JP4480951B2 - 耐食性部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐食性部材に関し、さらに詳しくは、フッ素系腐食性ガス、塩素系腐食性ガス等のハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマに対して高い耐食性を有する耐食性材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、IC、LSI、VLSI等の半導体装置の製造ラインにおいては、フッ素系腐食性ガス、塩素系腐食性ガス等のハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマを用いる工程があり、なかでもドライエッチング、プラズマエッチング、クリーニング等の工程においては、CF、SF、HF、NF、F等のフッ素系ガスや、Cl、SiCl、BCl、HCl等の塩素系ガスを用いていることから、これらの腐食性ガスやプラズマによる半導体製造装置内の構成部材の腐食が問題となっている。
そこで、従来では、耐食性材料として、例えば、立方晶系ガーネット型の酸化イットリウムアルミニウム(イットリウムアルミニウムガーネット:5Al・3Y)が使用されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−236871号公報
【特許文献2】
特開平11−157916号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の耐食性材料では、プラズマ中における耐食性が必ずしも十分とはいえず、プラズマによりフッ素化あるいは塩素化した表面生成物がそのまま脱落するか、あるいは蒸発し、さらに低温部において結晶化することによってパーティクルが発生し、半導体基板であるシリコン(Si)等のウェハの表面を汚染する虞があるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、フッ素系腐食性ガス、塩素系腐食性ガス等のハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマに対して優れた耐食性を有する耐食性材料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討した結果、部材のうち少なくともハロゲン系腐食性ガスまたはそのプラズマに曝される部位を、アルミニウム(Al)と、イットリウム(Y)と、サマリウム及びガドリニウムのうちいずれか一方または双方とを含む複合酸化物により構成すれば、上記の課題を効率よく解決し得ることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の耐食性部材は、ハロゲン系腐食性ガスまたはそのプラズマに曝される部位が、酸化イットリウムアルミニウム結晶中の酸化イットリウムの一部をサマリウム及びガドリニウムのうちいずれか一方または双方の酸化物により置換してなるガーネット型結晶相を単相として含有してなる複合酸化物からなることを特徴とする。
なお、本発明では、サマリウム及びガドリニウムのうちいずれか一方または双方をREで表すものとする。
この耐食性部材では、上記の組成の複合酸化物を用いることにより、酸化イットリウムアルミニウムの耐食性が効率的に改善される。
【0010】
上記の単相として含有するとは、この複合酸化物のX線回折図形において他の成分の存在が認められない状態のことを指称する。したがって、前記ガーネット型結晶相は5Al・(3−x)Y・xRE(ただし、0.01<x<1.20)なる組成式で表される。
【0011】
この耐食性部材では、上記のようなガーネット型結晶相を有することにより、AlやAl・RE等の第2相が、結晶相や粒界相として存在することを抑制し、プラズマ照射による部材表面の劣化を有効に防止すると共に、プラズマ中で容易に気化、析出を繰り返すアルミニウム(Al)を複合酸化物中に取り込むことが可能になる。
【0012】
前記複合酸化物におけるイットリウムの原子数(N)とイットリウムを除く希土類元素の原子数(NRE)の和(N+NRE)に対するアルミニウムの原子数(NAl)の比(NAl/N+NRE)は、1.6〜1.7であることが好ましい。
【0013】
その理由は、比(NAl/N+NRE)が1.7を超えると、前記複合酸化物中の遊離酸化アルミニウム(アルミナ:Al)の存在量が多くなるために、プラズマ照射時における部材表面の酸化アルミニウムに対する選択的エッチングが促進されて表面の劣化が著しくなり、パーティクルの発生原因となるからであり、さらに、この遊離酸化アルミニウムと他の組成との熱膨張率差に伴うクラック発生の原因にもなるからである。
一方、比(NAl/N+NRE)が1.6を下回ると、前記複合酸化物中の希土類酸化物(RE)の含有量が多くなるために、この希土類酸化物が大気中の水分と反応して水酸化物に変化する等により部材表面の耐久性が低下するからである。
【0014】
このように、比(NAl/N+NRE)を1.6〜1.7となるように組成制御することにより、前記複合酸化物におけるガーネット型結晶相の存在量も充分なものとなり、プラズマ照射による部材表面の劣化をさらに有効に防止すると共に、アルミニウム(Al)を複合酸化物中に効果的に取り込むことが可能になる。
この比(NAl/N+NRE)を1.6〜1.7となるように組成制御することにより、前記複合酸化物中の遊離酸化アルミニウム結晶相の存在量も0.1体積%以下となる。
【0015】
このように、サマリウム及びガドリニウムのうちいずれか一方または双方を選択することにより、耐食性を効率的に改善することが可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の耐食性部材の一実施の形態について説明する。
本実施形態の耐食性部材は、ハロゲン系腐食性ガス、またはこれらのプラズマに曝される部材であり、このハロゲン系腐食性ガスとしては、CF、SF、HF、NF、F等のフッ素系ガス、Cl、SiCl、BCl、HCl等の塩素系ガス、Br、HBr等の臭素系ガス、さらにはCF−I(Br、Cl)、CFCl、CFCl等のハロゲン系ガスがあり、これらのガスが導入された雰囲気にマイクロ波や高周波等を導入すると、これらのガスがプラズマ化される。
【0017】
本実施形態の耐食性部材は、このようなハロゲン系腐食性ガス、またはこれらのプラズマに曝される部位を、アルミニウム(Al)と、イットリウム(Y)と、イットリウムを除く希土類元素(RE)とを含む複合酸化物の焼結体により構成するものである。
【0018】
この耐食性部材の耐食性は、ガーネット型結晶相の含有量に影響されるため、立方晶系ガーネット型の酸化イットリウムアルミニウム(イットリウムアルミニウムガーネット:5Al・3Y)中のイットリウム(Y)を、イットリウム(Y)を除く希土類元素(RE)で一部置換固溶したガーネット型結晶を少なくとも含むものであることが好ましい。
【0019】
すなわち、前記複合酸化物は、酸化イットリウムアルミニウム(5Al・3Y)結晶中の酸化イットリウム(Y)がイットリウム(Y)を除く希土類元素(RE)の酸化物(以下、希土類酸化物(RE)とも称する)により一部置換固溶してなるガーネット型結晶相と、酸化アルミニウム(アルミナ:Al)と希土類酸化物(RE)を含む斜方晶系または三方晶系の結晶相とを含有し、遊離酸化アルミニウム(Al)結晶相の含有量が0.1体積(v/v)%以下であることが好ましい。
【0020】
ここでは、上記の希土類酸化物をREと表記しているが、ランタノイド(Ln)は3価の酸化物(Ln)以外に、2価の酸化物(LnO)、4価の酸化物(LnO)等を取り得る。例えば、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、イッテルビウム(Yb)では2価の酸化物SmO、EuO、YbOも取ることができ、プラセオジム(Pr)では、高酸化数酸化物(Pr11)が安定である。そこで、希土類酸化物を指すときはREと表記することとし、特に必要のある場合のみ、例えば、REO等表記することとする。
【0021】
このような組成の結晶相を有することによって、耐食性に劣る酸化アルミニウム(Al)結晶が第2相として結晶相や粒界相として存在することを抑制し、プラズマ照射による部材の表面の劣化を有効に防止すると共に、プラズマ中で容易に気化、析出を繰り返すアルミニウム(Al)を複合酸化物中に取り込むことができる。
【0022】
ここで、0.1v/v%を超える酸化アルミニウム(Al)結晶相が混在する混晶となると、耐腐食性に劣る酸化アルミニウム(Al)結晶の第2相が選択的に腐食されて脆くなり、その結果、耐腐食性に優れるガーネット型結晶相や斜方晶系または三方晶系結晶相も結晶間の結合力が低下し、粗大粒子として脱落することとなるので好ましくない。
【0023】
また、前記複合酸化物は、酸化イットリウムアルミニウム(5Al・3Y)結晶中の酸化イットリウム(Y)が希土類酸化物(RE)により一部置換固溶された、5Al・(3−x)Y・xRE(ただし、0.01<x<1.20)なる組成式で表されるガーネット型結晶相を単相として含み、遊離酸化アルミニウム(Al)結晶相の含有量が0.1v/v%以下であることが好ましい。
【0024】
このような組成の結晶相を有することによって、耐食性に劣る酸化アルミニウム(Al)結晶や酸化アルミニウム(Al)・希土類酸化物(RE)結晶等の第2相が、結晶相や粒界相として存在することを抑制し、プラズマ照射による部材の表面の劣化を有効に防止すると共に、プラズマ中で容易に気化、析出を繰り返すアルミニウム(Al)を複合酸化物中に取り込むことができる。
【0025】
ここでも、0.1v/v%を超える酸化アルミニウム(Al)結晶相が混在する混晶となると、耐腐食性に劣る酸化アルミニウム(Al)結晶や、やや耐腐食性に劣る斜方晶系または三方晶系の酸化アルミニウム(Al)・希土類酸化物(RE)結晶等の第2相が選択的に腐食されて脆くなり、その結果、耐腐食性に優れるガーネット型結晶相も結晶間の結合力が低下し、粗大粒子として脱落することとなるので好ましくない。
【0026】
上記のイットリウム(Y)を除く希土類元素(RE)は、特に制限されるものではなく、周期表第3族に属するスカンジウム(Sc)及びランタノイド(Ln)のランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロジウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等が挙げられるが、入手し易さや耐食性の改善効果の点から、ランタン(La)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム(Dy)の群から選択される1種または2種以上が好ましく、なかでもサマリウム(Sm)及びガドリニウム(Gd)は耐食性の改善効果が著しい点で好ましい。
【0027】
上記のAl・REなる組成式で表される結晶相が、斜方晶系または三方晶系のいずれの結晶相を採るかは、イットリウム(Y)を除く希土類元素(RE)の種類により定まる。具体的な例を挙げると、イットリウム(Y)を除く希土類元素(RE)がランタン(La)、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)のいずれかであるときは三方晶系の結晶相を採り、イットリウム(Y)を除く希土類元素(RE)がサマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロジウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)であるときは斜方晶系の結晶相を採る。
【0028】
本実施形態の耐食性部材は、例えば次のようにして製造することができる。
まず、出発原料である、純度99%以上かつ一次粒子の平均粒径が0.01μm 〜5μmの酸化アルミニウム(Al)粉末、純度99%以上かつ一次粒子の平均粒径が0.01μm 〜5μmの酸化イットリウム(Y)粉末、酸化イットリウム(Y)以外の希土類酸化物(RE)粉末、それぞれを所定の比率で混合する。
【0029】
例えば、5Al・3Y結晶中のYがREにより一部置換固溶されたガーネット型結晶相と、Al・REなる組成式で表される斜方晶系または三方晶系の結晶相とを含有する耐食性部材を製造するには、5モル量の酸化アルミニウム(Al)粉末に対して、酸化イットリウム(Y)粉末と希土類酸化物(RE)粉末とを合計で3モル量、しかも、この3モル量のうち1.2モル〜2.7モルが酸化イットリウム(Y)以外の希土類酸化物(RE)粉末、残部が酸化イットリウム(Y)粉末となるよう添加する。
【0030】
また、5Al・3Y結晶中のYがREにより一部置換固溶されたガーネット型結晶相を単相として含有する耐食性部材を製造するには、5モル量の酸化アルミニウム(Al)粉末に対して、酸化イットリウム(Y)粉末と希土類酸化物(RE)粉末とを合計で3モル量、しかも、この3モル量のうち0.1モル〜1.2モルが酸化イットリウム(Y)以外の希土類酸化物(RE)粉末、残部が酸化イットリウム(Y)粉末となるよう添加する。
【0031】
これらの耐食性部材においては、耐食性に劣る遊離酸化アルミニウム(Al)の生成を防止(生成量:0.1v/v%以下)し、充分な量のガーネット型結晶相の生成を確保するために、イットリウム(Y)の原子数(N)とイットリウム(Y)を除く希土類元素(RE)の原子数(NRE)の和(N+NRE)に対するアルミニウム(Al)の原子数(NAl)の比(NAl/N+NRE)が1.6〜1.7となるよう、原料粉末を配合することが好ましい。
なお、生成する各結晶相の生成量は、原料粉末の混合比率の他、混合条件、焼成条件等によっても変動するので、これらの条件を予め予備実験にて求めておくことが望ましい。
【0032】
次いで、この混合粉末を仮焼(仮焼成)する。
この混合粉末は、仮焼せずにそのまま成形・焼成しても焼結体を得ることができるが、混合粉末の組成にずれが生じる虞があり、また、仮焼しない混合粉末を直接、本焼成すると、酸化アルミニウム(Al)粉末中のアルミニウム(Al)が蒸発して所望の組成の焼結体が得られない虞がある。
したがって、所望の組成の焼結体を安定して得るためには、上記の混合粉末を800℃〜1800℃の温度にて仮焼した後、300μm以下の粒径に粉砕した仮焼粉末を利用することが望ましい。
【0033】
この仮焼粉末には、所望により、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、エチルセルロース、アクリル系バインダー等の有機バインダーを添加してもよい。
次いで、この仮焼粉末あるいは造粒粉末を、周知の成形手段により所定形状に成形する。
その後、この成形体を、大気中、真空中または不活性ガス雰囲気中、50〜300℃にて脱脂した後、大気中、真空中または不活性ガス雰囲気中、1400℃〜1800℃、好ましくは1550℃〜1750℃にて1 〜10時間焼成することにより、98%以上の焼結密度を有する緻密な焼結体を作製することができる。
焼成方法としては、常圧焼成法でもよいが、緻密な焼結体を得るためにはホットプレス、熱間静水圧プレス(HIP)等の加圧焼成法が好ましい。加圧焼成時の加圧力は特に制限はないが、通常、100〜400kg/cm程度である。
【0034】
本実施形態の耐食性部材は、上記の焼結体の他、例えば、ステンレススチールやニッケル基合金等の所定の基体の表面に形成された薄膜であってもよい。
この薄膜は、PVD法、CVD法等の周知の薄膜形成技術により形成してもよく、周知のゾルゲル法により薄膜形成用塗布液を塗布し焼成することにより形成してもよい。この薄膜の厚みは10μm以上あることが、優れた耐食性を付与するうえで好ましい。その理由は、薄膜の厚みが10μmより薄いと、優れた耐食効果が期待できないからである。
【0035】
【実施例】
以下、実施例、参考例及び比較例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。
実施例1〜13及び参考例1〜20
いずれも純度99.9%かつ一次粒子の平均粒径が1.0μmの、市販の酸化アルミニウム(Al)粉末、市販の酸化イットリウム(Y)粉末、及び市販の希土類酸化物(RE)粉末を用い、これらの粉末を表1及び表2に示す組成となるように秤量、調整し、その後、エタノールを溶媒として遊星型ボールミルにて湿式混合し、実施例1〜13及び参考例1〜20各々の混合粉末とした。
【0036】
次いで、これら実施例1〜13及び参考例1〜20各々の混合粉末を大気中、1500℃にて4時間仮焼し、その後、平均粒径が100μm以下になるように粉砕し、この粉末を周知の成形手段により所定形状に成形した。次いで、得られた成形体を真空中にて脱脂し、次いで、ホットプレスを用いて、大気中、1600℃にて2時間、加圧焼成した。この際の加圧力は200kg/cmである。
【0037】
「比較例」
実施例1と同一の酸化アルミニウム(Al)粉末及び酸化イットリウム(Y)粉末を用い、これらの粉末を表2に示す組成となるように秤量、調整し、その後、実施例1に準じて湿式混合〜焼成を行い、比較例の焼結体を作製した。
【0038】
次いで、上記実施例1〜13、参考例1〜20及び比較例の各焼結体を評価した。評価結果を表1及び表2に示す。
なお、評価項目及び評価方法は次のとおりである。
(1)耐食性1−消耗速度(エッチングレート)
耐食性を評価するために、焼結体の消耗速度(エッチングレート)を測定し、評価した。
各焼結体から10mm×10mm×5mmの板状体を切り出し、一方の面を鏡面研磨し、この研磨面を試験面とする試験片を作製した。
【0039】
次いで、この試験片をアセトン洗浄した後、その重量を測定し、プラズマエッチング装置のチャンバー内に設置した。次いで、このチャンバー内にCFガス及びマイクロ波(100W)を導入してCFプラズマを発生させ、このCFプラズマに各試験片を暴露させた。その後、この試験片の暴露後の重量を測定し、暴露前後の重量変化から消耗速度(エッチングレート)を算出した。
なお、暴露条件は、雰囲気圧:11torr、暴露時間:10分、暴露温度:900℃である。
【0040】
(2)耐食性2−表面粗さの変化
上記CFプラズマに各試験片を暴露した前後の表面粗さ(Ra)を表面粗さ計により測定した。
(3)焼結体の結晶相の同定
粉末X線回折法により結晶相の同定を行った。
表1及び表2中、Gはガーネット型結晶相、Oは斜方晶系結晶相、Tは三方晶系結晶相、YAGはイットリウムアルミニウムガーネット(5Al・3Y)結晶相である。
(4)焼結体中の遊離酸化アルミニウム(Al)量
エレクトロン・プローブ・マイクロアナライザ(EPMA)により酸化アルミニウム(Al)量(v/v%)を定量した。
【0041】
また、実施例1〜13及び参考例1〜20の各焼結体においては、希土類酸化物(RE)による酸化イットリウム(Y)の置換量が増加するに従って、5Al・3YのX線回折ピークが低角側にシフトしていくことから、5Al・3Y結晶中のYがREにより一部置換固溶されていることが確認された。
【0042】
【表1】
Figure 0004480951
【0043】
【表2】
Figure 0004480951
【0044】
上記の評価結果により、次の事項が判明した。
(1)実施例1〜13の焼結体は、5Al・3Y結晶中のYがREにより一部置換されたガーネット型結晶相を単相として含有するものであるから、比較例のイットリウムアルミニウムガーネット(5Al・3Y)結晶相を単相で含有する焼結体比較して、耐食性に優れている。
【0045】
(2)サマリウム(Sm)、ガドリニウム(Gd)が耐食性の改善に有効である。
以上により、実施例1〜13の焼結体は、比較例の焼結体と比べて、ハロゲン系腐食性ガスまたはこれらのプラズマに対して優れた耐食性を有することが明らかとなった。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の耐食性部材によれば、ハロゲン系腐食性ガスまたはそのプラズマに曝される部位を、酸化イットリウムアルミニウム結晶中の酸化イットリウムの一部をサマリウム及びガドリニウムのうちいずれか一方または双方の酸化物により置換してなるガーネット型結晶相を単相として含有してなる複合酸化物により構成したので、フッ素系腐食性ガス、塩素系腐食性ガス等のハロゲン系腐食性ガス及びこれらのプラズマに対して高い耐食性を有する。
したがって、この耐食性部材を、上記の腐食性ガスやプラズマに曝される虞のある半導体製造装置内の構成部材に適用すれば、パーティクル等の発生も無く、シリコン(Si)等のウェハの表面を汚染する虞もない。

Claims (3)

  1. ハロゲン系腐食性ガスまたはそのプラズマに曝される部位が、酸化イットリウムアルミニウム結晶中の酸化イットリウムの一部をサマリウム及びガドリニウムのうちいずれか一方または双方の酸化物により置換してなるガーネット型結晶相を単相として含有してなる複合酸化物からなることを特徴とする耐食性部材。
  2. 前記複合酸化物におけるイットリウムの原子数(N)とサマリウム及びガドリニウムのうちいずれか一方または双方の原子数(N RE の和(N+NRE)に対するアルミニウムの原子数(NAl)の比(NAl/N+NRE)は、1.6〜1.7であることを特徴とする請求項1記載の耐食性部材。
  3. 前記複合酸化物中の遊離酸化アルミニウム結晶相は、0.1体積%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の耐食性部材。
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