JP3501946B2 - 冷間加工性に優れた高強度高耐食性ステンレス鋼 - Google Patents

冷間加工性に優れた高強度高耐食性ステンレス鋼

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+【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、各種産業機械、自
動車、電子機器、化学装置等において、高強度と高耐食
性が要求される部品の素材として利用されるマルテンサ
イト系ステンレス鋼に係わり、特に冷間加工により成形
される部品の素材として好適な冷間加工性に優れた高強
度高耐食性ステンレス鋼に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来から、上記の産業分野において、高
強度と耐食性が要求される部品、例えば、各種シャフト
類、耐食軸受等の素材にはSUS410、SUS420
J2、SUS440C等のマルテンサイト系ステンレス
鋼が使用されている。一方、特開平1−275737号
公報には冷間加工性に優れた高強度ステンレス鋼が提案
されている。しかし、Caの添加により被削性を向上さ
せているため、本発明鋼のようなSを添加した鋼に比べ
て製造が困難である点で問題がある。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上述した低C低Cr材
のSUS410は、C量が低いため焼入れ焼戻し状態で
もあまり高い硬度が得られない。また、低C低Cr材の
SUS410等および低Cr材のSUS420J2等は
Cr量が低いため耐食性もあまり良くない。一方、高
C、高Cr材のSUS440C等は、焼入れ焼なまし状
態で高硬度が得られるが、粗大な炭化物を含み、焼なま
し状態での硬さが高いため、冷間加工性が悪い。そのた
め、SUS440C等の高C高Cr材を素材として部品
に加工する場合、焼なまし状態で大部分を切削すること
により製品に近い形状まで加工し、焼入れ焼戻し後に研
削して製品形状に仕上げることが多い。さらに、SUS
440C等の高C高Cr材は、Cr含有量が高いもの
の、多量の炭化物が析出するために素地のCr量が減少
し、耐食性が必ずしも良くない。 【0004】また、耐食性向上を目的としてCr、Mo
等のフェライト生成元素のみを高めた場合、圧鍛後にδ
−フェライトが生じ、強度の低下を招く。さらに、SU
S630等の析出硬化系ステンレス鋼は高強度と高耐食
性を要求される用途に使用されるが、高価な上、析出硬
化処理状態でもあまり高い硬度が得られず、また冷間加
工性があまり良くない。このように、従来のマルテンサ
イト系ステンレス鋼は、全般に耐食性が悪く、しかも冷
間加工性や硬度に問題があった。また、析出硬化系ステ
ンレス鋼は高価である上、冷間加工性に問題があった。
しかし、これらに代わる比較的安価な材料がなく、やむ
を得ず使用しているのが現状である。 【0005】一方、前述した特開平1−275737号
公報には冷間加工性に優れた高強度ステンレス鋼が提案
されている。しかし、Caの添加により被削性を向上さ
せており、本発明鋼のようなSを添加した鋼に比べて製
造が困難である。本発明の目的は、上述のような冷間加
工性、強度および耐食性の問題を解決し、安価で冷間加
工性に優れた高強度高耐食性ステンレス鋼を提供するこ
とである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明によるマルテンサ
イト系ステンレス鋼は、重量%で、C:0.27〜0.
4%、Si:0.3%以下、Mn:0.3%以下、S:
0.005%超え0.030%以下、Cr:15.0〜
18.0%、Mo:0.5〜2.0%、O:0.003
0%以下を含有し、残部がFeおよび不可避不純物から
なり、かつ式(1)を満足し、焼なまし状態において優
れた冷間加工性を示す高強度高耐食性ステンレス鋼であ
る。 1.2{2[%Si]+[%Cr]+1.5[%Mo]}−18≦30[%C] +0.5[%Mn]≦−0.8{2[%Si]+[%Cr]+1.5[%Mo] }+30 … (1) 【0007】 【発明の実施の形態】C:0.27〜0.4%、Cはマ
ルテンサイト系ステンレス鋼の強度を得るのに必要な元
素である。焼入れ状態で組織をマルテンサイト組織とさ
せ、これに固溶して強度を増大させる。また、焼戻しに
より炭化物を形成し、効果的な強化を示す。十分な強度
を得るため、0.27%以上を含有する必要がある。し
かし、多量のCを添加すると、粗大な炭化物が生成し、
また、焼なまし硬さも高くなるため、冷間加工性を害す
る。耐食性においても多量のC添加に伴うCr炭化物の
析出は、素地のCr量を減少させるため悪影響を及ぼ
す。さらに、Cはマルテンサイト変態点を低下させるた
め、焼入れ時にオーステナイト相が残留し、強度低下を
招く。これらのことから、Cの上限を0.4%とした。 【0008】Si:0.3%以下、Siは鋼製造時の有
効な脱酸剤である。しかし、Siは靭性を減少させ、焼
なまし硬さを高め、冷間加工性を悪化させるため、上限
を0.3%とした。 Mn:0.3%以下 Mnは脱酸、脱硫剤として添加されるが、Si同様靭性
を劣化させ、焼なまし硬さを高めるため、冷間加工性を
害し、さらに耐食性も劣化させるので、上限を0.3%
とした。 【0009】S:0.005%超え0.030%以下、
Sは硫化物として鋼中に分散させるとチップブレーカー
として作用し、被削性を向上させるため、0.005%
以上の添加とした。しかし、多量の添加は熱間加工性を
劣化させるため、0.030%以下とする。 Cr:15.0〜18.0% Crは、ステンレス鋼の基本成分であり、鋼に耐食性を
付与する極めて重要な元素である。十分な耐食性を得る
ため、Crの添加量を15.0%以上とした。多量のC
rの添加はδ−フェライトの生成させ、強度を低下させ
るので、18.0%以下とした。 【0010】Mo:0.5〜2.0% Moは不動態皮膜を非常に安定化させるため、耐食性の
向上に非常に効果的な元素である。十分な耐食性を得る
ため、Moの添加量を0.5%以上とした。しかし、M
oは高価であり、またδ−フェライトを生成させること
により強度の低下をまねくので、2.0%以下とした。 O:0.0030%以下 さらに、発明者らは本発明鋼において、Oが凝固時に非
金属介在物を生成させるため、鋼の清浄度を害し、冷間
加工性や耐食性等を劣化させることを見出した。そのた
め、Oの含有量を0.0030%以下とした。 【0011】強度を低下させる圧鍛後のδ−フェライト
の生成量はNi当量とCr当量の関係により規定され、
発明者らは実験結果からδ−フェライトの生成しない各
成分の相互関係を示す式(1)を見出した。そのため、
δ−フェライトが生成しないよう、上述の各成分範囲内
で、式(1)を満足するよう各成分を調整する。 1.2{2[%Si]+[%Cr]+1.5[%Mo]}−18≦30[%C] +0.5[%Mn]≦−0.8{2[%Si]+[%Cr]+1.5[%Mo] }+30 … (1) 【0012】 【実施例】表1に示す化学成分の本発明鋼No.1〜9
と比較鋼No.10〜15を溶製し、鍛造して直径30
mmの素材とした。これらの素材を軟化させるため球状
化焼なましを行い、球状化焼なまし材を用いて冷間加工
性を評価した。冷間加工性は、球状化焼なまし材の硬度
の測定および冷間据込み性試験により評価した。なお、
冷間据込み性試験の測定値である限界据込み率は、試験
前の試験片高さに対する割れが発生したときの据込み量
の割合(%)を示す値である。本発明鋼No.1〜9の
球状化焼なまし後の硬さは、いずれも十分に低い焼なま
し硬さであり、また、限界据込み率も75%以上の高い
値を示しており、比較鋼No.15のSUS440Cに
比べて優れた冷間加工性を示している。 【0013】次に、球状化焼なまし材に焼入れ・低温焼
戻しを施し、硬度と耐食性の評価を行った。耐食性は塩
水噴霧試験(温度35℃、5%NaCl水溶液、16時
間)により評価した。評価は4段階とし、Aは発銹が認
められなかったもの、Bは少し発銹が認められたもの、
Cはかなり発銹が認められたもの、Dは全面に発銹が認
められたものを示す。 【0014】本発明鋼No.1〜9の焼入れ・低温焼戻
し後の硬さはいずれも50HRC以上であり、十分な高
硬度を示している。本発明鋼No.1〜9は、塩水噴霧
試験においていずれも良好な耐食性を示している。比較
鋼No.10は耐食性、比較鋼No.11は強度、比較
鋼No.12は焼なまし硬さ、比較鋼No.13〜15
は冷間加工性と耐食性で本発明鋼に劣っている。 【0015】 【表1】 【0016】 【発明の効果】以上述べたように、本発明鋼は、焼なま
し状態での硬さが低く、優れた冷間加工性を備えている
ため、本発明鋼を素材として用いることにより冷間加工
で安価に部品を製造できるという利点がある。さらに、
焼入れ・焼戻し状態での硬さも高く、高強度であり、耐
食性においても従来鋼に比べて優れているため、高強度
高耐食性が要求される部品の素材として非常に適してい
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−193249(JP,A) 特開 平6−264194(JP,A) 特開 平11−106869(JP,A) 特開 昭59−205450(JP,A) 特開 平1−275737(JP,A) 特開 昭62−156255(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 重量%で、 C:0.27〜0.4%、 Si:0.3%以下、 Mn:0.3%以下、 S:0.005%超え0.030%以下、 Cr:15.0〜18.0%、 Mo:0.5〜2.0%、 O:0.0030%以下を含有し、 残部がFeおよび不可避不純物からなり、かつ式(1)
    を満足し、焼なまし状態において優れた冷間加工性を有
    することを特徴とする冷間加工性に優れた高強度高耐食
    性ステンレス鋼。 1.2{2[%Si]+[%Cr]+1.5[%Mo]}−18≦30[%C] +0.5[%Mn]≦−0.8{2[%Si]+[%Cr]+1.5[%Mo] }+30 … (1)
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