以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照しつつ詳説する。
図1〜図4、図5〜図8及び図9〜図12はそれぞれ異なる状態のコンバインを示すものである。このコンバインは走行車体1に左右一対の走行クローラ2,2を備え、後部に搭載した脱穀装置3の前側に刈取部4を設置し、刈取部4の横側には運転席5や操作ボックス6等の運転操作部を備え、更に、その運転操作部の後方には脱穀粒を一時的に貯留するグレンタンクGを装備している。
刈取部4は、圃場に植立する穀稈を左右に分草する分草体7,7…と、分草後の穀稈を引起経路Kに沿って引き起す4条の殻稈穀稈引起装置8,8…と、引起し後の穀稈の株元近くを切断して穀稈を刈り取る公知のバリカン型刈刃装置9と、引起し時の穀稈を刈刃装置9側に誘導し、刈取後の穀稈を後方に掻き込む掻込装置10と、掻込装置10で掻込まれた掻込み穀稈を脱穀部(3)の前側に位置する合流部Jへ移送して合流させる前部搬送装置12L,12Rと、合流部Jからの合流穀稈を引き継いで後方の脱穀部3に向けて揚上搬送する後部搬送装置13,14,19等を有するものである。刈取部4で刈り取られた穀稈は、これら前後の搬送装置により後方へ搬送され、且つその搬送過程で姿勢変更された後、脱穀部3のフィードチェン3Fに引き渡され脱穀される。脱穀部3は公知の構成を採用することができる。
刈取部4について更に詳細に説明する。刈取部4は、走行車体1前部の刈取懸架台22に袈設された刈取入力軸23を支点として上下に回動する刈取フレーム21により支持され、刈取昇降シリンダ24の伸縮作動により昇降するようになっている。刈取フレーム21は、入力軸23から前方に斜め下向きに突出するメインフレーム21Mと、このメインフレーム21Mの先端部から左右両側に延在する横フレーム21Hと、この横フレーム21Hの両端部から掻込装置10を通り引起装置8の背後に向かうように立設され、引起装置8を支持するとともに掻込装置10及び引起装置8に掻き込みのための駆動力及び引起しのための駆動力をそれぞれ伝動する縦フレーム21Vと、メインフレーム21Mの先端部から前方に突出し、刈刃装置9を支持するするとともに刈刃装置9に刈取のための駆動力を伝動する先端部フレーム21Pとを有している。これら各フレーム21M,21H,21V,21Pには駆動軸が内装されており、入力軸23に入力される動力は、ギヤにより連動する各フレーム21M,21H,21V,21Pの駆動軸を介して各部へ伝動されるようになっている。
図2の他、図33〜図34に示すように、右端の引起装置8の背後に立設された縦フレーム21Vには、注油タンク90と、注油先を変更する切換コック91と、注油タンク90内の油を切換コック91により定まる注油先へ送出する手動ピストン式のオイルポンプ92と、その駆動力を付与するための手動のレバー93とを備えている。注油タンク90とピストンオイルポンプ92とはホース92hで接続され、ピストンホイルポンプ92と切換コック91とはホース91hで接続され、切換コック91の出側には、刈刃装置9等の刈取部4内の器具へ注油する注油ホース93h,94hが接続されている。そして、これらの注油具は縦フレーム21Vに沿って集中的に取り付けられている。
穀稈引起装置8は、前後に分割可能な前後の引起ケース8A,8Bと、この引起ケース8A,8Bに内装された、図示しない駆動スプロケット及び従動輪に巻き掛けられて駆動される無端の引起チェンと、この引起チェンに所定の間隔で取り付けられた引起ラグ8rとを有している。引起ラグ8rは、引起しチェンの駆動に伴って後斜め上方に上昇移動する際、引起ケース8A,8Bから引起経路K側の側方に突出して穀稈を引き起すものである。前側引起ケース8Aは、後側引起ケース8Bに対し着脱自在に取り付けできる構成としてあり、上方に引き上げると係止ロック状態が解除され前側に取り外しできるようになっている。各前側引起ケース8Aの前面は、上端部8uがその下側よりも傾斜の緩い(垂直面に対する上端部8u前面の傾斜角が下端側より大きく)後方傾斜姿勢となるよう屈曲形成されていて、図1に二点鎖線でオペレータの視線を示すように、着座姿勢での作業における分草位置近傍の視界が良好となり、起立姿勢での作業においては分草位置が良く見えるように構成している。符号8cはこの屈曲位置を示している。
各掻込装置10は、掻込ケース10cと、その下側に前後方向に間隔を空けて軸支された駆動輪10y及び従動輪10zと、これらに巻き掛けられた、掻込ラグ10rを有する無端状の掻込ベルト10bと、駆動輪の下側にドラム10dを介して同軸的に取り付けられた掻込スターホイル11a〜11dとを有している。
掻込スターホイル11a〜11dとしては、左側に架設されて2条分の穀稈を掻き込む左右一対の掻込スターホイル11a,11bと、右側に架設されて2条分の穀稈を掻き込む左右一対の掻込スターホイル11c,11dとがそれぞれ対向配置されており、左端及び右端の掻込スターホイル11a,11dには縦フレーム21Vから駆動力が入力され、その駆動力が対をなす掻込スターホイル11b,11cに対して相互の噛み合いにより伝達されるようになっている。
掻き込み装置11で掻込まれた穀稈は、前部搬送装置12L,12Rに引き継がれて後方に搬送され終端側で合流される。前部搬送装置12L,12Rは、左側の一対の掻込スターホイル11a,11bにより掻き込まれる穀稈を合流部Jへ搬送する左側前部搬送装置12Lと、右側の一対の掻込スターホイル11c,11dにより掻き込まれる穀稈を合流部Jへ搬送する右側前部搬送装置12Rとから構成されている。各前部搬送装置12L,12Rは、左端及び右端の掻込スターホイル11a,11dの駆動軸10xに取り付けられた駆動スプロケット10vと、合流部J各側に設けられた従動輪10uとに巻き掛けられた無端状の左側及び右側搬送チェン12c,12cと、中央側の掻込スターホイル11b,11cの≡き込み部位から搬送チェンの穀稈接触側に沿うように湾曲する固定挟持部材12s,12sとを備え、左側及び右側搬送チェン12c,12cと固定挟持部材12s,12sとの間で穀稈を挟持搬送する構成となっている。また、合流部Jまでの移送距離が長い右側前部搬送装置12Rの右側搬送チェン12cにおける穀稈接触側には、固定挟持部材12sの移送終端部から合流部Jまで、ピアノ線等の棒材からなる弾性変位可能な挟持ガイド部材12f,12bが前後に分割して対設されており、この区間では右側搬送チェン12cと挟持ガイド部材12f,12bとの間で穀稈を挟持搬送する構成となっている。左側及び右側搬送チェン12cの従動輪12zは、付勢手段12tにより搬送チェン12cに押し付けられており、その付勢力の調整により搬送チェン12cのテンションを調整できるようになっている。
なお、本実施例では、左側の掻込スターホイル11a,11bは外径が同径であり、右側の掻込スターホイル11c,11dのうち、外側の掻込スターホイル11dは左側の掻込スターホイル11a,11bの外径と同径とされ、内側の掻込スターホイル11cのみ外側の掻込スターホイル11dよりも外径が小さくなるよう小径に構成されている。そして、小径の掻込スターホイル11cは、回転軸心を前側に寄せることによってこの前端が各掻込スターホイル11a,11b,11dの前端に対し略横方向同一ライン上に位置するよう配置されている。このように、大径の掻込スターホイルと小径の掻込スターホイルを組み合わせた刈刃装置11では、刈取部4の全長を短くしながら、搬送通路を広げ、良好な穀稈搬送を行える利点があるものの、異径の噛み合い部において同径の噛み合い部よりも隙間が大きくなり、引起装置などの作用によって穀稈が上方に引き抜かれるため、大小径掻込スターホイルと同径掻込スターホイルとによって掻き込まれる穀稈に対しては株元側に上下の不揃いが発生するおそれがある。また、後述する後部搬送装置13,14,19における穂先側搬送装置13,14の穂先搬送ラグ13r,14rの軌跡が、外側掻込搬送部14よりも内側掻込搬送部13の方が低く且つ急傾斜となる場合や、穂先搬送ラグ13r,14rの移動速度が、外側掻込搬送部14よりも内側掻込搬送部13の方が速い場合にも、同様の不揃い問題が発生するおそれがある。そこで本実施例では、掻込後の穀稈を引き継いで後方に搬送する左側及び右側前部搬送装置12L,12Rの終端側合流部Jでは、左側前部搬送装置12Lにおける左側搬送チェン12cの終端に対して右側前部搬送装置12Rにおける右側搬送チェン12cの終端部が下方に位置するように所定の段差H(H=H1−H2)を設けた構成としている(図18、図19参照)。これにより、右側の掻込スターホイル11c,11dによる掻込時に穀稈が上方に引き抜かれても左側及び右側前部搬送装置12L,12Rの搬送終端位置において、穀稈の株揃いを修正して後方に搬送することができ、脱穀及び選別性能を良好に保つことができる。
また、右側前部搬送装置12Rにおける右側搬送チェン12cに対接する挟持ガイド部材12f,12bは、始端側の固定挟持部材12sに続く前側挟持ガイド部材12fと、搬送チェン終端位置まで延設された後側挟持ガイド部材12bとからなり、これら前後のガイド部材12f,12bが搬送方向前後に大きくラップし、かつ、上下に位置をずらした状態に配置されている(図20、図21参照)。さらに、図示例では、後側挟持ガイド部材12bが下側に位置するとともに、前側挟持ガイド部材12fよりも太く構成されている。これにより右側前部搬送装置12Rにおける右側搬送チェン12cの搬送始端側から終端部までに亘って確実に穀稈を挟持して搬送することができ、稈零れを防ぎ、搬送姿勢を安定させることができる。
本実施例の後部搬送装置13,14,19は、上下2段に配置された穂先側搬送装置13,14及び株元側搬送装置19から構成されている。穂先側搬送装置13,14は、その搬送経路における右側に設けられた内側掻込搬送部13と、その反対側に着脱自在に取り付けられた外側掻込搬送部14とから構成されている。内側掻込搬送部13は、合流部J以降の搬送経路の入口右側に軸支された右側スターホイル13wと、この右側スターホイル13wの上側において右側スターホイル13wの回転軸とともに回転する中間スプロケット13mと、中間スプロケット13mの上流側(合流部J側)に離間して配置された上流側従動輪13zと、中間スプロケット13mの下流側に離間して配置された下流側駆動スプロケット13yと、これらに巻き掛けられた、多数の掻込ラグ13rを有する無端状の右側掻込チェン13cとを備えている。一方、外側掻込搬送部14は、合流部J以降の搬送経路の入口左側に軸支された左側スターホイル14wと、この左側スターホイル14wの上側において左側スターホイル14wの周方向に所定の間隔で軸支された多数の左側掻込ラグ14rとを備えている。また、外側掻込搬送部14からは、穀稈の穂先側を右側搬送装置13側へ誘導する棒状のガイド部材14a,14b,14cが、搬送方向に間隔を空けて左右スターホイル13w,14wによる掻込位置直後と、それ以降とにそれぞれ設けられている。
内側掻込搬送部13の下流側駆動スプロケット13yに駆動力が入力されることにより、右側掻込チェン13cが周回し、その駆動力は中間スプロケット13mを介して右側スターホイル13wに入力され、更に左右スターホイル13w,14wの噛み合いにより外側掻込搬送部14の左側スターホイル14wに伝動され、左側スターホイル14wの回転に伴い左側掻込ラグ14rが回転するようになっている。またその際、左側掻込ラグ14rは合流部Jから左右スターホイル13w,14wの噛み合い部にかけて突出し、噛み合い部以降は左側ケース14d下に隠れ、一方、右側掻込チェン13cの掻込ラグ13rは上流側従動輪13zから左右スターホイル13w,14wの噛み合い部にかけて突出し、噛み合い部以降は右側ケース13d下に隠れるようになっている。
他方、株元側搬送装置19は、右側スターホイル13wの下側において中間スプロケット13mの駆動軸に取り付けられた株元側第1スプロケット19yと、脱穀部3のフィードチェン3Fへの引継ぎ部近傍に設けられた株元側第2スプロケット19zと、これらに巻き掛けられた無端状の株元側移送チェン19cと、左右スターホイル13w,14wによる掻込位置から株元側第2スプロケット19z側の株元側移送チェン19cの方向変化位置まで、株元側移送チェン19cに沿うように外側掻込搬送部13の下側部分に設けられた挟持杆19sと、この挟持杆19sの終端部に設けたステーから脱穀部3のフィードチェン3Fへの引継ぎ部まで、株元側移送チェン19cに沿うように外側掻込搬送部13の下側部分に設けられた、ピアノ線のような棒材からなる弾性変位可能な挟持ガイド部材19gとを備えており、これら株元側移送チェン19cと挟持杆及び挟持ガイド部材19gとにより穀稈を挟持搬送する構成となっている。
また、後部搬送装置13,14,19は、刈取部4のメインフレーム21Mに対して着脱可能に取り付けられている。より詳細には、図24に示すように、エンジンの駆動力は入力プーリ23pを介して伝動ケース23cに内装された横方向入力軸23に入力され、その駆動力は、この入力軸23の中間部からベベルギヤ25a,25bを介してメインフレーム21M内の駆動軸26に伝動され、引起装置6等が駆動されるとともに、入力軸23の先端部からギヤ25c,25dを介して、後部搬送装置13,14,19側へ向かって斜め上方へ向かう伝動スリーブ27内の伝動軸27mに伝動され、後部搬送装置13,14,19が駆動されるようになっている。後部搬送装置13,14,19の下流側駆動スプロケット13zの駆動軸13xを軸支するギヤケース13gには、伝動スリーブ27を着脱自在に挿入する支持筒部13pが設けられており、この支持筒部13pを挿入した状態でピン13qを伝動スリーブ27外周面に設けた溝27dに挿入することにより両者を連結できるようになっている。そして、連結状態では伝動スリーブ27内の駆動軸27mからベベルギヤ25e,25fを介して下流側駆動スプロケット13zの駆動軸13xに伝動可能となるとともに、後部搬送装置13,14,19が伝動スリーブ27により支持されるようになる。また、ピン27pを外して伝動スリーブ27からギヤケース13gを後部搬送装置13,14,19ごと抜き出すことにより、後部搬送装置13,14,19を機体外側方へ抜出すことができる。
さらに、後部搬送装置13,14,19の穂先側搬送装置13,14のうち、外側掻込搬送部14は内側掻込搬送部13に対して着脱自在に取り付けられている。より詳細には、図22、図23、図25、図26に示すように、後部搬送装置13,14,19の下側から右側及び上側を迂回して左側に至る支持フレーム13fが設けられ、この支持フレーム13f先端部に設けられた支持ステー13sの左側に、ロックプレート30がボルト及びナット31により固定されている。このロックプレート30は、表裏方向に貫通する横長形状のロック孔32と、左側面におけるロック孔32より後方側に突設された、先端部に周方向に沿う溝33dを有するロックピン33とを備えたものである。特に図示例のロック孔32は、横方向一方側に向かうにつれて幅が狭くなるカム形状を有している。また、外側掻込搬送部14は、左側スターホイル14w等を支持する支持フレーム14fと、この支持フレーム14fの基端部に設けられた取付プレート40と、この取付プレート40に形成されたロックピン用貫通孔41及びロックレバー用貫通孔42とを備えている。外側掻込搬送部14の取付プレート40は、内側掻込搬送部13のロックプレート30に重ね合わせる部分であり、重ね合わせた状態で、ロックピン33がロックピン用貫通孔41を貫通し左側に突出し、ロック孔32とロックレバー用貫通孔42と重なるようになっている。さらに、取付プレート40をロックプレート30にロックするための手段としてロックレバー45を備えている。このロックレバー45は、回動軸46と、回動軸46の先端部に径方向に突出するように設けられたピン部46pと、回動軸46の軸方向中間の角軸部分46rがその軸方向に移動可能に挿入嵌合されるカラー47cと、回動軸46の基端部に螺合されたナット47nと、このナット47nとカラー47cとの間に挟まれたバネ部材47bと、カラー47cの外周面に径方向に突出するように設けられたレバー部48と、このレバー部48に設けられたロックピン用係合溝49とを備えたものである。
固定に際しては、外側掻込搬送部14の取付プレート40を、内側掻込搬送部13のロックプレート30に重ね合わせ、ロックピン33をロックピン用貫通孔41に貫通させて左側に突出させ、ロック孔32とロックレバー用貫通孔42とを重ねた状態で、ロックレバー45の回動軸46を、取付プレート40のロックレバー用貫通孔42から挿入し、先端部のピン部46pをロックプレート30のロック孔32に挿入した後、レバー部48を把持して回動軸46を中心としてロックピン33側に回動し、ロックピン用係合溝49をロックピン33に係合させるとともに、回動軸46のピン部46pをロック孔32と重ならない位置に回動させ、ロック状態とする。このとき、回動軸46はバネ材47bにより引き抜き方向に付勢されて、ピン部46pがロックプレート30の右側面に押し付けられるとともに、レバー部48がロックピン33に係合しているため、逆戻りして外れるといった事態は起こり難い。解除に際しては逆の手順となる。すなわち、レバー部48を把持して回動軸46を中心としてロックピン33側と反対側に回動し、ロックピン用係合溝49をロックピン33から抜くとともに、回動軸46のピン部46pをロック孔32と重なる位置に回動させた後、回動軸46をロック孔32及びロックレバー用貫通孔42から引き抜くことで、取付プレート40とロックプレート30との固定を解除することができ、これにより図29に示すように外側掻込搬送部14を内側掻込搬送部13に対して取り外すことができる。
図25及び図26に示す例では、レバー部48にロックピン用係合溝49を設けているが、これに代えて、図27及び図28に示すように、ロックピン用係合溝49を有する回動プレート49Pと、レバー部48とを別々に設けることもでき、その場合の固定及び解除方法は図24及び図25に示す例と同様である。また、図27及び図28に示す例において、ロックピン用係合溝49や回動プレート49Pを設けずに、ロックピン33先端部の溝33dにヘヤーピンを取り付けて固定しても良い(図示略)。
さらにまた、後部搬送装置13,14,19はその始端側を、図30に示すように一体で上下に位置変更することによって脱穀部3の扱室内への扱ぎ深さが穀稈の長短に応じて変更調節されるようになっている。より詳細には、図31及び図32に示すように、走行車体2のシャシーフレーム2Fの前部上側に設けた刈取懸架台22に、正逆回動制御される駆動モータ28mが設けられ、この駆動モータ28mの横向き回転駆動軸に駆動アーム28aが設けられ、この駆動アーム28aの先端部が前方に延在する連結アーム28rの基端部と下接続ピン28pで回動自在に連結されている。一方、刈取懸架台22の前部には、後部搬送装置13,14,19(の株元側搬送装置19)を下側から支持する支持アーム29の基端部が取付ピン29pで回動自在に連結されており、この支持アームの先端側部分に連結アーム28rの先端部が取付ピン29qで回動自在に連結されている。これにより、駆動モータを正逆回転制御すると、それに応じて連結アーム43bが前後方向にスイングし、支持アームを介して後部搬送装置13,14,19が支持アームの回動中心周りに一体的に上下回動し、容易に稈長適応を図ることができる。特に、後部搬送装置13,14,19の最下げ位置で、穂先側搬送装置13,14始端部の穂先ラグ13rと株元側搬送装置19始端部とを結ぶラインA(図23参照)が右側前部搬送装置12Lの搬送チェン12c上面ラインと平行で且つ接近可能に配置構成することで、引継ぎ性能が向上し、短稈適応性も向上する。
(アッパーカバー)
各穀稈引起装置8の上部は、左右横方向に長く構成されたアッパーカバー15によって被覆される構造になっている。アッパーカバー15は金属板により形成する他、ポリカーボネート等のプラスチック板により形成することも可能であり、その場合透明又は半透明にしてアッパーカバー15越しの視認性を確保するのも好ましい。
アッパーカバー15は、穀稈引起装置8の引き起し経路Kに沿って上昇する引起ラグ8rの上昇軌跡の上方延長線上に配置し、前側引起ケース8Aの上端側8u前面をカバーする状態と、上昇移行する引起ラグ8rにおける引起経路Kの上方をカバーする状態とに、前後方向の傾斜姿勢を変更自在に構成されている。そして、このアッパーカバー15の姿勢変更手段として、前後上下のスライド構成とすることもできるが、本実施例では図1〜図3に示されるように、左端及び右端の穀稈引起装置8の背部側に支持ステー8s,8sがそれぞれ立設されるとともに、これら支持ステー8s,8s間に左右横方向に延在するアッパーカバー支軸16が袈設され、アッパーカバー15はこのアッパーカバー支軸16を回動支点として上下に揺動開閉するよう揺動開閉自在に構成されている。アッパーカバー15の上方への開側が引起経路Kの上方をカバーする姿勢変更状態(開姿勢)であり、下方への閉側が前側引起ケース8Aの上端側8u前面をカバーする姿勢変更状態(閉姿勢)となる。アッパーカバー15の開閉は、回動支点付近に設けた引張スプリング17により、アッパーカバー支軸16の支点に対してスプリング張力方向を閉側と開側とに切り替え可能な構成になっていて、ワンタッチで揺動開閉することができる。
また、特に図35及び図36に示すように、縦フレーム21V(支持フレーム)の上端部には連結部材21sが立設されており、この連結部材21sの上端部には支持ステー8sの下端部が連結されている。つまり、これら支持ステー及び連結部材21sは一体的なカバー支持部として縦フレーム21Vに連結され、頑強な縦フレーム21Vを支えとしてアッパーカバー15を支持することになるため、アッパーカバー15が強固に支持され、コンバイン使用時のアッパーカバー15の不要な振動を効果的に防止できる。また、本実施例では支持ステー8sの下端部は引起装置8にも連結されている結果として、縦フレーム21Vと引起装置8とが直接連結されるだけでなく、アッパーカバー15を支持する支持ステー8s及び連結部材21sを介して間接的に連結されるため、引起装置8を強固に支持することができ、引起装置8の不要な振動も防止できるようになる。
上述のアッパーカバー15を備えたコンバインにおいては、刈り取り作業に際して分草後の穀稈が、図45に示すように、穀稈引起装置8の引起ケース8A,8Bから引起経路K内に突出して上昇する引起ラグ8rが株元側から穂先側にかけて作用することで引き起こされる際、引起し作用によって穀粒等が運転席5のオペレータに向かって飛散することがあるが、アッパーカバー15を例えば穀粒等の飛散方向と交差する開姿勢に姿勢変更することにより、引起ラグ8rにより飛び散る穀粒等をアッパーカバー15によって効果的に遮ることができる。
アッパーカバー15は、平板状のもの等、適宜の形状とすることができるが、本実施形態のように、上面カバー部15aと後面カバー部15bとからなるように側面視で略への宇型に形成されていると、上面カバー部15aの下面部で穀粒等の上方への飛散を阻止し、後面カバー部15bの下面部で穀粒等の後方上方への飛散を阻止することができ、従って、運転席5への穀粒等の飛散を確実に防止することができるようになるため好ましい。
アッパーカバー15は、開状態において上面カバー部15aが引起ラグ8rの上昇軌跡の上方延長線と交差する配置が好ましいが、後面カバー部15bが引起ラグ8rの上昇軌跡の上方延長線と交差する配置とすることも可能である。また、アッパーカバー15を引起ラグ8rの上昇軌跡の上方延長線から後方側にずらし、後述する調節体50をそのカバー範囲の前方拡大により引起ラグ8rの上昇軌跡の上方延長線上に位置させる構造とすることも可能である。
本実施形態の多条刈りコンバインのように、左右方向中間の引起装置の左右両側に引起経路をそれぞれ有する場合、当該引起装置の下部前方の分草体により隣接条の穀稈は分離されて左右の各引起経路に導入される。しかし、穀稈が長稈の場合等においては、図6に示すように隣接条の穀稈の穂先が絡んで分離されずに当該引起装置を跨いでクロスしたまま刈刃装置9により刈り取られ、後方に搬送されることがある。この際、当該引起装置8の上端とアッパーカバー15とが接触していると、当該引起装置8を跨ぐクロス部分がこの接触部分に引っ掛かり後方に通過できずに詰まってしまう。また、穀稈の搬送力により穂先の絡みが無理に解けたとしても、穂先相互のしごき作用又はアッパーカバー15と引起ケース8A,8Bとの隅部によるしごき作用により穂先の穀粒が脱粒することは避け難い。よって、左右方向中間の穀稈引起装置8の左右両側に引起経路をそれぞれ有する場合、図6〜図8に示すように、少なくとも当該穀稈引起装置8の上端とアッパーカバー15との間に穀稈通過空間15sが確保される構造とし、この穀稈通過空間15sにより左右両側の引起経路を繋ぐことにより、穀稈の穂先部分がクロスしていてもそのまま後方に通過する構造とするのが好ましい。このような穀稈通過空間15sは、アッパーカバー15の姿勢如何によらず形成される構造とすることも可能であるが、その場合、アッパーカバー15の位置が高くなり前方視界の妨げとなるため、アッパーカバー15を開姿勢としたときにのみ形成される構造とする方が好ましい。
穀稈が倒伏状態で絡みあうような圃場状態で効果的に引起しを行うために、図41及び図42に示すように、穀稈引起装置8の前方位置に、補助引起ラグ62を前方に突出させながら倒伏状態で絡みあう穀稈に対して左右に分割しながら引起し回動する補助引起装置60を取り付けることがある。補助引起装置60は、補助引起ケース61と、この補助引起ケース61に内装された、図示しない駆動スプロケット及び従動輪に巻回されて駆動される無端の補助引起チェンと、この補助引起チェンに所定の間隔で取り付けられた補助引起ラグ62とを有している。補助引起ラグ62は、補助引起しチェンに伴って後斜め上方に上昇移動する際、補助引起ケース61から前方に突出して穀稈を左右に分割しながら引き起すものである。このような状況における作業では、穀粒や泥土が運転席5側へ跳ね易いため前述のアッパーカバー15を設けるのが好ましいが、隣接条の穀稈の穂先が絡んで分離されずに補助引起装置60及び穀稈引起装置8を跨いでクロスしたまま搬送される現象が発生し易い。よって、特にこのような補助引起装置60を設ける場合は、図示するように前述の穀稈通過空間15sを補助引起装置60の補助引起ラグ62の作用域よりも上方に設け、補助引起装置60及び穀稈引起装置8で引起した穀稈を穂先部分がクロスしていてもそのまま後方に通過するように構成するのが好ましい。
穀稈引起装置8の左右両サイドには、刈取部(4)の左右両側面を覆うサイドカバー18,18が設けられている。これらサイドカバー18,18は、上部サイドカバー18aと下部サイドカバー18bとに分割され、上部サイドカバー18aは、下部サイドカバー18bに対して上側面及び外側面上に重合し、アッパーカバー15と連結により一体化され、アッパーカバー15と共に上下に揺動開閉可能に構成されている。アッパーカバー15と上部サイドカバー18aとは単一のカバー部材として形成しても良い。これにより、上部サイドカバー18aをハンドル代わりにして、上部サイドカバー18aとともにアッパーカバー15を揺動させることができため、専用のハンドルを設けなくてもアッパーカバー15の姿勢変更操作を容易に行うことができるようになる。また、本実施例では、アッパーカバー15及び上部サイドカバー18aを上方に回動させないと、前側引起ケース8A及び下部サイドカバー18bの取り外しができなくなっているため、アッパーカバー15及び上部サイドカバー18aは、その下方への閉動によって前側引起ケース8A及び下部サイドカバー18bをロックするロック機構の役目を果たす構造になっている。よって、上部サイドカバー18aの下部に重合した下部サイドカバー18bの着脱が簡単に行え、刈取部4のメンテナンスも容易である。
特徴的には、左側(後部搬送装置13,14,19よりも外側)に位置するサイドカバー18の後縁に、上部サイドカバー18aから下部サイドカバー18bにかけて、側面視で前方に凹む連続的な凹形状部18uが形成されている。このため、この凹形状部18uを作業空間として、また内部機器の出し入れのための通路として利用でき、メンテナンス性が向上し、特に前述した外側掻込搬送部14の左側方への脱着を容易に行うことができるようになる。また、右側のサイドカバーの後縁にも同様の凹形状部18uを設けることにより、この凹形状部を前述の注油タンク39の交換作業や、切換コック39c又は手動ピストンオイルポンプ39aの操作のための空間又は通路として利用でき、注油関連のメンテナンス性も向上するようになる。
凹形状部18uは適宜の形状とすることができ、く字状であっても良いが、図示例のようなコ字状とするのが好ましい。図示例では、下部サイドカバー18bの後縁は、下部サイドカバー18bの上下方向中間位置(特に後部搬送装置13,14,19の姿勢を最も下にしたときの先端の高さ位置又はその近傍が好ましい)から上方に向かうにつれて前方に向かって前斜め上向きに延在した後、向きを上方よりに変更して上端まで延在する形状を有しており、上部サイドカバー18aの後縁は、下端から上端に向かうにつれて後方に向かう後斜め上向きに延在する形状を有しており、上部サイドカバー18aの後縁と下部サイドカバー18bの後縁が合わさって連続的な凹形状部18uが形成されている。
凹形状部18uは、アッパーカバー15を開状態にしたときのみ、あるいは閉状態にしたときのみ、あるいは中間の状態にしたときのみ、凹形状が確保され、他の状態では消失する構成としても良いが、アッパーカバー15の姿勢に関係なくメンテナンス性を向上させるため、図示例のように、アッパーカバー15の姿勢変更に伴う上部サイドカバー18aの姿勢変更範囲内では、サイドカバー18の後縁における凹形状18u部が消失することなく維持されるように、上部サイドカバー18a及び下部サイドカバー18bの形状、支持構造を構成するのが好ましい。さらに、凹形状部18uは、後部搬送装置13,14,19の姿勢に関係なく維持される構造、つまり後部搬送装置13,14,19とアッパーカバー15とが連動してアッパーカバーの姿勢が変化しても凹形状部18uが消失することがないように構成するのが好ましい。
図39及び図40に示すように、アッパーカバー15を揺動開閉するためのハンドル15Hをアッパーカバー15に取り付けることも可能である。このハンドル15Hは、運転席5からアッパーカバー15を揺動操作できるように、アッパーカバー15の運転席5に近い部位、例えば運転席5前方の部位から上方に突出しているのが好ましい。
また、図2に示すように、運転席5の前方にサイドカバー18が位置するとともに、運転席5の前部にオペレータが体を支えるため及び操作レバー6Lに腕をのせるため等に用いられる手摺り5Hが設けられている場合、手摺り5Hの高さを一律に操作レバー6L等に合わせて高い位置にすると、運転席5からの上部サイドカバー18a及びアッパーカバー15の回動操作の際に手摺り5Hが邪魔になるおそれがある。よって、図2に示すように、手摺り5Hのうち操作レバー6Lの後方に位置する部分は相対的に高くし、それより引起装置8側の部分に高さの低い低所部分5iを設けるのは好ましい。このような低所部分5iは操作レバー6Lと上部サイドカバー18aの側端との間の位置、特に上部サイドカバー18aの側端の位置から引起装置8側の部分全体に設けるのが好ましい。これにより、運転席からの上部サイドカバー18a及びアッパーカバー15の回動操作の際、手摺り5Hが邪魔になり難くなる。
本実施例におけるアッパーカバー15には、その前後方向カバー範囲を拡大自在である調節体50が設けられている。この調節体50により、アッパーカバー15の前後方向の傾斜姿勢だけでなく、アッパーカバー15の前後方向カバー範囲を調節できるため、オペレータは、圃場状態や穀稈の長さ等による穀粒等の飛散状況に応じて、あるいはオペレータの姿勢、体型等に応じて、前方視界及び穀粒等の飛散防止を比較考量しつつ、アッパーカバー15を適切な位置及び姿勢に調節できるようになる。
例えば、穀粒等が運転席5側に飛散するときには、図46(b)に示すようにアッパーカバー15の姿勢を穀粒等の飛散方向に対する交差角が直角又はそれに近くなる開姿勢に変更し、更に飛散範囲が広いとき等、必要に応じて図46(c)に示すように調節体50によりカバー範囲を前方に拡大することにより、穀粒等の飛散をアッパーカバー15で効果的に遮りつつ、前方視界を可能な限り確保することができる。一方、穀粒等の飛散が無いか、又は運転席5側への飛散が少ないときには、図46(a)に示すようにアッパーカバー15の姿勢を穀粒等の飛散方向に対して平行又はそれに近くなる閉姿勢に変更し、更に必要に応じて調節体50を非拡大状態に調節することにより、前方視界を重視した状態とすることができる。さらにこれらの中間程度のカバー範囲とするために、図46(d)に示すようにアッパーカバー15の姿勢を穀粒等の飛散方向に対して平行又はそれに近くなるように姿勢変更するとともに、調節体50を前方に拡大した状態とすることも可能である。このように、アッパーカバー15の姿勢及びカバー範囲の調節は、オペレータが任意に変更できるものであり、このような調節形態に限られるものではない。
調節体50は、透明又は半透明のポリカーボネート等のプラスチック板により形成して調節体50越しの視認性を確保するのが好ましいが、金属板により形成することも可能である。調節体50の形状は適宜定めることができ、図示例のような矩形状の他、前端縁が弧状に張り出した形状等とすることも可能である。
本実施形態の調節体50は、アッパーカバー15の前側カバー範囲を拡大するものであるが、後側又は前後両側のカバー範囲を拡大する構造としても良い。調節体50におけるカバー範囲の拡大量は適宜定めることができるが、図5に示すように、アッパーカバー15の前端が最も前方に位置する姿勢変更状態で前側引起ケース8Aの屈曲位置8cよりも後方に位置するとともに、調節体50のカバー範囲を前方に拡大することにより調節体50の前端が前側引起ケース8Aの屈曲位置8cよりも前方に位置しうる構成とするのが好ましい。これにより、調節体50の前端を前側引起ケース8Aの屈曲位置8cより後方に位置させれば、オペレータは運転席5に着座したままで分草位置を直視でき、分草引起し状況の確認を容易に行うことができ、刈取作業の能率を高めることができるようになるとともに、必要に応じて調節体50の前端を前側引起ケース8Aの前面の屈曲位置8cよりも前方に位置させて効果的に穀粒等の飛散防止を図ることも可能となる。
本実施形態の多条刈りコンバインでは、走行車体1の右側部分(又は左側部分)に運転席5を有し、運転席5の前方にも穀稈引起装置8を有している。このような多条刈りコンバインでは、アッパーカバー15は両端の穀稈引起装置8にわたるように延在させるとともに、調節体50は少なくとも運転席5と対応する左右方向範囲をカバーするように左右方向に延在させるのが好ましい。この場合、図1〜図12に示される例のように、アッパーカバー15の左右方向の略全体にわたり調節体50を設けると籾殻等の飛散防止効果に優れるが、図37及び図38に示すように運転席5の前方位置のみに調節体50を設けて安価で前方視界に優れる構成とすることも可能である。また、いずれにせよ、オペレータは運転席5から調節体50に手をかけて調節することができ、より的確な調節が可能となるとともに、穀稈の引起しにより後上方へ飛散する穀粒等のうち少なくとも運転席5に向かうものについては効果的に遮断することができるようになる。
特に、調節体50を直接手で操作する場合は、アッパーカバー15及び調節体50は左端の穀稈引起装置8の左端部又は右端の穀稈引起装置8の右端部(特に運転席5側)まで延在しているのが好ましい。また図36に示すように、運転席5が走行車体の右側部分に位置し穀稈引起装置8が運転席5よりも右側まで張り出している場合は、この張り出し部分からの籾殻等の飛散をも防止するため、アッパーカバー15及び調節体50を運転席5の右側まで延在させるのが好ましい。運転席5が左側で穀稈引起装置8の張り出しが左側の場合も同様にアッパーカバー15及び調節体50を運転席5の左側まで延在させるのが好ましい。
調節体50の拡大調節機構は適宜定めることができ、拡大方向に沿ってスライドする機構(図示略)を採用することもできるが、本実施例の調節体50は、図4、図8及び図12等に示すように、基端部がアッパーカバー15の前端部に設けられた左右方向に沿う調節体支軸51によりアッパーカバー15に軸支され、先端側の部分がこの調節体支軸51を回動支点として回動することでアッパーカバー15の前後方向カバー範囲を拡大するものである。この場合、調節体50によるカバー範囲の調節は、調節体50をアッパーカバー15に対して調節体支軸51回りに回動することで変更できるため、変更操作がワンタッチで簡単になるだけでなく、調節体50の角度も調節できるため、前方視界の妨げとならないようにカバー範囲を拡大することも可能である。さらに、アッパーカバー15を上方に揺動させた場合には、オペレータ側への穀粒や泥土の飛散が阻止されるものでありながら、前側引起ケース8Aの着脱が簡単に行える等、引起装置8のメンテナンスが容易に行えるという利点もある。
この調節体50の回動機構も適宜定めることができるが、本実施例では、調節体50に調節体支軸51を弾力的に挟持する一対の挟持部52,53を設け、一方の挟持部52をある程度の弾性を有する平板状体(バネ材)により構成し、他方の挟持部53を調節体支軸51が嵌合する円弧状の受け溝53dを有する板状体により構成している。これにより、簡素・安価な構成で調節体50を確実に支持できるようになるとともに、無段階の回動が可能となる。また、調節体50の回動時には、挟持部52,53と調節体支軸51との摩擦により、接触面間の錆や埃等を素早く取り除くことができ、常時スムーズにカバーを回動させることができるようになる。
また、本実施例の一対の挟持部52,53は挟持方向に貫通するネジ挿通孔を有し、これらの螺子挿通孔に対して一方側から他方側へ調節ボルト54bを挿し通してナット体54nに螺合させ、締め付けることにより一方の挟持部52を他方の挟持部53に対して弾力的に押し付ける構造となっているため、調節ボルト54bの締め付けトルクのみで調節体50の回動荷重を容易に調整することができる。よって、このような回動荷重調整手段を設けるのは好ましい。
さらに、調節体支軸51をアッパーカバー15の左右方向に間隔を空けて複数か所に設けるとアッパーカバー15の支持が安定するため好ましく、その場合に各調節体50に前述の回動荷重調整手段を設け、運転席5から遠い方の調節体支軸51における調節体50の回動荷重を、運転席5側の調節体支軸51における調節体50の回動荷重より弱くすると、運転席5側から調節体50を容易に回動させることができるため好ましい。
本実施例では、調節体支軸51をアッパーカバー15に設け、挟持部52,53を調節体50に設けているが、反対に挟持部52,53をアッパーカバー15に設け、調節体支軸51を調節体50に設けても良い。
他方、図示の実施例は、運転席5がウインドウで囲まれていない非キャビン型への適用例であるが、本発明は、ウインドウで囲まれた運転室を有するキャビン型にも適用することができ、その場合にもウインドウの水滴、泥土による汚れを防止できるといった利点がもたらされる。