JP5629873B2 - 発光材料及び発光素子 - Google Patents

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本発明は、高分子材料からなる発光材料及びそれを用いた発光素子に関する。
近年、テレビジョン受像機等といった画像表示装置の大型化及び薄型化が進んでいる。こうした画像表示装置では、従来使用されてきたブラウン管ではなく、液晶表示装置やエレクトロルミネッセンス(EL)表示装置等が採用される。これらの中でも、EL表示装置は、一つ一つの画素が自ら発光するため、液晶表示装置に比べて視野角が広く、得られる画像も鮮明であるという特長を備える。また、液晶材料を光学シャッターとし、当該液晶材料の背面に設けた発光部(すなわち、バックライト)からの光を制御することで画像を表示させる液晶表示装置においても、発光部においてEL材料を使用するための研究が行われている。
EL材料を使用した表示装置において画素や発光部を構成する発光材料としては無機系のものや有機系のものが挙げられるが、近年、有機系の発光材料を使用した有機ELの研究開発が盛んに行われている。有機系の発光材料は、塗布等の手段により基板の表面に素子のパターンを形成させることが可能であるため、無機系のものよりも扱いやすいという利点を備える。こうした有機系の発光材料では、光の三原色である赤色、緑色及び青色それぞれの発光を得るために異なる化合物が使用される。
これらの中で、青色の発光材料としてはフルオレン系の化合物を使用したものが各種提案されている(一例として、特許文献1を参照)。フルオレン系の化合物は、高い量子収率を備えることから、有機系の発光材料として注目されている化合物の一つである。フルオレン系の化合物は、単分子のものを発光材料として用いることができるし、特許文献1に記載されるようにそれ自身でポリマーを形成させたものを発光材料として用いることも可能である。
国際公開第2005/121203号パンフレット
しかしながら、フルオレン系の化合物は、π共役系の発達した平面状のフルオレン単位を有するため、フルオレン単位同士がπ−πスタッキングを形成して発光の色純度が低下しやすいという欠点を有する。また、フルオレン系の化合物は、長時間高温環境に曝されると9−位の炭素原子に結合した置換基が外れて酸化されやすいという問題も有する。この問題は、π−πスタッキングを形成したフルオレン化合物同士の間で電子移動が生じるためと考えられ、上記の色純度の問題と同様に、フルオレン単位同士がπ−πスタッキングを形成することに由来すると考えられる。そして、こうしたπ−πスタッキングに基づく各種の問題は、フルオレン系の化合物に限定されるものではなく、広いπ共役系を備えた有機系の発光材料に共通する問題でもある。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、色純度が高く、高温条件下でも安定な発光材料、及び当該発光材料を用いた発光素子を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、フォトルミネッセンス又はエレクトロルミネッセンスを示す芳香族化合物からなる二価の基を繰り返し単位として備えたポリマー中に、ジナフトチオフェン骨格を備えた二価の基を繰り返し単位として組み込んで共重合体とすることにより、色純度が高く、高温条件下でも安定な発光材料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、以上のような知見に基づいてなされたものであり、以下のようなものを提供する。
(1)本発明は、下記一般式(1)又は(2)で表される高分子化合物からなる発光材料である。
Figure 0005629873
(上記一般式(1)中、(R)又は(R)は、それぞれp個又はq個の同一又は異なる置換基を意味し、当該置換基は、それらが結合するナフタレン環における置換可能な炭素原子のいずれに結合してもよく、各Rは、それぞれ独立に、有機基、水酸基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、スルホ基、ハロゲン原子又は置換されてもよいシリル基を表し、二個のRは、それぞれ独立に一価の基を表し、pは、0〜5の整数であり、qは、0〜5の整数であり、mは、1以上の整数であり、nは、1以上の整数であり、m+nは、4以上である。また、上記一般式(1)中、Arは、次のいずれかの一般式で表される二価の基である。)
Figure 0005629873
(上記一般式中、Rは、それぞれ同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、Rは、それぞれ同一又は異なって、一価の置換基であり、rは0〜4の整数であり、sは0〜5の整数であり、tは0〜2の整数である。)
Figure 0005629873
(上記一般式(2)中、(R)又は(R)は、それぞれp個又はq個の同一又は異なる置換基を意味し、当該置換基は、それらが結合するナフタレン環における置換可能な炭素原子のいずれに結合してもよく、各Rは、それぞれ独立に、有機基、水酸基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、スルホ基、ハロゲン原子又は置換されてもよいシリル基を表し、二個のRは、それぞれ独立に一価の基を表し、pは、0〜5の整数であり、qは、0〜5の整数であり、mは、1以上の整数であり、nは、1以上の整数であり、m+nは4以上である。また、上記一般式(1)中、Arは、次のいずれかの一般式で表される二価の基である。)
Figure 0005629873
(上記一般式中、Rは、それぞれ同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、Rは、それぞれ同一又は異なって、一価の置換基であり、rは0〜4の整数であり、sは0〜5の整数であり、tは0〜2の整数である。)
(2)本発明は、上記発光材料を発光部位として備えた発光素子でもある。
本発明によれば、色純度が高く、高温条件下でも安定な発光材料、及び当該発光材料を用いた発光素子が提供される。
図1は、実施例1の発光材料における紫外可視吸収スペクトル及び蛍光スペクトルである。 図2は、実施例4の発光材料における紫外可視吸収スペクトル及び蛍光スペクトルである。 図3は、比較例1の発光材料における紫外可視吸収スペクトル及び蛍光スペクトルである。 図4は、実施例1の発光材料を200℃で加熱した際の時間経過に伴う蛍光スペクトルの変化である。 図5は、実施例4の発光材料を200℃で加熱した際の時間経過に伴う蛍光スペクトルの変化である。 図6は、比較例1の発光材料を200℃で加熱した際の時間経過に伴う蛍光スペクトルの変化である。
以下、本発明の発光材料及び発光素子についての一実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲において適宜変更して実施することができる。
まず、本発明の発光材料について説明する。本発明の発光材料は、高分子化合物であり、フォトルミネッセンスやエレクトロルミネッセンスを示す。そのため、EL表示装置における発光素子や、液晶表示装置におけるバックライト等といった発光装置等の用途に好ましく使用される。ここで、フォトルミネッセンスとは、紫外線や可視光等といった励起光の照射を受けて励起光よりも波長の長い光を発することを意味し、エレクトロルミネッセンスとは、電界によって電子や正孔の注入を受けて可視光等の光を発する特性を意味する。これら両者の現象は、発光材料である化合物における電子が高いエネルギー準位となり、その電子が基底状態に戻るときのエネルギーが光として発せられるという点で同じであり、励起光によって電子が高エネルギー準位に遷移されるか、電界によって高エネルギー準位の電子が注入されるかの違いにすぎない。よって、フォトルミネッセンスを示す材料は、同時にエレクトロルミネッセンスを示す材料でもあるのが一般的である。
本発明の発光材料は、下記一般式(1)又は(2)で表される高分子化合物からなる。
Figure 0005629873
(上記一般式(1)中、(R)又は(R)は、それぞれp個又はq個の同一又は異なる置換基を意味し、当該置換基は、それらが結合するナフタレン環における置換可能な炭素原子のいずれに結合してもよく、各Rは、それぞれ独立に、有機基、水酸基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、スルホ基、ハロゲン原子又は置換されてもよいシリル基を表し、二個のRは、それぞれ独立に一価の基を表し、pは、0〜5の整数であり、qは、0〜5の整数であり、mは、1以上の整数であり、nは、1以上の整数であり、m+nは、4以上である。また、上記一般式(1)中、Arは、フォトルミネッセンス又はエレクトロルミネッセンスを示す芳香族化合物から二個の置換基(水素原子も含む。)を除いた二価の基である。)
Figure 0005629873
(上記一般式(2)中、(R)又は(R)は、それぞれp個又はq個の同一又は異なる置換基を意味し、当該置換基は、それらが結合するナフタレン環における置換可能な炭素原子のいずれに結合してもよく、各Rは、それぞれ独立に、有機基、水酸基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、スルホ基、ハロゲン原子又は置換されてもよいシリル基を表し、二個のRは、それぞれ独立に一価の基を表し、pは、0〜5の整数であり、qは、0〜5の整数であり、mは、1以上の整数であり、nは、1以上の整数であり、m+nは4以上である。また、上記一般式(1)中、Arは、フォトルミネッセンス又はエレクトロルミネッセンスを示す芳香族化合物から二個の置換基(水素原子も含む。)を除いた二価の基である。)
本発明の発光材料は、上記一般式(1)又は(2)で表されるように、ポリマーの繰り返し単位として、ジナフトチオフェン骨格又はジナフトチオフェンS,S−ジオキサイド骨格(以下、ジナフトチオフェンS,S−ジオキサイド骨格のことをオキシジナフトチオフェン骨格とも呼ぶ。)からなる立体調整発光部と、Xで表される発光部とを備えることを特徴とする。なお、上記一般式(1)及び(2)は、立体調整発光部と発光部とがブロック構造であるとの解釈に限定されるものでなく、単に、繰り返し単位として上記立体調整発光部と上記発光部とを備えた共重合体であることを示すにすぎないことを付言しておく。
立体調整発光部となるジナフトチオフェン骨格又はオキシジナフトチオフェン骨格は、二つのナフタレン環が連結した構造を備える。そして、これらのナフタレン環は、互いに相手のナフタレン環との間で立体障害を有するため、一般のπ共役化合物で見られるような平面構造をとることができない。そのため、一方のナフタレン環を水平に配置したときに、他方のナフタレン環は斜め方向にせり出した状態で配置されることとなる。このとき、二つのナフタレン環は互いに17°傾いた状態になる。このように、ジナフトチオフェン骨格又はオキシジナフトチオフェン骨格における二つのナフタレン環が互いに水平とならずに、ジナフトチオフェン骨格の硫黄原子を中心部分としたV字状の立体配置をとることが本発明のポイントである。
上記一般式(1)又は(2)においてXとして表される発光部は、フォトルミネッセンス又はエレクトロルミネッセンスを示す芳香族化合物から二個の置換基を除いた二価の基であるArを含む。Arは、広いπ共役系を有する芳香族化合物を由来とする二価の基であり、平面構造を有する。本発明の発光材料であるポリマーにおいて、Xに含まれるArは、励起光又は電界によって励起され可視光を発することになる。本発明の発光材料における発光は、このArによってもたらされるものである。
ところで、このArは、Arのみを繰り返し単位とする重合体を発光材料とした際に、Arの備えるπ共役した平面構造により互いにπ−πスタッキングして、もともとのArの構造に基づく発光波長とは異なる波長にも発光を示すようになる。このことは、色純度の低下をもたらす要因となる。また、Ar同士でπ−πスタッキングすることが可能な場合、Arが励起した際に励起二量体(エキシプレックス)を形成し、励起二量体の一方が還元的な環境に置かれ、他方が酸化的な環境に置かれる。このことが一部のArの分解をもたらし、これもまた色純度が低下する要因となる。例えば、下記式で表されるポリフルオレンは、430nm付近にフルオレン骨格に由来する発光を示すとともに、470nm付近にフルオレン骨格がπ−πスタッキングしたことに由来する発光を示す。また、このポリフルオレンは、長時間高温条件に置かれると、フルオレン骨格の9−位に存在する置換基(下記式ではC13−で表される二つのアルキル基)が外れて酸化体となり、この酸化体に由来する長波長の発光を示すようになる。
Figure 0005629873
(上記式中、nは上記一般式(1)及び(2)とは無関係に正の整数である。)
この点、本発明の発光材料であるポリマーでは、上記のように、Arを含む発光部Xと、ジナフトチオフェン骨格又はオキシジナフトチオフェン骨格である立体調整発光部とを備えるため、発光部Xに含まれるAr同士がπ−πスタッキングを形成しようとしても、V字状の立体配置をとる立体調整発光部(すなわち、ジナフトチオフェン骨格又はオキシジナフトチオフェン骨格)の存在によってAr同士の接近が阻まれ、Ar同士は互いにπ−πスタッキングを形成することができない。したがって、本発明の発光材料では、π−πスタッキングの形成による色純度の低下や、励起二量体の形成に伴う分解が抑制されることになり、発光材料として好ましく利用されることとなる。なお、「立体調整発光部」という用語は、ジナフトチオフェン骨格又はオキシジナフトチオフェン骨格が、上述のようにV字状の立体配置に基づく立体的な調整を行う役割を担うのと同時に、π共役系の伸長によりそれ自身も発光する性質を備えることに基づくものである。
上記のように、一般式(1)及び(2)において、Xは、フォトルミネッセンス又はエレクトロルミネッセンスを示す芳香族化合物から二個の置換基を除いた二価の基であるArを含む発光部である。Xは、Arそのものでもよいし、π共役することが可能な二価の置換基がArに結合したものであってもよい。π共役することが可能な二価の置換基としては、アルケニレン基、アルキニレン基、及びアルケニレン基に窒素原子が結合したものが挙げられる。
Arは、フォトルミネッセンス又はエレクトロルミネッセンスを示す芳香族化合物から二個の置換基(水素原子も含む)を除いた二価の基である。フォトルミネッセンス又はエレクトロルミネッセンスを示す芳香族化合物とは、紫外線や可視光等の励起光の照射を受けて可視光を発する化合物や、電界によって励起されて可視光を発する化合物であり、公知のものが多数知られている。本発明のポリマーからなる発光材料は、ポリマー中に上記立体調整発光部を備えることでArのπ−πスタッキングを抑制することが特徴であるので、発光部に含まれるArとしてはフォトルミネッセンス又はエレクトロルミネッセンスを示す芳香族化合物を由来とする二価の置換基であればよい。より具体的には、このようなArとして下記の一般式で表されるものを例示できる。
Figure 0005629873
(上記一般式中、各Rは、それぞれ同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、各Rは、それぞれ同一又は異なって、一価の置換基であり、rは0〜4の整数であり、sは0〜5の整数であり、tは0〜2の整数である。)
上記各一般式で表される各骨格は、全て公知のものであり、定法にしたがって合成される。これらの中でも、Arとして下記の一般式で表されるフルオレン骨格を有するものを好ましく例示できる。
Figure 0005629873
(上記一般式中、各Rは、それぞれ同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
次に、立体調整発光部について説明する。既に述べたように、立体調整発光部は、ジナフトチオフェン骨格又はオキシジナフトチオフェン骨格を有する二価の基であり、これらの基に含まれる二つのナフタレン環が、互いに水平とならずにジナフトチオフェン骨格の硫黄原子を中心部分としたV字状の立体配置をとることが重要なポイントである。
上記一般式(1)及び(2)中、(R)又は(R)は、それぞれp個又はq個の同一又は異なる置換基を意味し、当該置換基は、それらが結合するナフタレン環における置換可能な炭素原子のいずれに結合してもよく、各Rは、それぞれ独立に、有機基、水酸基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、スルホ基、ハロゲン原子又は置換されてもよいシリル基を表す。また、上記一般式(1)及び(2)中、pは、0〜5の整数であり、qは、0〜5の整数である。
上記一般式(1)及び(2)において、有機基は、炭素原子を含む置換基であり、この炭素原子に加えて、さらに酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでもよい。
このような有機基としては、炭素数1〜20でヘテロ原子を含んでもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基、ビニル基、スチリル基、アリル基、(メタ)アクリロイルオキシメチル基、メチル(メタ)アクリロイルオキシメチル基、カルボキシル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ホルミル基、メチルカルボニル基、メトキシカルボニル基、N−エチルアミノカルボニル基、トリフルオロメチル基、トリメチルシリル基、シアノ基、シアノエチル基、イソシアナト基、チオイソシアナト基、ベンジリデンアミノ基等が例示される。
炭素数1〜20でヘテロ原子を含んでもよいアルキル基は、直鎖状でも分枝状でもよい。このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基等が例示される。
また、炭素数1〜20でヘテロ原子を含んでもよいシクロアルキル基は、単環構造でも複環構造でもよい。このようなシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が例示される。
また、炭素数1〜20でヘテロ原子を含んでもよいアリール基は、単環構造でも縮環構造でもよい。このようなアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基等が例示される。
また、炭素数1〜20でヘテロ原子を含んでもよいアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が例示される。
上記一般式(1)及び(2)において、Rで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が例示される。Rで表される各置換基は、発光材料における溶解性や発光波長等を考慮して適宜決定すればよい。
ジナフトチオフェン骨格又はオキシジナフトチオフェン骨格に置換基Rを導入する方法としては、公知の方法を特に制限なく挙げることができる。例えば、ジナフトチオフェン骨格又はオキシジナフトチオフェン骨格にアルキル基を導入する場合、ジナフトチオフェン化合物又はオキシジナフトチオフェン化合物の臭素化物に、アルキルボロン酸化合物をパラジウム触媒の存在下で反応させればよい。
また、ジナフトチオフェン骨格は、ジナフトチオフェンを出発原料として形成させることが可能であるし、オキシジナフトチオフェン骨格は、ジナフトチオフェンを適切な酸化剤により酸化させることで形成させることが可能である。ジナフトチオフェンは、石油残渣中に含まれるものを分離精製して入手することもできるし、有機合成によって入手することもできる。ジナフトチオフェンを有機合成によって入手する方法の一例としては、1,1’−ビナフトールを塩基存在下でジメチルチオカルバモイルクロライドと反応させてジメチルチオカルバメート体とし、次いで、このジメチルチオカルバメート体をスルホラン(沸点285℃)中で加熱乾留させることが挙げられる。
上記一般式(1)及び(2)において、mは、立体調整発光部となる繰り返し単位の数を表し、nは、発光部となる繰り返し単位の数を表す。mは、1以上の整数であり、nは、1以上の整数であり、m+nは、4以上である。これにより、ポリマーである本発明の発光材料には、1以上の立体調整発光部と1以上の発光部とが必ず含まれることとなり、また、重合度が3以下であるオリゴマーが除外されることになる。
立体調整発光部に含まれるジナフトチオフェン骨格又はオキシジナフトチオフェン骨格では、上述のように二つのナフタレン環が互いに水平とならずにV字状の立体配置をとるため、π共役が不完全な状態となる。したがって、上記一般式(1)及び(2)においてm+nが3以下では、こうした不完全なπ共役が存在することの影響が大きくなり、発光部における量子収率が著しく小さくなる傾向がある。それに対して、上記一般式(1)及び(2)においてm+nが4以上であれば、ポリマー中で、Arを含む発光部X同士が隣接する確率が高くなることにより十分に広いπ共役系が確保され、発光部における量子収率の向上が期待できるので好ましい。さらに、ポリマーでは、成膜性、透明性が向上し、分子量の向上により耐揮散性、耐溶剤性の飛躍的な向上がもたらされる。
上記一般式(1)及び(2)において、Rは、ポリマーの末端基となる一価の基である。Rは、どのような方法でポリマーを合成したかによって変化するものである一方で、ポリマーの両端にのみ存在するのでポリマー物性に与える影響も極めて小さいので、どのような置換基であってもよい。
次に、ポリマーからなる本発明の発光材料を調製する方法について説明する。ポリマーからなる本発明の発光材料を調製するにあたり、公知の方法を適宜使用することが可能であるが、上記立体調整発光部となる構成単位に相当する化合物に2個の臭素原子を導入するとともに、上記発光部となる構成単位に相当する化合物に2個のボロン酸基を導入し、パラジウム触媒の存在下でこれらをクロスカップリングすることが例示できる。また、上記立体調整発光部となる構成単位に相当する化合物に2個のボロン酸基を導入するとともに、上記発光部に相当する化合物に2個の臭素原子を導入し、パラジウム触媒の存在下でこれらをクロスカップリングしてもよい。この場合、立体調整発光部と発光部とが交互に共重合したポリマーとなる。このような反応の一例として、立体調整発光部としてジナフトチオフェン骨格を備え、発光部としてフルオレン骨格を備えたポリマーの合成を示す化学反応式を下記に示す。
Figure 0005629873
(上記式中、nは上記一般式(1)及び(2)におけるnとは無関係な正の整数である。)
また、上記立体調整発光部となる構成単位に相当する化合物に2個の臭素原子を導入した化合物と2個のボロン酸基を導入した化合物を用意するとともに、上記発光部となる構成単位に相当する化合物に2個の臭素原子を導入した化合物と2個のボロン酸基を導入した化合物を用意し、これら4種の化合物をパラジウム触媒の存在下でクロスカップリングさせてもよい。この場合、立体調整発光部と発光部とがランダムに配列されたポリマーとなり、二つ以上の発光部同士が隣り合うことによる量子収率の向上を期待することができる。同様に、上記立体調整発光部となる構成単位に相当する化合物に2個の臭素原子を導入した化合物を用意するとともに、上記発光部となる構成単位に相当する化合物に2個の臭素原子を導入した化合物と2個のボロン酸基を導入した化合物を用意し、これら3種の化合物をパラジウム触媒の存在下でクロスカップリングさせても、立体調整発光部と発光部とがランダムに配列されたポリマーとなる。また、上記立体調整発光部となる構成単位に相当する化合物に2個の臭素原子を導入した化合物と、上記発光部となる構成単位に相当する化合物に2個の臭素原子を導入した化合物を用意し、これら2種の化合物を亜鉛触媒の存在下でカップリングさせても立体調整発光部と発光部とがランダムに配列されたポリマーが得られる。
ポリマーの重量平均分子量は、発光材料としての用途に応じて適宜設定すればよいが、1000〜10万程度を好ましく例示でき、5000〜5万程度をより好ましく例示できる。また、上記立体調整発光部と上記発光部の存在比である上記一般式(1)及び(2)におけるm:nは、0.05:0.95から0.9:0.1程度を好ましく例示することができる。このm:nの比は、原料である、立体調整発光部となる構成単位に相当する化合物と発光部となる構成単位に相当する化合物との配合比を調節することにより、任意の値とすることができる。
なお、ジナフトチオフェン骨格又はオキシジナフトチオフェン骨格のもとになる化合物の入手方法は上述の通りである。また、発光部に含まれるAr骨格のもとになる化合物としては、市販のものを入手することも可能であるし、公知の手段により合成したものを用いることも可能である。
上記本発明の発光材料を発光部位として備えた発光素子も本発明の一つである。この発光素子としては、電子注入層と正孔輸送層との間に本発明の発光材料を挟んだ構造を例示することができる。このような電子注入層及び正孔輸送層としては公知のものを適宜選択して用いることができる。
本発明の発光材料は、ポリマーであるので、成膜性、耐揮散性、耐溶剤性に優れる。そのため、適切な溶媒に当該発光材料を溶解させて溶液としておき、この溶液を所望の場所に塗布して溶媒を乾燥させることにより、発光素子における発光部位を形成させることが可能である。この発光部位は、電界を印加されることにより色純度の高い光を生じる。また、本発明の発光材料は、上述の通り、高温環境に長時間曝されたとしても分解されず安定である。そのため、本発明の発光素子は、EL方式の表示装置や発光装置等に好ましく使用される。
以下、本発明の発光材料について、実施例を示すことにより、さらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[合成例1]
ジナフトチオ[2,1−b:1’,2’−d]チオフェン(DNT)の合成
Figure 0005629873
三口フラスコに1,1’−ビナフトール20.0g(69.9mmol)を秤取り、これにN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)150mLを加えて溶解させ、溶液とした。この溶液に、窒素雰囲気下、氷冷しながら水素化ナトリウム(純度55%、油分散)6.70g(153.7mmol)を徐々に添加し、1時間撹拌した。得られた反応液にジメチルチオカルバモイルクロライド(純度95%)20.0g(153.7mmol)を加え、これらを85℃で1時間加熱撹拌してから室温まで冷却した後、1質量%のKOH水溶液500mLに注ぎ、析出する沈殿物を濾別し水でよく洗浄した。濾別された沈殿物を塩化メチレン50mLに溶解させて溶液とし、この溶液に含まれる水分を硫酸マグネシウムで除いた後、溶液から塩化メチレンを留去した。留去後に残った固体を塩化メチレン/石油エーテルより再結晶させて、BNpOTc 27.4g(59.4mmol)を得た。得られたBNpOTcの融点は、206.3℃だった。
次に、BNpOTc 6.0g(13.1mmol)をスルホラン12mLに溶解させ、得られた溶液を、窒素雰囲気下で2時間加熱還流させた後、室温まで冷却し、蒸留水に注いだ。蒸留水中に析出した固体を、濾別し、減圧乾燥してからクロロホルムに溶解させた。これにより得られた溶液を活性炭で脱色処理し、さらにクロロホルム/ヘキサンより再結晶させてDNT 2.63g(9.3mmol)を得た。得られたDNTの融点は、208.9℃だった。
[合成例2]
5,9−ジブロモジナフトチオフェン(DBDNT)の合成
Figure 0005629873
50mL三口ナスフラスコに、ジナフトチオフェン(DNT)1.0g(27.1mmol)及びクロロホルム10mLを加えて、氷浴で冷却した。そこに臭素3.2mL(62.4mmol)を10分間かけて徐々に滴下し、その後室温で2時間撹拌した。析出した固体を濾取してメタノールで洗浄後、クロロホルムより再結晶し黄色粉状固体の5,9−ジブロモジナフトチオフェン(DBDNT)を0.38g(収率77.8%)得た。
DBDNTの各物性値は、以下の通りである。
H NMR(600MHz、CDCl)δ(ppm):8.789(d,J=8.4Hz,2H),8.472(d,J=8.4Hz,2H),8.267(s,2H),7.692(t,J=7.5Hz,2H),7.614(t,J=7.5Hz,2H)
IR(film):772cm−1
融点:307℃
[合成例3]
5,9−ジブロモジナフトチオフェンS,S−ジオキサイド(DBDNS)の合成
Figure 0005629873
50mL三口ナスフラスコに、5,9−ジブロモジナフトチオフェン1.50g(3.39mmol)及び酢酸15mLを加えて、氷浴で冷却した。そこに30%過酸化水素水2.5mL(24.5mmol)を加えて、徐々に加熱し、その後2時間還流した。さらに30%過酸化水素水2.5mL(24.5mmol)を加えて、徐々に加熱し、その後2時間還流した。反応液を室温に冷却した後、撹拌しながら水100mLに滴下した。析出した固体を濾取して、クロロホルム可溶部と不溶部に分離し、可溶部をカラムクロマトグラフィー(SiO、CHCl)で精製して、黄色粉状固体の5,9−ジブロモジナフトチオフェンS,S−ジオキサイド(DBDNS)を0.47g(収率29.1%)得た。
DBDNSの各物性値は、以下の通りである。
H NMR(600MHz、CDCl)δ(ppm):8.458(d,J=9.0Hz,2H),8.323(d,J=9.0Hz,2H),8.221(s,2H),7.801(t,J=7.2Hz,2H),7.683(t,J=7.2Hz,2H)
IR(film):1310,1136cm−1
融点:300−301℃
[実施例1]
DNT−FL(フルオレン)交互コポリマー(P(DNT−FL)交互コポリマー)の合成
Figure 0005629873
50mL三口フラスコに、5,9−ジブロモジナフトチオフェン(DBDNT)200mg(0.45mmol)、9,9−ジヘキシルフルオレン−2,7−ジボロン酸ビス(1,3−プロパンジオール)エステル(シグマアルドリッチ社製;DHFLBE)250mg(0.399mmol)及び炭酸ナトリウム十水和物2.58g(9.0mmol)を加えた。ここに、相間移動触媒である4級アンモニウム塩(シグマアルドリッチ社製、商品名Aliquat336)25mgをトルエン7.5mLに溶かした溶液及び水5.0mLを加え、室温で30分間アルゴンバブリングした。その後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム11.0mg(9.0μmol)を加えて、アルゴン雰囲気下で42時間還流させた。反応液を室温まで冷却させた後、クロロホルム30mLを加え、1N塩酸50mLで1回、さらに水50mLで3回洗浄し、有機層を乾燥剤である無水硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濾過により乾燥剤を取り除き、溶媒を留去した。これをクロロホルム10mLに溶解させて溶液とし、この溶液をアセトン300mLに滴下した際に析出した固体を回収し、加熱減圧乾燥して、黄緑色固体のP(DNT−FL)交互コポリマーを254mg(収率91.3%)得た。これを実施例1の発光材料とした。
P(DNT−FL)交互コポリマーの各物性値は、以下の通りである。
H NMR(600MHz、CDCl)δ(ppm):9.10−9.00(br,2H),8.25−7.90(br,6H),7.75−7.55(br,8H),2.35−2.05(br,4H),1.40−1.05(br,12H),1.00−0.70(br,10H)
GPC(THF):M=17070,M=32110,M/M=1.88
[実施例2]
DNT−FLランダムコポリマー(P(DNT−FL)ランダムコポリマー)の合成(DNT:FL=1:3)
Figure 0005629873
50mL三口フラスコに、DBDNT83.6mg(0.189mmol)、2,7−ジブロモ−9,9−ジヘキシルフルオレン(東京化成株式会社製;DBDHFL)93.0mg(0.189mmol)、DHFLBE200mg(0.399mmol)及び炭酸ナトリウム十水和物2.16g(7.55mmol)を加えた。ここに、相間移動触媒である4級アンモニウム塩(シグマアルドリッチ社製、商品名Aliquat336)20.7mgをトルエン6.3mLに溶かした溶液及び水2.8mLを加え、室温で30分間アルゴンバブリングした。その後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム8.8mg(7.62μmol)を加え、後は、実施例1と同様の手順にて黄緑色固体のP(DNT−FL)ランダムコポリマーを192mg(収率79.2%)得た。これを実施例2の発光材料とした。
P(DNT−FL)ランダムコポリマーの各物性値は、以下の通りである。
H NMR(600MHz、CDCl)δ(ppm):9.10−9.00(br),8.25−8.16(br),8.13−8.06(br),8.03−7.82(br),7.78−7.53(br),2.30−2.00(br),1.28−1.05(br),1.00−0.68(br)
共重合比 m:n=1:2.75(H NMRにおいて、9.10−9.00ppmのDNT由来の2H分の積分値を2.00とし、2.30−2.00ppmのFL由来の4H分の積分値10.98より算出した。)
GPC(THF):M=11230,M=19670,M/M=1.75
[実施例3]
DNT−FLランダムコポリマー(P(DNT−FL)ランダムコポリマー)の合成(DNT:FL=1:5)
Figure 0005629873
50mL三口フラスコに、DBDNT55.7mg(0.126mmol)、DBDHFL125mg(0.253mmol)、DHFLBE200mg(0.399mmol)及び炭酸ナトリウム十水和物2.16g(7.55mmol)を加えた。ここに、相間移動触媒である4級アンモニウム塩(シグマアルドリッチ社製、商品名Aliquat336)22.0mgをトルエン6.3mLに溶かした溶液及び水2.8mLを加え、室温で30分間アルゴンバブリングした。その後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム8.5mg(7.36μmol)を加え、後は、実施例1と同様の手順にて黄緑色固体のP(DNT−FL)ランダムコポリマーを236mg(収率96.2%)得た。これを実施例3の発光材料とした。
P(DNT−FL)ランダムコポリマーの各物性値は、以下の通りである。
H NMR(600MHz、CDCl)δ(ppm):9.10−9.00(br),8.24−8.16(br),8.13−8.05(br),8.04−7.80(br),7.78−7.53(br),2.30−2.00(br),1.28−1.05(br),0.93−0.75(br)
共重合比 m:n=1:4.90(H NMRにおいて、9.10−9.00ppmのDNT由来の2H分の積分値を2.00とし、2.30−2.00ppmのFL由来の4H分の積分値19.61より算出した。)
GPC(THF):M=20490,M=41340,M/M=2.02
[実施例4]
DNS−FL交互コポリマー(P(DNS−FL)交互コポリマー)の合成
Figure 0005629873
50mL三口フラスコに、5,9−ジブロモジナフトチオフェン−S,S−ジオキサイド(DBDNS)200mg(0.423mmol)、DHFLBE231mg(0.460mmol)及び炭酸ナトリウム十水和物2.41g(8.44mmol)を加えた。ここに、相間移動触媒である4級アンモニウム塩(シグマアルドリッチ社製、商品名Aliquat336)24.3mgをトルエン7mLに溶かした溶液及び水3.1mLを加え、室温で30分間アルゴンバブリングした。その後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム10mg(8.65μmol)を加え、後は、実施例1と同様の手順にて濃緑色固体のP(DNS−FL)交互コポリマーを279mg(収率96.4%)得た。これを実施例4の発光材料とした。
P(DNS−FL)交互コポリマーの各物性値は、以下の通りである。
H NMR(600MHz、CDCl)δ(ppm):8.55−8.45(br,2H),8.25−8.17(br,2H),8.12−8.09(br,2H),8.05−8.00(br,2H),7.77−7.60(br,8H),2.25−2.00(br,4H),1.30−1.10(br,12H),0.95−0.70(br,10H)
GPC(THF):M=10530,M=32770,M/M=3.11
[実施例5]
DNS−FLランダムコポリマー(P(DNS−FL)ランダムコポリマー)の合成(DNS:FL=1:5)
Figure 0005629873
50mL三口フラスコに、DBDNS59.7mg(0.126mmol)、DBDHFL125mg(0.253mmol)、DHFLBE200mg(0.399mmol)及び炭酸ナトリウム十水和物2.18g(7.62mmol)を加えた。ここに、相間移動触媒である4級アンモニウム塩(シグマアルドリッチ社製、商品名Aliquat336)20.6mgをトルエン6.3mLに溶かした溶液及び水2.8mLを加え、室温で30分間アルゴンバブリングした。その後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム8.5mg(7.36μmol)を加え、後は、実施例1と同様の手順にて黄緑色固体のP(DNS−FL)ランダムコポリマーを219mg(収率87.7%)得た。これを実施例5の発光材料とした。
P(DNS−FL)ランダムコポリマーの各物性値は、以下の通りである。
H NMR(600MHz、CDCl)δ(ppm):8.53−8.45(br),8.24−8.17(br),8.13−8.06(br),8.06−8.00(br),7.98−7.80(br),7.78−7.58(br),2.35−1.90(br),1.27−1.05(br),0.92−0.75(br)
共重合比 m:n=1:5.38(H NMRにおいて、8.53−8.45ppmのDNS由来の2H分の積分値を2.00とし、2.35−1.90ppmのFL由来の4H分の積分値21.52より算出した。)
GPC(THF):M=23010,M=42380,M/M=1.84
[比較例1]
FLポリマー(PFL)の合成
Figure 0005629873
50mL三口フラスコに、DBDHFL186mg(0.378mmol)、DHFLBE200mg(0.399mmol)及び炭酸ナトリウム十水和物2.18g(7.62mmol)を加えた。ここに、相間移動触媒である4級アンモニウム塩(シグマアルドリッチ社製、商品名Aliquat336)21.5mgをトルエン6.3mLに溶かした溶液及び水2.8mLを加え、室温で30分間アルゴンバブリングした。その後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム8.8mg(7.62μmol)を加え、後は、実施例1と同様の手順にて黄緑色固体のPFLポリマーを222mg(収率87.9%)得た。これを比較例1の発光材料とした。
PFLポリマーの各物性値は、以下の通りである。
H NMR(600MHz、CDCl)δ(ppm):7.90−7.78(br,2H),7.77−7.63(br,4H),2.30−1.94(br,4H),1.22−1.02(br,12H),0.92−0.74(br,10H)
GPC(THF):M=12100,M=25160,M/M=2.08
[比較例2]
FL−DNS−FL三量体(FL−DNS−FL)の合成
Figure 0005629873
50mL三口ナスフラスコに、9,9−ジヘキシルフルオレン−2−ボロン酸472mg(1.25mmol)、DBDNS266mg(0.560mmol)、トルエン5.8mL及び相間移動触媒である4級アンモニウム塩(シグマアルドリッチ社製、商品名Aliquat336)146mgを加えて、室温で20分アルゴンバブリングした。その後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム8.2mg(7.09μmol)、及び炭酸カリウム805mg(5.82mmol)を水2.9mLに溶かした溶液を加えて、16時間還流した。薄層クロマトグラフィー(TLC)で原料の消費を確認した後、分液ロートに移して、酢酸エチルで抽出して、水で洗浄して、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過して、減圧下溶媒を留去した後、カラムクロマトグラフィー(SiO、ヘキサン:クロロホルム=2:1)により精製し、再結晶(酢酸エチル:メタノール)を行うことで、黄色固体のFL−DNS−FL三量体を427mg(収率77.7%)得た。これを比較例2の発光材料とした。
FL−DNS−FL三量体の各物性値は、以下の通りである。
H NMR(600MHz、CDCl)δ(ppm):8.455(d,J=7.8Hz,2H),8.140(d,J=8.4Hz,2H),8.035(s,2H),7.895(d,J=8.4Hz,2H),7.81(d,J=7.2Hz,2H),7.675(t,J=7.2Hz,2H),7.620(t,J=7.2Hz,2H),7.57(d,J=7.8Hz,2H),7.56(s,2H),7.42−7.35(m,6H),2.07−2.01(m,8H),1.20−1.06(m,24H),0.79(t,J=7.2Hz,12H),0.78−0.68(m,8H)
融点:166℃
[紫外可視吸収スペクトルの測定]
実施例1〜5及び比較例1〜2の発光材料のそれぞれについて、当該発光材料からなるフィルムを作製して紫外可視吸収スペクトルを調べた。まず、発光材料20mgを1mLのクロロホルムに溶解させて溶液とし、この溶液をメンブランフィルター(0.50μm)で濾過し、得られた濾液の1滴をスピンコーターにより石英板(10mm×50mm)の表面に塗布し、塗布された濾液に含まれているクロロホルムを蒸発させて各発光材料の薄膜(100nm)を形成させた。各発光材料の膜はいずれも透明であり、当該膜のそれぞれについて、紫外可視吸収スペクトルを紫外可視分光光度計(JASCO V−670)により測定した。測定された紫外可視吸収の極大波長を表1にて「UV−Vis」として示す。また、実施例1の発光材料の紫外可視吸収スペクトルを図1に、実施例4の発光材料の紫外可視吸収スペクトルを図2に、比較例1の紫外可視吸収スペクトルを図3に、それぞれ「Abs」として示す。なお、各紫外可視吸収スペクトルでは、350nmから450nmにかけてのピークの吸光度が1となるように規格化を行った。
[蛍光スペクトルの測定]
実施例1〜5及び比較例1〜2の発光材料のそれぞれについて、当該発光材料からなるフィルムを作製して、蛍光スペクトルを調べた。まず、発光材料2.0mgを0.4mLのクロロホルムに溶解させて溶液とし、この溶液をメンブランフィルター(0.50μm)で濾過し、得られた濾液の1滴をスピンコーターにより石英板(10mm×50mm)の表面に塗布し、塗布された濾液に含まれているクロロホルムを蒸発させて各発光材料の薄膜(25nm)を形成させた。各発光材料の膜はいずれも透明であり、当該膜のそれぞれについて、蛍光スペクトルを蛍光光度計(SHIMADZU RF−5300PC)により測定した。測定された蛍光の極大波長を表1にて「PL」として示す。また、実施例1の発光材料の蛍光スペクトルを図1に、実施例4の発光材料の蛍光スペクトルを図2に、比較例1の蛍光スペクトルを図3に、それぞれ「PL」として示す。なお、各蛍光スペクトルでは、蛍光の極大波長における強度が1となるように規格化を行った。
また、実施例1〜5及び比較例1〜2の発光材料のそれぞれについて、クロロホルム溶液における量子収率を算出した。まず、紫外可視吸収スペクトルにおける溶液の極大波長を励起波長として蛍光光度計(SHIMADZU RF−5300PC)により蛍光強度を測定し、量子収率の標準化合物として9,9−ジフェニルアントラセン(励起波長350nm、量子収率0.90)及びフルオレッセイン(励起波長436nm、量子収率0.79)を使用して、これらとの比較を行うことで量子収率を算出した。算出された量子収率を表1に示す。
[熱安定性の評価]
蛍光スペクトルの測定の際に作製したフィルムのそれぞれについて、恒温槽を用いて大気中200℃の条件に曝し、加熱前、並びに加熱を開始して10分後、1時間後、2時間後及び4時間後の蛍光スペクトルを調べることにより、加熱に伴う蛍光スペクトルの変化を調べた。実施例1の発光材料の蛍光スペクトルの変化を図4に、実施例4の発光材料の蛍光スペクトルの変化を図5に、比較例1の蛍光スペクトルの変化を図6に、それぞれ示す。なお、各蛍光スペクトルでは、蛍光の極大波長の強度が1となるように規格化を行った。
Figure 0005629873
図3に示すように、比較例1の発光材料(PFL)では、蛍光スペクトルにおいて2つのピークが観察され、色純度が良好でないことがわかる。すなわち、フルオレン骨格に由来する423及び449nmの発光に加えて、フルオレン骨格がπ−πスタッキングしたことに由来する470nmの発光が観察された。これに対して、図1及び2に示すように、実施例に係る発光材料では、蛍光スペクトルにおいてフルオレン骨格に由来する単一の発光のみが観察され、色純度が良好であることがわかる。そして、表1に示すように、FL−DNS−FL(3量体)である比較例2に比べて、各実施例では高い量子収率となっている。このことから、ジナフトチオフェン骨格又はオキシジナフトチオフェン骨格と発光骨格とをコポリマーとした本発明の発光材料の有用性が理解できる。
また、図6に示すように、比較例1の発光材料(PFL)では、加熱時間が増加するとともに520nm付近に新たな発光を生じ、発光色が変化することがわかる。よって、比較例1の発光材料は熱安定性が十分でないと理解できる。これに対して、実施例に係る発光材料では、図4及び5に示すように、加熱時間が増加したとしても発光のピークは一つだけであり、高い色純度を維持していることがわかる。このことから、本発明の発光材料は、高い熱安定も備えていることがわかる。

Claims (2)

  1. 下記一般式(1)又は(2)で表される高分子化合物からなる発光材料。
    Figure 0005629873
    (上記一般式(1)中、(R)又は(R)は、それぞれp個又はq個の同一又は異なる置換基を意味し、当該置換基は、それらが結合するナフタレン環における置換可能な炭素原子のいずれに結合してもよく、各Rは、それぞれ独立に、有機基、水酸基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、スルホ基、ハロゲン原子又は置換されてもよいシリル基を表し、二個のRは、それぞれ独立に一価の基を表し、pは、0〜5の整数であり、qは、0〜5の整数であり、mは、1以上の整数であり、nは、1以上の整数であり、m+nは、4以上である。また、上記一般式(1)中、Arは、次のいずれかの一般式で表される二価の基である。)
    Figure 0005629873
    (上記一般式中、Rは、それぞれ同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、Rは、それぞれ同一又は異なって、一価の置換基であり、rは0〜4の整数であり、sは0〜5の整数であり、tは0〜2の整数である。)
    Figure 0005629873
    (上記一般式(2)中、(R)又は(R)は、それぞれp個又はq個の同一又は異なる置換基を意味し、当該置換基は、それらが結合するナフタレン環における置換可能な炭素原子のいずれに結合してもよく、各Rは、それぞれ独立に、有機基、水酸基、アミノ基、ニトロ基、チオール基、スルホ基、ハロゲン原子又は置換されてもよいシリル基を表し、二個のRは、それぞれ独立に一価の基を表し、pは、0〜5の整数であり、qは、0〜5の整数であり、mは、1以上の整数であり、nは、1以上の整数であり、m+nは4以上である。また、上記一般式(1)中、Arは、次のいずれかの一般式で表される二価の基である。)
    Figure 0005629873
    (上記一般式中、Rは、それぞれ同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であり、Rは、それぞれ同一又は異なって、一価の置換基であり、rは0〜4の整数であり、sは0〜5の整数であり、tは0〜2の整数である。)
  2. 請求項1記載の発光材料を発光部位として備えた発光素子。
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