しかしながら、補強部材を取り付けた管更生部材は高剛性であるため、既設管のコーナ部に沿うように管更生部材を湾曲させつつ螺旋状に巻き回す際に、大きな押圧力が必要とする。したがって、大掛かりな製管装置が必要となる。一方、螺旋状に巻き回し易くするために管更生部材の剛性を低くすると、形成した管体の直線部が変形したり、充填材注入時に浮き上がったりする恐れが生じる。
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、管路更生方法および管更生部材を提供することである。
この発明の他の目的は、管更生部材を用いて製管する際に必要な力を抑制しつつ、高強度の管体を形成できる、管路更生方法および管更生部材を提供することである。
第1の発明は、断面が非円形状の既設管を更生するための管路更生方法であって、(A)外面側に長手方向に延びる複数のリブが形成された第1帯板状部材と、第1帯板状部材の内面側に取付可能な第2帯板状部材とを含む管更生部材を用意するステップ、(B)既設管の内面に沿うように第1帯板状部材を仮製管するステップ、および(C)ステップ(B)の後、第1帯板状部材の内面側を覆うように、第2帯板状部材を第1帯板状部材に取り付けるステップを含む、管路更生方法である。
第1の発明では、矩形きょおよび馬蹄きょ等の断面が非円形状の既設管を更生する。先ず、ステップ(A)において、第1帯板状部材と第2帯板状部材とを含む管更生部材を用意する。ここで、第1帯板状部材は、外面側に長手方向に延びる複数のリブが形成された帯板状の部材である。また、第2帯板状部材は、第1帯板状部材の内面側に取付可能な帯板状の部材である。次に、ステップ(B)において、既設管の内面に沿うように第1帯板状部材を仮製管する。そして、ステップ(C)において、第1帯板状部材の内面側を覆うように、第1帯板状部材に第2帯板状部材を取り付ける。つまり、第1帯板状部材の内面側に第2帯板状部材を後付けして2枚重ね(2重構造)の管体を形成する。
第1の発明によれば、仮製管した第1帯板状部材に対して第2帯板状部材を内面側から取り付ける、つまり後付けで2枚重ねとすることによって管体を形成するので、個々の帯板状部材の剛性を抑えつつ、形成される管体の剛性を高めることができる。すなわち、帯板状部材を螺旋状に巻き回す等して製管する際に必要な力を低減できるので、大掛かりな製管装置が不要となる。したがって、施工が容易となり、人力での施工も可能となる。また、高強度の管体を形成できるので、管体の直線部での変形および充填材注入時の浮き上がりを防止できる。
第2の発明は、第1の発明に従属し、ステップ(A)において、第1帯板状部材の内面側に取付可能な補強部材をさらに用意し、ステップ(C)において、ステップ(B)の後、第1帯板状部材の直線部の内面側に補強部材を取り付け、その後、第1帯板状部材および補強部材の内面側を覆うように、第2帯板状部材を第1帯板状部材に取り付ける。
第2の発明では、ステップ(A)において、第1帯板状部材、第2帯板状部材および補強部材を含む管更生部材を用意する。ここで、補強部材は、第1帯板状部材の内面側に取付可能な直線状部材である。そして、ステップ(C)では、第1帯板状部材の直線部の内面側に補強部材を取り付けた後、第1帯板状部材および補強部材の内面側を覆うように、つまり第1帯板状部材との間に補強部材を挟み込むように、第2帯板状部材を第1帯板状部材に取り付ける。
第2の発明によれば、仮製管した第1帯板状部材の直線部に対して、補強部材を内面側から取り付ける、つまり管体の直線部を後付けの三重構造とするので、高剛性の部材を曲げる必要のない利点はそのままに、より高強度の管体を形成することができる。したがって、管体の直線部での変形および充填材注入時の浮き上がりをより確実に防止できる。また、直線状の補強部材を装着することで、管体の直線部が直線状に矯正されるので、管体の直線部を既設管の直線部に適切に沿わせることができる。
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、ステップ(B)において、第1帯板状部材を螺旋状に巻き回して仮製管し、ステップ(C)において、第2帯板状部材を螺旋状に巻き回して第1帯板状部材に取り付ける。
第3の発明では、第1帯板状部材を仮製管するときには、第1帯板状部材を螺旋状に巻き回し、第2帯板状部材を第1帯板状部材に取り付けるときには、第2帯板状部材を螺旋状に巻き回す。
第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明に従属し、第1帯板状部材として、厚み方向に貫通する複数の孔を有するものを用いる。
第4の発明によれば、充填材が第1帯板状部材と第2帯板状部材との間にも充填されるようになる。したがって、管更生部材をより強固に一体化させることができ、管体と既設管とが一体化した更生管の強度をより高めることができる。
第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明に従属し、第1帯板状部材と第2帯板状部材とは、互いに嵌め合わされる嵌合部を有する。
第5の発明によれば、嵌合部同士を嵌め合わせるだけで、第1帯板状部材に対して第2帯板状部材を容易に取り付けることができる。
第6の発明は、断面が非円形状の既設管の更生に用いられる管更生部材であって、外面側に長手方向に延びる複数のリブが形成され、かつ内面側に第1取付部および第2取付部が形成された第1帯板状部材、第1帯板状部材の内面側を覆うように第1取付部に取付可能な第2帯板状部材、および第1帯板状部材と第2帯板状部材との間に収容されるように、第2取付部に取付可能な補強部材を備える、管更生部材である。
第6の発明では、管更生部材は、断面が非円形状の既設管の更生に用いられるものであり、第1帯板状部材と第2帯板状部材と補強部材とを備える。第1帯板状部材は、外面側に長手方向に延びる複数のリブが形成され、かつ内面側に第1取付部および第2取付部が形成された帯板状の部材である。また、第2帯板状部材は、第1帯板状部材の内面側を覆うように、第1帯板状部材の第1取付部に取付可能な帯板状の部材である。補強部材は、第1帯板状部材と第2帯板状部材との間に収容されるように、第2取付部に取付可能な部材である。補強部材は、たとえば直線状の部材であって、仮製管した第1帯板状部材の直線部に取り付けられる。
第6の発明によれば、仮製管した第1帯板状部材に対して第2帯板状部材を内面側から取り付けることができるので、個々の帯板状部材の剛性を抑えつつ、形成される管体の剛性を高めることができる。すなわち、帯板状部材を螺旋状に巻き回す等して製管する際に必要な力を低減できるので、大掛かりな製管装置が不要となる。したがって、施工が容易となり、人力での施工も可能となる。また、高強度の管体を形成できるので、管体の直線部での変形および充填材注入時の浮き上がりを防止できる。
また、第6の発明によれば、仮製管した第1帯板状部材に対して補強部材を内面側から取り付けることができるので、高剛性の部材を曲げる必要のない利点はそのままに、より高強度の管体を形成することができる。
この発明によれば、螺旋状に巻き回した第1帯板状部材に対して、第2帯板状部材を内面側から取り付ける、つまり後付けで2枚重ねとすることによって管体を形成するので、個々の帯板状部材の剛性を抑えつつ、形成される管体の剛性を高めることができる。すなわち、帯板状部材を螺旋状に巻き回す等して製管する際に必要な力を低減できるので、大掛かりな製管装置が不要となる。したがって、施工が容易となり、人力での施工も可能となる。また、高強度の管体を形成できるので、管体の直線部での変形および充填材注入時の浮き上がりを防止できる。
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
図1を参照して、この発明の一実施例である管路更生方法は、矩形きょおよび馬蹄きょ等の断面が非円形状の既設管100を更生するための方法であって、長尺の管更生部材を螺旋状に巻き回し、その管更生部材の側縁部同士を接続することによって、既設管100の内面に沿う管体102を形成するものである。詳細は後述するように、この実施例の管路更生方法では、第1帯板状部材12、第2帯板状部材14および補強部材16を備える管更生部材10を用いる。そして、螺旋状に巻き回した第1帯板状部材12に対して、補強部材16および第2帯板状部材14を内面側から後付けすることで管体102を形成する。その後、既設管100と管体102との間に充填材104を充填することで、既設管100と管体102とが一体化した更生管(複合管)を形成する。
なお、この発明に係る管路更生方法は、鉄筋コンクリート管、合成樹脂管および金属管などの種々の既設管100の更生に適用可能であり、特に、1辺の長さが800mm−3000mmの中大口径を有する下水管の更生に適している。以下の説明では、一辺の長さが2000mmである断面正方形状の鉄筋コンクリート管を更生することを想定して説明することとする。
先ず、この実施例の管路更生方法に用いる部材について説明する。図2および図3に示すように、管更生部材10は、第1帯板状部材12、第2帯板状部材14および補強部材16を備える。第2帯板状部材14および補強部材16は、第1帯板状部材12とは別体として用意されるものであり、第1帯板状部材12の内面側に取付可能となっている。ただし、特に明記する場合を除き、以下の説明における各部材の「内面」とは、各部材を用いて管体102を形成したときに、管体102の内面側に位置する面のことを言う。また、各部材の「外面」とは、管体102の外面側に位置する面、つまり既設管100の内面と対向する側の面のことを言う。
図4および図5に示すように、第1帯板状部材12は、管体102の外側部分を構成する合成樹脂製の長尺部材であって、長尺の帯板状に形成される第1基体20を含む。第1基体20の外面20b側には、幅方向中央部および両側縁部において、長手方向に延びる複数(この実施例では4つ)の第1リブ22が形成される。また、両側縁部の第1リブ22の幅方向外側には、長手方向に延びる第2リブ24が形成される。第1リブ22は、溝状に形成されており、第1基体20と直交する方向に突出する2つの側壁22aと、側壁22aの先端部同士を幅方向に連結する底壁22bとを有する。また、底壁22bは、側壁22aから幅方向外側に延出する延出部22cを有する。第2リブ24は、L字状に形成されており、第1基体20と直交する方向に延びる縦壁24aと、縦壁24aから幅方向外側に突出する横壁24bとを有する。第1リブ22および第2リブ24は、第1帯板状部材12の剛性を高めると共に、第1基体20の外面20bと既設管100の内面との間に所定高さの空間を形成する。また、第1リブ22および第2リブ24は、延出部22cまたは横壁24bを有することから、後述する充填材104に埋め込まれることでアンカ機能を発揮する。
一方、第1基体20の内面20a側には、第2帯板状部材14が取り付けられる第1取付部26と、2つの補強部材16が幅方向に並ぶように取り付けられる2つの第2取付部28とが形成される。この実施例では、第1取付部26の第1嵌合部30および第2取付部28の受け部32は、第1リブ22の外面側部分を利用して形成される。
具体的には、第1取付部26は、幅方向中央部および両側縁部に形成される4つの第1嵌合部30を有し、この第1取付部26には、第1帯板状部材12の内面側の略全体を覆うように、第2帯板状部材14が取り付けられる(図3参照)。第1嵌合部30は、後述する第2帯板状部材14の第2嵌合部42と嵌め合わされる突条であって、第1嵌合部30の先端部には、係止爪30aが形成される。
第2取付部28のそれぞれは、幅方向の両側に形成される2つの受け部32を有し、これら第2取付部28には、第1帯板状部材12と第2帯板状部材14との間に収容されるように、補強部材16が取り付けられる(図3参照)。受け部32は、後述する補強部材16の鉤状部52が嵌め入れられる条溝であって、第1リブ22の底壁22bに立設される縦片32aと、第1リブ22の側壁22aおよび底壁22bとによって内面側に開口するように形成される。また、縦片32aの先端部には、係止爪32bが形成される。
また、第1基体20の内面20a側には、第2リブ24の基端部を利用して、第1係合部34が形成される。第1係合部34は、後述するジョイナ18の第2係合部62と嵌め合わされる突条であって、第1係合部34の先端部には、幅方向の内側および外側に向かって突出する2つの係止爪34aが形成される。
第1帯板状部材12は、たとえば、硬質塩化ビニル等の押出成形によって一体成形され、第1リブ22、第2リブ24、第1取付部26、第2取付部28および第1係合部34などは、第1基体20の長手方向の全長に亘って形成される。第1帯板状部材12の幅は、たとえば250mmであり、その高さは、たとえば20mmである。
図6および図7に示すように、第2帯板状部材14は、管体102の内側部分を構成する合成樹脂製の長尺部材である。第2帯板状部材14は、第1帯板状部材12の内面側に取り付けられる補強部材16を覆って管体102の内面を滑らかにするカバー部材であると共に、第1帯板状部材12の内面側に後付けされることで管体102の強度を高める補強部材でもある。
具体的には、第2帯板状部材14は、長尺の帯板状に形成される第2基体40を含む。第2基体40の内面40aは、管体102の内面を構成する面であり、平滑面となっている。また、第2基体40の外面40b側には、幅方向中央部および両側縁部において、長手方向に延びる4つの第2嵌合部42が形成される。第2嵌合部42は、第1帯板状部材12の第1嵌合部30と嵌め合わされる条溝であって、第2基体40の外面40bに立設される2つの縦片42aによって、外面側に開口するように形成される。また、一方の縦片42aの先端部には、係止爪42bが形成される。なお、この第2嵌合部42は、第2帯板状部材14の剛性を高める機能も有する。
第2帯板状部材14は、たとえば、硬質塩化ビニル等の押出成形によって一体成形され、第2嵌合部42は、第2基体40の長手方向の全長に亘って形成される。第2帯板状部材14の幅は、この実施例では、第1帯板状部材12の内面側の略全体を覆うことが可能な幅に設定され、たとえば223mmであり、その高さは、たとえば9mmである。
第2帯板状部材14を第1帯板状部材12の第1取付部26に取り付ける際には、第1取付部26の第1嵌合部30と第2帯板状部材14の第2嵌合部42とを嵌め合わせる。すると、第2嵌合部42の係止爪42bが第1嵌合部30の係止爪30aに係止されて、第1帯板状部材12に対して第2帯板状部材14が抜け止め固定される(図3参照)。このように、第1帯板状部材12の内面側から嵌合部30,42同士を嵌め合わせるだけで、第1帯板状部材12に対して第2帯板状部材14を容易に取り付けることができる。
図8および図9に示すように、補強部材16は、第1帯板状部材12の内面側に後付けされることで管体102の強度を高める部材である。この実施例では、螺旋状に巻き回して仮製管した第1帯板状部材12の直線部に補強部材16が取り付けられ、第2取付部28のそれぞれに取り付けられる2つの補強部材16によって、第1帯板状部材12(延いては管体102)の直線部の幅方向および長手方向の略全体が補強される。
具体的には、補強部材16は、直線状の部材であって、矩形状の平板部50を備える。平板部50の両側縁部には、第1帯板状部材12の受け部32に嵌め入れられる略J字状の鉤状部52が形成される。この実施例では、鉤状部52は、平板部50の長手方向の全長に亘って設けられる。なお、この鉤状部52は、補強部材16の剛性を高める機能も有する。
補強部材16は、たとえば、鉄鋼またはステンレス鋼などの金属板を加工することで製作される。補強部材16の長手方向の長さは、管体102の直線部に応じた長さに設定され、この実施例では、たとえば1000mmである。また、各補強部材16の幅は、たとえば90mmであり、その高さは、たとえば16mmである。
補強部材16を第1帯板状部材12の第2取付部28に取り付ける際には、第2取付部28の受け部32に補強部材16の鉤状部52を嵌め入れる。すると、鉤状部52の先端部が、受け部32の係止爪32bに係止されると共に縦片32aを押圧することで、第1帯板状部材12に対して補強部材16が抜け止め固定される(図3参照)。このように、第1帯板状部材12の内面側から受け部32と鉤状部52とを嵌め合わせるだけで、第1帯板状部材12に対して補強部材16を容易に取り付けることができる。
図10および図11に示すように、ジョイナ18は、管更生部材10の第1帯板状部材12の側縁部同士を接続するための長尺の接続部材である。ジョイナ18は、長帯状のジョイナ基板60を備える。ジョイナ基板60の内面60aは、第2帯板状部材14の第2基体40の内面40aと共に、管体102の内面を構成する。また、ジョイナ基板60の両側縁部には、第1帯板状部材12の第1係合部34と嵌め合わされる第2係合部62が形成される。この第2係合部62は、ジョイナ基板60の外面60bから突出して長手方向に延びる2つの突条62aを含み、各突条62aの先端部には、係止爪62bが形成される。また、2つの突条62aの間には、止水材64が設けられ、この止水材64の部分で、第1帯板状部材12とジョイナ18との間の水密性が確保される。
さらに、ジョイナ基板60の中央部には、外面60bから突出するU字状の溝部66と、溝部66全体を覆うように外面60b同士を連結する波形状のフレキシブル部68とを含む伸縮部が形成される。このような伸縮部は、溝部66の変形に応じて伸縮可能であると共に、溝部66が幅方向に破断(分割)することで、フレキシブル部68の変形に応じた大きな伸縮が可能となる。
ジョイナ18のジョイナ基板60、第2係合部62および溝部66は、たとえば、硬質塩化ビニル等の合成樹脂の押出成形によって一体成形される。また、フレキシブル部68は、たとえば、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂などによって形成され、ジョイナ基板60に固着される。第2係合部62、止水材64、溝部66およびフレキシブル部68は、ジョイナ基板60の長手方向の全長に亘って形成される。
ジョイナ18を用いて隣り合う第1帯板状部材12の側縁部同士を接続する際には、第1帯板状部材12の第1係合部34とジョイナ18の第2係合部62とを嵌め合わせる。すると、第2係合部62の各係止爪62bが第1係合部34の各係止爪34aに係止されて、第1帯板状部材12に対してジョイナ18が抜け止め固定される。これにより、第1帯板状部材12の側縁部同士がジョイナ18によって接続されて、管体102が形成される(図16参照)。この際、ジョイナ基板60の内面60aは、第2帯板状部材14の第2基体40の内面40aと面一となって、管体102の内面は滑らかなものとなる。
続いて、図1および図12−図16を参照して、上述のような管更生部材10を用いて既設管100を更生する管路更生方法の一例について具体的に説明する。
既設管100を更生するときには、先ず、既設管100の更生区間近傍の地上に、管更生部材10およびジョイナ18等の部材、並びに必要な工具および機械などを用意する。ただし、管更生部材10としては、第1帯板状部材12、第2帯板状部材14および補強部材16が互いに分離した状態(個別状態)のものを用意する。また、既設管100内は、高圧洗浄機などを用いて予め洗浄しておく。
次に、既設管100内に管体102を施工する。ここでは先ず、図12に示すように、既設管(図12〜図15では省略)の内面に沿うように第1帯板状部材12を螺旋状に巻き回して螺旋管を仮製管する。
次に、図13に示すように、第1帯板状部材12の直線部の内面側のそれぞれに、補強部材16を取り付ける。すなわち、第2取付部28の受け部32に補強部材16の鉤状部52を嵌め入れて、第1帯板状部材12の直線部の各第2取付部28に対して、内面側から補強部材16を後付けする。
続いて、図14に示すように、第1帯板状部材12および補強部材16の内面側の略全体を覆うように、第2帯板状部材14を螺旋状に巻き回しながら、第1帯板状部材12に取り付ける。すなわち、第1取付部26の第1嵌合部30と第2帯板状部材14の第2嵌合部42とを嵌め合わせて、第1帯板状部材12の全長に亘って内面側から第2帯板状部材14を後付けする。
続いて、図15に示すように、第1帯板状部材12の第1係合部34とジョイナ18の第2係合部62とを嵌め合わせて、第1帯板状部材12の隣り合う側縁部同士を、螺旋状に巻き回したジョイナ18で接続する。これによって、既設管100の内面に沿う管体102が形成される。
既設管100内に管体102が形成されると、既設管100の内面と管体102の外面との間に充填材(裏込材)104を注入し、図1および図16に示すような、既設管100と管体102とが一体化した更生管を形成する。その後、片付け作業などを適宜実施することによって、既設管100の更生作業が終了する。
以上のように、この実施例によれば、螺旋状に巻き回した第1帯板状部材12に対して、第2帯板状部材14を内面側から取り付ける、つまり後付けで2枚重ねとすることによって管体102を形成するので、個々の帯板状部材12,14の剛性を抑えつつ、管体102の剛性を高めることができる。すなわち、帯板状部材12,14を螺旋状に巻き回す際に必要な力を低減できるので、大掛かりな製管装置が不要となる。したがって、施工が容易となり、人力での施工も可能となる。また、高強度の管体102を形成できるので、管体102の直線部での変形および充填材104注入時の浮き上がりを防止できる。
また、この実施例によれば、仮製管した第1帯板状部材12の直線部に対して、補強部材16を内面側から取り付ける、つまり管体102の直線部を後付けの三重構造とするので、高剛性の部材を曲げる必要のない利点はそのままに、より高強度の管体102を形成することができる。したがって、管体102の直線部での変形および充填材104注入時の浮き上がりをより確実に防止できる。さらに、直線状の補強部材16を装着することで、管体102の直線部が直線状に矯正されるので、管体102の直線部を既設管100の直線部に適切に沿わせることができる。
なお、上述した第1帯板状部材12、第2帯板状部材14および補強部材16を含む管更生部材10、並びにジョイナ18等の具体的な構成ないし形状(リブおよび嵌合部など)は、単なる一例であり、適宜変更可能である。
たとえば、上述の実施例では、第1帯板状部材12と第2帯板状部材14との嵌合部30,42には、止水材を設けていない。これは、第1帯板状部材12とジョイナ18との連結体によって管体102の止水性が確保されているためである。しかし、第1帯板状部材12と第2帯板状部材14との嵌合部30,42にも止水材を設けて、第1帯板状部材12と第2帯板状部材14との間の空間、つまり補強部材16の周囲に水が入り込まないようにしてもよい。これによって、補強部材16の腐食を防止できる。
また、図17に示すように、第1帯板状部材12には、厚み方向に貫通する複数の孔70を形成しておいてもよい。一例として、孔70は、第1基体20に対して長手方向に直線状に並ぶように形成される。この場合、補強部材16にも、第1帯板状部材12の孔70に対応する位置に孔を形成することが好ましい。このような孔70を第1帯板状部材12に形成しておくことで、図18に示すように、充填材104が第1帯板状部材12と第2帯板状部材14との間にも充填されるようになる。これにより、管更生部材10をより強固に一体化させることができ、更生管の強度をより高めることができる。また、補強部材16の周囲に水が入り込まないので、補強部材16の腐食を防止できる。
また、上述の実施例では、第1帯板状部材12に対して幅方向に並ぶ2つの第2取付部28を形成した、つまり2つの補強部材16を取り付けたが、この数は適宜変更可能であり、1つまたは3つ以上の補強部材16が取り付けられてもよい。なお、幅方向に分割して補強部材16を取り付けることにより、第1帯板状部材12および補強部材16に形成される嵌合部(リブないし突条)の数が増えるので、第1帯板状部材12および補強部材16の剛性を高めることができる。一方で、補強部材16の数が多くなると施工の手間が増える。このため、第1帯板状部材12に取り付ける補強部材16は、幅方向に2〜3つ程度に分割されていることが好ましい。
また、補強部材16は、必ずしも第1帯板状部材12の幅方向の略全体に亘るように取り付けられる必要はない。また、第2帯板状部材14は、少なくとも補強部材16の内面側全体を覆っていれば、つまり第1帯板状部材12との間に補強部材16を収容できれば、必ずしも第1帯板状部材12の幅方向の略全体に亘る幅を有する必要はない。
さらに、上述の実施例では、第1帯板状部材12(管体102)の直線部にのみ、補強部材16を取り付けるようにしたが、第1帯板状部材12の曲線部(コーナ部)にも補強部材を取り付けるようにしてもよい。第1帯板状部材12の曲線部に取り付ける補強部材としては、予め曲線部に沿う曲線状に加工されたものを用いるとよい。管体102のコーナ部は、背面側が凸となる湾曲形状を有するので、そのアーチ効果によって外圧に強く、部材の変形などは生じ難いが、補強部材を取り付けることによって、コーナ部をより外圧に強くすることができ、管体102を周方向全長に亘って高剛性とすることができる。
さらにまた、上述の実施例では、第1帯板状部材12、第2帯板状部材14および補強部材16を含む3重構造の管体102を形成したが、第1帯板状部材12と第2帯板状部材14とで十分な剛性を有する管体102を形成できる場合には、補強部材16は、必ずしも設置する必要はない。つまり、管更生部材10は、必ずしも補強部材16を備える必要はない。
また、全ての第2取付部28に補強部材16を取り付けるのではなく、第2取付部28に対して間欠的に補強部材16を取り付けることもできる。すなわち、更生する既設管100の条件に応じて、補強部材16を設置する位置または数などを変更してもよい。この発明では、第1帯板状部材12に補強部材16を後付けすることから、補強部材16を設置する位置または数などを自由に設定できる。
さらに、上述の実施例では、伸縮部を備えるジョイナ18を用いるようにしたが、ジョイナは、必ずしも伸縮部を備える必要はない。また、必ずしもジョイナ18を用いて第1帯板状部材12の側縁部同士を接続する必要はなく、第1帯板状部材12の側縁部同士を直接接続する構成とすることもできる。さらに、第1帯板状部材12の代わりに、第2帯板状部材14の側縁部同士をジョイナ18によって接続してもよく、第2帯板状部材14の側縁部同士を直接接続する構成とすることもできる。
さらにまた、上述の実施例では、第1帯板状部材12および第2帯板状部材14を螺旋状に巻き回すことで製管するようにしたが、これに限定されない。たとえば、第1帯板状部材12および第2帯板状部材14を用いて複数の環状体を形成し、これら複数の環状体を管軸方向に連結することで管体を形成することもできる。
なお、上で挙げた寸法などの具体的数値はいずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。