JP5623368B2 - ダイポールリング磁気回路 - Google Patents

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Description

ダイポールリング磁気回路は、磁気回路の内部空間に、磁場方向が一方向に揃っていて磁場強度がほぼ均一な磁場空間を発生できるものであり、磁気共鳴断層撮影装置(MRI)や半導体素子製造工程、そして基礎研究向けの磁場発生装置として広く利用されている。なかでも半導体素子製造工程のなかの磁場中熱処理工程において今後利用が拡大すると期待される。
図4(a)のように、ダイポールリング磁気回路101は、回路形状が環状をなし、ケース105内に各磁石片の磁化方向104が環の半周で一回転するように配列された複数の永久磁石片103を有し、環の内部の一定空間に、磁場方向109が一方向で、磁場強度が均一である磁場空間107を発生するものである(特許文献1)。図4(b)のように、磁気回路は軸方向に一定の長さを持ち、内部空間に軸方向に有限長の均一磁場空間107を形成する。つまり、内部空間に円柱形状の均一磁場空間107を形成するものである。
ダイポールリング磁気回路は、磁場強度が均一で、磁場の向きが一方向に揃っている磁場空間を必要とする用途で用いられる。近年では磁気抵抗素子製造の熱処理工程(特許文献2)においても利用されている。磁場中熱処理用としては常伝導電磁石タイプや超伝導電磁石タイプも使用されているが、最近の永久磁石の高特性化および省電力化の観点から、低磁場のみならず1T(テスラ)以上の磁場発生用においても永久磁石タイプの利用が増えている。
熱処理の処理能力を上げるためには、前記均一磁場空間は広いほど良いが、磁場空間の直径を大きくするためには磁気回路の内径を大きくし、また、磁場空間の長さを長くするためには磁気回路の長さを長くしなければならない。単に内径を広げると磁場強度が低下してしまうので、磁場強度を維持したまま磁場空間を広げるには磁気回路外径を大きくしなければならず、全体の大きさおよび重量が大型化することになる。
ダイポールリング磁気回路には主に、他の磁石よりも残留磁化および保磁力が高いことから、NdFeB希土類焼結磁石が用いられる。磁石は保磁力よりも大きな逆磁場が作用すると減磁してしまうため、使用時は減磁を防ぐために、磁石に作用する逆磁場よりも保磁力が高い磁石を使用する。しかし一般にNdFeB焼結磁石の保磁力と残留磁化はトレードオフの関係にあって、保磁力が高い磁石ほど残留磁化が低いため、必要以上に高い保磁力を有する磁石を使用すると発生する磁場が低下してしまう。
近年、特許文献3や非特許文献1に見られるような、焼結磁石表面からDy(ディスプロシウム)やTb(テルビウム)を内部に拡散させることで、残留磁化を低下させずに保磁力を向上させる手法が報告されている。これらの手法では、効率的にDyやTbを粒界に濃化できるため、残留磁化の低下をほとんど伴わずに保磁力を増大させることが可能である。また、磁石寸法が小さいほど付加されたDyやTbが内部まで拡散するため、この拡散処理方法は小型あるいは薄型の磁石へ適用可能である。
この磁石表面からDyやTbを拡散させる処理を小型でない磁石に対して行うと、特許文献4のように磁石内部で保磁力が上がらず、内部から表面に向かって保磁力が徐々に増加することになり、使用上、注意が必要である。
特開2006−294851号公報 特開2004−119822号公報 国際公開第2006/043348号パンフレット 特開2010−135529号公報
町田憲一、川嵜尚志、鈴木俊治、伊東正浩、堀川高志、"Nd−Fe−B系焼結磁石の粒界改質と磁気特性"、粉体粉末冶金協会講演概要集、平成16年度春季大会、p.202
本発明は、前記事情に鑑みなされたもので、高い磁場強度と減磁耐性を有するダイポールリング磁気回路を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、円筒状のダイポールリング磁気回路を構成する複数の永久磁石片のうち少なくとも一部の磁石片について、円筒の径方向に沿って内部空間に近いほど保磁力の値が高いものとすることで、この磁石片の減磁を防ぎつつ内部空間の磁場強度を向上させ得ることを知見した。
本発明によれば、高い残留磁化と、円筒の径方向に沿って内部空間に近いほど高い保磁力を有する永久磁石片を、ダイポールリング磁気回路の円筒中心軸に対して垂直な面上、均一磁場の磁場方向に対して150度〜210度の角度差の磁化方向を有する磁石片(以下、特定磁石片という)に用いることにより、この磁気回路は従来よりも磁場強度の高い均一磁場空間を発生し得る。また同じ磁場強度で同じ磁場均一性の磁場空間を有するダイポールリング磁気回路で比較すれば、必要な磁石片体積を減らせるため、従来よりも小型化、軽量化が成し得る。
また、特定磁石片に、他の構成磁石片よりも保磁力の高い磁石を使用するか、または、該特定磁石片を半径方向に分割して、内周側の磁石片に保磁力の高い磁石を用いた場合、この磁気回路は従来よりも磁場強度の高い均一磁場空間を発生し得る。また同じ磁場強度で同じ磁場均一性の磁場空間を有するダイポールリング磁気回路で比較すれば、従来よりも小型化、軽量化が成し得る。
以上のように磁場強度を高めたダイポールリング磁気回路を用いれば、より高い磁場強度が必要な用途に使用できる。また、同じ磁場強度で同じ磁場均一性の磁場空間を有する磁気回路で比較すれば従来よりも小型化、軽量化が可能なため、これを半導体製造装置に使用した場合、装置全体の小型化、軽量化が図れる。また、同じ磁場強度で同じ磁場均一性の磁場空間を有する磁気回路で比較すれば、従来よりも磁気回路内径を広げることができ、これを半導体製造装置に使用した場合、使用できる内部空間が広がるので、この空間に配置される搬送系や加熱系の設計自由度を高めることができる。
本発明のダイポールリング磁気回路の一態様における(a)円筒中心軸に垂直な断面図、および、(b)(a)における所定の磁化方向をなす3つの磁石片についての典型的な保磁力分布を示す概念図である。 本発明のダイポールリング磁気回路の一態様における磁石片の各部に作用する逆磁場の強度分布図である。 本発明のダイポールリング磁気回路の別の態様における円筒中心軸に垂直な断面図である。 従来のダイポールリング磁気回路の(a)円筒中心軸に垂直な面での断面図、および、(b)(a)のA−A断面図である。
以下、本発明のダイポールリング磁気回路について詳細に説明する。図1に本発明の磁気回路の一例を示す。磁気回路1は、外周で環状をなし、磁化方向が環の半周で一回転するように配列された複数の永久磁石片3で構成され、内部空間7に発生する磁場が一方向9に揃いかつ強度が均一となっている。各磁石片3は概ね扇形もしくは台形の形状を有しており、リング(円筒)形状のケース5の中に、全体として環状をなすように収められる。磁石片3とケース5および磁石片同士は接着剤などで接着固定される。例えば図1のように磁気回路1の全体が24個の磁石片に分割される場合、各磁石片の磁化方向4は、環の半周で360度回転するように、となり同士の磁石片間で30度ずつ磁化方向が変化するように構成されている。回路を構成する磁石片の分割数は、分割数が少なすぎると磁場均一性が低下し、分割数が多すぎると製造コストが増大するため、概ね12から36分割程度にするのが好ましい。36分割の場合、となり同士の磁石片間で20度ずつ磁化方向が変化するように構成される。
以上のように構成された永久磁石片3のうち、特定磁石片については、円筒の径方向に沿って内部空間に近いほど保磁力の値が高いものを用いている。つまり図1の例で示すと、回路右半分に3個、回路左半分に3個、計6個存在する、均一磁場方向9に対して磁化方向4が150度、180度、210度の角度差を有する磁石片3a,3b,3cに関して、磁石片の内周面の保磁力の値が磁石片内部中央の保磁力より高くなった磁石片を用いる。
図1(b)では、特定磁石片6個について内周面からDyやTbの拡散処理を施した場合の、回路右半分の3個の磁石片の典型的な保磁力の様子を示している。図1(b)の例では、特定磁石片の内部中央の保磁力値は、一定値であるが、磁石片の所定の深さから半径方向に沿って内周面に達するまでは内周面までの距離に概ね反比例して上昇している。
このような保磁力の分布を有する磁石片がダイポールリング磁気回路として有効であることを図2を用いて説明する。図2はダイポールリング磁気回路の磁石片の各部に作用する逆磁場の様子を表している。図2から分かるように特定磁石片の内周側領域11において強い逆磁場が働いている。つまりこの領域で磁石片の減磁が生じやすくなっているので、逆磁場に耐えうる高い保磁力を有する磁石片を使用する必要がある。しかし磁気回路全体を高保磁力磁石片にすると、残留磁化は下がってしまい、発生する磁場は弱くなってしまう。
そこで本発明の一例では、強い逆磁場の働く、特定磁石片に、内周面からDyやTbを拡散処理した磁石片を用いる手法を採用している。これにより、内周側領域の保磁力が向上して減磁の発生が抑えられ、残留磁化も低下せず、内部空間に強い磁場を発生できる。先に述べたように拡散処理された磁石片は残留磁化の値が高いまま保磁力を高めているので、これを特定磁石片に使用することにより、内部の均一磁場空間の磁場を高めることができるため、より高い磁場強度が必要な用途に使用できる。また、同じ磁場強度で同じ磁場均一性の磁場空間を有する磁気回路で比較すれば、従来よりも小型化、軽量化が可能なため、これを半導体製造装置に使用した場合、装置全体の小型化、軽量化が図れる。また、同じ磁場強度で同じ磁場均一性の磁場空間を有する磁気回路で比較すれば、従来よりも磁気回路内径を広げることができ、これを半導体製造装置に使用した場合、使用できる内部空間が広がるので、この空間に配置される搬送系や加熱系の設計自由度を高めることができる。
磁石表面から内部に向かってDy又はTbを塗布法やスパッタ法によって拡散させる方法は、特許文献3に記載されており、粒界拡散合金法による表面処理と呼ばれることもある。この方法は、好ましくは、Y及びScを含む希土類元素から選ばれる1種以上の元素の酸化物、フッ化物、及び酸フッ化物から選ばれる1種以上を含有する粉末を焼結磁石体の表面に存在させた状態で、該焼結磁石体及び該粉体を該焼結磁石体の焼結温度以下の温度で真空又は不活性ガス中において熱処理を施すものである。焼結磁石体としては、好ましくはR−Fe−B系組成(Rは、Y及びScを含む希土類元素から選ばれる1種以上を表す。)を有する焼結磁石体である。
ただし、拡散処理では保磁力を高めることができる領域に限界があるため、拡散処理した磁石片をあまり大きな磁気回路に使用しても十分な効果が得られない。
特許文献4によると拡散処理によって保磁力の上昇する効果は表面から約6mmまでである。図2の逆磁場の強い領域11の大きさは、内周面(均一磁場を発生する空間に接する面)から外周面(均一磁場を発生する空間に接しない面)に向かって、磁石片の半径方向寸法のおよそ1/5〜1/25程度である。よって磁石片の半径方向寸法が30〜150mm程度の場合に逆磁場領域の大きさと拡散処理による保磁力上昇領域の大きさが合う。磁石片の半径方向寸法が150mmよりはるかに大きくなると、逆磁場の領域11が拡散処理で保磁力上昇効果のある距離6mmよりもはるかに大きくなって、拡散処理による保磁力上昇では逆磁場領域をカバーしきれない。また磁石片半径方向寸法が30mmより小さい場合、逆磁場領域よりも広い領域が拡散処理によって保磁力が上昇するが、そのことでダイポールリング磁気回路およびこれを備えた装置に悪影響は何も起こらず、磁石片半径方向寸法が30mm以下の磁石片に対しても本発明は有効に働く。ただし、あまり磁石片が小さいと発生磁場が低下し、例えば磁場中熱処理工程後の半導体素子の性能が低下する可能性があるので磁石片半径方向寸法は、できれば20mm以上が望ましい。
以上のように、DyやTbの拡散処理を行った磁石片をダイポールリング磁気回路に使用することで均一磁場空間の磁場を高めることができる。
使用する磁石片は、希土類系焼結磁石であることが好ましい。希土類系焼結磁石は他の磁石に比べて残留磁化、保磁力ともに格段に優れているためダイポールリング磁気回路に適した磁石材料である。またNdFeB希土類焼結磁石はSmCo希土類焼結磁石より低コストで残留磁化も優れているので、特に大型のダイポールリング磁気回路にはNdFeB希土類焼結磁石が最適な磁石材料である。また、上述の拡散処理はNdFeB希土類焼結磁石に特に有効な処理である。
上述したとおり、少なくとも特定磁石片には、保磁力の値が磁石片内部中央よりも磁気回路内周側に近い領域の方が高くなっているものを用いるが、これは磁石片表面から内部に向かってDy又はTbを、上述の塗布法やスパッタ法によって拡散させることによって形成し得る。このように内周側領域のみを拡散処理によって保磁力向上させればよいので、拡散処理工程では磁石片の内周面のみを処理すればよい。例えば処理したい面以外をマスキングして拡散処理を行えばよい。ただし、塗布法およびスパッタ法において磁石片の1面のみ処理することが、全面処理に比べてマスキングなどの余分な工程が増えるなどして、余計にコストがかかったり生産性が悪くなったりする場合は、1面処理ではなく全面または多面処理を行っても構わない。この場合、処理された全ての面で保磁力が向上することになるが、そのことが磁気回路に悪影響を与えることは無く、内周側の保磁力が向上されていれば問題とはならない。
本発明の第2の例を図3を用いて説明する。図3では、逆磁場の働く磁石片を半径方向(円筒中心軸に対して垂直な放射方向)に2つの部分に分け、内周側(均一磁場を発生する空間に接する部分)に高保磁力の磁石断片6を配置している。このように内周側の磁石断片に高保磁力の磁石を用いることにより減磁を防ぐことができる。残りの部分に配置される磁石断片については保磁力を上げる必要は無く、残留磁化の高い磁石を用いればよい。このように、内周側のみ高保磁力磁石を用いることで、分断せずに当該磁石片全体を高保磁力磁石にして減磁を防ぐ場合に比べて、内部空間の磁場強度を上げることができる。分断する大きさは、逆磁場領域の大きさを考慮して決定すればよい。上述のように逆磁場の強い領域の大きさは、内周面から外周面に向かって、磁石片の半径方向寸法のおよそ1/5〜1/25程度であるので、この範囲で磁石断片寸法を適宜決定すればよい。
本方法であれば分断した部分は全て保磁力を上昇できるので、第1の例のような磁石片の半径方向寸法の制限はない。なお分断数に制限はなく3つ以上に分断してもよい。内周側の磁石断片と外周側の磁石断片とは磁化方向が平行であることが好ましい。磁石片は、その外周形状に合うように異径同心円に沿って分断されていてもよいし、直線的に分断されていてもよい。分断は、1つの磁石片を分割することにより行ってもよい。
本発明の第3の例では、強い逆磁場の働く、磁場方向に対して磁化方向が150度〜210度の角度差を有する磁石片を、他の部分の磁石片よりも保磁力の高い磁石とする。このことで逆磁場に対抗して減磁を防ぐことができる。他の部分の磁石片は保磁力を上げる必要は無く、残留磁化の高い磁石を用いればよい。このように、逆磁場の働く磁石片のみ高保磁力磁石にすることで、磁気回路全体を高保磁力磁石にして減磁を防ぐ場合に比べて、内部空間の磁場強度を上げることができる。本方法であれば保磁力の高い磁石片内の全域で保磁力が上昇しているので、第1の例のような磁石片の半径方向寸法の制限はない。また、第1の例のような拡散処理工程がなく、第2の例のような磁石片を分割する必要がないので、コスト的に有利となる。
上記特定磁石片における保磁力の最大差(最大値と最小値との差)、または上記特定磁石片と他の磁石片と保磁力の最大差は、200kA/mを越えていることが好ましく、300kA/m以上であることが、さらに好ましい。
以上の例は磁気回路を構成する磁石片が24分割のダイポールリング磁気回路の場合であるが、別の分割数の場合であっても本発明は適用できる。例えば36分割の磁気回路で各磁石片の磁化方向が20度ずつ変化する場合であれば、磁場方向と磁化方向との角度差が150度〜210度の範囲に入る、具体的には角度差が160度、180度、200度である磁石片セグメント6個に対して本発明を適用すればよい。
なお、本発明の磁気回路は、上述のように特定磁石片のみが上述の保磁力特性を有している態様だけでなく、角度差が150度〜210度の範囲外にある永久磁石片についても上述の保磁力特性を有している態様を含む。換言すれば、特定磁石片について上述した特性や態様を特定磁石片以外のいずれかの磁石片が有している態様を排除するものではない。
以下、本発明の具体的態様について実施例をもって詳述するが、本発明の内容はこれに限定されるものではない。
<実施例1>
図1(a)に示すダイポールリング磁気回路で、磁石片内径が220mm、磁石片外径が500mm、長さ600mmで、磁石片は残留磁化1.42T、保磁力900kA/mであるNdFeB焼結磁石を用いた。磁気回路を構成する磁石片のうち、特定磁石片6個に対して拡散処理を行った。拡散処理は、粒状のフッ化ディスプロシウムをエタノールと混合し、前記6個の磁石片の内周面の1面以外をマスキングした状態で浸漬し、その後、Ar雰囲気中900℃で1時間という条件で熱処理を行った。この磁石片の拡散処理面側の保磁力と内部中央の保磁力を測定した結果、それぞれ1200kA/m、900kA/mであり、拡散処理面側の保磁力が300kA/m上昇していた。
これらの磁石片を内径500mm、外径580mm、長さ600mm、材質SS400のケースに接着固定した。
製作した磁気回路を評価するため、磁気内部空間の磁場を測定した。均一磁場空間としてφ170×300mmの円柱状空間の磁場を測定した結果、最大値1.113T、最小値1.044Tであった。
<比較例1>
次に比較例1として、磁気回路の各寸法および磁化方向は実施例1と同じで、残留磁化1.36T、保磁力1200kA/mのNdFeB焼結磁石を、拡散処理を行わず使用した。製作した磁気回路の均一磁場空間の磁場を実施例1と同じ条件で測定した結果、最大値1.066T、最小値1.000Tであった。
実施例1と比較して磁場が約4%低いが、その原因として、残留磁化が実施例1より0.06T低いためと考察される。本比較例1は保磁力が高く残留磁化が低い磁石を使用した従来例を模擬している。
<実施例2>
次に、磁気回路の各寸法および磁化方向は実施例1と同じで、特定磁石片6個が収容される空間を半径方向に2つの部分に分けた。内周側部分に収容される磁石断片の半径方向寸法は、一体磁石片の半径方向寸法の1/5になるようにした。内周側部分に、残留磁化1.36T、保磁力1200kA/mのNdFeB焼結磁石断片を収容し、それ以外の全ての部分に残留磁化1.42T、保磁力900kA/mのNdFeB焼結磁石片またはNdFeB焼結磁石断片を収容した。製作した磁気回路の均一磁場空間の磁場を実施例1と同じ条件で測定した結果、最大値1.112T、最小値1.041Tであった。
このように比較例1と比べて磁場が約4%高くなった。実施例1と比べてわずかに磁場が低くなったが、これは分割された内周側磁石片の残留磁化は実施例1より低いが、その他の磁石片は全て実施例1と同じ残留磁化であり、体積割合では分割された内周側磁石片がかなり小さいため、わずかな量だけ磁場が下がったと考察される。
<実施例3>
実施例1に対して、磁石片外径482mm、ケース内径482mm、ケース外径562mmである以外の全ての条件を実施例1と同じとして磁気回路を製作した。そして実施例1と同じ条件で磁場を測定した結果、最大値1.063T、最小値1.001Tであった。この測定値は比較例1とほぼ同じ値であるが、磁気回路の外経が580mmから562mmへと小さくなった。その結果、重量は約80kgf低減できた。
<比較例2>
実施例2に対して、内周側の磁石断片に残留磁化1.38T、保磁力1100kA/mのNdFeB焼結磁石断片を収容し、これ以外の全ての条件を実施例2と同じとして磁気回路を製作した。そして実施例1と同じ条件で磁場を測定した結果、最大値1.111T、最小値0.991Tであった。
このように実施例2と比べて最小磁場が約5%低くなったが、これは分割された内周側磁石断片の残留磁化は実施例2よりやや高いが保磁力が100kA/m低いため減磁が生じ、その結果、均一空間のなかの分割された磁石断片に近い領域で磁場の低下が起こったためと考えられる。
本実施例のように、特定磁石片の内周側磁石断片の保磁力が、その他の磁石断片およびその他の磁石片の保磁力より200kA/m高いだけでは、磁石の減磁を防ぐことができず、磁場の低下が生じてしまう。
以上のように本発明のダイポールリング磁気回路を用いると、従来よりも高い磁場強度の均一磁場空間を発生できる。また、本発明によれば、同じ磁場強度で同じ磁場均一性の磁場空間を有する磁気回路で比較すれば、従来よりも小型で軽量のダイポールリング磁気回路を提供できる。
1,20,101 ダイポールリング磁気回路
3,103 永久磁石片
4,104 磁化方向
5,105 ケース
6 保磁力が高い磁石断片
7,107 均一磁場空間(内部空間)
9,109 磁場方向
11 逆磁場の強い領域

Claims (7)

  1. 半周で磁化方向が一回転するように環状に配列された複数の永久磁石片を備え、該永久磁石片で囲まれた内部空間に実質的に一方向の磁場を均一な強度で発生している磁気回路であって、
    前記永久磁石片の2つ以上が、環状形状の中心軸に対して垂直な面上、前記均一磁場の方向に対して磁化方向が150度〜210度の角度をなし(以下、「特定磁石片」という)、
    少なくとも前記特定磁石片において、前記環状形状の径方向に沿って前記内部空間に近いほど保磁力の値が高くなっている、
    ダイポールリング磁気回路。
  2. 前記永久磁石片が、NdFeB希土類磁石であり、
    該永久磁石片のうち、少なくとも前記特定磁石片において、前記環状形状の径方向に沿って前記内部空間に近いほどDy又はTbの濃度が高いことを特徴とする請求項1に記載のダイポールリング磁気回路。
  3. 前記永久磁石片の磁気回路半径方向寸法が、20mm〜150mmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のダイポールリング磁気回路。
  4. 前記永久磁石片が、NdFeB希土類磁石であり、
    前記特定磁石片が、前記環状形状の径方向に2つ以上の部分に分けられており、
    少なくとも前記永久磁石片で囲まれた内部空間に接する部分が、他の部分よりも高い保磁力の値を有することを特徴とする請求項1に記載のダイポールリング磁気回路。
  5. 前記永久磁石片が、NdFeB希土類磁石であり、
    前記特定磁石片として前記特定磁石片以外の磁石片よりも保磁力の値が高いものを用いることを特徴とする請求項1に記載のダイポールリング磁気回路。
  6. 前記特定磁石片内における保磁力の最大差または前記特定磁石片とその他の磁石片との保磁力の最大差が300kA/m以上であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のダイポールリング磁気回路。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載のダイポールリング磁気回路を搭載した磁場中熱処理装置。
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