特許文献1記載の第1の従来技術において、ローラ158は柩の幅方向に平行な回転軸を有し、この回転軸がローラ支持体157に回動自在になるように構成されているが、ローラ158をモータなどにより回転駆動する機構系は存在せず、人手によりローラ上の柩を押すしかない。すなわち、車体を人間の力で押して祭壇のお別れ座などに移動することを前提としており、柩を炉前室から主燃焼室へ自動的に搬入・搬出することは出来ない。
また柩台昇降用シリンダ(油圧シリンダ)を伸縮させ、交点が支軸で枢着され互いに交差する一対のレバーの角度を調整することにより、柩台の高さを調整するように構成しているが、この機構系を実現する為には油圧シリンダ及び油圧システムの様々な部品が必要であり、また角度を調整するレバー方式の昇降装置は小型化が難しく、本発明による納棺・収骨システムで昇降装置として実装することは困難である。
さらに、本発明の納棺・収骨システムの昇降装置では柩台の高さを高精度に制御することが必須であるが、このような柩台の高精度の高さ制御に関する技術については何ら記載が無い。
また特許文献2記載の第2の従来技術による炉内棺載台車用転載装置は、搬送台車165上に中間台車164を載置し、さらにこの中間台車164上に炉内棺載台車162を載置する3階建ての構造となっており、床面から棺までの高さが高く、このため前室装置及び主燃焼室の各高さを高くしなければならず、納棺・収骨システム全体が大型化するという欠点がある。
また遺族や葬送者が前室装置に搬入される遺体と最後のお別れをする場合においても、棺の上面が床から高いため、子供や車いすの方など目線が低い会葬者が遺体と対面することが出来ないという問題がある。また特許文献2による炉内棺載台車用転載装置は高さ方向が固定されており、火葬後に炉内棺載台車上の遺骨を遺族や葬送者が収骨する場合、収骨し易い高さに調整することが出来ない。
さらに前室装置で冷却された炉内棺載台車を炉前室に搬送して収骨することになるが、収骨する際に発生する灰が舞い上がり服装などに灰が付着してしまうという課題がある。すなわち、炉内棺載台車に灰を吸塵するような排気機構を設けることについては何ら考慮されていない。
また特許文献2記載の炉内棺載台車用転載装置は、炉前室で炉内棺載台車用転載装置に棺161を載荷し、前室装置を介して主燃焼室に棺161を移動して火葬を行い、火葬終了後に前室装置において焼骨を冷却し、炉内棺載台車162を炉前室へ移動するまでの全てを遠隔操作で自動的に行うことにより火葬を効率的に行うことについては記載されているが、遺族や葬送者が最後のお別れを、遺族や葬送者自らが格調高い雰囲気のもとで執り行うという技術思想の記載、または示唆については開示されていない。
また特許文献3記載のステージ装置は、大荷重の負荷を載置するテーブルを昇降することには適しているものの大きな設置スペースが必要であり、コンパクト性が要求される納棺・収骨システムの昇降装置として、特許文献3記載のステージ装置を実装することは困難である。さらに特許文献3のステージ装置は、基本的にはテーブル上の半導体ウェハの検査装置若しくは製造装置などを昇降する機構系であり、テーブル上に載荷されたものを水平方向に搬送する機構系については何ら開示されていない。換言すると、納棺・収骨システムの搬送機構として必要とされる水平方向の搬送機構と、垂直方向の昇降機構の両方をコンパクトな設置スペースに実装する技術については記載されていない。
本発明は上記課題を好適に解決した火葬システムを提供する。
この発明に係る火葬システムは、前ホールへ運び込まれ載置された棺を前室の前室内搬送装置を介して火葬室まで搬送し、この火葬室で火葬された棺の焼骨を骨皿で受け、前室内搬送装置を介して前ホールまで搬送して載置する火葬システムにおいて、機構系の回転駆動力によって、前ホールへ運び込まれ載置された棺を前室内搬送装置へ搬送するとともに、前室内搬送装置から搬送されてきた骨皿を前ホールまで搬送して載置する機能と、機構系の回転駆動力によって、前ホールに載置された棺又は骨皿の高さを制御する機能とを合わせ持った納棺・収骨システムを前ホールに備えるようにしたものである。
この発明に係る火葬システムは、納棺・収骨システムは、回転駆動力を発生する搬送用モータ手段と、前室の方向へ平行に配置され、棺又は骨皿がその上に載置される複数の搬送ローラ手段と、複数の搬送ローラ手段を回転自在にそれぞれ支持する搬送ローラフレーム手段と、複数の搬送ローラ手段の周囲に巻回され、搬送用モータ手段の回転駆動力を複数の搬送ローラ手段のうちのいくつかに伝達する無端のローラチェーン手段とを備えるようにしたものである。
この発明に係る火葬システムは、納棺・収骨システムは、ローラチェーン手段の内側又は外側に巻回され、搬送用モータ手段の回転駆動力がローラチェーン手段を介して伝達される第1の搬送ローラ手段群と、ローラチェーン手段の外側又は内側に巻回されつつ空転する第2の搬送ローラ手段群とを備え、第1の搬送ローラ手段群のうち、搬送用モータ手段に対し最も近く支持された搬送ローラ手段と、この搬送ローラ手段に隣接する搬送ローラ手段との間隔を、他の各搬送ローラ手段の隣接する間隔よりも狭く設定するようにしたものである。
この発明に係る火葬システムは、納棺・収骨システムは、第2の搬送ローラ手段群のうちの少なくとも1以上の搬送ローラ手段に対しても、搬送用モータ手段の回転駆動力をローラチェーン手段によって伝達するようにしたものである。
この発明に係る火葬システムは、納棺・収骨システムは、隣接する2つの搬送ローラ手段の間から昇降自在に設けられ、搬送ローラ手段の上に載置された棺を上昇動作によって搬送ローラ手段から浮かせ、搬送ローラ手段から浮かせた棺を下降動作によって搬送ローラ手段の上に載置するストッパ手段を複数備えるようにしたものである。
この発明に係る火葬システムは、納棺・収骨システムは、搬送用モータ手段の回転駆動力を搬送ローラ手段まで伝達する経路の途中にクラッチ手段を備えるようにしたものである。
この発明に係る火葬システムは、納棺・収骨システムは、回転駆動力を発生する昇降用モータ手段と、小径のものから大径のものへと回転軸を共有して順次挿入された2以上のシリンダ手段とを備え、シリンダ手段の各々は、回転軸の方向から見て外周側又は内周側に等角度をなして設けられた回動自在な複数のローラ部と、内周側又は外周側にスパイラル状にそれぞれ平行に形成され、1つ内側又は外側に挿入されたシリンダ手段のローラ部に対し下面でそれぞれ接する複数のレール部とを備え、2以上のシリンダ手段のうち、最大径のもの又は最小径のものはその上端が納棺・収骨システムの下部と固着し、最小径のもの又は最大径のものはその下端が昇降用モータ手段の回転駆動力によって回転軸周りに回転させられるようにしたものである。
この発明に係る火葬システムは、納棺・収骨システムは、回転駆動力を発生する昇降用モータ手段と、納棺・収骨システムの周縁をその下部から支持し、与えられた回転駆動力に応じて昇降動作する複数のボールねじ手段と、複数のボールねじ手段に対し、昇降用モータ手段の回転駆動力をそれぞれ同期して等分配する駆動力伝達手段とを備えるようにしたものである。
この発明に係る火葬システムは、納棺・収骨システムは、搬送ローラフレーム手段を前室側へ移動させる送り出し手段を備え、載置された棺を前室内搬送装置へ搬送するとき又は前室内搬送装置から搬送された骨皿を搬送して載置するときには、送り出し手段によって搬送ローラフレーム手段を前室内搬送装置に近接させるようにしたものである。
この発明に係る火葬システムは、納棺・収骨システムは、載置された棺を前室内搬送装置へ搬送するとき又は前室内搬送装置から搬送された骨皿を搬送して載置するときには、複数の搬送ローラ手段の上面の高さと、前室内搬送装置の上面の高さが一致するように昇降用モータ手段を動作させるようにしたものである。
この発明に係る火葬システムは、納棺・収骨システムは、遺体との最後のお別れのときには、載置された棺の高さを、遺族や葬送者がお別れし易い高さに制御し、収骨のときには、載置された骨皿の高さを、遺族や葬送者が収骨し易い高さに制御するようにしたものである。
この発明に係る火葬システムは、納棺・収骨システムは、前室内搬送装置への棺の搬送を開始するための納棺開始ボタン又は前室内搬送装置からの骨皿の搬送を開始するための収骨開始ボタンを備え、納棺開始ボタン又は収骨開始ボタンが操作されると、棺又は骨皿の搬送を開始するようにしたものである。
この発明に係る火葬システムは、納棺・収骨システムは、所定の会葬者の認証登録が予めされ、納棺開始ボタン又は収骨開始ボタンが操作されると、認証登録を参照し、操作が所定の会葬者によるものと判断される場合にのみ、棺又は骨皿の搬送を開始するようにしたものである。
この発明に係る火葬システムは、納棺・収骨システムから前室内搬送装置への棺の搬送を開始すると開き、終了すると閉じるよう制御されるとともに、前室内搬送装置から納棺・収骨システムへの骨皿の搬送を開始すると開き、終了すると閉じるよう制御される扉を前ホールと前室との間に備え、納棺・収骨システム及び前室内搬送装置は、扉を通じて棺又は骨皿を搬送するようにしたものである。
この発明に係る火葬システムは、火葬室から前室内搬送装置へ骨皿が搬送されて載置されると、この骨皿の温度計測を開始する測温手段を備え、前室内搬送装置は、測温手段の計測結果を参照し、この計測結果が所定の温度に達すると、納棺・収骨システムへの骨皿の搬送を開始するようにしたものである。
この発明に係る火葬システムは、火葬室から前室内搬送装置へ骨皿が搬送されて載置されると、時間計測を開始する計時手段を備え、前室内搬送装置は、計時手段の計測結果を参照し、この計測結果が所定の時間に達すると、納棺・収骨システムへの骨皿の搬送を開始するようにしたものである。
この発明に係る火葬システムは、納棺・収骨システムは、前ホール内の大気を吸塵用スリット手段を介して前室へ排気する排気手段を備えるようにしたものである。
この発明に係る火葬システムは、納棺・収骨システムは、前ホール内のフロア上を移動するための車輪をその下部に備えるようにしたものである。
この発明に係る火葬システムは、納棺・収骨システムを収納しておくための地下スペースと、納棺・収骨システムを、地下スペースから前ホール内のフロアまで上昇させ、フロアから地下スペースまで降下させるための昇降機構とを前ホールに備えるようにしたものである。
この発明に係る火葬システムは、納棺・収骨システムは、棺又は骨皿の高さを検出するための非接触式センサ手段を備え、この非接触式センサ手段の検出結果を参照して昇降用モータの回転駆動力を制御するようにしたものである。
この発明に係る火葬システムは、納棺・収骨システムは、棺又は骨皿の高さを検出するためのリミットスイッチ手段を備え、非接触式センサ手段の検出結果が2つの設定値からなる範囲の外にある場合は、棺又は骨皿の高さの検出を、リミットスイッチ手段からリミットスイッチ手段に切り替えるようにしたものである。
本発明の火葬システムは、火葬炉と、前室に設けた前室内搬送装置と、前記前室内搬送装置への棺の搬送及び前記前室内搬送装置からの骨皿の搬送を行う納棺・収骨システムを有する火葬システムであって、前記納棺・収骨システムは、搬送用モータにより駆動され前記棺又は前記骨皿を搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラを回転自在に支持する搬送ローラフレームと、昇降用モータにより駆動され前記搬送ローラフレームの高さを制御する昇降装置とを備え、前記昇降装置は、一方の面にスパイラル状のレールが形成され回転軸を中心として回転する第1のシリンダーと、前記レールに接して回動自在にローラが設けられ、前記回転軸を中心として回転する第2のシリンダーとを有し、前記レールが前記ローラの前記回転軸に対する回転駆動力により昇降するように構成されている。
また、前記昇降装置を用いて、遺体との最後のお別れのときには前記棺の高さをお別れし易い高さに制御し、収骨のときには骨皿の高さを遺族や葬送者が収骨し易い高さに制御するように構成してもよい。
また、前記搬送ローラを駆動する前記搬送用モータに最も近い搬送ローラとこの搬送ローラに隣接する搬送ローラ間の間隔が、他の前記搬送ローラ間の間隔よりも狭く、前記搬送ローラを回転駆動するローラチェーンに対して前記搬送ローラが前記ローラチェーンの内側と外側とに配置され、一方の前記搬送ローラが前記ローラチェーンにより回転駆動され、他方の前記搬送ローラが回動自在に空転するように構成してもよい。
また、前記第1のシリンダーに回動自在にローラが設けられ、このローラに接して一方の面にスパイラル状のレールが設けられた第3のシリンダーを有するように構成してもよい。
さらに、前記第1のシリンダーに平行する複数の前記レールが形成され、前記第2のシリンダーに前記レールに接してそれぞれ少なくとも一つの前記ローラが形成されるように構成してもよい。
また、前記ローラが前記回転軸に対して点対称の位置に配置されるか、前記レールが3本のレールから構成された場合に前記ローラが互いに120度の角度をなす位置に配置されるかのいずれかであるように構成してもよい。
また、前記回転軸に対して上側の前記シリンダーに設けられた前記レールの水平方向との角度が、下側の前記シリンダーに設けられた前記レールの水平方向との角度よりも小さいように構成してもよい。
また、前記昇降装置は、制御する高さを検出するためのセンサ信号と、異なる2つの高さに相当する各設定値との比較結果を参照して前記昇降モータを駆動制御するとともに、前記センサ信号が異常の場合は機械式のリミットスイッチによる高さ制御に切り替えるように構成してもよい。
また、前記納棺・収骨システムと前記前室間に所定のスペースを設け、前記棺又は前記骨皿を前記前室に搬送する際は、前記搬送ローラをモータ駆動により前記前室側にスライドするとともに、前記搬送ローラの高さを前記前室に設けられた前記棺又は前記骨皿を搬送するための搬送ローラの高さに合わせるように制御してもよい。
また、前記搬送ローラ上に載置された前記棺が移動しないようにするために、モータ駆動により昇降するストッパーが設けられるように構成してもよい。
また、前記納棺・収骨システムに排気を行うための排気スリットが設けられるように構成してもよい。
また、前記前室の前記納棺・収骨システム側に設けられた入口扉が、前記棺の前記前室側への搬送時に自動的に開くとともに、この搬送が終了すると自動的に閉じ、前記骨皿を前記前室から前記納棺・収骨システム側への搬送時に自動的に開くとともに、この搬送が終了すると自動的に閉じるように構成してもよい。
また、前記納棺・収骨システムに前記前室及び火葬炉に前記棺を搬送開始するための納棺開始ボタンが設けられるように構成してもよい。
また、前記納棺・収骨システムに前記前室から遺骨が収納された骨皿を搬送開始するための収骨開始ボタンが設けられるように構成してもよい。
また、前記納棺開始ボタン又は前記収骨開始ボタンは予め認証登録された会葬者のみがボタン操作することで動作開始するように構成してもよい。
この発明によれば、前ホールへ運び込まれ載置された棺を前室の前室内搬送装置を介して火葬室まで搬送し、この火葬室で火葬された棺の焼骨を骨皿で受け、前室内搬送装置を介して前ホールまで搬送して載置する火葬システムにおいて、機構系の回転駆動力によって、前ホールへ運び込まれ載置された棺を前室内搬送装置へ搬送するとともに、前室内搬送装置から搬送されてきた骨皿を前ホールまで搬送して載置する機能と、機構系の回転駆動力によって、前ホールに載置された棺又は骨皿の高さを制御する機能とを合わせ持った納棺・収骨システムを前ホールに備えるようにしたので、棺又は骨皿の搬送及び高さ制御を自動化できるようになり、火葬の自動化を実現できるという効果が得られる。
この発明によれば、納棺・収骨システムは、回転駆動力を発生する搬送用モータ手段と、前室の方向へ平行に配置され、棺又は骨皿がその上に載置される複数の搬送ローラ手段と、複数の搬送ローラ手段を回転自在にそれぞれ支持する搬送ローラフレーム手段と、複数の搬送ローラ手段の周囲に巻回され、搬送用モータ手段の回転駆動力を複数の搬送ローラ手段のうちのいくつかに伝達する無端のローラチェーン手段とを備えるようにしたので、自動的かつ滑らかに、前ホールから前室へ棺を搬送でき、前室から前ホールへ骨皿を搬送できるという効果が得られる。
この発明によれば、納棺・収骨システムは、ローラチェーン手段の内側又は外側に巻回され、搬送用モータ手段の回転駆動力がローラチェーン手段を介して伝達される第1の搬送ローラ手段群と、ローラチェーン手段の外側又は内側に巻回されつつ空転する第2の搬送ローラ手段群とを備え、第1の搬送ローラ手段群のうち、搬送用モータ手段に対し最も近く支持された搬送ローラ手段と、この搬送ローラ手段に隣接する搬送ローラ手段との間隔を、他の各搬送ローラ手段の隣接する間隔よりも狭く設定するようにしたので、ローラチェーン手段から各搬送ローラ手段へ伝達される回転駆動力を均等できるという効果が得られる。
この発明によれば、納棺・収骨システムは、第2の搬送ローラ手段群のうちの少なくとも1以上の搬送ローラ手段に対しても、搬送用モータ手段の回転駆動力をローラチェーン手段によって伝達するようにしたので、搬送力不足を解消できるようになり、反り返りが酷くなった骨皿であっても、搬送の途中で止まることなく納棺・収骨システム上に載置できるという効果が得られる。
この発明によれば、納棺・収骨システムは、隣接する2つの搬送ローラ手段の間から昇降自在に設けられ、搬送ローラ手段の上に載置された棺を上昇動作によって搬送ローラ手段から浮かせ、搬送ローラ手段から浮かせた棺を下降動作によって搬送ローラ手段の上に載置するストッパ手段を複数備えるようにしたので、ストッパ手段を上昇させると棺が浮くので、棺が搬送ローラ手段上を移動することがなくなり、安全を確保できるという効果が得られる。
この発明によれば、納棺・収骨システムは、搬送用モータ手段の回転駆動力を搬送ローラ手段まで伝達する経路の途中にクラッチ手段を備えるようにしたので、クラッチ手段が作用している間は搬送ローラ手段は回転せず、棺が搬送ローラ手段の上を移動することがなくなり、安全を確保できるという効果が得られる。
この発明によれば、納棺・収骨システムは、回転駆動力を発生する昇降用モータ手段と、小径のものから大径のものへと回転軸を共有して順次挿入された2以上のシリンダ手段とを備え、シリンダ手段の各々は、回転軸の方向から見て外周側又は内周側に等角度をなして設けられた回動自在な複数のローラ部と、内周側又は外周側にスパイラル状にそれぞれ平行に形成され、1つ内側又は外側に挿入されたシリンダ手段のローラ部に対し下面でそれぞれ接する複数のレール部とを備え、2以上のシリンダ手段のうち、最大径のもの又は最小径のものはその上端が納棺・収骨システムの下部と固着し、最小径のもの又は最大径のものはその下端が昇降用モータ手段の回転駆動力によって回転軸周りに回転させられるようにしたので、長いストロークを高速駆動でき、昇降機構を小型化できるという効果が得られる。
この発明によれば、納棺・収骨システムは、回転駆動力を発生する昇降用モータ手段と、納棺・収骨システムの周縁をその下部から支持し、与えられた回転駆動力に応じて昇降動作する複数のボールねじ手段と、複数のボールねじ手段に対し、昇降用モータ手段の回転駆動力をそれぞれ同期して等分配する駆動力伝達手段とを備えるようにしたので、納棺・収骨システムを安定して昇降させることができるという効果が得られる。
この発明によれば、納棺・収骨システムは、搬送ローラフレーム手段を前室側へ移動させる送り出し手段を備え、載置された棺を前室内搬送装置へ搬送するとき又は前室内搬送装置から搬送された骨皿を搬送して載置するときには、送り出し手段によって搬送ローラフレーム手段を前室内搬送装置に近接させるようにしたので、前ホールと前室との間で棺又は骨皿を滑らかに搬送できるという効果が得られる。また、納棺・収骨システムと前室との間にスペースを設けられるようになり、扉が手前側へ開いても納棺・収骨システムに接触するようなことがなくなり、このため、扉の形状や開閉方法を自由に設定できるという効果が得られる。
この発明によれば、納棺・収骨システムは、載置された棺を前室内搬送装置へ搬送するとき又は前室内搬送装置から搬送された骨皿を搬送して載置するときには、複数の搬送ローラ手段の上面の高さと、前室内搬送装置の上面の高さが一致するように昇降用モータ手段を動作させるようにしたので、前ホールと前室との間で棺又は骨皿を滑らかに搬送できるという効果が得られる。
この発明によれば、納棺・収骨システムは、遺体との最後のお別れのときには、載置された棺の高さを、遺族や葬送者がお別れし易い高さに制御し、収骨のときには、載置された骨皿の高さを、遺族や葬送者が収骨し易い高さに制御するようにしたので、最後のお別れのときに子供や車いすの方など目線が低い会葬者が容易に遺体と対面できるという効果が得られる。同様に収骨のときにも骨皿の高さを調整して、遺族や葬送者が収骨しやすいようにできるという効果が得られる。
この発明によれば、納棺・収骨システムは、前室内搬送装置への棺の搬送を開始するための納棺開始ボタン又は前室内搬送装置からの骨皿の搬送を開始するための収骨開始ボタンを備え、納棺開始ボタン又は収骨開始ボタンが操作されると、棺又は骨皿の搬送を開始するようにしたので、ボタン操作によって納棺に係わる一連の処理が自動的に開始し、最後のお別れや収骨を遺族や葬送者が自ら執り行うことができるという効果が得られる。
この発明によれば、納棺・収骨システムは、所定の会葬者の認証登録が予めされ、納棺開始ボタン又は収骨開始ボタンが操作されると、認証登録を参照し、操作が所定の会葬者によるものと判断される場合にのみ、棺又は骨皿の搬送を開始するようにしたので、認証登録された会葬者以外の子供などが誤って納棺開始ボタン又は収骨開始ボタンを操作しても動作しないので、信頼性を高くできるという効果が得られる。
この発明によれば、納棺・収骨システムから前室内搬送装置への棺の搬送を開始すると開き、終了すると閉じるよう制御されるとともに、前室内搬送装置から納棺・収骨システムへの骨皿の搬送を開始すると開き、終了すると閉じるよう制御される扉を前ホールと前室との間に備え、納棺・収骨システム及び前室内搬送装置は、扉を通じて棺又は骨皿を搬送するようにしたので、人間が扉に触れることなく、納棺・収骨システムと前室内搬送装置との間で棺又は骨皿を搬送できるという効果が得られる。
この発明によれば、火葬室から前室内搬送装置へ骨皿が搬送されて載置されると、この骨皿の温度計測を開始する測温手段を備え、前室内搬送装置は、測温手段の計測結果を参照し、所定の温度に上記計測結果が達すると、納棺・収骨システムへの骨皿の搬送を開始するようにしたので、骨皿を所定の温度まで冷却でき、収骨の安全性を確保できるという効果が得られる。
この発明によれば、火葬室から前室内搬送装置へ骨皿が搬送されて載置されると、時間計測を開始する計時手段を備え、前室内搬送装置は、計時手段の計測結果を参照し、所定の温度に達したと推定される所定の時間に上記計測結果が達すると、納棺・収骨システムへの骨皿の搬送を開始するようにしたので、骨皿を所定の温度まで冷却でき、収骨の安全性を確保できるという効果が得られる。
この発明によれば、納棺・収骨システムは、前ホール内の大気を吸塵用スリット手段を介して前室へ排気する排気手段を備えるようにしたので、収骨する際に骨皿から舞い上がった灰を吸塵用スリット手段に吸い込むことができるので、舞い上がった灰が服装などに付着することがなく、清浄な環境の中で収骨を行うことができるという効果が得られる。
この発明によれば、納棺・収骨システムは、前ホール内のフロア上を移動するための車輪をその下部に備えるようにしたので、前ホール内を納棺・収骨システムが自由に移動できるという効果が得られる。
この発明によれば、納棺・収骨システムを収納しておくための地下スペースと、納棺・収骨システムを、地下スペースから前ホール内のフロアまで上昇させ、フロアから地下スペースまで降下させるための昇降機構とを前ホールに備えるようにしたので、納棺・収骨システムが必要ないときには、地下スペースに収納できるという効果が得られる。
この発明によれば、納棺・収骨システムは、棺又は骨皿の高さを検出するための非接触式センサ手段を備え、この非接触式センサ手段の検出結果を参照して昇降用モータの回転駆動力を制御するようにしたので、棺又は骨皿の高さを高精度に制御できるという効果が得られる。
この発明によれば、納棺・収骨システムは、棺又は骨皿の高さを検出するためのリミットスイッチ手段を備え、非接触式センサ手段の検出結果が2つの設定値からなる範囲の外にある場合は、棺又は骨皿の高さの検出を、リミットスイッチ手段からリミットスイッチ手段に切り替えるようにしたので、非接触式センサに故障が発生してもリミットスイッチにより搬送ローラなどの高さを制御できるという効果が得られる。
本発明による火葬システムは、遺体が納められた棺をボタン一つで簡単に上下に昇降することができる。このため遺体との最後のお別れのときには、棺の高さを低くして子供や車いすの方など目線が低い会葬者が容易に遺体と対面することができる。同様に収骨のときにも骨皿の高さを調整して、遺族や葬送者が収骨しやすいようにすることができる。
また昇降機構は新たに開発したローラとレールを備えた多重型シリンダ機構を用いているので、長いストロークを高速駆動することが出来るのみならず、昇降機構を小型化することが可能である。また昇降機構は超音波センサ等の非接触式センサからの信号を受けて、棺を載置する搬送ローラを昇降駆動するサーボモータの回転を高精度に制御することにより、搬送ローラなどの高さを高精度に制御することができる。さらに上記の非接触式センサとは別に機械式のリミットスイッチを設けており、非接触式センサに故障が発生してもリミットスイッチにより搬送ローラなどの高さを制御することができるので信頼性が高いという特徴がある。
また本発明による火葬システムは、モータの回転駆動力をチェーンなどの伝達機構を介して各搬送ローラに伝達して各搬送ローラを同期回転させ、搬送ローラ上の棺を自動的かつ滑らかに前室に搬送することができる。一方、火葬後は骨皿搬送装置により前室から納棺・収骨システムへ骨皿を自動的に引き出し収納することが可能である。
また前室と本発明による納棺・収骨システムとの間にはスペースが設けられており、前室に納棺する場合は搬送ローラフレームを前室側にスライドさせて、搬送ローラと前室内に設けられた前室内搬送ローラとが接近し、かつ同期して回転駆動するように構成される。このような機構により、棺を納棺・収骨システムから前室に滑らかに搬送することができる。また前室と納棺・収骨システムとの間にはスペースが設けられているため、前室の入口扉の開閉時に入口扉が手前側(納棺・収骨システム側)に動いても、入口扉が納棺・収骨システムに接触するようなことはない。このため、入口扉の形状や開閉方法を自由に設定することが可能である。
また本発明による火葬システムは、搬送ローラ間に棺を移動させないようにするための複数のストッパーが設けられており、このストッパーはストッパー昇降用モータにより昇降駆動される。ストッパーを上昇させるとストッパーの先端に装着されているゴムを介して棺が若干浮き上がり、棺が移動しないように構成される。ストッパーの昇降制御はボタン操作により作業員が容易に行うことが出来るので、作業員の判断で機敏にストッパーの昇降操作を行うことが可能である。また遺族や葬送者が棺に寄りかかっても棺が動かないように構成されているので、安全性が高いという特徴を有する。
また本発明による火葬システムは、載置された骨皿の両側に沿って吸塵用スリットが設けられ、このスリットを介して前室に大気を排気するように排気機構を設けている。このため収骨する際に骨皿から舞い上がった灰を吸塵用スリットに吸い込むことができるので、舞い上がった灰が服装などに付着することがなく、清浄な環境の中で収骨を行うことができる。
また本発明による火葬システムは、遺族や葬送者が納棺を開始するための納棺開始ボタンが設けられており、このボタンを押すことにより納棺に係わる一連の処理が自動的に開始する。これにより、遺族や葬送者が最後のお別れを遺族や葬送者自らが執り行うことができる。さらに火葬システムは、火葬終了後に前室から納棺・収骨システムに骨皿を収納する収骨開始ボタンを設けており、遺族や葬送者がこのボタンを押すことにより収骨に係わる一連の処理が自動的に開始され、前室に搬送した遺体を火葬システムが遺骨と成し、ふたたび遺族や葬送者が自ら出迎えるという一連の火葬を、厳粛に、しかも格調高い雰囲気で執り行うことができる。なお、納棺開始ボタン又は収骨開始ボタンは予め認証登録された会葬者のみがボタン操作することで動作開始するように構成してもよい。このように構成することにより、認証登録された会葬者以外の子供などが誤って納棺開始ボタン又は収骨開始ボタンを操作しても動作しないので、信頼性が高いという特徴がある。
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
実施の形態1.
[全体構成]
図1は本発明の実施の形態1に係わる火葬システムを含む火葬施設の一部平面図であり、11はエントランスと前ホール間に設けられた柱、12は本発明による納棺・収骨システム(お別れ台)、13は前室、14は前室の手前側(納棺・収骨システム側)に設けられた入口扉、15は納棺・収骨システム12から搬入された棺を火葬炉17に搬送するとともに、火葬炉17から納棺・収骨システム12に遺骨が載置された骨皿を搬送する前室内搬送装置、16は火葬炉17が設置された火葬室、18Aは前室13と火葬室16との間の前室側に設けられた前室炉側扉、18Bは前室13と火葬室16との間の火葬室側に設けられた火葬炉断熱扉であり、前室13および火葬室16はそれぞれ個別に壁で仕切られ、納棺・収骨システム12乃至火葬炉断熱扉18Bは平行して複数設けられる。
次に図1に示す火葬設備による火葬方法について概略を説明する。最初に棺運搬車(図示せず)をエントランスから前ホールに設けた納棺・収骨システム(お別れ台)12まで移動し、棺運搬車上に載置した棺を納棺・収骨システム12の上面に設けた複数の搬送ローラ(図示せず)上に載置する。次に搬送ローラ及び棺を下降させて遺族や葬送者が遺体と最後の別れを惜しんだ後、搬送ローラ及び棺を上昇させ、遺族や葬送者が自ら納棺開始ボタンを押す。このとき搬送ローラと前室内搬送装置15に設けられた前室内搬送ローラとは同じ高さとなるように調整されるとともに、各搬送ローラを回転自在に支持する搬送ローラフレーム(図示せず)が前室側にスライドして搬送ローラと前室内搬送ローラとが接近し、これらのローラが同期して回転駆動するように制御される。
また納棺開始ボタンを押すとこれに応答して入口扉14が開き、搬送ローラと前室内搬送ローラとがともに同一方向に回転し、ローラ上の棺を納棺・収骨システム12から前室内搬送装置15に搬送する。この搬送が完了すると、入口扉14が閉じた後に前室炉側扉18Aと火葬炉断熱扉18Bが自動的に開き、棺前室内搬送ローラ上の棺が前室内搬送装置15により火葬室16に設置された火葬炉17に搬送される。搬送後は前室炉側扉18Aと火葬炉断熱扉18Bがともに自動的に閉じられる。
次に火葬炉17で火葬を行い火葬が終了すると前室炉側扉18Aと火葬炉断熱扉18Bがともに自動的に開き、前室内搬送装置15は自動的に遺骨が収納された骨皿を収納する。前室13または前室内搬送装置15には遺骨および骨皿を冷却するための冷却装置(図示せず)が設けられており、この冷却装置により遺骨および骨皿を室温近くまで冷却する。
前室内搬送装置15に搭載された温度センサなどにより遺骨および骨皿が所定温度まで低下したと火葬システムが判断した場合、入口扉14が自動的に開き、納棺・収骨システム12は前室内搬送装置15から骨皿を搬出する。搬出が完了すると入口扉14は自動的に閉じられ、納棺・収骨システム12は遺族や葬送者が収骨し易い高さに骨皿の位置を調整し、遺族や葬送者が骨皿から収骨を行う。このとき、載置された骨皿の両側に沿って設けられた吸塵用スリットを介して前室に大気を排気するので、収骨する際に骨皿から舞い上がった灰が吸塵用スリットに吸い込まれ、舞い上がった灰が服装などに付着することがなく、清浄な環境の中で収骨を行うことができる。
[納棺・収骨システムの構成]
次に図2〜図4を参照して本実施の形態1による納棺・収骨システム12の構成について説明する。図2(a)は納棺・収骨システム12の平面図、図2(b)は図2(a)に示すA−A線方向の断面図、図3(a)は棺の前室13への搬送時における納棺・収骨システム12の側面断面図、図3(b)は図3(a)に示すB−B線方向の断面図、図4(a)は前室13からの骨皿搬送時における納棺・収骨システム12の側面断面図、図4(b)は図4(a)に示すC−C線方向の断面図である。
初めに図2(a)、(b)を参照して納棺・収骨システム12の基本構成について説明する。図2(a)において、搬送ローラ21が前室13方向に平行して配置されており、各搬送ローラ21は図2(b)に示すように、搬送用ギヤモータ23→電磁クラッチ24→ローラチェーン25→各搬送ローラ21の動力伝達経路により同期して回転する。またストッパー22は搬送ローラ21間に2対計4個配置されており、作業員がストッパー昇降用ボタンを押すとストッパー昇降用モータ26が駆動しストッパー22が昇降する。すなわち、ストッパー22を上昇させるとストッパー22の先端に装着されているゴムを介して棺が若干浮くので棺が移動することはない。この為、遺族や葬送者が棺に寄りかかっても棺の位置が安定しており極めて安全性が高い。
またストッパー22が下げられた状態においても電磁クラッチ24が作用している場合は搬送ローラ21は回転せず、棺が搬送ローラ21上を移動することはない。すなわち、棺を安定して載置しておくために2重に安全装置が実装されている。
図2(a)では搬送ローラ21が11個平行配列されているが、この数は搬送ローラ21に載置される棺の大きさが特大サイズであっても搬送ローラ21上に載置可能なように設定されている。また左端の搬送ローラ21と、この搬送ローラ21の右隣の搬送ローラ21との間隔が他の搬送ローラ21の各間隔よりも狭いが、左端の搬送ローラ21の位置が搬送用ギアモータ23に近いのでローラチェーン25を介して左端の搬送ローラ21にかかる動力が大きく、搬送用ギアモータ23からの動力を左端の搬送ローラ21と右隣の搬送ローラ21とで分散するように構成している。すなわち、ローラチェーン25から各搬送ローラ21への駆動力が均等になるように構成している。図2(b)において、右側は搬送ローラ21を降下させた状態を表し、左側は搬送ローラ21を上昇した状態を表す。搬送ローラ21の昇降は作業員が昇降ボタンを押すことにより容易に行うことができる。
次に図3(a)、(b)を参照して棺112の前室13への搬送時の概略機構について説明する。本実施の形態1による納棺・収骨システム12において、前室13と納棺・収骨システム12との間にはスペース31が設けられおり、搬送ローラ21に載置された棺を前室13に搬送する際は、送り出しモータ33を駆動し、各搬送ローラを回転自在に支持する搬送ローラフレーム(図示せず)を前室側(右側)に移動する。この結果、右端の搬送ローラ21と前室13に設けられた左端の棺前室内搬送ローラ32とが所定の距離まで接近する。この状態で搬送ローラ21と棺前室内搬送ローラ32とを時計回り方向に回転することにより、搬送ローラ21から棺前室内搬送ローラ32へと棺112を滑らかに搬送することができる。
上記に説明したように、前室13と納棺・収骨システム12との間にはスペース31が設けられているため、前室13の入口扉14の開閉時に入口扉14が手前側(納棺・収骨システム側)に動いても、入口扉14が納棺・収骨システム12に接触するようなことはない。このため、入口扉の形状や開閉方法を自由に設定することが可能である。また図2(b)と同様に図3(b)において、右側は搬送ローラ21を降下させた状態を表し、左側は搬送ローラ21を上昇した状態を表す。
次に図4(a)、(b)を参照して、骨皿41の前室13からの搬送時における概略機構について説明する。本実施の形態1による納棺・収骨システム12では、骨皿41を前室内搬送装置15に設けられた前室内骨皿搬送ローラ43から搬送ローラ21上に搬送する際は、搬送ローラフレームの高さを低くして前室内骨皿搬送ローラ43の高さに一致するように制御する。すなわち、搬送ローラ21の上面と前室内骨皿搬送ローラ43の上面とが一致するように、昇降用ギヤモータ42を用いて高さの制御が行われる。
次に送り出しモータ33を駆動し、搬送ローラフレームを前室側(右側)にスライドする。この結果、右端の搬送ローラ21と左端の前室内骨皿搬送ローラ43とが所定の距離まで接近する。この状態で搬送ローラ21と前室内骨皿搬送ローラ43とを反時計回り方向に回転することにより、搬前室内骨皿搬送ローラ43上の骨皿41を搬送ローラ21上に滑らかに搬送することができる。骨皿41全体を搬送ローラ21上に載置した後、搬送ローラフレームを手前方向(左側)にスライドさせる。なお、上記の説明では搬送ローラフレームの高さを低くしてから、搬送ローラフレームを前室側にスライドするように制御したが、搬送ローラフレームを前室側にスライドしてから、搬送ローラフレームの高さを前室内骨皿搬送ローラ43の高さに一致するように制御してもよい。
図4(a)に記載のように、搬送ローラ21は、一点鎖線で示すローラチェーン25の上側に位置する上側搬送ローラと、ローラチェーン25の下側に位置する下側搬送ローラとがあり、上側搬送ローラはローラチェーン25により駆動され搬送ローラ21に載置された棺または骨皿41を搬送駆動するが、下側搬送ローラはローラチェーン25により駆動されず、回動自在に空転するように構成される。すなわち、下側搬送ローラはローラチェーン25が弛まないようにテンションを与え、搬送用ギヤモータ23からの駆動力をローラチェーン25を介して各搬送ローラ21に一定して伝達するように構成される。なお、下側搬送ローラにより棺又は骨皿41を搬送駆動し、上側搬送ローラを回動自在に空転するように構成することもできる。
本実施の形態1による納棺・収骨システム12は、図4(b)に示すように載置された骨皿41の両側に沿って吸塵用スリット44が設けられ、この吸塵用スリット44を介して図4(a)に記載の吸塵用パイプ45を通して前室13に大気を排気するように排気機構を設けている。このため収骨する際に骨皿から舞い上がった灰を吸塵用スリット44に吸い込むことができるので、舞い上がった灰が服装などに付着することがなく、清浄な環境の中で収骨を行うことができる。また図2(b)と同様に図4(b)において、右側は骨皿41を降下させた状態を表し、左側は骨皿41を上昇した状態を表す。これらの動作は、図3(b)の左端に図示した作業員がボタン操作することにより容易に行うことができる。
[昇降装置]
次に本実施の形態1による納棺・収骨システム12に搭載した新規の昇降装置について図5〜図10を参照して説明する。上述したように本実施の形態1による納棺・収骨システム12は、昇降用ギヤモータ42により駆動する新規の昇降装置を用いて搬送ローラフレームの昇降を行う。
図5はこの昇降装置の模式的構成を示す説明図であり、昇降用ギヤモータ42と、この昇降用ギヤモータ42の回転軸と連結して回転する歯車51と、歯車51に噛み合って昇降用ギヤモータ42の回転数を変速する歯車52と、歯車52と連結しZ軸を回転軸として回転する内シリンダー53とを有している。また内シリンダー53の上部外側には中シリンダー54が嵌合されている。さらに中シリンダー54の上部外側には外シリンダー55が嵌合され、この外シリンダー55の上端には昇降フレーム56が固着されている。また図示していないが、内シリンダー53、中シリンダー54が垂直方向(Z軸方向)から傾かないで安定して回転するように、内シリンダー53の内面に接して外面が摺動するロッドが垂直に設けられている。図5に示す昇降装置は、上下方向に内シリンダー53、中シリンダー54、外シリンダー55の3段構成としているが、必ずしも3段構成が必須ではなく4段以上の多段構成であっても良い。また最上位のシリンダーは昇降フレーム56と連結しており、搬送ローラフレームは昇降フレーム56の昇降に連動して昇降を行う。
内シリンダー53は上下方向には昇降せず、歯車52の回転に応じてZ軸を回転軸として時計回り、あるいは反時計回りに平面上を回転する。この回転力が内シリンダー53の外面に設けられたローラと中シリンダー54の内面に設けられたレールにより並進運動に変換され、中シリンダー54は上下方向に昇降運動する。内シリンダー53が所定の回転数に達すると、内シリンダー53の外側に設けられたストッパが中シリンダー54に設けられたフック片と係合し、内シリンダー53と中シリンダー54がともに回転する。これにより、中シリンダー54の外面に設けられたローラと外シリンダー55の内面に設けられたレールにより回転運動が並進運動に変換され、外シリンダー55は上下方向に昇降運動する。なお、外シリンダー55およびこれに固着された昇降フレーム56は回転せず昇降のみの動作を行う。
このように、歯車51および内シリンダー53の回転駆動力が、中シリンダー54の昇降駆動力となって中シリンダー54を昇降し、さらに中シリンダー54の回転駆動力が、外シリンダー55の昇降駆動力となって外シリンダー55を昇降するためストロークを多段階で得ることができる。このため、本発明による本昇降装置は多重型のシリンダー構成と、ローラとレールを備える簡素な構成を基本としていることから小型である一方、昇降のストロークを多段階で得られることからストロークを大きくとることができるという特徴がある。なお中シリンダー54にもストッパーが設けてあり、中シリンダー54が所定の回転数に達すると昇降装置がこのストッパーを検出し、昇降用ギヤモータ42の回転を停止するように制御する。この停止位置が、本発明による昇降装置の最大の高さに対応する。
図6は、中シリンダー54の内面とこの内面にほぼ垂直に形成された3つのレール61M,61U,61Dを模式的に説明する説明図である。3つのレール61M,61U,61Dは、中シリンダー54の内面にスパイラル状にそれぞれ平行して設けられ、各レールにはそれぞれ1個ずつ120度の角度でレールの下面と接するようにローラが配置される。これらのレールは、外シリンダー55の内面にも同様に形成される。
図7は、内シリンダー53とこの上部外側に嵌合された中シリンダー54の模式的断面図であり、中シリンダー54の内面には内面にほぼ垂直に平板状のレール71A、71Bが中シリンダー54の内面に固着して設けられる。またレール71A、71Bの下面に接するようにローラ72A、72A’が設けられる。さらにローラ72A、72A’とそれぞれ一体的に構成された回転軸72B、72B’が内シリンダー53に形成された開口部を貫通し、回転軸72B、72B’の他端部には固定部72C,72C’が設けられ、ローラ72A、72A’が内シリンダー53から脱落せず安定して回転するように構成される。同様に、外シリンダー55の内面に形成されたレール(図示せず)の下面に接するようにローラ73A、73A’が設けられる。さらにローラ73A、73A’とそれぞれ一体的に構成された回転軸73B、73B’が中シリンダー54に形成された開口部を貫通し、回転軸73B、73B’の他端部には固定部73C,73C’が設けられ、ローラ73A、73A’が中シリンダー54から脱落せず安定して回転するように構成される。上記のような構成により、各ローラ72A〜73A’は軸X1〜X4を中心として回転しながら、スパイラル状に形成されたレール71A、71Bなどに沿って摺動する。
図8は、中シリンダー54の内面にスパイラル状に固着して設けられたレール71A(71B)の一部と、このレール71A(71B)の下面に接して内シリンダー53側に設けられたローラ72A(72A’)とを模式的に示した説明図である。今、レール71A(71B)が右方向に向かって登っているスロープとし、ローラ72A(72A’)の回転軸72B(72B’)が貫通する内シリンダー53が左方向に回転すると、内シリンダー53は平面上を回転するのでローラ72A(72A’)は内シリンダー53の回転に連動して平面上を回転する。この為、レール71A(71B)は下面から上方に向かってローラ72A(72A’)により継続的に力を受け、レール71A(71B)と中シリンダー54は上方に向かって継続的に上昇する。一方、内シリンダー53が右方向に回転すると、レール71A(71B)が下面から受ける力は減少するため、レール71A(71B)と中シリンダー54は下方に向かって降下する。
図8では1個のローラ72A(72A’)によりレール71A(71B)を上方に押し上げるとして説明したが、実際は図6に示すように、中シリンダー54の内面にはスパイラル状にそれぞれ3個のレールが平行して設けられ、図9に示すように内シリンダー53の外面には各レールの下面に接してそれぞれ1個ずつ120度の角度でローラ72A,72A’,72A”が配置される。従って、ローラ72A,72A’,72A”は同等な力でそれぞれが接する各レールの下面を押し上げるので、それぞれのローラ72A,72A’,72A”は荷重の約1/3の力でそれぞれのローラが接しているレールを押圧する。この為、レール、ローラ、回転軸の機械的強度の軽減と各構成部品の小型化を図ることができる。さらに120度の角度でローラ72A,72A’,72A”を配置することにより、各シリンダーの回転軸を傾けることなく、すなわち回転軸を垂直方向に保ったまま中シリンダー54、外シリンダー55および昇降フレーム56を昇降することができる。換言すると、ローラ72A,72A’,72A”により上方に駆動する力の中心は常に回転軸に一致するため、シリンダーの回転力をバランス良く上方または下方への並進力に変換することができる。
なお上記において、平行する3本のレールにそれぞれ120度の角度でローラ72A,72A’,72A”を配置するとして説明したが、これに限らず、複数のローラからの各レールに与える合成ベクトルが、シリンダーの回転中心軸に一致するように構成してもよい。例えば、各ローラをシリンダーの回転軸に対して点対称となる位置関係で配置するようにしても良い。
図10(a)、(b)は中シリンダー54及び外シリンダー55をそれぞれ模式的に平面に展開したときの説明図であり、101Aは中シリンダー54の内面に形成されたレール、102Aは内シリンダー53の外面に形成されたローラ、H1は中シリンダー54に形成されたレールの高さ、R1は中シリンダー54の半径、θ1はレール101Aが水平軸となす角度、101Bは外シリンダー55の内面に形成されたレール、102Bは中シリンダー54の外面に形成されたローラ、H2は外シリンダー55に形成されたレールの高さ、R2は外シリンダー55の半径、θ2はレール101Bが水平軸となす角度である。
ここで、θ1、θ2は次式から算出される。
θ1=tan-1(H1/2πR1) ・・・(1)
θ2=tan-1(H2/2πR2) ・・・(2)
上式から明らかなように、高さH1と高さH2とはほぼ等しく設定されるため、レールの角度θは、上位(上段)のシリンダーになるほど半径が大きくなることから、緩やかとなる。従って、シリンダーの回転速度を一定とすると昇降速度が上段のシリンダーほどゆっくりとなる。この為昇降速度を一定にするためには、シリンダーの回転速度を上位になるほど早くなるように制御を行う。さらに、昇降速度をプログラムにより制御し、最終的に停止する位置ではゆっくりと停止するように制御してもよい。
[納棺・収骨システムから前室への棺の搬送動作]
次に図11及び図12(a)〜図12(e)を参照して、納棺・収骨システム(お別れ台)12から前室13への棺の搬送動作について説明する。
本発明の火葬施設は図1を用いて説明したように、前ホールに設けられた納棺・収骨システム12と、前室13に設けられた前室内搬送装置15と、火葬炉17とを備えている。図11は、図1で示した納棺・収骨システム12、前室13、前室内搬送装置15、火葬炉17をより詳細に説明した側面図である。初めに、棺運搬車111の搬送ローラ113上に載置した棺112をストッパ114により固定した状態で作業員が棺運搬車111を運搬し、棺運搬車111を納棺・収骨システム12に当接する。このとき棺運搬車111の搬送ローラ113と納棺・収骨システム12の搬送ローラ21とは高さが等しく、右端の搬送ローラ113と左端の搬送ローラ21とは近接した位置関係にある。
次に図12(a)において作業員は棺運搬車111のストッパー114と納棺・収骨システム12のストッパー22(図示せず)とを下降させ、かつ搬送ローラ21の電磁クラッチを切断して搬送ローラ113、21を回転自在とし、作業員が搬送ローラ113に載置された棺112を手で押しながら右端の搬送ローラ21まで移動する。
次に図12(b)において、納棺・収骨システム12に実装されたストッパー22(図示せず)を上昇させ、かつ電磁クラッチ24を作動させて棺112を固定するとともに、図5〜図10で説明した昇降装置を用いて搬送ローラフレーム及びこのローラ上の棺112を下降させ、子供や車いすの方など目線が低い会葬者が容易に遺体と対面することができるように棺112の高さを調整する。そして会葬者が遺体との最後のお別れをした後、図12(c)で再度昇降装置を用いて搬送ローラフレーム及びこのローラ21上の棺112を上昇させ、作業員が納棺・収骨システム12のストッパー22をボタン操作により下降させるとともに、納棺・収骨システム(お別れ台)12の搬送ローラ21を駆動する電磁クラッチ24を切断する。
次に会葬者の代表者が納棺開始ボタン(図示せず)を押すと、この動作に応答して図1に記載の入口扉14が開き、搬送ローラフレームが前室側にスライドして、搬送ローラ21と前室内に設けられた棺前室内搬送ローラ32とが近接し、かつ同期して回転駆動するように制御される。そして図12(d)に示すように、搬送ローラ21と棺前室内搬送ローラ32とがともに同一方向に回転し、搬送ローラ21上の棺を納棺・収骨システム12から前室内搬送装置15に、棺112の先端がストッパー121に係止して停止する位置まで自動搬送する。
この搬送が完了すると図12(e)に示すように、搬送ローラフレームが手前方向(左側)にスライドし水平方向的には元の位置に移動するように制御される。この処理動作に続いて納棺・収骨システム12は、前室13の前室内搬送装置15から骨皿41を受けとるように、昇降装置を用いて搬送ローラフレームの高さを低くした状態のまま待機する。また入口扉14は搬送ローラフレームが手前方向にスライドした後、自動的に閉じられる。
[前室から納棺・収骨システムへの骨皿の搬送動作]
次に図13(a)〜図13(f)を参照して、火葬炉17での火葬終了後の前室13から納棺・収骨システム12への骨皿41の搬送動作について説明する。
図13(a)において、前室13で冷却された遺骨と骨皿41とを前室13から納棺・収骨システム12へ搬送するために、入口扉14が自動的に開き、続いて搬送ローラフレームが前室側に自動的にスライドするように制御される。この結果、右端の搬送ローラ21と前室13に設けられた左端の前室内骨皿搬送ローラ43とが所定の距離まで接近する。
次に図13(b)において、搬送ローラ21と前室内骨皿搬送ローラ43とがともに同一方向(反時計回り)に同期回転し、各ローラ上の骨皿41を前室13から納棺・収骨システム12へ滑らかに搬送する。すなわち、骨皿41の先端がストッパー131に係止する位置まで骨皿41が搬送され停止する。この搬送が完了すると図13(c)において入口扉14が自動的に閉じるとともに、搬送ローラ21とこのローラ上の骨皿41を遺族や葬送者が収骨し易いような所定の高さまで上昇させ、遺族や葬送者が骨皿41上の遺骨を収骨する。このときの高さは、予め標準値として設定しておき設定値の高さとなるように自動的に制御しても良いし、作業員がマニュアルにより高さを制御するようにしても良い。
[次の火葬の準備]
次に図14(a)において搬送ローラフレームを下げるとともに、前室内搬送装置15の上側骨皿搬送装置141を下げ、搬送ローラ21上の骨皿41が前室13に搬送可能なように入口扉14を開く。次に図14(b)において、送り出しモータ33を駆動して搬送ローラフレームを前室側(右側)にスライドし、右端の搬送ローラ21と左端の前室内骨皿搬送ローラ43とを所定の距離まで接近させる。この状態で搬送ローラ21と前室内骨皿搬送ローラ43とを時計回り方向に回転することにより、骨皿41の左端に設けた突起部が前室内搬送装置15に設けたフック片142に係止する位置まで、搬送ローラ21上の骨皿41を前室内骨皿搬送ローラ43上で自動的に搬送する。
次に図14(c)において前室13の入口扉14を閉じるとともに、昇降用ギヤモータ42を駆動し搬送ローラ21の高さを図11に記載の搬送ローラ113の高さに一致するように搬送ローラフレーム及び搬送ローラ21を上昇する。これにより、作業員が棺運搬車111の搬送ローラ113に載置された棺112を搬送ローラ21に容易に運搬することが可能なように準備される。
なお上記において、納棺・収骨システム(お別れ台)12は前ホールのフロアに固定して設けるように説明したが、必ずしも前ホールのフロアに固定する必要はなく、納棺・収骨システム12の下部に車輪を設け納棺・収骨システム12を移動できるように構成してもよい。さらに、納棺・収骨システム12を使用しないときは前ホールの地下に納棺・収骨システム12を降下させて収納しておき、納棺・収骨システム12を使用するときに納棺・収骨システム12を前ホールのフロアに上昇させる昇降機構を設けるようにしてもよい。また、納棺・収骨システム12を固定して設けた場合は、吸塵用パイプ45を前室13に容易に連結することができ、この為、吸塵用スリット44から吸塵用パイプ45を介して前室13に骨皿から舞い上がった灰をスムーズに排出することができる。また納棺・収骨システム12の信号配線を固定して配線することが可能であるため、配線の信頼性が高いという利点がある。さらに納棺・収骨システム(お別れ台)12のデザインをエントランス、前ホール、火葬システム全体とマッチングするようにデザインすることができる。
実施の形態2.
火葬前における棺の重量の状態は実にさまざまである。納棺されている故人の体格や棺自体のサイズはもちろんのこと、遺族らが万感の思いを込めて棺に納める副葬品も原則として多種多様であり、副葬品を納める位置や方向も基本的に自由であるため、棺全体の重量そのものも棺の重量の偏り方も葬儀毎にたいてい異なっている。
したがって、納棺・収骨システム12上に棺を載置して昇降する際には、故人や遺族らにとって厳粛で大切な最後のひと時を損なわぬよう、棺がどんな重量の状態であっても滑らかで自然な昇降動作を実現することが求められる。この実施の形態2では、納棺・収骨システム12を安定して昇降させる手法について説明する。
<昇降>
図15は本発明の実施の形態2に係わる火葬システムの一部構成を示す図であり、納棺・収骨システム12を昇降動作させる昇降装置の構成を模式的に示した平面図である。既出の各図面と同一の又は相当する構成要素については同一の符号を付してあり、納棺・収骨システム12は点線で図示している。
図15において、81はインバータ制御される昇降用ギアモータ(昇降用モータ手段)、82A〜82Iはトリボールジョイントなどの自在継手(不図示)により適宜連結されたドライブシャフト(駆動力伝達手段)、83A〜83Eは直交する2軸間に回転駆動力を伝達するベベルギア(駆動力伝達手段)、84A〜84Dは回転運動を直線運動に変換するボールねじ(ボールねじ手段)である。
次に動作について説明する。
昇降用ギアモータ81は起動すると、納棺・収骨システム12のおおよそ中心部分に配置されたベベルギア83Aに対し、ドライブシャフト82Aを通じてその回転駆動力を伝える。ベベルギア83Aは、その左右両側に配置されたベベルギア83B,83Cに対し、昇降用ギアモータ81からの回転駆動力をドライブシャフト82B,82Cを通じてそれぞれ均等に分岐して伝える。
ベベルギア83B,83Cは、火葬炉17側(前室13のある側)のドライブシャフト82D,82E,ベベルギア83D,83E及びドライブシャフト82H,82Iと、エントランス側のドライブシャフト82F,82Gとを介して、昇降用ギアモータ81からの回転駆動力をボールねじ84A〜84Dまでそれぞれ均等に分岐して伝える。
4個のボールねじ84A〜84Dは、納棺・収骨システム12の四隅をその下部からそれぞれ支えており、昇降用ギアモータ81から伝えられてきた回転駆動力を図15の紙面垂直方向(鉛直方向)の直線運動に変換し、納棺・収骨システム12に伝える。つまり、ボールねじ84A〜84Dは、昇降用ギアモータ81の回転駆動力が順方向であれば納棺・収骨システム12を上昇させ、昇降用ギアモータ81の回転駆動力が逆方向であれば納棺・収骨システム12を降下させるように働く。
そして、納棺・収骨システム12が所望の高さに到達すると、昇降用ギアモータ81が停止され昇降動作が完了する。
以上のように、この実施の形態2では、各ボールねじ84A〜84Dにより納棺・収骨システム12の四隅をそれぞれ支え、これらのボールねじ84A〜84Dに対し、1個の昇降用ギアモータ81を共通の駆動源として、その回転駆動力を等分配するようにしている。
このようにすることで、納棺・収骨システム12の四隅に対し均等な力を同期して与えられるようになり、棺の重量の状態に関わらず、納棺・収骨システム12全体を安定して昇降させることができる。
なお、図15では、ドライブシャフト82D,82Eを、エントランス側から火葬炉側へと搬送される納棺・収骨システム12の搬送方向に対し斜めに配置しているが、これは単なる設計上の都合によるものであって、本発明はこれに限定されるものではない。
要するに、複数のドライブシャフト82A〜82I及び複数のベベルギア83A〜83Eからなる駆動力伝達手段を適宜配置して、各ボールねじ82まで昇降用ギアモータ81の回転駆動力を同期して等分配することがポイントである。ドライブシャフト82A〜82I,ベベルギア83A〜83Eから駆動力伝達手段を構成しているので、狭く複雑なスペースの中で効率的に動力を伝えることができ、設計の自由度を広げることができる。
また、図15では、納棺・収骨システム12の四隅に対し4個のボールねじ82を配置するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、納棺・収骨システム12の中心を通る搬送方向のX軸と、同じく中心を通りX軸に直交するY軸とから見てほぼ線対称となるように、納棺・収骨システム12の周縁のうちの複数箇所を選び、これらの箇所を同数のボールねじにより納棺・収骨システム12を下部から支持すれば、納棺・収骨システム12全体に対し回転駆動力をバランス良く分配でき、安定した昇降動作を実現できる。
さらに、図15では、ボールねじ84A〜84Dの上昇/下降動作を揃えるために、図15のベベルギア83Dを、他のベベルギア83A〜83C,83Eと異なり裏返しにして設置してある。このように、ベベルギアを設置する際にはドライブシャフトの回転方向について留意する必要がある。
<搬送>
火葬炉17の中で棺とともに高温で焼かれた後に前室で冷却される骨皿41は、葬儀の度に激しい温度変化に繰り返し晒され続ける。このために骨皿41は、長期間使用されていくうちに大きく変形し反り返るようになる。
骨皿41の反り返りが酷くなってくると、納棺・収骨システム12の搬送ローラ21により骨皿41を搬送しようとしても、反り返りの分だけ骨皿41と搬送ローラ21との接触面積も減少するので、骨皿41を搬送する力が不足し、前室内搬送装置15から納棺・収骨システム12上に搬送する途中で骨皿41が止まってしまうという事態が生じる。
そこで、この実施の形態2では、図16(a)の平面図及び図16(b)の側面図に示すように、納棺・収骨システム12において、ローラチェーン25の上側及び下側に上側搬送ローラ21U’及び下側搬送ローラ21L’をそれぞれ増設している。こうして、既設の上側搬送ローラ21U及び増設の上側搬送ローラ21U’の計9個をアイドラーとして、既設の下側搬送ローラ21L及び増設の下側搬送ローラ21L’の計11個を棺搬送用の駆動ローラとしてそれぞれ使用し、上記の搬送力不足を解消するようにしている。
ここで、それでもなお搬送力不足が生じていれば、図示は省略するが、アイドラーとして使用している上側搬送ローラ21U,21U’のうちの数個(図16では、全9個のうちの1個以上)も、下側搬送ローラ21L,21L’とともに棺搬送用の駆動ローラとして用いても良い。このようにすることで、上記の搬送力不足を解消できるようになり、反り返りが酷くなった骨皿41であっても完全に搬送でき、納棺・収骨システム12上に載置できるようになる。
<冷却>
なお、図示は省略するが、火葬炉17で火葬された直後で高温になっている骨皿41が前室13に搬入されて冷却装置により冷却される際に、前室13から前ホールへ骨皿41を搬出するタイミングの判断は、次の2通りの手法が考えられる。
実施の形態1でも述べた通り、(イ)火葬システムに温度センサ(測温手段)を設ける手法。火葬炉17での火葬が済んで前室13に骨皿41が搬入・載置されると、温度センサが骨皿41の温度計測を開始する。そして、所定の温度Th1まで骨皿41が冷却されたことを温度センサが計測すると、前ホールの納棺・収骨システム12に前室内搬送装置15が骨皿41を搬出する。
もう一つは、(ロ)火葬システムにタイマー(計時手段)を設ける手法。火葬炉17での火葬が済んで前室13に骨皿41が搬入・載置されると、タイマーが時間計測を開始する。そして、骨皿41の冷却開始から所定の時間Th2が経過したことをタイマーが計測すると、前ホールの納棺・収骨システム12に前室内搬送装置15が骨皿41を搬出する。
ここで、(イ)の温度Th1は骨皿41から収骨しても支障がないと言える程度の温度のことであり、(ロ)の時間Th2は骨皿41から収骨しても支障がない温度まで骨皿41が冷却されたと言える程度の時間のことである。(イ)、(ロ)のいずれであっても、収骨の安全性を自動的に確保することができる。
なお、温度センサによる温度計測の場合、骨皿41の温度を直接計測しても良いし、例えば前室13の室温を計測してこの計測値から骨皿41の温度を間接的に計測するようにしても良い。
また、温度センサは、前室内搬送装置15に備えるようにしても良いし、前室13内のどこかに備えるようにしても良い。さらに、タイマーは、骨皿41が前室13に搬送された時刻から時間計測を開始するようにできれば、火葬システム全体のどこに備えても良い。