JP2014055357A - 玉軸受およびその玉軸受を備えた水中ポンプならびに釣り用リール - Google Patents
玉軸受およびその玉軸受を備えた水中ポンプならびに釣り用リール Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】成分が、重量比で、Cを0.35〜0.45%の範囲、Siを0.2%以下の範囲、Mnを0.3%以下の範囲、Pを0.02%以下の範囲、Sを0.02%以下の範囲、Crを15〜17%の範囲、Moを1.5〜2.5%の範囲、Bを0.001〜0.003%の範囲、Nを0.15〜0.25%の範囲でそれぞれ含有し、残部がFe及び不可避不純物からなるマルテンサイト系ステンレス鋼によって少なくとも内輪と外輪とを構成する玉軸受。
【選択図】図1
Description
Cはオーステナイト生成元素であって、多量に添加すると共晶炭化物を生成しやすく、割れが発生しやすいので、十分な耐食性が得られなくなるため、上限を0.45%とした。また、熱処理後の表面硬さがHRC60以上の高い硬さを得るためには、後述するようにNとの和が0.60以上あることが必要であり、さらに、Nは大気溶解では0.25%が限界であることから、Cの下限は0.35%とした。
0.2%を超える量のSiを含有していると、靭性が著しく低下し、熱間加工性に有害になるので、Siは0.2%以下の範囲で含有させることとした。
Mnはオーステナイト安定化元素であり、過度の添加は残留オーステナイト量を増加させるため、熱処理後の表面硬さを低下させるのみでなく、耐食性も害する他、経年による寸法変化を起こしやすい。したがってMnの含有量は0.3%以下の範囲とした。
Pは、結晶粒界に析出して冷間脆性を引き起こす成分であり、冷間脆性を避けるために含有量を0.02%以下の範囲とした。
Sは、耐食性を劣化させたり熱間加工性を害したりするので、含有量を0.02%以下の範囲とした。
Crは、Mnと同様にNの固溶限を高め、また、耐食性を改善する効果を持つが、これは13%以上添加された場合である。本発明ではCを0.35〜0.45%と低めに規定したため、Crを増加し耐食性を低下させないよう下限を15%とした。また、強固な不動態被膜を形成させるためと焼き入れ温度でのオーステナイト単相を確保するために上限は17%とした。なお、17%を超えて含有すると、Cr,Feの炭化物であるM23C6型炭化物が生成し、熱処理後の表面硬さを低下させたり耐食性を劣化させたりしてしまう。
Moは、Crと同様にNの固溶限を高め、また、耐食性を改善し、焼き入れ性を上げる効果を持つが、このような効果を得るためには1.5%以上の添加が必要である。また、過度の添加は靭性の低下を招くので、上限は2.5%とした。
Nは、マルテンサイト系ステンレス鋼の熱処理後の表面硬さ・耐食性を向上させるのに非常に有効な元素であり(後述するようにBNを析出し強度の向上が可能となる。)、この効果を得るためには0.15%以上必要である。また、大気溶解では、材料中にブロー(気泡)の発生がなく、実用に供し得るマルテンサイト系ステンレス鋼にするにはその固溶限界が0.25%であるため、0.25%を上限とした。
焼き入れ、サブゼロ処理、焼き戻しによって表面硬さHRC60以上を得るためには、CW+NWは0.60以上とする必要がある。また、CW+NWが0.65以上では残留オーステナイト量が増加して熱処理後の表面硬さが低下してしまうため、0.65%を上限とした。
Bを添加するとBNが析出して強度の向上に有効で、かつ焼き入れ性を高めるが、この効果を得るためには0.001%以上の添加が必要である。一方、過度の添加は靭性の低下を招くので、添加量の上限を0.003%以下とする。
Wは原子半径が大きいため、固溶強化元素として作用する。この作用を得るためには、0.1%以上の添加が必要である。また、過度の添加は靭性の低下を招くので、添加量の上限を0.2%以下とする。
10kgの高周波誘導炉を用いて、表1に示す化学成分(重量%)の各合金を溶解し、均質加熱後、固化させたインゴットを切断し、熱間鍛造にてφ20の丸棒の試料を作製した。次に、1100℃で1時間保持後に水冷し、続いて液体窒素中でサブゼロ処理を行った。その後、150℃の低温焼き戻しを行って、実施例1〜5、比較例1〜13の試料を得た。なお、これら試料は、いずれも表1に示す化学成分以外に残部としてFeおよび不可避的に混入する不純物を含んでいる。
・焼き戻し後の硬さ(HRC)の測定
JIS−Z2245に規定されているロックウェルCスケールで測定した。
・耐食性の評価
JIS−Z2371に規定されている方法で中性塩水噴霧試験を24時間行った後、試料表面における錆の有無に応じて次の2段階で評価した。○:目視検査で錆の発生が認められなかった、×:目視検査で錆の発生が確認できた。
・M23C6型炭化物の有無の確認
樹脂に試験片の一部を埋め込んで研磨し、試験片の研磨面を金属顕微鏡により1000倍で観察し、有無を確認した。
分塊圧延時においてエッジに割れが発生した場合を×、発生しなかった場合を○と評価した。
・残留オーステナイト量
X線回折装置で残留オーステナイトの比率を調べた。
・ブロー(気泡)の発生の有無
ブローの存在は製品の製作を困難にするものである。インゴットの切断後、切断面を#1000のエミリー紙で研磨し、研磨面を目視で観察してブローの有無を確認した。
以上の試験結果を、表2に示す。
11…内輪
12…外輪
13…ボール
Claims (8)
- 内輪と外輪とボールとを備える玉軸受であって、
少なくとも前記内輪と前記外輪とが、成分が、重量比で、Cを0.35〜0.45%の範囲、Siを0.2%以下の範囲、Mnを0.3%以下の範囲、Pを0.02%以下の範囲、Sを0.02%以下の範囲、Crを15〜17%の範囲、Moを1.5〜2.5%の範囲、Bを0.001〜0.003%の範囲、Nを0.15〜0.25%の範囲でそれぞれ含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるマルテンサイト系ステンレス鋼からなることを特徴とする玉軸受。 - 前記ボールがマルテンサイト系ステンレス鋼からなることを特徴とする請求項1に記載の玉軸受。
- 前記ボールが前記成分を有するマルテンサイト系ステンレス鋼からなることを特徴とする請求項1に記載の玉軸受。
- 前記ボールが高炭素クロム軸受鋼であるSUJ2からなることを特徴とする請求項1に記載の玉軸受。
- 前記内輪と前記外輪の表面硬さがHRC58以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の玉軸受。
- 前記内輪と前記外輪の残留オーステナイト量が7.3%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の玉軸受。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の玉軸受を備えることを特徴とする水中ポンプ。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の玉軸受を備えることを特徴とする釣り用リール。
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