JP5618573B2 - 焼成用積層シート、識別ラベルが貼付された被着体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
項1.保護シート、仮接着層、耐熱基材層、可燃性接着剤層及び剥離シートが、この順で積層され、該耐熱基材層がガラスフリット層、識別インク層、及び基材色インク層で構成された30μm以下の層であり、かつ、識別インク層及び基材色インク層が無機顔料を有する、焼成用積層シート。
項2.前記耐熱基材層がガラスフリット層、識別インク層、基材色インク層の順に積層されている上記項1に記載の焼成用積層シート。
項3.前記耐熱基材層が、識別インク層、ガラスフリット層、基材色インク層の順に積層されている上記項1に記載の焼成用積層シート。
項4.上記項1〜3のいずれかに記載の焼成用積層シートから剥離シートを取り除き、該剥離シートを取り除いた焼成用積層シートを被着体に貼付する第1工程、
被着体上の剥離シートを取り除いた焼成用積層シートから保護シート及び仮接着層を取り除く第2工程、及び
耐熱基材層及び可燃性接着剤層を有する被着体を焼成する第3工程、
からなる識別ラベルが貼付された被着体の製造方法。
項5.前記被着体が、ガラス基材、セラミック基材及び金属基材からなる群から選択される基材である上記項4に記載の製造方法。
項6.上記項4又は5に記載の製造方法によって製造された、識別ラベルが貼付された被着体。
本発明の焼成用積層シートは、保護シート、仮接着層、耐熱基材層、可燃性接着剤層及び剥離シートが、この順で積層され、該耐熱基材層が、ガラスフリット層、識別インク層及び基材色インク層で構成された30μm以下の層であり、かつ、識別インク層及び基材色インク層が無機顔料を有するものである。
保護シートは、本発明の焼成用積層シートの形状を保持するためのものであり、被着体に本発明の焼成用積層シートを貼り付けた後に、剥離される。
仮接着層は、耐熱基材層と保護シートとを一時的に(仮に)接着するための層であり、被着体に本発明の焼成用積層シートを貼り付けた後に、剥離される。
耐熱基材層は、ガラスフリット層、識別インク層及び基材色インク層で構成された30μm以下の層であり、かつ、識別インク層及び基材色インク層が無機顔料を有するものである。この耐熱基材層は、最終的に被着体上で焼成されることにより、識別部を有するラベル(識別ラベル)を構成する。
ガラスフリット層は、ガラスフリット及びバインダーを含む層である。ガラスフリット層は、これらを含む塗工液から形成される。
識別インク層は、無機顔料及びバインダーを有するインクからなるものであり、本分野で用いられる公知のインクを用いることができる。
基材色インク層は、無機顔料及びバインダーを有するインクからなるものであり、本分野で用いられる公知のインクを用いることができる。
基材色インク層中に含まれる無機顔料が白色の酸化チタンであり、識別インク層に含まれる無機顔料が酸化銅・酸化クロム・酸化マンガンからなる黒色の焼成顔料である組合せ、
基材色インク層中に含まれる無機顔料が酸化銅・酸化クロム・酸化マンガンからなる黒色の焼成顔料であり、識別インク層に含まれる無機顔料が白色の酸化チタンである組合せ、
等を挙げることができる。
可燃性接着剤層は、本発明の焼成用積層シートを焼成前の被着体上に貼り付けるための層である。本発明の焼成用積層シートが貼り付けられた被着体を焼成することで、可燃性接着剤層は熱により蒸発又は分解する。
剥離シートは、本発明の焼成用積層シートの非使用時に、可燃性接着剤層が被着体以外のものに付着することを防止するために積層される。剥離シートの厚みは、特に限定されるものではなく、適宜決定することができる。
本発明の焼成用積層シート(1)の積層方法は、特に限定されるものでなく、保護シート(2)、仮接着層(3)、耐熱基材層(4)、可燃性接着剤層(5)及び剥離シート(6)が、この順で積層されるような方法であれば特に限定されるものではない。
図3に示すように、耐熱基材層(4)が、識別インク層(4b)、ガラスフリット層(4a)、基材色インク層(4c)の順に積層される場合には、予め、ガラスフリット層(4a)、基材色インク層(4c)、可燃性接着剤層(5)を剥離シート(6)上に作成しておき、ガラスフリット層(4a)上に識別インク層(4b)を印刷した後、仮接着層(3)を有する保護シート(2)を貼り合わせる方法(以下、方法2)を挙げることができる。
(1)仮接着層及び耐熱基材層を有する保護シート(第一シート)の製造
保護シート(2)上に、仮接着層(3)を形成するための組成物(以下、「仮接着層組成物」という)を塗布し、乾燥させる。該仮接着層組成物を乾燥する温度及び時間は、特に制限されるものではなく適宜変更することができる。例えば、熱風循環式オーブンを使用し、40〜200℃で、約0.1〜60分間乾燥する。
剥離シート(6)上に、可燃性接着剤を塗布し、乾燥することで可燃性接着剤層(5)を形成する。該可燃性接着剤を乾燥する温度及び時間は、特に制限されるものではなく適宜変更することができる。例えば、熱風循環式オーブンを使用し、50〜200℃で、約0.1〜60分間乾燥する。このようにして、可燃性接着剤層(5)を有する剥離シート(6)(第二シートB)を作製する。
前記(1)で得られた第一シートAの基材色インク層(4c)と、前記(2)で得られた第二シートBの可燃性接着剤層(5)が合わさるようにして、これらのシートを貼り合わせる。
(1)可燃性接着剤層及び耐熱基材層を有する剥離シート(第三シート)の製造
剥離紙上に、ガラスフリット層用塗工液を所望の乾燥膜厚になるように塗工し乾燥させることによりガラスフリット層(4a)を形成し、その上に基材色インク層用塗工液を所望の乾燥膜厚になるように塗工し乾燥させることにより、ガラスフリット層(4a)上に基材色インク層(4c)を形成する。該基材色インク層用塗工液及びガラスフリット層用塗工液を乾燥する温度及び時間は、特に制限されるものではなく適宜変更することができる。例えば、熱風循環式オーブンを使用し、50〜200℃で、約0.1〜60分間乾燥する。これを基材シートpとする。
保護シート(2)に仮接着層組成物を所望の乾燥膜厚となるように塗工し、乾燥させる。該仮接着層組成物を乾燥する温度及び時間は、特に制限されるものではなく適宜変更することができる。例えば、熱風循環式オーブンを使用し、40〜200℃で、約0.1〜60分間乾燥する。これにより、仮接着層(3)を有する保護シート(2)(第四シートD)が形成される。
前記(1)で得られた第三シートCの耐熱基材層(4)の識別シート層(4b)と、前記(2)で得られた第四シートDの仮接着層(3)を貼り合わせて、焼成用積層シートを得た。
本発明は、
本発明の焼成用積層シートから剥離シートを取り除き、該剥離シートを取り除いた焼成用積層シートを被着体に貼付する工程(第1工程)、被着体上の剥離シートを取り除いた焼成用積層シートから保護シート及び仮接着層を取り除く工程(第2工程)、及び耐熱基材層及び可燃性接着剤層を有する被着体を焼成する工程(第3工程)からなる、識別ラベルが貼付された被着体の製造方法に関する。
第1工程では、本発明の焼成用積層シートから剥離シートを取り除き、該剥離シートを取り除いた焼成用積層シートを被着体に貼付する。
第2工程では、被着体上の剥離シートを取り除いた焼成用積層シートから保護シート及び仮接着層を取り除く。保護シート及び仮接着層を取り除く方法としては、特に限定されるものではなく、通常、剥がし取る方法を採用することができる。
第3工程では、第2工程により得られた耐熱基材層及び可燃性接着剤層を有する被着体を焼成する。
表1に示す配合割合で各原料を混合分散し、インク分散ペーストNo.1及び2を製造した。なお、表1中の、黒色焼成顔料は、下記のものを示す。
黒色焼成顔料:複合金属酸化物顔料、ダイピロキサイド ブラック 9510、大日精化(株)製
厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に、シリコーン樹脂10重量部、トルエン45重量部、メチルエチルケトン(MEK)45重量部の混合液をバーコーターで塗布量が0.4g/m2となるように塗布し乾燥させ耐熱保護層を形成した。ついで他方の面にポリエチレンワックス9重量部、エチレン−酢酸ビニル共重合体1重量部、トルエン10重量部からなる塗布液を塗布量が0.6g/m2になるようにバーコーターで塗布し乾燥させ剥離層を形成した。この剥離層上に製造例1又は2のインク分散ペーストをそれぞれ1.5g/m2となるようにバーコーターで塗布し乾燥させ、黒色及び白色の熱転写シートを得た。
酸化チタン60重量部、アクリル樹脂(固形分50%)30重量部、分散剤(ディスパロンDA325(楠本化成(株)))1重量部、キシレン10重量部をアトライターで分散し、白色の基材色インク層用塗工液を作成した。
酸化チタン70重量部、水系分散剤(フローレンWE−13E(共栄社化学(株)))5重量部、消泡剤(SNデフォーマー1312(サンノプコ(株)))1重量部、精製水24重量部を混合分散し、白色顔料ペーストを作成した。これにMFT(最低造膜温度)が35℃のアクリルスチレンエマルジョン50重量部と、成膜助剤としてブチルセロソルブ5重量部、消泡剤(SNデフォーマー1312(サンノプコ(株)))1重量部を混合し水系の基材色インク層用塗工液を作成した。表面調整剤(BYK348(ビックケミー・ジャパン(株)))、増粘剤(SNシックナー640(サンノプコ(株)))および精製水を使用して塗工に適した粘度及び表面張力に調整した。
Al2O3、B2O3及びSiO2を主成分とする軟化点700℃のホウ珪酸ガラス粉末60重量部、エチルセルロース5重量部、ジブチルフタレート1重量部、ターピネオール34重量部をロールミルで分散し、ペーストを作成した。
仮接着層となるデキストリンを塗布した転写紙(SPA、丸繁紙工(株))のデキストリン層上に製造例6で作成したガラスフリットペーストをバーコーターで乾燥膜厚が10μmとなるように塗布し乾燥させガラスフリット層と仮接着層を有する保護シートを得た。続いて製造例3で作成した黒色熱転写シートを用い熱転写プリンターでバーコードを鏡文字になるようガラスフリット層上に印字し3μmの識別インク層を保持させた。
基材色インク層を、製造例3で得られた白色の熱転写シートを用いて熱転写プリンターで識別インク層を覆うようにガラスフリット層上の全面に転写して設けた以外は、実施例1と同様にして焼成用積層シート(識別インク層:黒色、基材色インク層:白色)を得た。
製造例3で得られた白色熱転写シートを用いて識別インク層を形成し、製造例3で得られた黒色熱転写シートを用いて基材色インク層を形成した以外は、実施例2と同様にして焼成用積層シート(識別インク層:白色、基材色インク層:黒色)を得た。
シリコーン剥離剤が塗布された剥離紙上に製造例6で得られたガラスフリットペーストを乾燥膜厚が10μmとなるようバーコーターで塗布し、100℃で1分間乾燥させた。その面上に製造例5で得られた水系基材色インク層用塗工液を乾燥膜厚が5μmとなるようにバーコーターで塗工し、100℃で3分間乾燥させ、剥離紙、ガラスフリット層及び基材色インク層を有する基材シートを製造した。他方、シリコーン剥離剤が塗布された剥離紙に、アクリル系粘着剤(コーポニール5836、日本合成化学(株))100重量部に架橋剤としてポリイソシアネート(コロネート L−55E、日本ポリウレタン(株))1重量部を混合したものを乾燥膜厚が10μmになるようにバーコーターで塗工し、100℃で1分間乾燥させ、粘着シートを製造した。この粘着シートの粘着剤と基材シートの基材色インク層とを貼り合わせ、基材シートの剥離紙を剥離し、剥離シート、接着剤層、基材色インク層、及びガラスフリット層からなる基材色積層シートを作製した。
ガラスフリット層の乾燥膜厚を15μm及び基材色インク層の乾燥膜厚を8μmとした以外は実施例1と同様にして、耐熱基材層の膜厚が26μmである焼成用積層シート(識別インク層:黒色、基材色インク層:白色)を得た。
ガラスフリット層の乾燥膜厚を20μm及び基材色インク層の乾燥膜厚を12μmとした以外は実施例1と同様にして、耐熱基材層の膜厚が35μmである焼成用積層シート(識別インク層:黒色、基材色インク層:白色)を得た。
ポリフェニルメチルシロキサンからなるストレートシリコーン樹脂ワニス(有効成分50%)40重量部、酸化チタン30重量部、アルミナ15重量部、分散剤(ディスパロンDA325(楠本化成(株)))1.5重量部、及びキシレン15重量部を混合分散した基材インク層用塗工液を、乾燥膜厚が30μmになるようにドクターブレードでシリコーン剥離剤が塗布された剥離紙上に塗工し、100℃で1分間乾燥させてラベル基材シートを得た。
(1)試験板の製造方法
(1−1)実施例1〜3、5及び比較例1の焼成用積層シート
焼成用積層シートの剥離紙をはがし、露出したアクリル粘着剤層を介し耐熱ガラス(ネオセラムN−0;日本電気硝子(株)製)のプレートに貼り付けた。その後、スキージーで強く圧着させた。次に、スポイトで水を積層シート上の転写紙に含ませ、約30秒間放置し、デキストリンを溶解させた後、この最上面の転写紙を取り除いた。これにより、耐熱ガラスのプレート上にバーコードが表示されたシートが現れた。得られた実施例1〜3、5及び比較例1の焼成用積層シートが貼り付けられた耐熱ガラスプレートを、それぞれ試験板1〜3、5及び6とした。
実施例4の焼成用積層シートの剥離紙をはがし、露出したアクリル粘着剤を介し耐熱ガラスプレートに貼り付けた。その後、スキージーで強く圧着させた。次に、表面のPETフィルムを剥ぎ取ると、耐熱ガラスのプレート上にバーコードが表示されたシートが現れた。なお、アクリル系微粘着剤は、PETフィルムとともに取り除かれた。得られた実施例4の焼成用積層シートが貼り付けられた耐熱ガラスプレートを、試験板4とした。
比較例2の基材積層シートから剥離紙を取り除き、耐熱ガラスプレートに貼り付けた。その後、表面をシリコーンゴムで垂直に押し付け密着させた。しかし剥離紙を取り除く際、基材層が脆いため破断してしまい、良好な貼付ができなかった。これを試験板7とした。
上述の試験板1〜7をそれぞれ焼成炉に投入し、10℃/分で室温から800℃まで昇温させた。その後焼成炉から取り出して室温まで放冷し、ラベルの評価を行った。
(1)外観
放冷後、外観を目視により、以下の評価基準で評価した。
○:皺、ひび割れが無く、良好な外観である。
△:ひび割れが発生している。
×:ひび割れもしくは剥離し識別部は認識できない。
放冷後、セロテープ(登録商標)を強く貼り付け、その一端を一気に引っ張り、付着性を以下の評価基準で評価した。
○:全く剥離がない。
△:一部分の剥離が生じた。
×:剥離し、識別部が認識できない。
線径0.2mmのステンレスワイヤーブラシで、約1kgの荷重をかけてラベル表面を20往復させ、下記評価基準で評価した。
○: 傷は付かず、識別部の欠損もなかった。
△: 傷は付いたが、識別部は認識できた。
×: 表面が傷つき、識別部の認識ができない。
各試験板を50℃の5%水酸化ナトリウム溶液に10分間浸漬し、水洗後自然乾燥させた。その後、(3)の引っかき抵抗性試験を行った。
試験板1〜7を、それぞれ内部温度が400℃に保持した焼成炉に投入して一気に加熱し、その後10℃/分で800℃まで昇温させた。焼成炉から試験板を取り出して放冷した。そしてラベルの外観、付着性及び引っかき抵抗性について、前記試験1と同様に評価した。その結果を表3に示す。
試験板1〜7をそれぞれ焼成炉に投入し、10℃/分で室温から800℃まで昇温させた。その後焼成炉から取り出し、水を張ったバットに一気に投入し急水冷却を行い、その外観、付着性および引っかき抵抗性について、前記試験1と同様に評価した。その結果を表4に示す。
2:保護シート
3:仮接着層
4:耐熱基材層
4a:ガラスフリット層
4b:識別インク層
4c:基材色インク層
5:可燃性接着剤層
6:剥離シート
7:被着体
8:識別ラベル
9:識別部
10:ラベル
Claims (7)
- 保護シート、仮接着層、耐熱基材層、可燃性接着剤層及び剥離シートが、この順で積層され、該耐熱基材層がガラスフリット層、識別インク層、及び基材色インク層で構成された30μm以下の層であり、かつ、識別インク層及び基材色インク層が無機顔料を有する、焼成用積層シート。
- 前記耐熱基材層がガラスフリット層、識別インク層、基材色インク層の順に積層されている請求項1に記載の焼成用積層シート。
- 前記耐熱基材層が、識別インク層、ガラスフリット層、基材色インク層の順に積層されている請求項1に記載の焼成用積層シート。
- 前記ガラスフリット層の下側の面が前記基材色インク層のみと接触し、前記可燃性接着剤層の上側の面が前記基材色インク層のみと接触している請求項3に記載の焼成用積層シート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の焼成用積層シートから剥離シートを取り除き、該剥離シートを取り除いた焼成用積層シートを被着体に貼付する第1工程、
被着体上の剥離シートを取り除いた焼成用積層シートから保護シート及び仮接着層を取り除く第2工程、及び
耐熱基材層及び可燃性接着剤層を有する被着体を焼成する第3工程、
からなる識別ラベルが貼付された被着体の製造方法。 - 前記被着体が、ガラス基材、セラミック基材及び金属基材からなる群から選択される基材である請求項5に記載の製造方法。
- 請求項5又は6に記載の製造方法によって製造された、識別ラベルが貼付された被着体。
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