更生する既設管の形状や大きさ等の現場状況に応じて、既設管と更生管との間に充填材を充填する前に、支保工を設置することがある。これは、部材変形を抑えるためであるが、リブ付帯状体の剛性を大きくすれば、支保の数を減らせる等の施工の効率化が図れると共に、更生管の品質を高める効果が期待できる。しかし、リブ付帯状体の剛性を大きくすると、リブ付帯状体を螺旋状に曲げて更生管を形成するときに、リブ付帯状体どうしの接続部分、つまり接続部材にかかる負荷が大きくなるので、接続部材ないしは接続部分が破損する等して施工不良を生じる恐れがある。このため、接続部材の剛性も高める必要があるが、合成樹脂の一体成形物では十分な剛性を得ることが難しい。たとえば、接続部材の接続部を棒状(肉厚)に形成すれば、接続部材の剛性を高めることはできるが、既設管と更生管との間に充填される充填材の流動が接続部によって妨げられてしまうので、既設管と更生管との間に空洞が生じ易くなり、更生管の強度が部分的に弱くなってしまう恐れがある。
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、リブ付帯状体の接続部材およびそれを用いた更生管を提供することである。
この発明の他の目的は、リブ付帯状体どうしを長手方向に適切に接続できる、リブ付帯状体の接続部材およびそれを用いた更生管を提供することである。
この発明は、上記の課題を解決するために、以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および補足説明などは、本発明の理解を助けるために後述する実施の形態との対応関係を示したものであって、この発明を何ら限定するものではない。
第1の発明は、螺旋状に巻回して管を形成するリブ付帯状体どうしを長手方向に接続するための接続部材であって、長板状の基板と基板の幅方向端部から立ち上がる2つの側板とを有し、長手方向端部のそれぞれが接続するリブ付帯状体のリブ間のそれぞれに挿入される金属製の挿入部材、板状の本体を有し、本体の第1主面が管の内面の一部を構成すると共に、本体の第2主面側で挿入部材の長手方向中央部を保持する合成樹脂製の保持部材、および挿入部材および保持部材のそれぞれに形成され、保持部材に対する挿入部材の長手方向の移動を互いに嵌り合って拘束する拘束部を備え、保持部材は、ゆとりを持たせた状態で挿入部材を保持し、挿入部材が保持部材に対して方向ないし角度を変位可能に固定される、リブ付帯状体の接続部材である。
第1の発明では、リブ付帯状体の接続部材(10)は、挿入部材(60,62)および保持部材(64)を含み、更生管(200)を形成するリブ付帯状体(12)どうしを長手方向に接続するために用いられる。挿入部材は、鋼などの金属製であって、長板状の基板(66,80)と基板の幅方向端部から立ち上がる2つの側板(68,82)とを有する溝形に形成される。挿入部材の長手方向端部のそれぞれは、接続するリブ付帯状体のリブ(22,24)間のそれぞれに挿入される。保持部材は、硬質塩化ビニル等の合成樹脂製であって、板状の本体(90)を有する。保持部材は、本体の第1主面(92)が更生管の内面の一部を構成すると共に、本体の第2主面(94)側で1または複数の挿入部材の長手方向中央部を保持する。また、保持部材に対する挿入部材の長手方向の動きを互いに嵌り合って拘束する拘束部(78,84,108,110)を備える。拘束部は、たとえば実施例では、第1挿入部材(60)の基板(66)に形成される貫通孔(78)に対する保持部材の本体に形成される突起部(110)であり、第2挿入部材(62)の側板(82)に形成される突起部(84)に対する保持部材の係止部(106)に形成される切欠き(108)である。さらに、保持部材は、ゆとりを持たせた状態で挿入部材を保持し、挿入部材が保持部材に対して方向ないし角度を変位可能に固定される。
第1の発明によれば、挿入部材を金属によって形成したので、リブ付帯状体の剛性が大きくされた場合であっても、リブ付帯状体を巻回して曲げ変形させたときの負荷に耐えることができる。つまり、製管時に破損することなく、適切にリブ付帯状体を長手方向に接続することができる。
また、更生管の内面に露出する保持部材を合成樹脂によって形成したので、接続部材全体を金属製とすることと比較して、耐薬品性および耐腐食性に優れる更生管を形成できる。さらに、嵌め合わせを利用するので、合成樹脂製の保持部材であっても、金属製の挿入部材の長手方向の移動を適切に拘束できる。
第2の発明は、第1の発明に従属し、本体の第2主面に形成され、リブ付帯状体のリブに対応する幅方向位置に配置されて当該本体の全長に亘って延びる複数のリブを備え、本体に形成されるリブの上端には、当該本体の幅方向に突出して挿入部材の上下方向の動きを拘束する係止部が形成される。
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、挿入部材の長手方向端部に形成され、挿入部材をリブ付帯状体のリブ間へ挿入した後の挿入部材の抜けを防止する抜止部を備える。
第3の発明では、たとえば、挿入部材(60,62)の長手方向端部を変形加工して形成される抜止部(76)を備え、挿入部材をリブ付帯状体(12)のリブ(22,24)間へ挿入した後の抜けを防止する。すなわち、リブ付帯状体を加工することなく、挿入部材の形状によって抜け止めする。
第3の発明によれば、押出し成形により連続的に形成されるリブ付帯状体に対して、挿入部材の抜け止めのための加工を施す必要がない。また、形状による物理的な作用によって抜け止めするので、衝撃などに強い強固な接合力を発揮できる。
第4の発明は、第3の発明に従属し、抜止部は、基板および側板の少なくとも一方から外方へ張り出す突出部を含む。
第4の発明では、抜止部は、基板(66,80)および側板(68,82)の少なくとも一方から外方へ張り出す、たとえば、かえし刃(72)やおろし金のような複数の刃である突出部を含む。このような突出部を有することによって、確実に挿入部材を抜け止めでき、衝撃などに強い強固な接合力を発揮できる。
第5の発明は、第1ないし第4の発明のいずれかに従属し、挿入部材は、長手方向端部の剛性が長手方向中央部の剛性より小さくされる。
第5の発明では、挿入部材(60,62)は、長手方向において、両端部の剛性が中央部の剛性よりも小さくなるように剛性が調整されており、好ましくは、中央部から両端部に向かうに従い徐々に剛性が小さくなるようにされる。
第5の発明によれば、曲げ変形の力が作用したときに、挿入部材が一様に変形するようになる。したがって、接続部材(10)を含むリブ付帯状体(12)の接続部分においても、リブ付帯状体が変形して作る円弧に沿って滑らかに曲げ変形させることができ、一様な曲率を有する更生管(200)を形成できる。
第6の発明は、第5の発明に従属し、挿入部材は、長手方向中央部に形成される天板を有する。
第6の発明では、挿入部材(60,62)は、側板(68,82)の長手方向中央部に形成される天板(70)を有する。天板を形成した部分の挿入部材の剛性は大きくなるので、天板を適宜形成することによって、挿入部材の剛性の大きさを部分的に調整できる。
第7の発明は、第5または第6の発明に従属し、長手方向端部に形成されるスリットを有する。
第7の発明では、挿入部材(60,62)は、側板(68,82)や基板(66,80)等の長手方向端部に形成されるスリット(72,86)を有する。スリットを形成した部分の挿入部材の剛性は小さくなるので、スリットを適宜形成することによって、挿入部材の剛性の大きさを部分的に調整できる。
第8の発明は、第7の発明に従属し、挿入部材は、長手方向に所定間隔ごとに配置される複数のスリットを有し、スリットの大きさは、端部に向かうに従い大きくされる。
第8の発明では、挿入部材(60,62)には、長手方向に所定間隔ごとに複数のスリット(72,86)が形成され、それらスリットの大きさは、端部に向かうに従い大きくされる。複数のスリットを形成することによって、挿入部材の剛性を徐々に変化させることができるので、より緻密に挿入部材の剛性を調整できる。
第9の発明は、第1ないし第8の発明のいずれかに従属し、複数の挿入部材を備え、複数の挿入部材は、第1の挿入部材と、第1の挿入部材よりも長さが短い第2の挿入部材とを含む。
第9の発明では、接続部材(10)は、第1の挿入部材と、第1の挿入部材よりも長さが短い第2の挿入部材とを備える。実施例では、第2挿入部材(62)の長さが第1挿入部材(60)の長さよりも短くされ、これによって、複数の挿入部材全体として、長手方向両端部の剛性が長手方向中央部の剛性よりも小さくされる。
第9の発明によれば、長さの異なる挿入部材を組み合わせたので、複数の挿入部材全体として剛性を調整できる。また、挿入部材の長さを異ならせたので、挿入部材のリブ(22,24)間への挿入作業を分けて行うことができ、容易にリブ付帯状体(12)と接続部材とを接続することができる。
第10の発明は、請求項1ないし9のいずれかに記載のリブ付帯状体の接続部材を用いて接続したリブ付帯状体を螺旋状に巻回して形成した、更生管である。
第10の発明では、更生管(200)は、リブ付帯状体の接続部材(10)によって長手方向どうしを接続したリブ付帯状体(12)を用いて形成される。したがって、第1ないし9のいずれかの発明と同様の作用効果を奏する更生管を提供できる。
この発明によれば、挿入部材を金属によって形成したので、リブ付帯状体を巻回して曲げ変形させたときの負荷に耐えることができ、製管時に破損することなく、適切にリブ付帯状体を長手方向に接続することができる。また、更生管の内面に露出する保持部材を合成樹脂によって形成したので、接続部材全体を金属製とすることと比較して、耐薬品性および耐腐食性に優れる更生管を形成できる。
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
図1を参照して、この発明の一実施例であるリブ付帯状体の接続部材10(以下、単に「接続部材10」という。)は、老朽化した下水管などの既設管の内面に沿って螺旋状に巻回されて更生管(螺旋管)200を形成するリブ付帯状体12を、長手方向に接続するために用いられる。
図2に示すように、リブ付帯状体12は、本体20および複数のリブ22,24を含み、たとえば、硬質塩化ビニル等の合成樹脂の押出成形によって一体連続的に形成される。リブ付帯状体12の本体20は、帯状に形成され、その第1主面26は、更生管200の内面を構成する。また、本体20の第2主面28には、幅方向に所定間隔ごとに配置され、長手方向の全長に亘って延びる複数のリブ22,24が形成される。なお、以下に説明するリブ付帯状体12の具体的形状は単なる一例であり、リブ22,24の数や形状などは適宜変更され得る。
この実施例に用いられるリブ付帯状体12では、リブ22,24は、本体20の第2主面28の中央部に形成される3つの第1リブ22と、本体20の第2主面28の両側縁に形成される2つの第2リブ24とを含む。第1リブ22は、本体20の第2主面28から直交方向に平板状に突出し、その上端にはアンカ部30が形成される。アンカ部30は、たとえば、第1リブ22の高さ方向に並んで形成される断面略台形状の第1アンカ部と断面略長方形状の第2アンカ部とを含む。第2リブ24は、本体20の第2主面28の側縁部から階段状に突出し、その上端には内側に向かって突出する突起部32が形成される。また、第2リブ24の内面側(第1主面26側)には、後述するジョイナ14の嵌合部46と嵌め合わされる嵌合部34が形成される。さらに、外側の第1リブ22と第2リブ24とは、平板状の補強部38によって連結される。この補強部38によって、第2リブ24は撓み難くなり、嵌合部34の形状が安定する。
図1に戻って、リブ付帯状体12を螺旋状に巻回して更生管200を形成する際には、リブ付帯状体12の側縁部どうしは、ジョイナ14によって接続される。なお、以下に説明するジョイナ14の具体的形状は単なる一例であり、嵌合部46の形状などは適宜変更され得る。また、必ずしもジョイナ14を用いてリブ付帯状体12の側縁部どうしを接続する必要はなく、リブ付帯状体12の両側縁部に互いに嵌り合う嵌合部を形成することによって、リブ付帯状体12の側縁部どうしを直接接続するようにしてもよい。
図3に示すように、この実施例に用いられるジョイナ14は、帯状の本体40を含み、たとえば、硬質塩化ビニル等の合成樹脂の押出成形によって連続的に形成される。ジョイナ14の本体40は、第1主面42および第2主面44を有し、第1主面42は、更生管200を形成した際に、リブ付帯状体12の第1主面26と面一となって更生管200の内面を構成する。また、第2主面44の側縁部のそれぞれには、リブ付帯状体12の嵌合部34に嵌め合わされる嵌合部46が形成される。ジョイナ14の嵌合部46は、第2主面44から直交方向に突出して長手方向の全長に亘って延びる2つの突条48,50を含む。2つの突条48,50の間には、エラストマなどの止水材52が設けられ、この止水材52の部分で、リブ付帯状体12とジョイナ14との間の水密性が確保される(図13参照)。
また、ジョイナ14の本体40の中央部には、第2主面44側に突出して長手方向の全長に亘って延びる、U字状の溝部54が形成される。また、本体40の第2主面44には、溝部54全体を覆うように、幅方向に間隔を隔てた状態で第2主面44どうしを連結するフレキシブル部56が設けられる。フレキシブル部56は、合成ゴム、軟質合成樹脂およびエラストマ等の軟質材によって形成される。このような溝部54およびフレキシブル部56を備えるジョイナ14では、たとえば、地震が発生した際には、溝部54が分割されることによって地震の揺れが吸収されるので、リブ付帯状体12およびジョイナ14の嵌合部34,46どうしの嵌合が保持される。また、溝部54が分割された際の水密性は、フレキシブル部56によって確保されるため、漏水も生じない。
上述したように、既設管の内面に更生管200を形成する際には、ジョイナ14によってリブ付帯状体12の側縁部どうしを接続しながら、リブ付帯状体12が螺旋状に巻回される。そして、リブ付帯状体12の長さが不足した場合などには、接続部材10を利用して、螺旋状に巻回されたリブ付帯状体12の長手方向端部に対して別のリブ付帯状体12が接続される(図1参照)。
以下、接続部材10の構成について具体的に説明する。図4に示すように、接続部材10は、複数の挿入部材60,62と、これら複数の挿入部材60,62の長手方向中央部を幅方向に連結保持する保持部材64とを備える。
挿入部材60,62は、長手方向端部のそれぞれが接続するリブ付帯状体12のリブ22,24間のそれぞれに挿入されることによって、リブ付帯状体12どうしを長手方向に接続する部材であり、この実施例では、2つの第1挿入部材60と2つの第2挿入部材62とを含む。各挿入部材60,62は、一定以上の剛性を有する金属を加工することによって形成され、たとえば、JIS−G3131に準拠する熱間圧延軟鋼板(SPHC)およびJIS−G3101に準拠する一般構造用圧延鋼材(SS400)等の鋼材によって好適に形成される。
第1挿入部材60は、接続部材10の幅方向中央部に設けられて、リブ付帯状体12の第1リブ22間に挿入される部材である。図5に示すように、第1挿入部材60は、溝形の形状を有し、リブ付帯状体12の第1リブ間22に挿入された際に第2主面28に当接する長板状の基板66と、基板66の両側部から垂直または少し拡径傾斜する方向に立ち上がる2つの側板68(図5(b)では、拡径傾斜する側板68を示している)とを含む。
また、第1挿入部材60では、長手方向において、両端部の剛性が中央部の剛性よりも小さくなるように剛性が調整されており、好ましくは、中央部から両端部に向かうに従い徐々に剛性が小さくなるようにされる。第1挿入部材60においては、以下に述べる天板70、スリット72および傾斜部74が、剛性を調整する部分(剛性調整部)として機能している。このような剛性調整部を挿入部材60,62に形成することによって、挿入部材60,62、延いては接続部材10の全体が、曲げ変形の力が作用したときに一様に変形するようになる。
具体的には、各側板68の長手方向中央部には、側板68上端から内側に突出する天板70が形成される。各天板70は、その長手方向両側部が傾斜状となる略台形状に形成される(図6参照)。なお、2つの天板70の側縁どうしの間には隙間が形成され、後述する充填材202の流動性が阻害されないようにされる。このような天板70を形成することによって、第1挿入部材60の長手方向中央部の剛性が大きくなる。また、略台形状の天板70を形成することによって、天板70を形成した部分においても、その長手方向中央部の剛性がその両端部の剛性より大きくなる。
また、側板68の長手方向両端部のそれぞれには、側板68上端から縦方向に延びる1または複数のスリット(細隙)72が形成される。この実施例では、長手方向に所定間隔で並ぶ3つのスリット72が形成されており、その深さ(高さ)は、第1挿入部材60の端部に向かうに従い大きくされる。つまり、スリット72の大きさは、第1挿入部材60の端部に向かうに従い大きくされる。このようなスリット72を形成することによって、第1挿入部材60の長手方向両端部の剛性が小さくなる。また、スリット72の大きさを徐々に大きくすることによって、複数のスリット72を形成した部分の剛性は、端部に向かうに従い徐々に小さくなる。なお、スリット72の深さの代わりに、或いは深さと共に、スリット72の幅を変えることによって、スリット72の大きさを変えることもできる。
さらに、側板68の長手方向両端部のそれぞれには、斜めに切り欠かれた傾斜部74が形成される。このような傾斜部74を形成することによって、第1挿入部材60の長手方向両端部の剛性が、端部に向かうに従い徐々に小さくなる。また、これによって、リブ付帯状体12の第1リブ22間への第1挿入部材60の挿入が容易となる。
また、スリット72間の側板68は、挿入方向における後ろ側(つまり長手方向中央部側)が外方へ張り出すように捻りが加えられて、かえし刃76となっている(図6参照)。さらに、基板66の中央部には、後述する保持部材64に形成される突起部110と嵌合される矩形の貫通孔78が形成される。
このような第1挿入部材60の大きさは、接続するリブ付帯状体12やそれに形成される第1リブ22の形状や大きさ等に応じて適宜決定される。たとえば、第1挿入部材60の大きさは、最大部分において、長さが250mmであり、幅が25mmであり、高さが15mmである。また、基板66や側板68の肉厚は、たとえば1mmである。
第2挿入部材62は、接続部材10の幅方向両側部に設けられて、リブ付帯状体12の第1リブ22と第2リブ24との間に挿入される部材である。図7に示すように、第2挿入部材62は、溝形の形状を有し、リブ付帯状体12の第1リブ22と第2リブ24との間に挿入された際に補強部38および第2リブ24に当接する屈曲板状の基板80と、基板80の両側部から垂直または少し拡径傾斜する方向に立ち上がる2つの側板82(図7(b)では、垂直に立ち上がる側板82を示している)とを含む。また、各側板82の上端縁中央部には、後述する保持部材64に形成される切欠き108と嵌合される矩形の突起部84が形成される。
また、第2挿入部材62においても、第1挿入部材60と同様に、長手方向において、両端部の剛性が中央部の剛性よりも小さくなるように剛性が調整されており、好ましくは、中央部から両端部に向かうに従い徐々に剛性が小さくなるようにされる。この実施例では、第2挿入部材62には、スリット86および傾斜部88が形成され、これらが第2挿入部材62の剛性調整部として機能している。具体的には、側板82の長手方向両端部のそれぞれには、長手方向に並ぶ同じ大きさの2つのスリット86が形成されると共に、斜めに切り欠かれた傾斜部88が形成される。ただし、第1突起部60と同じように、第2突起部62に天板を形成するようにしてもよいし、スリット86の大きさを端部に向かうに従い大きくするようにしてもよい。
このような第2挿入部材62の大きさは、接続するリブ付帯状体12やそれに形成されるリブ22,24の形状や大きさ等に応じて適宜決定される。たとえば、第2挿入部材62の大きさは、最大部分において、長さが160mmであり、幅が21mmであり、高さが12mmである。また、基板80や側板82の肉厚は、たとえば1mmである。
また、この実施例では、第2挿入部材62の長さは、第1挿入部材60の長さよりも短く設定されている。これによって、複数の挿入部材60,62全体として、長手方向両端部の剛性が中央部の剛性よりも小さくなる。すなわち、挿入部材60,62は、天板70およびスリット72,86などを形成することによって挿入部材60,62単体として剛性を調整することもできるし、長さの異なる挿入部材60,62を組み合わせることによって剛性を調整することもできる。もちろん、第2挿入部材62の長さを第1挿入部材60の長さよりも長くすることによって、挿入部材60,62の剛性を調整してもよい。
保持部材64は、硬質塩化ビニル等の合成樹脂製であり、射出成形などによって成形される。保持部材64は、リブ付帯状体12と同程度の剛性を有することが好ましく、この実施例では、リブ付帯状体12と同じ材質によって形成され、図8に示すように、リブ付帯状体12に類似した断面形状を有している。なお、以下に説明する保持部材64の具体的形状は単なる一例であり、リブ付帯状体12やジョイナ14の形状などに応じて、後述するリブ96,98,100や嵌合部102の形状などは適宜変更され得る。
具体的には、保持部材64は、矩形板状の本体90を含む。本体90の幅および厚みは、リブ付帯状体12の本体20の幅および厚みと実質上同じに設定され、本体90の第1主面92は、更生管200を形成した際に、リブ付帯状体12の第1主面26と面一となって更生管200の内面を構成する。本体90の第2主面94には、リブ付帯状体12のリブ22,24に対応する幅方向の所定位置に配置され、その全長に亘って延びる複数のリブ96,98,100が形成される。リブ96,98,100は、第2主面94の中央部に形成される1つの第1リブ96と、第2主面94の両側縁部に形成される2つの第2リブ98と、第1リブ96および第2リブ98の間に形成される2つの第3リブ100とを含む。第3リブ100は、第2主面94の側縁部から階段状に突出し、その内面側(第1主面92側)にはジョイナ14の嵌合部46と嵌め合わされる嵌合部102が形成される。また、保持部材64には、第2主面94から突出して、第2リブ98の下部と第3リブ100の下部とを連結する3つの板状の連結部104が形成される。この連結部104の上端面は、更生管200を形成した際に、リブ付帯状体12の補強部38の上面と面一となる。
各リブ96,98,100の上端には、幅方向に突出して、挿入部材60,62の上下方向の動きを拘束する係止部106が形成される。また、第2リブ98および第3リブ100の係止部106の中央部には、第2挿入部材62の側板82に形成される突起部84と嵌合する切欠き108が形成される。さらに、第1リブ96と第3リブ100との間の第2主面94には、第1挿入部材60の基板66に形成される貫通孔78と嵌合する突起部110が形成される。
上述のような挿入部材60,62と保持部材64とは、別個に成形された後に組み立てられる。挿入部材60,62と保持部材64とを組み立てて接続部材10を製作する際には、保持部材64を幅方向に湾曲させてリブ96,98,100の上端間を拡げる状態にして、上端側から各挿入部材60,62をリブ96,98,100間に嵌め込んでいく。この際、挿入部材60,62の側板68,82を基板66,80から拡径傾斜する方向に立ち上げるようにしておけば、保持部材64への挿入部材60,62の嵌め込みが容易となる。
図9に示すように、保持部材64によって挿入部材60,62を保持した状態では、各リブ96,98,100の側面によって各挿入部材60,62の幅方向の動きが拘束されると共に、第2主面94および係止部106によって各挿入部材60,62の上下方向の動きが拘束される。また、第1挿入部材60の基板66に形成される貫通孔78と保持部材64の本体90に形成される突起部110との嵌合によって、第1挿入部材60の長手方向の動きが拘束され、第2挿入部材62の側板82に形成される突起部84と保持部材64の係止部106に形成される切欠き108との嵌合によって、第2挿入部材62の長手方向の動きが拘束される。このように、嵌め合わせ(形状)を利用することによって、金属製の挿入部材60,62を合成樹脂製の保持部材64によって適切に保持させることができる。なお、保持部材64による挿入部材60,62の保持は、挿入部材60,62が外れない程度に多少のゆとり(ガタ)を持たせ、挿入部材60,62のそれぞれが独立してその方向や角度を変位できるように固定することが好ましい。ガタを持たせることによって、リブ付帯状体12のリブ22,24間への挿入部材60,62の挿入が容易になるからである。また、後述のように、リブ付帯状体12の捻りにも追従し易くなるからである。
続いて、上述のようなリブ付帯状体12、ジョイナ14および接続部材10を用いて既設管内に更生管200を形成する方法について簡単に説明する。
既設管を更生する際には、マンホール等から既設管内にリブ付帯状体12を引き込みながら、既設管の内面に沿うようにリブ付帯状体12を螺旋状に巻回していく。また、これと共に、リブ付帯状体12およびジョイナ14の嵌合部34,46どうしを嵌め合わせることにより、リブ付帯状体12の側縁どうしをジョイナ14によって接続し、既設管内に更生管200を形成していく(図1参照)。そして、リブ付帯状体12の長さが不足した場合に等には、接続部材10を用いて、他のリブ付帯状体12を長手方向に接続する。
図10に示すように、接続部材10を用いて2つのリブ付帯状体12を接続する際には、先ず、挿入部材60,62の一方端側をリブ付帯状体12のリブ22,24間に挿入する。具体的には、第1挿入部材60の一方端をリブ付帯状体12の第1リブ22間に挿入し、その後、第2挿入部材62の一方端をリブ付帯状体12の第1リブ22と第2リブ24との間に挿入する。そして、図11に示すように、リブ付帯状体12の端面に接続部材10の保持部64の端面が当接するまで押し込む。
ここで、図12に示すように、挿入部材60,62をリブ付帯状体12のリブ22,24間に挿入した状態では、第1挿入部材60の基板66がリブ付帯状体12の第2主面24に当接すると共に、第1挿入部材60の側板68上端部がリブ付帯状体12の第1リブ22の側面およびアンカ部30に当接する。また、第2挿入部材62の基板80がリブ付帯状体12の補強部38に当接すると共に、第2挿入部材62の側板82がリブ付帯状体12の第1リブ22および第2リブ24の側面ならびにアンカ部30および突起部32に当接する。これらによって、接続部材10の幅方向および上下方向の動きが拘束される。そして、接続部材10をリブ付帯状体12のリブ22,24間から引き抜こうとする力に対しては、第1挿入部材60の側板68に形成されるかえし刃76が、リブ付帯状体12の第1リブ22に食い込むようにして抵抗力を発揮し、物理的な作用によって接続部材10は確実に抜け止めされる。
リブ付帯状体12への接続部材10の一方端側の接続が終了すると、同様にして、接続部材10の他端側にも他のリブ付帯状体12を接続することによって、2つのリブ付帯状体12の接続作業を終了する。その後、リブ付帯状体12を螺旋状に巻回していくと共に、リブ付帯状体12の側縁どうしをジョイナ14によって接続する作業を続けるが、保持部材64の嵌合部102にもジョイナ14の嵌合部46が嵌め合わされ、接続部材10の側縁部はジョイナ14を介してリブ付帯状体12の側縁部と接続される。
既設管の施工区間の全長に亘る更生管200の形成作業が終了すると、既設管と更生管200との間にセメントミルク等の充填材202を充填する。これによって、図13に示すように、既設管204と更生管200とが一体となって強度に優れる更生管200が実現される。また、リブ付帯状体12の端面と接続部材10の保持部材64の端面とを突合せた部分には、エポキシ系樹脂などのシール剤が塗布ないし充填される。これによって、接続部材10による接続部分の水密性が確保される。
この実施例によれば、挿入部材60,62を金属によって形成したので、リブ付帯状体12の剛性が大きくされた場合であっても、リブ付帯状体12を巻回して曲げ変形させたときの負荷に耐えることができる。つまり、製管時に破損することなく、適切にリブ付帯状体12を長手方向に接続することができる。
また、更生管200の内面に露出する保持部材64を合成樹脂によって形成したので、接続部材10全体を金属製とすることと比較して、耐薬品性および耐腐食性に優れる更生管200を形成できる。
さらに、保持部材64を合成樹脂によって形成したので、合成樹脂製のリブ付帯状体12の剛性と同等の剛性を有するように保持部材64を形成できる。リブ付帯状体12の剛性と保持部材64の剛性とを同等にすれば、既設管204の中にリブ付帯状体12を引き込む際などに、リブ付帯状体12に対して捻りの力が作用しても、接続部材10によるリブ付帯状体12の接続部分が捻りに対して滑らかに追従できるようになる。何故なら、保持部材64の剛性が挿入部材60,62の剛性に比べて小さいので、捻りの力が作用したときには保持部材64が変形し、挿入部材60,62の1つ1つをリブ付帯状体12および接続部材10の捻りに対して最適な方向や角度にすることができるからである。
また、この実施例では、挿入部材60,62の剛性が、長手方向の中央部から両端部に向かうに従い小さくなるようにした。挿入部材60,62は、製管時に破損しない剛性(強度)が必要な一方で、挿入部材60,62の剛性を一様に大きくすると、製管時の曲げ変形に挿入部材60,62が追従できなくなってしまう。しかし、挿入部材60,62の剛性を両端部に向かうに従い小さくする(すなわち両端部を曲がり易くする)ことによって、一定以上の強度を保ちつつ、曲げ変形の力が作用したときに、接続部材10の全体が一様に変形するようになる。したがって、接続部材10を含むリブ付帯状体12の接続部分においても、リブ付帯状体12が変形して作る円弧に沿って滑らかに曲げ変形させることができ、一様な曲率を有する更生管200を形成できる。
さらに、第1挿入部材60にかえし刃76を形成し、挿入部材60,62をリブ付帯状体12のリブ22,24間へ挿入した後の挿入部材60,62の抜けを防止するようにした。すなわち、形状による物理的(機械的)な作用によって抜け止めするようにしたので、接着剤を用いて接合することと比較して、衝撃などに強い強固な接合力を発揮できる。また、押出し成形により連続的に形成されるリブ付帯状体12に対して、挿入部材60,62の抜け止めのための加工を施す必要がないので、付加的な加工作業を省くことができる。
さらにまた、第2挿入部材62の長さを第1挿入部材60の長さより短くするようにしたので、リブ付帯状体12に接続部材10を接続する際には、第1挿入部材60をリブ22,24間に挿入した後に、第2挿入部材62をリブ22,24間に挿入することができる。つまり、挿入部材60,62の長さを異ならせたことによって、挿入部材60,62のリブ22,24間への挿入作業を分けて行うことができ、1度に全ての挿入部材60,62をリブ付帯状体12のリブ22,24間に挿入することと比較して、容易にリブ付帯状体12と接続部材10とを接続することができる。なお、長さの異なる挿入部材60,62を組み合わせることによって、複数の挿入部材60,62全体として剛性を調整できることは、上述の通りである。
また、挿入部材60,62を溝形に形成したので、既設管204と更生管200との間に充填材202を充填するときに、充填材202の流動が阻害されない。したがって、充填材202を既設管204と更生管200との間に適切に充填でき、強度に優れる更生管200を形成できる。
なお、上述の実施例では、4つの挿入部材60,62を保持部材64によって連結保持し、リブ付帯状体12のリブ22,24間の全てに挿入部材60,62を挿入するようにしたが、挿入部材60,62を設ける数は、特に限定されない。たとえば、上述の実施例において、2つの第1挿入部材60のみを保持部材64によって保持させることもできるし、2つの第2挿入部材62のみを保持部材64によって保持させることもできる。また、たとえば6つのリブ(5つのリブ間)を有するリブ付帯状体を接続する場合には、接続部材10は、1−5の接続部材を備えることができ、たとえば、全てのリブ間に挿入するための5つの挿入部材を保持部材によって保持させることもできるし、中央と両側との3つのリブ間に挿入するための3つの挿入部材を保持部材によって保持させることもできるし、中央の1つのリブ間に挿入するための1つの挿入部材を保持部材によって保持させることもできる。ただし、製管時に接続部材ないしは接続部分の曲げ変形を適切に行えるように、剛性の大きさが幅方向で対称となるように挿入部材を配置することが好ましい。
また、上述の実施例では、挿入部材60,62の側板68,82にスリット72,86を形成して剛性を調整するようにしたが、これに限定されず、スリットを挿入部材60,62の基板66,80や天板70に形成することによって、剛性を調整することもできる。また、スリット72,86の代わりに、或いはスリット72,86と共に、挿入部材60,62の基板66,80、側板68,82および天板70に肉薄部を適宜形成することによって、剛性を調整することもできる。さらに、挿入部材60,62の側板68,82の端部に傾斜部74,88を形成して剛性を調整したが、側板68,82の高さが徐々に低くなるように端部を段差状に形成することによって、剛性を調整することもできる。なお、これら天板70などの剛性調整部として機能する部分は、挿入部材60,62に対していずれか1つを採用することもできるし、上述の実施例のように複数を組み合わせて採用することもできる。つまり、いずれの剛性調整部を採用するかは任意である。
さらに、上述の実施例では、第1挿入部材60の側板68にかえし刃76したが、第2挿入部材62の側板68にかえし刃を形成することもできる。また、複数の挿入部材60,62を備える場合、少なくとも、挿入部材60,62の一方端部の1つおよび他端部の1つにかえし刃が形成されていれば、抜け止め機能を発揮することは可能である。また、かえし刃の代わりに、或いはかえし刃と共に、挿入部材60,62の基板66,80や側板68,82に対して、おろし金のような外方に突起する多数の刃を形成して、抜け止めするようにしてもよい。
さらにまた、上述の実施例では、第1挿入部材60に貫通孔78を形成し、第2挿入部材62に突起部84を形成し、保持部材64に突起部110および切欠き108を形成して、それらの嵌合によって保持部材64に対する挿入部材60,62の長手方向の動きを拘束するようにした。しかし、突起部84,110や貫通孔78または切欠き108の形状および位置は、上述の実施例の態様に限定されず、適宜変更可能である。たとえば、第1挿入部材60の側板68に突起部を形成すると共に、その突起部と対応する保持部材64の係止部106の位置に切欠きを形成し、これらの嵌合によって、第1挿入部材60の長手方向の動きが拘束するようにしてもよい。なお、螺子などの固定部材を別途利用して、保持部材64に挿入部材60,62を保持させるようにしてもよい。
また、上述の実施例では、接続部材60,62を直線状に形成しているが、更生管200(リブ付帯状体12)の曲率に合わせて、接続部材60,62に予め長手方向に曲げ加工を施すようにしておいてもよい。
また、上述の実施例では、挿入部材60,62をリブ付帯状体12のリブ22,24間に挿入した状態において、挿入部材60,62の側板68,82とリブ付帯状体12のリブ22,24とを当接させることによって、接続部材10の幅方向および上下方向の動きを拘束するようにした。しかし、リブ付帯状体12に対する接続部材10の幅方向および上下方向の動きを拘束するためには、挿入部材60,62の側板68,82とリブ付帯状体12のリブ22,24とを必ずしも当接させる必要はなく、多少のガタを持たせるようにしてもよい。ガタを持たせることによって、挿入部材60,62をリブ22,24間に挿入し易くなるからである。また、側板68,82の一部、たとえば上端部のみをリブ22,24に当接させるようにしても、側板68,82とリブ22,24との間に隙間ができて挿入し易くなる。
さらに、上述の実施例では、挿入部材60,62をリブ付帯状体12のリブ22,24間に直接挿入するようにした。しかし、更生する既設管204の孔径が大きい場合、たとえば2000mmを越えるような大きな管の場合には、図14に示すように、リブ付帯状体12のリブ22,24間にリブ付帯状体12を補強するための補強部材206が設けられることがある。補強部材206は、たとえば、鋼などの金属や硬質塩化ビニルなどの合成樹脂などによって、基板208、側板210および天板212を有する溝形に形成され、リブ付帯状体12の全長に亘って第1リブ22間に装着される。
このような補強部材206をリブ付帯状体12が備える場合には、第1挿入部材60は、補強部材206の内面に沿うような形状および大きさに形成され、補強部材206内に挿入される。つまり、第1挿入部材60は、補強部材206を介してリブ付帯状体12の第1リブ22間に挿入される。また、金属製の補強部材206がリブ付帯状体12に装着されている場合には、第1挿入部材60に抜け止め用のかえし刃76などを形成しても抜け止め機能を適切に発揮できないので、第2挿入部材62に抜け止め用のかえし刃などを形成するとよい。また、金属どうしの接合であれば、接着剤を用いてもよい。なお、補強部材206の形状に応じて、接続部材10の挿入部材の形状も適宜変更され、たとえば、補強部材206が断面W形に形成される場合には、接続部材10の挿入部材も補強部材206の内面に沿う断面W形に形成される。
さらに、上述の実施例では、充填材202によって既設管204と一体化して強度を保持する更生管200を形成するリブ付帯状体12を接続するようにしたが、これに限定されない。接続部材10は、既設管204から独立して強度を保持する更生管(つまり自立管)を形成するリブ付帯状体を接続することもできる。
なお、上で挙げた寸法などの具体的数値はいずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。