JP5627447B2 - ポリアミドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアミドの製造方法に関するものである。
芳香族ポリアミド(アラミド)は、ナイロン6、ナイロン66などに代表される脂肪族ポリアミドと比較すると、耐熱性、剛性に優れるという利点がある。芳香族ポリアミドは、主に繊維用途に用いられており、例えば、複合材料の強化繊維、産業資材、電気絶縁材料などに用いられている。
芳香族ポリアミドの製造方法として、特許文献1には、芳香族ジカルボン酸ジクロリドを用いて溶液重合法により合成する方法が開示されている。しかしながら、特許文献1の場合は、有機溶媒中での反応であるため、生成したポリマーを溶媒中にて再沈殿した後、濾別する等の単離工程を必要とする。そのため、製造工程が煩雑になり、またコストアップに繋がるという問題点があった。さらに、有機溶媒を必要とするため反応系における容量を大きくする必要があり、設備規模の面からも好ましいものではなかった。加えて、工業的に使用できる芳香族ジカルボン酸ジクロリドの種類は少ないため、合成できる芳香族ポリアミドの種類が限定されるという問題があった。
また、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸ジクロリドの反応は、副生物として塩酸を生成する。環境衛生上の観点から、この塩酸は塩基性化合物を添加して中和することにより除去される。しかしながら、塩素イオンを完全に除去することは困難であった。加えて、中和により形成された塩の存在もまた、用途によっては、環境上の問題を引き起こすことがあった。
一方、特許文献2には、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸を段階的に昇温させ、溶媒を用いずに芳香族ポリアミドを直接合成する方法が開示されている。しかしながら、特許文献2の場合は、記載された反応温度(300〜330℃)より高い融点を有するポリアミドを得る場合、ポリアミドが塊状化し、反応が均一に進行しない。そのため、生成したポリアミドの分子量分布が広くなり、目的とする特性を効率よく発現させることができないという問題があった。また、反応容器から取り出すには350℃以上の温度とする必要があり、このような温度下においては、ポリアミド中のアミド結合の分解が促進されるため、副生成物であるトリアミン量が多くなるという問題があった。また、記載された反応温度(300〜330℃)以下の融点を有するポリアミドを重合により得る場合においても、得られるポリアミドの種類によっては、ポリアミド中のアミド結合の分解が促進される場合があった。
特開2008−63516号公報 特開2009−256610号公報
本発明は、上記の課題を解決するものであり、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジアミンを主成分とするポリアミドを、トリアミンの発生を抑制しつつ、かつ有機溶媒や芳香族ジカルボン酸ジクロリドを用いることなく生産性よく製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)以下の工程(i)〜(iii)を、この順に含むことを特徴とする、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジアミンを主成分とするポリアミドの製造方法。
工程(i):モノマーとしての芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとを、融点の低い方のモノマーの融点以上の温度で混合し、混合液を得る工程。
工程(ii):工程(i)で得られた混合液において、生成するポリアミドの融点未満の温度で、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとの反応による塩の生成および前記塩の重合による低重合体の生成をおこないながら、生成した塩および低重合体を、体積平均粒径が7mm以下になるように破砕し、塩および低重合体の破砕混合物を得る工程。
工程(iii):工程(ii)で得られた破砕混合物を、生成するポリアミドの融点未満の温度で、固相重合する工程。
(2)生成するポリアミドの融点が250℃以上であることを特徴とする(1)のポリアミドの製造方法。
(3)工程(i)を、モノマーとしての芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとの合計100質量部に対して、5質量部以下の水および/または有機溶剤の存在下でおこなうことを特徴とする(1)または(2)のポリアミドの製造方法
(4)工程(ii)を、0.11MPa以上の圧力下でおこなうことを特徴とする(1)〜()いずれかのポリアミドの製造方法。
本発明のポリアミドの製造方法によれば、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジアミンを主成分とするポリアミドを、芳香族ジカルボン酸ジクロリドを出発原料とすることなく、かつ溶媒中からの単離工程を設けることなく、生産性よく製造することができる。また、重合開始から終了まで、生成するポリアミドの融点未満の温度が保たれるため、トリアミン量が少ないポリアミドを得ることができる。さらに、破砕しながら重合することによりポリアミドを製造するので、重合過程を通じてポリアミドが粒状に保たれる。このため、重合度斑が小さく(つまり、重合度が均一である)、分子量分布の狭いポリアミドが得られるという利点がある。得られたポリアミドは粒状であるため、その後の加工などにおいて取り扱いが容易である。加えて、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンから得られるポリアミドは融点が非常に高い(例えば、250℃以上である)ため、耐熱性を必要とする用途において好適に用いられる。
以下、本発明について説明する。
本発明のポリアミドの製造方法は、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとをモノマーの主成分として用いるものである。
芳香族ジカルボン酸としては、特に限定されず、例えば、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4´−ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4´−ビフェニルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。なかでも、反応性や生成するポリアミドの特性(例えば、耐熱性)に優れる観点から、テレフタル酸が好ましい。
芳香族ジアミンとしては、特に限定されず、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4´−ジアミノフェニルエーテル、2,5−ジアミノレゾルシン、4,6−ジアミノレゾルシン、4,4´−ビフェニルジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン等が挙げられる。なかでも、反応性や生成するポリアミドの特性(例えば、耐熱性)に優れる観点から、p−フェニレンジアミンが好ましい。
前記の芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンの組み合わせで得られるポリアミドとしては、ポリメタフェニレンイソフタルアミド(MPIA)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)等の全芳香族ポリアミドが挙げられる。また、前記の芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンの組み合わせで得られるポリアミドには、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、その他のモノマーが共重合されていてもよい。
ジアミンとしてジアミノレゾルシン、ジカルボン酸としてテレフタル酸を用いた場合には、ポリパラフェニレンベンズオキサゾールの前駆体が得られる。これを固相反応することにより、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール(PBO)の合成も可能となる。
本発明の製造方法は、融点が250℃以上のポリアミドに適用することが好ましく、融点が300℃以上のポリアミドに適用することがより好ましい。本発明の製造方法においては、後述する工程(ii)で、破砕された塩や低重合体が破砕熱によって溶融し、これらが再固化することにより塊状となることがある。そのため、ポリアミドの融点が250℃以上であると、破砕熱によって塩や低重合体が溶融しにくく、溶融再固化による塊状物の生成が起こりにくくなり好ましい。
融点が250℃以上の芳香族ポリアミドとしては、ポリメタフェニレンイソフタルアミド(MPIA)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(PPTA)、ポリパラフェニレンベンズオキサゾール(PBO)等が挙げられる。
本発明の製造方法は、以下の(i)〜(iii)の3工程をこの順に含むものである。
工程(i):モノマーとしての芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとを、融点の低い方のモノマーの融点以上の温度で混合し、混合液を得る工程。
工程(ii):工程(i)で得られた混合液において、生成するポリアミドの融点未満の温度で、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとの反応による塩の生成および前記塩の重合による低重合体の生成をおこないながら、生成した塩および低重合体を破砕し、塩および低重合体の破砕混合物を得る工程。
工程(iii):工程(ii)で得られた破砕混合物を、生成するポリアミドの融点未満の温度で、固相重合する工程。
まず、工程(i)について説明する。
工程(i)は、モノマーとしての芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとを、融点の低い方のモノマーの融点以上で混合し、混合液を得る工程である。混合温度を融点の低い方のモノマーの融点以上とすることで、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンは、一方のモノマーが他方のモノマーを溶媒として溶解している状態となるか、あるいは両方のモノマーが液状で混合している状態となる。
工程(i)において、混合温度が、融点の低い方のモノマーの融点未満の温度である場合、両モノマーがいずれも固体の状態で存在するため、芳香族ジアミンと芳香族ジカルボン酸を均一に混合することが困難となる。そのため、塩が生成されないか、もしくは塩が生成されたとしても、続く工程(ii)において物性等が不均一な塩が得られるため、この塩の重合により得られたポリアミドの低重合体においては、重合度の斑が大きくなる。その結果、物性等が不均一な低重合体が得られるので好ましくない。
工程(i)において、混合温度は、80〜200℃とすることが好ましく、80〜180℃とすることがより好ましい。混合温度が80℃未満であると、原料の両モノマーがいずれも固体の状態となるため好ましくない。一方、混合温度が200℃を超えると、工程(ii)の縮合反応が開始してしまうため好ましくない。
工程(i)において、混合する時間は、攪拌の均一性の観点から、混合すべき温度に達してから、0.1〜2時間が好ましく、0.1〜1.0時間がより好ましい。
モノマーとして、例えば、テレフタル酸のような常温で粉状のものを用いる場合、体積平均粒径が200μm以下の粒子を用いることが好ましく、100μm以下の粒子を用いることがより好ましい。体積平均粒径がこの範囲のモノマーを用いることで、続く工程(ii)において、分子量分布が狭く、重合度の斑が小さいポリアミドの低重合体を生成させることができる。体積平均粒径の求め方は、後述の実施例において説明する。
工程(i)においては、系内の熱斑を小さくすること(つまり、系内の熱を均一にすること)を目的として、水および/または有機溶剤を用いてもよい。その添加量は、原料モノマーである芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンの合計100質量部に対して、5質量部以下とすることが好ましく、4質量部以下がより好ましく、全く使用しないことが特に好ましい。添加する水および/または有機溶剤の含有量をこの範囲に抑制することで、水および/または有機溶剤を留去する工程を設けることなくポリアミドを生成することができる。また、ゲル化の原因となる副生成物であるトリアミンの生成量を抑制することができる。
工程(i)におけるオートクレーブの内容量に対する、原料の総仕込量によって決まる。上記の工程(i)におけるオートクレーブの内容量に対する、原料の総仕込量の割合は、1Lあたり200〜700gとすることが好ましく、300〜600gとすることがより好ましく、350〜500gとすることがさらに好ましい。前記割合を200〜700gの範囲とすることで、続く工程(ii)において生成した塩および低重合体を効率よく破砕することができ、破砕混合物の体積平均粒径を5mm以下とすることが可能となる。
次に、工程(ii)について説明する。
工程(ii)は、後の工程(iii)において最終的に得られるポリアミドの融点未満の温度で、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンの反応による塩の生成と、前記塩の重合による低重合体の生成を行う工程である。また、工程(ii)は、生成した塩および低重合体を破砕し、塩および低重合体の破砕混合物を得る工程である。
生成するポリアミドの融点は、例えば、同一の組成を有するポリアミドをDSC測定に付して知ることができる。
工程(ii)においては、塩が生成されるにともない芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンが徐々に減少し、さらに、低重合体が生成されるにともない塩が徐々に減少する。その結果、工程(ii)においては、塩と低重合体の破砕混合物(破砕された塩と低重合体の混合物)が生成する。なお、工程(ii)の終了は、モノマーの反応率が90%以上になることを目安とすることができ、モノマーの反応率の求め方は、後述の実施例において説明する。
工程(ii)において、塩を生成させ、かつ生成された塩を重合させることで低重合体を生成させる温度は、生成するポリアミドの融点未満とすることが必要である。該温度が生成するポリアミドの融点以上の場合、アミド結合の熱分解が促進され、色調が悪くなったり、重合途中に副生するトリアミンの生成量が多くなったりするという問題がある。この温度は、150〜270℃が好ましく、150〜250℃がより好ましい。
工程(ii)において、塩を生成させ、かつ生成させた塩を重合させることで低重合体を生成させるための反応時間としては、十分に反応を進行させる観点から、塩を生成させ、かつ塩を重合させることで低重合体を生成させるための温度に達してから、0.1〜10時間が好ましく、0.1〜5時間がより好ましい。
工程(ii)において、生成する塩および低重合体は、固体状である。本発明においては、均一に反応を進行させるために、これらの固体を破砕することが必要である。破砕せずに重合した場合は、生成した塩と低重合体が塊状化したり、反応の進行に斑が生じたり(つまり、反応が不均一となったり)するという問題がある。工程(ii)にて存在する物質は、塩または低重合体の状態であるため破砕が容易である。
工程(ii)で得られる破砕混合物の体積平均粒径は、5mm以下とすることが好ましく、2mm以下とすることがより好ましく、1mm以下とすることがさらに好ましい。破砕混合物の体積平均粒径をこの範囲とすることで、次の工程(iii)において、分子量分布が狭く、重合度の斑が小さいポリアミドを重合により得ることができる。
本発明においては、破砕混合物の体積平均粒径を5mm以下とするために、攪拌動力/仕込み量、攪拌翼の大きさおよび形状、回転数などの破砕条件や、塩および低重合体の生成量を好ましいものとすることができる。
工程(ii)における攪拌動力/仕込み量は、0.02kW/kg以上とすることが好ましく、0.03kW/kg以上とすることがより好ましく、0.035kW/kg以上とすることがさらに好ましい。攪拌動力/仕込み量は0.02kW/kg以上とすることで、破砕混合物の体積平均粒径を5mm以下とすることができる。
なお、攪拌動力/仕込み量の上限は、特に限定されないが、通常、攪拌機のモーター出力の観点から、10kW/kg程度である。
一般に、破砕の方法としては、圧縮力粉砕、剪断力粉砕、衝撃力粉砕、摩擦力粉砕、攪拌式破砕が挙げられる。本発明においては、破砕しながら攪拌できるという点で、攪拌翼による攪拌式破砕が好ましい。
攪拌翼の形状は、プロペラ型、パドル型、タービン型、らせん型、ダブルヘリカル型などが挙げられる。また、これらを組み合わせたものでもよい。なかでも、破砕混合物の体積平均粒径を5mm以下とする観点からは、ダブルヘリカル型がもっとも好ましい。なお、アンカー型の攪拌翼は、工程(ii)において、塩や低重合体を破砕することができない場合があるため本発明においては好ましくない場合がある。
回転数は、1〜200rpmが好ましく、1〜100rpmがより好ましい。1rpm未満であると、破砕混合物の体積平均粒径を5mm以下とすることができない場合がある。一方、200rpmを超えると、装置内で内容物が均一に混ざらない場合がある。
本発明においては、塩の生成反応と、前記塩の重合による低重合体の生成反応とが進行することにともなって、水蒸気が発生する。そのため、系内の圧力は水の蒸気圧まで上昇する。
系内の圧力は、0.11MPa以上とすることが好ましく、1.0MPa以上とすることがより好ましい。系内の圧力の上限は特に限定されず、反応容器の耐圧力の範囲内で適宜選択される。系内の圧力は、水蒸気を系外に放圧したり、窒素で加圧したりすることで制御される。工程(ii)の終了時には、放圧により常圧あるいは減圧状態にすることができる。
次に、工程(iii)について説明する。
工程(iii)は、工程(ii)で得られた破砕混合物を、最終的に得られるポリアミドの融点未満の温度で固相重合し、所定の分子量まで高分子量化させ、ポリアミドを得る工程である。
工程(iii)における固相重合反応の温度は、生成するポリアミドの融点未満の温度とすることが必要である。固相重合温度が生成するポリアミドの融点以上の場合、アミド結合の熱分解が促進され、副生成物であるトリアミンの量が多くなりゲル化が発生するという問題がある。工程(iii)における固相重合反応の温度は、180〜270℃とすることが好ましく、200〜250℃とすることがより好ましい。
本発明の製造方法においては、工程(iii)において、重合開始から重合終了まで、生成するポリアミドの融点未満の温度が保たれるため、ポリアミド中のトリアミンの生成量を抑制することができる。つまり、従来のポリアミドの製造方法と比較すると、ポリアミド中のトリアミン量を低くすることができ、例えば、ジアミンに対して0.3モル%以下とすることができる。
工程(iii)における固相重合反応は、窒素などの不活性ガス気流中でおこなってもよく、減圧下でおこなってもよい。また、静置しておこなってもよく、攪拌しながらおこなってもよい。
工程(iii)における固相重合反応の反応時間は、十分に反応を進行させる観点から、反応温度に達してから0.5〜100時間が好ましく、0.5〜24時間がより好ましく、0.5〜10時間が特に好ましい。
工程(i)〜(iii)において、それぞれの反応温度まで加熱する際には、段階的に昇温させてもよく、あるいは一段階で昇温させてもよい。
本発明の製造方法においては、重合触媒を用いることが好ましい。触媒は、工程(i)、工程(ii)、工程(iii)いずれの工程で添加してもよいが、反応速度増大の観点から、工程(i)で添加することが好ましい。
重合触媒としては、特に限定されないが、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸またはそれらの塩等を用いることができる。触媒の使用量は、生成するポリアミドの品質向上の観点から、原料モノマーであるジカルボン酸とジアミンの合計のモル数に対して、2モル%以下が好ましく、1モル%以下がより好ましい。
本発明においては、重合度の調整、分解や着色の抑制等を目的として、末端封鎖剤を加えることが好ましい。末端封鎖剤は、工程(i)、工程(ii)、工程(iii)いずれの工程で添加してもよい
末端封鎖剤としては、末端基の反応性の観点から、モノカルボン酸、モノアミンが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。モノカルボン酸としては、酢酸、ラウリン酸、安息香酸等が挙げられる。モノアミンとしては、オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン等が挙げられる。
本発明の製造方法において用いられる装置としては、温度を制御でき、破砕手段を備えていれば、特に限定されない。
ポリアミドには、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてフィラーや安定剤等の添加剤を加えてもよい。添加剤としては、ガラス繊維や炭素繊維等の繊維状補強材、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤等が挙げられる。添加剤は、本発明における任意の段階で添加することができ、例えば、ポリアミドの重合時に添加してもよいし、得られたポリアミドに溶融混練してもよい。
上記のようにして得られたポリアミドの数平均分子量は、特に限定されず、目的に応じて適宜設定すればよい。例えば、成形加工が容易なポリアミドを得ようとすれば、数平均分子量を1万以上とすることが好ましい。
本発明の製造方法においては、工程(ii)において、得られるポリアミドの融点未満の温度で、塩の生成反応と、前記塩の重合による低重合体の生成反応とをおこないながら、生成した塩および低重合体を破砕している。そして、その後の工程(iii)において、破砕された状態で固相重合している。その結果、得られるポリアミドの形状を粉末とすることができる。また、固相重合に供するポリアミドの形状を粉末とすることで、生成するポリアミドの分子量分布を狭くできるという利点がある。
また、本発明の製造方法においては、工程(ii)で得られる破砕混合物の粒径を5mm以下とすることで、重合度斑が少なく重合でき、得られるポリアミドの分子量分布を4.0以下という狭い範囲に調整することができる。また、塩および低重合体の塊状化を防止することにより、その後の工程(iii)で得られるポリアミドの粒径を、5mm以下という範囲に制御することができる。得られるポリアミドの粒径が5mm以下であると、その後の加工などにおいての取扱性に優れるという利点がある。なお、得られるポリアミドの分子量分布の求め方は、後述の実施例において説明する。
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
各種の物性測定は以下の方法によっておこなった。
(1)モノマーの反応率
ポリアミド30mgにメタノール10mLを加え、懸濁液を作製した。この懸濁液を1時間放置し、ディスクフィルターで濾過し、試料溶液を作製した。その後、この試料溶液を質量分析計付帯のガスクロマトグラフィー装置(アジレント・テクノロジー社製、商品名「Agilent 6890N」)で分析した。そして、原料モノマーのジアミンを標準試料として作成した検量線を用いて、ポリアミド中の未反応ジアミンを定量し、ジアミンの反応率を計算した。
(2)体積平均粒径
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、商品名「LA920」)を用いて測定した。なお、破砕混合物の体積平均粒径は、工程(iii)直前にサンプリングしたものを用いた。
(3)数平均分子量、分子量分布
ポリアミド5mgに10mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有ヘキサフルオロイソプロパノール2mlを加えて溶解させ、ディスクフィルターで濾過し、試料溶液を作製した。この試料溶液を、示差屈折率検出器(東ソー社製、商品名「RI−8010」)を備えたゲル浸透クロマトグラフィ装置(GPC、東ソー社製)で分析した。溶離液として、10mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有ヘキサフルオロイソプロパノールを用いた。分析条件は、流速が0.4ml/min、温度が40℃であった。そして、ポリメチルメタクリレート(ポリマーラボラトリーズ社製)を標準試料として作成した検量線を用いて、重量平均分子量および数平均分子量を求め、(重量平均分子量)/(数平均分子量)の比を分子量分布とした。
(4)融点
サンプル10mgを、示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製、商品名「DSC−7」)を用いて、常温から600℃まで20℃/分で昇温し、5分間保持後、500℃/分で25℃まで降温し、5分間保持後、600℃まで20℃/分で昇温した。2回目の昇温時に得られた曲線の融解に由来するピークの頂点を融点温度とした。
(5)トリアミン量
ポリアミド10mgに47質量%臭化水素酸を3mL加え、130℃で20時間加熱後、蒸発乾固し、さらに80℃2時間減圧乾燥した。これにピリジン2mL、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド1mLを加え、90℃で30分加熱した。冷却後、メンブランフィルターで濾過した試料溶液を、質量分析計を備えたガスクロマトグラフィー装置(アジレント・テクノロジー社製、商品名「Agilent 6890N」)で分析した。ジアミンとトリアミンを標準試料として作成した検量線を用いて、ポリアミド中のジアミンとトリアミンを定量し、ジアミンに対するトリアミンのモル比を算出した。ジアミンの標準物質としては、原料のジアミンを用いた。また、トリアミンの標準物質としては、原料に用いたジアミンを、オートクレーブ中、酸化パラジウムを触媒として240℃で3時間加熱攪拌して反応させて得たトリアミン化合物を用いた。
実施例および比較例で用いた原料を以下に示す。
(1)ジカルボン酸
・テレフタル酸(融点:350℃以上)
・イソフタル酸(融点:350℃以上)
・4,4−ジカルボキシジフェニルエーテル(融点:329℃)
(2)ジアミン
・p−フェニレンジアミン(融点:135℃)
・m−フェニレンジアミン(融点:66℃)
・2,5−ジアミノレゾルシン(融点:214℃)
実施例1
[工程(i)]
ジカルボン酸としてテレフタル酸120.2g、ジアミンとしてp−フェニレンジアミン78.2g、触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物0.24g、末端封鎖剤として安息香酸1.39gからなる混合物(ジカルボン酸:ジアミン:触媒:末端封鎖剤=50:50:0.16:0.79、モル比)を、ダブルヘリカル攪拌翼を備えた容量500mLのオートクレーブ中、窒素雰囲気下、160℃、1時間、20rpmで攪拌した。オートクレーブの内容量に対する、原料の総仕込量は400g/Lであった。
[工程(ii)]
回転数を20rpmに保ったまま昇温し、2.6MPa、230℃で3時間保った。生成した塩および低重合体を0.04kW/kgの攪拌動力/仕込み量で攪拌しながら破砕し、その破砕混合物を得た。破砕混合物の体積平均粒径は、1.0mmであった。その後、反応により生じた水蒸気を放出し、常圧に戻した。
[工程(iii)]
回転数を変更せずに昇温し、窒素気流下、250℃に保ち、5時間後、粉末状のポリアミドを得、このポリアミドを評価に付した。表1に、使用したモノマー、工程(i)〜(iii)の製造条件、および得られたポリアミドの評価結果を示す。
Figure 0005627447
なお、表1中で用いた略語を以下に示す。
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
PPDA:p−フェニレンジアミン
MPDA:m−フェニレンジアミン
DA:2,5−ジアミノレゾルシン
DC:4,4−ジカルボキシジフェニルエーテル
実施例2
工程(ii)における回転数を5rpm、圧力を2.3MPa、攪拌動力/仕込み量を0.01kW/kgに変更した以外は、実施例1と同様に行って粉末状のポリアミドを得た。得られたポリアミドを評価に付した。表1に、使用したモノマー、工程(i)〜(iii)の製造条件、および得られたポリアミドの評価結果を示す。
実施例3
[工程(i)]
ジカルボン酸としてイソフタル酸120.2g、ジアミンとしてm−フェニレンジアミン78.2g、触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物0.24g、末端封鎖剤として安息香酸1.39gからなる混合物(ジカルボン酸:ジアミン:触媒:末端封鎖剤=50:50:0.16:0.79、モル比)を、ダブルヘリカル攪拌翼を備えた容量500mLのオートクレーブ中、窒素雰囲気下、100℃、1時間、20rpmで攪拌した。オートクレーブの内容量に対する、原料の総仕込量は400g/Lであった。
[工程(ii)]
回転数を20rpmに保ったまま昇温し、圧力を2.2MPa、230℃で3時間保ち、生成した塩および低重合体を破砕しながら0.03kW/kgの攪拌動力/仕込み量で攪拌し、その破砕混合物を得た。その後、反応により生じた水蒸気を放圧し、常圧に戻した。
[工程(iii)]
回転数を変更せずに昇温し、窒素気流下、250℃に保ち、5時間後、粉末状のポリアミドを得た。得られたポリアミドを評価に付した。表1に、使用したモノマー、工程(i)〜(iii)の製造条件、および得られたポリアミドの評価結果を示す。
実施例4
工程(i)において原料とともに水を8.0g加え、工程(ii)において、圧力を2.7MPaとした以外は、実施例3と同様に行って粉末状のポリアミドを得た。得られたポリアミドを評価に付した。表1に、使用したモノマー、工程(i)〜(iii)の製造条件、および得られたポリアミドの評価結果を示す。
実施例5
工程(i)において原料とともに水を14.0g加え、工程(ii)において、圧力を2.8MPaとした以外は、実施例4と同様に行って粉末状のポリアミドを得た。得られたポリアミドを評価に付した。表1に、使用したモノマー、工程(i)〜(iii)の製造条件、および得られたポリアミドの評価結果を示す。
実施例6
[工程(i)]
ジカルボン酸としてテレフタル酸107.7g、ジアミンとして2,5−ジアミノレゾルシン90.8g、触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物0.22g、末端封鎖剤として安息香酸1.25gからなる混合物(ジカルボン酸:ジアミン:触媒:末端封鎖剤=50:50:0.16:0.79(モル比))を、らせん型攪拌翼を備えた容量500mLのオートクレーブ中、窒素雰囲気下、230℃、1時間、25rpmで攪拌した。オートクレーブの内容量に対する、原料の総仕込量は400g/Lであった。
[工程(ii)]
回転数を25rpmに保ったまま昇温し、3.1MPa、250℃で3時間保ち、生成した塩および低重合体を0.07kW/kgの攪拌動力/仕込み量で攪拌しながら破砕し、その破砕混合物を得た。その後、反応により生じた水蒸気を放圧し、常圧に戻した。
[工程(iii)]
回転数を変更せずに、窒素気流下、270℃に保ち、5時間後、粉末状のポリアミド(ポリパラフェニレンベンズオキサゾール前駆体)を得た。これを、回転数は変更せずに、窒素気流下、300℃に昇温し、5時間後、粉末状のポリパラフェニレンベンズオキサゾールを得た。表1に、使用したモノマー、工程(i)〜(iii)の製造条件、および得られたポリアミドの評価結果を示す。
実施例7
[工程(i)]
ジカルボン酸として4,4−ジカルボキシジフェニルエーテル140.1g、ジアミンとしてp−フェニレンジアミン58.7g、触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物0.18g、末端封鎖剤として安息香酸1.05gからなる混合物(ジカルボン酸:ジアミン:触媒:末端封鎖剤=50:50:0.16:0.79、モル比)を、ダブルヘリカル攪拌翼を備えた容量500mLのオートクレーブ中、窒素雰囲気下、160℃、1時間、20rpmで攪拌した。オートクレーブの内容量に対する、原料の総仕込量は400g/Lであった。
[工程(ii)]
回転数を20rpmに保ったまま昇温し、圧力を2.6MPa、温度を230℃で3時間保ち、生成した塩および低重合体を破砕しながら0.04kW/kgの攪拌動力/仕込み量で攪拌し、その破砕混合物を得た。その後、反応により生じた水蒸気を放圧し、常圧に戻した。
[工程(iii)]
回転数を変更せずに昇温し、窒素気流下、250℃に保ち、5時間後、粉末状のポリアミドを得た。得られたポリアミドを評価に付した。表1に、使用したモノマー、工程(i)〜(iii)の製造条件、および得られたポリアミドの評価結果を示す。
実施例8
[工程(i)]
ジカルボン酸としてテレフタル酸120.2g、ジアミンとしてp−フェニレンジアミン78.2g、触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物0.24g、末端封鎖剤として安息香酸1.39gからなる混合物(ジカルボン酸:ジアミン:触媒:末端封鎖剤=50:50:0.16:0.79、モル比)を、パドル型攪拌翼を備えた容量500mLのオートクレーブ中、窒素雰囲気下、160℃、1時間、20rpmで攪拌した。オートクレーブの内容量に対する、原料の総仕込量は400g/Lであった。
[工程(ii)]
回転数を20rpmに保ったまま昇温し、圧力を2.6MPa、温度を230℃で3時間保ち、生成した塩および低重合体を破砕しながら0.02kW/kgの攪拌動力/仕込み量で攪拌し、その破砕混合物を得た。その後、反応により生じた水蒸気を放圧し、常圧に戻した。
[工程(iii)]
回転数を変更せずに昇温し、窒素気流下、250℃に保ち、5時間後、粉末状のポリアミドを得た。得られたポリアミドを評価に付した。表1に、使用したモノマー、工程(i)〜(iii)の製造条件、および得られたポリアミドの評価結果を示す。
実施例9
[工程(i)]
ジカルボン酸としてテレフタル酸120.2g、ジアミンとしてp−フェニレンジアミン78.2g、触媒として次亜リン酸ナトリウム−水和物0.24g、末端封鎖剤として
安息香酸1.39gからなる混合物(ジカルボン酸:ジアミン:触媒:末端封鎖剤=50:50:0.16:0.79、モル比)を、ダブルヘリカル攪拌翼を供えた容量500mLのオートクレーブ中、窒素雰囲気下、160℃、1時間、10rpmで攪拌した。オートクレーブの内容量に対する、原料の総仕込量は400g/Lであった。
[工程(ii)]
回転数を10rpmに保ったまま昇温し、圧力を2.6MPa、温度を230℃で3時間保ち、生成した塩および低重合体を破砕しながら0.04kW/kgの攪拌動力/仕込み量で攪拌し、その破砕混合物を得た。その後、反応により生じた水蒸気を放圧し、常圧に戻した。
[工程(iii)]
回転数を変更せずに昇温し、窒素気流下、250℃に保ち、5時間後、粉末状のポリアミドを得た。得られたポリアミドを評価に付した。表1に、使用したモノマー、工程(i)〜(iii)の製造条件、および得られたポリアミドの評価結果を示す。
比較例1
[工程(i)]
ジカルボン酸としてテレフタル酸120.2g、ジアミンとしてp−フェニレンジアミン78.2g、触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物0.24g、末端封鎖剤として安息香酸1.39gからなる混合物(ジカルボン酸:ジアミン:触媒:末端封鎖剤=50:50:0.16:0.79(モル比))を、アンカー型攪拌翼を備えた容量500mLのオートクレーブ中、窒素雰囲気下、160℃、1時間、20rpmで攪拌した。オートクレーブの内容量に対する、原料の総仕込量は400g/Lであった。
[工程(ii)]
回転数を20rpmに保ったまま昇温し、2.1MPa、230℃で3時間保ち、0.03kW/kgの攪拌動力/仕込み量で破砕せずに攪拌し、塩および低重合体の塊状物を得た。その後、反応により生じた水蒸気を放圧し、常圧に戻した。
[工程(iii)]
回転数は変更せずに、昇温し、窒素気流下、250℃に保ち、5時間、固相重合をおこなって塊状物のポリアミドを得た。そこで、ハンマーで叩いて取り出して評価に付した。表1に、使用したモノマー、工程(i)〜(iii)の製造条件、および得られたポリアミドの評価結果を示す。
比較例2
[工程(i)]
ジカルボン酸としてテレフタル酸120.2g、ジアミンとしてp−フェニレンジアミン78.2g、触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物0.24g、末端封鎖剤として安息香酸1.39gからなる混合物(ジカルボン酸:ジアミン:触媒:末端封鎖剤=50:50:0.16:0.79(モル比))を、パドル型攪拌翼を備えた容量500mLのオートクレーブ中、窒素雰囲気下、両方のモノマーの融点以下の温度である100℃、1時間、20rpmで攪拌した。オートクレーブの内容量に対する、原料の総仕込量は400g/Lであった。
[工程(ii)]
回転数を20rpmに保ったまま昇温し、1.8MPa、230℃で3時間保った。生成した塩および低重合体を0.03kW/kgの攪拌動力/仕込み量で攪拌しながら破砕し、その破砕混合物を得た。破砕混合物の体積平均粒径は、1.4mmであった。その後、反応により生じた水蒸気を放出し、常圧に戻した。
[工程(iii)]
回転数を変更せずに昇温し、窒素気流下、250℃に保ち、5時間後、粉末状のポリアミドを得、このポリアミドを評価に付した。表1に、使用したモノマー、工程(i)〜(iii)の製造条件、および得られたポリアミドの評価結果を示す。
比較例3
ジカルボン酸としてテレフタル酸120.2g、ジアミンとしてp−フェニレンジアミン78.2g、触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物0.24g、末端封鎖剤として安息香酸1.39gからなる混合物(ジカルボン酸:ジアミン:触媒:末端封鎖剤=50:50:0.16:0.79(モル比))を、パドル型攪拌翼を備えた容量500mLのオートクレーブ中、窒素雰囲気下、両モノマーの融点未満である130℃で、0.01MPa、5時間、0.01kW/kgの攪拌動力/仕込み量、20rpmで装置内容物を破砕しながら攪拌したが、塩は生成しなかった。そのため、重合反応は進行しておらず(つまり、低重合体が得られておらず)、モノマー混合物のままであった。表1に、使用したモノマー、工程(i)〜(iii)の製造条件を示す。
実施例1〜9はいずれも、反応途中で内容物が塊状化することなく、ポリアミドを粉末状で得ることができた。得られたポリアミドは数平均分子量が10000以上であり、分子量分布が4以下と狭いものであった。また、ポリアミド中に含まれるトリアミン量が0.3モル%以下と小さいものであった。
特に、実施例1、3〜5、7、9は、攪拌動力を常に0.02kW/kg以上に制御したため、体積平均粒径が1.5mm以下の粉末状のポリアミドを得ることができた。
実施例2は、攪拌動力が0.02kW/kg未満であったため、得られたポリアミドの体積平均粒径および分子量分布に改善の余地を残す結果となった。
実施例4は、反応容器への仕込み時に、系内へ水が添加されていた。しかし、水の添加量が4質量部であり本発明の好ましい範囲であったため、トリアミンの生成量は低く抑えられていた。
実施例5は、反応容器への仕込み時における系内への水の添加量が7質量部であり、本発明の好ましい範囲よりも多かったため、トリアミンの生成量に改善の余地を残す結果となった。
実施例6は、攪拌翼の形状がらせん型であったため、ダブルヘリカル攪拌翼を用いた場合と比較して、破砕混合物の体積平均粒径が大きくなった。
実施例8は、攪拌翼の形状がパドル型であったため、ダブルヘリカル攪拌翼を用いた場合と比較して、破砕混合物の体積平均粒径が大きくなった。
比較例1は、攪拌翼の形状がアンカー型であったため、工程(ii)において塩や低重合体を破砕することができず、そのまま次の工程(iii)にて固相重合に付した。そのため、オートクレーブ内で内容物が塊状化しており、粉末状で樹脂を取り出すことができなかった。そこで、ハンマーで叩いて取り出して評価に付したが、ポリアミドの分子量分布は広く、トリアミン量が多かった。
比較例2は、工程(i)の混合温度を両方のモノマーの融点未満としたため、生成ポリアミドの分子量は低く、分子量分布も広くなった。また、トリアミン量が多かった。
比較例3は、工程(i)の混合温度を両方のモノマーの融点未満としたため、塩が生成しなかった。そのため、その後の工程(ii)および(iii)における重合反応が進行しなかった。

Claims (4)

  1. 以下の工程(i)〜(iii)を、この順に含むことを特徴とする、芳香族ジカルボン酸および芳香族ジアミンを主成分とするポリアミドの製造方法。
    工程(i):モノマーとしての芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとを、融点の低い方のモノマーの融点以上の温度で混合し、混合液を得る工程。
    工程(ii):工程(i)で得られた混合液において、生成するポリアミドの融点未満の温度で、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとの反応による塩の生成および前記塩の重合による低重合体の生成をおこないながら、生成した塩および低重合体を、体積平均粒径が7mm以下になるように破砕し、塩および低重合体の破砕混合物を得る工程。
    工程(iii):工程(ii)で得られた破砕混合物を、生成するポリアミドの融点未満の温度で、固相重合する工程。
  2. 生成するポリアミドの融点が250℃以上であることを特徴とする請求項1記載のポリアミドの製造方法。
  3. 工程(i)を、モノマーとしての芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとの合計100質量部に対して、5質量部以下の水および/または有機溶剤の存在下でおこなうことを特徴とする請求項1または2に記載のポリアミドの製造方法。
  4. 工程(ii)を、0.11MPa以上の圧力下でおこなうことを特徴とする請求項1〜いずれかに記載のポリアミドの製造方法。
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