JP5620242B2 - ウェビング巻取装置 - Google Patents

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Description

本発明は、第1伝達部及び第2伝達部を収容する収容部材を備えたウェビング巻取装置に関する。
下記の特許文献1のシートベルト用リトラクタでは、スピンドルが支持フレームに回転可能に支持されており、支持フレームには、ロアカバーが取付けられている。ロアカバーには凹部が設けられており、凹部は支持フレームとは反対側に開口されている。凹部にはギヤアッセンブリが配置されており、凹部の開口部はアッパーカバーによって閉じられている。また、ロアカバーには、モータが取付けられており、モータの回転力がギヤアッセンブリを介してスピンドルに伝達される。
ここで、このシートベルト用リトラクタでは、ロアカバーを成形材によって成形する場合に、ロアカバーを成形した時の成形材の収縮によって、凹部の底壁が大きく反って、凹部の開口部が大きくなる(凹部の対向する側壁の先端部が互いに離間される)ようにロアカバーが変形する可能性がある。
特開2010−30502号公報
本発明は、上記事実を考慮して、収容部材が成形される際の収容部材の変形を抑制できるウェビング巻取装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載のウェビング巻取装置は、回転することで車両乗員拘束用のウェビングが巻取られる巻取軸と、回転力を発生するモータと、前記巻取軸と前記モータとの間に配置され、伝達される前記モータの回転力を前記巻取軸に伝達する第1伝達部と、前記第1伝達部と前記モータとの間に配置され、前記モータの回転力を前記第1伝達部に伝達する第2伝達部と、一側に開口されると共に前記第1伝達部を収容する第1凹部と、他側に開口されると共に前記第2伝達部を収容する第2凹部と、を含んで構成され、前記第1凹部の壁部によって前記第1伝達部を被覆する収容部材と、前記巻取軸を回転可能に支持し、前記第1凹部の開口側に配置されて前記第1伝達部の軸方向の移動を規制する支持部材と、を備えている。
請求項に記載のウェビング巻取装置は、請求項に記載のウェビング巻取装置において、前記モータは前記収容部材の前記支持部材側に配置される。
請求項1に記載のウェビング巻取装置では、巻取軸とモータとの間に第1伝達部が配置されており、第1伝達部とモータとの間に第2伝達部が配置されている。第2伝達部はモータの回転力を第1伝達部に伝達すると共に、第1伝達部は第2伝達部によって伝達されるモータの回転力を巻取軸に伝達する。これにより、巻取軸が回転されることで、ウェビングが巻取軸に巻取られる。
収容部材には第1凹部が設けられており、第1凹部には第1伝達部が収容されている。また、収容部材には第2凹部が設けられており、第2凹部には第2伝達部が収容されている。
ここで、第1凹部は収容部材の一側に開口されており、第2凹部は収容部材の他側に開口されている。
このため、収容部材が成形される際には、第1凹部の底壁の収縮力と第2凹部の底壁の収縮力とが互いに打ち消し合う方向に収容部材に作用される。これにより、収容部材が成形される際の収容部材の変形を抑制できる。
また、巻取軸が支持部材に回転可能に支持されており、支持部材が、収容部材の第1凹部の開口側に配置されて、第1伝達部の軸方向の移動を規制する。このため、第1伝達部及び第2伝達部がモータの回転力を伝達する際に、安定してモータの回転力を伝達することができる。
さらに、第1凹部の開口側が支持部材側に配置されおり、第1凹部の壁部によって第1伝達部が被覆される。このため、第1伝達部を被覆する部材を別に設ける必要がなくなるため、ウェビング巻取装置のコストアップを抑制できる。
請求項に記載のウェビング巻取装置では、モータが収容部材の支持部材側に配置されている。このため、ウェビング巻取装置の体格が大きくなることを抑制できる。
本発明の実施の形態に係るウェビング巻取装置の構成を示す分解斜視図である。 本発明の実施の形態に係るウェビング巻取装置のギヤハウジングを車両前後方向他側から見た側面図である。 本発明の実施の形態に係るウェビング巻取装置のギヤハウジングを車両前後方向一側から見た側面図である。 本発明の実施の形態に係るウェビング巻取装置のギヤハウジングを車幅方向他側から見た断面図(図3の4−4線断面図)である。
図1には、本発明の実施の形態に係るウェビング巻取装置10の構成が分解斜視図にて示されている。なお、図面では、車両前後方向一側を矢印LOで示し、車幅方向一側(例えば、車幅方向外側)を矢印WOで示し、上方を矢印UPで示す。
図1に示す如く、ウェビング巻取装置10は、フレーム12を備えている。フレーム12は、略板状の背板14と、背板14の幅方向両端のそれぞれから一体に延出する脚板16及び脚板18とによって構成されている。背板14には、クランク状に屈曲された板状のステイ19が固定されており、背板14及びステイ19がボルト等の図示しない締結手段によって車体に固定されることで、ウェビング巻取装置10が車体に取付けられる。脚板16及び脚板18には、それぞれ円状の配置孔16A及び配置孔18Aが貫通形成されている。
脚板16と脚板18との間には、ダイカスト等によって製作された巻取軸としてのスプール20が回転可能に配置されている。スプール20は全体として鼓形状をなしており、スプール20には、長尺帯状に形成されたウェビング30の基端部が連結固定されている。スプール20をその軸線周り一方(図1に示される矢印A方向であり、以下、この方向を「巻取方向」と称する)へ回転させると、ウェビング30がその基端側からスプール20の外周部に層状に巻取られ、一方、ウェビング30をその先端側から引張れば、これに伴いスプール20がその軸線周り他方(図1に示される矢印B方向であり、以下、この方向を「引出方向」と称する)へ回転しながらウェビング30が引出される。
スプール20内には、フォースリミッタ機構を構成するエネルギー吸収部材としての図示しないトーションシャフトが同軸上に挿入されており、トーションシャフトの脚板18側の端部は、スプール20の脚板18側の端面から突出されている。トーションシャフトの脚板16側の端部は、スプール20の脚板16側の端部に相対回転不能に連結されており、トーションシャフトは、スプール20と一体に回転可能にされている。トーションシャフトの脚板16側の端部には、スプール20の脚板16側において、略円柱状のラチェット24が相対回転不能に連結されると共に、スクリュー22が固定されており、ラチェット24はスプール20とスクリュー22との間に狭持されている。ラチェット24はスプール20と同軸上に配置されており、ラチェット24の外周部には、ラチェット歯24A(外歯)が形成されている。
スプール20の脚板18側には、回転部材としての略円柱状のロックギヤ26が設けられており、ロックギヤ26にはトーションシャフトが同軸上に貫通されている。また、ロックギヤ26には、トーションシャフトが相対回転不能に固定されており、ロックギヤ26は、トーションシャフトと一体に回転可能にされている。また、ロックギヤ26の外周全体には、ラチェット歯26A(外歯)が形成されている。
フレーム12の脚板18外側(図1に示される矢印D側)には、箱状のセンサカバー32が取付けられており、センサカバー32は脚板18側に向けて開口されている。トーションシャフトの脚板18側の端部は、センサカバー32の内側に挿入されて、センサカバー32に設けられた図示しない軸受部に回転可能に支持されている。センサカバー32の内側には図示しない周知のロック機構が収容されている。このロック機構が、車両の急減速時などに、ロックギヤ26のラチェット歯26Aに係合することで、トーションシャフトの引出方向への回転が規制される。
さらに、センサカバー32と脚板18との間には、プリテンショナ機構34が設けられている。プリテンショナ機構34は、脚板18に固定されたシリンダ36を備えており、シリンダ36の上端部には、ガスジェネレータ38が収容されている。このガスジェネレータ38は、図示しない点火装置が作動することでシリンダ36内に高圧のガスを発生させる。シリンダ36の内側には図示しないピストンが収容されており、シリンダ36内にガスが発生すると、このピストンがシリンダ36から突出してトーションシャフトを巻取方向へ強制的に回転させる。
フレーム12の脚板16外側(図1に示される矢印C側)には、樹脂により製作された略有底円筒状のスプリングカバー54が設けられており、スプリングカバー54は、脚板16側に向けて開口されている。スプリングカバー54の開口部は図示しないカバーによって閉塞されている。スプリングカバー54は、後述するギヤハウジング42を介してフレーム12の脚板16に取付けられている。スプリングカバー54の内側には、スプール20のスクリュー22が挿入されており、スクリュー22はスプリングカバー54に設けられた図示しない軸受部に回転可能に支持されている。
また、スプリングカバー54内には、図示しない渦巻き状のぜんまいばねが収容されている。このぜんまいばねは、渦巻き方向外側端部がスプリングカバー54に係止されると共に、渦巻き方向内側端部がスクリュー22に係止されており、スプール20を巻取方向へ付勢している。
フレーム12の脚板16とスプリングカバー54との間には、後述する減速機構40を収容する樹脂により製作された略直方体状の収容部材としてのギヤハウジング42が設けられており、ギヤハウジング42は脚板16に取付けられている。
図1〜図4に示す如く、ギヤハウジング42の上側部分には、断面略円状の第1凹部44が設けられており、第1凹部44は脚板16側(一側)に向けて開口されている。第1凹部44の壁部としての底壁44Aには、断面円状の貫通孔44Bが貫通形成されている。貫通孔44Bは、スプール20と同軸上に配置されており、貫通孔44B内にスクリュー22が貫通されている。また、第1凹部44の底面には、貫通孔44Bの周囲において、円筒状の支軸部46が設けられており、支軸部46は、スプール20と同軸上に配置されて、脚板16側へ突出されている。
ギヤハウジング42の下側部分には、断面略円状の第2凹部48が設けられており、第2凹部48はスプリングカバー54側(他側)に向けて開口されている。第2凹部48は第1凹部44の側方に配置されており、第2凹部48の底壁48Aは、第1凹部44の底壁44Aに対して、脚板16側に配置されている。
第2凹部48の中央部には、円柱状の支軸49Aが一体に設けられており、支軸49Aはスプール20の軸線方向に平行にスプリングカバー54側へ突出されている。第2凹部48の上側部には、車幅方向一側部において、円柱状の支軸49Bが一体に設けられており、支軸49Bはスプール20の軸線方向に平行にスプリングカバー54側へ突出されている。また、第2凹部48の上側部には、車幅方向他側部において、円柱状の支軸49Cが一体に設けられており、支軸49Cはスプール20の軸線方向に平行にスプリングカバー54側へ突出されている。
第2凹部48の底壁48Aには、支軸49Aと支軸49Bとの間において、断面円状の貫通孔50が貫通形成されており、貫通孔50には後述するモータ66の出力軸66Aが貫通している。また、第2凹部48の底壁48Aには、支軸49Cの上側部において、長尺の連通孔51が貫通形成されており、連通孔51は、湾曲されると共に、第1凹部44と第2凹部48との間を連通している。
また、ギヤハウジング42の下側部には、脚板16側部において、略円筒状の筒部52が設けられており、筒部52は脚板16側へ突出されている。
一方、図1に示す如く、前述したギヤハウジング42の第1凹部44内には、減速機構40を構成する第1伝達部としてのクラッチ60が収容されており、クラッチ60は第1凹部44の底壁44Aによって被覆されている。クラッチ60は略有底円筒状のクラッチギヤ62を備えており、クラッチギヤ62は脚板16側に向けて開口されている。クラッチギヤ62の底壁には、断面円状の支持孔62Aが貫通形成されており、支持孔62Aは、スプール20と同軸上に配置されて、第1凹部44の支軸部46にスプール20に対して相対回転可能に支持されている。クラッチギヤ62の外周部には、外歯62Bが形成されており、外歯62Bは、後述する減速ギヤ列100に対応している。
クラッチギヤ62とフレーム12の脚板16との間には、略有底円筒状のクラッチカバー64が設けられており、クラッチカバー64はクラッチギヤ62の開口部を閉塞している。クラッチカバー64と脚板16との間には、クラッチ60の軸線方向において、僅かな隙間が設けられており、クラッチ60の軸線方向の移動はフレーム12の脚板16によって規制される。
クラッチギヤ62の内側には、スプール20のラチェット24が配置されており、ラチェット24の半径方向外側には、図示しないロックバーが設けられている。このロックバーは、通常は図示しないリターンスプリングの付勢力によってラチェット24のラチェット歯24Aから離間した位置に保持されているが、クラッチギヤ62が巻取方向(図1に示される矢印A方向)へ回転されると、ラチェット歯24Aに噛合する。この噛合状態では、ラチェット24に対するクラッチギヤ62の巻取方向への相対回転が規制されて、ラチェット24がクラッチギヤ62と一体に巻取方向へ回転される。これにより、スプール20が巻取方向へ回転される。また、クラッチギヤ62が引出方向(図1に示される矢印B方向)へ回転されると、上述のロックバーとラチェット24のラチェット歯24Aとの噛合が解除されて、スプール20とクラッチギヤ62との連結が解除される。
スプール20の下側には、フレーム12の脚板16と脚板18との間において、モータ66が設けられている。モータ66はスプール20の軸線方向に平行に配置されており、モータ66の脚板16側の端部(図1に示される矢印C側の端部)が、ギヤハウジング42の筒部52内において、ギヤハウジング42に固定されている。モータ66には、出力軸66Aが設けられており、出力軸66Aは、モータ66の脚板16側の端部に対してギヤハウジング42側へ突出されている。出力軸66Aの先端部にはギヤ68が固定されており、ギヤ68はギヤハウジング42の第2凹部48内に配置されている。
ギヤハウジング42のフレーム12の脚板16側には、樹脂により製作された略有底円筒状の被覆部材としてのモータカバー90が設けられており、モータカバー90はギヤハウジング42側に向けて開口されている。モータカバー90の開口部には取付部92が設けられており、モータカバー90の内側にモータ66を収容した状態で取付部92がギヤハウジング42に固定されている。
一方、前述したギヤハウジング42の第2凹部48内には、前述したモータ66のギヤ68が配置されると共に、減速機構40を構成する第2伝達部としての減速ギヤ列100が収容されている。
減速ギヤ列100には、ギヤ68の半径方向側方において、モータ66のギヤ68よりも大径な平歯のギヤ102が設けられている。ギヤ102は、ギヤ68に噛合された状態でギヤハウジング42の支軸49Bに回転可能に支持されている。
ギヤ102のスプリングカバー54側(図1に示される矢印C側)には、ギヤ102よりも小径な平歯のギヤ104が設けられており、ギヤ104は、ギヤ102に対して同軸上に配置されて、ギヤ102と一体にされている。
減速ギヤ列100には、ギヤ104の半径方向側方において、オーバーロード開放機構を構成するギヤ104よりも大径な大径ギヤ106が設けられている。大径ギヤ106は、略有底円筒状に形成されて、スプリングカバー54側へ向けて開口されている。大径ギヤ106の外周部には平歯の外歯106A(外歯)が形成されている。
大径ギヤ106の開口部には、円板状のカバー112が設けられており、カバー112は大径ギヤ106の開口部を閉塞している。
減速ギヤ列100には、大径ギヤ106の脚板16側(図1に示される矢印D側)において、ギヤ106よりも小径な小径ギヤ108が設けられている。小径ギヤ108のスプリングカバー54側の端部は大径ギヤ106内に同軸上に挿入されており、大径ギヤ106が小径ギヤ108に対して相対回転可能に支持されている。また、大径ギヤ106の外歯106Aがギヤ104に噛合された状態で、小径ギヤ108がギヤハウジング42の支軸49Aに回転可能に支持されている。
大径ギヤ106内には、図示しない板ばねが固定されており、板ばねは小径ギヤ108のスプリングカバー54側の端部に係合されている。このため、通常では、大径ギヤ106と小径ギヤ108とは一体回転可能にされている。但し、小径ギヤ108と大径ギヤ106との間に所定値以上の回転力が作用すると、板ばねが弾性変形することで板ばねと小径ギヤ108との係合が解除されて、大径ギヤ106に対する小径ギヤ108の相対回転が許容される(オーバーロード開放機構が作動される)。
一方、小径ギヤ108の脚板16側の端部には、外周部において、平歯の外歯108A(外歯)が設けられている。
減速ギヤ列100には、小径ギヤ108の半径方向側方において、小径ギヤ108よりも大径な平歯のギヤ110が設けられており、ギヤ110は、小径ギヤ108の外歯108Aに噛合した状態でギヤハウジング42の支軸49Cに回転可能に支持されている。
また、ギヤ110は、ギヤハウジング42の連通孔50において、前述したクラッチ60のクラッチギヤ62の外歯62Bに噛合されている。これにより、モータ66の出力軸66Aの回転が減速ギヤ列100を介してクラッチギヤ62に伝達される。
なお、モータ66が出力軸66Aを正転させると、クラッチギヤ62が巻取方向(図1に示される矢印A方向)へ回転される。また、モータ66が出力軸66Aを逆転させると、クラッチギヤ62が引出方向(図1に示される矢印B方向)へ回転される。
ギヤハウジング42のスプリングカバー54側には、略円筒状のギヤカバー114が設けられており、ギヤカバー114はギヤハウジング42側に開口されている。ギヤカバー114は、減速ギヤ列100を被覆した状態で、ギヤハウジング42に固定されている。
次に、本実施の形態の作用について説明する。
ウェビング巻取装置10では、乗員が車両の座席に着席して、ウェビング巻取装置10に格納されたウェビング30を引張ると、スプール20が引出方向(図1に示される矢印B方向)へ回転しつつウェビング30が引出される。これにより、乗員はウェビング30を身体に掛けまわし、例えば、ウェビング30に設けられたタングプレートをバックル装置に係合させることで、ウェビング30を身体に装着することができる。
一方、例えば、車両走行中に車両の前方に障害物が存在し、しかも車両と障害物との間隔(車両から障害物までの距離)が所定範囲内に達すると、モータ66の駆動が開始され、モータ66の出力軸66Aが急激に回転される。
モータ66の出力軸66Aが回転されると、その回転力がギヤ68、ギヤ102、ギヤ104、大径ギヤ106、小径ギヤ108、ギヤ110、及びクラッチ60のクラッチギヤ62に伝達され、クラッチギヤ62が急激に巻取方向(図1に示される矢印A方向)へ回転される。
クラッチギヤ62が巻取方向へ回転されると、クラッチ60のロックバーがスプール20のラチェット24のラチェット歯24Aに噛合して、ラチェット24がクラッチギヤ62と一体に巻取方向へ回転される。これにより、スプール20が巻取方向へ急激に回転される。
これにより、ウェビング30がスプール20に巻取られて、ウェビング30の僅かな緩み、所謂「スラック」が解消されて、ウェビング30による乗員の身体に対する拘束力が向上する。
さらに、「スラック」が解消された状態では、乗員の身体が障害となり基本的にはそれ以上スプール20にウェビング30を巻取ることはできなくなる。このため、スプール20には、ウェビング30から所定値以上の荷重が作用し、その結果、クラッチギヤ62及びギヤ110を介して小径ギヤ108に所定値以上の荷重が作用する。
このとき、大径ギヤ106は、モータ66の駆動力によって巻取方向へ回転しようとしているため、小径ギヤ108と大径ギヤ106との間には相対的な回転力が作用する。この回転力が所定値以上になると、大径ギヤ106に固定された板ばねと小径ギヤの軸線方向一側端との係合が解除される。したがって、大径ギヤ106と小径ギヤ108との相対回転が許容される。
これにより、スプール20が、モータ66の駆動力によって必要以上の力で巻取方向へ回転されることを防止でき、ウェビング30が必要以上の力で乗員の身体を締め付けることを防止できる。
一方、車両衝突の危険が回避された場合には、モータ66の出力軸66Aが逆転される。この出力軸66Aの回転力は、ギヤ68、ギヤ102、ギヤ104、大径ギヤ106、小径ギヤ108、ギヤ110、及びクラッチ60のクラッチギヤ62に伝達され、クラッチギヤ62が急激に引出方向へ回転される。
クラッチギヤ62が引出方向へ回転されると、クラッチ60のロックバーとスプール20のラチェット歯24Aとの噛合が解除されて、スプール20とクラッチギヤ62との連結が解除される。これにより、スプール20の自在な回転が可能となる。
ここで、ギヤハウジング42の上側部分には、フレーム12の脚板16側部において、第1凹部44が設けられており、第1凹部44は、脚板16側(一側)(図1に示される矢印D側)に開口されている。また、ギヤハウジング42の下側部分には、スプリングカバー54側部において、第2凹部48が設けられており、第2凹部48は脚板16とは反対側(他側)(図1に示される矢印C側)に開口されている。さらに、第2凹部48の底壁48Aは第1凹部44の底壁44Aに対して脚板16側に配置されている。
このため、ギヤハウジング42が樹脂によって成形される際には、第1凹部44の底壁44Aの収縮力と第2凹部48の底壁48Aの収縮力とが互いに打ち消し合う方向にギヤハウジング42に作用される。これにより、第1凹部44の底壁44A及び第2凹部48の底壁48Aの反りが抑制されて、第1凹部44の開口部及び第2凹部48の開口部の変形を抑制できる。したがって、ギヤハウジング42の変形を抑制できる。
また、第1凹部44の開口部及び第2凹部48の開口部の変形が抑制されることで、例えば、第1凹部44の開口部及び第2凹部48の開口部に、剛性の高い金属により製作されたカバーをそれぞれ設けて、該カバーが第1凹部44の開口部及び第2凹部48の開口部の変形を矯正する必要をなくすことができる。これにより、ウェビング巻取装置10のコストアップを抑制できる。
さらに、フレーム12の脚板16が第1凹部44の開口側に配置されており、クラッチ60のクラッチカバー64と脚板16との間には、クラッチ60の軸線方向において、僅かな隙間が設けられて、脚板16がクラッチ60の軸線方向の移動を規制する。このため、クラッチ60が回転される際に、フレーム12(脚板16)によって、クラッチ60を安定して回転させることができる。しかも、スプール20を回転可能に支持するフレーム12を利用しているため、クラッチ60の軸線方向の移動を規制する部材を別に設ける必要がなくなる。これにより、ウェビング巻取装置10のコストアップを抑制できる。
また、第1凹部44の開口側がフレーム12の脚板16に配置されており、第1凹部44の底壁44Aによってクラッチ60が被覆されている。このため、クラッチ60を被覆する部材を別に設ける必要がなくなる。これにより、ウェビング巻取装置10のコストアップを抑制できる。
さらに、スプール20の下側には、フレーム12の脚板16と脚板18との間において、モータ66が配置されている。このため、ウェビング巻取装置10の体格が大きくなることを抑制できる。
また、ギヤハウジング42は樹脂によって製作されている。このため、ギヤハウジング42を安価に製作できると共に軽量化できる。
なお、本実施の形態では、第1凹部44がフレーム12の脚板16側に向けて開口されており、第2凹部48が脚板16とは反対側に向けて開口されている。これに替えて、第1凹部44が脚板16とは反対側に向けて開口されて、第2凹部48が脚板16側に向けて開口されてもよい。この場合には、脚板16を第2凹部48に対向する位置まで延設させると共に、モータ66を脚板16に固定して、モータ66の出力軸66Aを脚板16に貫通させる。
また、本実施の形態では、ギヤハウジング42は樹脂によって製作されている。これに替えて、ギヤハウジング42が亜鉛等の金属材料によってダイカストにより製作されてもよい。
10 ウェビング巻取装置
12 フレーム(支持部材)
20 スプール(巻取軸)
30 ウェビング
42 ギヤハウジング(収容部材)
44 第1凹部
44A 底壁(壁部)
48 第2凹部
60 クラッチ(第1伝達部)
66 モータ
100 減速ギヤ列(第2伝達部)

Claims (2)

  1. 回転することで車両乗員拘束用のウェビングが巻取られる巻取軸と、
    回転力を発生するモータと、
    前記巻取軸と前記モータとの間に配置され、伝達される前記モータの回転力を前記巻取軸に伝達する第1伝達部と、
    前記第1伝達部と前記モータとの間に配置され、前記モータの回転力を前記第1伝達部に伝達する第2伝達部と、
    一側に開口されると共に前記第1伝達部を収容する第1凹部と、他側に開口されると共に前記第2伝達部を収容する第2凹部と、を含んで構成され、前記第1凹部の壁部によって前記第1伝達部を被覆する収容部材と、
    前記巻取軸を回転可能に支持し、前記第1凹部の開口側に配置されて前記第1伝達部の軸方向の移動を規制する支持部材と、
    を備えたウェビング巻取装置。
  2. 前記モータは前記収容部材の前記支持部材側に配置される請求項1に記載のウェビング巻取装置。
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