JP2010273475A - リング磁石の製造方法、リング磁石、モータ、及び電動パワーステアリング装置 - Google Patents

リング磁石の製造方法、リング磁石、モータ、及び電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】より円滑なモータ回転を実現し得るリング磁石の製造方法を提供すること。
【解決手段】リング磁石13の各磁極18(18n,18s)は、当該各磁極18に対応して同リング磁石13の外周面20に設定された各磁極領域21(21n,21s)に対し、複数の小領域22を設定して着磁することにより行なわれる。そして、これらの各小領域22は、各磁極領域21における着磁領域の占める割合、即ち着磁領域占有率が、その周方向において境界部側から中央部側に向って大となるように設定される。
【選択図】図4

Description

本発明は、リング磁石の製造方法、リング磁石、モータ、及び電動パワーステアリング装置に関するものである。
従来、電動パワーステアリング装置(EPS)の駆動源に用いられるモータには、組付け性等を考慮して、その界磁用永久磁石として円筒状をなすリング磁石を用いたものがある(例えば、特許文献1参照)。
さて、通常、このようなリング磁石では、その周方向に沿って複数の磁極領域を設定し、これら各磁極領域に異なる極性を交互に着磁することにより複数の磁極が形成される。このため、その周方向における磁束密度分布を示す波形、即ちリング磁石の起磁力波形は、奇数次(3次、5次、7次、…)の高調波成分を含んだ台形波となり(特許文献2、第4図参照)、これにより生ずるトルクリップルが振動や騒音の要因となるという問題がある。
そこで、例えば、特許文献2に記載のモータでは、各磁極の境界部を減磁することにより、また特許文献1に記載のモータでは、各磁極の境界部に異なる極性を有する領域を形成することにより、実質的に上記の高調波成分を除去し、その起磁力波形を正弦波に近づける構成が開示されている。
特開2008−295207号公報 特開2000−306726号公報
しかしながら、近年、EPSにおいては、より高い静粛性が求められるようになっている。このため、その駆動源であるモータについてもまた、更なる円滑な回転が要求されており、その実現を可能とする優れたリング磁石及びその製造方法の創出が待たれていた。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、より円滑なモータ回転を実現し得るリング磁石の製造方法、リング磁石、及びこれを用いたモータ、並びに電動パワーステアリング装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、極性の異なる磁極が周方向に沿って交互に形成されたリング磁石の製造方法であって、前記リング磁石の周面に複数の磁極領域を設定するとともに、該各磁極領域の周方向において隣接する他の磁極領域との境界部側から磁極中心に対応する中央部側に向って着磁領域の占める割合が大きくなるように、前記各磁極領域に複数の小領域を設定して着磁することにより前記各磁極を形成すること、を要旨とする。
上記構成によれば、製造されたリング磁石の周方向における磁束密度は、各磁極領域の境界部側から中央部側に向って大となる。これにより、同リング磁石の起磁力波形を、より好適なかたちで正弦波に近づけることができ、その結果、トルクリップルの少ない、より円滑なモータ回転を実現することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、前記境界部側から前記中央部側に向って前記各小領域の間隔が狭くなるように設定すること、を要旨とする。
請求項3に記載の発明は、前記境界部側から前記中央部側に向って前記各小領域の面積が大きくなるように設定すること、を要旨とする。
上記各構成によれば、容易に、各磁極領域における着磁領域の占める割合を境界部側から中央部側に向って大とすることができる。
請求項4に記載の発明は、前記各小領域への着磁は、前記リング磁石の周面に対向する複数の突部を備えた着磁ヨークを用いて行なわれること、を要旨とする。
上記構成によれば、各小領域の設定及び当該各小領域に対する着磁を容易に行なうことができる。
請求項5に記載の発明は、極性の異なる磁極が周方向に沿って交互に形成されたリング磁石の製造方法において、前記リング磁石の周面に複数の磁極領域を設定して該各磁極領域の全面に着磁することにより前記各磁極を形成するとともに、前記各磁極領域の周方向において磁極中心に対応する中央部側から隣接する他の磁極領域との境界部側に向って減磁領域の占める割合が大きくなるように、前記各磁極領域に複数の小領域を設定して減磁を行なうこと、を要旨とする。
上記構成によれば、製造されたリング磁石の周方向における磁束密度は、各磁極領域の中央部側から境界部側に向って小となる。これにより、同リング磁石の起磁力波形を、より好適なかたちで正弦波に近づけることができ、その結果、トルクリップルの少ない、より円滑なモータ回転を実現することができるようになる。
請求項6に記載の発明は、極性の異なる磁極が周方向に沿って交互に形成されたリング磁石において、前記各磁極は、該各磁極に対応して前記リング磁石の周面に設定された各磁極領域において、隣接する他の磁極領域との境界部側から磁極中心に対応する周方向中央部側に向って着磁領域の占める割合が大きくなるように、複数の小領域を設定して着磁することにより形成されてなること、を要旨とする。
上記構成によれば、その周方向における磁束密度は、各磁極領域の境界部側から中央部側に向って大となる。その結果、同リング磁石の起磁力波形を、より好適なかたちで正弦波に近づけることができる。
請求項7に記載の発明は、極性の異なる磁極が周方向に沿って交互に形成されたリング磁石において、前記各磁極は、該各磁極に対応して前記リング磁石の周面に設定された各磁極領域の全面に着磁してなるとともに、前記各磁極領域には、磁極中心に対応する周方向中央部側から隣接する他の磁極領域との境界部側に向って占める割合が大となるように減磁領域が形成されること、を要旨とする。
上記構成によれば、その周方向における磁束密度は、各磁極領域の中央部側から境界部側に向って小となる。その結果、同リング磁石の起磁力波形を、より好適なかたちで正弦波に近づけることができる。
請求項8に記載の発明は、請求項6又は請求項7に記載のリング磁石を備えたモータであること、を要旨とする。
上記構成によれば、トルクリップルの少ない円滑な回転特性を有するモータを提供することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項6又は請求項7に記載のリング磁石を備えたモータを駆動源とする電動パワーステアリング装置であること、を要旨とする。
上記構成によれば、モータ回転時のトルクリップルを低減して、静粛性の高い電動パワーステアリング装置を提供することができる。
本発明によれば、より円滑なモータ回転を実現し得るリング磁石の製造方法、リング磁石、及びこれを用いたモータ、並びに電動パワーステアリング装置を提供することができる。
電動パワーステアリング装置の概略構成図。 モータの概略構成図。 リング磁石の展開図。 第1の実施形態におけるリング磁石の展開図。 第1の実施形態における着磁対象となる各小領域の設定の態様を示す説明図。 第1の実施形態における各磁極領域の周方向位置と着磁領域占有率との関係性を示す説明図。 着磁ヨークを用いたリング磁極への着磁の態様を示す平面図。 着磁ヨークの斜視図。 (a)着磁ヨークを構成する基本単位の斜視図、(b)同じく正面図。 基本単位を重ね合わせてなる積重単位の斜視図。 第2の実施形態におけるリング磁石の展開図。 第2の実施形態における各磁極領域の周方向位置と減磁領域占有率との関係性を示す説明図。 第2の実施形態における各磁極領域の周方向位置と減磁対象となる各小領域の間隔との関係性を示す説明図。 各磁極領域の周方向位置と着磁対象となる各小領域の面積との関係性を示す別例の説明図。 着磁対象となる各小領域の設定の態様を示す別例の説明図。 別例の着磁ヨークの斜視図。 着磁対象となる各小領域の設定の態様を示す別例の説明図。 着磁対象となる各小領域の設定の態様を示す別例の説明図。 減磁対象となる各小領域の設定の態様を示す別例の説明図。 (a)(b)(c)異なる極性を有する隣接した磁極の境界部に形成された減磁領域の態様を示す説明図。
[第1の実施形態]
以下、本発明を電動パワーステアリング装置(EPS)用モータのリング磁石に具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態のEPS1において、ステアリング2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック軸5と連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック軸5の往復直線運動に変換される。そして、このステアリングシャフト3の回転に伴うラック軸5の往復直線運動が、同ラック軸5の両端に連結されたタイロッド6を介して図示しないナックルに伝達されることにより、転舵輪7の舵角が変更される。
尚、本実施形態のステアリングシャフト3は、コラムシャフト3a、インターミディエイトシャフト3b、及びピニオンシャフト3cを連結してなる。そして、本実施形態のEPS1は、モータ10を駆動源として、そのコラムシャフト3aを回転駆動する所謂コラム型のEPSとして構成されている。
即ち、本実施形態のEPS1において、モータ10は、減速機構11を介してコラムシャフト3aと駆動連結されている。そして、この減速機構11を用いてモータ10の回転を減速してステアリングシャフト3に伝達することにより、そのモータトルクをアシスト力として操舵系に付与する構成となっている。
次に、本実施形態のEPS1におけるモータ10の構成について説明する。
図2に示すように、本実施形態のモータ10は、回転軸12の外周に円筒状のリング磁石13を嵌着してなるロータ14と、同ロータ14の径方向外側を包囲する態様で放射状に延びる複数のティース15を備えたステータ16とからなるブラシレスモータとして構成されている。
詳述すると、各ティース15には、三相の駆動電流が通電される巻線17が巻回されるとともに、リング磁石13には、その周方向に沿って極性の異なる磁極18(18n,18s)が交互に形成されている(図3参照)。具体的には、本実施形態では、ステータ16には、12本のティース15が設けられるとともに、リング磁石13には、10極の磁極18が形成されている。尚、本実施形態のリング磁石13は、その隣り合う磁極18n,18sの各境界線mが同リング磁石13の軸線(同図中上下方向)に対して傾斜するスキューが設定されている。そして、本実施形態のモータ10は、その巻線17への通電によりステータ16側に形成される回転磁界とリング磁石13が形成するロータ14の界磁磁束との関係に基づいて、同ロータ14が回転する構成となっている。
(リング磁石及びその着磁方法)
次に、本実施形態のリング磁石について説明する。
図4に示すように、リング磁石13の各磁極18(18n,18s)は、当該各磁極18に対応して同リング磁石13の外周面20に設定された各磁極領域21(21n,21s)について、交互に異なる極性を着磁することにより形成される。そして、本実施形態では、この各磁極領域21への磁極形成は、当該各磁極領域21内に複数の小領域22を設定して着磁することにより行なわれる。
詳述すると、図5に示すように、本実施形態では、これらの各小領域22は、その大きさ(面積及び形状)が等しくなるように設定される。また、各磁極領域21(21a)内において、その周方向(同図中、左右方向)に隣り合う小領域22の間隔(d1〜d3,d4〜d7)は、隣接する他の磁極領域21(21b)との境界部側(同図中、右側)から磁極中心Mに対応する中央部側(同図中、左側)に向って狭くなるように設定されている(d1<d2<d3、d4<d5<d6<d7)。尚、本実施形態では、各磁極領域21の中央部では、各小領域22が重複するように設定されている。そして、本実施形態では、これにより、各磁極領域21における着磁領域の占める割合、即ち着磁領域占有率が、その周方向において境界部側から中央部側に向って大となる構成になっている(図6参照)。
具体的には、図4に示す例では、「斜線」の入った部分が着磁領域、「白抜き」の部分が非着磁領域となっている。そして、その着磁領域の占める割合は、各磁極領域21(21n,21s)において、隣接する他の磁極領域との境界部に位置する区画n4,s4から最も中央部側に位置する区画n1,s1へと順次増大するように構成されている(n1>n2>n3>n4,s1>s2>s3>s4)。
尚、その周方向位置における面積をそれぞれ、着磁領域面積「α」、非着磁領域面積「β」とすると、上記の着磁領域占有率(γ)は、γ=α/(α+β)の式に表すことができる。但し、図6は、その境界部側から中央部側に向って増大する着磁領域占有率の態様を概念的に示す図であり、図4に示される例における着磁領域の分布と必ずしも一致するものではない。
次に、上記リング磁石13に対する着磁方法について説明する。
図7に示すように、本実施形態では、リング磁石13への着磁は、その着磁面となる同リング磁石13の外周面20を包囲するように配置された複数の着磁ヨーク30を用いて行なわれる。尚、同図においては、所謂バックヨークの記載は省略する。具体的には、各着磁ヨーク30には、リング磁石13の外周面20に合わせて湾曲形成された着磁部31が設けられており、各着磁ヨーク30は、リング磁石13の外周面20に対し、その着磁部31を対向させる態様で、同リング磁石13の径方向外側に配置される。
より具体的には、本実施形態のモータ10は「10極12スロット」のブラシレスモータであることから、リング磁石13の径方向外側には、10個の着磁ヨーク30が配置される。即ち、本実施形態では、リング磁石13の外周面20において、これら各着磁ヨーク30と対向する各部分のそれぞれが上記各磁極領域21として設定される。そして、これら各着磁ヨーク30に対し、隣り合う他の着磁ヨーク30とは逆向きの電流を通電することにより、リング磁石13の外周面20に設定された各磁極領域21への着磁、即ち各磁極18の形成が行なわれる。
ここで、図8に示すように、本実施形態では、各着磁ヨーク30の着磁部31には、リング磁石13の外周面20に向って突出する複数の突部32が設けられている。そして、リング磁石13の外周面20において、これら各突部32に対向する部分(及びその近傍)が、上記各磁極領域21の各小領域22として設定される構成となっている。
即ち、着磁ヨーク30の形成する磁束は、これら各突部32を通過してリング磁石13側に流入し、或いはリング磁石13側から各突部32へと流入する。その結果、これら各突部32と対向する部分が優先的に着磁されるのである。
さらに詳述すると、本実施形態の着磁ヨーク30は、図9(a)(b)に示されるような積層鋼板からなる基本単位35を積み重ねることにより形成される。具体的には、各基本単位35の厚みD(図9(b)参照)は、上記各着磁ヨーク30の着磁部31に形成される各突部32の軸方向長さ(図8参照、上下方向の長さ)と等しく設定されている。そして、上記着磁部31を構成する各基本単位35の先端部35aには、その積み重ねにより各突部32となる複数の突出部36(36a〜36h)が形成されている。
また、本実施形態では、その先端部35aを左右反転させる態様(図9(b)及び図10参照)で一対の基本単位35を重ね合わせることにより、図10に示されるような積重単位37を形成する。そして、本実施形態では、各着磁ヨーク30は、この積重単位37を上記スキュー角に相当する所定角度ずつ周方向にずらしながら積み重ねることにより形成される(図8参照)。
即ち、本実施形態では、基本単位35の先端部35aに形成された各突出部36a〜36hの間隔L1〜L7は、図5に示されるような各小領域22の間隔(d1〜d3,d4〜d7)に合わせて設定されている。具体的には、基本単位35に形成された各突出部36a,36b,36c,36d,36eの間隔L1,L2,L3,L4は、それぞれ上記各小領域22の間隔d7,d6,d5,d4に対応して設定されている。また、各突出部36e,36f,36g,36hの間隔L5,L6,L7は、それぞれ上記各小領域22の間隔d1,d2,d3に対応して設定されている。尚、実際に着磁される領域は、各突出部36a〜36hと対向する部分よりも広くなるため、各突出部36a〜36hの間隔L1〜L7は、予定する上記各小領域22の間隔d1〜d7よりも広く設定される。そして、本実施形態では、このように構成された着磁ヨーク30を用いることにより、上記のような各小領域22に対する着磁による磁極形成が可能となっている。
以上、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)リング磁石13の各磁極18(18n,18s)は、当該各磁極18に対応して同リング磁石13の外周面20に設定された各磁極領域21(21n,21s)に対して、複数の小領域22を設定して着磁することにより行なわれる。そして、これら各小領域22は、各磁極領域21における着磁領域の占める割合、即ち着磁領域占有率が、その周方向において境界部側から中央部側に向って大となるように設定される。
上記構成によれば、その周方向における磁束密度は、各磁極領域21の境界部側から中央部側に向って大となる。その結果、リング磁石13の起磁力波形を、より好適なかたちで正弦波に近づけることができ、これによりトルクリップルを低減してEPS1の駆動源であるモータ10の静粛性を高めることができるようになる。
(2)各磁極領域21(21a)内において、その周方向に隣り合う小領域22の間隔(d1〜d3,d4〜d7)は、隣接する他の磁極領域21(21b)との境界部側(同図中、右側)から磁極中心Mに対応する中央部側に向って狭くなるように設定される(d1<d2<d3、d4<d5<d6<d7)。このように構成することで、容易に、各磁極領域21における着磁領域の占める割合を境界部側から中央部側に向って大とすることができる。
(3)リング磁石13への着磁は、その着磁部31にリング磁石13の外周面20に向って突出する複数の突部32が設けられた着磁ヨーク30を用いて行なわれる。このような構成とすることで、各小領域22の設定及び該各小領域22に対する着磁を容易に行なうことができる。
(4)着磁ヨーク30は、着磁部31の各突部32を構成する複数の突出部36(36a〜36h)が形成された基本単位35を積み重ねてなる。このような構成とすることで、着磁部31に複数の突部32を備えた着磁ヨーク30を容易に形成することができる。また、所定角度ずつ周方向にずらしながら積み重ねることで、スキューの設定にも対応することができる。
(5)基本単位35に形成された各突出部36a〜36hの間隔L1〜L7は、各磁極領域21に設定された各小領域22の間隔(d1〜d3,d4〜d7)に合わせて設定される。これにより、各磁極領域21における着磁領域の占める割合を境界部側から中央部側に向って大とすることが可能な着磁ヨーク30を容易に形成することができる。
(6)基本単位35は積層鋼板からなる。また、各突出部36a〜36hが形成された先端部35aの左右を反転させる態様で一対の基本単位35を重ね合わせることにより、積重単位37が形成される。そして、各着磁ヨーク30は、この積重単位37を重ね合わせることにより形成される。このような構成とすれば、その積層により基本単位35を構成する鋼板の抜き型を大幅に削減することができ、これにより、製造コストの低減を図ることができる。
[第2の実施形態]
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜上、第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付すこととして、その説明を省略する。
本実施形態では、リング磁石40における各磁極18(18n,18s)の形成は、同リング磁石40の外周面20に設定された各磁極領域21(21n,21s)、詳しくはその全面について、交互に異なる極性を着磁することにより行なわれる。尚、各磁極領域21(21n,21s)の全面への着磁は、上記第1の実施形態における着磁ヨーク30に見られたような突部32の無い通常の着磁ヨークを用いて行なわれる。
また、本実施形態では、上記のように各磁極18(18n,18s)を形成した後、各磁極領域21(21n,21s)について、複数の小領域41を設定して減磁が行なわれる。尚、本実施形態では、この各小領域41についての減磁は、レーザ光の照射により当該各小領域41を加熱することにより行なわれる。そして、図12に示すように、本実施形態では、これら各小領域41は、各磁極領域21における減磁領域の占める割合、即ち減磁領域占有率が、その周方向(図11中、左右方向)において中央部側から境界部側に向って大となるように設定されている。
具体的には、図13に示すように、本実施形態では、減磁対象となる各小領域41は、各磁極領域21内において、その周方向に隣り合う小領域41の間隔が、その中央部側から境界部側に向って狭くなるように設定されている。そして、これにより、上記のように、その減磁領域占有率を中央部側から境界部側に向って大とする構成となっている。
以上、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)全面への着磁により各磁極18(18n,18s)が形成された各磁極領域21(21n,21s)について、複数の小領域41を設定した減磁を行なう。そして、これらの各小領域41は、各磁極領域21における減磁領域の占める割合が、その周方向において中央部側から境界部側に向って大となるように設定される。
上記構成によれば、その周方向における磁束密度は、各磁極領域21の中央部側から境界部側に向って小となる。その結果、上記第1の実施形態と同様に、リング磁石40の起磁力波形を、より好適なかたちで正弦波に近づけることができる。
(2)各小領域41は、各磁極領域21内において、その周方向に隣り合う小領域41の間隔が、その中央部側から境界部側に向って狭くなるように設定される。これにより、容易に、各磁極領域21における減磁領域の占める割合を中央部側から境界部側に向って大とすることができる。
(3)各小領域41についての減磁は、レーザ光の照射により当該各小領域41を加熱することにより行なわれる。このような構成とすれば、各小領域41を微小な点状に設定することも可能となる。その結果、リング磁石40の起磁力波形を、より精密に制御することができるようになる。
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、本発明をEPS1の駆動源として用いられるモータ10のリング磁石13,40に具体化した。しかし、これに限らず、本発明は、EPS以外の用途に用いられるモータのリング磁石に適用してもよく、更にはモータ以外に用いられるリング磁石に適用してもよい。そして、EPSに具体化する場合、上記第1の実施形態に示されたようなコラム型のEPSに限らず、その他、ラックアシスト型のEPSに適用してもよいことはいうまでもない。
・上記各実施形態では、リング磁石13(40)は円筒状としたが、必ずしも厳密に円筒形状である必要はなく、例えば、その一部を軸方向に切り欠いた断面略C字状であってもよい。
・上記各実施形態では、リング磁石13(40)は、その外周面20を着磁面としたが、内周面を着磁面とするリング磁石に適用してもよい。
・上記第2の実施形態では、各小領域41についての減磁は、レーザ光の照射により当該各小領域41を加熱することにより行なわれることとしたが、例えば電熱線により加熱する等、その他の方法を用いてもよい。
・上記第1の実施形態では、各磁極領域21内において、その周方向に隣り合う小領域22の間隔を、その境界部側から中央部側に向って狭くすることにより、各磁極領域21における着磁領域の占める割合を境界部側から中央部側に向って大とした。しかし、これに限らず、図14に示すように、その着磁対象となる各小領域22の面積を、周方向において境界部側から中央部側に向って大とする構成としてもよい。このような構成としても、各磁極領域21における着磁領域の占める割合を境界部側から中央部側に向って大とすることができる。そして、これは、上記第2の実施形態に示されるような減磁対象としての小領域41の設定についても適用することができる。即ち、当該各小領域41の面積を、周方向において中央部側から境界部側に向って大とすればよい。これにより、容易に、各磁極領域21における減磁領域の占める割合を中央部側から境界部側に向って大とすることができる。
・更に、各小領域22の間隔とその面積との双方を制御することにより、各磁極領域21における着磁領域の占める割合を、その周方向において境界部側から中央部側に向って大とする構成としてもよい。
具体的には、例えば、図15に示す例では、その周方向において隣り合う各小領域22a,22b,22c,22d,22eは、その間隔d1,d2,d3,d4が、境界部側(同図中、右側)から中央部側(同図中、左側)に向って狭くなるように設定されている(d1<d2<d3<d4)。更に、これら各小領域22a〜22eは、より中央部側に位置するものほど、その各周方向幅w1,w2,w3,w4,w5が大となるように設定されている(w1>w2>w3>w4)。即ち、この例においては、小領域22の軸方向長さ(同図中、上下方向の長さ)は等しく設定されていることから、これにより、各小領域22a〜22eは、より中央部側に位置するものほど、その面積が大となるように設定されている。また、同様に、各小領域22f〜22iは、その間隔d5,d6,d7が、境界部側から中央部側に向って狭くなるように設定されるとともに(d5<d6<d7)、それぞれの各周方向幅w6,w7,w8,w9がより中央部側に位置するものほど、大となるように設定されている(w6>w7>w8>w9)。そして、このように各小領域22a〜22iの間隔とその面積との双方を制御することで、より好適なかたちで各磁極領域21における着磁領域の占める割合をその周方向位置に応じて変化させることができるようになる。尚、このような各小領域の間隔及び面積の双方を制御することによる占有率の変更は、上記第2の実施形態に示されるような、その周方向位置により減磁領域の占める割合を変化させるものについて適用してもよいことはいうまでもない。
また、このような面積及び間隔の異なる各小領域22a〜22iへの着磁についても、図16に示すように、上記第1の実施形態と同様、その着磁部44に、リング磁石の周面に向って突出する複数の突部45を備えた着磁ヨーク46を用いて行なうことができる。即ち、同着磁ヨーク46における各突部45の面積及び間隔を、各小領域22a〜22iの間隔及び面積に対応して設定すればよい。
更に、着磁ヨーク46の形成方法もまた、上記第1の実施形態と同様、積層鋼板からなる基本単位47を積み重ねによるものとすればよい。尚、図15に示す例では、スキューは設定されていないことから、この図16に示す着磁ヨーク46では、各基本単位47を積み重ねる際、周方向の「ずれ」は設定されていない。
・上記第1の実施形態では、一対の基本単位35を左右反転させて重ね合わせた積重単位37をスキュー各に相当する所定角度ずつ周方向にずらす構成としたが、基本単位35を一枚ずつずらす構成としてもよい。
・また、隣り合う各小領域(22,41)の間隔を制御する際には、周方向のみならず軸方向における間隔を考慮してもよい。また、当該各小領域の面積を変化させる場合についても周方向方向幅の変化のみならず、軸方向長さを変化させてもよい。
・更に、各磁極領域21において着磁対象となる各小領域の形状については、図17に示すリング磁石51における小領域52のように、上記第2の実施形態における小領域41と同様、微小な点状であってもよく、図18に示すリング磁石53における小領域54のように帯状であってもよい。そして、減磁対象となる各小領域の形状についても同様に、図19に示すリング磁石55における小領域56のような帯状としてもよい。
・上記各実施形態及び上記の別例において、各磁極領域の周方向位置と着磁(減磁)占有率、並びに着磁(減磁)小領域の間隔及び面積とは、必ずしも直線的に変化するものである必要はない。即ち、上記第1の実施形態において、図6は、その境界部側から中央部側に向って増大する着磁領域占有率の態様を概念的に示す図であり、図4に示される例における着磁領域の分布と必ずしも一致するものではないことを言及した。そして、これは、各磁極領域の周方向位置と減磁占有率との関係性を示す図12、減磁小領域の間隔との関係性を示す図13、及び着磁小領域面積との関係性を示す図14についても同様である。
・また、リング磁石の起磁力波形をより好適なかたちで正弦波に近づける方法としては、その他、図20(a)〜(c)に示されるように、異なる極性を有して隣接する各磁極18(18n,18s)の境界部に、その周方向幅が軸方向両端に向って狭くなるような形状の減磁領域61を形成する方法がある。
具体的には、図20(a)に示すように、減磁領域61aの形状を軸方向中央部が最も広くなる平行四辺形形状とする。または、図20(b)に示すように、その減磁領域61bの形状を楕円形状する。或いは、図20(c)に示すように、その減磁領域61cの形状を、軸方向中央部が最も広くなるように略十字型とする等を挙げることができる。
1…電動パワーステアリング装置(EPS)、10…モータ、13,50,51,53,55…リング磁石、18(18n,18s)…磁極、20…外周面、21…磁極領域、22(22a〜22i),41,52,54,56…小領域、30,46…着磁ヨーク、31,44…着磁部、32,45…突部、35…基本単位、35a…先端部、36(36a〜36h)…突出部、37…積重単位、m…境界線、M…磁極中心、d1〜d7,L1〜L7…間隔、n1〜n4,s1〜s4…区画、w1〜w9…周方向幅。

Claims (9)

  1. 極性の異なる磁極が周方向に沿って交互に形成されたリング磁石の製造方法であって、
    前記リング磁石の周面に複数の磁極領域を設定するとともに、該各磁極領域の周方向において隣接する他の磁極領域との境界部側から磁極中心に対応する中央部側に向って着磁領域の占める割合が大きくなるように、前記各磁極領域に複数の小領域を設定して着磁することにより前記各磁極を形成すること、を特徴とするリング磁石の製造方法。
  2. 請求項1に記載のリング磁石の製造方法において、
    前記境界部側から前記中央部側に向って前記各小領域の間隔が狭くなるように設定すること、を特徴とするリング磁石の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のリング磁石の製造方法において、
    前記境界部側から前記中央部側に向って前記各小領域の面積が大きくなるように設定すること、を特徴とするリング磁石の製造方法。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載のリング磁石の製造方法において、
    前記各小領域への着磁は、前記リング磁石の周面に対向する複数の突部を備えた着磁ヨークを用いて行なわれること、を特徴とするリング磁石の製造方法。
  5. 極性の異なる磁極が周方向に沿って交互に形成されたリング磁石の製造方法において、
    前記リング磁石の周面に複数の磁極領域を設定して該各磁極領域の全面に着磁することにより前記各磁極を形成するとともに、前記各磁極領域の周方向において磁極中心に対応する中央部側から隣接する他の磁極領域との境界部側に向って減磁領域の占める割合が大きくなるように、前記各磁極領域に複数の小領域を設定して減磁を行なうこと、
    を特徴とするリング磁石の製造方法。
  6. 極性の異なる磁極が周方向に沿って交互に形成されたリング磁石において、
    前記各磁極は、該各磁極に対応して前記リング磁石の周面に設定された各磁極領域において、隣接する他の磁極領域との境界部側から磁極中心に対応する周方向中央部側に向って着磁領域の占める割合が大きくなるように、複数の小領域を設定して着磁することにより形成されてなること、を特徴とするリング磁石。
  7. 極性の異なる磁極が周方向に沿って交互に形成されたリング磁石において、
    前記各磁極は、該各磁極に対応して前記リング磁石の周面に設定された各磁極領域の全面に着磁してなるとともに、前記各磁極領域には、磁極中心に対応する周方向中央部側から隣接する他の磁極領域との境界部側に向って占める割合が大となるように減磁領域が形成されること、を特徴とするリング磁石。
  8. 請求項6又は請求項7に記載のリング磁石を備えたモータ。
  9. 請求項6又は請求項7に記載のリング磁石を備えたモータを駆動源とする電動パワーステアリング装置。
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