に示すように、室内照明Gは、天井等の室内の上方に配置されており、室内照明Gが発する照明光G1,G2等の不要な外光は、反射スクリーン10に対して主に上方から入射する。
本実施形態の映像表示システム及びこれに用いられる反射スクリーン10は、このような、環境光等が主に反射スクリーン10の上方から入射する環境を考慮してなされたものである。
図1において、本実施形態の反射スクリーン10は、スクリーン面に直交し、反射スクリーン10の使用状態における垂直方向(画面上下方向)に平行な断面が示されている。
ここで、スクリーン面とは、反射スクリーン10全体として見たときにおける、反射スクリーン10の平面方向となる面を示すものであり、本明細書中、及び、特許請求の範囲においても同一の定義として用いている。
また、本明細書中において、垂直方向、水平方向とは、特に言及しない限り、反射スクリーン10の使用状態における鉛直方向(即ち、画面上下方向)、水平方向(即ち、画面左右方向)であるとする。
さらに、本明細書中において、反射スクリーン10の垂直方向での断面図とは、図1に示すように、スクリーン面に直交し、かつ、反射スクリーン10の使用状態における垂直方向に平行な方向における断面図を示すものとする。
本実施形態の反射スクリーン10は、その映像源LS側(観察面側)から順に、凹凸形状部11、基材層12、光透過部14及び光吸収部15を有する樹脂層13、反射層16、裏面保護層17を備えている。
凹凸形状部11は、反射スクリーンの映像源LS側(観察面側)に設けられており、少なくとも一部に略球形の一部形状を有する微細な凸形状111(図2及び図3参照)が、略一様な分布密度で互いに隣接しながら不規則に多数形成されている。
凹凸形状部11は、ウレタンアクリレートやエポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂を用いて、基材層12の片面(光透過部14とは反対側の面)に形成されており、本実施形態では、ウレタンアクリレート及びエポキシアクリレートを含む紫外線硬化型樹脂を用いている。なお、凹凸形状部11は、紫外線硬化型樹脂に限らず、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化樹脂を用いて形成してもよい。また、凹凸形状部11は、熱可塑性樹脂や熱硬化型樹脂等を用いて形成してもよい。
この凹凸形状部11の形状の詳細については、後述する。
基材層12は、凹凸形状部11や後述の光透過部14を形成するときに必要な基材となる部分であり、光透過性を有するシート状の部材である。基材層12は、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等の樹脂製のシート又はフィルム状の部材を用いて形成されている。
本実施形態の基材層12は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を用いて形成されている。なお、この基材層12には、必要に応じて所定の透過率に減じさせるようなグレー等の染料や顔料等で着色(ティント)が施されていてもよい。
樹脂層13は、光透過部14と光吸収部15とを有する層であり、基材層12の背面側(裏面側)に設けられている。
光透過部14は、光透過性を有し、図1に示す断面において、背面側における幅より映像源LS側における幅の方が広い略台形形状であり、スクリーン面に沿って(図1では、垂直方向に)複数配列されている。
本実施形態の光透過部14は、ウレタンアクリレート及びエポキシアクリレートを含む紫外線硬化型樹脂(屈折率1.54)を用いて形成されている。なお、光透過部14は、紫外線硬化型樹脂に限らず、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化樹脂や、所定の波長の光が照射されることによって効果する光硬化型樹脂等を用いて形成してもよい。
また、光透過部14は、アクリル樹脂、PET樹脂等の熱可塑性樹脂を用いて、熱溶融押し出し成形によって形成してもよい。なお、光透過部14を熱溶融押し出し成形で形成する場合には、基材層12を設けない形態としてもよい。
光吸収部15は、隣り合う光透過部14の間の谷部分に形成された光を吸収する作用を有する部分であり、図1に示すように、光透過部14と光吸収部15とは、スクリーン面に沿って垂直方向に交互に配列されている。光吸収部15の屈折率は、光透過部14の屈折率に比べて小さい。
本実施形態の光吸収部15は、光を吸収する微小ビーズとして、平均粒径が約6μmである黒色顔料を含有する光吸収粒子を含有する紫外線硬化型樹脂(例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート等、屈折率1.49程度)をワイピング(スキージング)し、硬化させることにより形成されている。この紫外線硬化型樹脂は、光透過部14より屈折率が小さい。
なお、本実施形態では、黒色顔料を含有する光吸収粒子の平均粒径を約6μmとしたが、平均粒径は、1〜10μm程度とすることが好ましい。それよりも小さいとワイピングによるかきとりが難しくなり、10μmを超えると光透過部14の間の隙間への充填が困難になるからである。
本実施形態の光透過部14及び光吸収部15は、図1に示すように、垂直方向での断面形状が垂直方向(光透過部14及び光吸収部15の配列方向)において対称な形状であるものとしたが、非対称な形状としてもよいし、配列方向に沿って光透過部14と光吸収部15との界面とスクリーン面の法線方向とがなす角度が徐々に又は段階的に変化する形状等としてもよい。また、光透過部14の形状は、曲面と平面とを組み合わせた形状としてもよい。
本実施形態の光透過部14の厚さは、120〜180μmである。また、本実施形態の光透過部14間の谷部となる光吸収部15は、その頂角が9°であり、その頭頂部は2μmの幅を持つ平面となっている。さらに、光吸収部15の高さ(スクリーンの厚み方向における寸法)は、117μmであり、光吸収部15の最も反射層16側の幅は、39μmであり、光吸収部15の配列ピッチは、65μmである。
反射層16は、映像光を反射して映像源LS側(観察者O側)へ戻す層である。本実施形態の反射層16は、反射スクリーン10の裏面(樹脂層13の背面)全体を覆うように、高反射性を有する白色塗料をグラビアコーティングすることにより形成され、その膜厚は、約20μmである。また、使用した白色塗料の反射率は、全光線の反射率がRt=83%、拡散反射率が72%である。
なお、反射層16の形成方法としては、グラビアリバースコート、スクリーン印刷、インクジェット方式による塗布、蒸着(アルミニウム、銀、クロム等、反射率の高い金属を用いることが望ましい)等の形成方法を用いることができる。
また、反射層16の形成に使用する塗料としては、例えば、塗装後の表面がマットとなるつや消しの白色塗料、塗装後の表面の映り込みの大きい(テカリの強い)グロス白系の塗料、銀色系(メタリック)の塗料、マイカ(雲母)やビーズを適宜混入させた塗料等を使用してもよい。これらを適宜使い分けることにより、観察領域や輝度、光源の映り込み防止効果等を制御できる。
裏面保護層17は、反射スクリーン10の最も背面側に設けられた層であり、反射スクリーン10の裏面を保護する層である。裏面保護層17は、PET樹脂等のシート状の部材等を用いてもよいし、反射スクリーン10の反射層16の背面側に紫外線硬化型樹脂を塗布して紫外線を照射して硬化させて形成してもよい。
なお、この裏面保護層17は、黒色の顔料等を含有するシート状の部材を用いたり、黒色の布等を背面側に積層したりする等して光吸収作用を付与することにより、反射スクリーン10の裏面側からの外光の入射を防止できる。
本実施形態の裏面保護層17は、黒色の顔料を含有するシート状の部材を用いている。
凹凸形状部11の形状について説明する。
図2は、本実施形態の凹凸形状部11を示す図である。図2(a)は、凹凸形状部11を、共焦点レーザ顕微鏡(KEYENCE社製 VK−8500/8510)を用いて反射スクリーン10のスクリーン面の法線方向から一部を拡大して撮影した顕微鏡写真である。図2(b)は、顕微鏡写真を分析し、凹凸形状部の表面形状を3D表示した図である。
図2に示すように、凹凸形状部は、微細な凸形状111が、略一様な分布密度で互いに隣接しながら不規則に複数形成されている。この凸形状111は、少なくとも一部が略球形の一部形状である曲面を有し、その曲面の曲率半径が略一定となっている。そして、凸形状111は、図2に示すように、スクリーン面の法線方向から見た外形の大きさや形状、高さがそれぞれ不規則に異なっているが、その差は小さい。本実施形態の凸形状111は、スクリーン面の法線方向から見た外形の径は約0.5〜4.0μmの範囲内(平均約2.0μm)であり、高さ(基材層12の映像源LS側の表面から凸形状の頂点までの高さ)は110〜120μm(平均115μm)である。
厚さ100μmの透明PETシート(東洋紡製A4300#100)を基材層12とし、紫外線硬化型樹脂(DICグラフィックス社製UVT−クリア IT−038)を用いて後述の成形型を用いて凹凸形状部11を形成した場合、凹凸形状部11の表面の算術平均粗さRa(JIS B0601−2001 東京精密社製Surfcom 130Aを使用して測定)が、約0.42〜0.52μmであることが好ましい。また、上述の基材層12に凹凸形状部11が形成された状態で、全光線透過率が90%以上であり、ヘイズ値が約68〜72%であることが好ましい(いずれも、株式会社村上色彩研究所製HM−130を使用して測定)。
凹凸形状部11の製造方法等について説明する。
この凹凸形状部11は、電離放射線硬化樹脂(本実施形態では、紫外線硬化型樹脂)を、その表面に凹凸形状部の逆型を有する成形型(例えば、成形ロール型)に塗布し、その成形型に基材層12の片面を当て、電離放射線(本実施形態では、紫外線)を照射して硬化させることにより凹凸形状部が形成されている。
この成形型の表面に形成されている凹凸形状部11の逆型は、略真球形状の粒子を成形型の表面にブラストすることにより形成される。
本実施形態の成形型(成形ロール型)は、その表面が銅材や鉄材等の金属製である。また、ブラストに用いる粒子は、略真球状のガラスビーズであり、#400番手の篩にかけたビーズを使用している。このようなガラスビーズを吹き付けることにより成形型の表面に形成される凹形状の深さ(ブラスト前の成形型表面からの窪み)は、平均約2.0μmであり、凸形状111の逆型となる凹形状の径は、平均約11μmである。
なお、上記の例に限らず、ブラストに用いる略真球状の粒子は、#500番手や#700番手のもの等、適宜その番手を選択して用いることができる。しかし、#800番手以上の大きな番手の粒子を用いると、ブラストによって得られる型の凹形状が細かくなりすぎ、この型によって形成される凹凸形状部11の凸形状も微細になりすぎるため、拡散効果が不十分となりホットスポット低減効果が得られない。#700番手、#600番手、#500番手、#400番手等のガラスビーズであれば、ホットスポット低減効果を得るに十分な凸形状を有する凹凸形状部が得られる。
また、ガラスビーズではなく、略真球状の鋼球等も用いることができる。しかし、鋼球に比べて、ガラスを用いて形成したガラスビーズの方が、容易に真球状に近い形に加工することができ、コストの低減等の観点から好ましい。さらに、ブラスト圧は、用いるビーズの粒径等の条件に合せて調節することが好ましい。
このような成形型を用いて成形することにより、微細であり、少なくとも一部が略球形の一部形状である曲面を有し、その曲面の曲率半径が略一定な凸形状111であって各凸形状111の大きさや高さが不規則でありながらそのばらつきの範囲が小さく、凸形状111が略均一な分布密度で不規則に複数形成された凹凸形状部11とすることができる。
本実施形態では、凹凸形状部11を基材層12の片面に形成した後に、基材層の他方の面に樹脂層13(光透過部14)を、紫外線硬化型樹脂を用いて紫外線成形により形成する。このように、先に凹凸形状部11を形成することにより、凹凸形状部11に対して、光透過部14を形成する際の紫外線も照射することができ、凹凸形状部11と基材層12とに紫外線が照射される回数が増える。従って、凹凸形状部11と基材層12との密着性を向上させることができる。
本実施形態の反射スクリーン10における映像光の反射及び外光の吸収について説明する。
図1に示すように、映像源LSから投影される映像光L1,L2は、反射スクリーン10に入射し、凹凸形状部11や基材層12を透過し樹脂層13へ進む。なお、図1では、理解を容易にするために、凹凸形状部11、基材層12、光透過部14の屈折率に差は無いものとして示している。
映像光の一部は、そのまま反射層16で反射され、観察可能な光線として観察者O側へ進む。また、映像光の一部は、図1に示す映像光L1,L2のように、光透過部14と光吸収部15との界面で全反射して反射層16側へ進み、反射層16で反射され、再度光透過部14と光吸収部15との界面で全反射する等により、観察可能な光線として観察者O側へ進む。
一方、反射スクリーン10の上方に設けられた室内照明G等からの外光G1,G2は、反射スクリーン10(樹脂層13)に対する入射角度が、映像光L1,L2に比べて大きいことから、光透過部14と光吸収部15との界面における入射角度が小さくなり、臨界角を超えない成分が多く、多くの光が全反射することなく光吸収部15に入射し、吸収される。これにより、外光が反射されて観察位置に到達する割合を非常に少なくすることができ、外光によるコントラストの低下を大幅に低減することができる。
ここで、反射スクリーンに凹凸形状部11を設けない場合、反射スクリーンの映像源LS側(観察面側)表面は、略平滑面となる。このような反射スクリーンでは、映像源LSから投射された映像光のうち、反射スクリーンの表面で反射して観察者Oに到達する光の量が増える。そのため、光源の映りこみ(ホットスポット)が生じやすく、またその強さ(明るさ)も大きいために、画質の低下が生じるうえに、観察者Oにとっても映像が観察しにくいものとなる。
そこで、従来、反射スクリーンの映像源LS側表面に、拡散材等の粒子を含むバインダを塗布してコーティングすることにより、反射スクリーンの映像源LS側表面に光拡散性を付与し、光源の映りこみを低減する等の対策がなされた反射スクリーン等がある。
しかし、このような従来の反射スクリーンでは、その製法上、拡散材が均一に分布しにくく、拡散材が凝集している部分や拡散材が疎となって略平面状となっている部分が生じてムラになりやすい。そのため、略平面状となっている部分では拡散作用が不十分であり、光源の映り込み(ホットスポット)を十分に低減できない。
また、拡散材が凝集している部分では、外光が一部が乱反射される等して観察者O側へ到達したり、コントラストの低下を招く場合がある。さらに、拡散材が凝集している部分では、外光が様々な方向に屈折して拡散され、反射スクリーンの内部に入射した場合に、光吸収部15と光透過部14との界面に対して臨界角を超えない角度で入射して光吸収部15で十分に吸収されず、反射層で反射される等して観察者O側へ戻り、コントラストの低下を招く場合があるという問題があった。
そのため、反射スクリーンの観察面側に、微細な凹凸形状を紫外線成形等により賦形することにより、コントラスト向上や光源の映りこみ低減等を図ることが考えられる。
図3は、本実施形態の凹凸形状部11、及び、従来例の1つであるサンドブラスによる凹凸形状部51のスクリーン面に直交する方向での断面の一部を拡大して示した図である。
サンドブラストによる凹凸形状部51は、その表面にサンドブラストを行った成形型を用いている点以外は、本実施形態の凹凸形状部11と同様の製造方法で製造されている。この凹凸形状部51は、その表面に砂等をブラストして凹凸形状部51の逆型が形成された成形型を用いて形成されており、ブラストに用いた砂は、略多面体状等や略楕円球状等であり、略真球形状のものは殆ど含まれていない。
サンドブラストによる凹凸形状部51の凸形状511は、図3(b)に示すように、本実施形態の凸形状111に比べてその頂部が鋭角的であり、曲面や略球形の一部形状となるような部分が非常に少なく、略平面によって形成されている。また、凹凸形状部51は、本実施形態の凹凸形状部11に比べて、凸形状511の大きさのばらつきが大きい。さらに、図3(b)に示すように、凹凸形状部51は、高い凸形状511と低い凸形状511との差が大きく、凸形状511の高さにも大きなばらつきがある。これは、サンドブラストに用いる粒子が、主として多角形状の砂であり、その形状が真球ではないことに起因する。
これに対して、本実施形態の凹凸形状部11の凸形状111は、図2や図3(a)に示すように、略半球状等、比較例の凹凸形状部51の凸形状511に比べて丸みを帯びた凸形状となっており、その大きさや高さは不規則であるが、際立って大きいものや高いものがなく、凝集等の偏り等も見られない。従って、本実施形態の凹凸形状部11は、比較例の凹凸形状部51に比べて、滑らかな粗面となっているといえる。これは、成形型に対して略真球状のガラスビーズをブラストしていることに起因する。
この本実施形態の凹凸形状部11とサンドブラストによる凹凸形状部51とを、それぞれ基材層12の観察面側に形成した反射スクリーン(本実施形態の反射スクリーン10、サンドブラストによる凹凸形状部51を備える反射スクリーン50)を用意し、その反射スクリーンに表示される映像を評価した。
図4は、本実施形態の反射スクリーン10及びサンドブラストによる凹凸形状部51を備える反射スクリーン50を示す図である。図4においては、それぞれ反射スクリーンの垂直方向における断面を示しており、図4(a)は、本実施形態の反射スクリーン10を示し、図4(b)は、サンドブラストによる凹凸形状部51を備える反射スクリーン50を示している。
本実施形態の反射スクリーン10及びサンドブラストによる凹凸形状部51を備える反射スクリーン50に対して、明室環境下で映像源LSから映像光を投射して、その映像を目視により評価した。
サンドブラストによる凹凸形状部51を備える反射スクリーン50では、光源の映りこみ(ホットスポット)は低減されているが、凸形状511により照明光等の外光が観察者側へ反射される光量が増え、このような外光によるコントラストの低下が生じており、画質が著しく低下していた。
サンドブラストによる凹凸形状部51を備える従来例の反射スクリーン50は、図4(b)に示すように、反射スクリーン50の上方から観察面側へ到達する外光G3は、一部の光G6が凹凸形状部51に入射して基材層12や光透過部14を透過し、光吸収部15に入射して吸収される。また、一部の光G7は、凹凸形状部51で反射して反射スクリーン50の下方へ進む。
しかし、凹凸形状部51は、その凸形状511が鋭角的なものが多く、また凸形状511の大きさや高さのばらつきが大きく粗いため、反射スクリーン50の映像源LS側表面に到達した外光G3の多くは、様々な方向に反射又は屈折される。そして、一部の光G8は凹凸形状部51から反射スクリーン50内に入射し、光透過部14を透過して反射層16で反射して観察可能な光線として観察者O側に進む。また、一部の光G9は、凹凸形状部51の表面で拡散反射されて、観察可能な光線として観察者O側へ進む。このような外光G8,G9の光量は、前述の外光G6,G7に比べて多く、このような外光G8,G9により、反射スクリーン50では、コントラストの低下が生じていた。
これに対して、本実施形態の反射スクリーン10では、外光等によるコントラストの低下もなく、また、光源の映りこみ(ホットスポット)もなく、明室環境下において良好な映像が得られた。
本実施形態の反射スクリーン10は、図4(a)に示すように、凹凸形状部11が一部に略球形の一部形状を有する丸みを帯びた凸形状が不規則に多数並んで形成されている。そのため、反射スクリーン10の上方から観察面側へ到達する外光G3は、その凹凸形状部11(凸形状111)の形状により、一部の光G4が凸形状111の空気との界面で屈折して基材層12や光透過部14を透過し、光吸収部15に入射して吸収される。また、残りの外光の多く(光G5)は、凸形状111の空気との界面で反射し、反射スクリーン10の下方へ進む。即ち、外光G3の多くが反射スクリーン10の表面(凹凸形状部11)で正反射して観察者Oにとって観察不可能な方向(反射スクリーン10の垂直方向下方)へ進む傾向を示す。これにより、本実施形態の反射スクリーン10では、観察者O側へ観察可能な光として反射される外光を低減し、明室環境下でのコントラストを向上することができる。
従って、本実施形態の凹凸形状部11は、ホットスポットの防止と、明室環境下でのコントラストの向上という効果を有している。
また、本実施形態では、ガラスビーズを用いてブラストを行い、成形型を作製しているので、ガラスビーズの粒径を自由に変更することができる。ここで、ガラスビーズの平均粒径が本実施形態の場合に比べてより小さいものを用いて作製した成形型を用いて凹凸形状部を形成した場合、その凸形状の径はより小さいものとなり、外光によるコントラストの低下(黒浮き)や光源の映りこみ(ホットスポット)を低減する効果に加えて、シンチレーション(映像のぎらつき)を低減する効果も得られる。
従って、シンチレーションの生じやすい高輝度の投影機等を映像源として用いる反射スクリーンを製造する場合には、ガラスビーズの粒径を小さいものを選択することによりシンチレーション低減効果も備える凹凸形状部を容易に形成することができ、所望する光学特性や使用環境等に応じて最適な凹凸形状部を容易に作製できる。
また、ブラストにガラスビーズを用いているので、略真球状の形状を形成しやすく、その製造コストも鋼球や砂等に比べて低く抑えることができる。
以上述べたように、本実施形態によれば、映像源の映りこみ(ホットスポット)がなく、明室環境下でのコントラストが良好な反射スクリーン及び映像表示システムとすることができる。
また、本実施形態によれば、略真球状のガラスビーズをブラストすることにより凹凸形状部の逆型が成形型に賦形されており、その成形型を用いて凹凸形状部11が賦形されるので、特殊なビーズ等を用いなくても成形型を作成することができるので、生産コストを抑えることができる。
さらに、成形型のブラストするガラスビーズの粒径を変えることにより、凹凸形状部11の凸形状111の大きさ等を容易に変更でき、拡散作用の調整等も容易である。しかも、粒径が小さいものを用いた成形型によって凹凸形状部11を形成した場合には、上述のようにシンチレーション低減効果も得られる。
加えて、本実施形態の反射スクリーン10は、光吸収部15と光透過部14とを備えているので、反射スクリーン10の主に上方から入射する外光を効率よく光吸収部で吸収することにより、明室環境下における外光によるコントラストの低下を防止する効果を有する。また、光吸収部15と光透過部14との界面で正面方向(スクリーン面の法線方向)に対して角度をなす映像光であっても全反射して観察者O側へ戻すことができ、映像の輝度向上効果を奏することができる。
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態の反射スクリーン20の層構成を示す図である。
第2実施形態の反射スクリーン20は、樹脂層13を備えず、基材層12の背面側に反射層16を備える点が異なる以外は、前述の第1実施形態の反射スクリーン10と略同様の形態である。従って、第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
反射スクリーン20は、観察面側から順に、凹凸形状部11、基材層12、反射層16、裏面保護層17等を備えている。基材層12は、拡散材を含有し、光拡散作用を有していてもよい。この反射スクリーン20は、映像源から投射された映像光を反射させて表示する映像表示システムに用いられる。
本実施形態によれば、前述の第1実施形態に示した映像源の映りこみ(ホットスポット)低減等の効果に加えて、製造が容易に行え、生産コストを低減できる。
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)各実施形態では、反射層16の映像源側の面(反射面)が略平面状である例を示したが、これに限らず、例えば、樹脂層13と反射層との間に賦形層を設け、反射層の映像源側の面(反射面)に形状を賦してもよい。
図6は、変形形態の反射スクリーン30を示す図である。図6は、変形形態の反射スクリーン30を背面側から見た斜視図であり、裏面保護層17を省略して示している。
変形形態の反射スクリーン30は、反射層36と樹脂層13との間に賦形層38を備えている点以外は、第1実施形態の反射スクリーン10と略同様の形態であり、映像源LS側から順に、凹凸形状部11、基材層12、樹脂層13、賦形層38、反射層36、裏面保護層17等を備えている。凹凸形状部11、基材層12、樹脂層13等については、前述の本実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
賦形層38は、背面側の表面に、単位レンズ形状371(単位表面形状)が配列されたレンチキュラーレンズ形状を有している。単位レンズ形状371は、背面側に凸となる楕円柱形状の一部形状であり、この単位レンズ形状の長手方向を垂直方向とし、水平方向に複数配列されている。従って、水平断面の形状が、同一形状を保って垂直方向に延在している。この賦形層38は、アクリル樹脂やPET樹脂等の熱可塑性樹脂により形成されている。
反射層36は、賦形層38の背面側、即ち、単位レンズ形状371の表面に設けられており、反射面は、レンチキュラーレンズ形状に沿った形状となっている。この反射層36は、例えば、高反射性を有する塗料等をスプレー塗布する等により形成されている。なお、反射層36を形成する材料は、前述の本実施形態の反射層16と同様に、白色塗料や銀色系(メタリック)の塗料等を適宜選択して用いてよいし、その形成方法も、グラビアリバースコート、スクリーン印刷等としてもよい。また、反射層36は、アルミニウム、銀、クロム等の金属を蒸着することにより形成してもよい。
このように、反射層36の映像源LS側の表面をレンチキュラーレンズ形状とすることにより、反射面における水平方向の拡散作用を垂直方向の拡散作用に比べて大きくすることができる。従って、水平方向の視野角を広げることができる。また、賦形層38の背面側の形状によって反射面の形状を制御できるので、水平方向における視野角制御をより細かく制御できる。この賦形層38及び反射層36は、第2実施形態においても適用可能である。
なお、反射スクリーン10を用いる環境等に応じて、単位レンズ形状371の配列方向は、垂直方向としてもよいし、水平方向に対して角度をなす方向としてもよい。
図7は、賦形層の一例を説明する図である。図7は、各賦形層のスクリーン面に直交し、水平方向に平行な断面を示しており、図7(a)〜(d)の各図において、図中上側は映像源LS側であり、図中下側は背面側である。
賦形層38は、レンチキュラーレンズ形状に限らず、下記のような形態としてもよい。
例えば、図7(a)に示すように、背面側の表面に形成される単位表面形状が、略正弦波形状としてもよいし、図7(b)に示すように、曲率が異なる2つの曲面からなる形状としてもよい。また、図7(c)に示すように、水平方向において非対称な形状としてもよいし、図7(d)に示すように、平面と曲面とを組み合わせた形状としてもよい。
賦形層38の背面側の形状を適宜選択することにより、光源の位置や観察位置等に応じて、水平方向における拡散性をより好ましいものとすることができる。例えば、図7(c)に示す形状の場合、水平方向における拡散性は、指向性の強いものとすることができる。
(2)第1実施形態では、光透過部14の背面側の面は、略平面である例を示したがこれに限らず、例えば、垂直方向に細かい筋目を形成してもよい。このような形態とすることによっても、水平方向への拡散性を高め、水平方向における視野角を広げ、映像が見える範囲を広げることができる。
(3)第1実施形態では、光吸収部15は、光を吸収する黒色顔料を含み、光透過部14より屈折率が小さい樹脂を用いて形成される例を示したが、これに限らず、例えば、光透過部の間に、光を吸収する作用を有する黒色ビーズを満遍なく充填することにより形成してもよい。このとき、光吸収部15よりも裏面側に黒色ビーズを固定するためのフィルム等の保護層を設けるとよい。このようにして光吸収部15を形成すると、光吸収部内の黒色ビーズが存在しない隙間は、空隙となっており、光吸収部15が容易に変形することが可能となり、反射スクリーンを巻き上げ式とするような場合には、必要な柔軟性を得ることができる。また、光吸収部15は、黒色インキ等を光透過部14の斜面に塗布又は光透過部14間に充填して形成してもよい。
(4)第1実施形態では、基材層12は、1層である例を示したが、これに限らず、例えば、観察面側の面に凹凸形状部11を形成した観察面側基材層と、背面側の面に樹脂層を形成した樹脂層側基材層とを接着剤等により接合する形態としてもよい。
(5)各実施形態では、固定式の反射スクリーンの例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、不使用時に巻き上げて収納可能な巻き上げ式としてもよい。
(6)各実施形態では、凹凸形状部11が最も観察面側に配置される例を示したが、これに限らず、例えば、凹凸形状部11のさらに観察面側に、帯電防止処理、ハードコート処理、防汚処理の少なくとも1つの処理を凹凸形状部11の表面形状に沿って施してもよい。そうすることにより、凹凸形状部11の機能を保ったまま帯電防止、ハードコート、防汚の機能を追加することができる。
(7)第1実施形態において、光透過部14及び光吸収部15は、水平方向に同一断面形状で延在し、垂直方向に多数並んでいる例を示したが、これに限らず、例えば、外光及び映像光の位置に応じて、樹脂層13をその法線方向を軸として90度回転した形態としてもよい、また、光透過部14及び光吸収部15を有する樹脂層13を2層設けて、互いに直交するように配置し、垂直方向及び水平方向における外光吸収効果及び視野角向上効果を図ってもよい。
(8)第2実施形態において、樹脂層13を備えない形態を示したが、これに限らず、光拡散作用を有する光拡散層を基材層12と反射層16との間にさらに備える形態等してもよい。光拡散層を備える場合、この光拡散層は、例えば、拡散材を含有した透明又は半透明のシート状の部材を用いてもよいし、適宜自由に選択して用いてよい。
なお、本実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
10,20 反射スクリーン
11 凹凸形状部
111 凸形状
12 基材層
13 樹脂層
14 光透過部
15 光吸収部
16 反射層
17 裏面保護層

Claims (9)

  1. 映像源から投影された映像光を反射させて観察可能に表示する反射スクリーンであって、
    基材層と、
    前記基材層の映像源側に、少なくとも一部に略球形の一部形状である曲面を有する微細な凸形状が、略一様な分布密度で互いに隣接しながら不規則に複数形成された凹凸形状部とを備え、
    前記凹凸形状部の前記凸形状は、スクリーン面の法線方向から見た外形の径が、0.5〜4.0μmであり、
    前記凹凸形状部は、その表面の算術平均粗さRa(JIS B0601−2001)が、0.42〜0.52μmであり、
    前記基材層に前記凹凸形状部が形成された状態における全光線透過率が90%以上であり、ヘイズ値が68〜72%であること、
    を特徴とする反射スクリーン。
  2. 請求項1に記載の反射スクリーンにおいて、
    前記曲面の曲率半径は、略一定であること、
    を特徴とする反射スクリーン。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の反射スクリーンにおいて、
    前記凹凸形状部は、電離放射線硬化樹脂により形成されていること、
    を特徴とする反射スクリーン。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の反射スクリーンにおいて、
    前記凹凸形状部より背面側に、樹脂層を備え、
    前記樹脂層は、スクリーン面に対して直交する断面において、光を透過可能であり略台形形状である光透過部と、光を吸収する作用を有しており前記光透過部の屈折率よりも小さい屈折率を有する光吸収部とが、スクリーン面に沿って交互に配列されていること、
    を特徴とする反射スクリーン。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の反射スクリーンにおいて、
    背面側に設けられ、前記映像光を反射する反射層と、
    前記反射層の映像源側に設けられ、前記反射層の映像源側の表面に形状を賦形する賦形層と、
    を有し、
    前記賦形層は、スクリーン面に直交する方向における断面の断面形状が、スクリーン面に対して直交するとともに前記断面と直交する方向に同一断面形状で延在し、かつ、前記断面と同一の方向に多数並べて配置された単位表面形状を前記反射層側の表面に有していること、
    を特徴とする反射スクリーン。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の反射スクリーンと、
    前記反射スクリーンに、観察面側から映像光を投射する映像源と、
    を備える映像表示システム。
  7. 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の反射スクリーンの製造方法であって、
    前記凹凸形状部は、電離放射線硬化樹脂を用いて形成されており、
    その表面に前記凹凸形状部の逆型を有する成形型に電離放射線硬化樹脂を塗布し、電離放射線を照射して硬化させることにより前記凹凸形状部を形成すること、
    を特徴とする反射スクリーンの製造方法。
  8. 請求項7に記載の反射スクリーンの製造方法において、
    前記成形型の表面に形成された前記凹凸形状部の逆型は、略真球形状の粒子を前記成形型の表面にブラストすることにより形成されていること、
    を特徴とする反射スクリーンの製造方法。
  9. 請求項8に記載の反射スクリーンの製造方法において、
    前記粒子は、ガラスビーズであること、
    を特徴とする反射スクリーンの製造方法。
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