JP5619974B2 - 玉軸受およびその玉軸受を備えた水中ポンプならびに釣り用リール - Google Patents

玉軸受およびその玉軸受を備えた水中ポンプならびに釣り用リール Download PDF

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Description

本発明は、耐食性に優れ、また、鍛造時に割れが生じず冷間加工性や熱間加工性にも優れた高強度な玉軸受およびその玉軸受を備えた水中ポンプならびに釣り用リールに関するものである。
従来、SUS440A、SUS440B、SUS440C等のマルテンサイト系ステンレス鋼は、硬さが高くて耐摩耗性が要求される滑り軸受や転がり軸受などの軸受、ギア、ボルト、金型、ポンチ、刃物等に使用されている。この種のステンレス鋼は、特許文献1等で知られている。
特開2002−256397号公報
上記のSUS440A、SUS440B、SUS440C等のマルテンサイト系ステンレス鋼は、熱処理後の高い表面硬さを得るためにCを多く含有している。このため、SUS304やSUS316等のオーステナイト系ステンレス鋼に比べ、水分や塩分の多い環境下では錆が発生しやすく、耐食性に劣るといった欠点を有している。また、Cを多く含有しているため、鍛造時や焼き入れ、サブゼロ処理後に割れが発生する可能性がある。また、錆の発生を防止する手段として表面へのコーティング処理があるが、コーティング材料の母材に対する密着性が低い場合があったり、コストが増加したりする問題がある。
また、上に挙げたマルテンサイト系ステンレス鋼では共晶炭化物が生成しているため、SUS316等のオーステナイト系ステンレス鋼に比べ、冷間加工性や耐食性に劣るという難点がある。
ところで、水中ポンプや釣り用リール等のように水分や塩分が付着して腐食しやすい雰囲気で使用される用途の転がり軸受の材料としては高い表面硬さに加えて高い耐食性が望まれており、例えば、錆びにくいステンレス鋼のSUS440Cが使用されている。しかしながら、SUS440Cはステンレス鋼といえども上述したようにSUS304,SUS316等のオーステナイト系のものに比べて熱処理後の表面硬さは高いが耐食性が低く、上記のような腐食しやすい雰囲気に長時間さらされると錆が発生し、軸受の寿命が低下するという難点がある。
よって本発明は、SUS440Cよりも耐食性および冷間加工性に優れるとともに熱処理後の十分な表面硬さを有して耐摩耗性にも優れ、残留オーステナイト量が少なく、経年による寸法変化の少ないマルテンサイト系ステンレス鋼からなる玉軸受と、そのような玉軸受を備え、水分や塩分が付着して腐食しやすい雰囲気で使用される水中ポンプならびに釣り用リールを提供することを目的とする。
本発明者は上記目的を達成することのできるマルテンサイト系ステンレス鋼の開発を鋭意進めたところ、特定の範囲のCに対してSiを0.2%以下の範囲、Mnを0.3%以下の範囲、Pを0.02%以下の範囲、Sを0.02%以下の範囲、Crを15〜17%の範囲、Moを1.5〜2.5%の範囲、Bを0.001〜0.003%の範囲、Nを0.15〜0.25%の範囲でそれぞれ含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるマルテンサイト系ステンレス鋼に焼き入れ、サブゼロ処理、焼き戻し処理を施すことで表面硬さがHRC60以上と高く、残留オーステナイト量や経年による寸法変化が少なく、腐食しやすい雰囲気で使用する転がり軸受に好適なマルテンサイト系ステンレス鋼を得ることができることを見出した。
本発明の玉軸受は上記知見に基づくものであり、少なくとも内輪と外輪とボールとを備える玉軸受であって、前記内輪と前記外輪とが、成分が、重量比で、Cを0.35〜0.45%の範囲、Siを0.2%以下の範囲、Mnを0.3%以下の範囲、Pを0.02%以下の範囲、Sを0.02%以下の範囲、Crを15〜17%の範囲、Moを1.5〜2.5%の範囲、Bを0.001〜0.003%の範囲、Nを0.15〜0.25%の範囲でそれぞれ含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるマルテンサイト系ステンレス鋼からなることを特徴とする(請求項1)
本発明によれば、焼き入れ、サブゼロ処理、焼き戻し処理により、表面硬さHRC60以上が可能で、SUS440Cよりも耐食性、冷間加工性および耐摩耗性に優れ、残留オーステナイト量や経年による寸法変化が少なく、腐食しやすい雰囲気での使用に好適な玉軸受を提供することができる。
本発明では、前記ボールがマルテンサイト系ステンレス鋼からなる形態を含む(請求項2)。
また、本発明では、前記ボールが前記成分を有するマルテンサイト系ステンレス鋼からなる形態を含む(請求項3)。
また、本発明では、前記ボールが高炭素クロム軸受鋼であるSUJ2からなる形態を含む(請求項4)
また、本発明では、前記内輪と前記外輪の表面硬さがHRC58以上である形態を含む。(請求項5)。
また、本発明では、前記内輪と前記外輪の残留オーステナイト量が7.3%以下である形態を含む(請求項6)。
次に、本発明の水中ポンプは、請求項1〜6のいずれかに記載の玉軸受を備えることを特徴とする水中ポンプである。
また、本発明の釣り用リールは、請求項1〜6のいずれかに記載の玉軸受を備えることを特徴とする釣り用リールである。
本発明に係るマルテンサイト系ステンレス鋼は、成分として、重量比でさらに0.1〜0.2%の範囲のWを含有させることで、強度と靭性をさらに向上させることができる。
また、本発明に係るマルテンサイト系ステンレス鋼は、Cの含有率が0.35〜0.45%と少ないため、C含有量をCWとし、N含有量をNWとした時、0.60≦(CW+NW)≦0.65とすることで、熱処理後の表面硬さをさらに向上させることができる。
以下、本発明における化学成分(元素)の含有量等の根拠を説明する。なお、以下の%は重量比である。本発明は以下に挙げた成分の他の残部が、Feおよび不可避的に混入する不純物とされる。
・C(炭素):0.35〜0.45%
Cはオーステナイト生成元素であって、多量に添加すると共晶炭化物を生成しやすく、割れが発生しやすいので、十分な耐食性が得られなくなるため、上限を0.45%とした。また、熱処理後の表面硬さがHRC60以上の高い硬さを得るためには、後述するようにNとの和が0.60以上あることが必要であり、さらに、Nは大気溶解では0.25%が限界であることから、Cの下限は0.35%とした。
・Si(ケイ素):0.2%以下
0.2%を超える量のSiを含有していると、靭性が著しく低下し、熱間加工性に有害になるので、Siは0.2%以下の範囲で含有させることとした。
・Mn(マンガン):0.3%以下
Mnはオーステナイト安定化元素であり、過度の添加は残留オーステナイト量を増加させるため、熱処理後の表面硬さを低下させるのみでなく、耐食性も害する他、経年による寸法変化を起こしやすい。したがってMnの含有量は0.3%以下の範囲とした。
・P(リン):0.02%以下
Pは、結晶粒界に析出して冷間脆性を引き起こす成分であり、冷間脆性を避けるために含有量を0.02%以下の範囲とした。
・S(硫黄):0.02%以下
Sは、耐食性を劣化させたり熱間加工性を害したりするので、含有量を0.02%以下の範囲とした。
・Cr(クロム):15〜17%
Crは、Mnと同様にNの固溶限を高め、また、耐食性を改善する効果を持つが、これは13%以上添加された場合である。本発明ではCを0.35〜0.45%と低めに規定したため、Crを増加し耐食性を低下させないよう下限を15%とした。また、強固な不動態被膜を形成させるためと焼き入れ温度でのオーステナイト単相を確保するために上限は17%とした。なお、17%を超えて含有すると、Cr,Feの炭化物であるM23型炭化物が生成し、熱処理後の表面硬さを低下させたり耐食性を劣化させたりしてしまう。
・Mo(モリブデン):1.5〜2.5%
Moは、Crと同様にNの固溶限を高め、また、耐食性を改善し、焼き入れ性を上げる効果を持つが、このような効果を得るためには1.5%以上の添加が必要である。また、過度の添加は靭性の低下を招くので、上限は2.5%とした。
・N(窒素):0.15〜0.25%
Nは、マルテンサイト系ステンレス鋼の熱処理後の表面硬さ・耐食性を向上させるのに非常に有効な元素であり(後述するようにBNを析出し強度の向上が可能となる。)、この効果を得るためには0.15%以上必要である。また、大気溶解では、材料中にブロー(気泡)の発生がなく、実用に供し得るマルテンサイト系ステンレス鋼にするにはその固溶限界が0.25%であるため、0.25%を上限とした。
・0.60≦(CW+NW)≦0.65 (CW:C含有量、NW:N含有量)
焼き入れ、サブゼロ処理、焼き戻しによって表面硬さHRC60以上を得るためには、CW+NWは0.60以上とする必要がある。また、CW+NWが0.65以上では残留オーステナイト量が増加して熱処理後の表面硬さが低下してしまうため、0.65%を上限とした。
・B(ホウ素):0.001%〜0.003%
Bを添加するとBNが析出して強度の向上に有効で、かつ焼き入れ性を高めるが、この効果を得るためには0.001%以上の添加が必要である。一方、過度の添加は靭性の低下を招くので、添加量の上限を0.003%以下とする。
以上が本発明の合金の必須成分であるが、これらの他に本発明の合金には以下の成分が含まれる場合もある。
・W(タングステン):0.1%〜0.2%
Wは原子半径が大きいため、固溶強化元素として作用する。この作用を得るためには、0.1%以上の添加が必要である。また、過度の添加は靭性の低下を招くので、添加量の上限を0.2%以下とする。
本発明のマルテンサイト系ステンレス鋼は、表2から明らかなように耐食性および冷間加工性に優れており、熱処理後に十分な表面硬さを有して耐摩耗性にも優れている。また、残留オーステナイト量が少なく経年による寸法変化が少なく、焼き入れおよびその後のサブゼロ処理で割れが発生することがない。したがって、本発明は、熱処理後の表面硬さ、耐摩耗性および耐食性の点で高いレベルが要求される玉軸受として好適であり、安価で信頼性が高く、長寿命のものが得られ、工業的効果は大きなものがある。また、特に水分や塩分の多い腐食しやすい雰囲気で使用される水中ポンプならびに釣り用リールとして好適である。
本発明のマルテンサイト系ステンレス鋼を適用した実施例の玉軸受の斜視図である。 実施例で行った孔食電位の比較測定結果を示すグラフである。
以下、本発明を実施例によって説明する。
10kgの高周波誘導炉を用いて、表1に示す化学成分(重量%)の各合金を溶解し、均質加熱後、固化させたインゴットを切断し、熱間鍛造にてφ20の丸棒の試料を作製した。次に、1100℃で1時間保持後に水冷し、続いて液体窒素中でサブゼロ処理を行った。その後、150℃の低温焼き戻しを行って、実施例1〜5、比較例1〜13の試料を得た。なお、これら試料は、いずれも表1に示す化学成分以外に残部としてFeおよび不可避的に混入する不純物を含んでいる。
Figure 0005619974

実施例1〜5、比較例1〜13の試料につき、次の試験を行った。
・焼き戻し後の硬さ(HRC)の測定
JIS−Z2245に規定されているロックウェルCスケールで測定した。
・耐食性の評価
JIS−Z2371に規定されている方法で中性塩水噴霧試験を24時間行った後、試料表面における錆の有無に応じて次の2段階で評価した。○:目視検査で錆の発生が認められなかった、×:目視検査で錆の発生が確認できた。
・M23型炭化物の有無の確認
樹脂に試験片の一部を埋め込んで研磨し、試験片の研磨面を金属顕微鏡により1000倍で観察し、有無を確認した。
・熱間加工性
分塊圧延時においてエッジに割れが発生した場合を×、発生しなかった場合を○と評価した。
・残留オーステナイト量
X線回折装置で残留オーステナイトの比率を調べた。
・ブロー(気泡)の発生の有無
ブローの存在は製品の製作を困難にするものである。インゴットの切断後、切断面を#1000のエミリー紙で研磨し、研磨面を目視で観察してブローの有無を確認した。
以上の試験結果を、表2に示す。
Figure 0005619974
表2によると、実施例1〜5はいずれも熱処理後の表面硬さがHRC60以上で、特にBが0.0026%以上の場合はHRC62と非常に高い値を示す。このように、Bは焼き入れ性を改善(マルテンサイト変態を促進させる)し、かつBNを析出させて高い強度が得られる。また、良好な耐食性を示し、M23型炭化物の発生がなく、熱間加工性もよく、残留オーステナイト量は6〜7%台で安定しており、かつ、ブローの発生もなかった。
一方、比較例1は、C量が0.28%と低く、十分に焼き入れがなされなかったため(十分なマルテンサイト変態が生じなかった)、熱処理後の表面硬さは低い値(HRC56)を示している。比較例2は、Si量が0.25%と高いため、分塊圧延でエッジに割れが発生し、熱間加工性の評価は×であった。また、Bが0.0018%添加されているため、HRC60という高い値を示している。比較例3は、熱処理後の表面硬さは高い値(HRC60)を示しているが、Mn量が0.38%と多過ぎるため錆の面積率5%以上の錆が発生し、残留オーステナイト量も16.5%と増加している。また、Bが0.0017%添加されているため、HRC60という高い値を示している。比較例4は、熱処理後の表面硬さは高い値(HRC60)を示しているが、Cr量が13.9%と少ないため錆が発生し、耐食性の評価は×であった。また、Bが0.0018%添加されているため、HRC60という高い値を示している。
比較例5は、Cr量が17.8%と多過ぎるため、M23型炭化物が析出したことで熱処理後の表面硬さおよび耐食性がともに劣化し、熱処理後の表面硬さは低い値(HRC57)を示し、耐食性の評価は×であった。また、Nが0.26%と多いためにブローが発生した。比較例6は、Mo量が1.30%と少な過ぎるため、焼き入れ性が上がらず熱処理後の表面硬さはHRC60を満たさなかった。また、錆の面積率20%以上の錆びが発生し、耐食性の評価は×であった。これは、Mo量が1.30%と少な過ぎるためである。比較例7は、Mo量が4.00%と多過ぎるため、靭性の低下により分塊圧延でエッジに割れが発生し、熱間加工性の評価は×であった。また、Bが0.0016%添加されているため、HRC60という高い値を示している。
比較例8は、N量が0.13%と少な過ぎるため、熱処理後の表面硬さはHRC60以上が得られず、低い値(HRC58)を示し、かつ錆も発生し、耐食性の評価は×であった。比較例9は、Bが0.0016%添加されているため熱処理後の表面硬さは高い値(HRC61)を示しているが、N量が0.29%と多いため、ブローが発生した。また、分塊圧延でエッジに割れが発生し熱間加工性の評価は×であり、残留オーステナイト量も13.3%と増加している。
比較例10は、CW+NWは0.61であるが、B量が0.0009%と少ないため、十分な焼き入れ性がえられず熱処理後の表面硬さは低い値(HRC58)を示している。比較例11は、CW+NWは0.65で、熱処理後の表面硬さはHRC61であるが、B量が0.0031%と多いため、分塊圧延でエッジに割れが発生し熱間加工性の評価は×である。
比較例12、13では、オーステナイト安定化元素であるNi、Cuを含有しているため、残留オーステナイト量は高い値を示している。残留オーステナイト量が10%を超えると、使用時の経年変化により寸法が変化してしまう(例えば、オーステナイトからマルテンサイトへの変態など)。精密機器に使用される軸受においては、寸法が変化することは機器の測定精度や加工精度に大きく影響を及ぼしてしまうため、残留オーステナイト量を10%以上にするNi、Cuの元素は含有させない方が望ましい。
実施例6として、本発明のマルテンサイト系ステンレス鋼を適用した玉軸受10を図1に示す。この玉軸受10は、内輪11、外輪12、ボール13および保持器14を備えるものである。玉軸受10の内部空間(内輪11と外輪12の間の空間)にはグリースが適量充填され、両側に装着されたシール15によってそのグリースは封入されている。ところで、耐食性が求められる場合には、内輪、外輪、転動体等の金属要素に、転がり軸受に必要な硬さを備えた高Cr系のマルテンサイト系ステンレス鋼を用いることができるが、転がり軸受としては、一般にHRC58以上の表面硬さが必要とされている。
次に、上記実施例3のステンレス鋼と、既存の各種ステンレス鋼の孔食電位を調べた。各種ステンレス鋼の種類ならびに測定結果を、図2に示す。孔食電位は耐食性を表す1つの指標であってプラスの値が大きいほど耐食性が優れていることを示す。図2で明らかなように、既存のステンレス鋼と比較すると実施例3のステンレス鋼は格段に孔食電位の値が大きく、耐食性が優れていると言われているオーステナイト系のSUS316Lよりも耐食性に優れていることが判った。
本発明のマルテンサイト系ステンレス鋼は、焼き入れ、サブゼロ処理、焼き戻しを施すことにより、HRC60以上の表面硬さを得ることができるので、耐食性を要する滑り軸受や転がり軸受などの軸受に好適な材料である。上記玉軸受10では、内輪11、外輪12およびボール13を実施例4のマルテンサイト系ステンレス鋼で構成し、オールステンレスベアリングとした。実施例4のマルテンサイト系ステンレス鋼はHRC62という高い硬度に加えて残留オーステナイト量が6.3%と少ないため、経年変化が少なく、疲労寿命と音響特性に優れ、高い耐食性を備えた長寿命な玉軸受が得られる。
このような軸受は、例えば水中ポンプや釣り用リール等のように水分や塩分が付着して腐食しやすい雰囲気で使用される製品の軸受として好適である。なお、実施例6の転がり軸受は、内輪、外輪および転動体の全てを本発明のマルテンサイト系ステンレス鋼からなるものとしたが、それほど高い耐食性が必要でなければ、軸受構成要素の少なくとも1つに本発明のマルテンサイト系ステンレス鋼を適用した形態でも十分である。例えば、ボール13の材料をSUJ2(高炭素クロム軸受鋼)としてもよい。
10…玉軸受
11…内輪
12…外輪
13…ボール

Claims (8)

  1. 内輪と外輪とボールとを備える玉軸受であって、
    少なくとも前記内輪と前記外輪とが、成分が、重量比で、Cを0.35〜0.45%の範囲、Siを0.2%以下の範囲、Mnを0.3%以下の範囲、Pを0.02%以下の範囲、Sを0.02%以下の範囲、Crを15〜17%の範囲、Moを1.5〜2.5%の範囲、Bを0.001〜0.003%の範囲、Nを0.15〜0.25%の範囲でそれぞれ含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるマルテンサイト系ステンレス鋼からなることを特徴とする玉軸受。
  2. 前記ボールがマルテンサイト系ステンレス鋼からなることを特徴とする請求項1に記載の玉軸受。
  3. 前記ボールが前記成分を有するマルテンサイト系ステンレス鋼からなることを特徴とする請求項1に記載の玉軸受。
  4. 前記ボールが高炭素クロム軸受鋼であるSUJ2からなることを特徴とする請求項1に記載の玉軸受。
  5. 前記内輪と前記外輪の表面硬さがHRC58以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の玉軸受。
  6. 前記内輪と前記外輪の残留オーステナイト量が7.3%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の玉軸受。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の玉軸受を備えることを特徴とする水中ポンプ。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の玉軸受を備えることを特徴とする釣り用リール。
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