JP5626329B2 - ジルコニア複合微粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
この共沈法としては、ジルコニウムイオン及び希土類元素イオンを含む酸性の金属塩溶液にアルカリ溶液を加えて金属塩を中和し、金属水酸化物等の金属酸化物前駆体を沈殿させ、その後、この前駆体をジルコニアが生成する温度以上に加熱することにより、ジルコニア複合微粒子粉体を得る方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、均一沈殿法においても、ジルコニア超微粒子の表面に希土類元素の水酸化物を析出させた後に、700℃以上の温度にて焼成しているために、やはり、ジルコニア微粒子同士の凝集や融着が生じ易く、粗大粒のジルコニア粒子になってしまうという問題点があった。
このように、従来の方法は、分散性の良好なジルコニア微粒子を作製するには不向きな方法であった。
近年、環境負荷を低減させることのできる材料やプロセスへのニーズの高まりから、機能性デバイス用や構造セラミックス用としての各種セラミックス材料においても、低温にて容易に熱処理することができ、しかも焼結性の高い材料への要求が急速に高まっており、ジルコニア粒子に対しても同様の要求が高まっているが、なかなか難しいのが現状である。
前記炭酸アルカリは、炭酸カリウムおよび/または炭酸ナトリウムであることが好ましい。
前記炭酸アルカリは、炭酸カリウムおよび/または炭酸ナトリウムであることが好ましい。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
本実施形態のジルコニア複合微粒子は、希土類元素イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンを含むジルコニア酸性分散液に炭酸アルカリ溶液を添加して得られた中和沈殿物を熱処理して得られ、ジルコニア微粒子中に希土類元素および/またはアルカリ土類金属を固溶してなるジルコニア複合微粒子である。
「ジルコニア酸性分散液の作製」
まず、結晶性のジルコニア微粒子を含むジルコニア分散液を用意する。
この結晶性のジルコニア微粒子は、水熱合成法や焼成法により作製することができ、例えば、次に挙げる方法が好適である(特開2006−16236号公報参照)。
0.5<n<m ……(1)
を満たすように、金属塩溶液に塩基性溶液を加えて金属塩溶液部分中和させ、次いで、この部分中和された溶液に無機塩を加えて混合溶液とし、この混合溶液を加熱する方法である(特開2006−16236号公報参照)。
上記のジルコニア微粒子中に、希土類元素および/またはアルカリ土類金属を低温にて均一に固溶させるためには、この工程で得られる中和沈殿物中の結晶性のジルコニアの分散状態と、その粒子径が重要であり、特に、酸性の分散液におけるジルコニアの分散平均粒子径が20nm以下であることが必要である。その理由は、ジルコニアの分散平均粒子径が20nmを超えてしまうと、希土類元素および/またはアルカリ土類金属がジルコニア微粒子中に固溶せずに、希土類元素および/またはアルカリ土類金属の酸化物や炭酸化物が生成してしまい、その結果、ジルコニア微粒子と、希土類元素および/またはアルカリ土類金属の酸化物や炭酸化物との混合物が生成されてしまうからである。
この分散液のpHを5以下としたのは、ジルコニア微粒子の凝集を防いで良好な分散状態を保つためである。
ここで、pHが5を越えると、ジルコニア微粒子の凝集が生じ、以後の反応において希土類元素および/またはアルカリ土類金属を固溶させた場合に、固溶が不均一となってしまうので好ましくない。
一方、pHが低いと、ジルコニア微粒子の分散については特段の問題は無いが、後の中和沈殿物生成時に必要となる炭酸アルカリ量が増加し、生産性の低下や製造コストの上昇を招くため、必要以上にpHを下げることは好ましくない。
これらの理由から、ジルコニア分散液のpHを2以上かつ5以下とする。
アルカリ土類金属としては、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)の計6個の元素群から選択される1種または2種以上が好適に用いられる。
(MOまたはM2O3)/(ZrO2+MOまたはM2O3)=2〜20モル%の範囲が好ましい。
ただし、この希土類元素及びアルカリ土類金属の添加量は、対象となる構造セラミックス部材、固体酸化物形燃料電池部材、センサー部材等に合わせて、最適な添加量を選択する必要がある。
その理由は、合計量の濃度が0.5質量%未満であると、生産性が低下し、実用的でなく、一方、合計量の濃度が10質量%を超えると、後述する炭酸アルカリ添加後のスラリーの粘度が高くなり、得られた中和沈殿物が不均一な組成となるからである。
上記の希土類元素イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが共存するジルコニア酸性分散液に、炭酸アルカリ溶液を添加し、中和沈殿物を生成する。
炭酸アルカリとしては、炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウムが好ましい。これらの炭酸アルカリは、400℃〜600℃の温度範囲では蒸発・溶融することがなく、また、上記の中和沈殿物と反応物を生じる虞がない。
この炭酸アルカリの添加量は、上記の事情を勘案して、ジルコニア微粒子に対して50質量%以上かつ500質量%以下が好ましい。添加量が50質量%を下回ると、ジルコニア微粒子同士の融着が生じ易くなり、分散性が低下してしまうので好ましくない。また、500質量%を超えても、得られる希土類元素および/またはアルカリ土類金属が固溶したジルコニア微粒子の性状は、500質量%以下の添加量で得られるものと何等代わりがなく、しかも、生産性の低下や製造コストの上昇を招くので好ましくない。
その理由は、濃度が0.5質量%未満であると、生産性が低下し、実用的でなく、一方、濃度が10質量%を超えると、後述する炭酸アルカリ添加後のスラリーの粘度が高くなり、得られた中和沈殿物が不均一な組成となるからである。
上記にて得られた中和沈殿物を乾燥する。
この中和沈殿物に含まれる炭酸アルカリは、希土類元素イオンおよび/またはアルカリ土類金属イオンが共存するジルコニア微粒子の分散液の中和剤として作用するとともに、同時に、熱処理時のジルコニア微粒子同士の融着を防止する作用も有するので、炭酸アルカリを中和沈殿物中に均一に残留させることが重要となる。
例えば、炭酸アルカリを中和沈殿物中に均一に残留させる方法としては、炭酸アルカリを含む中和沈殿物スラリーをスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥させるスプレードライ法等を挙げることができる。
上記の熱処理により得られた熱処理物を水を用いて洗浄し、炭酸アルカリ成分を除去する。
この工程では、熱処理物から炭酸アルカリに由来するアルカリイオンを除去するために、この熱処理物を純水中に投入・撹拌して懸濁液とすることにより、この熱処理物中の炭酸アルカリ成分をイオン化させ、次いで、この懸濁液に塩酸、硝酸、酢酸、ヒドロキシカルボン酸等の酸を加えてpH2〜5の酸性懸濁液とし、この酸性懸濁液に、限外濾過装置等の洗浄装置を用いて、純水を加えながらアルカリイオンを除去する。
以上により、ジルコニア微粒子中に希土類元素および/またはアルカリ土類金属を固溶してなるジルコニア複合微粒子が得られる。
本実施形態のジルコニア複合微粒子分散液は、上記のジルコニア複合微粒子を、水または水を含む分散媒中に分散平均粒子径20nm以下にて分散してなる分散液である。
水を含む分散媒は、水を主成分とし、有機溶媒、液状の樹脂モノマー、液状の樹脂オリゴマーのうち1種または2種以上を含有したものである。
また、上記の液状の樹脂オリゴマーとしては、ウレタンアクリレート系オリゴマー、エポキシアクリレート系オリゴマー、アクリレート系オリゴマー等が好適に用いられる。
このジルコニア複合微粒子分散液のpHは、2以上かつ5以下が好ましく、より好ましくは2以上かつ4以下である。
このジルコニア複合微粒子分散液における希土類元素および/またはアルカリ土類金属を固溶してなるジルコニア微粒子の濃度は、0.5質量%以上かつ10質量%以下の範囲が好ましい。
その理由は、濃度が0.5質量%未満であると、生産性が低下し、実用的でなく、一方、濃度が10質量%を超えると、この分散液の濃度が高くなるために分散性が低下し、このジルコニア複合微粒子分散液を用いて得られる製品の品質が低下するからである。
ジルコニア分散液(pH:2.9、結晶子径:3nm、分散平均粒子径:8nm、住友大阪セメント製)3449.9gに、塩化イットリウム6水和物(YCl3・6H2O)73.86gを純水700gに溶解させた溶液を添加し混合して希土類元素イオンを含むジルコニア酸性分散液とし、さらに、炭酸カリウム(K2CO3)300gを純水2700gに溶解させた溶液を室温で攪拌しながら滴下し、実施例1のスラリーAを得た。
次いで、このスラリーAをスプレードライヤーを用いて乾燥させ、顆粒状の乾燥粉体Aを作製した。
次いで、この乾燥粉体Aから200gを採取し、それを、電気炉を用いて400℃にて1時間、熱処理を行った。
洗浄終了後、この懸濁液に0.5Nの塩酸を加えてpHを3.0に調整した後、5時間攪拌し、8mol%のY2O3が固溶したジルコニア(8YSZ)酸性分散液を作製した。
この酸性分散液の分散平均粒子径は8nmであった。
また、この乾燥粉体について、X線回折による生成物の同定、ジルコニア(8YSZ)の結晶子径の測定を行った。さらに、この乾燥粉体の焼結特性を調べるために、500℃、600℃、700℃、800℃及び1000℃の各温度にて3時間熱処理した後の比表面積を測定した。なお、対照として、熱処理しないもの(未処理)の比表面積を測定した。
これらの結果を表1および表2に示す。
実施例1にて作製した乾燥粉体Aから200gを採取し、それを、電気炉を用いて450℃にて1時間、熱処理を行った。
次いで、この熱処理した粉体を純水3000gに投入し撹拌して懸濁液を作製し、この懸濁液に5Nの塩酸を添加してpHを2に調整した後、限外濾過装置を用い、純水10リットルを加えながら洗浄操作を行った。この洗浄操作は、5回繰り返して実施した。
洗浄終了後、この懸濁液に0.5Nの塩酸を加えてpHを3.0に調整した後、5時間攪拌し、8mol%のY2O3が固溶したジルコニア(8YSZ)酸性分散液を作製した。
この酸性分散液の分散平均粒子径は10nmであった。
また、この乾燥粉体について、X線回折による生成物の同定、ジルコニア(8YSZ)の結晶子径の測定を行った。
これらの結果を表1に示す。
実施例1にて作製した乾燥粉体Aから200gを採取し、それを、電気炉を用いて600℃にて1時間、熱処理を行った。
次いで、この熱処理した粉体を純水3000gに投入し撹拌して懸濁液を作製し、この懸濁液に5Nの塩酸を添加してpHを2に調整した後、限外濾過装置を用い、純水10リットルを加えながら洗浄操作を行った。この洗浄操作は、5回繰り返して実施した。
洗浄終了後、この懸濁液に0.5Nの塩酸を加えてpHを3.0に調整した後、5時間攪拌し、8mol%のY2O3が固溶したジルコニア(8YSZ)酸性分散液を作製した。
この酸性分散液の分散平均粒子径は16nmであった。
また、この乾燥粉体について、X線回折による生成物の同定、ジルコニア(8YSZ)の結晶子径の測定を行った。
これらの結果を表1に示す。
ジルコニア分散液(pH:2.9、結晶子径:3nm、分散平均粒子径:15nm、住友大阪セメント製)3449.9gに、塩化イットリウム6水和物(YCl3・6H2O)73.86gを純水700gに溶解させた溶液を添加し混合して希土類元素イオンを含むジルコニア酸性分散液とし、さらに、炭酸カリウム(K2CO3)300gを純水2700gに溶解させた溶液を室温で攪拌しながら滴下し、実施例4のスラリーBを得た。
次いで、このスラリーBをスプレードライヤーを用いて乾燥させ、顆粒状の乾燥粉体Bを作製した。
次いで、この乾燥粉体Bから200gを採取し、それを、電気炉を用いて450℃にて1時間、熱処理を行った。
洗浄終了後、この懸濁液に0.5Nの塩酸を加えてpHを3.0に調整した後、5時間攪拌し、8mol%のY2O3が固溶したジルコニア(8YSZ)酸性分散液を作製した。
この酸性分散液の分散平均粒子径は17nmであった。
また、この乾燥粉体について、X線回折による生成物の同定、ジルコニア(8YSZ)の結晶子径の測定を行った。
これらの結果を表1に示す。
ジルコニア分散液(pH:2.9、結晶子径:3nm、分散平均粒子径:8nm、住友大阪セメント製)3785.2gに、塩化イットリウム6水和物(YCl3・6H2O)28.82gを純水700gに溶解させた溶液を添加し混合して希土類元素イオンを含むジルコニア酸性分散液とし、さらに、炭酸カリウム(K2CO3)300gを純水2700gに溶解させた溶液を室温で攪拌しながら滴下し、実施例5のスラリーCを得た。
次いで、このスラリーCをスプレードライヤーを用いて乾燥させ、顆粒状の乾燥粉体Cを作製した。
次いで、この乾燥粉体Cから200gを採取し、それを、電気炉を用いて450℃にて1時間、熱処理を行った。
洗浄終了後、この懸濁液に0.5Nの塩酸を加えてpHを3.0に調整した後、5時間攪拌し、3mol%のY2O3が固溶したジルコニア(3YSZ)酸性分散液を作製した。
この酸性分散液の分散平均粒子径は10nmであった。
また、この乾燥粉体について、X線回折による生成物の同定、ジルコニア(3YSZ)の結晶子径の測定を行った。さらに、この乾燥粉体の焼結特性を調べるために、500℃、600℃、700℃、800℃及び1000℃の各温度にて3時間熱処理した後の比表面積を測定した。なお、対照として、熱処理しないもの(未処理)の比表面積を測定した。
これらの結果を表1および表2に示す。
ジルコニア分散液(pH:2.9、結晶子径:3nm、分散平均粒子径:8nm、住友大阪セメント製)3644.9gに、塩化スカンジウム6水和物(ScCl3・6H2O)66.74gを純水700gに溶解させた溶液を添加し混合して希土類元素イオンを含むジルコニア酸性分散液とし、さらに、炭酸カリウム(K2CO3)300gを純水2700gに溶解させた溶液を室温で攪拌しながら滴下し、実施例6のスラリーDを得た。
次いで、このスラリーDをスプレードライヤーを用いて乾燥させ、顆粒状の乾燥粉体Dを作製した。
次いで、この乾燥粉体Dから200gを採取し、それを、電気炉を用いて450℃にて1時間、熱処理を行った。
洗浄終了後、この懸濁液に0.5Nの塩酸を加えてpHを3.0に調整した後、5時間攪拌し、8mol%のSc2O3が固溶したジルコニア(8ScSZ)酸性分散液を作製した。
この酸性分散液の分散平均粒子径は10nmであった。
また、この乾燥粉体について、X線回折による生成物の同定、ジルコニア(8ScSZ)の結晶子径の測定を行った。
これらの結果を表1に示す。
ジルコニア分散液(pH:2.9、結晶子径:3nm、分散平均粒子径:8nm、住友大阪セメント製)3765.9gに、塩化カルシウム(CaCl2)23.15gを純水700gに溶解させた溶液を添加し混合してアルカリ土類金属イオンを含むジルコニア酸性分散液とし、さらに、炭酸カリウム(K2CO3)300gを純水2700gに溶解させた溶液を室温で攪拌しながら滴下し、実施例7のスラリーEを得た。
次いで、このスラリーEをスプレードライヤーを用いて乾燥させ、顆粒状の乾燥粉体Eを作製した。
次いで、この乾燥粉体Eから200gを採取し、それを、電気炉を用いて450℃にて1時間、熱処理を行った。
洗浄終了後、この懸濁液に0.5Nの塩酸を加えてpHを3.0に調整した後、5時間攪拌し、12mol%のCaOが固溶したジルコニア(12CaSZ)酸性分散液を作製した。
この酸性分散液の分散平均粒子径は10nmであった。
また、この乾燥粉体について、X線回折による生成物の同定、ジルコニア(CaSZ)の結晶子径の測定を行った。
これらの結果を表1に示す。
実施例1にて作製した乾燥粉体Aから200gを採取し、それを、電気炉を用いて380℃にて1時間、熱処理を行った。
次いで、この熱処理した粉体を純水3000gに投入し撹拌して懸濁液を作製し、この懸濁液に5Nの塩酸を添加してpHを2に調整した後、限外濾過装置を用い、純水10リットルを加えながら洗浄操作を行った。この洗浄操作は、5回繰り返して実施した。
洗浄終了後、この懸濁液に0.5Nの塩酸を加えてpHを3.0に調整した後、5時間攪拌し、ジルコニア酸性分散液を作製した。
この酸性分散液の分散平均粒子径は8nmであった。
同定を行った結果、原料として用いたジルコニア微粒子と同様の正方晶のジルコニア微粒子と、イットリウムの炭酸塩が確認され、イットリアのジルコニア微粒子への固溶が不十分であることが確認された。
実施例1にて作製した乾燥粉体Aから200gを採取し、それを、電気炉を用いて650℃にて1時間、熱処理を行った。
次いで、この熱処理した粉体を純水3000gに投入し撹拌して懸濁液を作製し、この懸濁液に5Nの塩酸を添加してpHを2に調整した後、限外濾過装置を用い、純水10リットルを加えながら洗浄操作を行った。この洗浄操作は、5回繰り返して実施した。
洗浄終了後、この懸濁液に0.5Nの塩酸を加えてpHを3.0に調整した後、5時間攪拌し、8mol%のY2O3が固溶したジルコニア(8YSZ)酸性分散液を作製した。
この酸性分散液の分散平均粒子径は45nmであり、分散性が悪いものであった。
また、この乾燥粉体について、X線回折による生成物の同定、ジルコニア(8YSZ)の結晶子径の測定を行った。さらに、この乾燥粉体の焼結特性を調べるために、500℃、600℃、700℃、800℃及び1000℃の各温度にて3時間熱処理した後の比表面積を測定した。なお、対照として、熱処理しないもの(未処理)の比表面積を測定した。
これらの結果を表1および表2に示す。
このジルコニア(8YSZ)酸性分散液は、分散性が悪いために、焼結特性についても焼成温度の低下がほとんど認められないものであった。
ジルコニア粉(結晶子径:15nm、第一希元素社製)を純水に投入し撹拌して懸濁液を作製し、この懸濁液に0.1Nの塩酸を添加してpHを2.9に調整し、比較例1のスラリーを得た。
次いで、このスラリーに、サンドミル(φ0.1mmビーズ)を用いて分散処理を施し、ジルコニア分散液を作製した。このジルコニア分散液のpHは2.9、結晶子径は15nm、分散平均粒子径は30nmであった。
次いで、このスラリーFをスプレードライヤーを用いて乾燥させ、顆粒状の乾燥粉体Fを作製した。
次いで、この乾燥粉体Fから200gを採取し、それを、電気炉を用いて450℃にて1時間、熱処理を行った。
洗浄終了後、この懸濁液に0.5Nの塩酸を加えてpHを3.0に調整した後、5時間攪拌し、8mol%のY2O3を添加したジルコニア酸性分散液を作製した。
この酸性分散液の分散平均粒子径は120nmであった。
さらに、上記の乾燥粉体Fについて、その焼結特性を調べるために、500℃、600℃、700℃、800℃及び1000℃の各温度にて3時間熱処理した後の比表面積を測定した。なお、対照として、熱処理しないもの(未処理)の比表面積を測定した。
これらの結果を表1および表2に示す。
Claims (2)
- ジルコニア微粒子の分散平均粒子径が20nm以下でありかつ希土類元素イオンとアルカリ土類金属イオンとのいずれか一方または両方を含むジルコニア酸性分散液に、炭酸アルカリ溶液を添加して中和沈殿物を生成し、次いで、この中和沈殿物を乾燥し、この乾燥した中和沈殿物を400℃以上かつ600℃以下の温度にて熱処理し、次いで、洗浄し、炭酸アルカリ成分を除去することを特徴とするジルコニア複合微粒子の製造方法。
- 前記炭酸アルカリは、炭酸カリウムと炭酸ナトリウムとのいずれか一方または両方であることを特徴とする請求項1記載のジルコニア複合微粒子の製造方法。
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