JP2023024537A - 溶射用粒子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】希土類シリケートを含み、平均組成式(1)(A2SiyOz)1-a-b(CeSipOq)a(EuSimOn)b(1)(式中、Aは、Y、及びPm以外のランタノイドから選ばれる1種以上の3価の希土類元素である。yは1.01以上2未満の正数、zは3+2×yを満たす正数である。pは1以上2未満の正数、qは2+2×pを満たす正数である。mは1以上2未満の正数、nは1+2×mを満たす正数である。a及びbは、各々、0又は0.3以下の正数であり、かつa+bは0.3以下である。)で表される組成を有し、圧潰強度が2MPa以上である造粒粒子である溶射用粒子。【効果】希土類シリケートを含む溶射用粒子として、流動性が良く、密度、特にかさ密度が高く、壊れにくい溶射用粒子及びその製造方法を提供することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、希土類シリケートを含む溶射用粒子、特に化学量論組成とは異なる平均組成を有する希土類シリケートを含む溶射用粒子及びその製造方法に関する。
近年、SiC繊維強化SiC複合材(SiCf/SiCm)などのセラミックス基複合材(CMC:Ceramics Matrix Composite)が、航空機や原子力関連の部材の材料として注目されている。この材料は、従来使用されていた金属材料よりも耐熱性、機械的強度に優れ、今後も利用の拡大が期待されている。しかし、セラミックス基複合材は、例えば、航空機エンジン部材での使用時には、高温の水蒸気などに曝され、これが原因で減肉などの問題が起きてしまう。これを防止又は緩和する目的で、金属やセラミックスなどを表面にコーティングすることが一般的である。これらのコーティングは、耐環境コーティング(EBC:Environmental Barrier Coating)と呼ばれており、開発がなされている。
セラミックス基複合材に対する耐環境コーティングにおけるコーティング材料としては、様々な材料が検討されているが、希土類元素とケイ素の複酸化物である希土類シリケートが有力な材料となっている。希土類シリケートをセラミックス基複合材にコーティングする有力な方法として溶射法があり、比較的効率の良い方法として使用されている。この場合、溶射用粒子としては、希土類シリケートの溶射用粒子を用いるのが一般的で、希土類シリケートの溶射用粒子を、溶射機内で溶射ガンのフレーム中に供給して溶射することによって、セラミックス基複合材に希土類シリケート膜を形成する。希土類シリケートの溶射用粒子は、希土類酸化物粒子と酸化ケイ素粒子とを混合して、焼成するなどの方法により製造されることが一般的である。
希土類シリケートのうち、L2SiO5で表される希土類モノシリケート(式中、Lはランタノイド、即ち、原子番号57のランタン(La)から原子番号71のルテチウム(Lu)までの15種の元素のいずれかである。)は、セラミックス基複合材に対する耐環境セラミックスコーティングの材料として有力な材料の1つであるが、ランタノイドの中でも、特に、重希土類元素と呼ばれるイッテルビウム(Yb)やルテチウム(Lu)などが多く使用されており、希土類シリケートのうち、セラミックス基複合材の耐環境セラミックスコーティングとして主に検討されているのはイッテルビウムシリケートとルテチウムシリケートである。これらは、基材であるセラミックス基複合材との熱膨張率の差が小さく、基材から剥がれ難いことが理由の一つである。更に、鉱石中における存在率から、ルテチウムシリケートよりもイッテルビウムシリケートの経済性が高く、イッテルビウムシリケートが主に検討されている。また、これらの希土類元素のシリケート以外の希土類シリケートについても検討が進められている。
特開2008-308374号公報
セラミックス基複合材に対する耐環境セラミックスコーティングを形成するための希土類モノシリケートの溶射用粒子には、良好な流動性及び高い粒子密度と共に、粒子が壊れ難いことなどが求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、希土類シリケートを含む溶射用粒子として、良好な流動性及び高い粒子密度を有すると共に、壊れにくい溶射用粒子を提供することを目的とする。
そこで、本発明者は、希土類シリケートを含む溶射用粒子について、その流動性を高め、また、粒子の密度、特に粒子のかさ密度を向上させ、更には、粒子の圧潰強度を向上させるための検討を行った。そして、本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、希土類シリケートを含む溶射用粒子を、希土類シリケートのストイキオメトリな組成(化学量論組成)の希土類シリケートである希土類モノシリケートR2SiO5(Rは希土類元素を表す。)より、希土類元素Rに対するケイ素Siの比率が高い平均組成を有する希土類シリケートを含む造粒粒子とすることにより、溶射用粒子の流動性が向上し、また、粒子密度、特に、かさ密度が上がり、更に、造粒粒子の圧潰強度が増大することを見出した。
そして、
(A)希土類酸化物粒子及び/又は希土類シリケート粒子と、酸化ケイ素粒子とを混合し、造粒、焼成すること、
(B)酸化ケイ素粒子が分散した水溶性希土類化合物の水溶液を調製し、水溶液から希土類化合物の粒子を析出させて、希土類化合物粒子と酸化ケイ素粒子との混合物を造粒、焼成すること、又は
(C)希土類シリケートの粒子を造粒、焼成すること
により、化学量論組成より希土類元素Rに対するケイ素Siの比率が高い平均組成を有する希土類シリケートを含む造粒粒子を好適に製造することができ、これにより、希土類シリケートを含む溶射用粒子として、上述した優れた特性を有する溶射用粒子を、効率的に、高い量産性で製造することができることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記の溶射用粒子及びその製造方法を提供する。
1.希土類シリケートを含み、下記平均組成式(1)
(A2Siyz1-a-b(CeSipqa(EuSimnb (1)
(式中、Aは、Y、及びPm以外のランタノイドから選ばれる1種以上の3価の希土類元素である。yは1.01以上2未満の正数、zは3+2×yを満たす正数である。pは1以上2未満の正数、qは2+2×pを満たす正数である。mは1以上2未満の正数、nは1+2×mを満たす正数である。a及びbは、各々、0又は0.3以下の正数であり、かつa+bは0.3以下である。)
で表される組成を有し、圧潰強度が2MPa以上である造粒粒子であることを特徴とする溶射用粒子。
2.希土類シリケートを含み、下記平均組成式(2)
2Siyz (2)
(式中、Aは、Y、及びPm以外のランタノイドから選ばれる1種以上の3価の希土類元素である。yは1.01以上2未満の正数、zは3+2×yを満たす正数である。)
で表される組成を有し、圧潰強度が2MPa以上である造粒粒子であることを特徴とする1に記載の溶射用粒子。
3.上記平均組成式(1)又は(2)中のAが、Y、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選ばれる1種類以上の希土類元素であることを特徴とする1又は2に記載の溶射用粒子。
4.上記平均組成式(1)又は(2)中のAが、Ybのみ、又はYbと、Y、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びLuからなる群から選ばれる1種類以上の希土類元素とからなることを特徴とする3に記載の溶射用粒子。
5.安息角が42°以下であることを特徴とする1乃至4のいずれかに記載の溶射用粒子。
6.かさ密度が1.2g/cm3以上であることを特徴とする1乃至5のいずれかに記載の溶射用粒子。
7.1又は2に記載の溶射用粒子を製造する方法であって、
希土類酸化物粒子及び/又は希土類シリケート粒子と、酸化ケイ素粒子とを混合する工程、
得られた混合物を造粒する工程、及び
得られた造粒粒子を焼成する工程
を含むことを特徴とする溶射用粒子の製造方法。
8.1又は2に記載の溶射用粒子を製造する方法であって、
上記平均組成式(1)又は(2)で表される希土類シリケートの粒子を造粒する工程、及び
得られた造粒粒子を焼成する工程
を含むことを特徴とする溶射用粒子の製造方法。
9.上記造粒工程において、各々の原材料粒子のBET比表面積が1m2/g以上であることを特徴とする7又は8に記載の製造方法。
本発明によれば、希土類シリケートを含む溶射用粒子として、流動性が良く、密度、特にかさ密度が高く、壊れにくい溶射用粒子及びその製造方法を提供することができる。
実施例2で得られた溶射用粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 実施例4で得られた溶射用粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 実施例5で得られた溶射用粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 比較例1で得られた溶射用粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。 比較例2で得られた溶射用粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)像である。
以下、本発明について、更に詳細に説明する。
本発明の溶射用粒子は、希土類シリケートを含む粒子である。また、本発明の溶射用粒子は、下記平均組成式(1)
(A2Siyz1-a-b(CeSipqa(EuSimnb (1)
(式中、Aは、Y、及びPm以外のランタノイドから選ばれる1種以上の3価の希土類元素である。yは1.01以上2未満の正数、zは3+2×yを満たす正数である。pは1以上2未満の正数、qは2+2×pを満たす正数である。mは1以上2未満の正数、nは1+2×mを満たす正数である。a及びbは、各々、0又は0.3以下の正数であり、かつa+bは0.3以下である。)
で表される組成(平均組成)を有する。従って、本発明の希土類シリケートは、希土類元素とケイ素と酸素とからなる複合酸化物又は複酸化物ということができる。
ここで、yは1.99以下であることが好ましい。一方、zの範囲はyの範囲により定められ、5.02以上であり、7未満、好ましくは6.98以下である。また、pは1.01以上であることが好ましく、1.99以下であることが好ましい。一方、qの範囲はpの範囲により定められ、4以上、好ましくは4.02以上であり、6未満、好ましくは5.98以下である。更に、mは1.01以上であることが好ましく、1.99以下であることが好ましい。一方、nの範囲はmの範囲により定められ、3以上、好ましくは3.02以上であり、5未満、好ましくは4.98以下である。a及びbは、各々、0又は0.2以下の正数であることが好ましく、かつa+bは0.2以下であることが好ましい。
本発明の溶射用粒子の希土類シリケートを構成する希土類元素A、並びに後述する溶射用粒子の、原材料粒子である希土類酸化物粒子及び希土類(モノ)シリケートの粒子、及び原材料である希土類化合物を構成する希土類元素としては、イットリウム(Y)と、プロメチウム(Pm)以外のランタノイド、即ち、原子番号57~60及び62~71のランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)及びルテチウム(Lu)までの14の元素とからなる計15元素の群から選ばれる1種類以上の希土類元素であってよいが、希土類元素の取扱い性、希土類シリケートの特性や、鉱石中における存在率を考慮すると、Y、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選ばれる1種類以上の希土類元素が好適である。なかでもYb、Lu、特にYbが好ましく、希土類シリケートを構成する希土類元素Aとしては、Yb及び/又はLuを必須成分として含むもの、特に、Ybを必須成分として含むものが好ましい。具体的には、希土類(モノ)シリケートを構成する希土類元素Aが、Ybのみ、又はYbと、Y、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びLuからなる群から選ばれる1種類以上の希土類元素とからなることが好ましい。
イットリウム(Y)及びランタノイドの価数は、一般的には3価であるが、これらのうち、セリウム(Ce)は4価、ユウロピウム(Eu)は2価となる場合がある。本発明の溶射用粒子には、4価のCe及び/又は2価のEuが、希土類元素の一部として含まれることが許容されるが、希土類元素が3価の希土類元素で構成されていることがより好ましい。本発明の溶射用粒子が、上記平均組成式(1)において、4価のCe及び2価のEuを含まない場合、下記平均組成式(2)
2Siyz (2)
(式中、Aは、Y、及びPm以外のランタノイドから選ばれる1種以上の3価の希土類元素である。yは1.01以上2未満の正数、zは3+2×yを満たす正数である。)
で表される組成(平均組成)を有することになる。この式は、上記平均組成式(1)におけるa及びbがいずれも0(ゼロ)の場合に相当する。
本発明の溶射用粒子は、造粒粒子であるが、造粒粒子は、小粒径の1種の粒子又は2種以上の粒子の混合物に、必要に応じて、分散剤、バインダーなどを添加し、粒子同士を結合させて大粒径化させた粒子である。造粒に際しては、通常、水などの溶媒中に、上記各成分を混合してスラリーとし、スラリーから造粒粒子を形成することが一般的である。造粒粒子は、通常、粒子同士の結合及び溶媒の揮発により形成された空隙を有する。造粒粒子は、スプレードライなどの方法により製造することができる。造粒粒子は、球形粒子であることが、流動性の観点から好ましく、例えば、電子顕微鏡像などから算出できる(粒子の面積×4π)/(粒子の周囲長)2で表される円形度が0.8以上1.0以下である球形粒子が好適である。溶射用粒子の個々の粒子の大きさは、特に限定されるものではないが、通常、数μm~数百μmであるので、円形度は、走査型電子顕微鏡(具体例としては、日本電子(株)製、JSM-IT500HRなどが挙げられる。)などの電子顕微鏡で、溶射用粒子の粒径に応じて倍率100~1,000倍程度の2次電子像を得、2次電子像の粒子について周囲長と面積を、例えば、画像処理ソフトを用いて計測して、上記の計算式にて求めることができる。円形度を測定する粒子は1個でもよいが、複数個の粒子の円形度を測定して平均値を求めることが好ましい。
溶射用粒子(造粒粒子)の平均粒径D50(体積基準)は、特に制限はないが、3μmより小さいと、流動性が低下するおそれがあるため、3μm以上、特に15μm以上であることが好ましい。なお、平均粒径D50の上限は、通常100μm以下である。なお、本発明において、平均粒径D50などの粒子径分布は、レーザー回折・散乱法などにより、体積基準の粒径として測定すればよい。このような測定には、マイクロトラック・ベル(株)製マイクロトラックMT3000などのレーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置を用いることができる。
溶射用粒子は、溶射機へのフィードを均一にする上で、流動性が良いことが好ましい。溶射機中での流動性が劣る粒子では、溶射フレーム中への溶射用粒子フィードが不安定になりやすく、溶射皮膜の膜質に悪影響を与えるからである。溶射用粒子の安息角が流動性の指標となっており、溶射用粒子の安息角は、より小さいことが好ましい。また、溶射皮膜の形成時に溶射機へフィードされる溶射用粒子は、かさ密度が高いほど、溶射効率が上がるため好ましいとされている。一般的に無機材料のかさ密度を上げるには、より高温で熱処理する方法が有効であり、溶射用粒子においても、かさ密度を向上させる有用な方法となっている。更に、溶射用粒子が溶射機の導入される過程で、崩れたりすることで流動性の低下やフィードラインが詰まるなどの不具合が生じることがあるため、溶射用粒子の圧潰強度は高い方が好ましい。
しかし、化学量論組成の希土類モノシリケートは、一般的な無機粒子とは異なり、かさ密度を向上させるために熱処理温度を上げると、安息角の低下、即ち、流動性の低下や、圧潰強度の低下を招いてしまう。熱処理温度を比較的低くすると、流動性は良化するが、かさ密度の低下により、溶射効率が上がらなくなってしまう。
化学量論組成の希土類モノシリケートR2SiO5の溶射用粒子は、安息角が比較的大きいが、本発明の溶射用粒子では、平均組成式(1)又は(2)で表される組成を有する化学量論組成よりケイ素リッチな組成の造粒粒子とすることにより、安息角を42°以下、特に40°以下とすることができる。安息角の下限は、特に限定されるものではないが、通常、30°以上である。本発明において、安息角は、注入法(粉末を容器に入れて自然落下させて水平面に堆積させたときの、粉末により形成された堆積物の角度を測定する方法(例えば、JIS R 9301-2-2に規定された方法など))により測定された値が適用される。
本発明の溶射用粒子では、平均組成式(1)又は(2)で表される組成を有する化学量論組成よりケイ素リッチな組成の造粒粒子とすることにより、かさ密度を1.2g/cm3以上、特に1.3g/cm3以上とすることができる。かさ密度の上限は、特に限定されるものではないが、通常、真密度の65%以下である。本発明において、かさ密度は、ゆるみかさ密度が適用される。
本発明の溶射用粒子では、平均組成式(1)又は(2)で表される組成を有する化学量論組成よりケイ素リッチな組成の造粒粒子とすることにより、圧潰強度を2MPa以上とすることができる。圧潰強度の上限は、特に限定されるものではないが、通常、120MPa以下である。圧潰強度は、例えば、無作為にサンプリングした所定数(例えば20個)の粒子の圧潰強度の平均値として評価することができる。圧潰強度の測定には、(株)島津製作所製 微小圧縮試験機MCTM-500などの市販品を用いることができる。
本発明の溶射用粒子は、例えば、
(A)希土類酸化物粒子及び/又は希土類シリケート粒子と、酸化ケイ素粒子とを混合し、造粒、焼成すること、
(B)酸化ケイ素粒子が分散した水溶性希土類化合物の水溶液を調製し、水溶液から希土類化合物の粒子を析出させて、希土類化合物粒子と酸化ケイ素粒子との混合物を造粒、焼成すること、又は
(C)希土類シリケートの粒子を造粒、焼成すること
などの方法により好適に製造することができる。
製造方法(A)には、希土類酸化物粒子及び/又は希土類シリケート粒子と、酸化ケイ素粒子とを混合する工程、得られた混合物を造粒する工程、及び得られた造粒粒子を焼成する工程が含まれる。この場合、混合工程では、希土類酸化物粒子及び/又は希土類シリケート粒子と、酸化ケイ素粒子とを、混合物全体で、希土類元素とケイ素とが、上記平均組成式(1)又は(2)で表される組成の比率となるように混合すればよい。また、この場合、焼成雰囲気は、大気中であっても、窒素雰囲気、不活性ガス雰囲気などの非酸化性雰囲気であってもよい。
製造方法(B)には、酸化ケイ素粒子が分散した水溶性希土類化合物の水溶液を調製する工程、上記水溶液から希土類化合物の粒子を析出させて、希土類化合物粒子と酸化ケイ素粒子との混合物を得る工程、得られた混合物を造粒する工程、及び得られた造粒粒子を焼成する工程が含まれる。この場合、混合工程では、水溶性希土類化合物と、酸化ケイ素粒子とを、混合物全体で、希土類元素とケイ素とが、上記平均組成式(1)又は(2)で表される組成の比率となるように混合すればよい。希土類化合物粒子としては、酸化物の他、大気中での焼成により酸化物となる水酸化物、塩類、錯体などの水不溶性の希土類化合物粒子が挙げられ、水溶性希土類化合物は、このような水不溶性の希土類化合物粒子を、水溶性希土類化合物の反応を伴う沈殿の形成などにより析出させることができるものであればよい。水溶性希土類化合物としては、例えば、希土類硝酸塩、希土類塩化物などが挙げられる。また、この場合、焼成雰囲気は大気中が好ましい。
製造方法(A)及び(B)において、希土類酸化物粒子としては、例えば、A23粒子(ここで、Aは、希土類シリケートを構成する希土類元素Aと同じである。),CeO2,EuO、酸化ケイ素粒子としては、例えば、SiO2(二酸化ケイ素)粒子が、各々好適であるが、A23(A/O=2/3)やSiO2(Si/O=1/2)以外の構成元素比のものを用いてもよい。一方、希土類シリケート粒子は、A2SiO5(式中、Aは、Y、及びPm以外のランタノイドから選ばれる1種以上の3価の希土類元素である。)、CeSiO4、EuSiO3で表される化学量論組成の希土類モノシリケートの粒子が、各々好適であるが、希土類元素リッチ又はケイ素リッチのものを用いてもよい。
製造方法(C)には、上記平均組成式(1)又は(2)で表される希土類シリケートの粒子を造粒する工程、及び得られた造粒粒子を焼成する工程が含まれる。
製造方法(C)における原材料粒子である、平均組成式(1)又は(2)で表される希土類シリケートの粒子は、例えば、(i)希土類酸化物粒子及び/又は希土類シリケート粒子と、酸化ケイ素粒子とを混合し、焼成すること、(ii)酸化ケイ素粒子が分散した水溶性希土類化合物の水溶液を調製し、水溶液から希土類化合物の粒子を析出させて、希土類化合物粒子と酸化ケイ素粒子との混合物を焼成することなどにより製造することができる。この場合、粒子、希土類化合物などの原料や、焼成などの製造条件は、各々、製造方法(A)及び(B)と同様のものを用いることができる。焼成前は、必要に応じて造粒することができ、また、焼成後は、必要に応じて粉砕することができる。
製造方法(A)~(C)においては、各々の製造プロセスが異なるが、造粒,焼成後の粒子は、いずれも平均組成(1)又は(2)を満たす造粒粒子であることが必要であり、これによって、溶射用粒子として、化学量論組成の希土類モノシリケートと比較して、流動性(安息角)、かさ密度、及び強度(圧潰強度)において共に、高い特性が得られる。
製造方法(A)~(C)の造粒工程における各々の粒子(希土類酸化物粒子、希土類(モノ)シリケート粒子、酸化ケイ素粒子、希土類化合物粒子などの造粒に供される原材料粒子)のBET比表面積は1m2/g以上、特に10m2/g以上であることが好ましい。このBET比表面積の上限は、通常、いずれも320m2/g以下である。また、これらの粒子の平均粒径D50は、いずれも5μm以下、特に1μm以下であることが好ましい。これらの粒子が大きすぎる場合、造粒、焼成後にできる溶射用粒子の形状が球形から外れやすくなり、得られる溶射用粒子の流動性が低下するおそれがある。この平均粒径D50の下限は、通常、いずれも0.05μm以上である。
造粒に供される原材料粒子は、造粒するために、通常、水、エタノールなどの有機溶媒、又は水と有機溶媒との混合溶媒中で混合され、スラリーとする。混合は、攪拌機などで混合可能であるが、より均一な混合のためには、ボールミルなどの粉砕撹拌混合機を用いることが好ましい。混合時には、原材料粒子の分散や、造粒時の粒子形状を良くする目的で、分散剤やバインダーを少量混合してもよい。分散剤やバインダーは、いずれも、焼成工程で溶射用粒子中に残留しない有機材料(有機化合物)が好ましい。分散剤やバインダーとしては、例えば、ポリカルボン酸、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースやその誘導体、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアクリル酸や、それらの誘導体などの水溶性有機高分子が挙げられる。
製造方法(A)~(C)において、造粒は、量産性の高いスプレードライヤーなどの造粒装置を用いて、スラリーから造粒することが好ましい。また、製造方法(A)~(C)において、溶射用粒子を製造するための造粒した粒子の焼成温度は800℃以上、特に1,000℃以上が好ましい。焼成温度の上限は、通常、造粒した粒子を構成する材料の融点未満であるが、溶射用粒子を製造するための焼成においては、焼成温度を上げすぎると、造粒粒子同士の癒着が進んでしまい、溶射用粒子の流動性の低下を招くおそれがあるため、1,650℃以下、特に1,600℃以下であることが好ましい。焼成雰囲気は、酸素ガスを含む雰囲気、窒素ガスを含む雰囲気、ヘリウムガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気などが挙げられるが、炭素、窒素、水素などを酸化して除去する(焼成する)ことができる点から、大気雰囲気などの酸素ガスを含む雰囲気が好適である。また、焼成時間は、例えば、30分間~4時間とすることができる。
本発明の溶射用粒子を用いて溶射法により皮膜を形成することができる。本発明の溶射用粒子は、プラズマ溶射、特に、大気雰囲気下でプラズマを形成する大気プラズマ溶射に好適に用いられる。プラズマ溶射はサスペンションプラズマ溶射であってもよい。本発明の溶射用粒子を用いて、従来公知の方法により溶射することにより、溶射皮膜を形成することができる。本発明の溶射用粒子を用いて、基材上に溶射皮膜を備える溶射部材を製造することができ、特に、耐環境コーティング(EBC)を形成したセラミックス基複合材(CMC)などの製造に好適である。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
粒子径分布(平均粒径(D50(体積基準))は、マイクロトラック・ベル(株)製マイクロトラックMT3000により測定した。溶射用粒子の圧潰強度は、(株)島津製作所製 微小圧縮試験機MCTM-500を用いて測定し、粒子20個の平均値として評価した。組成は、希土類元素及びケイ素(Si)について、ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析法により測定し、残部を酸素(O)とした。
[実施例1]
比表面積が13m2/gの酸化イッテルビウム(Yb23)粒子4,360g及び比表面積が203m2/gの二酸化ケイ素(SiO2)粒子635gと、純水10Lとに、分散剤として45gのポリカルボン酸と、バインダーとして25gのポリビニルアルコールとを添加し、ボールミルで4時間混合した。得られたスラリーから、スプレードライヤーで造粒して平均粒径D50が38μmの未焼成の造粒粒子約5,000gを得た。次に、得られた未焼成の造粒粒子を、大気中、1,450℃で、2時間焼成して、平均粒径D50が36μmの球状の溶射用粒子を得た。
得られた溶射用粒子の組成は、Yb2Si1.045.08の平均組成を有することが確認された。また、得られた溶射用粒子の安息角は35.7°、かさ密度は1.52g/cm3、圧潰強度は2.15MPaであり、溶射に好適な粒子であった。結果を表1に示す。
[実施例2]
比表面積が203m2/gの二酸化ケイ素(SiO2)粒子1,200gを、純水100Lに分散させた。得られた懸濁液に、硝酸イッテルビウム(Yb(NO33)水溶液(硝酸イッテルビウム40モル相当量)及び尿素35kgを混合した後、98℃にて4時間加熱して沈殿を得た。得られた沈殿を濾過して回収し、大気中、700℃で、4時間焼成し、解砕機で粉砕後、更に、大気中、1,080℃で2時間焼成して、比表面積が15m2/gのイッテルビウムシリケート原材料粒子(平均粒径D501.6μm)9,000gを得た。得られた原材料粒子の組成は、化学量論組成であるイッテルビウムモノシリケートに相当するYb2Si1.005.00の平均組成を有することが確認された。また、この原材料粒子をXRDで分析したところ、イッテルビウムモノシリケート(Yb2SiO5)として同定された。
次に、得られた比表面積が15m2/gの化学量論組成であるイッテルビウムモノシリケート原材料粒子5,000g及び比表面積が203m2/gの二酸化ケイ素(SiO2)粒子30gと、純水10Lとに、分散剤として45gのポリカルボン酸と、バインダーとして25gのポリビニルアルコールとを添加し、ボールミルで4時間混合した。得られたスラリーから、スプレードライヤーで造粒して平均粒径D50が45μmの未焼成の造粒粒子約5,100gを得た。次に、得られた未焼成の造粒粒子を、大気中、1,450℃で、2時間焼成して、平均粒径D50が40μmの球状の溶射用粒子を得た。
得られた溶射用粒子の組成は、Yb2Si1.025.05の平均組成を有することが確認された。得られた溶射用粒子の電子顕微鏡による観察像を図1に示す。また、得られた溶射用粒子の安息角は36.6°、かさ密度は1.31g/cm3、圧潰強度は2.17MPaであり、溶射に好適な粒子であった。結果を表1に示す。
[実施例3]
比表面積が13m2/gの酸化イッテルビウム(Yb23)粒子8,750gと、比表面積が180m2/gの二酸化ケイ素(SiO2)粒子1,250gとを混合し、大気中、965℃で、2時間焼成し、粉砕して、比表面積が15m2/gのイッテルビウムシリケート原材料粒子(平均粒径D502.3μm)10,000gを得た。得られた原材料粒子の組成は、Yb2Si0.944.87の平均組成を有することが確認された。
次に、得られたイッテルビウムシリケート原材料粒子5,000g及び比表面積が203m2/gの二酸化ケイ素(SiO2)粒子64gと、純水10Lとに、分散剤として45gのポリカルボン酸と、バインダーとして25gのポリビニルアルコールとを添加し、ボールミルで4時間混合した。得られたスラリーから、スプレードライヤーで造粒して平均粒径D50が40μmの未焼成の造粒粒子約5,000gを得た。次に、得られた未焼成の造粒粒子を、大気中、1,450℃で、2時間焼成して、平均粒径D50が40μmの球状の溶射用粒子を得た。
得られた溶射用粒子の組成は、Yb2Si1.035.06の平均組成を有することが確認された。また、得られた溶射用粒子の安息角は35.2°、かさ密度は1.40g/cm3、圧潰強度は5.21MPaであり、溶射に好適な粒子であった。結果を表1に示す。
[実施例4]
比表面積が203m2/gの二酸化ケイ素(SiO2)粒子2,000gを、純水500Lに分散させた。得られた懸濁液に、硝酸イッテルビウム(Yb(NO33)水溶液(硝酸イッテルビウム44.5モル相当量)及び尿素40kgを混合した後、98℃にて4時間加熱して沈殿を得た。得られた沈殿を濾過して回収し、大気中、700℃で、4時間焼成し、解砕機で粉砕後、更に、大気中、1,030℃で2時間焼成して、比表面積が13m2/gのイッテルビウムシリケート原材料粒子(平均粒径D501.6μm)10,760gを得た。得られた原材料粒子の組成は、Yb2Si1.506.00の平均組成を有することが確認された。
次に、得られたイッテルビウムシリケート原材料粒子5,000gと、純水10Lとに、分散剤として45gのポリカルボン酸と、バインダーとして25gのポリビニルアルコールとを添加し、ボールミルで4時間混合した。得られたスラリーから、スプレードライヤーで造粒して平均粒径D50が45μmの未焼成の造粒粒子約5,000gを得た。次に、得られた未焼成の造粒粒子を、大気中、1,400℃で、2時間焼成して、平均粒径D50が43μmの球状の溶射用粒子を得た。
得られた溶射用粒子の組成は、Yb2Si1.506.00の平均組成を有することが確認された。得られた溶射用粒子の電子顕微鏡による観察像を図2に示す。また、得られた溶射用粒子の安息角は35.0°、かさ密度は1.51g/cm3、圧潰強度は21.5MPaであり、溶射に好適な粒子であった。結果を表1に示す。
[実施例5]
比表面積が13m2/gの酸化イッテルビウム(Yb23)粒子3,850g及び比表面積が203m2/gの二酸化ケイ素(SiO2)粒子1,150gと、純水10Lとに、分散剤として45gのポリカルボン酸と、バインダーとして25gのポリビニルアルコールとを添加し、ボールミルで4時間混合した。得られたスラリーから、スプレードライヤーで造粒して平均粒径D50が45μmの未焼成の造粒粒子約5,000gを得た。次に、得られた未焼成の造粒粒子を、大気中、1,400℃で、2時間焼成して、平均粒径D50が42μmの球状の溶射用粒子を得た。
得られた溶射用粒子の組成は、Yb2Si1.966.92の平均組成を有することが確認された。得られた溶射用粒子の電子顕微鏡による観察像を図3に示す。また、得られた溶射用粒子の安息角は34.0°、かさ密度は1.95g/cm3、圧潰強度は37.2MPaであり、溶射に好適な粒子であった。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例2と同様の方法で得た、比表面積が15m2/gのイッテルビウムシリケート原材料粒子(平均粒径D501.6μm)5,000gと、純水10Lとに、分散剤として45gのポリカルボン酸と、バインダーとして25gのポリビニルアルコールとを添加し、ボールミルで4時間混合した。得られたスラリーから、スプレードライヤーで造粒して平均粒径D50が45μmの未焼成の造粒粒子約5,100gを得た。次に、得られた未焼成の造粒粒子を、大気中、表1に示される1,450~1,680℃の間の6種の温度で、各々2時間焼成して、平均粒径D50が、いずれも約40μmの6種の球状の溶射用粒子を得た。
得られた溶射用粒子の組成は、6種いずれも、化学量論組成であるイッテルビウムモノシリケートに相当するYb2Si1.005.00の平均組成を有することが確認された。得られた溶射用粒子のうち、1,450℃で焼成して得た溶射用粒子の電子顕微鏡による観察像を図4に示す。また、得られた6種の溶射用粒子の安息角、かさ密度及び圧潰強度を表1に示す。これらの溶射用粒子のうち、焼成温度が高いものは、かさ密度は高いものの、安息角が大きく、流動性が低かった。また、圧潰強度は、いずれも、1MPa以下であり、溶射用粒子には適さない崩れやすい粒子であった。
[比較例2]
比表面積が15m2/gの酸化イッテルビウム(Yb23)粒子4,500gと、比表面積が203m2/gの二酸化ケイ素(SiO2)粒子645gとを混合し、大気中、1,080℃で、4時間焼成し、粉砕して、比表面積が15m2/gのイッテルビウムシリケート原材料粒子(平均粒径D501.5μm)5,100gを得た。得られた原材料粒子の組成は、Yb2Si0.944.87の平均組成を有することが確認された。
次に、得られたイッテルビウムシリケート原材料粒子5,000gと、純水10Lとに、分散剤として45gのポリカルボン酸と、バインダーとして25gのポリビニルアルコールとを添加し、ボールミルで4時間混合した。得られたスラリーから、スプレードライヤーで造粒して平均粒径D50が42μmの未焼成の造粒粒子約5,000gを得た。次に、得られた未焼成の造粒粒子を、大気中、1,450℃で、2時間焼成して、平均粒径D50が40μmの球状の溶射用粒子を得た。
得られた溶射用粒子の組成は、化学量論組成であるイッテルビウムモノシリケートに相当するYb2SiO5よりイッテルビウムリッチなYb2Si0.944.87の平均組成を有することが確認された。得られた溶射用粒子の電子顕微鏡による観察像を図5に示す。また、得られた溶射用粒子の安息角は41.0°、かさ密度は1.09g/cm3、圧潰強度は0.46MPaであった。結果を表1に示す。この溶射用粒子は、流動性は溶射用粒子として許容できる範囲内にあったが、かさ密度が低かった。また、圧潰強度は、1MPa以下であり、溶射用粒子には適さない崩れやすい粒子であった。
Figure 2023024537000002

Claims (9)

  1. 希土類シリケートを含み、下記平均組成式(1)
    (A2Siyz1-a-b(CeSipqa(EuSimnb (1)
    (式中、Aは、Y、及びPm以外のランタノイドから選ばれる1種以上の3価の希土類元素である。yは1.01以上2未満の正数、zは3+2×yを満たす正数である。pは1以上2未満の正数、qは2+2×pを満たす正数である。mは1以上2未満の正数、nは1+2×mを満たす正数である。a及びbは、各々、0又は0.3以下の正数であり、かつa+bは0.3以下である。)
    で表される組成を有し、圧潰強度が2MPa以上である造粒粒子であることを特徴とする溶射用粒子。
  2. 希土類シリケートを含み、下記平均組成式(2)
    2Siyz (2)
    (式中、Aは、Y、及びPm以外のランタノイドから選ばれる1種以上の3価の希土類元素である。yは1.01以上2未満の正数、zは3+2×yを満たす正数である。)
    で表される組成を有し、圧潰強度が2MPa以上である造粒粒子であることを特徴とする請求項1に記載の溶射用粒子。
  3. 上記平均組成式(1)又は(2)中のAが、Y、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選ばれる1種類以上の希土類元素であることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶射用粒子。
  4. 上記平均組成式(1)又は(2)中のAが、Ybのみ、又はYbと、Y、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びLuからなる群から選ばれる1種類以上の希土類元素とからなることを特徴とする請求項3に記載の溶射用粒子。
  5. 安息角が42°以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の溶射用粒子。
  6. かさ密度が1.2g/cm3以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の溶射用粒子。
  7. 請求項1又は2に記載の溶射用粒子を製造する方法であって、
    希土類酸化物粒子及び/又は希土類シリケート粒子と、酸化ケイ素粒子とを混合する工程、
    得られた混合物を造粒する工程、及び
    得られた造粒粒子を焼成する工程
    を含むことを特徴とする溶射用粒子の製造方法。
  8. 請求項1又は2に記載の溶射用粒子を製造する方法であって、
    上記平均組成式(1)又は(2)で表される希土類シリケートの粒子を造粒する工程、及び
    得られた造粒粒子を焼成する工程
    を含むことを特徴とする溶射用粒子の製造方法。
  9. 上記造粒工程において、各々の原材料粒子のBET比表面積が1m2/g以上であることを特徴とする請求項7又は8に記載の製造方法。
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