JP5626152B2 - 燃料噴射システム - Google Patents

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本発明は、内燃機関おける燃料噴射システムに関する。
燃費向上や低エミッションのために燃料と吸気の均質な混合気を形成し燃焼を行う筒内直噴型の内燃機関が開発されている。一方で、直噴型の燃料噴射を行う内燃機関では、燃料噴射弁の噴孔が燃焼ガスに晒されることから、時間経過とともに該噴孔にデポジットが堆積し、気筒内への適切な燃料噴射が阻害される可能性がある。そこで、燃料噴射弁の噴孔にデポジットが堆積した場合には、燃料噴射に関する所定の制御を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。当該特許文献1に示す技術では、デポジットの堆積時には、燃料噴射期間の延長もしくは燃料噴射時期の遅角に関する制御が行われ、それによりデポジット堆積に起因したエミッションの低下の回避が図られる。
また筒内直噴型の内燃機関において、同じように燃料噴射弁の噴孔におけるデポジット堆積に起因したエミッション低下を回避する技術として、特許文献2に係る技術も開示されている。当該技術では、直噴型の燃料噴射弁の噴孔にデポジットが堆積したときには、気筒内に噴射する燃料噴射弁と、吸気ポート内に噴射する燃料噴射弁のそれぞれの噴射比率が調整される。また、直噴型の燃料噴射弁におけるデポジットの堆積検出に関して、気筒内の空燃比のフィードバック制御値に基づいた検出技術も開示されている。
特開2010−236492号公報 特開2005−201082号公報
筒内直噴型の内燃機関においては、気筒内に直接、燃料噴射を行う燃料噴射装置の噴孔にデポジットが堆積しやすい。この堆積デポジットの存在により、気筒内への燃料の噴射状況が好適な状態とならないため、エミッションの低下等の原因となる。一方で、直噴型の燃料噴射装置として、複数の燃料噴孔が設けられ、その燃料噴孔の形状が開口部に向かって拡径していく、いわゆるテーパ形状を有する燃料噴射装置が利用される場合がある。このようなテーパ形状の燃料噴孔を複数、備える燃料噴射装置では、気筒内に燃料噴霧を効果的に拡散することができ、混合気の均質化等を図ることができる。
このようなテーパ形状の燃料噴孔を複数備える燃料噴射装置においては、その噴孔形状が拡径していることから、燃料噴孔にデポジットが堆積しても堆積していない場合と比べて燃料流量の変化量はそれほど大きくはない。しかし、堆積デポジットの存在により、燃料噴孔での燃料の流れの向きが変えられ、結果として、気筒内への燃料の噴射角が、想定される噴射角から大きく乖離する可能性がある。気筒内への燃料噴射角が想定角から乖離すると、気筒内での燃料の拡散状況に影響を及ぼすため、混合気の均質化や好適な燃焼が行われにくくなる。
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、筒内直噴型の内燃機関における燃料噴射システムであって、燃料噴射装置の燃料噴孔にデポジットが堆積した場合でも、好適な燃焼のための燃料噴射を行うシステムを提供することを目的とする。
本発明において、上記課題を解決するために、気筒内に直接燃料噴射を行う燃料噴射装置において、その燃料噴孔にデポジットが堆積したときには、その燃料噴射時期を遅角する制御を行う。そして、その遅角量は、堆積したデポジットによる燃料の噴射方向の変化と、内燃機関の機関回転数に基づいて決定されるものとする。これにより、デポジット堆積の状態であっても、気筒内への燃料噴射時期が好適に調整される。
詳細には、本発明は、内燃機関の気筒内に開口し、開口側が拡径するように所定のテーパ角を有する燃料噴孔を、複数備える燃料噴射装置と、前記燃料噴射装置の前記燃料噴孔における、デポジットの堆積を検出するデポジット堆積検出手段と、前記デポジット堆積検出手段によってデポジットの堆積が検出されると、前記内燃機関の吸気行程において、前記燃料噴射装置による前記気筒内への燃料噴射時期を遅角制御する噴射遅角制御手段と、を備える燃料噴射システムであって、前記噴射遅角制御手段は、前記燃料噴孔におけるデポジットの堆積による燃料噴射角の変化と内燃機関の機関回転数に基づいて、前記燃料噴射装置による燃料噴射時期の遅角量を決定する。
本発明に係る燃料噴射システムでは、燃料噴射装置から気筒内に直接的に燃料噴射が行われる。そして、当該燃料噴射装置には、複数の燃料噴孔が備えられ、それぞれの燃料噴孔は、開口部側がより拡径するテーパ形状を有する燃料噴孔である。当該燃料噴孔を有する燃料噴射装置では、テーパ形状の噴孔側面に沿って燃料が流れるため、テーパ形状ではない燃料噴孔を流れる場合と比べて、燃料噴孔通過時の燃料をより薄膜化することができる。その結果、気筒内に燃料を噴射した時点で、燃料噴霧の微粒化が図られており、気筒内での混合気の均質化が期待される。
しかしながら、燃料噴射装置の燃料噴孔は気筒内に晒されていることから、燃料の燃焼にともなって燃料噴孔にデポジットが堆積していく。ここで、燃料噴孔は上記のとおりテーパ形状を有しており、その構成において開口側に近づくに従い噴孔内部の空間は大きくなる。また、デポジットは、燃料噴孔の開口側に近いところから堆積していくのが一般である。そのため、燃料噴孔でデポジットが堆積しても燃料噴孔を閉塞する割合はそれほど大きくならないため、燃料噴孔を流れる燃料流量は大きく変化しない。しかし、燃料噴孔にデポジットが存在していることにより、燃料の流れが変わる可能性があり、結果として、燃料噴射装置からの燃料の噴射方向、すなわち噴射角が変化してしまうおそれがある。燃料噴射角が、当初の燃料噴射角から変化してしまと、気筒内での燃料噴霧の拡散状況が変化することになるため、機関トルクの低下やエミッションの低下が生じる可能性がある。
そこで、本発明に係る燃料噴射システムでは、燃料噴孔にデポジットが堆積したことがデポジット堆積検出手段によって検出されると、噴射遅角制御手段によって、燃料噴射装置からの燃料噴射時期が遅角制御される。また、本出願人は、テーパ形状を有する燃料噴孔を複数備える燃料噴射装置では、該燃料噴孔にデポジットが堆積すると、デポジットが堆積していない場合と比べて、燃料噴孔からの燃料噴射角が、該燃料噴孔の中心軸に対して外広がりとなる向きに変化する傾向があることを見出した。これは、テーパ形状を有する燃料噴孔において主に燃料が流れる箇所にデポジットが堆積しやすい傾向があるためと考えられ、その堆積デポジットにより燃料の噴射方向が変えられることによる。
そこで、本発明に係る燃料噴射システムでは、この燃料噴射方向の変化と内燃機関の機関回転数とに基づいて、噴射遅角制御手段による遅角量が決定される。すなわち、デポジット堆積により燃料噴射方向が変化すると、燃料噴霧と気筒内のピストン頂部との相対位置関係が変化する。上記のとおり、デポジット堆積時には燃料噴射方向はより外側に、換言すれば、ピストンの頂部に近づくように変化するため、燃料噴霧とピストンの頂部との
相関関係がデポジットの堆積が無い場合に近づくように、燃料噴射装置からの燃料噴射時期が遅角化されるとともに、その遅角量が当該相関関係に関連性のある燃料噴射方向の変化と内燃機関の機関回転数とに基づいて決定される。これにより、燃料噴孔にデポジットが堆積した場合でも、気筒内への好適な燃料噴射を維持することができる。
上記の燃料噴射システムにおいて、前記燃料噴射方向の変化における噴射角の変化量は、前記燃料噴孔の前記所定のテーパ角の半分以下に設定されてもよい。これは、燃料噴孔のテーパ角が所定のテーパ角であることを踏まえると、該燃料噴孔にデポジットが堆積した場合の燃料噴射方向の最大変化量は、該所定のテーパ角の半分とするのが妥当と考えられることによる。
また、上記の燃料噴射システムにおいて、前記噴射遅角制御手段による燃料噴射時期の遅角量は、前記燃料噴射角の変化量が前記所定のテーパ角の半分と想定されるときの前記燃料噴射装置からの燃料噴霧が、前記気筒内のピストンの頂部位置に対応するように、前記内燃機関の機関回転数に基づいて算出されるクランクアングル量として決定されてもよい。即ち、デポジットの堆積が検出された場合には、燃料噴射角の変化量が所定テーパ角の半分と想定されるものとして、燃料噴霧とピストン頂部との相関関係が考慮されて噴射遅角制御手段による燃料噴射時期の遅角量が決定される。これにより、燃料噴孔にデポジットが堆積した場合でも、比較的簡便な制御で気筒内への好適な燃料噴射を維持することができる。
筒内直噴型の内燃機関における燃料噴射システムであって、燃料噴射装置の燃料噴孔にデポジットが堆積した場合でも、好適な燃焼のための燃料噴射を行うシステムを提供することができる。
本発明の実施例に係る内燃機関の燃料噴射システムの概略構成を示す図である。 図1に示す燃料噴射システムで用いられる燃料噴射装置の一部の構成を示す図である。 図2に示す燃料噴射装置からの燃料噴射の様子を示す図である。 図2に示す燃料噴射装置の燃料噴孔における燃料の流れる様子を示す図である。 図2に示す燃料噴射装置を側方から見たときの、燃料噴霧の様子を示す図である。 本発明の実施例に係る内燃機関の燃料噴射システムにおいて実行される燃料噴射制御のフローチャートである。 図6に示す燃料噴射制御において行われる燃料噴射時期の遅角処理に関する図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
<実施例>
本発明に係る内燃機関の燃料噴射システムの実施例について、本願明細書に添付された図に基づいて説明する。図1は、本実施例に係る燃料噴射システム1の概略構成であり、特に燃料噴射装置7の近傍に着目した縦断面の概略構成を示す図である。燃料噴射システ
ム1が搭載される内燃機関は車両駆動用の筒内噴射型の火花点火式内燃機関である。当該内燃機関において、気筒8には吸気ポート2および排気ポート3がつながれている。吸気ポート2は吸気弁3の開閉を通して吸気を気筒8内に送り込み、排気ポート3は排気弁5の開閉を通して燃焼ガス等を排気として内燃機関の排気系へ送り出す。気筒8内にはピストン9が配され、ピストン9に対向する気筒8の頂部には点火プラグ6が、気筒内の混合気に点火可能となるように配されている。
また、内燃機関1では、燃料噴射装置7が吸気ポート2の下側(すなわち、吸気ポート2が設けられるシリンダヘッドにおいて、よりシリンダブロック側に近い側)に設けられている。そして、燃料噴射装置7の噴射方向は、概略的には気筒8の内部において斜め下方向に設定されている。ここで、燃料噴射装置7の先端部分に関し、図2に詳細な構成図を示す。燃料噴射装置7は内燃機関に搭載され、燃焼室での燃焼に供される燃料を噴射する。ここで、燃料噴射装置7のボデー10の中央部に軸方向に延在する中空部分にノズルニードル12が挿入されており、そのノズルニードル12と中空部分との間に燃料通路13が形成される。燃料通路13は、ボデー10のシート部に設けられた燃料噴孔11とつながる。ノズルニードル12がシート部に着座しているときは燃料噴孔11が塞がれることで、加圧された燃料が燃料通路13や図示しない燃料溜り等に封入され、ノズルニードル12が上昇すると封入されていた燃料が燃料噴孔11から噴出される。なお、図2は縦断面図であるため、燃料噴孔11は一つしか現れていないが、燃料噴射装置7においては後述する図4に示すように、燃料噴射装置7の端部の中央部を中心として、換言すれば、ボデー10内のノズルニードル12を中心として5つの燃料噴孔11が配置されている。
ここで、燃料噴射装置7の燃料噴孔11は、図3に示すように、気筒8への開口側が拡径するように所定のテーパ角θを有している。なお、このテーパ角は、後述する近位側面11aの接線と遠位側面11bの接線が為す角として定義される。具体的には、燃料噴孔11では、ボデー10の燃料通路13側につながる開口部11dから、気筒8内に開口する開口部11cに燃料が流れる。ここで、図3に示すように燃料噴孔11の側面のうち、ノズルニードル12に近い位置に位置する側面を近位側面11aとし、それに対向してノズルニードル12に遠い位置に位置する側面を遠位側面11bとする。そして、上記のとおり、5つの燃料噴孔11は、ノズルニードル12を中心としてその周りに配置されており、また、燃料噴孔11はテーパ角θを有する構成であるため開口部11c側の空間が開口部11d側の空間よりも広く確保されていることから、燃料噴孔11にデポジット等の付着がなければ、図3(a)に示すように、燃料噴射時には、開口部11dを介して流入してきた燃料は、燃料噴孔11内の空間を一律に満たすように流れるのではなく、主に近位側面11aに沿って流れる傾向にある(図3(a)では燃料の流れを黒塗り矢印で表わしている)。その結果、燃料を薄膜化した状態で気筒8内に噴射することができ、気筒8内で形成される混合気の均質化を促進できる。
また、燃料噴射システム1には、電子制御装置であるECU20が搭載されており、燃料噴射システム1およびそれを搭載する内燃機関における各種の制御が実行される。また、当該内燃機関の吸気系にはエアフローメータ21が搭載され、またその排気系には、排気中の酸素濃度を検出する酸素センサ22が搭載されている。そして、エアフローメータ21、酸素センサ22や、図示しない内燃機関の機関回転速度を検出する回転速度センサ等からの各検出値はECU20に電気的に引き渡され、燃料噴射装置7からの燃料噴射量や燃料噴射時期等の制御、その他のECU20における各種の制御に供される。
ECU20による制御の一例として、たとえば、気筒8内での空燃比制御が挙げられる。この空燃比制御では、まず機関負荷(例えば吸入空気量)及び機関回転速度等、機関運転状態に基づいて空燃比が理論空燃比となるように基本噴射量QBが算出される。ここで、燃料噴射系は様々な外乱の影響を受けるため、この算出される基本噴射量QBによって
は実際の機関運転状態に即した燃料噴射が行えない場合がある。その一つが、燃料噴射装置7の燃料噴孔11にデポジットが付着して燃料の噴射が正常に行われない場合である。そこで、ECU20による空燃比制御では、デポジット付着による外乱の影響を補償するためのフィードバック制御を行っている。具体的には、ECU20は酸素センサ23の検出信号に基づいて算出される実際の空燃比と理論空燃比との偏差に基づいて補正係数FAF(初期値=「1.0」)を算出し、この補正係数FAFを基本噴射量QBに乗じることにより上記偏差が小さくなるように燃料噴射量を補正する。例えば、排気中の酸素濃度が理論空燃比に対応する基準値よりも低い、いわゆるリッチの状態では燃料噴射量が減量されるように、補正係数FAFはその初期値「1.0」よりも小さな値に設定される。一方、酸素濃度が高い、いわゆるリーンの状態では燃料噴射量が増量されるように、上記補正係数FAFは「1.0」よりも大きな値に設定される。
さらに、このフィードバック制御では、上記の補正係数FAFの定常的な傾向を学習し、その学習結果を燃料噴射量の補正に反映させるための学習値KGを算出する。この学習値KGは、補正係数FAFにより補正された基本噴射量QBについて、更にこれを演算式[QB・FAF・(1+KG)]に基づいて補正する補正係数(初期値=「0」)であり、実噴射量と基本噴射量QBとの定常的な乖離傾向を示す指標値となる。
具体的には、所定期間における補正係数FAFの平均値FAFAVEを算出し、この平均値FAFAVEが所定のリーン判定値(>1.0)を上回った場合には、学習値KGに所定量αが加算されるとともに、補正係数FAFから同所定量αが減算される。一方、上記平均値FAFAVEが所定のリッチ判定値(<1.0)を下回った場合には、学習値KGから所定量αが減算されるとともに、補正係数FAFから同所定量αが加算される。なお、実際の空燃比が理論空燃比と略一致しており、補正係数FAFの平均値FAFAVEが上記各判定値との間にある場合には、こうした学習値KGの更新は行われず、その時点の学習値KGが維持される。なお、燃料噴孔11へのデポジット付着による空燃比制御については、図6に基づいて後述する。
ここで、本出願人は、図3(b)に示すように、燃料噴孔11の内部にデポジットが堆積した場合、そこから気筒8内に噴射される燃料の噴射方向が、当初の方向から外れる傾向にあり、その結果、気筒8内での燃焼が適切に行われなくなるおそれがあることを見出した。テーパ形状を有する燃料噴孔11は、開口部11c近傍の空間が比較的広く形成されているため、そこに気筒内での燃焼によって生じたデポジットが堆積しやすい。開口部11c近傍にデポジットが堆積すると、本来、図3(a)に示すように薄膜化されて流れていた燃料が、デポジットの存在によりその流れる方向が変更され、結果として、燃料噴孔11からの燃料噴射方向が、本来の方向から異なってしまう(図3(b)では燃料の流れを白抜き矢印で表わしている)。特に、テーパ形状を有する燃料噴孔11では、上記のとおり、燃料は、本来、近位側面11aに沿って流れていたため、堆積デポジットの存在で、その流れの向きが、燃料噴孔11の中心軸に対して遠位寄りに、すなわちノズルニードル12からより離れる方向に変えられることになる。したがって、燃料噴射装置7からの燃料の噴射方向は、燃料噴射装置7の中心よりも外側に離れるように変更されることになる。
例えば、燃料噴射装置7をその先端側から見た場合、図4に示すように、燃料噴孔11へのデポジット堆積が無ければ、燃料噴孔11から噴射された燃料噴霧はS1のように形成されるが、デポジットが堆積することで、燃料噴射弁7の中心から外側に離れるように、燃料噴霧S2は形成される。また、燃料噴射装置7を側方から見た場合、すなわち、図1に示す断面上で見た場合、図5に示すように、燃料噴孔11にデポジットの堆積が無い場合の燃料の噴射方向はM1の黒塗り矢印で表わされるが、デポジット堆積があると燃料の噴射方向はM2の白抜き矢印で表わされる。すなわち、デポジットが燃料噴孔11に堆
積することで、噴射方向は、本来の下向きの噴射方向からより外側に離れるように、すなわち、よりピストン9の頂部に近づくように変更されてしまう。また、本出願人は、燃料噴孔11におけるデポジットの堆積次第では、図5に示すように、燃料噴射装置7からの燃料噴霧が複数の方向に分離されてしまう場合もあることを見出した。
このように図4、図5に示すように、デポジットの堆積により、燃料噴射装置7からの噴射方向が本来あるべき方向から外れてしまうと、気筒8内での混合気の均質形成等に影響を及ぼす可能性がある。例えば、図5に示すように燃料噴霧がピストン9側に近付いてしまうと、ピストン9の頂部に設けられたキャビティ9aによる燃料トラップが好適に行われず、内燃機関の機関出力が不十分となり、また、未燃燃料が増加することによるエミッションの悪化も懸念される。
このように、テーパ形状を有する燃料噴孔11でのデポジット堆積は、内燃機関における燃焼に多くの影響を及ぼすものである。そこで、図6に、燃料噴孔11でデポジットが堆積した場合の、燃焼悪化を回避するための、燃料噴射システム1による燃料噴射制御のフローを示す。当該燃料噴射制御は、ECU20によって実行されるものである。
先ず、S101では、上述した、ECU20による気筒8内の空燃比のフィードバック処理が行われる。なお、このフィードバック処理は、本燃料噴射制御のためだけに行われるのではなく、内燃機関における通常の燃料噴射のために行われ、そこでフィードバック処理に使用される各種のパラメータが、S101で取得されることになる。S101の処理が終了すると、S102で、上述したフィードバック処理における空燃比学習値KGの絶対値が、基準の閾値であるKG0より大きいか否かが判定される。燃料噴孔11にデポジットが堆積すると、気筒8内への燃料噴射が好適に行われなくなる傾向があることは上述のとおりである。そこで、この空燃比学習値KGの絶対値が、閾値より大きくなったときは、デポジットの堆積により実噴射量と基本噴射量QBとの定常的な乖離傾向が大きくなったものと判断し、燃料噴孔11に気筒内での燃焼に影響を及ぼすデポジットの堆積があることを検出することができる。そこで、S102で肯定判定されると、デポジットの堆積を検出したとしてS103へ進み、S102で否定判定されるとデポジットの体積は検出されなかったとしてS104へ進む。
ここで、S103では、燃料噴射装置7における燃料噴射の噴射圧を増加することが可能か否かが判定される。燃料噴射圧の増加は、燃料噴孔11に堆積したデポジットを剥離除去するのに有効な手段であるが、内燃機関の機関回転数や機関出力等の条件や、燃料噴孔の寸法、形状によりデポジットを除去し得る程度に噴射圧を増加させることが困難である場合もある。そこで、S103で肯定判定されるとS106へ進み、燃料噴射圧を増加させることで、堆積しているデポジットの剥離除去が行われ、その後、再びS101以降の処理が順次行われる。一方で、S103で否定判定されると、噴射圧増加によるデポジットの剥離除去が行われないことを意味する。その場合は、S104で気筒8内での燃焼が、本来あるべき燃焼状態から変動しているか否かが判定される。上記のとおり、デポジットが燃料噴孔11に堆積すると、燃料の噴射方向が変えられてしまうことにより気筒内での良好な燃焼が阻害されてしまう。そこで、内燃機関の排気系に設けられた酸素センサ22や、その他、排気中のNOxやPM粒子を検出するセンサ等からの検出結果に基づいて、通常の燃焼状態から好ましくない状態に変動しているか否かが、S104で判定される。S104で肯定判定されると、S105へ進み気筒内での燃焼状態を少しでも良好な状態に回復させるために、燃料噴射時期の遅角処理が行われ、S104で否定判定されると、S101以降の処理が再び繰り返される。
S105では、燃料噴射装置7からの燃料噴射時期を遅角するための処理が行われる。ここで、S105における燃料噴射時期の遅角量を決定するためのプロセスを図7に基づ
いて説明する。図7の左側に示すのは、燃料噴孔11にデポジットが堆積していない状態での、吸気行程における燃料噴霧とピストン9の頂部との相対関係を示す図である。なお、ピストン9は燃料噴射時に点線で示す位置にあったが、燃料噴霧の展開に要する時間経過とともに実線で示す状態に至り、その状態では、ピストン9の頂部のキャビティ9aが燃料噴霧を好適にトラップし得る状態となっている。このようなトラップ状態が、本発明に係る「燃料噴霧がピストンの頂部位置に対応した状態」に相当し、本実施例では、噴霧適合状態というものとする。なお、図7の左側に示す状態では、燃料噴射装置7からの燃料噴射角はθvである。当該燃料噴射角は、燃料噴射装置7の燃料噴孔を通って気筒8の径方向に延在する面と、燃料噴霧の中心軸とがなす角として定義される。
ここで、燃料噴孔11にデポジットが堆積すると、図7の右側に示すように、燃料噴孔がピストン9の頂部に近づくようにその噴射方向が変化する。このときの燃料噴射角は、図7の左側に示す状態から更にΔvだけピストン側に近づいた角度となる。そのため、この状態における燃料噴霧の場合、ピストン9が図7の左側に示す位置(図7の右側では点線で示される位置)にあると、燃料噴霧がキャビティ9aに多く付着してしまい、好適なトラップ状態にはなりにくく、噴霧適合状態が形成されるのは難しい。そこで、燃料噴孔11にデポジットが堆積した状態でも、キャビティ9aに好適に燃料噴霧がトラップされ噴霧適合状態が形成されるように、燃料噴射装置7からの燃料噴射時期を遅角処理する。これにより、吸気行程で、燃料噴霧が形成されたときにピストン9が更に吸気行程下死点に近づいた状態となるため、図7の右側に示すように噴霧適合状態を形成することが可能となる。
そこで、燃料噴射時期の遅角量については、デポジット堆積による燃料噴射角の変位量Δvに基づいて、デポジットが堆積していないときの噴霧適合状態にあるピストン9の位置と、デポジットが堆積しているときの噴霧適合状態にあるピストン9の位置との差Δsを算出し、更に、気筒内でのピストン9の位置に関連する内燃機関の機関回転数を考慮して、内燃機関のクランクアングルに相当する遅角量とする。更に好適には、噴射された燃料がピストン9に到達するのに要する時間に関連する燃料噴射圧を考慮してデポジットが堆積しているときの噴霧適合状態にある噴霧適合状態にあるピストン9の位置を算出するようにしてもよい。このように算出された遅角量を用いてS105の処理を行うことで、燃料噴孔にデポジットが堆積し、且つ燃料噴射圧の増加処理ができない場合でも、気筒内での燃焼状態を可及的に良好な状態に維持することが可能となる。なお、その後、燃料噴射装置7における燃料噴射圧の増加が可能な状態を迎えることができれば、燃料噴射圧を増加することで堆積したデポジットの剥離除去を行えばよい。
なお、燃料噴孔11のテーパ角がθであることから、デポジット堆積による燃料噴射方向の最大変化代は、その半分であるθ/2であることを、本出願人は見出した。そこで、S102の判定とS104の判定により燃料噴孔11にデポジットが堆積した状態にあると見込まれる場合には、上記Δvをθ/2の値に設定して、遅角量を算出してもよい。もちろん、空燃比学習値KGが基準閾値KG0よりどの程度乖離しているか、その乖離量に基づいて、Δvの値を適切に変更しても構わない。この場合、予めの実験等でKGの乖離量とΔvとの相関を測定し、その測定結果をマップ等の形でECU20内に格納しておくのが好ましい。
なお、図6に示す燃料噴射制御では、燃料噴射装置7の燃料噴射圧増加が可能ではない場合にのみ、燃料噴射時期の遅角処理が行われるが、当該遅角処理は、必ずしも、燃料噴射圧の増加が許されない場合にのみ行われるものではない。燃料噴射圧の増加ができる場合であっても当該遅角処理を行うようにしても構わない。ただし、燃料噴孔11の継続的な使用の観点に立てば、何れかの時点で、燃料噴射圧の増加を含むデポジット剥離除去のための何らかの処理を行うのが好ましい。
<その他の実施例>
図6に示す燃料噴射制御では、気筒8内の空燃比のフィードバック制御のパラメータを利用して、デポジット堆積の有無が判定されたが、これに代えて、デポジット堆積の検出のためのセンサを利用してもよい。例えば、燃料噴孔11に燃料中の金属(Zn、Mn等)の濃度を検出するセンサを設け、それによって検出される金属濃度と、燃料噴射装置7の先端の温度を他のセンサで検出しその検出温度とに基づいて、デポジット堆積の有無を判断してもよい。
1・・・・燃料噴射システム
2・・・・吸気ポート
3・・・・排気ポート
4・・・・吸気弁
5・・・・排気弁
6・・・・点火プラグ
7・・・・燃料噴射装置
7a・・・・燃料噴霧
8・・・・気筒
9・・・・ピストン
9a・・・・キャビティ
10・・・・ボデー
11・・・・燃料噴孔
12・・・・ノズルニードル
13・・・・燃料通路
20・・・・ECU
21・・・・エアフローメータ
22・・・・酸素センサ

Claims (3)

  1. 内燃機関の気筒内に開口し、開口側が拡径するように所定のテーパ角を有する燃料噴孔を、複数備える燃料噴射装置と、
    前記燃料噴射装置の前記燃料噴孔における、デポジットの堆積を検出するデポジット堆積検出手段と、
    前記デポジット堆積検出手段によってデポジットの堆積が検出されると、前記内燃機関の吸気行程において、前記燃料噴射装置による前記気筒内への燃料噴射時期を遅角制御する噴射遅角制御手段と、を備える燃料噴射システムであって、
    前記噴射遅角制御手段は、前記燃料噴孔におけるデポジットの堆積による燃料噴射方向の変化と内燃機関の機関回転数に基づいて、前記燃料噴射装置による燃料噴射時期の遅角量を決定する、
    燃料噴射システム。
  2. 前記噴射遅角制御手段による前記遅角制御において、前記燃料噴射方向の変化における燃料噴射角の変化量は、前記燃料噴孔の前記所定のテーパ角の半分以下に設定される、
    請求項1に記載の燃料噴射システム。
  3. 前記噴射遅角制御手段による燃料噴射時期の遅角量は、前記燃料噴射角の変化量が前記所定のテーパ角の半分と設定されるときの前記燃料噴射装置からの燃料噴霧が、前記気筒内のピストンの頂部位置に対応するように、前記内燃機関の機関回転数に基づいて算出されるクランクアングル量として決定される、
    請求項2に記載の燃料噴射システム。
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