JP5625486B2 - マッハツェンダ型変調器の制御方法及び光モジュール - Google Patents

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Description

本発明は、マッハツェンダ型変調器の制御方法、及びマッハツェンダ型変調器を含む光モジュールに関する。
マッハツェンダ型変調器では、入力光を2つに分岐してそれぞれ別の光導波路を伝播させて再び合波させるマッハツェンダ型光導波路を用い、合波する2つの光の位相差を0からπの範囲で変化させて光の干渉状態を変え、変調を行う。
マッハツェンダ型変調器で良好な出力特性を得るための要素として、高い消光比と精密なチャープ特性の制御がある。高い消光比を得るためには、2つの光導波路を伝播する光の位相差を適切に制御すると共に、2つの光導波路を伝播する光の損失を同等にする。良好なチャープ特性を得るためには、2つの光導波路に変調信号(電圧、電流等の電気信号)を供給した時にそれらを伝播する光に発生する位相変化量の比率を適切に調整する。
ところで、マッハツェンダ型変調器では、その構造、供給する変調信号、作製誤差等により、2つの光導波路間に位相のずれ及び損失のずれが生じ得る。このような2つの光導波路間の位相ずれ及び損失ずれを補正する方法として、2つの光導波路にそれぞれ、変調信号を供給するための変調電極とは別に、更に別の電極を設け、それら4つの電極に印加するDC電圧を適切に組み合わせて使用する方法がある。この方法では、光導波路に対して電圧を供給した時に、位相変化と共に損失変化も発生することを利用する。4つの電極によって発生する位相変化及び損失変化を適当に組み合わせることによって、2つの光導波路間の位相差及び損失差を調整し、位相ずれ及び損失ずれを補正する。
特開2000−249994号公報 特開2004−157203号公報 特開平6−289342号公報 特開平7−49473号公報
マッハツェンダ型変調器の光導波路には、変調電極に供給するDC電圧を大きくするほど、変調信号に対する位相の変化(傾き)が急峻になるという性質がある。そのため、変調電極に供給するDC電圧を変化させると、2つの光導波路間の位相差及び損失差が変化すると同時に、2つの光導波路間の変調信号に対する位相変化の効率がずれる。その結果、2つの光導波路間での位相変化量の比率が変わり、チャープ特性が変化してしまう。
変調電極に更に別の電極を加えた計4つの電極を用い、2つの光導波路での位相変化及び損失変化を組み合せて位相差及び損失差を調整する方法では、チャープ特性を劣化させずに位相差及び損失差を調整することが困難な場合がある。
本発明の一観点によれば、光を分波して第1光導波路及び第2光導波路に伝播し、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を合波するマッハツェンダ型光導波路と、前記第1光導波路の伝播光の変調に用いる第1変調電極と、前記第2光導波路の伝播光の変調に用いる第2変調電極と、前記第1光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第1調整電極と、前記第2光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第2調整電極と、を備えるマッハツェンダ型変調器の制御方法であって、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を所定の位相差に維持するように、前記第1調整電極及び前記第2調整電極のそれぞれに供給される第1電気信号及び第2電気信号の関係を維持したまま、前記第1電気信号及び前記第2電気信号の両方を変化させて、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を所定の損失差に調整するステップを含み、前記第1調整電極に電気信号を供給した時の前記第1光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第1の関係と、前記第2調整電極に電気信号を供給した時の前記第2光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第2の関係とを用いて、前記位相差及び前記損失差を調整し、前記第1の関係と前記第2の関係とが異なっている、或いは、前記第1の関係と前記第2の関係とが同一で、位相変化に対する損失変化の傾きが位相変化の値に応じて変化する関係であるマッハツェンダ型変調器の制御方法が提供される。
また、本発明の一観点によれば、上記構成を備えるマッハツェンダ型変調器の制御方法であって、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を所定の損失差に維持するように、前記第1調整電極及び前記第2調整電極のそれぞれに供給される第1電気信号及び第2電気信号の関係を維持したまま、前記第1電気信号及び前記第2電気信号の両方を変化させて、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を所定の位相差に調整するステップを含み、前記第1調整電極に電気信号を供給した時の前記第1光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第1の関係と、前記第2調整電極に電気信号を供給した時の前記第2光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第2の関係とを用いて、前記位相差及び前記損失差を調整し、前記第1の関係と前記第2の関係とが異なっている、或いは、前記第1の関係と前記第2の関係とが同一で、位相変化に対する損失変化の傾きが位相変化の値に応じて変化する関係であるマッハツェンダ型変調器の制御方法が提供される。
開示のマッハツェンダ型変調器の制御方法により、調整電極を用いて光導波路間の位相差及び損失差を適切な値に調整することで、高い消光比を得ると共に精度良くチャープ特性を制御し、マッハツェンダ変調器の出力特性の向上を図ることが可能になる。
マッハツェンダ型変調器の一例を示す図である。 位相変化及び損失変化の説明図である。 位相差の調整方法の説明図である。 損失差の調整方法の説明図である。 第1実施例に係るマッハツェンダ型変調器を示す図である。 変調電極に印加する電圧信号波形の一例を示す図である。 第1実施例に係る位相差の調整方法の説明図である。 第1実施例に係る損失差の調整方法の説明図である。 変調電極に印加する電圧信号波形の別例を示す図である。 位相差調整の一例の説明図(その1)である。 損失差調整の一例の説明図(その1)である。 位相差調整の一例の説明図(その2)である。 損失差調整の一例の説明図(その2)である。 光送信器モジュールの構成例を示す図(その1)である。 光送信器モジュールの構成例を示す図(その2)である。 光送信器モジュールの処理フローの一例を示す図である。 第2実施例に係るマッハツェンダ型変調器を示す図である。 第2実施例に係る位相変化及び損失変化の説明図である。 第3実施例に係る位相変化及び損失変化の説明図である。 第4実施例に係るマッハツェンダ型変調器を示す図である。 第4実施例に係る位相変化及び損失変化の説明図である。 第5実施例に係る光送信器モジュールを示す図である。
まず、マッハツェンダ型変調器(MZ変調器)について説明する。図1はMZ変調器の一例を示す図である。
図1に示すMZ変調器10は、入射した入力光(入力信号)が伝播する光導波路(入力側光導波路)11、及び入力側光導波路11を伝播した光を分波する分波器(入力側光カプラ)12を有している。ここでは、入力側光カプラ12が2つの入力ポートを備え、2つの入力側光導波路11がそれら2つの入力ポートにそれぞれ接続されている場合を例示している。2つの入力側光導波路11の一方を伝播した光が、入力側光カプラ12によって2つの光に分波される。
入力側光カプラ12の、分波された光が出力される2つの出力ポートには、それぞれ光導波路(第1光導波路)13aの一端側、及び光導波路(第2光導波路)13bの一端側が接続されている。このように一端側が入力側光カプラ12に接続された第1光導波路13aの他端側、及び第2光導波路13bの他端側は、それぞれ合波器(出力側光カプラ)14の2つの入力ポートに接続されている。
第1光導波路13a及び第2光導波路13bを伝播した光は、出力側光カプラ14で合波され、この出力側光カプラ14が備える2つの出力ポートにそれぞれ接続された光導波路(出力側光導波路)15の、例えば一方に選択的に伝播される。出力側光導波路15に伝播した光は、出力光(出力信号)として、MZ変調器10から出力される。
このようにMZ変調器10は、入力信号を分波して第1光導波路13a及び第2光導波路13bに伝播し、合波する、マッハツェンダ型光導波路を備えている。
上記MZ変調器10の第1光導波路13aには、第1光導波路13aを伝播する光を変調するための電気信号(変調信号)が供給される電極(第1変調電極)16aが設けられている。更に、この第1光導波路13aには、第1光導波路13aを伝播する光の位相及び損失を調整するための電気信号(調整信号)が供給される電極(第1調整電極)17aが設けられている。
また、上記MZ変調器10の第2光導波路13bには、第2光導波路13bを伝播する光を変調するための変調信号が供給される電極(第2変調電極)16bが設けられている。更に、この第2光導波路13bには、第2光導波路13bを伝播する光の位相及び損失を調整するための調整信号が供給される電極(第2調整電極)17bが設けられている。
第1光導波路13a及び第2光導波路13bは、例えば、上下をp型半導体クラッド層とn型半導体クラッド層で挟まれ、側面を低誘電体材料等の埋め込み層で覆われた、多重量子井戸(Multiple Quantum Well;MQW)構造のコア層とすることができる。その場合は、例えば、第1変調電極16aに変調信号として逆電圧を印加することにより、第1光導波路13aの屈折率を変化させ、伝播する光の位相を変化させる。第2光導波路13bについても同様である。また、第1調整電極17a及び第2調整電極17bには、例えば、電圧や電流を供給する等して、第1光導波路13a及び第2光導波路13bを伝播する光の位相、損失を変化させる。尚、詳細については後述する。
ところで、半導体を用いた光導波路に電極を介して逆電圧を印加した時には、その光導波路を伝播する光の位相が変化すると共に、損失も変化する。図2は位相変化及び損失変化の説明図である。図2(A)は逆電圧と位相変化の関係の説明図、図2(B)は逆電圧と損失変化の関係の説明図、図2(C)は位相変化と損失変化の関係の説明図である。
光導波路に逆電圧を印加した場合には、図2(A)に示すように、印加する逆電圧の増加に伴い、位相変化が増加する。逆電圧の増加量に対する位相変化の増加量(傾き)は、印加する逆電圧が大きくなるほど大きくなる。また、光導波路に逆電圧を印加した場合には、図2(B)に示すように、印加する逆電圧の増加に伴い、損失変化が増加する。逆電圧の増加量に対する損失変化の増加量(傾き)は、印加する逆電圧が大きくなるほど大きくなり、高い逆電圧領域では、位相変化の増加量よりも急峻になる。位相変化と損失変化の関係を見ると、図2(C)に示すように、位相変化の増加と共に、損失変化が増加し、位相変化の増加量に対する損失変化の増加量(傾き)は、位相変化の値が大きくなるほど大きくなる。
ここでは、この図2のような性質を踏まえ、2つの光導波路間、即ち上記のMZ変調器10における第1光導波路13aと第2光導波路13bの間の位相差及び損失差を調整し、第1光導波路13aと第2光導波路13bの間の位相ずれ及び損失ずれを補正する。
第1光導波路13aと第2光導波路13bの間の位相ずれ及び損失ずれは、例えば、MZ変調器10の構造、第1変調電極16a及び第2変調電極16bに印加する逆電圧の値によって、生じる。また、第1光導波路13aと第2光導波路13bの間の位相ずれ及び損失ずれは、MZ変調器10の作製誤差から生じる位相差及び損失差によっても、生じる。中でも、MZ変調器10の作製誤差から生じる位相差及び損失差は、MZ変調器10ごとにランダムに発生し得るものであるため、MZ変調器10ごとに位相及び損失のずれ量が異なってくることがある。
位相ずれ及び損失ずれを補正するために、MZ変調器10に設けた第1変調電極16a、第2変調電極16b、第1調整電極17a及び第2調整電極17bに印加するDC逆電圧を調整すると、チャープ特性を変化させずに位相及び損失を調整することが困難な場合がある。これは次のような理由による。即ち、図2のような性質により、第1変調電極16a及び第2変調電極16bの逆電圧を変化させると、第1光導波路13a及び第2光導波路13bの位相及び損失が変化する。位相ずれ及び損失ずれを補正するために第1変調電極16a、第2変調電極16bに印加するDC逆電圧を調整する場合、位相ずれ及び損失ずれの量によって、必要となるDC逆電圧の値が変化する。この時、逆電圧に対する位相変化の効率を、第1光導波路13aと第2光導波路13bとで一定の値に維持することが困難となる。その場合、第1光導波路13aと第2光導波路13bの間で、位相変化量の比率が変わってしまい、その結果、チャープ特性も変化してしまうようになる。
そこで、以下に示すように、第1変調電極16a及び第2変調電極16bに印加する逆電圧を変化させることなく、第1調整電極17a及び第2調整電極17bを用いて第1光導波路13aと第2光導波路13bの間の位相差及び損失差を調整する。
ここでは、第1調整電極17a及び第2調整電極17bへの調整信号供給により生じる第1光導波路13aと第2光導波路13bの間の位相差及び損失差が、第1光導波路13aと第2光導波路13bの間に存在している位相ずれ及び損失ずれを相殺するようにする。
ここで、第1光導波路13aに対する第2光導波路13bの位相ずれ、損失ずれをそれぞれΔφ、Δαと仮定する。Δφが正であれば、第2光導波路13bの方が第1光導波路13aに比べて位相が進んでおり、同様にΔαが正であれば、第2光導波路13bの方が第1光導波路13aよりも損失が多いとする。この第1光導波路13aと第2光導波路13bの間の位相ずれΔφ及び損失ずれΔαを補正するように、第1調整電極17a及び第2調整電極17bを用いて、第1光導波路13aと第2光導波路13bの間の位相差及び損失差を調整する。
第1調整電極17a及び第2調整電極17bを用いた位相差及び損失差の調整方法について、図3及び図4を参照して説明する。図3は位相差の調整方法の説明図、図4は損失差の調整方法の説明図である。
図3及び図4には、第1調整電極17aと第2調整電極17bに、調整信号として、ある電圧(電流)を印加した状態から、電圧を変化させたときの、(A)位相変化、(B)損失変化、(C)位相変化と損失変化の関係、を例示している。尚、ここでは、説明を簡単にするため、電圧に対する位相変化及び損失変化が線形であるとしている。また、ここでは、第1光導波路13a(図3及び図4の実線)の方が、第2光導波路13b(図3及び図4の点線)よりも、電圧に対する位相変化が大きく(図3(A),図4(A))、損失変化が小さいものとする(図3(B),図4(B))。この場合、位相変化に対する損失変化の傾きは、第2光導波路13bの方が大きくなる(図3(C),図4(C))。
位相差及び損失差の調整は、例えば、2段階の処理で行う。ここでは一例として、まず位相差の調整(図3)を行い、その後、損失差の調整(図4)を行う場合について説明する。
まず図3の位相差調整段階では、第1光導波路13aと第2光導波路13bの間の位相ずれΔφを補正するため、第1調整電極17aの電圧をVX1からVY1まで変化させて位相をΔφだけ変化させる(図3(A);状態X1→Y1)。第2調整電極17bは何も操作しない。この段階では、位相変化と同時に損失変化も起こるため、第1光導波路13a側の損失が、第2光導波路13b側の損失に比べて、ΔαYだけ相対的に大きくなる(図3(B),(C))。
続く図4の損失差調整段階では、位相差をΔφに維持したまま、第1調整電極17aと第2調整電極17bの電圧を共に増加させる(図4(A);状態Y1→Z1,状態Y2→Z2)。この際、第1光導波路13aに対して第2光導波路13bの方が電圧に対する位相変化の傾きが小さいため、位相差を一定値Δφに保つためには、第2調整電極17bに印加する電圧をより大きく増加させることになる(VZ2>VZ1−VY1)。
この時の損失変化を見ると、同じ位相変化を起こした場合には、第2光導波路13b側の方が位相変化に対する損失変化の傾きが大きくなるため、相対的に第2光導波路13b側の方が、損失が大きく増加する(図4(B))。状態Y(Y1,Y2)では第1光導波路13a側の損失の方が大きかったものが、状態Z(Z1,Z2)では逆に第2光導波路13b側の損失の方が大きくなる。つまり、状態YからZの間で変化させれば、位相差を一定値Δφに維持したまま、損失差を−ΔαYから+ΔαZまで変化させることができる(図4(C))。従って、この図4の段階で調整される、第1光導波路13aと第2光導波路13bの間の損失差ΔαZが、損失ずれを補正するのに必要なΔαになるようにすれば、位相ずれと損失ずれを共に補正することが可能になる。
尚、ここでは、位相差を調整した後、その位相差を維持しながら、損失差を調整する場合を例にして説明した。このほか、損失差を調整した後、その損失差を維持しながら、位相差を調整することも可能である。この場合は、まず、第1調整電極17aと第2調整電極17bのうちの一方に供給する調整信号(電圧等)を変化させ、第1光導波路13aと第2光導波路13bの間の損失差を、損失ずれΔαを相殺するような値に調整する。そして、その損失差を維持しながら、第1調整電極17a及び第2調整電極17bに供給する調整信号を変化させ、第1光導波路13aと第2光導波路13bの間の位相差を、位相ずれΔφを相殺するような値に調整する。
上記の調整方法によれば、第1光導波路13a及び第2光導波路13bにそれぞれ設けた第1調整電極17a及び第2調整電極17bに供給する調整信号を制御することで、第1光導波路13aと第2光導波路13bの間の位相差及び損失差を任意に調整できる。それにより、MZ変調器10の位相ずれ及び損失ずれを補正することが可能となる。また、上記の調整方法によれば、第1変調電極16a及び第2変調電極16bに供給するDC逆電圧を変化させることなく、第1光導波路13aと第2光導波路13bの間の位相差及び損失差の調整が可能になる。そのため、チャープ特性の変化を抑え、高い消光比と良好なチャープ特性制御の両立が可能になる。
以上、第1光導波路13aと第2光導波路13bの間の位相差及び損失差の調整方法について説明したが、上記の調整方法は、位相変化に対する損失変化の傾きが、第1光導波路13a側と第2光導波路13b側とで異なっている場合に実現される。
例えば、上記の調整方法は、図3及び図4のように、第1光導波路13aと第2光導波路13bの位相変化に対する損失変化の傾きが元々異なっている場合に適用可能である。また、図2のように、位相変化及び損失変化が非線形である場合には、第1光導波路13aと第2光導波路13bの位相変化に対する損失変化の関係を示す曲線同士が重なっていても、双方に供給する逆電圧に差をつけることで、上記の調整方法が適用可能である。尚、この点については後述する。
このほか、上記の調整方法は、第1光導波路13aと第2光導波路13bの位相及び損失が、異なる方法で変化される場合にも、同様に適用可能である。光導波路の位相及び損失を変化させる方法としては、例えば、次の(a)〜(c)のようなものを挙げることができる。
(a)逆電圧印加による量子閉じ込めシュタルク効果(QSCE)を利用したもの。
(b)電流注入によるプラズマ効果を利用したもの。
(c)光導波路温度を変化させることによって生じる屈折率変化を利用したもの。
これら(a)〜(c)の方法では、それぞれ位相変化と損失変化の関係が異なり、(a)では位相が進むと損失が増加し、(b)では位相が遅れると損失が増加し、(c)では位相の変化に対して損失の変化が0或いは極めて小さい。従って、第1光導波路13aの位相及び損失の変化を、(a)〜(c)のいずれかの方法で行い、第2光導波路13bの位相及び損失の変化を、(a)〜(c)の方法のうち、第1光導波路13a側とは異なる方法で行う。それにより、第1光導波路13aと第2光導波路13bの間で、位相変化に対する損失変化の傾きを異ならせることができる。
更に、(a)の方法では、第1変調電極16a及び第2変調電極16bに供給する電圧に対する位相変化及び損失変化が非線形である場合、印加する電圧によって位相変化に対する損失変化の傾きが異なる。このため、第1調整電極17a及び第2調整電極17bに印加する電圧がずれていれば、第1光導波路13aと第2光導波路13bの間で、位相変化に対する損失変化の傾きを異ならせることができる。また、(a)の方法では、第1調整電極17a及び第2調整電極17bの長さを異ならせることによっても、位相変化に対する損失変化の傾きを異ならせることができる。
以下、MZ変調器、及びMZ変調器が備える2つの光導波路間の位相差及び損失差の調整方法、並びにMZ変調器の光モジュールへの適用例等について、より具体的に説明する。
<第1実施例>
図5は第1実施例に係るMZ変調器を示す図である。図5(A)は第1実施例に係るMZ変調器の平面模式図、図5(B)は図5(A)のM1−M1断面模式図である。
第1実施例に係るMZ変調器100は、図5(A)に示すように、入力光が伝播する2つの入力側光導波路101、及びこれら2つの入力側光導波路101がそれぞれ入力ポートに接続された入力側光カプラ102を有している。入力側光カプラ102の2つの出力ポートには、それぞれ第1光導波路103aの一端側、及び第2光導波路103bの一端側が接続されている。第1光導波路103aの他端側、及び第2光導波路103bの他端側は、それぞれ出力側光カプラ104の2つ入力ポートに接続されている。出力側光カプラ104の2つの出力ポートには、2つの出力側光導波路105がそれぞれ接続されている。入力側光カプラ102及び出力側光カプラ104は、いずれも2×2(入力ポート×出力ポート)のMMI(Multi Mode Interface)カプラである。このようにMZ変調器100は、入力信号を分波して第1光導波路103a及び第2光導波路103bに伝播し、合波する、マッハツェンダ型光導波路を備えている。
第1光導波路103aには、図5(A)に示すように、第1光導波路103aの伝播光を変調するための変調信号が供給される第1変調電極106aと、伝播光の位相及び損失を調整するための調整信号が供給される第1調整電極107aが設けられている。第2光導波路103bには、図5(A)に示すように、第2光導波路103bの伝播光を変調するための変調信号が供給される第2変調電極106bと、伝播光の位相及び損失を調整するための調整信号が供給される第2調整電極107bが設けられている。
ここでは、第1変調電極106a及び第2変調電極106bは、共にマイクロストリップライン型の進行波型構造であり、同じ材質で、互いの寸法は等しくしている。また、ここでは、第1調整電極107a及び第2調整電極107bは、共に調整信号として逆電圧を印加して第1光導波路103a及び第2光導波路103bにおける位相及び損失を変化させる電極であり、同じ材質で、互いの寸法は等しくしている。
第1光導波路103a及び第2光導波路103bは、図5(B)に示すように、n型インジウムリン(InP)基板108の上に形成された、インジウムガリウムヒ素リン(InGaAsP)層とInP層を含む、MQW構造109を有している。MQW構造109の上には、p型InP層110が形成されている。p型InP層110、MQW構造109及びn型InP基板108は、メサ構造111に加工されている。メサ構造111の両脇は、酸化シリコン(SiO2)等の保護膜112、及びベンゾシクロブテン(Benzo Cyclo Butene;BCB)等の埋め込み層113によって埋め込まれている。p型InP層110の上には、p型半導体等のコンタクト層114が形成されており、第1調整電極107a及び第2調整電極107bは、コンタクト層114を介してp型InP層110に電気的に接続されている。尚、図5(A)の第1変調電極106a及び第2変調電極106bも同様に、コンタクト層114を介してp型InP層110に電気的に接続されている。また、n型InP基板108の裏面(メサ構造111側と反対側の面)には、グランド電極115が形成されている。
上記のMZ変調器100において、一方の入力側光導波路101に入力した入力光(入力信号)は、入力側光カプラ102によって2つの光に分波される。分波後、第1光導波路103a及び第2光導波路103bに伝播した光は、出力側光カプラ104で合波される。その際、第1変調電極106a及び第2変調電極106bを用い、第1光導波路103a及び第2光導波路103bの伝播光の位相差を制御することで、所望の干渉状態の光が合波により得られ、出力側光導波路105から出力光(出力信号)として出力される。
第1光導波路103a及び第2光導波路103bに逆電圧を印加すると、先に図2で示したように、位相は進み、損失は増加する。位相と損失の変化は逆電圧が高くなるほど急峻になる。更に、位相変化に対する損失変化の関係では、位相変化が大きくなるほど、位相変化に対して損失変化が急峻になる。
MZ変調器100では、その構造、第1変調電極106a及び第2変調電極106bに印加する逆電圧の値、MZ変調器100の作製誤差等により、第1光導波路103a及び第2光導波路103bの間に位相ずれ及び損失ずれが生じ得る。このような位相ずれ及び損失ずれを、第1調整電極107a及び第2調整電極107bを用いて、調整する。
一例として、第1変調電極106a及び第2変調電極106bに印加する直流(Direct Current;DC)電圧のDCセンターバイアスを、第1光導波路103a及び第2光導波路103bで一致させる駆動をした場合について述べる。
図6は変調電極に印加する電圧信号波形の一例を示す図である。尚、図6では、第1変調電極106aに印加する電圧信号波形を実線で示し、第2変調電極106bに印加する電圧信号波形を点線で示している。
まず、MZ変調器100でDCセンターバイアスを一致させた状態において発生する第1光導波路103aと第2光導波路103bの間の位相差は、π/2と、作製誤差で第1光導波路103aと第2光導波路103bの間に発生する位相ずれΔφ0との和になる。これは、次のような理由による。
MZ変調器100では、第1変調電極106a、第2変調電極106b、第1調整電極107a及び第2調整電極107bに電圧を印加しない場合、基本的に光が入力した入力ポートと対角側の出力ポートにおいて位相が合い、その出力ポートから光が出力される。また、第1変調電極106a及び第2変調電極106bに同じ電圧を印加する場合にも、位相差が変化しないため、入力ポートと対角側の出力ポートから光が出力される。
ここで、MZ変調器100において、第1変調電極106aと第2変調電極106bに電圧を印加した際に第1光導波路103aと第2光導波路103bで生じる位相変化の方向が互いに逆となるようにするpush−pull動作で変調を行う場合を考える。この場合、印加する電圧のオンレベルとオフレベルにおいて、即ち電圧信号の上端と下端において位相差が0とπになり、電圧信号の中心となるDCセンターバイアスにおいて位相差がπ/2になっている必要がある。
従って、第1変調電極106a及び第2変調電極106bに印加するDCセンターバイアスを一致させるような駆動をすると、先に述べたように入力ポートと対角側の出力ポートで位相差が0(或いは入力ポートと同じ側の出力ポートで位相差π)に近い値になる。そのため、構造上、DCセンターバイアスにおける位相差が、最適な位相差であるπ/2から、π/2だけずれる。DCセンターバイアスを一致させるような動作をした場合、この構造上生じるπ/2の位相ずれと、作製誤差で生じる位相ずれΔφ0(第1光導波路103aに対する第2光導波路103bのずれ)とを合わせたπ/2+Δφ0が、補正する位相ずれとなる。このように補正する位相ずれが、ある有限の値を持っているようにすると、位相差を最適に調整した状態で、第1調整電極107a及び第2調整電極107bにおいて互いに異なる逆電圧が印加されているようにすることができる。
第1実施例に係る第1調整電極107a及び第2調整電極107bを用いた位相差及び損失差の調整方法について、図7及び図8を参照して説明する。図7は第1実施例に係る位相差の調整方法の説明図、図8は第1実施例に係る損失差の調整方法の説明図である。
図7及び図8には、第1調整電極107aと第2調整電極107bに印加する逆電圧を変化させたときの、(A)位相変化、(B)損失変化、(C)位相変化と損失変化の関係、を例示している。尚、第1実施例では、第1調整電極107aと第2調整電極107bを同じ構造としているため、第1光導波路103aと第2光導波路103bの位相変化及び損失変化の関係を示す曲線は重なっている。
まず、図7に示す位相差の調整について説明する。初期状態(状態X1,X2)では、第1調整電極107a及び第2調整電極107bに印加される逆電圧は0Vである(VX1=VX2=0V)。位相差調整段階では、この初期状態から、第1調整電極107aに逆電圧(VY1)を印加して、第1光導波路103a側の位相をπ/2+Δφ0だけ変化させる(図7(A);状態X1→Y1)。この時、第2調整電極107bに印加される逆電圧(VY2)は0(=VX2)のままである(図7(A);状態X2,Y2)。この処理により、第1光導波路103a側において損失が発生し、第2光導波路103b側と比較して、損失がΔαYだけ大きくなる(図7(B),(C))。
次に、図8に示す損失差の調整について説明する。損失差の調整段階では、第1光導波路103aと第2光導波路103bの間の位相差をπ/2+Δφ0に維持したまま、第1調整電極107aと第2調整電極107bに印加する逆電圧(VZ1,VZ2)を増加させる(図8(A);状態Y1→Z1,状態Y2→Z2)。この際、第1光導波路103a側の第1調整電極107aには既に逆電圧(VY1)が印加されており、第1光導波路103a側の位相変化の効率が、第2調整電極107bに逆電圧が印加されていない第2光導波路103b側に比べて高くなっている。そのため、逆電圧の変化量は、第1調整電極107aの方が小さくなる(VZ2−VY2>VZ1−VY1)。
一方、同じ量の位相変化を起こす場合でも、第1調整電極107aに既に逆電圧(VY1)が印加されている第1光導波路103a側の方が、第2光導波路103b側に比べて、より損失変化は大きくなる(図8(B))。そのため、位相差をπ/2+Δφ0に維持しながら行う図8の損失差調整段階では、第1光導波路103a側の損失が、第2光導波路103b側に比べて、相対的に更に大きくなり、損失差はΔαZまで増加する(図8(B),(C))。つまり、この図8の損失差調整段階で、第1光導波路103aと第2光導波路103bの間の損失差をΔαYからΔαZまで変化させることができる。これを利用して、損失ずれΔαを相殺するように第1光導波路103aと第2光導波路103bの間の損失差をΔαZに調整すればよい。
このような第1調整電極107a及び第2調整電極107bを用いた第1光導波路103a及び第2光導波路103bの位相差、損失差の調整により、位相ずれ、損失ずれを適切に補正することが可能となり、高い消光比の変調動作を行うことが可能になる。また、第1変調電極106a及び第2変調電極106bのDCセンターバイアスを位相差、損失差の調整のためには用いないため、チャープ特性を変化させることがなく、精密なチャープ特性制御と高い消光比との両立が可能になる。
以上のような位相差及び損失差の調整は、前述のように、位相変化に対する損失変化の関係が2つの光導波路の間で異なるようにすることで可能になる。第1実施例では、逆電圧印加時の位相変化と損失変化の関係が、逆電圧を大きくしていくほど位相変化に対して損失変化が大きくなっていくという性質を利用している。片側の調整電極の電圧が他方よりも高い条件で位相差が調整されるように、意図的にMZ変調器の構造及び変調電極のDCセンターバイアス条件を選択していることによって、逆電圧の高い方が同じ位相変化に対して損失変化が大きく起こるようになっている。
尚、更に次の図9に示すように、第1変調電極106aではある電圧から大きくなる方に電圧を振り、第2変調電極106bでは同じ電圧から電圧が小さくなる方に電圧を振るような場合について考える。図9は変調電極に印加する電圧信号波形の別例を示す図である。尚、図9では、第1変調電極106aに印加する電圧信号波形を実線で示し、第2変調電極106bに印加する電圧信号波形を点線で示している。
この図9のような場合には、DCセンターバイアスが図のように、第1変調電極106a側の方が、第2変調電極106b側に比べて大きくなり、その差は、位相差でπ/2相当になる量である。従って、DCセンターバイアスにおける第1光導波路103aと第2光導波路103bの間の位相差が、π/2となり、第1調整電極106a及び第2調整電極106bに電圧を印加していない状態でほぼ最適な位相差になっている。或いは、作製誤差によって発生する位相差Δφ0が−π/2となり、構造上の位相差π/2がちょうど打ち消されるような可能性も考えられる。このような条件では、位相差が一致している条件で第1調整電極107a及び第2調整電極107bに印加される電圧はほぼ同じ値になり、その結果、第1光導波路103a及び第2光導波路103bに生じる位相変化及び損失変化もほぼ同じになってしまう。従って、位相差を固定した状態では、第1光導波路103aと第2光導波路103bの間に生じる損失差が常に0か0に近い値になってしまうため、損失差を調整することができなくなる。このような位相条件で上記のような調整方法を用いる場合には、例えば、片側の調整電極で位相を2πまわして、意図的に電圧をずらすようにすればよい。
以上、第1実施例に係る、第1調整電極107a及び第2調整電極107bを用いた、第1光導波路103aと第2光導波路103bの間の位相差及び損失差の調整方法について説明した。位相差及び損失差は、具体的には、次の図10及び図11、或いは図12及び図13に示すような方法で調整することができる。
まず、位相差及び損失差を調整する第1の方法として、MZ変調器100から出力される出力信号(光変調信号)を見ながら、位相差及び損失差を調整する方法が挙げられる。図10は位相差調整の一例の説明図、図11は損失差調整の一例の説明図である。
ここでは、NRZ(Non Return to Zero)信号を印加した場合の波形において、位相差及び損失差を調整する方法を例示する。
初めに、変調電極に適切なDCセンターバイアスの変調信号を印加する。具体的には、第1変調電極106a及び第2変調電極106bの変調信号によって第1光導波路103a及び第2光導波路103bで発生する位相変化の和がπとなるように調整を行う。この状態では、必ずしも、第1光導波路103aと第2光導波路103bの間の位相ずれが補正されていないため、良好な光変調信号波形は得られない。
次に、第1調整電極107aと第2調整電極107bのいずれか一方、例えば第1調整電極107aに電圧を印加し、光変調信号波形のクロスポイントが50%付近になるように調整する(図10(B))。これは、図7に示した位相差調整段階(状態X1→Y1)に相当する。尚、第1調整電極107aへの電圧印加によって得られる光変調信号波形のクロスポイントが50%から外れている時は、第1光導波路103aと第2光導波路103bの間の位相ずれが残っている場合であり、良好な光変調信号波形は得られない(図10(A),(C))。
次に、クロスポイントが50%付近になるように保ったまま、第1調整電極107aと第2調整電極107bに印加する電圧を上げていく。ここでは、電圧を既に印加している第1調整電極107aの方が位相変化の効率が高いため、位相を一致させたまま電圧を上げるには、第2調整電極107bの方が電圧の変化が大きくなる。第1調整電極107aと第2調整電極107bの電圧を上げつつ、光変調信号の動的消光比を観測し、最も消光比が高くなる所に第1調整電極107aと第2調整電極107bの電圧を設定する(図11(B))。これは、図8に示した損失差調整段階(状態Y1→Z1,Y2→Z2)に相当する。尚、第1調整電極107aと第2調整電極107bの電圧を上げた時に、第1光導波路103aと第2光導波路103bの間に損失ずれが残っている場合は、消光比が低く抑えられてしまう(図11(A),(C))。
このようにして、第1調整電極107aと第2調整電極107bの電圧を調整し、第1光導波路103aと第2光導波路103bの間の位相ずれ、損失ずれの双方を最適に調整する。
尚、このような調整により取得される、第1調整電極107aと第2調整電極107bに印加する電圧の条件は、例えば、テーブルとして保存しておく。そして、MZ変調器100を駆動する時には、その保存された電圧条件を読み出して第1調整電極107aと第2調整電極107bに印加する電圧を設定する。これにより、最適な位相差、損失差の条件でMZ変調器100を駆動することが可能になり、高い消光比をもつ光変調信号波形を得ることが可能になる。
また、位相差及び損失差を調整する第2の方法としては、次のような方法が挙げられる。図12は位相差調整の一例の説明図、図13は損失差調整の一例の説明図である。
第2の方法では、第1変調電極106aと第2変調電極106bに印加する電圧をDCセンターバイアス付近で変化させて消光カーブを取得し、その評価結果を見ながら、第1調整電極107aと第2調整電極107bの電圧を調整し、位相差及び損失差を調整する。
その際、消光カーブ取得時の電圧変化のさせ方は、変調時と同じように第1光導波路103a側の電圧を増やして、同時に第2光導波路103b側の電圧を減らすようにして行う。電圧を変化させる幅は、第1光導波路103a及び第2光導波路103bで発生する位相変化の和がπとなるように設定することが望ましい。更に、第1光導波路103aと第2光導波路103bで電圧を変化させる量の比率は、変調時における変調信号の振幅の比率に一致させることが望ましい。例えば、第1変調電極106aと第2変調電極106bのDCセンターバイアスが一致している場合、ゼロチャープ動作では1:1とし、負チャープ動作では5:1等にする。尚、ゼロチャープ動作とは、第1光導波路103aと第2光導波路103bで生じる位相変化量を互いに等しくする変調動作である。負チャープ動作とは、第1光導波路103aと第2光導波路103bの2つの光導波路で生じる位相変化量に差をつける(例えば比率を5:1程度にする)変調動作である。
このような方法で消光カーブを取得する場合に、位相ずれがなければ、図12(B)に示すように、消光カーブの両端がそれぞれ最大、最小になる。しかし、位相ずれがあると、図12(A),(C)に示すように、最大、最小になる所がそれぞれ消光カーブの両端からずれてしまう。
そこで、まず、例えば第1光導波路103a側の第1調整電極107aに電圧を印加して、消光カーブの両端がそれぞれ最大、最小となるように位相を調整する(図12(B))。これは、図7に示した位相差調整段階(状態X1→Y1)に相当する。尚、前述のように、位相ずれがある場合には、最大、最小になる所がそれぞれ消光カーブの両端からずれてしまう(図12(A),(C))。
次に、消光カーブの両端がそれぞれ最大、最小になるように保ったまま、第1調整電極107aと第2調整電極107bの電圧を増加させ、消光カーブの消光比が最も高くとれる所に第1調整電極107aと第2調整電極107bの電圧を設定する(図13(B))。これは、図8に示した損失差調整段階(状態Y1→Z1,Y2→Z2)に相当する。尚、第1調整電極107aと第2調整電極107bの電圧を上げた時に、第1光導波路103aと第2光導波路103bの間に損失ずれがある場合は、消光比が低く抑えられてしまう(図13(A),(C))。
このようにして、第1調整電極107aと第2調整電極107bの電圧を調整し、第1光導波路103aと第2光導波路103bの間の位相ずれ、損失ずれの双方を最適に調整する。
尚、このような調整により取得される、第1調整電極107aと第2調整電極107bに印加する電圧の条件は、例えば、テーブルとして保存しておく。そして、MZ変調器100を駆動する時には、その保存された電圧条件を読み出して第1調整電極107aと第2調整電極107bの電圧を設定する。これにより、最適な位相差、損失差の条件でMZ変調器100を駆動することが可能になり、高い消光比をもつ光変調信号波形を得ることが可能になる。
尚、上記の第1の方法及び第2の方法ではどちらも、第1光導波路103aと第2光導波路103bの間の位相差をある一定値に保ったまま、第1調整電極107aと第2調整電極107bの電圧を増加させるようにしている。この場合に、例えば、次のような手法を用いることも可能である。即ち、まず、予め第1調整電極107aと第2調整電極107bの電圧と位相変化との関係を実験的に求めておく。そして、その関係を基に、一定の位相差を保てる電圧条件を求め、例えば、位相ずれ及び損失ずれを調整する第1調整電極107aの電圧を設定したら、自動的に第2調整電極107bの電圧が設定されるようにする。このようにしておけば、位相差及び損失差の調整に伴う処理の簡略化を図ることが可能である。
また、前述のように、上記の第1の方法及び第2の方法で求められる電圧条件は、テーブルとして保存しておき、それを読み出すことで、MZ変調器100の駆動を行うことができる。このような処理機能が実現可能な光モジュールの構成例を図14に示す。
図14は光送信器モジュールの構成例を示す図である。
この図14に示す光送信器モジュール200は、例えば、MZ変調器100を備える。MZ変調器100には、第1高周波信号源201及び第2高周波信号源202、並びに第1DC電圧源203、第2DC電圧源204、第3DC電圧源205及び第4DC電圧源206が電気接続されている。第1高周波信号源201と第3DC電圧源205は、第1光導波路103a側の第1変調電極106aに接続され、第2高周波信号源202と第4DC電圧源206は、第2光導波路103b側の第2変調電極106bに接続されている。第1DC電圧源203は、第1光導波路103a側の第1調整電極107aに接続され、第2DC電圧源204は、第2光導波路103b側の第2調整電極107bに接続されている。
光送信器モジュール200は、MZ変調器100の駆動時に使用する第1変調電極106a、第2変調電極106b、第1調整電極107a及び第2調整電極107bの電圧条件(テーブル)が記憶されたメモリ207を備える。メモリ207には、例えば、第1変調電極106a及び第2変調電極106bに印加する電圧の、DCセンターバイアスVDC1及びVDC2、変調信号の振幅電圧Vpp1及びVpp2が記憶される。更に、メモリ207には、例えば、第1光導波路103aと第2光導波路103bの間の位相ずれ及び損失ずれを補正する、第1調整電極107a及び第2調整電極107bに印加する電圧VPC1及びVPC2が記憶される。
光送信器モジュール200は、メモリ207に記憶された電圧条件を基に、第1高周波信号源201、第2高周波信号源202、第1DC電圧源203、第2DC電圧源204、第3DC電圧源205、第4DC電圧源206を制御するコントローラ208を備える。
光送信器モジュール200の駆動時には、コントローラ208が、第1DC電圧源203及び第2DC電圧源204をそれぞれ、メモリ207に記憶されている、第1調整電極107a及び第2調整電極107bに印加する電圧VPC1及びVPC2に設定する。そして、このように第1調整電極107a及び第2調整電極107bに電圧VPC1及びVPC2を印加したうえで、第1変調電極106a及び第2変調電極106bに、メモリ207に記憶されている電圧条件を基に、所定の電圧を印加する。
このような光送信器モジュール200によれば、第1調整電極107a及び第2調整電極107bを、位相ずれ及び損失ずれを補正する電圧VPC1及びVPC2に調整し、出力される光変調信号波形において高い消光比を得ることができる。
続いて、位相差及び損失差を調整する第3の方法について更に説明する。
位相差及び損失差を調整する第3の方法として、次のような方法を挙げることもできる。即ち、まずMZ変調器100における電圧印加時の位相変化、損失変化の関係、及び電圧を印加していない状態での位相ずれ及び損失ずれを予め評価しておく。そして、これらのデータと、MZ変調器100を駆動する時の第1変調電極106a及び第2変調電極106bのDCセンターバイアス及び変調信号の振幅を考慮して、第1調整電極107a及び第2調整電極107bの最適な電圧値を計算する。
位相変化、損失変化は、例えば、MZ変調器100において、第1変調電極106a、第2変調電極106b、第1調整電極107a、第2調整電極107bの電圧を変化させた時に得られる消光カーブを評価し、これを解析することによって求めることができる。MZ変調器100から出力される光の強度Poutは次式(21)で表すことができる。
Figure 0005625486
ここで、VRF1は第1変調電極106aに印加される電圧、VRF2は第2変調電極106bに印加される電圧、VPC1は第1調整電極107aに印加される電圧、VPC2は第2調整電極107bに印加される電圧である。また、φRF1(VRF1)は第1変調電極106aによる位相変化、αRF1(VRF1)は第1変調電極106aによる損失変化である。φRF2(VRF2)は第2変調電極106bによる位相変化、αRF2(VRF2)は第2変調電極106bによる損失変化である。φPC1(VPC1)は第1調整電極107aによる位相変化、αPC1(VPC1)は第1調整電極107aによる損失変化である。φPC2(VPC2)は第2調整電極107bによる位相変化、αPC2(VPC2)は第2調整電極107bによる損失変化である。Pinは入力光強度である。
例えば、第1変調電極106a以外の電極に印加する電圧を0Vとし、第1変調電極106aの電圧を変化させた場合のMZ変調器100からの光出力強度Poutは次式(22)で表わされる。
Figure 0005625486
第1変調電極106a以外の電極に印加する電圧を0Vとし、第1変調電極106aの電圧を変化させた場合の消光カーブを実験的に評価した結果からフィッティングを行って、αRF1(V)及びφRF1(V)を解析的に求めることが可能である。ここでは、第1変調電極106aについて説明したが、同様の方法を用いて、他の電極における位相変化、損失変化も求めることが可能である。
尚、損失変化については、例えば、第1変調電極106a及び第2変調電極106bと同じ長さの電極が形成された直線の光導波路(MZ干渉計を構成していない)において、電圧を印加した時の光吸収量の変化から、求めることもできる。また、電圧を印加していない状態での位相ずれ及び損失ずれは、例えば、第1変調電極106a及び第2変調電極106bの電圧を変化させた時の消光カーブを評価し、これを解析することによって求めることができる。
第1変調電極106a、第2変調電極106b、第1調整電極107a、第2調整電極107bの電圧と、位相変化、損失変化との関係(特性データ)を、それぞれ次の式(1)〜(8)で表す。
第1変調電極による位相変化=φRF1(VRF1)・・・(1)
第1変調電極による損失変化=αRF1(VRF1)・・・(2)
第2変調電極による位相変化=φRF2(VRF2)・・・(3)
第2変調電極による損失変化=αRF2(VRF2)・・・(4)
第1調整電極による位相変化=φPC1(VPC1)・・・(5)
第1調整電極による損失変化=αPC1(VPC1)・・・(6)
第2調整電極による位相変化=φPC2(VPC2)・・・(7)
第2調整電極による損失変化=αPC2(VPC2)・・・(8)
また、電圧を印加していない状態での位相ずれ及び損失ずれをそれぞれ、Δφ0及びΔα0とする。
この第3の方法では、まず、第1変調電極106a及び第2変調電極106bにDCセンターバイアスを印加した時の位相差を求める。尚、ここでは、印加するDCセンターバイアス及び変調信号の振幅の最適値が予め求められているものとする。DCセンターバイアスを第1変調電極106a及び第2変調電極106bに印加した時の、第1光導波路103aと第2光導波路103bの位相変化の差Dφは、次式(9)で表される。
Dφ=φRF2(VDC2)−φRF1(VDC1)・・・(9)
ここで、VDC1及びVDC2はそれぞれ、第1変調電極106a及び第2変調電極106bに印加されるDCセンターバイアスである。これにΔφ0を足したものが、次式(10)に示すトータルの位相ずれΔφとなる。
Δφ=φRF2(VDC2)−φRF1(VDC1)+Δφ0・・・(10)
一方、損失ずれに関しては、消光比を高く取るという観点から、変調信号を印加した時のオフレベルに相当する電圧において、第1光導波路103aと第2光導波路103bの間の損失差がなくなることが望ましい。従って、損失ずれは、第1変調電極106a及び第2変調電極106bにオフレベルに相当する電圧を印加した状態で定義する。オフレベル電圧Voff1及びVoff2は、第1変調電極106a及び第2変調電極106bに印加される変調信号の振幅をVpp1及びVpp2とし、実効的に光導波路に印加される電圧に補正するための係数κを用いて、次式(11),(12)で表される。
off1=VDC1+κ×Vpp1/2・・・(11)
off2=VDC2−κ×Vpp2/2・・・(12)
κは高周波電源から変調電極までの経路で発生するロスや、MZ変調器100自身の高周波特性によって実効的に第1光導波路103a及び第2光導波路103bに印加される電圧が低減される効果を表す係数である。従って、第1変調電極106a及び第2変調電極106bにオフレベル電圧Voff1及びVoff2を印加した時の、第1光導波路103aと第2光導波路103bの損失変化の差Dαは、次式(13)で表される。
Dα=αRF2(VDC2−κ×Vpp2/2)−αRF1(VDC1+κ×Vpp1/2)・・・(13)
これにΔα0を足したものが、次式(14)に示すトータルの損失ずれΔαとなる。
Δα=αRF2(VDC2−κ×Vpp2/2)−αRF1(VDC1+κ×Vpp1/2)+Δα0・・・(14)
このようなトータルの位相ずれΔφ及び損失ずれΔαを、第1調整電極107a及び第2調整電極107bを用いて補正する。第1調整電極107a及び第2調整電極107bへの電圧印加によって第1光導波路103aと第2光導波路103bの間に生じる位相差ΔφPC、損失差ΔαPCは、次式(15),(16)で表される。VPC1及びVPC2は、第1調整電極107a及び第2調整電極107bに印加する電圧である。
ΔφPC=φPC2(VPC2)−φPC1(VPC1)・・・(15)
ΔαPC=αPC2(VPC2)−αPC1(VPC1)・・・(16)
これらのΔφPC及びΔαPCが、それぞれΔφ及びΔαと相殺すればよい。
φPC2(VPC2)−φPC1(VPC1)+Δφ=0・・・(17)
αPC2(VPC2)−αPC1(VPC1)+Δα=0・・・(18)
この式(17),(18)を満足するように、VPC1及びVPC2を設定する。例えば、まず位相ずれΔφを相殺することを考える。この場合、次式(17a)の関係を用いる。
φPC2(VPC2)=φPC1(VPC1)−Δφ・・・(17a)
この関係から、位相ずれΔφが補正(ΔφPCと相殺)される場合のVPC1とVPC2の関係を求める。例えば、その関係が、次式(19)で表されるとする。
PC2=ξ(VPC1)・・・(19)
これを式(18)に代入すると、次式(20)が得られる。
αPC2(ξ(VPC1))−αPC1(VPC1)+Δα=0・・・(20)
この式(20)をVPC1について解き、更に、式(19)の関係から、VPC2を求めれば、位相ずれΔφと損失ずれΔαが補正可能な、第1調整電極107a及び第2調整電極107bの電圧条件VPC1及びVPC2を求めることができる。このように調整する値が、第1及び第2の2つの光導波路のそれぞれの位相と損失の合計4つではなく、光導波路間の差であるΔα、Δφの2つであるため、VPC1とVPC2という2つのパラメータを調整することによって基本的に式(17),(18)は常に解を持つ。
この第3の方法として述べたような処理機能が実現可能な光モジュールの構成例を図15に示す。
図15は光送信器モジュールの構成例を示す図である。
この図15に示す光送信器モジュール300は、MZ変調器100を備える。MZ変調器100には、図14に示した上記光送信器モジュール200と同様に、第1高周波信号源201、第2高周波信号源202、第1DC電圧源203、第2DC電圧源204、第3DC電圧源205及び第4DC電圧源206が接続されている。第1高周波信号源201、第2高周波信号源202、第1DC電圧源203、第2DC電圧源204、第3DC電圧源205、第4DC電圧源206は、コントローラ303で制御される。
この光送信器モジュール300は、メモリ301及び演算部302を備える。
メモリ301には、第1変調電極106a、第2変調電極106b、第1調整電極107a、第2調整電極107bの電圧と、位相変化、損失変化との関係(特性データ(式(1)〜式(8)))が記憶される。更に、メモリ301には、電圧を印加していない状態での位相ずれΔφ0及び損失ずれΔα0のデータが記憶される。更に、メモリ301には、MZ変調器100を駆動する時の第1変調電極106a及び第2変調電極106bのDCセンターバイアスVDC1及びVDC2、変調信号の振幅Vpp1及びVpp2が記憶される。
演算部302は、メモリ301に記憶されたデータを用いて、位相差及び損失差を調整する、第1調整電極107a及び第2調整電極107bに印加する電圧VPC1及びVPC2を求める。演算部302で求められた電圧VPC1及びVPC2は、例えば、コントローラ303或いはメモリ301に記憶される。
コントローラ303は、メモリ301に記憶されたデータ、演算部302で求められた電圧条件を基に、第1高周波信号源201、第2高周波信号源202、第1DC電圧源203、第2DC電圧源204、第3DC電圧源205、第4DC電圧源206を制御する。即ち、コントローラ303は、演算部302で求められた電圧VPC1及びVPC2を用いて第1DC電圧源203及び第2DC電圧源204を制御する。また、コントローラ303は、DCセンターバイアスVDC1及びVDC2、変調信号の振幅Vpp1及びVpp2を用いて、第1高周波信号源201、第2高周波信号源202、第3DC電圧源205、第4DC電圧源206を制御する。
図16は光送信器モジュールの処理フローの一例を示す図である。
光送信器モジュール300では、まず、演算部302が、メモリ301に記憶された所定のデータを用い、位相ずれΔφを計算する(ステップS1)。即ち、メモリ301内の特性データ、第1変調電極106a及び第2変調電極106bに印加されるDCセンターバイアスVDC1及びVDC2、並びに電圧を印加しない状態での位相ずれΔφ0を用い、式(10)の位相ずれΔφを計算する。
次いで、演算部302は、メモリ301に記憶された所定のデータを用い、第1変調電極106a及び第2変調電極106bのオフレベル電圧Voff1及びVoff2を計算する(ステップS2)。即ち、メモリ301内の、第1変調電極106a及び第2変調電極106bに印加されるDCセンターバイアスVDC1及びVDC2、変調信号の振幅Vpp1及びVpp2を用い、式(11)のオフレベル電圧Voff1、及び式(12)のオフレベル電圧Voff2を計算する。
次いで、演算部302は、メモリ301に記憶された所定のデータ、及びステップS2で求めたオフレベル電圧Voff1及びVoff2を用い、損失ずれΔαを計算する(ステップS3)。即ち、メモリ301内の特性データ、ステップS2で求めたオフレベル電圧Voff1及びVoff2、電圧を印加しない状態での損失ずれΔα0を用い、式(14)の損失ずれΔαを計算する。
次いで、演算部302は、メモリ301に記憶された所定のデータを用い、位相ずれΔφが補正される(位相差が−Δφとなる)電圧関係を計算する(ステップS4)。即ち、メモリ301内の特性データを用い、第1調整電極107a及び第2調整電極107bに印加する電圧VPC1及びVPC2が満たす関係式(17),(19)を計算する。
次いで、演算部302は、メモリ301に記憶された所定のデータを用い、ステップS4で計算される電圧関係の下で、損失ずれΔαが補正される(損失差が−Δαとなる)電圧関係を計算する(ステップS5)。即ち、メモリ301内の特性データ、ステップS4で計算される電圧関係を用い、損失ずれΔαを含む関係式(20)を計算する。
次いで、演算部302は、ステップS5で計算された電圧関係を基に、第1調整電極107a及び第2調整電極107bに印加する電圧VPC1及びVPC2を導出する(ステップS6)。即ち、ステップS5で計算された関係式(20)を、電圧VPC1及びVPC2のいずれか一方(例えばVPC1)について解き、その値とステップS4で計算された関係式(19)とを用い、もう一方(例えばVPC2)を導出する。求められた電圧VPC1及びVPC2は、コントローラ303或いはメモリ301に記憶される。
光送信器モジュール300の駆動時には、まずコントローラ303が、このようにして導出される電圧VPC1及びVPC2、及びメモリ301内の他の電圧条件を用い、各電源の条件を設定する(ステップS7)。即ち、コントローラ303は、第1DC電圧源203及び第2DC電圧源204をそれぞれ、導出した第1調整電極107a及び第2調整電極107bの電圧VPC1及びVPC2に設定する。そのうえで、第1高周波信号源201と第3DC電圧源205の条件を、メモリ301に記憶されたDCセンターバイアスVDC1及び変調信号の振幅電圧Vpp1を用いて設定する。更に、第2高周波信号源202と第4DC電圧源206の条件を、メモリ301に記憶されたDCセンターバイアスVDC2及び変調信号の振幅電圧Vpp2を用いて設定する。
そして、各電源により、第1変調電極106a及び第2変調電極106bに変調信号として所定の電圧が印加され、第1調整電極107a及び第2調整電極107bに調整信号として所定の電圧が印加される(ステップS8)。これにより、光送信器モジュール300において、消光比が高い光変調信号波形を得ることができる。
尚、上記の第3の方法の説明では、変調信号の振幅電圧Vpp1及びVpp2について予め最適値がわかっていることを前提にした。このほか、次のような手法を用いることもできる。例えば、第1変調電極106a及び第2変調電極106bの電圧と、その電圧印加によって生じる位相変化との関係を用いる。この関係を用い、DCセンターバイアスVDC1及びVDC2を中心にして第1光導波路103a及び第2光導波路103bの位相を変化させた場合の位相変化の和がπとなるような電圧範囲を求めて変調信号の振幅電圧Vpp1及びVpp2を見積もる。そして、そこからオフレベルに相当する第1変調電極106a及び第2変調電極106bの電圧値を求める。このような手法を用いる場合には、メモリ301には、第1光導波路103a及び第2光導波路103bで起こす必要のある位相変化の比率(例えば第1光導波路103a側と第2光導波路103b側でβπ:(1−β)πとする場合のβ)を記憶しておく。そして、第1光導波路103a及び第2光導波路103bのそれぞれにおいて必要となる位相変化量をβから求めるようにする。
<第2実施例>
図17は第2実施例に係るMZ変調器を示す図である。
図17に示す第2実施例のMZ変調器400は、互いに長さの異なる第1調整電極401a及び第2調整電極401bを備えている点で、上記第1実施例のMZ変調器100と相違する。MZ変調器400では、第1調整電極401a及び第2調整電極401bに逆電圧を印加することによって、第1光導波路103a及び第2光導波路103bの位相差、損失差を調整する。ここでは、MZ変調器400の第1調整電極401aの長さをL1、第2調整電極401bの長さをL2とし、第1調整電極401aの方が第2調整電極401bよりも長いものとする(L1>L2)。
図18は第2実施例に係る位相変化及び損失変化の説明図である。図18(A)は逆電圧と位相変化の関係の説明図、図18(B)は逆電圧と損失変化の関係の説明図、図18(C)は位相変化と損失変化の関係の説明図である。
第1光導波路103a及び第2光導波路103bの位相変化、損失変化(dB単位)は、第1調整電極401a及び第2調整電極401bの長さL1及びL2に比例する。そのため、この例のように第1調整電極401aの方を長くしている場合には、図18(A),(B)に示すように、位相変化、損失変化共に、同じ電圧において第1調整電極401aの方がその長さL1に比例した分だけ大きくなる。このような場合に、位相変化と損失変化の関係を第1光導波路103aと第2光導波路103bの間で比較すると、図18(C)に示すように、第1光導波路103aと第2光導波路103bの間で位相変化と損失変化の関係が異なる。その結果、前述したような、位相変化に対する損失変化の効率が異なることを利用した位相ずれ及び損失ずれの調整方法を適用することができるようになる。これにより、高い消光比と精密なチャープ特性制御を両立したMZ変調器400の駆動を実現することが可能となる。
この第2実施例のMZ変調器400では、第1光導波路103a及び第2光導波路103bの位相変化と損失変化の関係が常に異なる。そのため、いかなる場合でも、第1調整電極401a及び第2調整電極401bの電圧調整によって、最適に位相差及び損失差を調整することができるようになるという利点がある。電圧、位相差及び損失差の調整は、上記第1実施例で述べたのと同様に行うことができる。
<第3実施例>
第3実施例では、例えば、上記第1実施例のMZ変調器100と同じMZ変調器を用いる。そして、この第3実施例では、第1調整電極107aで第1光導波路103aに逆電圧を印加することによって位相及び損失を変化させ、第2調整電極107bで第2光導波路103bに順方向電流を注入することによって位相及び損失を変化させる。このような点で、第3実施例は、上記第1実施例と相違する。
図19は第3実施例に係る位相変化及び損失変化の説明図である。図19(A)は逆電圧或いは順方向電流と位相変化の関係の説明図、図19(B)は逆電圧或いは順方向電流と損失変化の関係の説明図、図19(C)は位相変化と損失変化の関係の説明図である。
図19(A)に示すように、順方向電流の注入による位相変化は、逆電圧印加時と方向が逆になっている。また、図19(B)に示すように、順方向電流の注入によって損失が増加するため、図19(C)に示すように、逆電圧印加と順方向電流注入では、位相変化に対する損失変化の方向が逆になる。従って、第1光導波路103aと第2光導波路103bにおける、位相変化に対する損失変化の傾きは、正負が互いに逆になるため、第1光導波路103aと第2光導波路103bの間で、常に位相変化に対する損失変化の効率が異なるようにすることができる。その結果、前述したような位相変化に対する損失変化の効率が異なることを利用した位相ずれ及び損失ずれの調整方法を適用することができるようになる。これにより、高い消光比と精密なチャープ特性制御の両立を図ることが可能になる。
更に、この第3実施例では、位相変化に対する損失変化の効率が正と負で反転しているため、位相差を保ったまま損失差を大きく変化させることができるという利点がある。電圧、位相差及び損失差の調整は、上記第1実施例で述べたのと同様に行うことができる。
尚、この第3実施例の方法では、一方の調整電極(ここでは第2調整電極107b)が電流で制御することになるため、例えば、上記第1実施例で述べたような光送信器モジュールを構成する場合には、当該一方の調整電極の電源をDC電流源とすればよい。また、上記第1実施例で述べた具体的な調整方法において、当該一方の調整電極についての電圧の調整を、電流の調整に置き換えればよい。
<第4実施例>
図20は第4実施例に係るMZ変調器を示す図である。図20(A)は第4実施例に係るMZ変調器の平面模式図、図20(B)は図20(A)のM2−M2断面模式図である。
図20に示す第4実施例のMZ変調器500は、第1調整電極107aが、逆電圧を印加することによって位相及び損失を変化させるもので、第2調整電極501bが、電流を流すことによって発熱するヒータ電極となっている。このヒータ電極である第2調整電極501bに電流を流して発熱させることにより、第2光導波路103bの温度を局所的に変化させる。第2調整電極501bは、ヒータ電極であるため、コンタクト層114とは直接接触しておらず、図20(B)に示すように、SiO2等の誘電体膜502を挟んで、MQW構造109の上方に形成されている。
図21は第4実施例に係る位相変化及び損失変化の説明図である。図21(A)は逆電圧或いは電流と位相変化の関係の説明図、図21(B)は逆電圧或いは電流と損失変化の関係の説明図、図21(C)は位相変化と損失変化の関係の説明図である。
ヒータ電極である第2調整電極501bに電流を流した場合、第2光導波路103bでの位相変化量は、図21(A)に示すように、第2調整電極501bの消費電力に比例するため、ほぼ流す電流の2乗に比例して変化する。また、図21(B)に示すように、第2光導波路103bの温度変化による損失変化は、0か或いは極めて小さい。第1光導波路103aと第2光導波路103bにおける、位相変化に対する損失変化の関係は、図21(C)に示すようになる。即ち、第1光導波路103a側は、位相変化に対して損失変化が有限の傾きを有しているのに対し、第2光導波路103b側では、位相変化に対する損失変化の傾きが0或いはほぼ0となる。従って、第1光導波路103aと第2光導波路103bの間で、常に位相変化に対する損失変化の効率が異なるようにすることができる。これにより、高い消光比と精密なチャープ特性制御の両立を図ることが可能になる。
更に、この第4実施例のMZ変調器500では、損失変化がほぼ一方の調整電極側(ここでは第1調整電極107a側)でしか起こらないため、損失を変化させるメカニズムがシンプルであり、より単純な位相差及び損失差の調整が可能になる。例えば、先に第1調整電極107aの電圧を調整して第1光導波路103aと第2光導波路103bの間の損失ずれを調整した後、ヒータ電極である第2調整電極501bの電流を変化させて位相を調整する。このように第4実施例のMZ変調器500では、損失調整と位相調整の役割を、第1調整電極107aと第2調整電極501bの2つの電極で分離するようなことも可能になる。
尚、2つの調整電極として、この第4実施例で述べたようなヒータ電極として機能する調整電極と、上記第3実施例で述べたような光導波路への順方向電流注入の電極として機能する調整電極とを組み合わせることも可能である。
<第5実施例>
図22は第5実施例に係る光送信器モジュールを示す図である。
図22に示す第5実施例の光送信器モジュール600は、MZ変調器100からの光出力の一部を分岐させるビームスプリッタ601と、ビームスプリッタ601で分岐された光をモニタする光検出器602が設けられている。この点で、この光送信器モジュール600は、上記第1実施例で述べた光送信器モジュール300(図15)と相違する。ビームスプリッタ601の分岐比は一定値であるため、光検出器602でモニタした光強度を基に、MZ変調器100からの光出力を推定することができる。
このような構成を有する光送信器モジュール600では、その内部において、MZ変調器100の消光カーブを取得することが可能となる。上記第1実施例では第1調整電極107a及び第2調整電極107bの最適な電圧条件(VPC1,VPC2)を設定するために予め評価していた消光カーブを、この第5実施例の光送信器モジュール600ではその内部で自動的に取得することが可能になる。例えば、何らかの原因で最適な電圧条件がずれた場合、或いは定期的に、最適な電圧条件を自動的に求めなおすことができる。
具体的には、例えば、ビームスプリッタ601で分岐され、光検出器602で検出された光強度をメモリ301に記憶する。そして、演算部302が、そのメモリ301に記憶された光強度を用い、第1実施例の図12及び図13で述べたような位相差及び損失差の調整処理を実行し、最適な位相差及び損失差が得られる電圧条件を自動的に求める。消光カーブを取得するための電圧条件は、例えば、予めメモリ301に記憶しておき、その電圧条件を基に、コントローラ303で各電源を制御する。
また、メモリ301に記憶された光強度を用い、印加電圧と位相変化及び損失変化との関係を示す特性データを光送信器モジュール600の内部で取得し、それを基に、第1実施例と同様にして最適なVPC1,VPC2の電圧条件を解析して求めることも可能である。
演算部302で求められた、第1調整電極107a及び第2調整電極107bの最適な電圧条件(VPC1,VPC2)は、コントローラ303或いはメモリ301に記憶される。光送信器モジュール600は、演算部302で求められた最適な電圧条件を用いて、MZ変調器100の駆動を行う。
以上、MZ変調器、及びMZ変調器を用いた光送信器モジュールに関して説明した。尚、MZ変調器、光送信器モジュールの構成は、上記の例に限定されるものではない。
例えば、以上の説明では、光導波路がInGaAsP及びInPを含むMQW構造で、ハイメサ導波路構造であり、変調電極がマイクロストリップライン型の進行波型構造である場合を例示した。このほか、光導波路は、アルミニウムガリウムインジウムヒ素(AlGaInAs)系、ガリウムインジウム窒素ヒ素(GaInNAs)系のMQW構造を用いても構わない。また、光導波路構造としては、ハイメサ構造ではなく、例えば、半絶縁性のInPで光導波路側面を埋め込んだものや、リッジ型の光導波路構造でも構わない。また、変調電極は、マイクロストリップライン型だけではなく、コプレーナ型の進行波電極でも、その他の集中定数型の電極構造でも構わない。
また、以上の説明では、入出力側の光カプラとして、2×2のMMIカプラを用いた場合を例示したが、これに限らず、例えば、入力側は1×2のMMIカプラでもよく、出力側は2×1のMMIカプラでもよい。また、Y分岐カプラや、スターカプラのようなものを使ってもよい。但し、用いるカプラによって、カプラにおいて発生する位相差が異なるため、これを考慮して位相ずれや損失ずれの値を検討する。
MZ変調器の2つの調整電極によって生じる、2つの光導波路の位相変化に対する損失変化の傾きが、互いに異なるようにすれば、上記のような位相ずれ及び損失ずれの補正方法を適用することが可能である。
以上説明した実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 光を分波して第1光導波路及び第2光導波路に伝播し、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を合波するマッハツェンダ型光導波路と、
前記第1光導波路の伝播光の変調に用いる第1変調電極と、
前記第2光導波路の伝播光の変調に用いる第2変調電極と、
前記第1光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第1調整電極と、
前記第2光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第2調整電極と、
を備えるマッハツェンダ型変調器の制御方法であって、
前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を所定の位相差に維持するように、前記第1調整電極及び前記第2調整電極のそれぞれに供給される第1電気信号及び第2電気信号の関係を維持したまま、前記第1電気信号及び前記第2電気信号の両方を変化させて、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を所定の損失差に調整するステップを含むことを特徴とするマッハツェンダ型変調器の制御方法。
(付記2) 前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光の前記位相差を所定の値に維持しながら前記損失差を所定の値に調整するステップは、
前記第1調整電極のみに電気信号を供給し、前記第1光導波路の伝播光の位相を変化させて、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光の前記位相差を所定の値に調整するステップと、
前記位相差を維持しながら、前記第1調整電極及び前記第2調整電極にそれぞれ前記第1電気信号及び前記第2電気信号を供給し、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光の前記損失差を所定の値に調整するステップと、
を含むことを特徴とする付記1に記載のマッハツェンダ型変調器の制御方法。
(付記3) 光を分波して第1光導波路及び第2光導波路に伝播し、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を合波するマッハツェンダ型光導波路と、
前記第1光導波路の伝播光の変調に用いる第1変調電極と、
前記第2光導波路の伝播光の変調に用いる第2変調電極と、
前記第1光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第1調整電極と、
前記第2光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第2調整電極と、
を備えるマッハツェンダ型変調器の制御方法であって、
前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を所定の損失差に維持するように、前記第1調整電極及び前記第2調整電極のそれぞれに供給される第1電気信号及び第2電気信号の関係を維持したまま、前記第1電気信号及び前記第2電気信号の両方を変化させて、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を所定の位相差に調整するステップを含むことを特徴とするマッハツェンダ型変調器の制御方法。
(付記4) 前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光の前記損失差を所定の値に維持しながら前記位相差を所定の値に調整するステップは、
前記第1調整電極のみに電気信号を供給し、前記第1光導波路の伝播光の損失を変化させて、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光の前記損失差を所定の値に調整するステップと、
前記損失差を維持しながら、前記第1調整電極及び前記第2調整電極にそれぞれ前記第1電気信号及び前記第2電気信号を供給し、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光の前記位相差を所定の値に調整するステップと、
を含むことを特徴とする付記3に記載のマッハツェンダ型変調器の制御方法。
(付記5) 前記第1調整電極に電気信号を供給した時の前記第1光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第1の関係と、前記第2調整電極に電気信号を供給した時の前記第2光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第2の関係とを用いて、前記位相差及び前記損失差を調整し、
前記第1の関係と前記第2の関係とが異なっていることを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載のマッハツェンダ型変調器の制御方法。
(付記6) 前記第1調整電極は、前記第1光導波路に逆電圧を印加する電極であり、前記第2調整電極は、前記第2光導波路に逆電圧を印加する電極であり、前記第1調整電極と前記第2調整電極の長さが異なることを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載のマッハツェンダ型変調器の制御方法。
(付記7) 前記第1調整電極は、前記第1光導波路に逆電圧を印加する電極、前記第1光導波路に電流を注入する電極、及び電流を流すことによって前記第1光導波路を加熱する電極の、3種類の電極のうちのいずれかであり、
前記第2調整電極は、前記第2光導波路に逆電圧を印加する電極、前記第2光導波路に電流を注入する電極、及び電流を流すことによって前記第2光導波路を加熱する電極の、3種類の電極のいずれかであって、前記第1調整電極と異なる種類の電極であることを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載のマッハツェンダ型変調器の制御方法。
(付記8) 前記第1調整電極に電気信号を供給した時の前記第1光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第1の関係と、前記第2調整電極に電気信号を供給した時の前記第2光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第2の関係とを用いて、前記位相差及び前記損失差を調整し、
前記第1の関係と前記第2の関係とが同一で、位相変化に対する損失変化の傾きが位相変化の値に応じて変化する関係であることを特徴とする付記1乃至4のいずれかに記載のマッハツェンダ型変調器の制御方法。
(付記9) 前記マッハツェンダ型光導波路から出力される光の強度を観測して、前記位相差及び前記損失差を調整することを特徴とする付記1乃至8のいずれかに記載のマッハツェンダ型変調器の制御方法。
(付記10) 光を分波して第1光導波路及び第2光導波路に伝播し、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を合波するマッハツェンダ型光導波路と、前記第1光導波路の伝播光の変調に用いる第1変調電極と、前記第2光導波路の伝播光の変調に用いる第2変調電極と、前記第1光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第1調整電極と、前記第2光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第2調整電極と、を含むマッハツェンダ型変調器と、
前記第1変調電極、前記第2変調電極、前記第1調整電極及び前記第2調整電極にそれぞれ電気信号を供給する電源部と、
前記電源部によって供給する前記電気信号のデータが記憶された記憶部と、
を含み、
前記記憶部に記憶されるデータには、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光が所定の損失差に維持されるように、前記第1調整電極及び前記第2調整電極のそれぞれに供給される第1電気信号及び第2電気信号の関係を維持したまま、前記第1電気信号及び前記第2電気信号の両方を変化させて、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を所定の位相差に調整した場合の前記第1電気信号及び前記第2電気信号のデータが含まれることを特徴とする光モジュール。
(付記11) 光を分波して第1光導波路及び第2光導波路に伝播し、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を合波するマッハツェンダ型光導波路と、前記第1光導波路の伝播光の変調に用いる第1変調電極と、前記第2光導波路の伝播光の変調に用いる第2変調電極と、前記第1光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第1調整電極と、前記第2光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第2調整電極と、を含むマッハツェンダ型変調器と、
前記第1変調電極、前記第2変調電極、前記第1調整電極及び前記第2調整電極にそれぞれ電気信号を供給する電源部と、
前記電源部によって供給する前記電気信号のデータが記憶された記憶部と、
を含み、
前記記憶部に記憶されるデータには、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光が所定の位相差に維持されるように、前記第1調整電極及び前記第2調整電極のそれぞれに供給される第1電気信号及び第2電気信号の関係を維持したまま、前記第1電気信号及び前記第2電気信号の両方を変化させて、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を所定の損失差に調整した場合の前記第1電気信号及び前記第2電気信号のデータが含まれることを特徴とする光モジュール。
(付記12) 光を分波して第1光導波路及び第2光導波路に伝播し、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を合波するマッハツェンダ型光導波路と、前記第1光導波路の伝播光の変調に用いる第1変調電極と、前記第2光導波路の伝播光の変調に用いる第2変調電極と、前記第1光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第1調整電極と、前記第2光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第2調整電極と、を含むマッハツェンダ型変調器と、
前記第1変調電極、前記第2変調電極、前記第1調整電極及び前記第2調整電極にそれぞれ電気信号を供給する電源部と、
前記電源部によって供給する前記電気信号のデータが記憶された記憶部と、
を含み、
前記記憶部には、
前記第1変調電極に電気信号を供給した時の前記第1光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係、前記第2変調電極に電気信号を供給した時の前記第2光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係、前記第1調整電極に電気信号を供給した時の前記第1光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係、及び前記第2変調電極に電気信号を供給した時の前記第2光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を含む特性データと、
前記第1変調電極、前記第2変調電極、前記第1調整電極及び前記第2調整電極のいずれにも電気信号が供給されない時の前記第1光導波路と前記第2光導波路の間の位相ずれ及び損失ずれと、
が記憶され、
前記記憶部に記憶された前記特性データ、前記位相ずれ及び前記損失ずれを用いて、前記第1電気信号及び前記第2電気信号を求める演算部を更に含むことを特徴とする光モジュール。
(付記13) 前記マッハツェンダ型光導波路から出力される光の一部を分岐する分岐部と、
前記分岐部によって分岐された前記光の一部の強度を検出する検出部と、
前記検出部によって検出された前記強度を用いて、前記第1電気信号及び前記第2電気信号を求める演算部と、
を更に含むことを特徴とする付記10又は11に記載の光モジュール。
(付記14) 前記第1調整電極は、前記第1光導波路に逆電圧を印加する電極であり、前記第2調整電極は、前記第2光導波路に逆電圧を印加する電極であり、前記第1調整電極と前記第2調整電極の長さが異なることを特徴とする付記10乃至13のいずれかに記載の光モジュール。
(付記15) 前記第1調整電極は、前記第1光導波路に逆電圧を印加する電極、前記第1光導波路に電流を注入する電極、及び電流を流すことによって前記第1光導波路を加熱する電極の、3種類の電極のうちのいずれかであり、
前記第2調整電極は、前記第2光導波路に逆電圧を印加する電極、前記第2光導波路に電流を注入する電極、及び電流を流すことによって前記第2光導波路を加熱する電極の、3種類の電極のいずれかであって、前記第1調整電極と異なる種類の電極であることを特徴とする付記10乃至13のいずれかに記載の光モジュール。
10,100,400,500 マッハツェンダ型(MZ)変調器
11,101 入力側光導波路
12,102 入力側光カプラ
13a,103a 第1光導波路
13b,103b 第2光導波路
14,104 出力側光カプラ
15,105 出力側光導波路
16a,106a 第1変調電極
16b,106b 第2変調電極
17a,107a,401a 第1調整電極
17b,107b,401b,501b 第2調整電極
108 n型InP基板
109 MQW構造
110 p型InP層
111 メサ構造
112 保護膜
113 埋め込み層
114 コンタクト層
115 グランド電極
200,300,600 光送信器モジュール
201 第1高周波信号源
202 第2高周波信号源
203 第1DC電圧源
204 第2DC電圧源
205 第3DC電圧源
206 第4DC電圧源
207,301 メモリ
208,303 コントローラ
302 演算部
502 誘電体膜
601 ビームスプリッタ
602 光検出器

Claims (11)

  1. 光を分波して第1光導波路及び第2光導波路に伝播し、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を合波するマッハツェンダ型光導波路と、
    前記第1光導波路の伝播光の変調に用いる第1変調電極と、
    前記第2光導波路の伝播光の変調に用いる第2変調電極と、
    前記第1光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第1調整電極と、
    前記第2光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第2調整電極と、
    を備えるマッハツェンダ型変調器の制御方法であって、
    前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を所定の位相差に維持するように、前記第1調整電極及び前記第2調整電極のそれぞれに供給される第1電気信号及び第2電気信号の関係を維持したまま、前記第1電気信号及び前記第2電気信号の両方を変化させて、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を所定の損失差に調整するステップを含み、
    前記第1調整電極に電気信号を供給した時の前記第1光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第1の関係と、前記第2調整電極に電気信号を供給した時の前記第2光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第2の関係とを用いて、前記位相差及び前記損失差を調整し、
    前記第1の関係と前記第2の関係とが異なっていることを特徴とするマッハツェンダ型変調器の制御方法。
  2. 光を分波して第1光導波路及び第2光導波路に伝播し、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を合波するマッハツェンダ型光導波路と、
    前記第1光導波路の伝播光の変調に用いる第1変調電極と、
    前記第2光導波路の伝播光の変調に用いる第2変調電極と、
    前記第1光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第1調整電極と、
    前記第2光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第2調整電極と、
    を備えるマッハツェンダ型変調器の制御方法であって、
    前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を所定の位相差に維持するように、前記第1調整電極及び前記第2調整電極のそれぞれに供給される第1電気信号及び第2電気信号の関係を維持したまま、前記第1電気信号及び前記第2電気信号の両方を変化させて、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を所定の損失差に調整するステップを含み、
    前記第1調整電極に電気信号を供給した時の前記第1光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第1の関係と、前記第2調整電極に電気信号を供給した時の前記第2光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第2の関係とを用いて、前記位相差及び前記損失差を調整し、
    前記第1の関係と前記第2の関係とが同一で、位相変化に対する損失変化の傾きが位相変化の値に応じて変化する関係であることを特徴とするマッハツェンダ型変調器の制御方法。
  3. 光を分波して第1光導波路及び第2光導波路に伝播し、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を合波するマッハツェンダ型光導波路と、
    前記第1光導波路の伝播光の変調に用いる第1変調電極と、
    前記第2光導波路の伝播光の変調に用いる第2変調電極と、
    前記第1光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第1調整電極と、
    前記第2光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第2調整電極と、
    を備えるマッハツェンダ型変調器の制御方法であって、
    前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を所定の損失差に維持するように、前記第1調整電極及び前記第2調整電極のそれぞれに供給される第1電気信号及び第2電気信号の関係を維持したまま、前記第1電気信号及び前記第2電気信号の両方を変化させて、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を所定の位相差に調整するステップを含み、
    前記第1調整電極に電気信号を供給した時の前記第1光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第1の関係と、前記第2調整電極に電気信号を供給した時の前記第2光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第2の関係とを用いて、前記位相差及び前記損失差を調整し、
    前記第1の関係と前記第2の関係とが異なっていることを特徴とするマッハツェンダ型変調器の制御方法。
  4. 光を分波して第1光導波路及び第2光導波路に伝播し、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を合波するマッハツェンダ型光導波路と、
    前記第1光導波路の伝播光の変調に用いる第1変調電極と、
    前記第2光導波路の伝播光の変調に用いる第2変調電極と、
    前記第1光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第1調整電極と、
    前記第2光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第2調整電極と、
    を備えるマッハツェンダ型変調器の制御方法であって、
    前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を所定の損失差に維持するように、前記第1調整電極及び前記第2調整電極のそれぞれに供給される第1電気信号及び第2電気信号の関係を維持したまま、前記第1電気信号及び前記第2電気信号の両方を変化させて、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を所定の位相差に調整するステップを含み、
    前記第1調整電極に電気信号を供給した時の前記第1光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第1の関係と、前記第2調整電極に電気信号を供給した時の前記第2光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第2の関係とを用いて、前記位相差及び前記損失差を調整し、
    前記第1の関係と前記第2の関係とが同一で、位相変化に対する損失変化の傾きが位相変化の値に応じて変化する関係であることを特徴とするマッハツェンダ型変調器の制御方法。
  5. 光を分波して第1光導波路及び第2光導波路に伝播し、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を合波するマッハツェンダ型光導波路と、前記第1光導波路の伝播光の変調に用いる第1変調電極と、前記第2光導波路の伝播光の変調に用いる第2変調電極と、前記第1光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第1調整電極と、前記第2光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第2調整電極と、を含むマッハツェンダ型変調器と、
    前記第1変調電極、前記第2変調電極、前記第1調整電極及び前記第2調整電極にそれぞれ電気信号を供給する電源部と、
    前記電源部によって前記第1変調電極、前記第2変調電極、前記第1調整電極及び前記第2調整電極にそれぞれ供給する電気信号のデータが記憶された記憶部と、
    を含み、
    前記記憶部に記憶されるデータには、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光が所定の損失差に維持されるように、前記第1調整電極及び前記第2調整電極のそれぞれに供給される第1電気信号及び第2電気信号の関係を維持したまま、前記第1電気信号及び前記第2電気信号の両方を変化させて、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を所定の位相差に調整した場合の前記第1電気信号及び前記第2電気信号のデータが含まれ
    前記位相差及び前記損失差は、前記第1調整電極に電気信号を供給した時の前記第1光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第1の関係と、前記第2調整電極に電気信号を供給した時の前記第2光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第2の関係とを用いて調整され、
    前記第1の関係と前記第2の関係とが異なっていることを特徴とする光モジュール。
  6. 光を分波して第1光導波路及び第2光導波路に伝播し、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を合波するマッハツェンダ型光導波路と、前記第1光導波路の伝播光の変調に用いる第1変調電極と、前記第2光導波路の伝播光の変調に用いる第2変調電極と、前記第1光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第1調整電極と、前記第2光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第2調整電極と、を含むマッハツェンダ型変調器と、
    前記第1変調電極、前記第2変調電極、前記第1調整電極及び前記第2調整電極にそれぞれ電気信号を供給する電源部と、
    前記電源部によって前記第1変調電極、前記第2変調電極、前記第1調整電極及び前記第2調整電極にそれぞれ供給する電気信号のデータが記憶された記憶部と、
    を含み、
    前記記憶部に記憶されるデータには、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光が所定の損失差に維持されるように、前記第1調整電極及び前記第2調整電極のそれぞれに供給される第1電気信号及び第2電気信号の関係を維持したまま、前記第1電気信号及び前記第2電気信号の両方を変化させて、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を所定の位相差に調整した場合の前記第1電気信号及び前記第2電気信号のデータが含まれ
    前記位相差及び前記損失差は、前記第1調整電極に電気信号を供給した時の前記第1光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第1の関係と、前記第2調整電極に電気信号を供給した時の前記第2光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第2の関係とを用いて調整され、
    前記第1の関係と前記第2の関係とが同一で、位相変化に対する損失変化の傾きが位相変化の値に応じて変化する関係であることを特徴とする光モジュール。
  7. 光を分波して第1光導波路及び第2光導波路に伝播し、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を合波するマッハツェンダ型光導波路と、前記第1光導波路の伝播光の変調に用いる第1変調電極と、前記第2光導波路の伝播光の変調に用いる第2変調電極と、前記第1光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第1調整電極と、前記第2光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第2調整電極と、を含むマッハツェンダ型変調器と、
    前記第1変調電極、前記第2変調電極、前記第1調整電極及び前記第2調整電極にそれぞれ電気信号を供給する電源部と、
    前記電源部によって前記第1変調電極、前記第2変調電極、前記第1調整電極及び前記第2調整電極にそれぞれ供給する電気信号のデータが記憶された記憶部と、
    を含み、
    前記記憶部に記憶されるデータには、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光が所定の位相差に維持されるように、前記第1調整電極及び前記第2調整電極のそれぞれに供給される第1電気信号及び第2電気信号の関係を維持したまま、前記第1電気信号及び前記第2電気信号の両方を変化させて、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を所定の損失差に調整した場合の前記第1電気信号及び前記第2電気信号のデータが含まれ
    前記位相差及び前記損失差は、前記第1調整電極に電気信号を供給した時の前記第1光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第1の関係と、前記第2調整電極に電気信号を供給した時の前記第2光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第2の関係とを用いて調整され、
    前記第1の関係と前記第2の関係とが異なっていることを特徴とする光モジュール。
  8. 光を分波して第1光導波路及び第2光導波路に伝播し、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を合波するマッハツェンダ型光導波路と、前記第1光導波路の伝播光の変調に用いる第1変調電極と、前記第2光導波路の伝播光の変調に用いる第2変調電極と、前記第1光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第1調整電極と、前記第2光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第2調整電極と、を含むマッハツェンダ型変調器と、
    前記第1変調電極、前記第2変調電極、前記第1調整電極及び前記第2調整電極にそれぞれ電気信号を供給する電源部と、
    前記電源部によって前記第1変調電極、前記第2変調電極、前記第1調整電極及び前記第2調整電極にそれぞれ供給する電気信号のデータが記憶された記憶部と、
    を含み、
    前記記憶部に記憶されるデータには、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光が所定の位相差に維持されるように、前記第1調整電極及び前記第2調整電極のそれぞれに供給される第1電気信号及び第2電気信号の関係を維持したまま、前記第1電気信号及び前記第2電気信号の両方を変化させて、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を所定の損失差に調整した場合の前記第1電気信号及び前記第2電気信号のデータが含まれ
    前記位相差及び前記損失差は、前記第1調整電極に電気信号を供給した時の前記第1光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第1の関係と、前記第2調整電極に電気信号を供給した時の前記第2光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を示す第2の関係とを用いて調整され、
    前記第1の関係と前記第2の関係とが同一で、位相変化に対する損失変化の傾きが位相変化の値に応じて変化する関係であることを特徴とする光モジュール。
  9. 光を分波して第1光導波路及び第2光導波路に伝播し、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を合波するマッハツェンダ型光導波路と、前記第1光導波路の伝播光の変調に用いる第1変調電極と、前記第2光導波路の伝播光の変調に用いる第2変調電極と、前記第1光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第1調整電極と、前記第2光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第2調整電極と、を含むマッハツェンダ型変調器と、
    前記第1変調電極、前記第2変調電極、前記第1調整電極及び前記第2調整電極にそれぞれ電気信号を供給する電源部と、
    前記電源部によって前記第1変調電極、前記第2変調電極、前記第1調整電極及び前記第2調整電極にそれぞれ供給する電気信号のデータが記憶された記憶部と、
    を含み、
    前記記憶部には、
    前記第1変調電極に電気信号を供給した時の前記第1光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係、前記第2変調電極に電気信号を供給した時の前記第2光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係、前記第1調整電極に電気信号を供給した時の前記第1光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係、及び前記第2調整電極に電気信号を供給した時の前記第2光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を含む特性データと、
    前記第1変調電極、前記第2変調電極、前記第1調整電極及び前記第2調整電極のいずれにも電気信号が供給されない時の前記第1光導波路と前記第2光導波路の間の位相ずれ及び損失ずれと、
    が記憶され、
    前記特性データの、前記第1調整電極に電気信号を供給した時の前記第1光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係と、前記第2調整電極に電気信号を供給した時の前記第2光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係とが異なっており、
    前記記憶部に記憶された前記特性データ、前記位相ずれ及び前記損失ずれを用いて、前記第1調整電極及び前記第2調整電極のそれぞれに供給する電気信号を求める演算部を更に含むことを特徴とする光モジュール。
  10. 光を分波して第1光導波路及び第2光導波路に伝播し、前記第1光導波路及び前記第2光導波路の伝播光を合波するマッハツェンダ型光導波路と、前記第1光導波路の伝播光の変調に用いる第1変調電極と、前記第2光導波路の伝播光の変調に用いる第2変調電極と、前記第1光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第1調整電極と、前記第2光導波路の伝播光の位相及び損失の調整に用いる第2調整電極と、を含むマッハツェンダ型変調器と、
    前記第1変調電極、前記第2変調電極、前記第1調整電極及び前記第2調整電極にそれぞれ電気信号を供給する電源部と、
    前記電源部によって前記第1変調電極、前記第2変調電極、前記第1調整電極及び前記第2調整電極にそれぞれ供給する電気信号のデータが記憶された記憶部と、
    を含み、
    前記記憶部には、
    前記第1変調電極に電気信号を供給した時の前記第1光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係、前記第2変調電極に電気信号を供給した時の前記第2光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係、前記第1調整電極に電気信号を供給した時の前記第1光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係、及び前記第2調整電極に電気信号を供給した時の前記第2光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係を含む特性データと、
    前記第1変調電極、前記第2変調電極、前記第1調整電極及び前記第2調整電極のいずれにも電気信号が供給されない時の前記第1光導波路と前記第2光導波路の間の位相ずれ及び損失ずれと、
    が記憶され、
    前記特性データの、前記第1調整電極に電気信号を供給した時の前記第1光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係と、前記第2調整電極に電気信号を供給した時の前記第2光導波路における伝播光の位相変化と損失変化の関係とが同一で、位相変化に対する損失変化の傾きが位相変化の値に応じて変化する関係であり、
    前記記憶部に記憶された前記特性データ、前記位相ずれ及び前記損失ずれを用いて、前記第1調整電極及び前記第2調整電極のそれぞれに供給する電気信号を求める演算部を更に含むことを特徴とする光モジュール。
  11. 前記マッハツェンダ型光導波路から出力される光の一部を分岐する分岐部と、
    前記分岐部によって分岐された前記光の一部の強度を検出する検出部と、
    前記検出部によって検出された前記強度を用いて、前記第1電気信号及び前記第2電気信号を求める演算部と、
    を更に含むことを特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載の光モジュール。
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