JP5625292B2 - 電縫溶接部の監視システム - Google Patents
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Description
溶接状態はほぼ適度な温度と適度な成形具合,適正素材および運転レベルに反映される。ここで、計測可能な要素の変化を捉えて、溶接適否を判別すること、不適原因を判別することおよび投入電力量をフィードフォワード的に抑制し、さらに他の要因による変化を包括的に温度で捉えてフィードバック的に設定しようとするのが溶接監視および入熱制御の基本的な考え方である。
ワークコイル3aまたはチップ3b,3cはスクイズロール2a,2bの前段部に配置されており、これらにより多段の成形ロール(図示省略)によって管素材1に作られたV字状ギャップの対向する縁部1b,1cに高周波電流iを流すと、対向する縁部1b,1cが高周波電流によって加熱され溶接点1aにおいて最高温度に達するとともにスクイズロール2a,2bによって加圧接合される。
(1)操作員の肉眼による判断方法。(2)溶接部の温度を放射温度計を用いて計測する方法であって、全放射エネルギーを温度に換算する方法と、全放射エネルギーのうち特定の2波長のエネルギーレベルの比を用いて温度に換算する方法。(3)共振周波数の変化を電気的に検出し、入熱量の過多を判別する方法。(4)溶接後のビードの突起の形状を把握する方法。
しかしながら、従来技術の範囲内で溶接状態を最良に保ってもなお、極めて微細な溶接欠陥が生じることがある。これは、電縫溶接部に微細な異物が混入する場合と、帯材(管素材)の端部(縁部)に当て疵などが存在する場合である。すなわち、電縫成形溶接過程において管素材表面の酸化鉄や鉄などが剥離して、大気中に微量の粉塵として存在しており、電縫溶接過程においては、溶接時に発生する溶鋼がスパッタ粒として存在しているが、これらの粉塵やスパッタ粒が溶接部に稀に飛び込んだ場合に溶接欠陥を生じることがある。さらに、帯材の端部にわずかな疵が生じている部分が電縫溶接される場合にも、その疵が溶接欠陥の発生原因となることがある。これらの溶接欠陥はいずれも、その大きさが数mm以下と小さいものであり、上述の従来技術をもってしても、このような微小な外乱因子による溶接欠陥を検出することは極めて困難であった。
(請求項1)
帯材を管状に成形して形成したV字状ギャップの縁部同士を連続的に溶接する電縫管製造ラインの操業中に、溶接点から下流側に20〜500mm離間した位置に監視領域として予め定めた、溶接線にほぼ直交する線状領域の線長方向の輝度分布を撮影速度1ms以下、撮影回数1000回/s以上の撮影による画像信号として捉えるラインスキャンカメラからなる輝度センサを有し、前記捉えた画像信号を監視しながら、撮影コマごとの輝度分布情報である瞬時輝度の総和および/または半値幅を演算し、この演算結果の経時変化データから、粉塵やスパッタ粒の飛び込みや帯材端部の疵による溶接欠陥発生に対応するDSすなわち所定の輝度閾値と比較して暗い部分であるダークスポットを検出することを特徴とする電縫溶接部の監視システム。
(請求項2)
前記DSの検出時点情報を、トラッキング機能により、対応する造管長位置情報に変換して、前記溶接欠陥が発生した造管長位置を特定し、その位置情報を造管工程の下流の精整工程に通知して、この溶接欠陥部を含む管長さ部分を製品管から排除することを特徴とする請求項1に記載の電縫溶接部の監視システム。
(1)粉塵やスパッタが被溶接部に稀に飛び込んで溶接欠陥が生じる際、あるいは帯材端部の微小な疵が生じている部分が電縫溶接されて溶接欠陥が生じる際に、溶接点出側の輝度の分布状態が瞬間的にダーク(暗い)側に変化する。
(2)しかし、溶接点から20mm未満の下流域では、溶接欠陥部の輝度の変化が周囲の溶融部の輝度に邪魔されるために、十分には観察できない。
(3)また、溶接点から500mm超の下流域では、溶接欠陥部の輝度の変化は少なくなり、判別が困難になる。
また、輝度センサでの撮影による画像信号として捉えられる輝度分布は、実際には、必ずしも図3の模式図に示すような単純で滑らかな山形の曲線形状を示すわけではなく、大きな凹凸を多数含む複雑な曲線形状を示す場合が少なからずあり、そのような複雑な分布曲線形状の瞬時輝度データから直ちにDS検出(すなわち瞬時的な溶接状態の適否判別)を行うのは困難である。そこで発明者らは、この困難を克服するための手法を検討し、その結果、前記画像信号を処理して瞬時輝度の総和および/または半値幅を演算した結果を用いることによりDS検出が確実かつ容易となることが分った。なお、図4には、画像信号を処理・演算してなる瞬時輝度の総和の、造管長に対する推移曲線の1例を示し、また、図5には、図4と同じ画像信号を処理・演算してなる瞬時輝度の半値幅の、造管長に対する推移曲線の1例を示す。これら図4、図5の推移曲線はほぼフラットな中に明瞭な窪み部を有する形状を示しており、これにより確実かつ容易にDSの発生した造管長部位を検出できることが分る。さらに、データ記憶手段の容量を節約する観点から、前記瞬時輝度の総和および/または半値幅の演算は、リアルタイムで実行するのがよいことも分った。
従来は、初期形態がコイル状に巻かれた帯鋼である管素材を、アンコイラで直線状に展開しつつ、管状にロール成形して形成したV字状ギャップの縁部同士を連続的に、高周波誘導溶接で加熱しスクイズロールで圧接することにより溶接して、溶接管となし、その溶接部のビードをビード切削機で切削後、溶接部をシームアニーラーで熱処理し、サイザーで外径調整し、管切断機で所定の長さに切断するよう構成された電縫管製造ライン(造管ライン)を使用し、電縫溶接の速度(造管速度)=20〜120m/分の操業条件下で、外径:25.4〜180mm、肉厚:1.2mm〜9.0mmの電縫管を製造していた。
(本発明例)
従来例と同じ造管ラインに対し、図2の形態にてL=200mm(スクイズロールとビード切削機との間隔範囲内)として線状の監視領域(溶接線との交差角=90°とした)を予め定め、前記造管ラインの従来例同様の操業条件下での操業中に、前記監視領域の輝度分布を、輝度センサ(前記ラインスキャンカメラを使用)での撮影による画像信号として捉えるようにした。撮影速度は0.05〜5ms、撮影回数は200〜20000回/sとし、この範囲内で造管速度に応じて設定を変えた。なお、造管速度が100m/分を超える場合は、撮影速度を1ms以下、撮影回数を1000回/s以上に設定した。
その結果、従来では検出できなかった、数mm程度以下の微小な溶接欠陥が検出可能となり、かかる微小な溶接欠陥を含む造管長部分の排除が可能となって、格段に高品質の製品管を提供できるようになり、品質の信頼性が著しく向上した。
(比較例)
本発明例において、L=10mmまたは600mmに変更し、それ以外は本発明例と同様にして、輝度分布の監視を試行したが、いずれの場合もDS検出はできなかった。
1a 溶接点(V収束点、収束点)
1b,1c 縁部
1w 溶接線
2a,2b スクイズロール
3a ワークコイル
3b,3c チップ
3d 高周波発振装置
4a,4b 溶融部を含む発熱金属部
10 輝度センサ
11 監視領域(溶接線にほぼ直交する線状領域)
Claims (2)
- 帯材を管状に成形して形成したV字状ギャップの縁部同士を連続的に溶接する電縫管製造ラインの操業中に、溶接点から下流側に20〜500mm離間した位置に監視領域として予め定めた、溶接線にほぼ直交する線状領域の線長方向の輝度分布を撮影速度1ms以下、撮影回数1000回/s以上の撮影による画像信号として捉えるラインスキャンカメラからなる輝度センサを有し、前記捉えた画像信号を監視しながら、撮影コマごとの輝度分布情報である瞬時輝度の総和および/または半値幅を演算し、この演算結果の経時変化データから、粉塵やスパッタ粒の飛び込みや帯材端部の疵による溶接欠陥発生に対応するDSすなわち所定の輝度閾値と比較して暗い部分であるダークスポットを検出することを特徴とする電縫溶接部の監視システム。
- 前記DSの検出時点情報を、トラッキング機能により、対応する造管長位置情報に変換して、前記溶接欠陥が発生した造管長位置を特定し、その位置情報を造管工程の下流の精整工程に通知して、この溶接欠陥部を含む管長さ部分を製品管から排除することを特徴とする請求項1に記載の電縫溶接部の監視システム。
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