JP5626264B2 - 電極の製造方法、および電池 - Google Patents

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Description

本発明は、電極の製造方法、および電池に関し、特に電極合剤を作製する技術に関する。
従来、シート状に形成された一対の電極(正極および負極)をセパレータを介して積層し、巻回してなる電極体を有する電池(例えば、リチウムイオン二次電池)が広く知られている。
上記のような電池の電極は、シート状の集電体の表面上に、ペースト状の電極合剤を塗工することによって作製されている。
結着剤および増粘剤を含む電極合剤においては、凝集物が形成されるおそれがある。凝集物が形成された電極合剤は、均等に集電体の表面上に塗工することが困難であり、塗工不良を招くおそれがある。
特許文献1には、電極合剤(詳細には、負極合剤)を作製する際、低分子量の増粘剤(1wt%水溶液の粘度:10〜1800mPa・s)を加えた後に、高分子量の増粘剤(1wt%水溶液の粘度:3000〜10000mPa・s)を加えることにより、凝集物の形成を抑制する技術が開示されている。
しかしながら、電極合剤の固形分を増加させた場合においては、電極合剤に含まれる活物質に低分子量の増粘剤が吸着しているため、電極合剤に剪断力が付与された際に粘度が上昇する現象(ダイラタンシ)が発生し、塗工不良を招く点で不利である。
特開2009−099441号公報
本発明は、電極合剤の固形分を増加させた場合でも、当該電極合剤を良好に塗工可能な技術を提供することを課題とする。
本発明に係る電極の製造方法は、シート状の集電体と、前記集電体の表面に形成される電極合剤層と、を具備する電極の製造方法であって、混練機を用いて、活物質を含む電極合剤を作製する混練工程と、前記電極合剤を前記集電体の表面に塗工する塗工工程と、前記集電体に塗工された電極合剤にプレス加工を施して、当該集電体の表面に前記電極合剤層を形成するプレス工程と、を具備し、前記混練工程において、1wt%水溶液の粘度が5000〜9000mPa・sである第一増粘剤と、1wt%水溶液の粘度が2000〜5000mPa・sである第二増粘剤と、を前記活物質に添加前記電極合剤の固形分における、前記第一増粘剤および前記第二増粘剤の重量比は、3:4〜6.5:0.5である
本発明に係る電極の製造方法において、前記電極は、負極であることが好ましい。
本発明に係る電極の製造方法において、前記混練機は、二軸連続混練機であることが好ましい。
本発明に係る電極の製造方法において、前記電極合剤の固形分における、前記第一増粘剤および前記第二増粘剤の重量比は、4:3〜6:1であることが好ましい。
本発明に係る電極の製造方法において、前記第一増粘剤および前記第二増粘剤は、共にカルボキシメチルセルロースであることが好ましい。
本発明に係る電極の製造方法において、前記混練工程にて、前記第一増粘剤および前記第二増粘剤を粉体の状態で、前記混練機に投入することが好ましい。
本発明に係る電極の製造方法において、前記電極合剤の固形分率は、54%であることが好ましい。
本発明に係る電池は、請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の電極の製造方法によって製造された電極を具備する。
本発明によれば、電極合剤の固形分を増加させた場合でも、当該電極合剤を良好に塗工できる。
本発明に係る電極の製造方法を示す図。
以下では、本発明に係る電池の一実施形態であるリチウムイオン二次電池について説明する。
前記リチウムイオン二次電池は、その外装をなすケースと、当該ケースに収納される電極体とを具備する。
前記ケースは、アルミニウムまたはステンレス鋼等からなる容器である。前記ケースの内部には、前記電極体が電解液と共に収納される。
前記電極体は、正極および負極をセパレータを介して積層し、巻回することによって作製される。前記電極体は、前記電解液が含浸することで発電要素として機能する。
前記正極は、シート状の正極集電体と、当該正極集電体の表面に形成された正極合剤層とを備える電極である。
前記正極集電体は、アルミニウム、チタンまたはステンレス鋼等の金属箔からなる集電体である。
前記正極合剤層は、正極活物質、導電助剤および結着剤等を含む正極合剤からなる電極合剤層である。
前記負極は、シート状の負極集電体と、当該負極集電体の表面に形成された負極合剤層とを備える電極である。
前記負極集電体は、銅、ニッケルまたはステンレス鋼等の金属箔からなる集電体である。
前記負極合剤層は、負極活物質、増粘剤および結着剤等を含む負極合剤からなる電極合剤層である。
前記セパレータは、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)等からなる絶縁体であり、前記正極と前記負極との間に介装される。
以下では、前記リチウムイオン二次電池の製造工程について説明する。
前記リチウムイオン二次電池の製造工程は、前記正極を作製する正極作製工程と、前記負極を作製する負極作製工程S10とを具備する。
前記正極作製工程においては、まず、二軸連続混練機およびプラネタリミキサ等の混練機を用いて、前記正極活物質を導電助剤および結着剤等と共に溶媒に分散させることにより、ペースト状の前記正極合剤を作製する。
次に、ダイコータ等の塗工機を用いて、前記正極集電体の表面に前記正極合剤を塗工した後、当該正極合剤を乾燥させる。
最後に、前記正極集電体の表面に塗工された前記正極合剤に対してプレス加工を施すことで、前記正極集電体の表面に前記正極合剤層を形成する。
負極作製工程S10は、本発明に係る、電極の製造方法の一実施形態である。
図1に示すように、負極作製工程S10は、混練工程S11と、塗工工程S12と、プレス工程S13とを具備する。
混練工程S11は、所定の材料を混練して、前記負極合剤を作製する工程である。
混練工程S11においては、混練機を用いて、前記負極活物質を増粘剤および結着剤等と共に溶媒(例えば、イオン交換水)に分散させることにより、ペースト状の前記負極合剤を作製する。
混練工程S11においては、増粘剤として、第一増粘剤と第二増粘剤とが用いられる。
前記第一増粘剤は、高分子量の増粘剤であり、1wt%水溶液の粘度が5000〜9000mPa・sである。
前記第二増粘剤は、前記第一増粘剤に比べて低分子量の増粘剤であり、1wt%水溶液の粘度が2000〜5000mPa・sである。
混練工程S11において、これらの二種類の増粘剤を用いることによって、以下のような効果を奏する。
第一に、高粘度の第一増粘剤が前記負極活物質に吸着するため、前記負極合剤の固形分を増加させた場合でも、当該負極合剤に剪断力が付与された際に粘度が上昇する現象(ダイラタンシ)の発生を抑制することができる。
第二に、低粘度の第二増粘剤は、水への溶解性が高く、前記第一増粘剤が吸着した負極活物質と溶媒との間で、界面活性剤のように機能するため、前記負極活物質の溶媒への親和性を大いに向上させることができる。更に、溶媒への親和性が向上した負極活物質を含む負極合剤においては、気泡が安定化せず、混練途中ですぐに消失するため、脱泡工程を行うことなく、前記負極合剤に気泡が残存することを抑制できる。
前記第一増粘剤および前記第二増粘剤としては、セルロースエーテル(例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース)、およびポリエーテル(例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド)等を採用可能である。
特に、水との親和性が高く、かつ前記負極活物質との親和性も高いという点から、前記第一増粘剤および前記第二増粘剤として、カルボキシメチルセルロース(CMC)を採用することが好ましい。
また、混練工程S11においては、前記第一増粘剤および前記第二増粘剤を粉体の状態(溶媒に溶解させていない状態)で、混練機に投入することが好ましい。
これは、前記第一増粘剤および前記第二増粘剤を含む水溶液を別途作製する時間および設備を省くためである。
特に、増粘剤の粘度が大きい場合には、溶解に要する時間が長くなると共に、その水溶液を取り出す作業が煩雑となるため、前記第一増粘剤および前記第二増粘剤を粉体の状態で、混練機に投入することにより、前記負極合剤の作製に要する時間およびコストを削減できるのである。
また、混練工程S11にて用いる混練機として、二軸連続混練機を採用することが好ましい。
二軸連続混練機は、外装をなす中空のバレルと、当該バレルの内部に互いに平行に設けられた二つの回転軸と、当該回転軸に設けられ、前記バレルの内部に投入された材料を混練する複数のパドルとを具備する混練機である。二軸連続混練機は、プラネタリミキサ等の混練機と異なり、材料の混練中に、当該材料を混練するためのブレードから材料を掻き落とす作業が不要であるという利点を有する。
一般的に、二軸連続混練機は、構造上、減圧しながら材料を混練することは困難であり、二軸連続混練機によって作製されたペーストに、気泡が残存するおそれがある。そのため、二軸連続混練機を、電池の電極合剤を作製する工程に用いた場合には、当該電極合剤に気泡が残存し、電池の性能の低下を招くおそれがある。したがって、別途、電極合剤中の気泡を除去する作業を行う必要があり、前記負極合剤の作製に要する時間およびコストが増加する点で不利である。
しかしながら、前述のように、混練工程S11においては、前記第一増粘剤および前記第二増粘剤を用いることにより、前記負極合剤に気泡が残存することを抑制している。
したがって、混練工程S11において、二軸連続混練機を用いた場合でも、前記負極合剤に気泡が残存せず、前述のような二軸連続混練機の利点を生かすことができるのである。
なお、混練工程S11にて用いる混練機として、特開2011−224435号公報に開示された、二軸連続混練機を採用することが可能である。
塗工工程S12は、前記負極合剤を前記負極集電体の表面に塗工する工程である。
塗工工程S12においては、ダイコータ等の塗工機を用いて、前記負極集電体の表面に前記負極合剤を塗工する。
前述のように、混練工程S11にて、前記第一増粘剤および前記第二増粘剤を用いることにより、前記負極合剤における、ダイラタンシの発生および気泡の残存を抑制している。
そのため、塗工工程S12において、良好に前記負極合剤を前記負極集電体の表面に塗工することができる。
したがって、最終的に作製されるリチウムイオン二次電池の性能の低下を抑制することができる。
塗工工程S12において、前記負極集電体の表面に前記負極合剤を塗工した後は、当該負極合剤を乾燥炉によって乾燥させる。
前述のように、混練工程S11にて、前記第一増粘剤および前記第二増粘剤を用いることにより、前記負極合剤の固形分を増加させた場合に、ダイラタンシが発生することを抑制している。
そのため、前記負極合剤の固形分を増加させることにより、当該負極合剤を短時間で乾燥させることができる。
したがって、前記負極合剤を乾燥させるための乾燥炉の長さを短縮することができ、前記負極の作製に要する時間およびコストを削減することができる。
プレス工程S13は、前記負極集電体に塗工された負極合剤にプレス加工を施す工程である。
プレス工程S13においては、ロールプレス等によって、前記負極集電体に塗工された負極合剤にプレス加工を施すことにより、前記負極集電体の表面に前記負極合剤層を形成する。
以上のように、負極作製工程S10においては、混練工程S11、塗工工程S12、プレス工程S13を順に経ることにより、前記負極が作製される。
前記正極作製工程および負極作製工程S10の後は、前記正極と前記負極とを用いて前記電極体を作製する工程、前記電極体を前記ケース内に収納する工程、および前記電極体が収納されたケースの内部に前記電解液を注液する工程等を経て、前記リチウムイオン二次電池が製造されることとなる。
なお、本実施形態においては、前記第一増粘剤および前記第二増粘剤を用いて、前記負極を作製したが(負極作製工程S10)、前記負極と同様に、前記正極を前記第一増粘剤および前記第二増粘剤を用いて作製することも可能である。
この場合、前記正極を作製する正極作製工程においては、負極作製工程S10において前記負極を作製する場合と同様の効果を奏する。
以下では、実施例1〜7、および比較例1〜3に基づいて、本発明に係る負極に用いられる負極合剤の特性について説明する。
[実施例1]
第一増粘剤として、第一工業製薬株式会社製のカルボキシメチルセルロース(CMC)であるセロゲン(登録商標)のBSH−12(1wt%水溶液の粘度:6000〜8000mPa・s(25℃)、エーテル化度:0.65〜0.75)を採用し、第二増粘剤として、第一工業製薬株式会社製のカルボキシメチルセルロース(CMC)であるセロゲン(登録商標)のBSH−6(1wt%水溶液の粘度:3000〜4000mPa・s(25℃)、エーテル化度:0.60〜0.70)を採用した。
更に、負極活物質として、アモルファスコートグラファイト、結着剤として、日本ゼオン株式会社製のスチレン−ブタジエンゴム(SBR)であるBM−400B、溶媒として、イオン交換水を採用した。
そして、二軸連続混練機を用いて、負極活物質:第一増粘剤:第二増粘剤:結着剤=98.3:0.65:0.05:1.0(wt%)の比率で溶媒に分散させて、固形分率が54%の負極合剤を作製した。
[実施例2]
第一増粘剤の添加量を0.60wt%とし、第二増粘剤の添加量を0.10wt%とした以外は、実施例1と同様に負極合剤を作製した。
[実施例3]
第一増粘剤の添加量を0.50wt%とし、第二増粘剤の添加量を0.20wt%とした以外は、実施例1と同様に負極合剤を作製した。
[実施例4]
第一増粘剤の添加量を0.40wt%とし、第二増粘剤の添加量を0.30wt%とした以外は、実施例1と同様に負極合剤を作製した。
[実施例5]
第一増粘剤の添加量を0.30wt%とし、第二増粘剤の添加量を0.40wt%とした以外は、実施例1と同様に負極合剤を作製した。
[実施例6]
第一増粘剤の添加量を0.20wt%とし、第二増粘剤の添加量を0.50wt%とした以外は、実施例1と同様に負極合剤を作製した。
[実施例7]
第一増粘剤の添加量を0.10wt%とし、第二増粘剤の添加量を0.60wt%とした以外は、実施例1と同様に負極合剤を作製した。
[比較例1]
第一増粘剤および第二増粘剤を用いずに、増粘剤として、前記のBSH−12を採用し、当該増粘剤の添加量を0.70wt%とした以外は、実施例1と同様に負極合剤を作製した。
[比較例2]
第一増粘剤および第二増粘剤を用いずに、増粘剤として、前記のBSH−6を採用し、当該増粘剤の添加量を0.70wt%とした以外は、実施例1と同様に負極合剤を作製した。
[比較例3]
第一増粘剤として、第一工業製薬株式会社製のカルボキシメチルセルロース(CMC)であるセロゲン(登録商標)のWS−CN(1wt%水溶液の粘度:110〜150mPa・s(25℃)、エーテル化度:0.60〜0.70)を採用し、第二増粘剤として、前記のBSH−12を採用し、第一増粘剤および第二増粘剤の添加量を共に0.35wt
%とした以外は、実施例1と同様に負極合剤を作製した。
以上の実施例1〜7、および比較例1〜3における負極合剤ごとに、下記の表1の如く、「ペースト粘度」、「フィルタ透過」、および「塗工欠点数」の合計3つの項目について評価を行い、当該評価に基づいて最終的な「総合判定」を行った。
ここで、「ペースト粘度」は、負極合剤の粘度であり、1000mPa・s以上かつ2000mPa・s以下であることが望ましい。「ペースト粘度」が1000mPa・sを下回る場合には、負極合剤中の負極活物質が沈降するおそれがあり、2000mPa・sを上回る場合には、塗工機による負極合剤の塗工が困難となる。
「フィルタ透過」は、負極合剤がフィルタ(株式会社ロキテクノ製SFT50)を通過するか否かを検査することによって、負極合剤にダイラタンシが発生しているか否かを評価する項目である。表1の「フィルタ透過」における「○」は、負極合剤がフィルタを良好に通過することを意味し、「△」は、負極合剤がフィルタを多少通過することを意味し、「×」は、負極合剤がフィルタを全く通過しないことを意味する。
「塗工欠点数」は、負極集電体に塗工された負極合剤における、1m(長手方向)あたりの塗工欠点の数であり、2個未満であることが望ましい。塗工欠点が多くなるに従って、材料歩留り、および電池性能が悪化する。
Figure 0005626264
実施例1においては、「ペースト粘度」が1000mPa・s以上かつ2000mPa・s以下であり(1780mPa・s)、「フィルタ透過」が良好であるが、「塗工欠点数」が2個であった。
これは、低粘度の第二増粘剤の添加量が若干少なく、負極合剤に少量の気泡が残存したためと考えられる。
前述のように、「塗工欠点数」は、2個未満であることが望ましいが、「塗工欠点数」が2個であれば大きな問題はないため、実施例1の「総合判定」として、作製された負極合剤は、概ね良好な性質を有すると判定した。
実施例2においては、「ペースト粘度」が1000mPa・s以上かつ2000mPa・s以下であり(1610mPa・s)、「フィルタ透過」が良好であり、「塗工欠点数」が0個であり、全ての項目で望ましい評価が得られた。
したがって、実施例2の「総合判定」として、作製された負極合剤は、極めて良好な性質を有すると判定した。
実施例3においては、「ペースト粘度」が1000mPa・s以上かつ2000mPa・s以下であり(1530mPa・s)、「フィルタ透過」が良好であり、「塗工欠点数」が0個であり、全ての項目で望ましい評価が得られた。
したがって、実施例3の「総合判定」として、作製された負極合剤は、極めて良好な性質を有すると判定した。
実施例4においては、「ペースト粘度」が1000mPa・s以上かつ2000mPa・s以下であり(1390mPa・s)、「フィルタ透過」が良好であり、「塗工欠点数」が0個であり、全ての項目で望ましい評価が得られた。
したがって、実施例4の「総合判定」として、作製された負極合剤は、極めて良好な性質を有すると判定した。
実施例5においては、「ペースト粘度」が1000mPa・s以上かつ2000mPa・s以下であり(1270mPa・s)、「塗工欠点数」が0個であるが、「フィルタ透過」で若干望ましくない評価が得られた。
これは、高粘度の第一増粘剤の添加量が若干少なく、負極合剤にダイラタンシが発生したためと考えられる。
しかしながら、負極合剤がフィルタを多少通過しているため、実施例5の「総合判定」として、作製された負極合剤は、概ね良好な性質を有すると判定した。
実施例6においては、「ペースト粘度」が1000mPa・s以上かつ2000mPa・s以下であり(1040mPa・s)、「塗工欠点数」が0個であるが、「フィルタ透過」で望ましくない評価が得られた。
これは、高粘度の第一増粘剤の添加量が少なく、負極合剤にダイラタンシが発生したためと考えられる。
したがって、実施例6の「総合判定」として、作製された負極合剤は、所望の性質を有していないと判定した。
実施例7においては、「塗工欠点数」が0個であるが、「ペースト粘度」が1000mPa・sを下回り(860mPa・s)、「フィルタ透過」においても望ましくない評価が得られた。
これは、高粘度の第一増粘剤の添加量が少なく、負極合剤の粘度が不足し、負極合剤にダイラタンシが発生したためと考えられる。
したがって、実施例7の「総合判定」として、作製された負極合剤は、所望の性質を有していないと判定した。
比較例1においては、「ペースト粘度」が1000mPa・s以上かつ2000mPa・s以下であり(1840mPa・s)、「フィルタ透過」が良好であるが、「塗工欠点数」が19個であった。
これは、高粘度の増粘剤のみを添加したことにより、負極合剤に多量の気泡が残存したためと考えられる。
したがって、比較例1の「総合判定」として、作製された負極合剤は、所望の性質を有していないと判定した。
比較例2においては、「塗工欠点数」が0個であるが、「ペースト粘度」が1000mPa・sを下回り(490mPa・s)、「フィルタ透過」においても望ましくない評価が得られた。
これは、低粘度の増粘剤のみを添加したことにより、負極合剤にダイラタンシが発生したためと考えられる。
したがって、比較例2の「総合判定」として、作製された負極合剤は、所望の性質を有していないと判定した。
比較例3においては、「塗工欠点数」が0個であるが、「ペースト粘度」が1000mPa・sを下回り(620mPa・s)、「フィルタ透過」においても望ましくない評価が得られた。
これは、極めて低い分子量の第一増粘剤が負極活物質に吸着しており、負極合剤にダイラタンシが発生したためと考えられる。
また、極めて低い分子量の第一増粘剤を添加したことにより、負極合剤の粘度が不足し、負極活物質が沈降している。
したがって、比較例3の「総合判定」として、作製された負極合剤は、所望の性質を有していないと判定した。
以上のように、本発明に係る負極に用いられる負極合剤は、その固形分における、第一増粘剤および第二増粘剤の重量比が6:1〜4:3の場合に、良好な性質を有することが明らかとなった。
特に、本発明に係る負極に用いられる負極合剤は、高固形分率(54%)の場合にも、良好な性質を有することが明らかとなった。

Claims (8)

  1. シート状の集電体と、前記集電体の表面に形成される電極合剤層と、を具備する電極の製造方法であって、
    混練機を用いて、活物質を含む電極合剤を作製する混練工程と、
    前記電極合剤を前記集電体の表面に塗工する塗工工程と、
    前記集電体に塗工された電極合剤にプレス加工を施して、当該集電体の表面に前記電極合剤層を形成するプレス工程と、を具備し、
    前記混練工程において、1wt%水溶液の粘度が5000〜9000mPa・sである第一増粘剤と、1wt%水溶液の粘度が2000〜5000mPa・sである第二増粘剤と、を前記活物質に添加
    前記電極合剤の固形分における、前記第一増粘剤および前記第二増粘剤の重量比は、3:4〜6.5:0.5である、
    ことを特徴とする、電極の製造方法。
  2. 前記電極は、負極である、
    ことを特徴とする請求項1に記載の電極の製造方法。
  3. 前記混練機は、二軸連続混練機である、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電極の製造方法。
  4. 前記電極合剤の固形分における、前記第一増粘剤および前記第二増粘剤の重量比は、4
    :3〜6:1である、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
  5. 前記第一増粘剤および前記第二増粘剤は、共にカルボキシメチルセルロースである、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
  6. 前記混練工程において、前記第一増粘剤および前記第二増粘剤を粉体の状態で、前記混練機に投入する、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
  7. 前記電極合剤の固形分率は、54%である、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の電極の製造方法。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の電極の製造方法によって製造された電極を具備する電池。
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