JP5630076B2 - 反射スクリーン、映像表示システム、反射スクリーンの製造方法 - Google Patents
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Description
また、反射スクリーンの観察面側の表面の形状等によっては、反射する映像光のうち正反射する成分が多くなり、スクリーンの一部が他の部分よりも明るく見えるホットスポット等が生じたり、外光が観察者側へ反射されて映像のコントラストが低下したりする等の問題が生じる場合がある。特許文献2の反射スクリーンは、その表面に微細な凹凸形状が形成されているが、その形状に関する詳細な開示はなく、ホットスポットやコントラスト低下に対して具体的な改善がなされていない。
請求項1の発明は、映像源(LS)から投影された映像光(L1,L2)を反射させて観察可能に表示する反射スクリーンであって、基材層と、前記基材層の映像源側に、少なくとも一部に略球形の一部形状である曲面を有する微細な凸形状(111)が、略一様な分布密度で互いに隣接しながら不規則に複数形成された凹凸形状部(11)とを備え、前記凹凸形状部の前記凸形状は、スクリーン面の法線方向から見た外形の径が、0.5〜4.0μmであり、前記凹凸形状部は、その表面の算術平均粗さRa(JIS B0601−2001)が、0.42〜0.52μmであり、前記基材層に前記凹凸形状部が形成された状態における全光線透過率が90%以上であり、ヘイズ値が68〜72%であること、
を特徴とする反射スクリーン(10,20)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の反射スクリーンにおいて、前記曲面の曲率半径は、略一定であること、を特徴とする反射スクリーン(11,20)である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の反射スクリーンにおいて、前記凹凸形状部(11)は、電離放射線硬化樹脂により形成されていること、を特徴とする反射スクリーン(10,20)である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の反射スクリーンにおいて、前記凹凸形状部(11)より背面側に、樹脂層(13)を備え、前記樹脂層は、スクリーン面に対して直交する断面において、光を透過可能であり略台形形状である光透過部(14)と、光を吸収する作用を有しており前記光透過部の屈折率よりも小さい屈折率を有する光吸収部(15)とが、スクリーン面に沿って交互に配列されていること、を特徴とする反射スクリーン(10)である。
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の反射スクリーンにおいて、背面側に設けられ、前記映像光を反射する反射層と、前記反射層の映像源側に設けられ、前記反射層の映像源側の表面に形状を賦形する賦形層と、を有し、前記賦形層は、スクリーン面に直交する方向における断面の断面形状が、スクリーン面に対して直交するとともに前記断面と直交する方向に同一断面形状で延在し、かつ、前記断面と同一の方向に多数並べて配置された単位表面形状を前記反射層側の表面に有していること、を特徴とする反射スクリーンである。
請求項8の発明は、請求項7に記載の反射スクリーンの製造方法において、前記成形型の表面に形成された前記凹凸形状部の逆型は、略真球形状の粒子を前記成形型の表面にブラストすることにより形成されているものを用いること、を特徴とする反射スクリーンの製造方法である。
請求項9の発明は、請求項8に記載の反射スクリーンの製造方法において、前記粒子は、ガラスビーズであること、を特徴とする反射スクリーンの製造方法である。
(1)本発明による反射スクリーンは、映像源側に、少なくとも一部に略球形の一部形状である曲面を有する微細な凸形状が、略一様な分布密度で互いに隣接しながら不規則に複数形成された凹凸形状部を備えるので、主に反射スクリーンの上方からの外光の一部を凹凸形状部によって正反射して反射スクリーンの下方へ進ませることできる。従って、外光によるコントラストの低下(黒浮き)を防止できる。
また、凹凸形状部は、少なくとも一部に略球形の一部形状である曲面を有する微細な凸形状が、略一様な分布密度で互いに隣接しながら不規則に複数形成されているので、反射スクリーンに投射された映像光が凹凸形状部によって拡散され、光源の映りこみ(ホットスポット)を低減することができる。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
図1は、第1実施形態の映像表示システムを示す図である。
図1では、室内照明(外光源)G、映像源LS、反射スクリーン10をまとめて模式的に示しているので、実際とは配置関係が異なる部分があり、また、各光線の入射角度等が後述の説明における大小関係とは異なる部分が含まれている。
映像表示システムは、反射スクリーン10、映像源LSを備えており、映像源LSから投射された映像光を、反射スクリーン10で反射し、その観察面(映像源LS側の面)上に表示する。
映像源LSは、反射スクリーン10の観察面へ観察者O側から映像光を投射するプロジェクター等である。
そして、図1に示すように、室内照明Gは、天井等の室内の上方に配置されており、室内照明Gが発する照明光G1,G2等の不要な外光は、反射スクリーン10に対して主に上方から入射する。
本実施形態の映像表示システム及びこれに用いられる反射スクリーン10は、このような、環境光等が主に反射スクリーン10の上方から入射する環境を考慮してなされたものである。
ここで、スクリーン面とは、反射スクリーン10全体として見たときにおける、反射スクリーン10の平面方向となる面を示すものであり、本明細書中、及び、特許請求の範囲においても同一の定義として用いている。
また、本明細書中において、垂直方向、水平方向とは、特に言及しない限り、反射スクリーン10の使用状態における鉛直方向(即ち、画面上下方向)、水平方向(即ち、画面左右方向)であるとする。
さらに、本明細書中において、反射スクリーン10の垂直方向での断面図とは、図1に示すように、スクリーン面に直交し、かつ、反射スクリーン10の使用状態における垂直方向に平行な方向における断面図を示すものとする。
本実施形態の反射スクリーン10は、その映像源LS側(観察面側)から順に、凹凸形状部11、基材層12、光透過部14及び光吸収部15を有する樹脂層13、反射層16、裏面保護層17を備えている。
凹凸形状部11は、ウレタンアクリレートやエポキシアクリレート等の紫外線硬化型樹脂を用いて、基材層12の片面(光透過部14とは反対側の面)に形成されており、本実施形態では、ウレタンアクリレート及びエポキシアクリレートを含む紫外線硬化型樹脂を用いている。なお、凹凸形状部11は、紫外線硬化型樹脂に限らず、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化樹脂を用いて形成してもよい。また、凹凸形状部11は、熱可塑性樹脂や熱硬化型樹脂等を用いて形成してもよい。
この凹凸形状部11の形状の詳細については、後述する。
本実施形態の基材層12は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を用いて形成されている。なお、この基材層12には、必要に応じて所定の透過率に減じさせるようなグレー等の染料や顔料等で着色(ティント)が施されていてもよい。
光透過部14は、光透過性を有し、図1に示す断面において、背面側における幅より映像源LS側における幅の方が広い略台形形状であり、スクリーン面に沿って(図1では、垂直方向に)複数配列されている。
本実施形態の光透過部14は、ウレタンアクリレート及びエポキシアクリレートを含む紫外線硬化型樹脂(屈折率1.54)を用いて形成されている。なお、光透過部14は、紫外線硬化型樹脂に限らず、電子線硬化型樹脂等の他の電離放射線硬化樹脂や、所定の波長の光が照射されることによって効果する光硬化型樹脂等を用いて形成してもよい。
また、光透過部14は、アクリル樹脂、PET樹脂等の熱可塑性樹脂を用いて、熱溶融押し出し成形によって形成してもよい。なお、光透過部14を熱溶融押し出し成形で形成する場合には、基材層12を設けない形態としてもよい。
本実施形態の光吸収部15は、光を吸収する微小ビーズとして、平均粒径が約6μmである黒色顔料を含有する光吸収粒子を含有する紫外線硬化型樹脂(例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート等、屈折率1.49程度)をワイピング(スキージング)し、硬化させることにより形成されている。この紫外線硬化型樹脂は、光透過部14より屈折率が小さい。
なお、本実施形態では、黒色顔料を含有する光吸収粒子の平均粒径を約6μmとしたが、平均粒径は、1〜10μm程度とすることが好ましい。それよりも小さいとワイピングによるかきとりが難しくなり、10μmを超えると光透過部14の間の隙間への充填が困難になるからである。
本実施形態の光透過部14の厚さは、120〜180μmである。また、本実施形態の光透過部14間の谷部となる光吸収部15は、その頂角が9°であり、その頭頂部は2μmの幅を持つ平面となっている。さらに、光吸収部15の高さ(スクリーンの厚み方向における寸法)は、117μmであり、光吸収部15の最も反射層16側の幅は、39μmであり、光吸収部15の配列ピッチは、65μmである。
なお、反射層16の形成方法としては、グラビアリバースコート、スクリーン印刷、インクジェット方式による塗布、蒸着(アルミニウム、銀、クロム等、反射率の高い金属を用いることが望ましい)等の形成方法を用いることができる。
また、反射層16の形成に使用する塗料としては、例えば、塗装後の表面がマットとなるつや消しの白色塗料、塗装後の表面の映り込みの大きい(テカリの強い)グロス白系の塗料、銀色系(メタリック)の塗料、マイカ(雲母)やビーズを適宜混入させた塗料等を使用してもよい。これらを適宜使い分けることにより、観察領域や輝度、光源の映り込み防止効果等を制御できる。
なお、この裏面保護層17は、黒色の顔料等を含有するシート状の部材を用いたり、黒色の布等を背面側に積層したりする等して光吸収作用を付与することにより、反射スクリーン10の裏面側からの外光の入射を防止できる。
本実施形態の裏面保護層17は、黒色の顔料を含有するシート状の部材を用いている。
図2は、本実施形態の凹凸形状部11を示す図である。図2(a)は、凹凸形状部11を、共焦点レーザ顕微鏡(KEYENCE社製 VK−8500/8510)を用いて反射スクリーン10のスクリーン面の法線方向から一部を拡大して撮影した顕微鏡写真である。図2(b)は、顕微鏡写真を分析し、凹凸形状部の表面形状を3D表示した図である。
図2に示すように、凹凸形状部は、微細な凸形状111が、略一様な分布密度で互いに隣接しながら不規則に複数形成されている。この凸形状111は、少なくとも一部が略球形の一部形状である曲面を有し、その曲面の曲率半径が略一定となっている。そして、凸形状111は、図2に示すように、スクリーン面の法線方向から見た外形の大きさや形状、高さがそれぞれ不規則に異なっているが、その差は小さい。本実施形態の凸形状111は、スクリーン面の法線方向から見た外形の径は約0.5〜4.0μmの範囲内(平均約2.0μm)であり、高さ(基材層12の映像源LS側の表面から凸形状の頂点までの高さ)は110〜120μm(平均115μm)である。
厚さ100μmの透明PETシート(東洋紡製A4300#100)を基材層12とし、紫外線硬化型樹脂(DICグラフィックス社製UVT−クリア IT−038)を用いて後述の成形型を用いて凹凸形状部11を形成した場合、凹凸形状部11の表面の算術平均粗さRa(JIS B0601−2001 東京精密社製Surfcom 130Aを使用して測定)が、約0.42〜0.52μmであることが好ましい。また、上述の基材層12に凹凸形状部11が形成された状態で、全光線透過率が90%以上であり、ヘイズ値が約68〜72%であることが好ましい(いずれも、株式会社村上色彩研究所製HM−130を使用して測定)。
この凹凸形状部11は、電離放射線硬化樹脂(本実施形態では、紫外線硬化型樹脂)を、その表面に凹凸形状部の逆型を有する成形型(例えば、成形ロール型)に塗布し、その成形型に基材層12の片面を当て、電離放射線(本実施形態では、紫外線)を照射して硬化させることにより凹凸形状部が形成されている。
この成形型の表面に形成されている凹凸形状部11の逆型は、略真球形状の粒子を成形型の表面にブラストすることにより形成される。
なお、上記の例に限らず、ブラストに用いる略真球状の粒子は、#500番手や#700番手のもの等、適宜その番手を選択して用いることができる。しかし、#800番手以上の大きな番手の粒子を用いると、ブラストによって得られる型の凹形状が細かくなりすぎ、この型によって形成される凹凸形状部11の凸形状も微細になりすぎるため、拡散効果が不十分となりホットスポット低減効果が得られない。#700番手、#600番手、#500番手、#400番手等のガラスビーズであれば、ホットスポット低減効果を得るに十分な凸形状を有する凹凸形状部が得られる。
このような成形型を用いて成形することにより、微細であり、少なくとも一部が略球形の一部形状である曲面を有し、その曲面の曲率半径が略一定な凸形状111であって各凸形状111の大きさや高さが不規則でありながらそのばらつきの範囲が小さく、凸形状111が略均一な分布密度で不規則に複数形成された凹凸形状部11とすることができる。
図1に示すように、映像源LSから投影される映像光L1,L2は、反射スクリーン10に入射し、凹凸形状部11や基材層12を透過し樹脂層13へ進む。なお、図1では、理解を容易にするために、凹凸形状部11、基材層12、光透過部14の屈折率に差は無いものとして示している。
映像光の一部は、そのまま反射層16で反射され、観察可能な光線として観察者O側へ進む。また、映像光の一部は、図1に示す映像光L1,L2のように、光透過部14と光吸収部15との界面で全反射して反射層16側へ進み、反射層16で反射され、再度光透過部14と光吸収部15との界面で全反射する等により、観察可能な光線として観察者O側へ進む。
しかし、このような従来の反射スクリーンでは、その製法上、拡散材が均一に分布しにくく、拡散材が凝集している部分や拡散材が疎となって略平面状となっている部分が生じてムラになりやすい。そのため、略平面状となっている部分では拡散作用が不十分であり、光源の映り込み(ホットスポット)を十分に低減できない。
また、拡散材が凝集している部分では、外光が一部が乱反射される等して観察者O側へ到達したり、コントラストの低下を招く場合がある。さらに、拡散材が凝集している部分では、外光が様々な方向に屈折して拡散され、反射スクリーンの内部に入射した場合に、光吸収部15と光透過部14との界面に対して臨界角を超えない角度で入射して光吸収部15で十分に吸収されず、反射層で反射される等して観察者O側へ戻り、コントラストの低下を招く場合があるという問題があった。
そのため、反射スクリーンの観察面側に、微細な凹凸形状を紫外線成形等により賦形することにより、コントラスト向上や光源の映りこみ低減等を図ることが考えられる。
サンドブラストによる凹凸形状部51は、その表面にサンドブラストを行った成形型を用いている点以外は、本実施形態の凹凸形状部11と同様の製造方法で製造されている。この凹凸形状部51は、その表面に砂等をブラストして凹凸形状部51の逆型が形成された成形型を用いて形成されており、ブラストに用いた砂は、略多面体状等や略楕円球状等であり、略真球形状のものは殆ど含まれていない。
図4は、本実施形態の反射スクリーン10及びサンドブラストによる凹凸形状部51を備える反射スクリーン50を示す図である。図4においては、それぞれ反射スクリーンの垂直方向における断面を示しており、図4(a)は、本実施形態の反射スクリーン10を示し、図4(b)は、サンドブラストによる凹凸形状部51を備える反射スクリーン50を示している。
本実施形態の反射スクリーン10及びサンドブラストによる凹凸形状部51を備える反射スクリーン50に対して、明室環境下で映像源LSから映像光を投射して、その映像を目視により評価した。
サンドブラストによる凹凸形状部51を備える従来例の反射スクリーン50は、図4(b)に示すように、反射スクリーン50の上方から観察面側へ到達する外光G3は、一部の光G6が凹凸形状部51に入射して基材層12や光透過部14を透過し、光吸収部15に入射して吸収される。また、一部の光G7は、凹凸形状部51で反射して反射スクリーン50の下方へ進む。
本実施形態の反射スクリーン10は、図4(a)に示すように、凹凸形状部11が一部に略球形の一部形状を有する丸みを帯びた凸形状が不規則に多数並んで形成されている。そのため、反射スクリーン10の上方から観察面側へ到達する外光G3は、その凹凸形状部11(凸形状111)の形状により、一部の光G4が凸形状111の空気との界面で屈折して基材層12や光透過部14を透過し、光吸収部15に入射して吸収される。また、残りの外光の多く(光G5)は、凸形状111の空気との界面で反射し、反射スクリーン10の下方へ進む。即ち、外光G3の多くが反射スクリーン10の表面(凹凸形状部11)で正反射して観察者Oにとって観察不可能な方向(反射スクリーン10の垂直方向下方)へ進む傾向を示す。これにより、本実施形態の反射スクリーン10では、観察者O側へ観察可能な光として反射される外光を低減し、明室環境下でのコントラストを向上することができる。
従って、本実施形態の凹凸形状部11は、ホットスポットの防止と、明室環境下でのコントラストの向上という効果を有している。
従って、シンチレーションの生じやすい高輝度の投影機等を映像源として用いる反射スクリーンを製造する場合には、ガラスビーズの粒径を小さいものを選択することによりシンチレーション低減効果も備える凹凸形状部を容易に形成することができ、所望する光学特性や使用環境等に応じて最適な凹凸形状部を容易に作製できる。
また、ブラストにガラスビーズを用いているので、略真球状の形状を形成しやすく、その製造コストも鋼球や砂等に比べて低く抑えることができる。
また、本実施形態によれば、略真球状のガラスビーズをブラストすることにより凹凸形状部の逆型が成形型に賦形されており、その成形型を用いて凹凸形状部11が賦形されるので、特殊なビーズ等を用いなくても成形型を作成することができるので、生産コストを抑えることができる。
さらに、成形型のブラストするガラスビーズの粒径を変えることにより、凹凸形状部11の凸形状111の大きさ等を容易に変更でき、拡散作用の調整等も容易である。しかも、粒径が小さいものを用いた成形型によって凹凸形状部11を形成した場合には、上述のようにシンチレーション低減効果も得られる。
図5は、第2実施形態の反射スクリーン20の層構成を示す図である。
第2実施形態の反射スクリーン20は、樹脂層13を備えず、基材層12の背面側に反射層16を備える点が異なる以外は、前述の第1実施形態の反射スクリーン10と略同様の形態である。従って、第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
反射スクリーン20は、観察面側から順に、凹凸形状部11、基材層12、反射層16、裏面保護層17等を備えている。基材層12は、拡散材を含有し、光拡散作用を有していてもよい。この反射スクリーン20は、映像源から投射された映像光を反射させて表示する映像表示システムに用いられる。
本実施形態によれば、前述の第1実施形態に示した映像源の映りこみ(ホットスポット)低減等の効果に加えて、製造が容易に行え、生産コストを低減できる。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)各実施形態では、反射層16の映像源側の面(反射面)が略平面状である例を示したが、これに限らず、例えば、樹脂層13と反射層との間に賦形層を設け、反射層の映像源側の面(反射面)に形状を賦してもよい。
図6は、変形形態の反射スクリーン30を示す図である。図6は、変形形態の反射スクリーン30を背面側から見た斜視図であり、裏面保護層17を省略して示している。
変形形態の反射スクリーン30は、反射層36と樹脂層13との間に賦形層38を備えている点以外は、第1実施形態の反射スクリーン10と略同様の形態であり、映像源LS側から順に、凹凸形状部11、基材層12、樹脂層13、賦形層38、反射層36、裏面保護層17等を備えている。凹凸形状部11、基材層12、樹脂層13等については、前述の本実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
反射層36は、賦形層38の背面側、即ち、単位レンズ形状371の表面に設けられており、反射面は、レンチキュラーレンズ形状に沿った形状となっている。この反射層36は、例えば、高反射性を有する塗料等をスプレー塗布する等により形成されている。なお、反射層36を形成する材料は、前述の本実施形態の反射層16と同様に、白色塗料や銀色系(メタリック)の塗料等を適宜選択して用いてよいし、その形成方法も、グラビアリバースコート、スクリーン印刷等としてもよい。また、反射層36は、アルミニウム、銀、クロム等の金属を蒸着することにより形成してもよい。
なお、反射スクリーン10を用いる環境等に応じて、単位レンズ形状371の配列方向は、垂直方向としてもよいし、水平方向に対して角度をなす方向としてもよい。
賦形層38は、レンチキュラーレンズ形状に限らず、下記のような形態としてもよい。
例えば、図7(a)に示すように、背面側の表面に形成される単位表面形状が、略正弦波形状としてもよいし、図7(b)に示すように、曲率が異なる2つの曲面からなる形状としてもよい。また、図7(c)に示すように、水平方向において非対称な形状としてもよいし、図7(d)に示すように、平面と曲面とを組み合わせた形状としてもよい。
賦形層38の背面側の形状を適宜選択することにより、光源の位置や観察位置等に応じて、水平方向における拡散性をより好ましいものとすることができる。例えば、図7(c)に示す形状の場合、水平方向における拡散性は、指向性の強いものとすることができる。
11 凹凸形状部
111 凸形状
12 基材層
13 樹脂層
14 光透過部
15 光吸収部
16 反射層
17 裏面保護層
Claims (9)
- 映像源から投影された映像光を反射させて観察可能に表示する反射スクリーンであって、
基材層と、
前記基材層の映像源側に、少なくとも一部に略球形の一部形状である曲面を有する微細な凸形状が、略一様な分布密度で互いに隣接しながら不規則に複数形成された凹凸形状部とを備え、
前記凹凸形状部の前記凸形状は、スクリーン面の法線方向から見た外形の径が、0.5〜4.0μmであり、
前記凹凸形状部は、その表面の算術平均粗さRa(JIS B0601−2001)が、0.42〜0.52μmであり、
前記基材層に前記凹凸形状部が形成された状態における全光線透過率が90%以上であり、ヘイズ値が68〜72%であること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1に記載の反射スクリーンにおいて、
前記曲面の曲率半径は、略一定であること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1又は請求項2に記載の反射スクリーンにおいて、
前記凹凸形状部は、電離放射線硬化樹脂により形成されていること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の反射スクリーンにおいて、
前記凹凸形状部より背面側に、樹脂層を備え、
前記樹脂層は、スクリーン面に対して直交する断面において、光を透過可能であり略台形形状である光透過部と、光を吸収する作用を有しており前記光透過部の屈折率よりも小さい屈折率を有する光吸収部とが、スクリーン面に沿って交互に配列されていること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の反射スクリーンにおいて、
背面側に設けられ、前記映像光を反射する反射層と、
前記反射層の映像源側に設けられ、前記反射層の映像源側の表面に形状を賦形する賦形層と、
を有し、
前記賦形層は、スクリーン面に直交する方向における断面の断面形状が、スクリーン面に対して直交するとともに前記断面と直交する方向に同一断面形状で延在し、かつ、前記断面と同一の方向に多数並べて配置された単位表面形状を前記反射層側の表面に有していること、
を特徴とする反射スクリーン。 - 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の反射スクリーンと、
前記反射スクリーンに、観察面側から映像光を投射する映像源と、
を備える映像表示システム。 - 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の反射スクリーンの製造方法であって、
前記凹凸形状部は、電離放射線硬化樹脂を用いて形成されており、
その表面に前記凹凸形状部の逆型を有する成形型に電離放射線硬化樹脂を塗布し、電離放射線を照射して硬化させることにより前記凹凸形状部を形成すること、
を特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項7に記載の反射スクリーンの製造方法において、
前記成形型の表面に形成された前記凹凸形状部の逆型は、略真球形状の粒子を前記成形型の表面にブラストすることにより形成されていること、
を特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項8に記載の反射スクリーンの製造方法において、
前記粒子は、ガラスビーズであること、
を特徴とする反射スクリーンの製造方法。
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