JP2004120892A - リング磁石とその製造法及びそれを用いた回転子並びにモータ - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、リング磁石の周方向に磁気抵抗の差をもたせ、磁気抵抗の差を利用したリラクタンストルクと極異方性磁石の低コギングトルクを両立したリング磁石とその製造法及びそれを用いた回転子並びに回転機を提供することにある。
【解決手段】本発明は、容易磁化方向が周方向又は径方向で周期的に変化したリング状硬質磁性材内に複数個の軟磁性材が周方向で一定の間隔で一体に形成されていることを特徴とするリング磁石にある。更に、本発明は、リング状に配置された硬質磁性材粉末中の周方向に一定の間隔で複数個の軟磁性材を配置する複合体の形成工程と、前記複合体を磁界中で配向させながら加圧成形体を形成する加圧成形工程と、前記加圧成形体を焼結させる焼結工程とを有することを特徴とするリング磁石の製造法にある。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明は、容易磁化方向が周方向又は径方向で周期的に変化したリング状硬質磁性材内に複数個の軟磁性材が周方向で一定の間隔で一体に形成されていることを特徴とするリング磁石にある。更に、本発明は、リング状に配置された硬質磁性材粉末中の周方向に一定の間隔で複数個の軟磁性材を配置する複合体の形成工程と、前記複合体を磁界中で配向させながら加圧成形体を形成する加圧成形工程と、前記加圧成形体を焼結させる焼結工程とを有することを特徴とするリング磁石の製造法にある。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なリング磁石とその製造法及びそれを用いた回転子並びに回転機に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2000−269062号公報
【特許文献2】特開2000−195714号公報
従来のリング磁石において、容易磁化方向が周方向で連続的に変化した異方性
磁石については、
【特許文献1】、
【特許文献2】に記載されている。これらの公知例では、磁粉成形する工程においてコイル等による磁界によって磁粉を磁界の方向に配向させ、磁粉の配向方向に容易磁化方向がそろっている。磁粉の配向、成形後に焼結させ、焼結後の磁石は容易磁化方向が周方向で変化し、高い磁気特性をもった極異方性磁石を作成することが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術では、磁気抵抗の差を利用したリラクタンストルクと極異方性磁石の低コギングトルクを両立したリング磁石は示されていない。又、リラクタンストルク確保のために磁気特性の異なる磁性材の粉を一体で成形したリング磁石の周方向に周期的に配列させることは示されていない。
【0004】
発明者らは、リラクタンストルクを利用できれば低回転数におけるトルクを確保することが可能であり、低回転数で大きなトルクが必要なモータヘ応用することができることから、リラクタンストルクを利用する構造を検討した結果、磁気的に硬質なリングの周方向に軟質な部分を設けることを見出した。又、発明者らは、このようなリラクタンストルクを生み出すには、磁石を周方向に分割して磁石と磁石の間に軟磁性材を挿入させることで実現可能であるが、磁石の加工精度の確保が困難であること、磁石の接着工程が必要なこと、回転時の磁石保持、表面磁束密度のばらつき増大などの問題があることを見出した。
【0005】
更に、磁石を極ごとに分割する場合、1極ごとの形状ばらつきにより、表面磁束密度波形が変化する。特に磁石径がばらつくと、固定子のティース先端部における磁束が極ごとに異なる。磁石と軟磁性材の接着は回転子の強度低下をまねいたり、接着部の非磁性ギャップによる磁束の不均一性増大に繋がる。
【0006】
本発明の目的は、リング磁石の周方向に磁気抵抗の差をもたせ、磁気抵抗の差を利用したリラクタンストルクと極異方性磁石の低コギングトルクを両立したリング磁石とその製造法及びそれを用いた回転子並びに回転機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、磁気抵抗の差を利用したリラクタンストルクと極異方性磁石の低コギングトルクを両立させたリング磁石にある。リラクタンストルクを利用できれば低回転数におけるトルクを確保することが可能となり、低回転数でトルクが必要なモータヘ応用することができる。リラクタンストルクを利用するには、磁気的に硬質なリングの周方向に軟質な部分を設ける必要がある。このようなリラクタンストルクを生み出すには、磁石を周方向に分割して磁石と磁石の間に精度高く、容易に軟磁性材を挿入させることで実現でき、回転時の磁石保持、表面磁束密度のばらつきなどの問題が解決できるものである。
【0008】
本発明は、容易磁化方向が周方向又は径方向で周期的に変化したリング状硬質磁性材内に複数個の軟磁性材が周方向で一定の間隔で一体に形成されていることを特徴とするリング磁石にある。更に、本発明は、以下の要件を有する。
【0009】
容易磁化方向が周方向又は径方向で周期的に変化したリング状硬質磁性材の外周側又は内周側の少なくとも一方に複数個の軟磁性材が周方向で一定の間隔で埋め込まれ、一体に形成されていることを特徴とするリング磁石。
【0010】
容易磁化方向が周方向で正弦波状に周期的に変化したリング状硬質磁性材の外周側又は内周側の少なくとも一方に複数個の軟磁性材が周方向で一定の間隔で埋め込まれ、一体に形成されていることを特徴とするリング磁石。
【0011】
容易磁化方向が周方向で正弦波状に周期的に変化したリング状硬質磁性材内に内周側から外周側にかけて連続した複数個の軟磁性材が周方向で一定の間隔で一体に形成されていることを特徴とするリング磁石。
【0012】
本発明のリング磁石は、前記硬質磁性材と軟磁性材とが焼結によって一体に形成されていること、前記硬質磁性材と軟磁性材とが磁界中で加圧成形後、前記焼結されていること、前記軟磁性材は前記硬質磁性材の周方向における容易磁化方向が前記周方向に向いた位置に形成されていることが好ましい。
【0013】
本発明は、リング状に配置された硬質磁性材粉末中の周方向に一定の間隔で複数個の軟磁性材を配置する複合体の形成工程と、前記複合体を磁界中で配向させながら加圧成形体を形成する加圧成形工程と、前記加圧成形体を焼結させる焼結工程とを有することを特徴とするリング磁石の製造法にある。
【0014】
即ち、本発明は、硬質磁性材の粉末を磁界によって配向させる工程と、配向させた粉末を焼結させる工程を経て、軟磁気特性を示す部分が硬質磁性材と一体で成形し、軟磁気特性を示す部分の配置を周方向で周期的にしたものである。
【0015】
また、本発明は、前記リング状に配置された硬質磁性材粉末中の外周側あるいは内周側の一部に軟磁性材の粉末から成形焼結した透磁率の高い部分を整列させて成形したものである。
【0016】
または、前記リングの外周側あるいは内周側の一部に軟磁性材の粉末から成形、焼結した軟磁気特性を示す部分が周方向で一定の周期で整列させて成形されるものである。
【0017】
本発明は、硬質磁性材及び軟磁性材の粉末を使用し、磁界によってこれらの粉末を配向させる工程と配向させた粉末を焼結させる工程を有し、リング磁石を形成している硬質磁性材の容易磁化方向を周方向で正弦波状に周期的に変化させ、前記リングの内周側でかつ硬質磁性材の容易磁方向がほぼ周方向に向いた周方向角度位置に軟磁性材からなる透磁率の高い部分があり、軟磁気特性を示す部分が周方向で一定の周期で整列させたものである。
【0018】
本発明は、硬質磁性材及び軟磁性材の粉末を磁界によって配向させる工程と、配向させた粉末を焼結させる工程を経て作製されたリング磁石の硬質磁性材の容易磁化方向を周方向で正弦波状に周期的に変化させ、前記リングの硬質磁性材の容易磁化方向がほぼ周方向に向いた位置の近傍に内周側から外周側に連続した軟磁性材からなる透磁率の高い部分を設け、軟磁気特性を示す部分が周方向で一定の周期で整列されたものである。
【0019】
本発明は、硬質磁性材の粉末を磁界によって配向させる工程と、配向させた粉末を焼結させる工程を経て作製されるリング状磁石において、軟磁気特性を示す部分が硬質磁性材と一体で成形し、配向方向に近い方向に加えた外部磁界によってリング状磁石を着磁後、表面磁束密度の波形がほぼ正弦波になっているものである。
【0020】
前記リング状の硬質磁性材の容易磁化方向が周方向又は径方向で周期的に変化するように前記磁界方向を調整すること、前記軟磁性材は、軟磁性材粉を径方向になる方向の磁場中又は無磁場中にて加圧成形されたものであること、前記軟磁性材を、前記硬質磁性材の容易磁化方向が前記周方向に向いた位置に配置することが好ましい。
【0021】
更に、本発明は、シャフトの外周にリング状磁石を有する回転子において、前記リング磁石が前述に記載のリング磁石からなること、又前述に記載の製造法によって形成されたリング磁石からなることを特徴とする。
【0022】
又、本発明は、固定子と、該固定子内を回転する回転子とを有する回転機において、前記回転子が前述に記載の回転子からなることを特徴とし、特にモータにおいて定格トルクに対してコギングトルクが5%以下と小さく、高い誘起電圧を有しているものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1は、本発明のラジアルリング磁石の極端部外周側に周方向に周期的に軟磁性部3を設けたリング磁石の断面図である。硬質磁性材4の容易磁化方向の配向方向2を点線で示している。硬質磁性材4の容易磁化方向の配向方向2は径方向であり、配向方向と垂直方向が困難軸方向である。
【0024】
硬質磁性材4は、少なくとも1種類の希土類金属、FeあるいはCo、及びBあるいはNの元素からなる化合物を含んでおり、特にNdFeB系、NdDyFeB系、NdFeCoB系、SmCo系、SmCoFe系、SmFeN系、SmCoZrN系が残留磁束密度が高いので、誘起電圧を高くできる。これらの硬質磁性材の粉末を組成調整、粒度分布調整後、前記粉末を磁界によって磁石として磁束を特定の方向に配向して用いられる。また、軟磁性材3はリング磁石の外周部に極数と同じ数で配置している。軟磁性材3はFe合金が透磁率が高くなるために最適であり、Fe−Si、Fe−A1、Fe−B、Fe−Cなどが良い。
【0025】
配向から焼結工程について以下に説明する。初めに軟磁性材3を四角形状の長尺の成形金型を用いて1〜10t/cm2以下の圧力で成形する。成形中の磁界は無磁場あるいはラジァル方向となる方向に磁界を印加させる。上記Fe合金粉には潤滑材としてステアリン酸を約1%添加し、よく混合した後に成形する。軟磁性材の粉の成形体を周方向にほぼ等間隔で配向金型の外周側に配置する。軟磁性材3は、その長手方向に対して垂直な断面形状は他に丸、三角、楕円など単純なものが良い。
【0026】
次に、軟磁性材3の成形体を2重円筒状の金型内の外周側に配置し、上記硬質磁性材4の粉をその金型内に注入する。金型内の外周側には、軟磁性材3の成形体が一部挿入できるようにそれと長さと幅が同一形状の凹部が設けられ、そこにはめ込まれ、硬質磁性材4の粉の注入時及び加圧成形時に動かないようにする。又、金型の長さは、軟磁性材3の成形体より長くなっており、加圧成形後に軟磁性材3の成形体と同じ長さになるように大きく、その加圧側はストレートに設けられる。コイルあるいは磁石からの磁界によって硬質磁性材4の粉の配向をラジアル方向に向けて加圧成形する。成形圧力は1〜10t/cm2である。1〜3μmの粒径のNdFeCoB系の粉を使用すれば、8000Oeの磁界を印加することにより、図5の硬質磁性材4の容易磁化方向の配向方向2に示す径方向あるいはラジアル方向に配向させることができる。この時の硬質磁性材4の粉の配向度は80%以上である。本金型によって軟磁性材3の成形体の正確な配置が得られる。
【0027】
このように加圧成形した粉を真空中(真空度1×10−2Pa)で焼結させる。まず、400〜500℃で予備焼結をする。この時潤滑剤が蒸発する。焼結温度は800℃以上1200℃以下(5時間)であり、Nd2(Fe、Co)14B(主相)及びNd2(Fe、Co)14BよりもNd量が多い相(Ndリッチ相)であるNdFe4B4が生成する。このNdリッチ相がバインダの役割となり軟磁性材3と硬質磁性材との界面も焼結される。又、焼結時に軟磁性材3の成形体の正確な配置によって焼結後も1極ごとの形状のバラツキの少ないリング磁石が得られる。
【0028】
焼結後、保磁力を増加させるために再度600℃以上1000℃以下(5時間)の温度で熱処理をする。熱処理後の主相の粒径は2〜15μmである。熱処理後に外周内外周を加工し、図1のようなリング磁石になる。このリング磁石は8極であり、外周側に極数と同じ数で軟磁性材3が配置されている。一つの軟磁性材の位置は、周方向に1極の角度の5〜10%である。径方向には3〜10%の厚さで作製している。
【0029】
(実施例2)
図2は、本発明の極異方性リング磁石の極端部外周側に周方向に周期的に軟磁性材3を設けたリング磁石の断面図である。図2では硬質磁性材1はリング形状であり、硬質磁性材1の磁化容易軸方向2が周方向で周期的に変化している。外周側に同一周面で軟磁性材3の表面が出るように周期的に軟磁性材3が配置され、全体として一体の磁石である。硬質磁性材1の材質は、実施例1と同様の物が用いられる。
【0030】
軟磁性材3には鉄粉を使用する。粒径5〜20μmの電解鉄粉に潤滑材としてステアリン酸亜鉛を約1%添加して混合後金型に挿入し、実施例1と同様に加圧成形し、四角形状の長尺形状とする。硬質磁性材1にはNdFeB系の磁性粉を用いている。NdFeB系磁性粉の粒径は3〜15μmである。エネルギー積を高くするためには平均粒径3〜5μmの単結晶粉を使用する。この磁性粉を軟磁性材2の成形体が外周側に配置された金型の中に挿入する。その後、8000Oeの磁界中で1t/cm2の圧カで成形する。金型の外周側あるいは内周側に配置したコイルにより図2の硬質磁性材の容易磁化方向2に沿って磁界方向を制御して成形時に磁界を印加する。コイルによる磁界方向をリング内で周方向に連続的かつ周期的に変化させる。
【0031】
図2では8対の磁界印加コイルを磁性粉挿入部の外周側あるいは内周側に極数に応じて配置されたものを使用し、磁界方向は周方向にほぼ正弦波になるようにコイル位置を設計して、金型に適用している。コイルに流す電流は1×106A/cm2であり、パルス電流を成形時に加えている。硬質磁性材を配向させるための磁界を加えて成形後、Nd2Fe14Bの容易磁化方向である正方晶のc軸が図4の硬質磁性材の容易磁化方向の配向方向2に沿って配列する。実施例1と同様に焼結後や焼結、熱処理後も、Nd2Fe14Bのc軸は図4に示す硬質磁性材の容易磁化方向2に沿って配列している。焼結、熱処理後にダイヤモンドや砥石による加工あるいはワイヤーカットによる加工によりリング形状とし、着磁ヨークを用いてNd2Fe14Bを着磁(磁界15kOe以上)し、図2のリング磁石となり、リング磁石は周期的に周方向の透磁率が変化する。
【0032】
軟磁性材3の形状は8極リング磁石では、1極の角度の1/2以下の周方向の幅で、径方向は外周側の位置で径方向厚さの1/2以下とし、実施例1と同様とするのが好ましい。径方向の軟磁性材3の体積率が1/2以上になると表面磁束密度の波形歪が5%以上になり、表面磁束密度のピーク値も低下する。また、周方向の軟磁性材3が1/2以上になると、表面磁束密度の波形歪が著しく増加する。
【0033】
(実施例3)
本実施例は、実施例2の硬質磁性材1としてNd2Fe14Bに代えてSmCo系を用いたもので、SmCo系の場合には、焼結温度よりも低い温度で溶体化処理により均一化させる。Sm2Co17の粉を軟磁性材成形体が実施例2と同様に配置された金型に挿入して、配向磁界を印加しながら加圧成形する。軟磁性材3には電解Fe粉を用いる。電解Fe粉の成形圧カは約5t/cm2である。Sm2Co17粉成形形時の磁界は7000Oe以上であり、c軸を磁界方向に配向させる。成形時の圧力は1〜10t/cm2である。成形体を真空加熱炉内で実施例1と同様に予備焼結し、更に1000〜1200℃で焼結後、700〜900℃で熱処理する。焼結時の雰囲気は水素、不活性ガスあるいは真空である。Coの一部をCuに変えた組成にすることにより、10kOeを超える保磁力でエネルギー積(Bhmax)が90kJ/m3のリング磁石を得ることができる。
【0034】
焼結後のSm2Co17の配向は図2に示すように周方向で周期的かつ連続的に変化する。このような配向に容易磁化方向が沿うように配向成形に使用する配向ヨークのコイルあるいは磁石の位置を設計する。コイルあるいは磁石はリング状の磁性粉挿入部の外周側あるいは内周側に極数に応じて配置されたものを使用している。硬質磁性材3の形状は図2の8極リング磁石では、1極の角度の1/2以下の周方向の幅で、径方向は外周側の位置で径方向厚さの1/2以下とし、実施例1と同様とするのが好ましい。径方向の軟磁性材の体積率が1/2以上になると表面磁束密度の波形歪が5%以上になり、表面磁束密度のピーク値も低下する。
【0035】
また、周方向の軟磁性材が1/2以上になると、表面磁束密度の波形歪が著しく増加する。加工後にSm2Co17を着磁して図2のリング磁石の透磁率を測定すると透磁率が軟磁性材3の外周側で5%以上高くなっていることを確認している。
【0036】
また、図2のような硬質磁性材2の配向が周方向で連続的に変化する場合は、同一形状で同一磁性材料の場合、表面磁束密度が図1よりも高い。周方向に磁化容易軸方向が変化しているリング磁石の場合、軟磁性材3の位置は表面磁束密度の絶対値が最大値を示す角度から離れたほうが、表面磁束密度の波形歪が小さくなる。そこで図2に示すような軟磁性材3の配置にする。図2では、軟磁性材の位置は表面磁束密度の絶対値が最大となる角度と角度の中間位置に配置している。表面磁束密度の絶対値が最大となる角度では、容易磁化方向がほぼ径方向になっており、軟磁性材3の付近では硬質磁性材の配向は図2に示すように周方向に近い方向に向いている。このようなリング磁石は、表面磁束密度が高く、誘起電圧を高くすることができ、かつ軟磁性材3の部分の透磁率が1.1よりも大きくなるので、磁気抵抗が周方向で周期的に変化している。
【0037】
本実施例の硬質磁性材1のSmCo系を実施例1に用いた場合においても同様の効果を得ることができる。
【0038】
(実施例4)
図3は、本発明の極異方性リング磁石の内周側に軟磁性部を周方向に周期的に設けたリング磁石の断面図である。図3では硬質磁性材1はリング形状であり、硬質磁性材1の磁化容易軸方向の配向方向2が周方向で周期的に変化している。内周側表面に軟磁性材3の表面がでるように周期的に軟磁性材3が配置され、全体として一体の磁石である。
【0039】
軟磁性材3には鉄粉を使用する。5〜20μmの電解鉄粉に潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を約1%添加して混合後金型に挿入する。硬質磁性材1にはNdFeB系の磁性粉を用いている。NdFeB系磁粉は、Nd2Fe14B、(M,Dy)2Fe14B、(Nd,Dy)15Fe77B7A11 、(Nd,Dy)2(Fe,Co)14Bを要求される磁気特性、製造コスト、使用環境に応じて選択しているが軟磁性材3を配置させて得られる透磁率の周方向における周期的変化を生み出すためには、上記NdFeB系、SmCo系のいずれでも良い。金型は、実施例1の外周を内周と同様の構造にしたものである。それによって形状にバラツキの少ないリング磁石が得られる。
【0040】
使用したNdFeB系磁性粉の粒径は3〜15μmである。エネルギー積を高くするためには平均粒径35μmの単結晶粉を使用する。この磁性粉を軟磁性材の成形体が配置された金型の中に挿入する。その後、8000Oeの磁界中で1t/cm2の圧力で成形する。金型の外周側あるいは内周側のコイルにより図3の硬質磁性林の容易磁化方向2に沿って磁界方向を制御して成形時に磁界を印加する。コイルによる磁界方向をリング内で周方向に連続的かつ周期的に変化させる。
【0041】
図3では8対の磁界印加コイルを使用し、磁界方向は周方向にほぼ正弦波になるようにコイル位置を設計して、金型に適用している。コイルに流す電流は1×106A/cm2であり、パルス電流を成形時に加えている。硬質磁性材を配向させるための磁界を加えて成形後、Nd2Fe14Bの容易磁化方向である正方晶のc軸が図3の硬質磁性材の容易磁化方向2に沿ってほぼ配列する。実施例1と同様に焼結後や焼結、熱処理後もNd2Fe14Bのc軸は図3に示す硬質磁性材の容易磁化方向2に沿って配列している。焼結、熱処理後にダイヤモンドや砥石による加工あるいはワイヤーカットによる加工によりリング形状とし、着磁ヨークを用いてNd2Fe14Bを着磁(磁界15kOe以上)し、図3のリング磁石となる。
【0042】
軟磁性材3の形状は図3の8極リング磁石では、1極の角度の1/2以下の周方向の幅で、径方向は外周側の位置で径方向厚さの1/2以下である。径方向の軟磁性材3の体積率が1/2以上になると表面磁束密度の波形歪が5%以上になる。実施例1と同様とするのが好ましい。
【0043】
軟磁性材3を配置させずに硬質磁性材1のみでリング磁石を作製すると図4のようになる。図4の硬質磁性材1の配向は周方向に連続かつ周期的に繰り返されており、硬質磁性材の容易磁化方向の配向方向2は図4に示すように8回繰り返されている。図4のようなリング磁石の外周側の透磁率は周方向でほとんど変化しない。そのため、リラクタンストルクを活用することは困難である。
【0044】
これに対し、図3の構成の焼結体を得るためにリング形状に加工し、Nd2Fe14Bを着磁してのリング磁石の透磁率を測定すると透磁率が軟磁性材3の外周側で2%以上高い。また、図3のような硬質磁性材2の配向が周方向で連続的に変化する場合は、同一形状で同一磁性材料の場合、表面磁束密度が図1よりも高い。周方向に磁化容易軸方向が変化しているリング磁石の場合、軟磁性材3の位置は表面磁束密度の絶対値が最大値を示す角度から離れたほうが、表面磁束密度の波形歪が小さくなる。
【0045】
そこで図2に示すように軟磁性材3を硬質磁性材1の表面側に配置にする。図3では、軟磁性材の内周側位置は表面磁束密度の絶対値が最大となる角度と角度の中間位置に配置している。表面磁束密度の絶対値が最大となる角度では、容易磁化方向がほぼ径方向になっており、軟磁性材3の付近では硬質磁性材1の配向は図3に示すように周方向に近い方向に向いている。図2の外周側に軟磁性材3を配置する場合よりも内周側に軟磁性材を配置したほうが表面磁束密度の絶対値が高くなる。これは表面付近に軟磁性材があると磁束あるいは磁界の方向が磁石の作る方向に影響するためであり、内周側の図3の配置のほうが表面磁束密度の値の変化に対して影響が少ない。図3のようなリング磁石は、表面磁束密度が高く、誘起電圧を高くすることができ、かつ軟磁性材3の部分の透磁率が1.1よりも大きくなり、磁気抵抗が周方向で周期的に変化している。
【0046】
(実施例5)
図5は、本発明の極異方性リング磁石の極端部の径方向に軟磁性部を設けたリング磁石の断面図である。図5では硬質磁性材1はリング形状であり、硬質磁性材1の磁化容易軸方向の配向方向2が周方向で周期的に変化している。硬質磁性材1の内周側と外周側の各々の表面に出た連続した平板状の軟磁性材3が周方向に周期的に配置され、全体として一体の磁石である。
【0047】
軟磁性材3には鉄粉を使用する。5〜20μmの電解鉄粉に潤滑材としてステァリン酸亜鉛を約1%添加して混合後金型に挿入し、前述と同様に加圧成形され、平板状に形成する。硬質磁性材1には図3の実施例で使用したNdFeB系の磁性粉を用いている。硬質磁性粉を軟磁性材3の成形体が配置された金型の中に挿入する。その後、8000Oeの磁界中で1t/cm2の圧カで成形する。金型の外周側あるいは内周側のコイルにより図5の硬質磁性材1の容易磁化方向の配向方向2に沿って磁界方向を制御して成形時に磁界を印加する。コイルによる磁界方向をリング内で周方向に連続的かつ周期的に変化させる。本金型においては、内外周に実施例1と同様に凹部の溝が設けられ、軟磁性材3の成形体が加圧成形時において正確な位置が保たれる。
【0048】
図5の磁石を作製するために用いた配向金型では8対の磁界印加コイルを使用し、磁界方向は周方向にほぼ正弦波になるようにコイル位置を設計して適用している。コイルに流す電流は1×106A/cm2であり、パルス電流を成形時に加えている。硬質磁性材1を配向させるための磁界を加えて成形後、Nd2Fe14Bの容易磁化方向である正方晶のc軸が図5の硬質磁性材1の容易磁化方向の配向方向2に沿って配列する。焼結後や焼結、熱処理後もNd2Fe14Bのc軸は図5に示す硬質磁性材1の容易磁化方向の配向方向2に沿って配列している。
【0049】
実施例1と同様の焼結、熱処理後にダイヤモンドや砥石による加工あるいはワイヤーカットによる加工によりリング形状とし、着磁ヨークを用いてNd2Fe14Bを着磁(磁界15kOe以上)し、図5のリング磁石となる。
【0050】
軟磁性材3の形状は図5の8極リング磁石では、1極の角度の1/2以下の周方向の幅とし、周方向に対して1極当たり5〜10%とするのが好ましい。加工後にNd2Fe14Bを着磁して図5のリング磁石の透磁率を測定すると透磁率が軟磁性材3の外周側で10%以上高くなっていることを確認している。また、図5のリング磁石ではNd2Fe14Bの磁粉配向の配向度を90%以上にすることができ、誘起電圧を高くすることができる。これは、配向成形工程における軟磁性材により作られる磁路の方向が硬質磁性材の位置で他の例に比べて正弦波に近づけることができ、かつ高い磁界が得られるためである。
【0051】
(実施例6)
前述の図2、図3、図5に示すリング磁石は極異方性磁石に近い磁性材でできた硬質磁性材1の示す保磁力よりも小さな保磁力あるいは硬質磁性材1よりも大きな透磁率を有する部分である軟磁性材3から構成されても良い。硬質磁性材1の磁性材の容易磁化方向の配向方向2は点線で示される。この場合8極になっているが2極以上であれば極数は特に限定する必要はない。硬質磁性材1の磁気特性は残留磁束密度(Br)が0.6T以上、保磁力(iHc)が5kOe以上を有した磁性材料であり、NdFeB系の希土類元素(NdにDyなど他の希土類元素を添加する場合もある)及びFe(Coを添加する場合もある)、B(B以外の半金属元素を添加する場合もある)あるいはSmCo系を使用する。
【0052】
焼結磁石の作成工程では、磁粉原料粉の粒度分布を粉砕と分級により整えた後に磁界配向という配向成形が粉の向きを揃える工程を使用している。このとき、配向磁界の方向や磁界強度が不十分になっていると、磁粉の向きも十分に揃えることができない。リング磁石を構成している磁粉の配向は、極数により極の中央あるいは極の端部の配向が異なれば、X線回折強度の角度依存性として検出できる。ここで、極端部というのは、図5の軟磁性材3の位置であり、極中心は図5の軟磁性材3の位置から回転して次の軟磁性材の位置になるまでの中央位置である。
【0053】
図3の点線は配向方向(容易磁化方向と同じ方向)を示したものである。上記極端部の位置はこの点線が周方向と同じ方向(径方向と垂直方向)になっている位置である。すなわち極端部と極中心位置での配向方向は径方向あるいは周方向に対して互いに直角である。図3の点線は概略で示しているが、実際の磁石を構成する磁粉の方向は100%の磁粉がこのような点線を向かせることは困難である。磁粉の大きさは数μm以下であり、その粒径が分布しており、形状も完全に同一でなく、配向磁界を印加しながらプレスすることもあり、磁粉同士が接触した状態で磁界方向に完全に方位を揃えることは困難になるのである。図2、図3、図5では、硬質磁性材の容易磁化方向の配向方向2を点線で示しており、極端部に保磁力の小さな軟磁陛材3を配置させている。軟磁性材3の位置に配置、形成させた保磁カの小さな部分は硬質磁性材1と一体で成形している。その手法は焼結工程前に軟磁性材3の位置に軟磁性材3の成形体を配置させる方法、焼結工程において軟磁性材3の部分の焼結温度等の条件を変える手法、焼結後に軟磁性材3の部分の磁気特性を変える手法などがある。
【0054】
焼結前に軟磁性材3の部分に軟磁性材を配置させるには成形を2段に分けて成形体を作成後、焼結したり、軟磁性材3の部分の配向磁界を小さくしてその付近の磁気特性を変化させること、あるいは、極異方性磁石を配向成形後に軟磁性材3の付近のみに高い磁界を印加して磁気特性を変える手法がある。
【0055】
焼結工程において軟磁性材3の部分の焼結温度等の条件を変える手法には、軟磁性材3の部分のみ通常の焼結温度よりも高くするか、低くすることにより保磁力を小さくすることが可能である。焼結後に軟磁性材3の部分の磁気特性を変える手法では、焼結、加工後に軟磁性材3の部分を過熱急冷することにより保磁力を低下させることが可能である。磁石が極異方性の配向ではなくても図1のラジアル配向をもったリング磁石の場合においても図に示すように軟磁性材3の部分を周方向に周期的に配列させることにより磁気抵抗差をつくることができる。
【0056】
軟磁性材3の部分となる材料はNdFeB系の場合には粉の粒径を1桁以上他の部分より大きくして保磁力を小さくしたもの、NdFeB系の組成で非晶質あるいは金属ガラスに近い準安定構造にしたもの、NdFeB系の粉に磁気特性の異なる強磁性材(α−Fe、Fe3B、Fe4N、Fe203等)を混合させたもの、Fe−Si合金等の軟磁気特性を有する磁性材を適用できる。
【0057】
図6は、NdFeB系磁石で極異方性に近いリングに図3に示すように内周側の軟磁性材3にFe−3%Si粉を用いて一体で焼結した場合の表面磁東密度の波形を示す線図である。用いた粉はNd2Fe14Bの異方性磁粉であり、保磁力(iHc)が15〜25kOe、Brが1.1〜1.3Tの粉である。軟磁性を示すFe−3%Si粉の位置(図3の軟磁性材3の位置)を除いて予めNdFeB系磁粉のみで配向成形させ、その後上記軟磁性材の粉を図3の軟磁性材3の位置に加圧成形する。この場合の軟磁性材の径方向体積率は20%であり、周方向の(図3の軟磁性材3の位置の)幅は約5度である。この角度は1極の角度(8極の場合45度)の1/2以下が望ましい。配向に必要な磁界は5000Oe以上である。その後上記成形体を真空炉に入れて加熱焼結する。焼結温度は800〜1200℃である。焼結後に加工して、必要に応じて表面保護膜を形成する。図3は8極の場合を示しているが2極以上のいずれの極数の場合でも作製可能である。
【0058】
図6において縦軸は相対値であり横軸は角度である。磁石外径は30rnm、内径は20mmであり、高さ20mmである。測定位置は外周側の高さ10mmであり、ホール素子を用いて径方向の表面磁束密度を測定した。表面磁束密度の波形は正弦波に近く、その波形歪は約4%である。また、表面磁束密度のピーク値は、同一形状で作製したラジアルリング磁石と同等以上であった。
【0059】
(実施例7)
図7は、実施例6において径方向の軟磁性材の体積率を多くした場合について検討した軟磁性材の体積率と表面磁束密度の波形歪との関係を示す線図である。図7に示すように、軟磁性材の体積率が増加すると表面磁束密度の波形歪が増加する。また、図8に示すように、透磁率も軟磁性材の体積率の増加によって増加するが、特に20%までが急激に増加している。
【0060】
図7のように表面磁束密度の波形歪が増加するのは、軟磁性材の粉の存在によって硬質磁性材の粉であるNdFeBの粉の配向が悪くなること、軟磁性材と硬質磁性材の粉との間の拡散などによる磁気特性劣化が原因として考えられる。リラクタンストルクを確保して波形歪を抑制するためには軟磁性材の径方向体積率を5〜50%にすることが望ましい。この範囲でリング磁石の極中心における透磁率は1.0〜1.05である。これは図5において軟磁性材の粉を径方向100%としているが、軟磁性材3の部分を軟磁性と硬質磁性の混合体の方が波形歪低減には効果があることを示している。
【0061】
(実施例8)
図9及び図10は、実施例1〜7で製作したリング磁石を用いた回転子の斜視図である。回転シャフト12の軸方向中央にリング磁石11を有機系の接着剤を用いて接着している。モータの構造により内周側に軟磁性材を設けるか、外周側に設けるか異なる。また、極異方性リング磁石の配向もアウターローターに使用する場合は内周側に磁束が強くなるようにする。図10に示すように軟磁性材13を軸方向で傾斜させてコギングトルクを低減することも可能である。回転シャフト12は、リング磁石11を接着する部分(胴部)では、モータに必要なトルクに合わせた径とし、両側の回転シャフト12に対して最も大径となっている。中間部は、回転シャフト12としての強度を確保できる径を有するようにできるだけ軽量になるように細い径にしている。
【0062】
回転シャフト12に軟鋼、Fe合金、Al合金、Cu合金等が用いられ、回転子の表面には、酸化、腐食を防止するために、Niめっき、化成処理等が施される。
【0063】
図11は、図9及び図10の回転子を用いたモータの断面図である。本モータは、磁気抵抗の差を利用したリラクタンストルクが利用できるので、低回転数において高いトルクが確保できるものである。特に、本モータは、低速で高いトルクが要求される内燃機関とモータとを備えたハイブリット自動車において有効である。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、リング磁石の表面磁束密度あるいは誘起電圧波形が正弦波に近く、又、リング磁石の極中心の配向を高め、かつ軟磁性材の粉を周方向に周期的に形成することで透磁率の差を周方向で発生させることが可能であり、表面磁束密度の波形歪が小さく、コギングトルクの小さい回転子を提供でき、更に、低回転数におけるリラクタンストルクを利用可能なモータに適用できる。特に、高効率のモータを製造でき、産業用、自動車用、半導体装置などの搬送、位置決めモータなどに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の軟磁性材を極端部外周側に周方向に周期的に設けたラジアルリング磁石の断面図。
【図2】本発明の軟磁性材を極端部外周側に周方向に周期的に設けた極異方性リング磁石の断面図。
【図3】本発明の軟磁性材を内周側の周方向に周期的に設けた極異方性リング磁石の断面図。
【図4】極異方性リング磁石の断面図。
【図5】本発明の軟磁性材を極端部の径方向に設けた極異方性リング磁石の断面図。
【図6】軟磁性部を周方向に周期的に設けて作成したリング磁石の外周側表面磁束密度を示す線図。
【図7】表面磁束密度の波形歪と軟磁性材の径方向体積率との関係を示す線図。
【図8】リング磁石の透磁率と軟磁性材の径方向体積率との関係を示す線図。
【図9】本発明のリング磁石を適用したモータ用回転子の斜視図。
【図10】軟磁性材を軸方向に対して傾斜させた本発明のリング磁石を適用した回転子の斜視図。
【図11】本発明の回転子を用いたモータの断面図。
【符号の説明】
1…硬質磁性材(極異方性リング磁石)、2…硬質磁性材の容易磁化方向の配向方向、3、13…軟磁性材、4…硬質磁性材(ラジアルリング磁石)、11…極異方性リング磁石、12…回転シャフト、14…固定子、15…リング磁石。
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なリング磁石とその製造法及びそれを用いた回転子並びに回転機に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2000−269062号公報
【特許文献2】特開2000−195714号公報
従来のリング磁石において、容易磁化方向が周方向で連続的に変化した異方性
磁石については、
【特許文献1】、
【特許文献2】に記載されている。これらの公知例では、磁粉成形する工程においてコイル等による磁界によって磁粉を磁界の方向に配向させ、磁粉の配向方向に容易磁化方向がそろっている。磁粉の配向、成形後に焼結させ、焼結後の磁石は容易磁化方向が周方向で変化し、高い磁気特性をもった極異方性磁石を作成することが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術では、磁気抵抗の差を利用したリラクタンストルクと極異方性磁石の低コギングトルクを両立したリング磁石は示されていない。又、リラクタンストルク確保のために磁気特性の異なる磁性材の粉を一体で成形したリング磁石の周方向に周期的に配列させることは示されていない。
【0004】
発明者らは、リラクタンストルクを利用できれば低回転数におけるトルクを確保することが可能であり、低回転数で大きなトルクが必要なモータヘ応用することができることから、リラクタンストルクを利用する構造を検討した結果、磁気的に硬質なリングの周方向に軟質な部分を設けることを見出した。又、発明者らは、このようなリラクタンストルクを生み出すには、磁石を周方向に分割して磁石と磁石の間に軟磁性材を挿入させることで実現可能であるが、磁石の加工精度の確保が困難であること、磁石の接着工程が必要なこと、回転時の磁石保持、表面磁束密度のばらつき増大などの問題があることを見出した。
【0005】
更に、磁石を極ごとに分割する場合、1極ごとの形状ばらつきにより、表面磁束密度波形が変化する。特に磁石径がばらつくと、固定子のティース先端部における磁束が極ごとに異なる。磁石と軟磁性材の接着は回転子の強度低下をまねいたり、接着部の非磁性ギャップによる磁束の不均一性増大に繋がる。
【0006】
本発明の目的は、リング磁石の周方向に磁気抵抗の差をもたせ、磁気抵抗の差を利用したリラクタンストルクと極異方性磁石の低コギングトルクを両立したリング磁石とその製造法及びそれを用いた回転子並びに回転機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、磁気抵抗の差を利用したリラクタンストルクと極異方性磁石の低コギングトルクを両立させたリング磁石にある。リラクタンストルクを利用できれば低回転数におけるトルクを確保することが可能となり、低回転数でトルクが必要なモータヘ応用することができる。リラクタンストルクを利用するには、磁気的に硬質なリングの周方向に軟質な部分を設ける必要がある。このようなリラクタンストルクを生み出すには、磁石を周方向に分割して磁石と磁石の間に精度高く、容易に軟磁性材を挿入させることで実現でき、回転時の磁石保持、表面磁束密度のばらつきなどの問題が解決できるものである。
【0008】
本発明は、容易磁化方向が周方向又は径方向で周期的に変化したリング状硬質磁性材内に複数個の軟磁性材が周方向で一定の間隔で一体に形成されていることを特徴とするリング磁石にある。更に、本発明は、以下の要件を有する。
【0009】
容易磁化方向が周方向又は径方向で周期的に変化したリング状硬質磁性材の外周側又は内周側の少なくとも一方に複数個の軟磁性材が周方向で一定の間隔で埋め込まれ、一体に形成されていることを特徴とするリング磁石。
【0010】
容易磁化方向が周方向で正弦波状に周期的に変化したリング状硬質磁性材の外周側又は内周側の少なくとも一方に複数個の軟磁性材が周方向で一定の間隔で埋め込まれ、一体に形成されていることを特徴とするリング磁石。
【0011】
容易磁化方向が周方向で正弦波状に周期的に変化したリング状硬質磁性材内に内周側から外周側にかけて連続した複数個の軟磁性材が周方向で一定の間隔で一体に形成されていることを特徴とするリング磁石。
【0012】
本発明のリング磁石は、前記硬質磁性材と軟磁性材とが焼結によって一体に形成されていること、前記硬質磁性材と軟磁性材とが磁界中で加圧成形後、前記焼結されていること、前記軟磁性材は前記硬質磁性材の周方向における容易磁化方向が前記周方向に向いた位置に形成されていることが好ましい。
【0013】
本発明は、リング状に配置された硬質磁性材粉末中の周方向に一定の間隔で複数個の軟磁性材を配置する複合体の形成工程と、前記複合体を磁界中で配向させながら加圧成形体を形成する加圧成形工程と、前記加圧成形体を焼結させる焼結工程とを有することを特徴とするリング磁石の製造法にある。
【0014】
即ち、本発明は、硬質磁性材の粉末を磁界によって配向させる工程と、配向させた粉末を焼結させる工程を経て、軟磁気特性を示す部分が硬質磁性材と一体で成形し、軟磁気特性を示す部分の配置を周方向で周期的にしたものである。
【0015】
また、本発明は、前記リング状に配置された硬質磁性材粉末中の外周側あるいは内周側の一部に軟磁性材の粉末から成形焼結した透磁率の高い部分を整列させて成形したものである。
【0016】
または、前記リングの外周側あるいは内周側の一部に軟磁性材の粉末から成形、焼結した軟磁気特性を示す部分が周方向で一定の周期で整列させて成形されるものである。
【0017】
本発明は、硬質磁性材及び軟磁性材の粉末を使用し、磁界によってこれらの粉末を配向させる工程と配向させた粉末を焼結させる工程を有し、リング磁石を形成している硬質磁性材の容易磁化方向を周方向で正弦波状に周期的に変化させ、前記リングの内周側でかつ硬質磁性材の容易磁方向がほぼ周方向に向いた周方向角度位置に軟磁性材からなる透磁率の高い部分があり、軟磁気特性を示す部分が周方向で一定の周期で整列させたものである。
【0018】
本発明は、硬質磁性材及び軟磁性材の粉末を磁界によって配向させる工程と、配向させた粉末を焼結させる工程を経て作製されたリング磁石の硬質磁性材の容易磁化方向を周方向で正弦波状に周期的に変化させ、前記リングの硬質磁性材の容易磁化方向がほぼ周方向に向いた位置の近傍に内周側から外周側に連続した軟磁性材からなる透磁率の高い部分を設け、軟磁気特性を示す部分が周方向で一定の周期で整列されたものである。
【0019】
本発明は、硬質磁性材の粉末を磁界によって配向させる工程と、配向させた粉末を焼結させる工程を経て作製されるリング状磁石において、軟磁気特性を示す部分が硬質磁性材と一体で成形し、配向方向に近い方向に加えた外部磁界によってリング状磁石を着磁後、表面磁束密度の波形がほぼ正弦波になっているものである。
【0020】
前記リング状の硬質磁性材の容易磁化方向が周方向又は径方向で周期的に変化するように前記磁界方向を調整すること、前記軟磁性材は、軟磁性材粉を径方向になる方向の磁場中又は無磁場中にて加圧成形されたものであること、前記軟磁性材を、前記硬質磁性材の容易磁化方向が前記周方向に向いた位置に配置することが好ましい。
【0021】
更に、本発明は、シャフトの外周にリング状磁石を有する回転子において、前記リング磁石が前述に記載のリング磁石からなること、又前述に記載の製造法によって形成されたリング磁石からなることを特徴とする。
【0022】
又、本発明は、固定子と、該固定子内を回転する回転子とを有する回転機において、前記回転子が前述に記載の回転子からなることを特徴とし、特にモータにおいて定格トルクに対してコギングトルクが5%以下と小さく、高い誘起電圧を有しているものである。
【0023】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1は、本発明のラジアルリング磁石の極端部外周側に周方向に周期的に軟磁性部3を設けたリング磁石の断面図である。硬質磁性材4の容易磁化方向の配向方向2を点線で示している。硬質磁性材4の容易磁化方向の配向方向2は径方向であり、配向方向と垂直方向が困難軸方向である。
【0024】
硬質磁性材4は、少なくとも1種類の希土類金属、FeあるいはCo、及びBあるいはNの元素からなる化合物を含んでおり、特にNdFeB系、NdDyFeB系、NdFeCoB系、SmCo系、SmCoFe系、SmFeN系、SmCoZrN系が残留磁束密度が高いので、誘起電圧を高くできる。これらの硬質磁性材の粉末を組成調整、粒度分布調整後、前記粉末を磁界によって磁石として磁束を特定の方向に配向して用いられる。また、軟磁性材3はリング磁石の外周部に極数と同じ数で配置している。軟磁性材3はFe合金が透磁率が高くなるために最適であり、Fe−Si、Fe−A1、Fe−B、Fe−Cなどが良い。
【0025】
配向から焼結工程について以下に説明する。初めに軟磁性材3を四角形状の長尺の成形金型を用いて1〜10t/cm2以下の圧力で成形する。成形中の磁界は無磁場あるいはラジァル方向となる方向に磁界を印加させる。上記Fe合金粉には潤滑材としてステアリン酸を約1%添加し、よく混合した後に成形する。軟磁性材の粉の成形体を周方向にほぼ等間隔で配向金型の外周側に配置する。軟磁性材3は、その長手方向に対して垂直な断面形状は他に丸、三角、楕円など単純なものが良い。
【0026】
次に、軟磁性材3の成形体を2重円筒状の金型内の外周側に配置し、上記硬質磁性材4の粉をその金型内に注入する。金型内の外周側には、軟磁性材3の成形体が一部挿入できるようにそれと長さと幅が同一形状の凹部が設けられ、そこにはめ込まれ、硬質磁性材4の粉の注入時及び加圧成形時に動かないようにする。又、金型の長さは、軟磁性材3の成形体より長くなっており、加圧成形後に軟磁性材3の成形体と同じ長さになるように大きく、その加圧側はストレートに設けられる。コイルあるいは磁石からの磁界によって硬質磁性材4の粉の配向をラジアル方向に向けて加圧成形する。成形圧力は1〜10t/cm2である。1〜3μmの粒径のNdFeCoB系の粉を使用すれば、8000Oeの磁界を印加することにより、図5の硬質磁性材4の容易磁化方向の配向方向2に示す径方向あるいはラジアル方向に配向させることができる。この時の硬質磁性材4の粉の配向度は80%以上である。本金型によって軟磁性材3の成形体の正確な配置が得られる。
【0027】
このように加圧成形した粉を真空中(真空度1×10−2Pa)で焼結させる。まず、400〜500℃で予備焼結をする。この時潤滑剤が蒸発する。焼結温度は800℃以上1200℃以下(5時間)であり、Nd2(Fe、Co)14B(主相)及びNd2(Fe、Co)14BよりもNd量が多い相(Ndリッチ相)であるNdFe4B4が生成する。このNdリッチ相がバインダの役割となり軟磁性材3と硬質磁性材との界面も焼結される。又、焼結時に軟磁性材3の成形体の正確な配置によって焼結後も1極ごとの形状のバラツキの少ないリング磁石が得られる。
【0028】
焼結後、保磁力を増加させるために再度600℃以上1000℃以下(5時間)の温度で熱処理をする。熱処理後の主相の粒径は2〜15μmである。熱処理後に外周内外周を加工し、図1のようなリング磁石になる。このリング磁石は8極であり、外周側に極数と同じ数で軟磁性材3が配置されている。一つの軟磁性材の位置は、周方向に1極の角度の5〜10%である。径方向には3〜10%の厚さで作製している。
【0029】
(実施例2)
図2は、本発明の極異方性リング磁石の極端部外周側に周方向に周期的に軟磁性材3を設けたリング磁石の断面図である。図2では硬質磁性材1はリング形状であり、硬質磁性材1の磁化容易軸方向2が周方向で周期的に変化している。外周側に同一周面で軟磁性材3の表面が出るように周期的に軟磁性材3が配置され、全体として一体の磁石である。硬質磁性材1の材質は、実施例1と同様の物が用いられる。
【0030】
軟磁性材3には鉄粉を使用する。粒径5〜20μmの電解鉄粉に潤滑材としてステアリン酸亜鉛を約1%添加して混合後金型に挿入し、実施例1と同様に加圧成形し、四角形状の長尺形状とする。硬質磁性材1にはNdFeB系の磁性粉を用いている。NdFeB系磁性粉の粒径は3〜15μmである。エネルギー積を高くするためには平均粒径3〜5μmの単結晶粉を使用する。この磁性粉を軟磁性材2の成形体が外周側に配置された金型の中に挿入する。その後、8000Oeの磁界中で1t/cm2の圧カで成形する。金型の外周側あるいは内周側に配置したコイルにより図2の硬質磁性材の容易磁化方向2に沿って磁界方向を制御して成形時に磁界を印加する。コイルによる磁界方向をリング内で周方向に連続的かつ周期的に変化させる。
【0031】
図2では8対の磁界印加コイルを磁性粉挿入部の外周側あるいは内周側に極数に応じて配置されたものを使用し、磁界方向は周方向にほぼ正弦波になるようにコイル位置を設計して、金型に適用している。コイルに流す電流は1×106A/cm2であり、パルス電流を成形時に加えている。硬質磁性材を配向させるための磁界を加えて成形後、Nd2Fe14Bの容易磁化方向である正方晶のc軸が図4の硬質磁性材の容易磁化方向の配向方向2に沿って配列する。実施例1と同様に焼結後や焼結、熱処理後も、Nd2Fe14Bのc軸は図4に示す硬質磁性材の容易磁化方向2に沿って配列している。焼結、熱処理後にダイヤモンドや砥石による加工あるいはワイヤーカットによる加工によりリング形状とし、着磁ヨークを用いてNd2Fe14Bを着磁(磁界15kOe以上)し、図2のリング磁石となり、リング磁石は周期的に周方向の透磁率が変化する。
【0032】
軟磁性材3の形状は8極リング磁石では、1極の角度の1/2以下の周方向の幅で、径方向は外周側の位置で径方向厚さの1/2以下とし、実施例1と同様とするのが好ましい。径方向の軟磁性材3の体積率が1/2以上になると表面磁束密度の波形歪が5%以上になり、表面磁束密度のピーク値も低下する。また、周方向の軟磁性材3が1/2以上になると、表面磁束密度の波形歪が著しく増加する。
【0033】
(実施例3)
本実施例は、実施例2の硬質磁性材1としてNd2Fe14Bに代えてSmCo系を用いたもので、SmCo系の場合には、焼結温度よりも低い温度で溶体化処理により均一化させる。Sm2Co17の粉を軟磁性材成形体が実施例2と同様に配置された金型に挿入して、配向磁界を印加しながら加圧成形する。軟磁性材3には電解Fe粉を用いる。電解Fe粉の成形圧カは約5t/cm2である。Sm2Co17粉成形形時の磁界は7000Oe以上であり、c軸を磁界方向に配向させる。成形時の圧力は1〜10t/cm2である。成形体を真空加熱炉内で実施例1と同様に予備焼結し、更に1000〜1200℃で焼結後、700〜900℃で熱処理する。焼結時の雰囲気は水素、不活性ガスあるいは真空である。Coの一部をCuに変えた組成にすることにより、10kOeを超える保磁力でエネルギー積(Bhmax)が90kJ/m3のリング磁石を得ることができる。
【0034】
焼結後のSm2Co17の配向は図2に示すように周方向で周期的かつ連続的に変化する。このような配向に容易磁化方向が沿うように配向成形に使用する配向ヨークのコイルあるいは磁石の位置を設計する。コイルあるいは磁石はリング状の磁性粉挿入部の外周側あるいは内周側に極数に応じて配置されたものを使用している。硬質磁性材3の形状は図2の8極リング磁石では、1極の角度の1/2以下の周方向の幅で、径方向は外周側の位置で径方向厚さの1/2以下とし、実施例1と同様とするのが好ましい。径方向の軟磁性材の体積率が1/2以上になると表面磁束密度の波形歪が5%以上になり、表面磁束密度のピーク値も低下する。
【0035】
また、周方向の軟磁性材が1/2以上になると、表面磁束密度の波形歪が著しく増加する。加工後にSm2Co17を着磁して図2のリング磁石の透磁率を測定すると透磁率が軟磁性材3の外周側で5%以上高くなっていることを確認している。
【0036】
また、図2のような硬質磁性材2の配向が周方向で連続的に変化する場合は、同一形状で同一磁性材料の場合、表面磁束密度が図1よりも高い。周方向に磁化容易軸方向が変化しているリング磁石の場合、軟磁性材3の位置は表面磁束密度の絶対値が最大値を示す角度から離れたほうが、表面磁束密度の波形歪が小さくなる。そこで図2に示すような軟磁性材3の配置にする。図2では、軟磁性材の位置は表面磁束密度の絶対値が最大となる角度と角度の中間位置に配置している。表面磁束密度の絶対値が最大となる角度では、容易磁化方向がほぼ径方向になっており、軟磁性材3の付近では硬質磁性材の配向は図2に示すように周方向に近い方向に向いている。このようなリング磁石は、表面磁束密度が高く、誘起電圧を高くすることができ、かつ軟磁性材3の部分の透磁率が1.1よりも大きくなるので、磁気抵抗が周方向で周期的に変化している。
【0037】
本実施例の硬質磁性材1のSmCo系を実施例1に用いた場合においても同様の効果を得ることができる。
【0038】
(実施例4)
図3は、本発明の極異方性リング磁石の内周側に軟磁性部を周方向に周期的に設けたリング磁石の断面図である。図3では硬質磁性材1はリング形状であり、硬質磁性材1の磁化容易軸方向の配向方向2が周方向で周期的に変化している。内周側表面に軟磁性材3の表面がでるように周期的に軟磁性材3が配置され、全体として一体の磁石である。
【0039】
軟磁性材3には鉄粉を使用する。5〜20μmの電解鉄粉に潤滑剤としてステアリン酸亜鉛を約1%添加して混合後金型に挿入する。硬質磁性材1にはNdFeB系の磁性粉を用いている。NdFeB系磁粉は、Nd2Fe14B、(M,Dy)2Fe14B、(Nd,Dy)15Fe77B7A11 、(Nd,Dy)2(Fe,Co)14Bを要求される磁気特性、製造コスト、使用環境に応じて選択しているが軟磁性材3を配置させて得られる透磁率の周方向における周期的変化を生み出すためには、上記NdFeB系、SmCo系のいずれでも良い。金型は、実施例1の外周を内周と同様の構造にしたものである。それによって形状にバラツキの少ないリング磁石が得られる。
【0040】
使用したNdFeB系磁性粉の粒径は3〜15μmである。エネルギー積を高くするためには平均粒径35μmの単結晶粉を使用する。この磁性粉を軟磁性材の成形体が配置された金型の中に挿入する。その後、8000Oeの磁界中で1t/cm2の圧力で成形する。金型の外周側あるいは内周側のコイルにより図3の硬質磁性林の容易磁化方向2に沿って磁界方向を制御して成形時に磁界を印加する。コイルによる磁界方向をリング内で周方向に連続的かつ周期的に変化させる。
【0041】
図3では8対の磁界印加コイルを使用し、磁界方向は周方向にほぼ正弦波になるようにコイル位置を設計して、金型に適用している。コイルに流す電流は1×106A/cm2であり、パルス電流を成形時に加えている。硬質磁性材を配向させるための磁界を加えて成形後、Nd2Fe14Bの容易磁化方向である正方晶のc軸が図3の硬質磁性材の容易磁化方向2に沿ってほぼ配列する。実施例1と同様に焼結後や焼結、熱処理後もNd2Fe14Bのc軸は図3に示す硬質磁性材の容易磁化方向2に沿って配列している。焼結、熱処理後にダイヤモンドや砥石による加工あるいはワイヤーカットによる加工によりリング形状とし、着磁ヨークを用いてNd2Fe14Bを着磁(磁界15kOe以上)し、図3のリング磁石となる。
【0042】
軟磁性材3の形状は図3の8極リング磁石では、1極の角度の1/2以下の周方向の幅で、径方向は外周側の位置で径方向厚さの1/2以下である。径方向の軟磁性材3の体積率が1/2以上になると表面磁束密度の波形歪が5%以上になる。実施例1と同様とするのが好ましい。
【0043】
軟磁性材3を配置させずに硬質磁性材1のみでリング磁石を作製すると図4のようになる。図4の硬質磁性材1の配向は周方向に連続かつ周期的に繰り返されており、硬質磁性材の容易磁化方向の配向方向2は図4に示すように8回繰り返されている。図4のようなリング磁石の外周側の透磁率は周方向でほとんど変化しない。そのため、リラクタンストルクを活用することは困難である。
【0044】
これに対し、図3の構成の焼結体を得るためにリング形状に加工し、Nd2Fe14Bを着磁してのリング磁石の透磁率を測定すると透磁率が軟磁性材3の外周側で2%以上高い。また、図3のような硬質磁性材2の配向が周方向で連続的に変化する場合は、同一形状で同一磁性材料の場合、表面磁束密度が図1よりも高い。周方向に磁化容易軸方向が変化しているリング磁石の場合、軟磁性材3の位置は表面磁束密度の絶対値が最大値を示す角度から離れたほうが、表面磁束密度の波形歪が小さくなる。
【0045】
そこで図2に示すように軟磁性材3を硬質磁性材1の表面側に配置にする。図3では、軟磁性材の内周側位置は表面磁束密度の絶対値が最大となる角度と角度の中間位置に配置している。表面磁束密度の絶対値が最大となる角度では、容易磁化方向がほぼ径方向になっており、軟磁性材3の付近では硬質磁性材1の配向は図3に示すように周方向に近い方向に向いている。図2の外周側に軟磁性材3を配置する場合よりも内周側に軟磁性材を配置したほうが表面磁束密度の絶対値が高くなる。これは表面付近に軟磁性材があると磁束あるいは磁界の方向が磁石の作る方向に影響するためであり、内周側の図3の配置のほうが表面磁束密度の値の変化に対して影響が少ない。図3のようなリング磁石は、表面磁束密度が高く、誘起電圧を高くすることができ、かつ軟磁性材3の部分の透磁率が1.1よりも大きくなり、磁気抵抗が周方向で周期的に変化している。
【0046】
(実施例5)
図5は、本発明の極異方性リング磁石の極端部の径方向に軟磁性部を設けたリング磁石の断面図である。図5では硬質磁性材1はリング形状であり、硬質磁性材1の磁化容易軸方向の配向方向2が周方向で周期的に変化している。硬質磁性材1の内周側と外周側の各々の表面に出た連続した平板状の軟磁性材3が周方向に周期的に配置され、全体として一体の磁石である。
【0047】
軟磁性材3には鉄粉を使用する。5〜20μmの電解鉄粉に潤滑材としてステァリン酸亜鉛を約1%添加して混合後金型に挿入し、前述と同様に加圧成形され、平板状に形成する。硬質磁性材1には図3の実施例で使用したNdFeB系の磁性粉を用いている。硬質磁性粉を軟磁性材3の成形体が配置された金型の中に挿入する。その後、8000Oeの磁界中で1t/cm2の圧カで成形する。金型の外周側あるいは内周側のコイルにより図5の硬質磁性材1の容易磁化方向の配向方向2に沿って磁界方向を制御して成形時に磁界を印加する。コイルによる磁界方向をリング内で周方向に連続的かつ周期的に変化させる。本金型においては、内外周に実施例1と同様に凹部の溝が設けられ、軟磁性材3の成形体が加圧成形時において正確な位置が保たれる。
【0048】
図5の磁石を作製するために用いた配向金型では8対の磁界印加コイルを使用し、磁界方向は周方向にほぼ正弦波になるようにコイル位置を設計して適用している。コイルに流す電流は1×106A/cm2であり、パルス電流を成形時に加えている。硬質磁性材1を配向させるための磁界を加えて成形後、Nd2Fe14Bの容易磁化方向である正方晶のc軸が図5の硬質磁性材1の容易磁化方向の配向方向2に沿って配列する。焼結後や焼結、熱処理後もNd2Fe14Bのc軸は図5に示す硬質磁性材1の容易磁化方向の配向方向2に沿って配列している。
【0049】
実施例1と同様の焼結、熱処理後にダイヤモンドや砥石による加工あるいはワイヤーカットによる加工によりリング形状とし、着磁ヨークを用いてNd2Fe14Bを着磁(磁界15kOe以上)し、図5のリング磁石となる。
【0050】
軟磁性材3の形状は図5の8極リング磁石では、1極の角度の1/2以下の周方向の幅とし、周方向に対して1極当たり5〜10%とするのが好ましい。加工後にNd2Fe14Bを着磁して図5のリング磁石の透磁率を測定すると透磁率が軟磁性材3の外周側で10%以上高くなっていることを確認している。また、図5のリング磁石ではNd2Fe14Bの磁粉配向の配向度を90%以上にすることができ、誘起電圧を高くすることができる。これは、配向成形工程における軟磁性材により作られる磁路の方向が硬質磁性材の位置で他の例に比べて正弦波に近づけることができ、かつ高い磁界が得られるためである。
【0051】
(実施例6)
前述の図2、図3、図5に示すリング磁石は極異方性磁石に近い磁性材でできた硬質磁性材1の示す保磁力よりも小さな保磁力あるいは硬質磁性材1よりも大きな透磁率を有する部分である軟磁性材3から構成されても良い。硬質磁性材1の磁性材の容易磁化方向の配向方向2は点線で示される。この場合8極になっているが2極以上であれば極数は特に限定する必要はない。硬質磁性材1の磁気特性は残留磁束密度(Br)が0.6T以上、保磁力(iHc)が5kOe以上を有した磁性材料であり、NdFeB系の希土類元素(NdにDyなど他の希土類元素を添加する場合もある)及びFe(Coを添加する場合もある)、B(B以外の半金属元素を添加する場合もある)あるいはSmCo系を使用する。
【0052】
焼結磁石の作成工程では、磁粉原料粉の粒度分布を粉砕と分級により整えた後に磁界配向という配向成形が粉の向きを揃える工程を使用している。このとき、配向磁界の方向や磁界強度が不十分になっていると、磁粉の向きも十分に揃えることができない。リング磁石を構成している磁粉の配向は、極数により極の中央あるいは極の端部の配向が異なれば、X線回折強度の角度依存性として検出できる。ここで、極端部というのは、図5の軟磁性材3の位置であり、極中心は図5の軟磁性材3の位置から回転して次の軟磁性材の位置になるまでの中央位置である。
【0053】
図3の点線は配向方向(容易磁化方向と同じ方向)を示したものである。上記極端部の位置はこの点線が周方向と同じ方向(径方向と垂直方向)になっている位置である。すなわち極端部と極中心位置での配向方向は径方向あるいは周方向に対して互いに直角である。図3の点線は概略で示しているが、実際の磁石を構成する磁粉の方向は100%の磁粉がこのような点線を向かせることは困難である。磁粉の大きさは数μm以下であり、その粒径が分布しており、形状も完全に同一でなく、配向磁界を印加しながらプレスすることもあり、磁粉同士が接触した状態で磁界方向に完全に方位を揃えることは困難になるのである。図2、図3、図5では、硬質磁性材の容易磁化方向の配向方向2を点線で示しており、極端部に保磁力の小さな軟磁陛材3を配置させている。軟磁性材3の位置に配置、形成させた保磁カの小さな部分は硬質磁性材1と一体で成形している。その手法は焼結工程前に軟磁性材3の位置に軟磁性材3の成形体を配置させる方法、焼結工程において軟磁性材3の部分の焼結温度等の条件を変える手法、焼結後に軟磁性材3の部分の磁気特性を変える手法などがある。
【0054】
焼結前に軟磁性材3の部分に軟磁性材を配置させるには成形を2段に分けて成形体を作成後、焼結したり、軟磁性材3の部分の配向磁界を小さくしてその付近の磁気特性を変化させること、あるいは、極異方性磁石を配向成形後に軟磁性材3の付近のみに高い磁界を印加して磁気特性を変える手法がある。
【0055】
焼結工程において軟磁性材3の部分の焼結温度等の条件を変える手法には、軟磁性材3の部分のみ通常の焼結温度よりも高くするか、低くすることにより保磁力を小さくすることが可能である。焼結後に軟磁性材3の部分の磁気特性を変える手法では、焼結、加工後に軟磁性材3の部分を過熱急冷することにより保磁力を低下させることが可能である。磁石が極異方性の配向ではなくても図1のラジアル配向をもったリング磁石の場合においても図に示すように軟磁性材3の部分を周方向に周期的に配列させることにより磁気抵抗差をつくることができる。
【0056】
軟磁性材3の部分となる材料はNdFeB系の場合には粉の粒径を1桁以上他の部分より大きくして保磁力を小さくしたもの、NdFeB系の組成で非晶質あるいは金属ガラスに近い準安定構造にしたもの、NdFeB系の粉に磁気特性の異なる強磁性材(α−Fe、Fe3B、Fe4N、Fe203等)を混合させたもの、Fe−Si合金等の軟磁気特性を有する磁性材を適用できる。
【0057】
図6は、NdFeB系磁石で極異方性に近いリングに図3に示すように内周側の軟磁性材3にFe−3%Si粉を用いて一体で焼結した場合の表面磁東密度の波形を示す線図である。用いた粉はNd2Fe14Bの異方性磁粉であり、保磁力(iHc)が15〜25kOe、Brが1.1〜1.3Tの粉である。軟磁性を示すFe−3%Si粉の位置(図3の軟磁性材3の位置)を除いて予めNdFeB系磁粉のみで配向成形させ、その後上記軟磁性材の粉を図3の軟磁性材3の位置に加圧成形する。この場合の軟磁性材の径方向体積率は20%であり、周方向の(図3の軟磁性材3の位置の)幅は約5度である。この角度は1極の角度(8極の場合45度)の1/2以下が望ましい。配向に必要な磁界は5000Oe以上である。その後上記成形体を真空炉に入れて加熱焼結する。焼結温度は800〜1200℃である。焼結後に加工して、必要に応じて表面保護膜を形成する。図3は8極の場合を示しているが2極以上のいずれの極数の場合でも作製可能である。
【0058】
図6において縦軸は相対値であり横軸は角度である。磁石外径は30rnm、内径は20mmであり、高さ20mmである。測定位置は外周側の高さ10mmであり、ホール素子を用いて径方向の表面磁束密度を測定した。表面磁束密度の波形は正弦波に近く、その波形歪は約4%である。また、表面磁束密度のピーク値は、同一形状で作製したラジアルリング磁石と同等以上であった。
【0059】
(実施例7)
図7は、実施例6において径方向の軟磁性材の体積率を多くした場合について検討した軟磁性材の体積率と表面磁束密度の波形歪との関係を示す線図である。図7に示すように、軟磁性材の体積率が増加すると表面磁束密度の波形歪が増加する。また、図8に示すように、透磁率も軟磁性材の体積率の増加によって増加するが、特に20%までが急激に増加している。
【0060】
図7のように表面磁束密度の波形歪が増加するのは、軟磁性材の粉の存在によって硬質磁性材の粉であるNdFeBの粉の配向が悪くなること、軟磁性材と硬質磁性材の粉との間の拡散などによる磁気特性劣化が原因として考えられる。リラクタンストルクを確保して波形歪を抑制するためには軟磁性材の径方向体積率を5〜50%にすることが望ましい。この範囲でリング磁石の極中心における透磁率は1.0〜1.05である。これは図5において軟磁性材の粉を径方向100%としているが、軟磁性材3の部分を軟磁性と硬質磁性の混合体の方が波形歪低減には効果があることを示している。
【0061】
(実施例8)
図9及び図10は、実施例1〜7で製作したリング磁石を用いた回転子の斜視図である。回転シャフト12の軸方向中央にリング磁石11を有機系の接着剤を用いて接着している。モータの構造により内周側に軟磁性材を設けるか、外周側に設けるか異なる。また、極異方性リング磁石の配向もアウターローターに使用する場合は内周側に磁束が強くなるようにする。図10に示すように軟磁性材13を軸方向で傾斜させてコギングトルクを低減することも可能である。回転シャフト12は、リング磁石11を接着する部分(胴部)では、モータに必要なトルクに合わせた径とし、両側の回転シャフト12に対して最も大径となっている。中間部は、回転シャフト12としての強度を確保できる径を有するようにできるだけ軽量になるように細い径にしている。
【0062】
回転シャフト12に軟鋼、Fe合金、Al合金、Cu合金等が用いられ、回転子の表面には、酸化、腐食を防止するために、Niめっき、化成処理等が施される。
【0063】
図11は、図9及び図10の回転子を用いたモータの断面図である。本モータは、磁気抵抗の差を利用したリラクタンストルクが利用できるので、低回転数において高いトルクが確保できるものである。特に、本モータは、低速で高いトルクが要求される内燃機関とモータとを備えたハイブリット自動車において有効である。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、リング磁石の表面磁束密度あるいは誘起電圧波形が正弦波に近く、又、リング磁石の極中心の配向を高め、かつ軟磁性材の粉を周方向に周期的に形成することで透磁率の差を周方向で発生させることが可能であり、表面磁束密度の波形歪が小さく、コギングトルクの小さい回転子を提供でき、更に、低回転数におけるリラクタンストルクを利用可能なモータに適用できる。特に、高効率のモータを製造でき、産業用、自動車用、半導体装置などの搬送、位置決めモータなどに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の軟磁性材を極端部外周側に周方向に周期的に設けたラジアルリング磁石の断面図。
【図2】本発明の軟磁性材を極端部外周側に周方向に周期的に設けた極異方性リング磁石の断面図。
【図3】本発明の軟磁性材を内周側の周方向に周期的に設けた極異方性リング磁石の断面図。
【図4】極異方性リング磁石の断面図。
【図5】本発明の軟磁性材を極端部の径方向に設けた極異方性リング磁石の断面図。
【図6】軟磁性部を周方向に周期的に設けて作成したリング磁石の外周側表面磁束密度を示す線図。
【図7】表面磁束密度の波形歪と軟磁性材の径方向体積率との関係を示す線図。
【図8】リング磁石の透磁率と軟磁性材の径方向体積率との関係を示す線図。
【図9】本発明のリング磁石を適用したモータ用回転子の斜視図。
【図10】軟磁性材を軸方向に対して傾斜させた本発明のリング磁石を適用した回転子の斜視図。
【図11】本発明の回転子を用いたモータの断面図。
【符号の説明】
1…硬質磁性材(極異方性リング磁石)、2…硬質磁性材の容易磁化方向の配向方向、3、13…軟磁性材、4…硬質磁性材(ラジアルリング磁石)、11…極異方性リング磁石、12…回転シャフト、14…固定子、15…リング磁石。
Claims (17)
- 容易磁化方向が周方向又は径方向で周期的に変化したリング状硬質磁性材内に複数個の軟磁性材が周方向で一定の間隔で一体に形成されていることを特徴とするリング磁石。
- 容易磁化方向が周方向又は径方向で周期的に変化したリング状硬質磁性材の外周側又は内周側の少なくとも一方に複数個の軟磁性材が周方向で一定の間隔で埋め込まれ、一体に形成されていることを特徴とするリング磁石。
- 容易磁化方向が周方向で正弦波状に周期的に変化したリング状硬質磁性材の外周側又は内周側の少なくとも一方に複数個の軟磁性材が周方向で一定の間隔で埋め込まれ、一体に形成されていることを特徴とするリング磁石。
- 容易磁化方向が周方向で正弦波状に周期的に変化したリング状硬質磁性材内に内周側から外周側にかけて連続した複数個の軟磁性材が周方向で一定の間隔で一体に形成されていることを特徴とするリング磁石。
- 請求項1〜4のいずれかにおいて、前記硬質磁性材と軟磁性材とは焼結によって一体に形成されていることを特徴とするリング磁石。
- 請求項1〜5のいずれかにおいて、前記硬質磁性材と軟磁性材とは、磁界中で加圧成形後、前記焼結されていることを特徴とするリング磁石。
- 請求項1〜6のいずれかにおいて、前記軟磁性材は前記硬質磁性材の周方向における容易磁化方向が前記周方向に向いた位置に形成されていることを特徴とするリング磁石。
- リング状に配置された硬質磁性材粉末中の周方向に一定の間隔で複数個の軟磁性材を配置する複合体の形成工程と、前記複合体を磁界中で配向させながら加圧成形体を形成する加圧成形工程と、前記加圧成形体を焼結させる焼結工程とを有することを特徴とするリング磁石の製造法。
- リング状に配置された硬質磁性材粉末中の外周側又は内周側の少なくとも一方に複数個の軟磁性材を周方向に一定の間隔で配置する複合体の形成工程と、前記複合体を磁界中で配向させながら加圧成形体を形成する加圧成形工程と、前記加圧成形体を焼結させる焼結工程とを有することを特徴とするリング磁石の製造法。
- リング状に配置された硬質磁性材粉末中の一部に内周側から外周側にかけて連続した複数個の軟磁性材を周方向に一定の間隔で配置する複合体の形成工程と、前記複合体を磁界中で配向させながら加圧成形体を形成する加圧成形工程と、前記加圧成形体を焼結させる焼結工程とを有することを特徴とするリング磁石の製造法。
- 請求項8〜10のいずれかにおいて、前記リング状の硬質磁性材の容易磁化方向が周方向又は径方向で周期的に変化するように前記磁界方向を調整することを特徴とするリング磁石の製造法。
- 請求項8〜11のいずれかにおいて、前記軟磁性材は、軟磁性材粉を径方向になる方向の磁場中又は無磁場中にて加圧成形されたものであることを特徴とするリング磁石の製造法。
- 請求項8〜12のいずれかにおいて、前記軟磁性材を、前記硬質磁性材の容易磁化方向が前記周方向に向いた位置に配置することを特徴とするリング磁石の製造法。
- シャフトの外周にリング状磁石を有する回転子において、前記リング磁石が、請求項1〜7のいずれかに記載のリング磁石からなることを特徴とする回転子。
- シャフトの外周にリング状磁石を有する回転子において、前記リング磁石が、請求項8〜13のいずれかに記載のリング磁石の製造法によって形成されたリング磁石からなることを特徴とする回転子。
- 固定子と、該固定子内を回転する回転子とを有する回転機において、前記回転子が請求項14又は15に記載の回転子からなることを特徴とする回転機。
- 請求項16において、定格トルクに対してコギングトルクが5%以下であることを特徴とする回転機。
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