JP2014034896A - 内燃機関の異常検出装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】触媒後の空燃比センサが設けられた排気管の前端部を触媒ケーシング内に突出させた内燃機関において、空燃比センサへのガス当たりの異常を検出する。
【課題手段】所定の第1流量の排気流量が測定されているときに、空燃比センサの応答性を表す第1指標値ΔTHを検出する。また第1流量より少ない所定の第2流量の排気流量が測定されているときに、空燃比センサの応答性を表す第2指標値ΔTLを検出する。これら第1指標値ΔTHと第2指標値ΔTLに基づき、空燃比センサへのガス当たりの異常を検出する。
【選択図】図8
【課題手段】所定の第1流量の排気流量が測定されているときに、空燃比センサの応答性を表す第1指標値ΔTHを検出する。また第1流量より少ない所定の第2流量の排気流量が測定されているときに、空燃比センサの応答性を表す第2指標値ΔTLを検出する。これら第1指標値ΔTHと第2指標値ΔTLに基づき、空燃比センサへのガス当たりの異常を検出する。
【選択図】図8
Description
本発明は内燃機関の異常検出装置に係り、特に排気系において触媒の下流側に設置された空燃比センサへのガス当たりの異常を検出する装置に関する。
一般に、触媒を利用した排気浄化システムを備える内燃機関では、排気中有害成分の触媒による浄化を高効率で行うため、内燃機関で燃焼される混合気の空気と燃料との混合割合、すなわち空燃比のコントロールが欠かせない。こうした空燃比の制御を行うため、内燃機関の排気通路に空燃比センサを設け、これによって検出された空燃比を所定の目標空燃比に一致させるようフィードバック制御を実施している。
この空燃比フィードバック制御に関して、触媒の上流側と下流側(前後)にそれぞれ空燃比センサを設け、これら二つの空燃比センサの出力に基づいて空燃比フィードバック制御を実行するのが一般的である。特に触媒前の空燃比センサによって実行される制御をメインフィードバック制御と称し、触媒後の空燃比センサによって実行される制御をサブフィードバック制御と称する(例えば特許文献1参照)。
ところで、多気筒内燃機関において、ある1気筒のみに異常が発生し、気筒間の空燃比が比較的大きくばらつくことがある。この空燃比ばらつきが発生すると、異常が発生した1気筒の空燃比が他の正常気筒の空燃比よりも過剰にリッチまたはリーンとなる。
この空燃比ばらつき発生時に、触媒後の空燃比センサに対するガス当たりが悪いと、当該センサによるサブフィードバック制御ひいては空燃比フィードバック制御全体が良好に行われなくなり、空燃比を適切に制御できず、エミッションが悪化する。
よってこの対策として、触媒後の空燃比センサが設けられた排気管の前端部を触媒ケーシング内に突出させ、センサへのガス当たりを改善することが考えられる。
しかし、かかる排気管の突出部を設けると、突出部の周りに煤等のPM(パティキュレートマター)が堆積し、この堆積PMの影響によりセンサへのガス当たりが悪化し、ガス当たり改善効果が失われる虞がある。
そこで本発明は上記事情に鑑みて創案され、その目的は、触媒後の空燃比センサが設けられた排気管の前端部を触媒ケーシング内に突出させた内燃機関において、空燃比センサへのガス当たりの異常を検出することができる内燃機関の異常検出装置を提供することにある。
本発明の一の態様によれば、
触媒を収容する触媒ケーシングと、
前記触媒ケーシングの下流側に接続され、前記触媒ケーシングより小径の触媒後排気管と、
前記触媒後排気管に設けられた空燃比センサと、
前記触媒後排気管の前端部に形成され、前記空燃比センサに排気ガスを導くよう前記触媒ケーシング内に突出された突出部と、
排気流量を測定する測定手段と、
前記空燃比センサの応答性を表す指標値を検出する指標値検出手段と、
前記測定手段により所定の第1流量の排気流量が測定されているときに前記指標値検出手段により検出された第1指標値と、前記測定手段により、前記第1流量より少ない所定の第2流量の排気流量が測定されているときに前記指標値検出手段により検出された第2指標値とに基づき、前記空燃比センサへのガス当たりの異常を検出する異常検出手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関の異常検出装置が提供される。
触媒を収容する触媒ケーシングと、
前記触媒ケーシングの下流側に接続され、前記触媒ケーシングより小径の触媒後排気管と、
前記触媒後排気管に設けられた空燃比センサと、
前記触媒後排気管の前端部に形成され、前記空燃比センサに排気ガスを導くよう前記触媒ケーシング内に突出された突出部と、
排気流量を測定する測定手段と、
前記空燃比センサの応答性を表す指標値を検出する指標値検出手段と、
前記測定手段により所定の第1流量の排気流量が測定されているときに前記指標値検出手段により検出された第1指標値と、前記測定手段により、前記第1流量より少ない所定の第2流量の排気流量が測定されているときに前記指標値検出手段により検出された第2指標値とに基づき、前記空燃比センサへのガス当たりの異常を検出する異常検出手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関の異常検出装置が提供される。
好ましくは、前記異常検出手段は、前記第1指標値と前記第2指標値の差または比に基づき、前記空燃比センサへのガス当たりの異常を検出する。
好ましくは、前記異常検出手段は、前記第1指標値と前記第2指標値の一方から所定の関係を利用して異常判定値を定め、前記第1指標値と前記第2指標値の他方を前記異常判定値と比較して、前記空燃比センサへのガス当たりの異常を検出する。
好ましくは、前記所定の関係は、前記第1指標値と前記第2指標値の一方が低応答側の値であるほど前記異常判定値が低応答側の値となるように、予め定められている。
好ましくは、前記異常検出手段は、少なくとも前記第1指標値に基づき、前記空燃比センサの応答性の異常をも検出する。
好ましくは、前記異常検出手段は、
前記第1指標値が所定の第1応答性異常判定値より大きいときと、前記第2指標値が所定の第2応答性異常判定値より大きいときとに、前記空燃比センサを応答性異常と判定し、
それ以外のときに、前記第1指標値から所定の関係を利用して異常判定値を求め、前記第2指標値が前記異常判定値より大きいとき前記空燃比センサへのガス当たりの異常と判定し、前記第2指標値が前記異常判定値より小さいとき、応答性異常もガス当たり異常も生じていない正常と判定する。
前記第1指標値が所定の第1応答性異常判定値より大きいときと、前記第2指標値が所定の第2応答性異常判定値より大きいときとに、前記空燃比センサを応答性異常と判定し、
それ以外のときに、前記第1指標値から所定の関係を利用して異常判定値を求め、前記第2指標値が前記異常判定値より大きいとき前記空燃比センサへのガス当たりの異常と判定し、前記第2指標値が前記異常判定値より小さいとき、応答性異常もガス当たり異常も生じていない正常と判定する。
好ましくは、前記空燃比センサへのガス当たりの異常が、前記突出部の周囲に堆積したPMに起因するものである。
本発明によれば、触媒後の空燃比センサが設けられた排気管の前端部を触媒ケーシング内に突出させた内燃機関において、空燃比センサへのガス当たりの異常を検出することができるという、優れた効果が発揮される。
以下、本発明の好適実施形態を添付図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る内燃機関の概略図である。図示されるように、内燃機関(エンジン)1は、シリンダブロック2に形成された燃焼室3の内部で燃料および空気の混合気を燃焼させ、燃焼室3内でピストンを往復移動させることにより動力を発生する。本実施形態の内燃機関1は自動車に搭載された多気筒内燃機関であり、より具体的には直列4気筒火花点火式内燃機関である。内燃機関1は#1〜#4気筒を備える。但し気筒数、形式等は特に限定されない。
図示しないが、内燃機関1のシリンダヘッドには吸気ポートを開閉する吸気弁と、排気ポートを開閉する排気弁とが気筒毎に配設されており、各吸気弁および各排気弁はカムシャフトによって開閉させられる。シリンダヘッドの頂部には、燃焼室3内の混合気に点火するための点火プラグ7が気筒毎に取り付けられている。
各気筒の吸気ポートは気筒毎の枝管4を介して吸気集合室であるサージタンク8に接続されている。サージタンク8の上流側には吸気管13が接続されており、吸気管13の上流端にはエアクリーナ(図示せず)が設けられている。そして吸気管13には、上流側から順に、吸入空気量を検出するためのエアフローメータ5と、電子制御式のスロットルバルブ10とが組み込まれている。吸気ポート、枝管4、サージタンク8及び吸気管13により吸気通路が形成される。
吸気通路、特に吸気ポート内に燃料を噴射するインジェクタ(燃料噴射弁)12が気筒毎に配設されている。インジェクタ12から噴射された燃料は吸入空気と混合されて混合気をなし、この混合気が吸気弁の開弁時に燃焼室3に吸入され、ピストンで圧縮され、点火プラグ7で点火燃焼させられる。なおインジェクタは燃焼室3内に燃料を直接噴射するものであってもよい。
一方、各気筒の排気ポートは排気マニフォールド14に接続される。排気マニフォールド14は、その上流部をなす気筒毎の枝管とその下流部をなす集合部とからなる。排気マニフォールド14の下流側には排気管6が接続されている。排気ポート、排気マニフォールド14及び排気管6により排気通路が形成される。
なお、排気マニフォールド14の集合部から下流側の排気通路は、複数の気筒である#1〜#4気筒に共通の排気通路を形成する。
排気管6の上流側と下流側にはそれぞれ三元触媒からなる触媒、すなわち上流触媒11と下流触媒19が直列に取り付けられている。これら触媒11,19は酸素吸蔵能(O2ストレージ能)を有する。すなわち、触媒11,19は、排気ガスの空燃比がストイキ(理論空燃比、例えばA/F=14.6)より大きい(リーンな)ときに排気ガス中の過剰酸素を吸蔵し、NOxを還元する。また触媒11,19は、排気ガスの空燃比がストイキより小さい(リッチな)ときに吸蔵酸素を放出し、排気ガス中のHC,COを酸化する。
上流触媒11の上流側及び下流側(前後)に、それぞれ排気ガスの空燃比を検出するための第1及び第2の空燃比センサ、即ち触媒前センサ17及び触媒後センサ18が設置されている。これら触媒前センサ17及び触媒後センサ18は、上流触媒11の直前及び直後の位置に設置され、排気中の酸素濃度に基づいて空燃比を検出する。このように上流触媒11の上流側の排気合流部に単一の触媒前センサ17が設置されている。なお本実施形態の場合、触媒後センサ18が本発明にいう「空燃比センサ」に該当する。
上述の点火プラグ7、スロットルバルブ10及びインジェクタ12等は、制御装置としての電子制御ユニット(以下ECUと称す)20に電気的に接続されている。ECU20は、何れも図示されないCPU、ROM、RAM、入出力ポート、および記憶装置等を含むものである。またECU20には、図示されるように、前述のエアフローメータ5、触媒前センサ17、触媒後センサ18のほか、内燃機関1のクランク角を検出するクランク角センサ16、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ15、その他の各種センサが図示されないA/D変換器等を介して電気的に接続されている。ECU20は、各種センサの検出値等に基づいて、所望の出力が得られるように、点火プラグ7、スロットルバルブ10、インジェクタ12等を制御し、点火時期、燃料噴射量、燃料噴射時期、スロットル開度等を制御する。
スロットルバルブ10にはスロットル開度センサ(図示せず)が設けられ、スロットル開度センサからの信号がECU20に送られる。ECU20は、通常、アクセル開度に応じて定まる目標スロットル開度に、スロットルバルブ10の開度(スロットル開度)をフィードバック制御する。
ECU20は、エアフローメータ5からの信号に基づき、単位時間当たりの吸入空気の量である吸入空気量すなわち吸気流量を検出する。そしてECU20は、検出したアクセル開度、スロットル開度および吸入空気量の少なくとも一つに基づき、エンジン1の負荷を検出する。
ECU20は、クランク角センサ16からのクランクパルス信号に基づき、クランク角自体を検出すると共にエンジン1の回転数を検出する。ここで「回転数」とは単位時間当たりの回転数のことをいい、回転速度と同義である。本実施形態では1分間当たりの回転数rpmのことをいう。
触媒前センサ17は所謂広域空燃比センサからなり、比較的広範囲に亘る空燃比を連続的に検出可能である。図2に触媒前センサ17の出力特性を示す。図示するように、触媒前センサ17は、排気空燃比に比例した大きさの電圧信号Vfを出力する。排気空燃比がストイキであるときの出力電圧はVreff(例えば約3.3V)である。
他方、触媒後センサ18は所謂O2センサまたは酸素センサからなり、ストイキを境に出力値が急変する特性を持つ。図2に触媒後センサ18の出力特性を示す。図示するように、排気空燃比がストイキであるときの出力電圧、すなわちストイキ相当値はVrefr(例えば0.45V)である。触媒後センサ18の出力電圧は所定の範囲(例えば0〜1V)内で変化する。排気空燃比がストイキよりリーンのとき、触媒後センサの出力電圧はストイキ相当値Vrefrより低くなり、排気空燃比がストイキよりリッチのとき、触媒後センサの出力電圧はストイキ相当値Vrefrより高くなる。
上流触媒11及び下流触媒19は、それぞれに流入する排気ガスの空燃比A/Fがストイキ近傍のときに排気中の有害成分であるNOx,HCおよびCOを同時に浄化する。この三者を同時に高効率で浄化できる空燃比の幅(ウィンドウ)は比較的狭い。
そこで通常運転時、上流触媒11に流入する排気ガスの空燃比がストイキ近傍に制御されるように、空燃比フィードバック制御がECU20により実行される。この空燃比フィードバック制御は、触媒前センサ17によって検出された排気空燃比を所定の目標空燃比であるストイキに一致させるようなメインフィードバック制御と、触媒後センサ18によって検出された排気空燃比をストイキに一致させるようなサブフィードバック制御とからなる。
なお、このように目標空燃比をストイキとする空燃比フィードバック制御をストイキ制御という。ストイキは基準空燃比をなす。
さて、かかる多気筒内燃機関において、ある1気筒のみに燃料噴射系の故障等の異常が発生し、気筒間の空燃比が比較的大きくばらつく場合がある。このばらつきをインバランス(imbalance)と称する。このばらつきが発生すると、異常気筒の空燃比が他の正常気筒の空燃比よりも過剰にリッチまたはリーンとなる。
通常、全気筒に対し同一の制御量を用いて空燃比制御が行われるため、全気筒正常であれば1気筒のみの大きな空燃比ずれは生じない。しかし、ある1気筒に例えば燃料噴射系の故障による異常が発生すると、同一の制御量が与えられているにも拘わらずその異常気筒において燃料噴射量が不正確となり、大きな空燃比ずれが生じる。
このとき、前述の空燃比フィードバック制御により比較的大きな補正量を与えれば、トータルガスの空燃比をストイキに制御できる場合がある。しかしこの場合でも、気筒別に見ると、例えば異常な1気筒がストイキより大きくリッチ、他の正常な3気筒がストイキより若干リーンであり、全体のバランスとしてストイキになっているに過ぎず、エミッション上好ましくないことは明らかである。
よって本実施形態では、かかる気筒間空燃比ばらつき異常をオンボードで検出する装置が装備されている。例えば、空燃比ばらつき度合いが大きくなるほど触媒前センサ17の出力変動が大きくなるため、この特性を利用してばらつき異常を検出する。あるいは、空燃比ばらつき度合いが大きくなるほどエンジンの回転変動が大きくなるため、この特性を利用してばらつき異常を検出する。ばらつき異常の検出方法は他にも任意の方法が可能である。
ここで、空燃比ばらつき度合いを表す一つのパラメータであるインバランス率について説明する。インバランス率とは、ばらつき異常検出対象となる複数の気筒のうちある1気筒のみが燃料噴射量ズレを起こしている場合に、その燃料噴射量ズレを起こしている気筒(インバランス気筒)の燃料噴射量がどれくらいの割合で、燃料噴射量ズレを起こしていない気筒(バランス気筒)の燃料噴射量即ち基準噴射量からズレているかを示す値である。インバランス率をIB、インバランス気筒の燃料噴射量をQib、バランス気筒の燃料噴射量即ち基準噴射量をQsとすると、IB(%)=(Qib−Qs)/Qs×100で表される。インバランス率IBが大きいほど、インバランス気筒のバランス気筒に対する燃料噴射量ズレが大きく、空燃比ばらつき度合いは大きい。
ところで、空燃比ばらつき発生時に、触媒後センサ18に対するガス当たりが悪いと、触媒後センサ18によるサブフィードバック制御ひいては空燃比フィードバック制御全体が良好に行われなくなり、空燃比を適切に制御できず、エミッションが悪化する。
よって本実施形態では、この対策として、触媒後センサ18が設けられた排気管の前端部を触媒ケーシング内に突出させ、センサへのガス当たりを改善している。以下この点について述べる。
図1に示すように、また図11により詳細に示すように、上流触媒11は触媒ケーシング31に収容され、触媒ケーシング31の下流側には前記排気管6の一部である触媒後排気管32が接続されている。触媒後排気管32は上流触媒11および触媒ケーシング31より小径とされている。触媒後排気管32に触媒後センサ18が取り付けられている。触媒ケーシング31のうち、上流触媒11よりも下流側ないし後方の部分は、触媒後排気管32にスムーズに接続するよう、触媒後排気管32に向かって徐々に縮径するコーン部33となっている。このコーン部33内に触媒後排気管32の前端部の一部が突出され、これにより当該前端部に突出部34が形成される。
図示例の場合、触媒ケーシング31の中心C1に対し触媒後排気管32の中心C2がオフセットされており、触媒後排気管32は触媒ケーシング31の最も偏心した位置に接続されている。そしてそのオフセットないし偏心方向(図中上方向)に沿い、且つ触媒ケーシング31の中心C1から触媒後排気管32の中心C2よりもさらに離れるように、触媒後センサ18が配設されている。なお触媒ケーシング31の中心C1と触媒後排気管32の中心C2とは互いに平行である。
他方、図1に示すように、触媒ケーシング31の上流側にも前記排気管6の一部である触媒前排気管35が接続され、触媒前排気管35は上流触媒11および触媒ケーシング31より小径とされている。触媒前排気管35に触媒前センサ17が取り付けられている。触媒ケーシング31のうち、上流触媒11より上流側の部分も、触媒前排気管35にスムーズに接続すべく徐々に縮径するコーン部36となっている。触媒前排気管35の後端部に突出部は形成されない。
触媒ケーシング31の中心C1に対し、前記オフセット方向とは反対の反オフセット方向(図中下方向)の最も偏心した位置に、触媒前排気管35が斜めに接続されている。そして触媒前排気管35からの排気ガスが反オフセット方向に向かって触媒ケーシング31内に斜めに流入するよう、触媒前排気管35が接続されている。
この構成において、仮に突出部34が無いと仮定した場合、図3に示すように、排気ガスGは触媒ケーシング31の中心C1に対し反オフセット方向、つまり触媒後センサ18から離れる方向に偏って流れる傾向にある。このため、排気ガスGが触媒後センサ18に当たりづらい。
この状態で空燃比ばらつきが発生すると、気筒毎の排気ガスの触媒後センサ18への当たり方も比較的大きくばらつくようになるため、サブフィードバック制御による空燃比制御を適切に行うことが困難となり、エミッションが悪化する。
適合に際し、空燃比ばらつき異常検出の観点からは、法規等により検出が要請される最小のインバランス率(例えばIB=40(%))のばらつきを確実に検出できるようにしている。またエミッションの観点からは、そのような最小インバランス率以下のばらつきに対しエミッションがOBD規制値以内に確実に収まるようにしている。
しかし、空燃比ばらつき発生時に上記のようなエミッション悪化があると、最小インバランス率以下のばらつきが起こった場合でもエミッションがOBD規制値を超えてしまう虞がある。
これに対し、突出部34が有る本実施形態の場合だと、図4に示すように、上流触媒11から排出された排気ガスGの一部を突出部34に衝突させ、攪拌流G1を発生させることができる。これにより、排気ガスGの全体的な流れをよりオフセット方向すなわち触媒後センサ18側にシフトさせることができ、同時に排気ガス全体を攪拌ないしミキシングすることができる。
それ故、突出部34により、上流触媒11から排出された排気ガスGを総じて触媒後センサ18に導き、また気筒毎の排気ガスの触媒後センサ18への当たり方のばらつきを軽減し、触媒後センサ18へのガス当たりを改善あるいは向上することができる。そして空燃比ばらつき発生時においてもサブフィードバック制御による空燃比制御を適切に行うことが可能となり、エミッション悪化を抑制あるいは防止することができる。
しかし、この突出部34を設けると次の新たな課題が発生することが判明した。
すなわち、図5に示すように、突出部34の周囲、より詳しくは突出部34とコーン部33との隙間に、排気中に含まれる煤等のPM(パティキュレートマター)40が堆積し、当該隙間がPM40によって埋め尽くされてしまう(詰まってしまう)ことがある。このPMの堆積が生じると、上述の攪拌流G1が減少あるいは消失し、突出部34によるガス当たり改善効果が喪失される虞がある。すなわち、触媒後センサ18に対し排気ガスが再び当たりづらくなってしまうと共に、気筒毎の排気ガスの触媒後センサ18への当たり方のばらつきも大きくなってしまう。結果的に、空燃比ばらつき発生時にエミッションが悪化してしまう。
そこで本実施形態では、このようなPM堆積による触媒後センサ18へのガス当たりの悪化をガス当たり異常として検出する装置も装備されている。以下これについて詳述する。
本実施形態においては、排気流量を測定する測定手段が設けられている。ここで「測定」には「検出」と「推定」の両方が含まれる。本実施形態では、排気流量の代用値または推定値として吸気流量すなわち吸入空気量Gaを用い、吸入空気量Gaをエアフローメータ5により検出する。但し、排気通路に設けた排気流量センサにより排気流量を直接検出してもよいし、エンジン回転数、負荷等に基づき排気流量をECU20により推定してもよい。
また本実施形態においては、触媒後センサ18の応答性を表す指標値を検出する指標値検出手段が設けられている。かかる指標値としては様々な値を用いることができるが、本実施形態では、フューエルカット(F/C)開始直後の触媒後センサ18の出力に基づく値を当該指標値としている。
なお、ここでいうフューエルカットについては、ドライバがアクセルペダルを完全に戻して車両およびエンジンを減速する際に燃料噴射および点火を停止する減速フューエルカットが好ましい例として挙げられる。この場合、ECU20は、1)アクセル開度センサ15によって検出されたアクセル開度Acが略全閉相当の値であり、2)検出されたエンジン回転数Neがアイドル回転数より若干高い所定の復帰回転数以上である場合に、フューエルカットを実行する。
図6は、F/C開始直後の触媒後センサ18の出力電圧Vrの変化を示す。以下、当該出力電圧Vrを単に「センサ出力Vr」ともいう。図中、VRおよびVLは図2にも示したリッチ判定値およびリーン判定値である。ECU20は、センサ出力Vrの減少中すなわちリーン側への移動中にセンサ出力Vrがリーン判定値VLに達した時、センサ出力Vrがリーンに反転した、すなわち触媒後の排気ガスがストイキよりリーンになったと判断する。同様に、ECU20は、センサ出力Vrの増大中すなわちリッチ側への移動中にセンサ出力Vrがリッチ判定値VRに達した時、センサ出力Vrがリッチに反転した、すなわち触媒後の排気ガスがストイキよりリッチになったと判断する。
図示例において、線aは、正常な触媒後センサ18(正常センサ)の場合であって且つ突出部34の周囲にPMが堆積してない場合を示す。線bは、正常センサの場合であって且つ突出部34の周囲にPMが堆積した場合を示す。線cは、劣化等により応答性が低下した触媒後センサ18(応答性低下センサ)の場合であって且つ突出部34の周囲にPMが堆積してない場合を示す。また図示例は、排気流量すなわち吸入空気量Gaが比較的少ない低空気量域にあるときのデータである。
ここでは線bに着目して、時刻t0でフューエルカットが開始されると、触媒後センサ18には空気が供給されるようになるので、リッチ判定値VRよりリッチ側にあったセンサ出力Vrは、最小のリーン出力値に向かって徐々に変化する。このとき、センサ出力Vrはまずリッチ判定値VRに達し、次いでリーン判定値VLに達する。このようなリッチ判定値VRからリーン判定値VLに変化するまでの経過時間ΔTを、本実施形態では触媒後センサ18の応答性を表す指標値として用いる。経過時間ΔTは、所定条件下におけるセンサ出力Vrの変化速度を表し、触媒後センサ18の応答性の良し悪しを表す。以下、経過時間ΔTを応答性指標値ΔTともいう。経過時間ないし応答性指標値ΔTはECU20が自身のタイマにより計測する。
なお、かかる指標値の代替例としては、公知のものも含め様々な例が考えられる。例えば上記と逆に、リーン判定値VLよりリーン側にあったセンサ出力Vrがリーン判定値VLからリッチ判定値VRに変化するまでの経過時間を指標値としてもよい。この場合、触媒後センサ18に対する排気ガスの空燃比が比較的急激にリッチに変化するような運転条件であるのが望ましい。かかる運転条件の例として、例えば、触媒劣化検出等の際に行われるアクティブ空燃比制御のリッチ制御の実行時が挙げられる。また例えば、通常の空燃比フィードバック制御中においてセンサ出力Vrがリッチ判定値VRとリーン判定値VLとの間で変化する際の経過時間を指標値としてもよい。センサ出力Vrの変化範囲はリッチ判定値VRとリーン判定値VLとの間に限らず、任意に定めることができる。他には例えば特許文献1に記載されたような例が挙げられる。
ところで、図7には、排気流量すなわち吸入空気量Gaが図6の場合よりも多い高空気量域にあるときのデータを示す。線a〜cの種別は図6と同様である。
線bに着目して、センサ出力Vrがリッチ判定値VRからリーン判定値VLに変化するまでの経過時間ΔTは、図6に示した低空気量域のときの経過時間ΔTよりも短くなっている。その理由は、高空気量域では、比較的多量の排気流量が存在するためセンサ応答性の悪化代が少なくなるからと考えられる。
別の観点から見れば、正常センサ且つPM堆積がある場合の線bは、低空気量域(図6)のときには、応答性低下センサ且つPM堆積がない場合の線cに近づき、高空気量域(図7)のときには、正常センサ且つPM堆積がない場合の線aに近づく。
そこでこの特性を利用して、本実施形態では触媒後センサ18へのガス当たりの異常を検出する。すなわち、所定の第1吸入空気量GaH(第1流量の排気流量)が検出(測定)されているときに第1応答性指標値ΔTH(第1指標値)を検出する。また第1吸入空気量GaHより少ない所定の第2吸入空気量GaL(第2流量の排気流量)が検出(測定)されているときに第2応答性指標値ΔTL(第2指標値)を検出する。これら第1応答性指標値ΔTHと第2応答性指標値ΔTLとに基づき、触媒後センサ18へのガス当たりの異常を検出する。
以下、理解容易のため、第1吸入空気量GaHを高空気量GaH、第1応答性指標値ΔTHを高空気量時指標値ΔTH、第2吸入空気量GaLを低空気量GaL、第2応答性指標値ΔTLを低空気量時指標値ΔTLともいう。
PM堆積によるガス当たり異常が発生している場合、高空気量時指標値ΔTHは低空気量時指標値ΔTLよりも小さくなる(あるいは高応答側の値となる)。よってこの特性を利用して両者に基づきガス当たり異常を好適に検出することができる。
本実施形態では、高空気量時指標値ΔTHと低空気量時指標値ΔTLの差、より具体的には低空気量時指標値ΔTLから高空気量時指標値ΔTHを減じてなる指標値差D=ΔTL−ΔTHに基づき、ガス当たり異常を検出する。ガス当たり異常が発生すると指標値差Dが大きくなるので、このことを利用して指標値差Dに基づきガス当たり異常を好適に検出することができる。
ECU20は、指標値差Dを所定のガス当たり異常判定値Dsと比較し、指標値差Dがガス当たり異常判定値Dsより大きければガス当たり異常有りと判定し、指標値差Dがガス当たり異常判定値Ds以下であればガス当たり異常無しと判定する。
なお、高空気量時指標値ΔTHと低空気量時指標値ΔTLの差に代わって両者の比(例えばΔTL/ΔTH)を用いることもできる。
ここで、高空気量GaHと低空気量GaLについては、所定のしきい値より大きい吸入空気量を高空気量GaH、当該しきい値以下の吸入空気量を低空気量GaLとすることができる。代替的に、相対的に大きい吸入空気量の範囲と小さい吸入空気量の範囲とを予め定め、前者の範囲内にある任意の吸入空気量を高空気量GaH、後者の範囲内にある任意の吸入空気量を低空気量GaLとすることができる。高空気量GaH時は低空気量GaL時よりもアクセル開度が大きく、エンジン負荷が高い。
図8には、ガス当たり異常検出ルーチンのフローチャートを示す。当該ルーチンはECU20により所定の演算周期(例えば4ms)毎に繰り返し実行される。
ステップS101において、高空気量時指標値ΔTHが図示しない別ルーチンによって検出されたか否かが判断される。この別ルーチンにおいて、ECU20は、高空気量GaHの検出中且つフューエルカット実行中に、センサ出力Vrがリッチ判定値VRからリーン判定値VLに変化するまでの経過時間ΔTを計測し、この計測した経過時間ΔTを高空気量時指標値ΔTHとする。よって経過時間ΔTが計測された時点で高空気量時指標値ΔTHが検出されることとなる。
高空気量時指標値ΔTHが検出されてないと判断された場合には今回のルーチンが終了される。高空気量時指標値ΔTHが検出されたと判断された場合には、次のステップS102において、低空気量時指標値ΔTLが図示しない別ルーチンによって検出されたか否かが判断される。このときにも前記同様、ECU20は、低空気量GaLの検出中且つフューエルカット実行中に、センサ出力Vrがリッチ判定値VRからリーン判定値VLに変化するまでの経過時間ΔTを計測し、この計測した経過時間ΔTを低空気量時指標値ΔTLとする。
低空気量時指標値ΔTLが検出されてないと判断された場合には今回のルーチンが終了される。低空気量時指標値ΔTLが検出されたと判断された場合には、次のステップS103において、指標値差DがD=ΔTL−ΔTHにより算出される。なお、ここではまず高空気量時指標値ΔTHが検出されたか否かを判断し、次いで低空気量時指標値ΔTLが検出されたか否かを判断しているが、これらの順番は逆でも構わない。
次に、ステップS104において、指標値差Dが所定のガス当たり異常判定値Dsと比較される。指標値差Dがガス当たり異常判定値Dsより大きければ、ステップS105に進んでガス当たり異常有りと判定される。指標値差Dがガス当たり異常判定値Ds以下であれば、ステップS106に進んでガス当たり異常無しと判定される。
なお、ステップS105でガス当たり異常有りと判定された場合、好ましくは、その異常の事実をユーザーに伝えるべくチェックランプ等の警告装置が起動される。そしてガス当たり異常である旨の診断コードがECU20のメモリに書き込まれる。整備工場では当該診断コードが読み出され、必要な点検整備が実施される。例えば堆積PMを強制的に吹き飛ばして除去したり、触媒ケーシングごと触媒を交換したりすることなどが考えられる。
また、ガス当たり異常有りと判定された場合、前述したように、突出部34によるガス当たり改善効果が喪失されるため、サブフィードバック制御による空燃比制御を適切に行うことが困難となり、特に空燃比ばらつき発生時においてエミッションが悪化する虞がある。よってこの場合、好ましくは、サブフィードバック制御を停止したりその制御ゲインを変更したりする。
次に、他の実施形態について説明する。ここで前記実施形態(基本実施形態という)と同様の部分については説明を省略し、以下相違点を中心に述べる。
本実施形態では、図6および図7に示した特性を利用して、少なくとも高空気量時指標値ΔTHに基づき、触媒後センサ18の応答性の異常をも併せて検出する。なお、ここでいう応答性の異常とは、触媒後センサ自体が有する固有の応答性が触媒後センサの劣化等により著しく低下する異常をいう。
図6および図7に示すように、劣化等により応答性が低下したセンサ且つPM堆積がない場合(線c)は、正常センサ且つPM堆積がない場合(線a)に比べ、当然ながら経過時間ΔTが長い。一方、前者の応答性低下センサの場合の経過時間ΔTは、図6に示す低空気量域のときと図7に示す高空気量域のときとでそれ程変わらない。特に、本来経過時間ΔTが短くなるはずの高空気量域のときでさえも、経過時間ΔTは比較的大きな値となる。
そこで本実施形態では、少なくとも高空気量時指標値ΔTHを所定の応答性異常判定値(第1応答性異常判定値)THsと比較し、高空気量時指標値ΔTHが応答性異常判定値THsより大きければ触媒後センサ18の応答性異常有りと判定し、高空気量時指標値ΔTHが応答性異常判定値THs以下であれば触媒後センサ18の応答性異常無しと判定する。
これにより、触媒後センサ18のガス当たり異常に加え、触媒後センサ18の応答性異常をも併せて検出することが可能となり、検出の利便性を高めることが可能となる。
図9には、高空気量時指標値ΔTHと低空気量時指標値ΔTLで規定される所定の2次元マップを示す。この2次元マップの全領域は複数の領域に分割される。領域Iは、触媒後センサ18の応答性異常有りと判定する領域を示す。領域IIは、触媒後センサ18のガス当たり異常有りと判定する領域を示す。残りの領域IIIは、触媒後センサ18の応答性異常もガス当たり異常も生じていない、正常と判定する領域を示す。
領域Iに関し、図示されるように、高空気量時指標値ΔTHが応答性異常判定値(高空気量時応答性異常判定値)THsより大きい場合だけでなく、低空気量時指標値ΔTLが所定の別の応答性異常判定値(第2応答性異常判定値あるいは低空気量時応答性異常判定値)TLsより大きい場合にも、触媒後センサ18の応答性異常有りと判定している。ΔTH≦THs且つΔTL>TLsの場合、高空気量時にはある程度良好な応答性を示すものの、これは単に吸入空気量が多いためであり、低吸気量時には低い応答性しか示さないと言える。従ってこの場合には軽度の応答性異常が有ると判定する。一方、ΔTH>THsのときは、応答性に有利な高空気量時であっても低い応答性しか示さず、且つPM堆積によるガス流れ変化の影響も少ないと考えられるため、重度の応答性異常が有ると判定する。
また図示されるように、領域IIとIIIは、可変のガス当たり異常判定値Tsmapで仕切られている。ガス当たり異常判定値Tsmapは、高空気量時指標値ΔTHおよび低空気量時指標値ΔTLの一方の関数であり、実際上は図示するような関係がマップまたは関数の形式でECU20に記憶されている。高空気量時指標値ΔTHおよび低空気量時指標値ΔTLの一方が大きい値(低応答側の値)であるほど、ガス当たり異常判定値Tsmapも大きい値(低応答側の値)となる傾向にある。但し、ガス当たり異常判定値Tsmapは、応答性異常判定値THs,TLsよりも概して小さい値である。
図10には、本実施形態に係る異常検出ルーチンのフローチャートを示す。当該ルーチンはECU20により所定の演算周期(例えば4ms)毎に繰り返し実行される。
ステップS201,S202は前記ステップS101,S102と同じである。ステップS202において低空気量時指標値ΔTLが検出されたと判断された場合、次のステップS203において、高空気量時指標値ΔTHが応答性異常判定値THsと比較される。高空気量時指標値ΔTHが応答性異常判定値THsより大きければ、ステップS204に進んで触媒後センサ18の応答性異常有りと判定される。
他方、高空気量時指標値ΔTHが応答性異常判定値THs以下の場合、ステップS205に進んで、高空気量時指標値ΔTHに対応するガス当たり異常判定値Tsmapが図9に示したようなマップから算出される。そしてステップS206において、低空気量時指標値ΔTLがガス当たり異常判定値Tsmapと比較される。
低空気量時指標値ΔTLがガス当たり異常判定値Tsmapより小さい場合、ステップS207に進んで、触媒後センサ18の応答性異常もガス当たり異常も無し、すなわち正常と判定される。他方、低空気量時指標値ΔTLがガス当たり異常判定値Tsmap以上の場合、ステップS208に進む。
ステップS208においては、低空気量時指標値ΔTLが別の応答性異常判定値TLsと比較される。低空気量時指標値ΔTLが応答性異常判定値TLsより大きい場合、ステップS209に進んで触媒後センサ18の応答性異常有りと判定される。
他方、低空気量時指標値ΔTLが応答性異常判定値TLs以下の場合、ステップS210に進んで触媒後センサ18のガス当たり異常有りと判定される。この場合、ΔTH≦THs且つTsmap≦ΔTL≦TLsであり、図9に示したように高空気量時指標値ΔTHと低空気量時指標値ΔTLとの組み合わせは領域II内にある。そして前述の指標値差D=ΔTL−ΔTHは応答性異常判定値Tsmap以上となっている。このためガス当たり異常有りと判定される。
なお、この例では高空気量時指標値ΔTHに基づいてガス当たり異常判定値Tsmapを算出し、低空気量時指標値ΔTLをガス当たり異常判定値Tsmapと比較したが、逆でもよく、すなわち低空気量時指標値ΔTLに基づいてガス当たり異常判定値Tsmapを算出し、高空気量時指標値ΔTHをガス当たり異常判定値Tsmapと比較してもよい。また、この例では応答性異常判定値THs,TLsを予め定められた一定値としたが、吸入空気量の値に応じて変更してもよい。
本実施形態において、応答性異常の検出に係る部分を省略し、ガス当たり異常の検出に係る部分のみを実施するよう変形することも可能である。この場合、図9のマップのうちガス当たり異常判定値Tsmapのみが用いられる。
応答性異常とガス当たり異常の少なくとも一方が判定ないし検出された場合、好ましくは前記同様に、異常の事実をユーザーに伝えるべくチェックランプ等の警告装置が起動される。そして各異常に対応した診断コードがECU20のメモリに書き込まれ、整備工場では当該診断コードが読み出され、必要な点検整備が実施される。応答性異常の場合には典型的に触媒後センサ18の交換が実施される。
特に重度の応答性異常が検出された場合(S204)、空燃比フィードバック制御に際して制御のハンチング等が生じてエミッションが悪化する可能性がある。このため、サブフィードバック制御を停止したりその制御ゲインを変更したりするのが好ましい。また、上流触媒11の劣化を検出するための触媒劣化検出処理(触媒OBD)において、触媒後センサ18の出力を利用する場合がある。例えば触媒上流側の空燃比をアクティブにリーン、リッチと交互に切り換えるアクティブ空燃比制御を実行し、その切り換えタイミングを触媒後センサ18の出力反転時期に同期させ、リーンおよびリッチ制御中にそれぞれ劣化指標値としての触媒酸素吸蔵容量を計測する場合がある。あるいは、アクティブ空燃比制御中に触媒後センサ18の出力軌跡長を劣化指標値として計測することがある。このとき、重度の応答性異常が検出された場合だと、その応答性異常に起因して触媒OBDの劣化指標値に誤差が生じ、正確な劣化検出を実施できなくなる虞がある。このため、かかる場合には、劣化指標値を補正したり、触媒OBDを禁止するなどの措置を講じるのが好ましい。
ところで、上流触媒11付近の構成は下記のように変形することも可能である。
図11には第1変形例を示す。この第1変形例において、上流触媒11よりも下流側の構成は前記実施形態と同様であり、上流触媒11よりも上流側の構成が異なる。すなわち、触媒ケーシング31の中心C1に対し同軸に触媒前排気管35が接続されている。そして触媒前排気管35は、上流触媒11よりも上流側に設けられた触媒ケーシング31のコーン部36の中心部に接続されている。
図12には第2変形例を示す。この第2変形例において、上流触媒11よりも上流側の構成は第1変形例と同様であり、上流触媒11よりも下流側の構成が異なる。すなわち、触媒ケーシング31の中心C1に対し同軸に触媒後排気管32が接続されている。そして触媒後排気管32は、上流触媒11よりも下流側に設けられた触媒ケーシング31のコーン部33の中心部に接続されている。
コーン部33内に突出された突出部34は完全なリング状になっている。こうした突出部34を設けても、上流触媒11から排出された排気ガスの一部を突出部34に衝突させ、攪拌流を発生させ、排気ガス全体を攪拌ないしミキシングして触媒後センサ18へのガス当たりを改善することができる。突出部34の全周の周囲に、PMが堆積する可能性のあるコーン部33との隙間が形成される。よって前記実施形態と同様の課題が生じる。
図13には第3変形例を示す。この第3変形例においては、触媒ケーシング31の中心C1に対し触媒後排気管32の中心C2が前記実施形態とは逆方向(図中下方向)にオフセットされるよう、触媒後排気管32が触媒ケーシング31の下流側コーン部33に接続されている。このオフセット方向は、触媒後センサ18が設置される方向(図中上方向)とは逆である。触媒後排気管32は下流側コーン部33の最も偏心した位置に接続されている。この構成における突出部34も、触媒後センサ18へのガス当たりを改善できることが判明している。よってPMが堆積すると前記実施形態と同様の課題が生じる。
図14には第4変形例を示す。この第4変形例は、第2変形例と同様の同軸タイプの触媒下流側の構成を有する。但し、触媒後排気管32の前端部は二重管構造とされ、コーン部33に突き合わせ接続(溶接)される外管51と、外管51の内周面に溶接等により嵌合固定される内管52とを有する。内管52の前端部が外管51の前端面から前方に突き出され、コーン部33内に突出する突出部34を形成している。
図15には第5変形例を示す。この第5変形例は、第4変形例に類似した構造を有するが、次の点で異なる。すなわち、触媒ケーシング31に関しては、コーン部33から後方に一体的に延びる直管状の延長部53が設けられ、延長部53の後端にフランジ54が設けられる。一方、触媒後排気管32は、前部55と、より後方の本体部56とに分割されており、前部55の後端と本体部56の前端とにそれぞれフランジ57,58が設けられている。前部55が延長部53内に嵌合挿入され、三つのフランジ54,57,58が重ね合わされボルト等により共締めされることで、三者が組み立てられる。組立後の状態において、前部55の前端部がコーン部33内に突出し、突出部34を形成している。触媒後センサ18は本体部56に設置される。
図16には第6変形例を示す。この第6変形例は、図14に示した第4変形例と基本的に同様であり、触媒後排気管32の中心C2が触媒ケーシング31の中心C1に対し図中下方向にオフセットされる点のみが異なる。
図17には第7変形例を示す。この第7変形例は、図15に示した第5変形例と基本的に同様であり、触媒後排気管32の中心C2が触媒ケーシング31の中心C1に対し図中下方向にオフセットされる点のみが異なる。
なお、図1および図4に示した基本実施形態の構成と、上記各変形例の構成とは、部分的に任意の組み合わせで組み合わせることが可能である。
以上、本発明の好適な実施形態を詳細に述べたが、本発明の実施形態は他にも様々なものが考えられる。例えば本発明は気筒数、シリンダ配置形式、用途等の異なる内燃機関にも当然に適用可能であり、例えば直列4気筒エンジン、V型6気筒エンジン、自動車用以外のエンジン等にも適用可能である。
本発明の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本発明に含まれる。従って本発明は、限定的に解釈されるべきではなく、本発明の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
1 内燃機関(エンジン)
5 エアフローメータ
6 排気管
11 上流触媒
12 インジェクタ
14 排気マニフォールド
17 触媒前センサ
18 触媒後センサ
20 電子制御ユニット(ECU)
31 触媒ケーシング
32 触媒後排気管
34 突出部
40 PM
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14 排気マニフォールド
17 触媒前センサ
18 触媒後センサ
20 電子制御ユニット(ECU)
31 触媒ケーシング
32 触媒後排気管
34 突出部
40 PM
Claims (7)
- 触媒を収容する触媒ケーシングと、
前記触媒ケーシングの下流側に接続され、前記触媒ケーシングより小径の触媒後排気管と、
前記触媒後排気管に設けられた空燃比センサと、
前記触媒後排気管の前端部に形成され、前記空燃比センサに排気ガスを導くよう前記触媒ケーシング内に突出された突出部と、
排気流量を測定する測定手段と、
前記空燃比センサの応答性を表す指標値を検出する指標値検出手段と、
前記測定手段により所定の第1流量の排気流量が測定されているときに前記指標値検出手段により検出された第1指標値と、前記測定手段により、前記第1流量より少ない所定の第2流量の排気流量が測定されているときに前記指標値検出手段により検出された第2指標値とに基づき、前記空燃比センサへのガス当たりの異常を検出する異常検出手段と、
を備えたことを特徴とする内燃機関の異常検出装置。 - 前記異常検出手段は、前記第1指標値と前記第2指標値の差または比に基づき、前記空燃比センサへのガス当たりの異常を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の異常検出装置。 - 前記異常検出手段は、前記第1指標値と前記第2指標値の一方から所定の関係を利用して異常判定値を定め、前記第1指標値と前記第2指標値の他方を前記異常判定値と比較して、前記空燃比センサへのガス当たりの異常を検出する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の異常検出装置。 - 前記所定の関係は、前記第1指標値と前記第2指標値の一方が低応答側の値であるほど前記異常判定値が低応答側の値となるように、予め定められている
ことを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の異常検出装置。 - 前記異常検出手段は、少なくとも前記第1指標値に基づき、前記空燃比センサの応答性の異常をも検出する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関の異常検出装置。 - 前記異常検出手段は、
前記第1指標値が所定の第1応答性異常判定値より大きいときと、前記第2指標値が所定の第2応答性異常判定値より大きいときとに、前記空燃比センサを応答性異常と判定し、
それ以外のときに、前記第1指標値から所定の関係を利用して異常判定値を求め、前記第2指標値が前記異常判定値より大きいとき前記空燃比センサへのガス当たりの異常と判定し、前記第2指標値が前記異常判定値より小さいとき、応答性異常もガス当たり異常も生じていない正常と判定する
ことを特徴とする請求項5に記載の内燃機関の異常検出装置。 - 前記空燃比センサへのガス当たりの異常が、前記突出部の周囲に堆積したPMに起因するものである
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の内燃機関の異常検出装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017114333A (ja) * | 2015-12-24 | 2017-06-29 | ボッシュ株式会社 | エンジン制御装置及び制御方法 |
JP2021161890A (ja) * | 2020-03-31 | 2021-10-11 | いすゞ自動車株式会社 | 収納管 |
-
2012
- 2012-08-07 JP JP2012175208A patent/JP2014034896A/ja active Pending
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