JP5618496B2 - インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の異なる色材濃度の顔料インクを用いたインクジェット記録装置及びインクジェット記録システムに関する。特に、様々な種類の記録媒体に高画質な画像を形成するためのインクジェット記録装置及びインクジェット記録システムに関するものである。
従来、インクジェット記録において、画像品位の向上を目的として、複数の異なる色材濃度を有するインクを用いて記録を行うインクジェット記録装置が普及している。例えば、Y、M、C、Kの4色に加え、より色材濃度の低い淡インクとして同系色の淡イエロー(淡Y、LY)、淡マゼンダ(淡M、LM)、淡シアン(淡C、LC)を用いるインクジェット記録装置である。この淡インクをハイライト部において積極的に使用することにより、記録画像の粒状性を軽減できることが知られている。
また、記録媒体の種類に応じて複数の色材濃度の異なるインクの中から最適なインクの組み合わせを選択することにより、高い発色性や良好な階調性を伴った高画質な画像を形成する方法が知られている。色材濃度の異なるインクを用いて記録を行うインクジェット記録装置は、記録画像の高画質化において重要な役割を担っている。
一方、染料インクに比べて印刷物の画像堅牢性の高い顔料インクを用いた記録画像が望まれている。記録媒体としては、PPC用紙に代表される普通紙を始め、上質紙やフィルム等の基板上にインク受容層を設けてなるコート紙、CD/DVD、OHP、はがき等、多様な種類がある。さらに、高画質化・高品位化が強く求められるコート紙には、光沢感に優れる鏡面を持つ光沢紙から、つや消し調のマット紙まで、種々の質感を持つものが市販されている。
顔料インクを用いたインクジェット記録装置において、高画質化における課題は上記記録媒体の種類によって異なっている。例えば、発色性と耐擦性の観点より、普通紙の発色性とコート紙の耐擦性の向上を両立する方法が知られている。コート紙に比べ発色性におとる普通紙では積極的に濃インクを使用し、普通紙より耐擦性に劣るコート紙にはポリマーを多く含有した淡インクを積極的に使用することが記載されている(特許文献1参照)。
特開2002−3768号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、マット紙での高発色性と光沢紙における高光沢性を両立することが困難な場合がある。 これは、インク吸収性の低い光沢紙に、インク吸収性が高いマット紙で良好な発色性を得るための濃インクを用いると、記録媒体表面に色材が残存して凹凸となるためであることが知られている。図1(a)は、ヘッドより吐出され記録媒体に着弾した単一のインクドットに着目した場合、色材濃度が高い顔料インクを用いる程、単一のインクドットの高さが高くなる様子である。このようなインクドットの凹凸により、記録画像の光沢性が低下する。上記問題を解決するために、例えば、透明インクを用いて凹凸の激しい記録媒体表面をオーバーコートし平滑化することで、良好な光沢感を実現する手法もあるが、使用する透明インクの消費量が多いという問題がある。
よって本発明は前記課題を解決するためのものであり、複数の濃度のインクセットを有する単一のインクジェット記録装置において、マット紙における高い発色性と光沢紙における高い光沢性を両立可能なインクジェット記録装置を提供する。
上記目的を達成するために、本発明は、第1のインクを用いて所定の濃度の画像が記録された記録媒体上の記録面の平滑性が、前記第1のインクと同系色で前記第1のインクよりも顔料濃度の低い第2のインクを用いて前記所定の濃度の画像が記録された前記記録媒体上の記録面の平滑性よりも低くなるような前記第1のインクおよび前記第2のインクを用いて画像を記録可能なインクジェット記録装置であって、前記第1のインクを用いずに前記第2のインクを用いて第1の記録媒体に画像を記録するための第1の記録モードと、前記第1のインクを用いて前記第1の記録媒体とは異なる第2の記録媒体に画像を記録するための第2の記録モードと、を実行可能であることを特徴とする。
顔料インクを用いて記録を行うインクジェット記録装置において、マット紙における高い高い発色性と光沢紙における高い光沢性を両立可能なインクジェット記録装置及びインクジェット記録システムを提供する。
第1の実施形態における顔料インクの着弾を説明する模式図 光沢度の説明図 記録媒体の種類と光沢度の関係の説明図 装置外観斜視図 装置内部斜視図 第1の実施形態における装置内の制御系電気ブロック図 第1の実施形態におけるインク構成成分を示す図 第1の実施形態における画像処理のフローチャート 第1の実施形態におけるプリンタドライバが記録装置に渡す記録データを示す図 後段処理に用いる3次元LUTの説明図 後段処理の説明図 従来の記録媒体と使用するインクの関係図 従来の記録媒体毎の後段処理の違いの説明図 従来の記録媒体毎の使用するインク量の違いの説明図 第1の実施形態における記録媒体と使用するインクの関係図 第1の実施形態における記録媒体毎の後段処理の説明図 第1の実施形態における記録媒体毎の使用するインク量の説明図 第1の実施形態における記録媒体と使用するインクの関係図 第2の実施形態における記録媒体と使用するインクの関係図 記録モードをマニュアル設定する時のホスト110の表示を示す図 第3の実施形態における記録動作設定内容を分類して示す図
(第1の実施形態)
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
最初に、本発明の実施形態において、種々の記録媒体を分類するための基準となる記録媒体表面の光沢について説明する。記録媒体の光沢を示す指標には、光沢度および写像性がある。
図2(a)〜(c)は、光沢度を説明する図である。図2(a)に示すように、20°鏡面光沢度(以下、光沢度と記載する)は、印刷物表面で反射した反射光を検出器(例えば、BYK−Gardner社製のB−4632(日本名;マイクロ−ヘイズ プラス))を用いて検出する。反射光は、その正反射光の軸を中心にある角度で分布しており、図2(c)に示すように、光沢度は、例えば検出器中心の開口幅1.8°で検出される。すなわち、反射光が観察される場合、その分布の中心軸をなす正反射光の入射光に対する反射率が光沢度と定義され、この光沢度が大きいほど観測者は光沢感があると感じる。なお、光沢度はJIS規格のK5600に準拠している。
図2(b)は、印刷画像表面の粗さに応じて正反射光の量が異なることを示す図である。この図に示されるように、一般に表面が粗くなるほど正反射光の量が減り、これによって光沢度もより小さく測定される。
一方、写像性は、例えば、JIS H8686『アルミニウム及びアルミニウム合金の陽極酸化皮膜の写像性測定方法』やJIS J7105『プラスチックの光学的特性試験方法』を用いて測定され、記録媒体に映り込んだ像の鮮明さを表す。例えば、記録媒体に映り込んだ照明像がぼやけている場合は、写像性の値が低くなる。一般に、光沢紙は写像性の値が30以上の記録媒体であり、マット紙は写像性が30未満の記録媒体である。
本実施形態では、簡単のために光沢度のみを記録媒体選択の指標として用いた場合を記載する。
図3は、異なる種類の記録媒体の表面形状と光沢度を説明するための図である。図3(a)〜(b)は光沢紙及びマット紙の表面形状と反射光の関係を示す図である。尚、本実施形態では、光沢度が2%以上の記録媒体を光沢紙、2%未満の記録媒体をマット紙と分類している。
次に、以下に説明する実施形態において共通に用いられる装置の構成やインク成分構成や画像処理について説明する。図4は本実施形態で適用するインクジェット記録装置の外観を示す斜視図であり、図5はインクジェット記録装置内部を示す斜視図である。
本実施形態では、図4において、給紙トレイ12より矢印で示す方向に記録媒体を挿入後、間欠的に搬送して画像形成し、排紙トレイM3160より排紙する。
図5において、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド1は、矢印A1、A2方向にガイドレール4に沿って往復移動しながらノズルからインクを吐出し、記録媒体S2上に画像を形成する。記録ヘッド1は、例えば、異なるインクに対応した複数のノズル群を有している。例えば、後述する濃シアン、中シアン、淡シアン(C、MC、LC)、濃マゼンタ、中マゼンダ、淡マゼンタ(M、MM、LM)、濃イエロー、中イエロー(Y、MY)、濃ブラック、中ブラック、淡ブラック(K、MK、LK)の11色のインクである。これら各色のインクは、インクタンク7に貯留され、そのインクタンクから供給チューブを経て記録ヘッド1にインクが供給される。
また、キャリッジモータ11の駆動力をタイミングベルト17によってキャリッジ5に伝えることにより、キャリッジ5を矢印A1、A2方向(主走査方向)にガイド軸3とガイドレール4に沿って往復移動させる。このキャリッジ移動の際に、キャリッジ位置はキャリッジ5に設けられたエンコーダセンサ21によりキャリッジの移動方向に沿って備えられたリニアスケール19を読み取ることにより検出される。そして、この往復移動により記録媒体上への記録が開始される。この時、記録媒体S2は給紙トレイ12より供給され、搬送ローラ16とピンチローラ15とにより挟持され、プラテン2まで搬送される。
次に、キャリッジ5がA1方向に1走査分の記録を行うと、搬送モータ13によってリニアホイール20を介して搬送ローラ16が駆動される。そして、記録媒体S2が副走査方向である矢印B方向に所定量搬送される。その後、キャリッジ5がA2方向に走査しながら、記録媒体S2に記録が行なわれる。ホームポジションには図5に示されているように、ヘッドキャップ10と回復ユニット14が備えられ、必要に応じて間欠的に記録ヘッド1の回復処理を行う。
上記説明した動作を繰り返すことにより、記録媒体の1枚分の記録が終了すると、記録媒体は排紙され、1枚分の記録が完了する。
図6は、本実施形態におけるインクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図を示す。コントローラ100は主制御部であり、例えばマイクロ・コンピュータ形態のASIC101、ROM103、RAM105を有する。ROM103は、ドット配置パターン、マスクパターン、その他の固定データを格納している。RAM105は、画像データを展開する領域や作業用の領域等を設けている。ASIC101がROM103からプログラムを読み出し、画像データを記録媒体へ記録するまでの一連の処理を実行する。詳しくは、インク打ち込み量に対応する情報からマスクパターンを選択して画像データを分割し、各パスの記録データを生成する。
ホスト装置110は、後述する画像データの供給源(プリントに係る画像等のデータの作成、処理等を行うコンピュータとする他、画像読み取り用のリーダ部等の形態であってもよい)である。画像データ、その他のコマンド、ステータス信号等は、インタフェース(I/F)112を介してコントローラ100と送受信される。
ヘッド・ドライバ140は、プリント・データ等に応じて記録ヘッド1を駆動するドライバである。モータ・ドライバ150はキャリッジモータ11を駆動するドライバであり、モータ・ドライバ160は搬送モータ13を駆動するドライバである。
ここで、本実施形態のインクジェット記録装置で使用される、顔料インクを構成する各成分について説明する。
(水性媒体)
本発明で使用するインクには、水及び水溶性有機溶剤を含有する水性媒体を用いることが好ましい。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として3.0質量%以上50.0質量%以下とすることが好ましい。又、インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として50.0質量%以上95.0質量%以下とすることが好ましい。
水溶性有機溶剤は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。メタノール、エタノール、プロパノール、プロパンジオール、ブタノール、ブタンジオール、ペンタノール、ペンタンジオール、ヘキサノール、ヘキサンジオール、等の炭素数1〜6のアルキルアルコール類。ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類。アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類。テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の平均分子量200、300、400、600、及び1,000等のポリアルキレングリコール類。エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等の炭素数2〜6のアルキレン基を持つアルキレングリコール類。ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の低級アルキルエーテルアセテート。グリセリン。エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類。N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等。又、水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。
(顔料)
顔料は、カーボンブラックや有機顔料を用いることが好ましい。インク中の顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として0.1質量%以上15.0質量%以下とすることが好ましい。
ブラックインクは、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラックを顔料として用いることが好ましい。具体的には、例えば、以下の市販品等を用いることができる。レイヴァン:7000、5750、5250、5000ULTRA、3500、2000、1500、1250、1200、1190ULTRA−II、1170、1255(以上、コロンビア製)。ブラックパールズL、リーガル:330R、400R、660R、モウグルL、モナク:700、800、880、900、1000、1100、1300、1400、2000、ヴァルカンXC−72R(以上、キャボット製)。カラーブラック:FW1、FW2、FW2V、FW18、FW200、S150、S160、S170、プリンテックス:35、U、V、140U、140V、スペシャルブラック:6、5、4A、4(以上、デグッサ製)。No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上、三菱化学製)。又、本発明のために新たに調製したカーボンブラックを用いることもできる。勿論、本発明はこれらに限定されるものではなく、従来のカーボンブラックを何れも用いることができる。又、カーボンブラックに限定されず、マグネタイト、フェライト等の磁性体微粒子や、チタンブラック等を顔料として用いてもよい。
有機顔料は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッド等の水不溶性アゾ顔料。リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の水溶性アゾ顔料。アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体。フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料。キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系顔料。ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系顔料。イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系顔料。ベンズイミダゾロンイエロー、ベンズイミダゾロンオレンジ、ベンズイミダゾロンレッド等のイミダゾロン系顔料。ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系顔料。インジゴ系顔料、縮合アゾ系顔料、チオインジゴ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料。フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、キノフタロンイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等。勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。
又、有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで示すと、例えば、以下のものを用いることができる。C.I.ピグメントイエロー:12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、97、109、110、117、120、125、128、137、138、147、148、150、151、153、154、166、168、180、185等。C.I.ピグメントオレンジ:16、36、43、51、55、59、61、71等。C.I.ピグメントレッド:9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、175、176、177、180、192等。同、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254、255、272等。C.I.ピグメントバイオレット:19、23、29、30、37、40、50等。C.I.ピグメントブルー:15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64等。C.I.ピグメントグリーン:7、36等。C.I.ピグメントブラウン:23、25、26等。勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。
(分散剤)
上記したような顔料を水性媒体に分散するための分散剤は、水溶性を有する樹脂であれば何れのものも用いることができる。中でも特に、分散剤の重量平均分子量が1,000以上30,000以下、更には3,000以上15,000以下のものが好ましい。インク中の分散剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として0.1質量%以上5.0質量%以下とすることが好ましい。
分散剤は、具体的には、例えば、以下のものを用いることができる。スチレン、ビニルナフタレン、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマール酸、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド、又はこれらの誘導体等を単量体とするポリマー。尚、ポリマーを構成する単量体のうち1つ以上は親水性単量体であることが好ましく、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、又はこれらの塩等を用いても良い。又は、ロジン、シェラック、デンプン等の天然樹脂を用いることもできる。これらの樹脂は、塩基を溶解した水溶液に可溶である、即ち、アルカリ可溶型であることが好ましい。
(界面活性剤)
インクセットを構成するインクの表面張力を調整するためには、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤等の界面活性剤を用いることが好ましい。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノール類、アセチレングリコール化合物、アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物等を用いることができる。
(その他の成分)
インクセットを構成するインクは、前記した成分の他に、保湿性維持のために、尿素、尿素誘導体、トリメチロールプロパン、及びトリメチロールエタン等の保湿性固形分を含有してもよい。インク中の保湿性固形分の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として0.1質量%以上20.0質量%以下、更には3.0質量%以上10.0質量%以下とすることが好ましい。又、インクセットを構成するインクは、前記した成分以外にも必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、及び蒸発促進剤等の種々の添加剤を含有してもよい。
次に、本実施形態で用いるインクをより具体的に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、下記実施例によって限定されるものではない。尚、文中「部」、及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
(顔料分散液1〜4の調製)
以下に示す手順により、顔料分散液1〜4を調製した。尚、以下の記載において、分散剤とは、酸価200、重量平均分子量10,000のスチレン−アクリル酸共重合体を、10質量%水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより得られた水溶液のことである。
<C.I.ピグメントレッド122を含む顔料分散液1の調製>
顔料(C.I.ピグメントレッド122)10部、分散剤20部、イオン交換水70部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散する。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去した。更に、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過し、顔料濃度が10質量%である顔料分散液1を得る。
<C.I.ピグメントブルー15:3を含む顔料分散液2の調製>
顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)10部、分散剤20部、イオン交換水70部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて5時間分散する。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去した。更に、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過し、顔料濃度が10質量%である顔料分散液2を得る。
<C.I.ピグメントイエロー74を含む顔料分散液3の調製>
顔料(C.I.ピグメントイエロー74)10部、分散剤20部、イオン交換水70部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて1時間分散する。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去した。更に、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過し、顔料濃度が10質量%である顔料分散液3を得る。
<C.I.ピグメントブラック7を含む顔料分散液4の調製>
カーボンブラック顔料(C.I.ピグメントブラック7)10部、分散剤20部、イオン交換水70部を混合し、バッチ式縦型サンドミルを用いて3時間分散する。尚、分散する際の周速は、顔料分散液1を調製する際の2倍とした。その後、遠心分離処理によって粗大粒子を除去する。更に、ポアサイズ3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過し、顔料濃度が10質量%である顔料分散液4を得る。
(インクの調製)
図7に示した各成分を混合し、十分攪拌した後、ポアサイズ0.8μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、インク1〜11を調製する。尚、これらインク成分中のそれぞれの顔料濃度は、下記の理由により設定している。淡インクは、吐出量3.5plのインクドットでの記録において、粒状性を軽減するために使用することを目的としており顔料濃度は0.8%〜1%が好ましい。中インクは、光沢紙を初めとした光沢性記録媒体における画像の光沢性と発色性を維持することを目的としており、顔料濃度は1.5%〜2.5%が好ましい。これは、色再現が可能な範囲内で、光沢性記録媒体で用いる色材濃度を低くすることで、単一インクドット自身の高さを低くし、記録媒体表面でインクドットが重なった場合においても凹凸が激しくなるのを防止するためである。一方、濃インクは、高光沢が求められないマット紙や普通紙等の非記録媒体に対して主に使用することを目的としており、これらの紙は光沢性記録媒体に比べ発色性に劣るものが多い。よって、このような非記録媒体においても高発色な画像を形成できる顔料濃度として2.5%〜が好ましい。
以上、本実施形態で用いるインクの構成成分の例について述べた。次に、本実施形態における画像処理について説明する。
図8は、本実施形態のインクジェット記録システムにおける画像データの変換処理の流れを説明するためのブロック図である。入力されるRGB各色8ビット(256階調)で表される画像データを、インク各色1ビットのデータに変換して出力する画像処理のフローを示している。
この記録システムは、ホスト装置110と記録装置(プリンタ)210とで構成される。ホスト装置110は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)であり、アプリケーションJ0001と、本実施例における記録装置のためのプリンタドライバ111とで構成される。
アプリケーションJ0001は、ホスト装置110のモニタおけるUI画面にてユーザが指定した情報に基づいて、後述するプリンタドライバ111に渡す画像データを作成する処理および、記録の制御を司る記録制御情報を設定する処理を実行する。図9はかかる画像データ情報及び記録制御情報の構成例を示した図である。記録制御情報は、「記録媒体情報」、「記録品位情報」、および給紙方法等のような「その他制御情報」から構成されている。記録媒体情報には、記録の対象となる記録媒体の種類が記述されており、普通紙、光沢紙、はがき、プリンタブルディスクなどのうち、いずれか1種類の記録媒体が規定されている。記録品位情報には、記録の品位が記述されており、「きれい」、「標準」、「はやい」等のうち、いずれか1種の品位が規定されている。アプリケーションで処理されたこれらの画像データ及び記録制御情報は、記録の際にプリンタドライバ111に渡される。
プリンタドライバ111はその処理として、前段処理J0002、後段処理J0003、γ補正J0004、量子化部J0005、および印刷データ作成処理J0006を有する。以下に、各処理を簡単に説明する。
前段処理J0002は色域(Gamut)のマッピングを行う。この処理は、sRGB規格の画像データR、G、Bによって再現される色域を、プリンタによって再現される色域内に写像するためのデータ変換を行う。具体的には、R、G、Bのそれぞれが8ビットで表現された256階調のデータを、3次元のLUT(ルックアップテーブル)を用いることにより、色域が異なるそれぞれ8ビットのR、G、Bデータに変換する。
後段処理J0003は、後述する後段処理用の3次元LUTテーブルに基づき、上記色域のマッピングがなされたR、G、Bデータを、このデータが表す色を再現するインクの組み合わせであるそれぞれ8ビットの色分解データに変換する。本実施形態では、前述の11色のC、MC、LC、M、MM、LM、Y、MY、K、MK、LKの色分解データに変換する。尚、ここでは前段処理と同様に、3次元LUTに補間演算を併用して変換を行う。
γ補正J0004は、後段処理J0003によって求められた各色の色分解データについて、各色毎にその濃度値(階調値)変換を行う。具体的には、1次元LUTを用い上記色分解データをプリンタの階調特性に線形的に対応づけられるような変換を行う。
量子化部J0005は、γ補正がなされた各色8ビットの色分解データのそれぞれについて、4ビットのデータに変換する量子化処理を行う。本実施形態では、誤差拡散法を用いて256階調の8ビットデータを16階調の4ビットデータに変換する。この4ビット記録画像データは、記録装置におけるドット配置のパターン化処理におけるドット配置パターンを示すためのインデックスとなるデータである。尚、この各色16階調に量子化されたデータは、レベル0〜16のいずれかの階調を示す階調値情報を示す。
印刷データ作成処理J0006は、上述した記録制御情報および量子化部J0005で作成された4bitの記録画像データで構成されている。以上のようにして生成された記録データは、記録装置J0013へ供給される。
ホスト装置110によって印刷データが記録装置(プリンタ)210に送られると、プリンタは入力された印刷データに対して、ドット配置パターン化処理J0007およびマスク処理J0008を行う。
ドット配置パターン化処理J0007では、入力された16値の階調値情報をドット配置パターンに変換して2値化処理を行う。これにより、プリンタがインクを吐出するか否かの2値データを得ることができる。
マスク処理J0008では、互いに補完の関係にある複数のマスクパターンを用いて、ドット配置パターン化処理J0007により決定された各色のドット配置に対し、記録走査のタイミング情報を加えたデータに変換する。
そして、この記録データは、マルチパス記録における複数回の記録パスで、適切なタイミングでヘッド駆動回路J0009に供給される。そして、駆動回路J0009に入力された記録データは、記録ヘッド1の駆動パルスに変換され、各色の記録ヘッド1から所定のタイミングでインクが吐出される。これにより、記録データに応じたインク吐出が行われ、記録媒体に画像の記録が行われる。
次に、後段処理J0003で用いられる前述の3次元LUTについて詳しく説明する。図10に後段処理用の3次元LUTの概念図を示す。図10は、プリンタによって再現されるそれぞれ256階調のR、G、B値の各格子点に対し、それに対応するC、MC、LC、M、MM、LM、Y、MY、K、MK、LKの値が割り付けられていることを示している。(R、G、B)=(0,0,0)が最も明度の低いブラック(K)、(R、G、B)=(255,255,255)が最も明度の高いホワイト(W)を示す。
図11は、上記LUTを参照し、R,G、Bを11色のインクの値に変換する処理を示している。後段用3次元LUTは、記録時に使用するインクや記録媒体に依存した発色性の違いに対応させるために、複数種類のものがプリンタドライバ111に格納されている。そして、本実施形態においては、記録媒体の種類を示す信号に応じて、複数種類のLUTの中から選択して用いられる。
ここで、比較例を図12に示す。コート紙には、最も顔料濃度が高い第1のインクである濃インクと、濃インクよりも顔料濃度の低い第2のインクである中インクと、中インクよりも顔料濃度の低い第3のインクである淡インクの同系色の3種類のインクを用いる。普通紙には、第1のインクである濃インクと、第3のインクである淡インクの同系色の2種類のインクを用いて記録する方法について述べる。
図13(a)、(b)は、図12における普通紙LUTとコート紙LUTを用いて、R,G、Bを使用するインクの値に変換する処理を示している。図14は、図12の処理を行うための普通紙用LUTとコート紙用LUTの差異を説明するためのグラフである。縦軸は後段処理後の各色の値に対応するインク量を示し、横軸は前述のプリンタによって再現される所定の色相における0から255のR、G、B値である。本図では、K・MK・LKのインクを用いるグレーラインにおけるインク量を示している。図14(a)は普通紙用LUTを示すための図であり、ハイライト部は主に淡インクを使用し、それ以外の中間調からシャドウ部では主に濃インクを使用することを表している。これにより、粒状性が目立たない中間調からシャドウ部にかけて積極的に濃インクを使用することで普通紙への記録におけるインク消費量を押さえることができる。一方、図14(b)はコート紙用LUTを示すための図であり、ハイライト部は主に淡インクを使用し、中間調では中インクを使用し、シャドウ部では主に濃インクを使用することを示している。これにより、ハイライト部の粒状性を抑制し、且つ、ハイライト部からシャドウ部にかけての階調性を向上させることができる。
このように、普通紙とコート紙で使用するインクの色材濃度の組み合わせを変更した後段LUTをもつことにより、普通紙でのインク消費量低減とコート紙での良好な粒状性・階調性を両立することができる。
しかしながら、普通紙とコート紙に対してこのようなインクの選択を行うと、光沢紙において濃インクが使用されることになり、前述したとおり、記録画像の光沢性が損なわれる場合がある。
そこで、本発明に特徴的な、第1の記録媒体である光沢紙、および第2の記録媒体であるマット紙に対して記録を行う際に用いるインクの使用方法について説明する。本発明者らの実験によれば、所定の濃度の画像を形成する場合、濃インクを用いて画像を形成するよりも淡インクを用いて画像を形成する方が印字表面の平滑性が高くなることを確認した。図1(b)は、所定の濃度の画像を淡インクでは4ドット、濃インクでは2ドットで形成した場合における、紙面上のドット配置と断面図を示している。図1(b)に示すように、淡インクを用いた場合に、ドットが重なり印字表面の凹凸が激しくなる領域S(ドット高さh)は、濃インクを用いた場合の印字表面の凹凸が激しくなる領域S’(ドット高さh’)に比べて、小さい。すなわち、淡インクを用いる方が、単一のインクドットの高さを低くすることに加え、所定の濃度の画像を形成する場合にも着弾したドットの重なりを効率的に減らし印字表面の平滑性を高くすることができると考えられる。
この点を考慮して、本実施形態では図15(a)に示すようにアプリケーションJ0001の記録媒体の種類に関する情報に基づき、それぞれの記録モードに用いるインクセットを選択する。すなわち、光沢性を重視する第1のモードである光沢紙モードには濃インクを使用せずに淡インクと中インクのインクセットを使用する。そして、発色性を重視する第2のモードであるマット紙モードには濃インクを含む淡インクと中インクと濃インクのインクセットを使用する。
図15(b)は、アプリケーションJ0001で設定可能な記録媒体に対し、光沢紙モードで記録される記録媒体をAとし、マット紙モードで記録される記録媒体をBとして分類した一例である。ここでは、前述したように光沢度が2%以上の記録媒体、すなわち光沢紙、半光沢紙、フィルム、OHP、写真印画紙を記録媒体Aとし、光沢度が2%未満の記録媒体を記録媒体Bとしている。
一般に、光沢紙は粒子径の小さな粒子を用いてインク受容層が形成されており、光沢性に優れているがインク吸収性が遅いといった特徴がある。一方、マット紙は粒子径の大きな粒子を用いてインク受容層が形成されており、光沢性は抑制されているがインク吸収性が高いといった特徴がある。これら光沢紙やマット紙の一例としては、特開平9−99628や特開2007−90864等が開示されている。
図16(a)、(b)は、図15(a)における光沢紙LUTとマット紙LUTを用いて、R,G、Bを使用するインクの値に変換する処理を示している。図17は光沢紙の後段LUTとマット紙の後段LUTに対応したグラフであり、本実施形態では、図14と同様にK・MK・LKのインクを用いている。横軸は、前述のプリンタによって再現される0から255のR、G、B値を示し、縦軸は後段処理後の各色の値に対応するインク量を示す。図17(a)は、ハイライト部から中間調では主に淡インクを使用し、中間調からシャドウ部では主に中インクを使用することを表している。本実施例におけるインクセットでは、中インクで、光沢紙において十分な色再現性を保証しているため、積極的に濃インクを使用する必要はない。図17(b)は、ハイライト部では主に淡インクを使用し、中間調では主に中インクを使用し、シャドウ部では主に濃インクを使用する。これは、シャドウ部で積極的に濃インクを使用することで、マット紙の発色性を向上させることができる。
以上説明したように本実施形態では、光沢紙モードでは濃インクを用いずに中インクと淡インクを用いて記録を行い、マット紙モードでは濃インク・中インク・淡インクを用いる。そして、それぞれの記録媒体に対応した後段LUTをもつことにより、光沢紙における記録画像の高光沢性と、マット紙における高発色性を両立することができる。
以上の説明では、11色のインクセットC、MC、LC、M、MM、LM、Y、MY、K、MK、LKのインクセットの場合で説明したが、これに限ったものではない。本発明は、光沢紙に濃インクを使用せずに記録を行うことにより記録画像の光沢性を損なわないことと、また、マット紙に濃インクを使用することにより発色性を向上させることを両立するインクジェット記録装置を提供するためのものである。よって、この範囲内で、光沢紙およびマット紙において色再現が可能な色および色材濃度の組み合わせのインクセットを用いてよい。例えば、インクタンクの種類を減らすために、ブラックを含まないシアン、マゼンダ、イエローの顔料色材からなるインクセットを用いても良い。また、例えば、レッド,グリーン等の特色や透明インクなど違う色のインクを加えてもよい。
さらに、図18のように、コート紙とは材質の異なる第3の記録媒体である普通紙において、第3のモードを実行可能としてもよい。すなわち、光沢紙においては淡インクと中インクを使用し、マット紙では淡インクと濃インクを使用し、普通紙ではインクの発色性を向上させるために濃インクのみを用いるようなモードを実行可能としてもよい。
また、本実施形態では、光沢紙に記録を行う光沢紙モードで中インクと淡インクの両方を用いて記録を行ったが、このどちらか1色のみを用いてもよい。また、マット紙に記録を行うマット紙モードにおいては、濃インク、中インク、淡インクの全てを用いて記録を行ったが、発色性を向上させるために少なくとも濃インクを用いればよい。
また、本実施形態において、光沢度を指標として光沢紙とマット紙を分類したが、光沢度だけでなく前述の写像性、もしくは光沢性と写像性の両方を考慮してもよい。
また、本実施形態では、ユーザがホスト110の表示画面から入力した情報から現在給紙されている記録媒体の種類を判別し、後段処理のLUTが決定される。この記録媒体の種類に関する情報を入力する入力手段としては、装置本体に設けられた記録媒体選択スイッチを用いてもよい。さらに言えば、図8に示すようにホスト装置110のプリンタドライバを用いて行なった一連の処理を、記録装置本体のコントローラ100にて行う形態でもよい。
(第2の実施形態)
次に、本発明における第2の実施形態について説明する。以下に述べる発明の特徴以外の事項については第1の実施形態と同様である。第1の実施形態では、光沢紙において印字画像の高光沢性を重視するために濃インクを含めない中インクと淡インクのインクセットを用いた。しかしながら、光沢紙に記録を行う場合でも常に高光沢の画像が求められるわけではなく、発色性を求められる場合もある。そこで、本実施形態では、光沢紙に記録をする際、ユーザーの用途に応じた光沢性と発色性を確実に実現するため、ホスト110の表示画面上でユーザーが記録モードを任意に設定できる場合について説明する。
図20に示すようなユーザーインターフェース(UI)に基づき、ユーザーは記録モードをマニュアルで設定する。図19は、ホスト110の表示画面上で設定できる記録モードのうち、用紙種類と本実施形態で行う記録モードの関係を示す図である。図19で示すように、「用紙種類」で光沢紙が選択された場合、前述した第1のモードである『光沢重視モード』と第4のモードである『発色重視モード』からいずれかを実行可能とする。
図21は、光沢紙の『光沢重視モード』、『発色重視モード』、マット紙のそれぞれに対応したインクセットを示したテーブルである。本実施形態では、光沢紙の『光沢重視モード』が選択された場合は、濃インクを使用せず、中インクと淡インクのみを用いて光沢性の低下を防ぐ。一方、光沢紙の『発色重視モード』およびマット紙が選択された場合は、濃インクと淡インクを用いて高い発色性を得る。また、普通紙も選択可能とし、濃インクと淡インクを用いている。
このように、本実施形態では、濃インクを用いて光沢紙に記録を行う発色重視モードを有することにより、光沢紙においても発色性を重視して記録を行うことを可能とする。
(第3の実施形態)
前述の実施形態では、複数のモードにそれぞれ対応したインクセットの組み合わせについて述べたが、さらにこれらのモードにおいて記録動作を設定することも可能である。図21に、インクセットの組み合わせに記録動作を加えたテーブルの例を示す。
本実施形態では、ユーザが光沢紙・マット紙・普通紙の各々に対して、画質を重視する『きれい』、スピードを重視する『速い』、そして『標準』の3つの印字モードの中から選択可能とする。選択した記録媒体と印字モードに対応して、使用するインクセットと記録パス数が決定する。第2の実施形態と同様に、光沢紙においては『光沢重視モード』と『発色重視モード』を選択するため、それぞれに対して印字モードが選択可能である。
本図では、光沢紙の光沢重視モードを選択した場合、全ての印字モードにおいて濃インクを用いずに、中インクのみ、もしくは中・淡インクを用いて記録を行う。同様に、光沢紙の発色重視モードとマット紙では、全ての印字モードで濃インクを用いて記録を行う。そして、普通紙では『きれい』モードは選択不可とし、『標準』と『速い』モードで濃インクを用いて記録を行う。
そして、全てのモードにおいて、画質を重視するモードほど多いパス数で記録が行なわれる。また、光沢紙において、『光沢重視モード』では、『発色重視モード』よりも記録パス数が少ない。それは、インクドット同士の重なりを減少させることによって光沢性の低下を防ぐためである。
以上、説明したように本実施形態によれば、記録媒体の種類と印字モードの設定に応じて記録に用いるインクセットと記録パス数を設定することにより、ユーザーが求める記録画像を提供することができる。
1 記録ヘッド
4 ガイドレール
5 キャリッジ
11 キャリッジモータ
100 コントローラ
101 ASIC
103 ROM
104 RAM
110 ホスト装置
140 ヘッドドライバ
150、160 モータドライバ
210 記録装置

Claims (16)

  1. 第1のインクを用いて所定の濃度の画像が記録された記録媒体上の記録面の平滑性が、前記第1のインクと同系色で前記第1のインクよりも顔料濃度の低い第2のインクを用いて前記所定の濃度の画像が記録された前記記録媒体上の記録面の平滑性よりも低くなるような前記第1のインクおよび前記第2のインクを用いて画像を記録可能なインクジェット記録装置であって、
    前記第1のインクを用いずに前記第2のインクを用いて第1の記録媒体に画像を記録するための第1の記録モードと、前記第1のインクを用いて前記第1の記録媒体とは異なる第2の記録媒体に画像を記録するための第2の記録モードと、を実行可能であることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記第1のインクを用いて前記所定の濃度の画像を形成するために付与するドット数は、前記第2のインクを用いて前記所定の濃度の画像を形成するために付与するドット数よりも少ないことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記記録媒体上に付与された前記第1のインクのドットの高さは、前記記録媒体上に付与された第2のインクのドットの高さよりも高いことを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記第2の記録媒体は、前記第1の記録媒体よりも光沢度が低いことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記第1の記録媒体は光沢紙であり、前記第2の記録媒体はマット紙であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記インクジェット記録装置は、前記第1のインクおよび前記第2のインクと同系色で且つ前記第2のインクよりも顔料濃度の低い第3のインクを用いて画像を記録可能であり、
    前記第1の記録モードは、前記第1のインクを用いずに、前記第2のインク及び前記第3のインクを用いて画像を記録するためのモードであることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記第2の記録モードは、前記第1のインク、前記第2のインク及び前記第3のインクを用いて画像を記録するためのモードであることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記第2のインクを用いずに、前記第1のインクを用いて前記第1の記録媒体および前記第2の記録媒体とは材質の異なる第3の記録媒体に画像を記録するための第3の記録モードを実行可能であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記第1のインクを用いて前記第1の記録媒体に画像を記録するための第4の記録モードを実行可能であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  10. 第1のインクを用いて所定の濃度の画像が記録された記録媒体上の記録面の平滑性が、前記第1のインクと同系色で前記第1のインクよりも顔料濃度の低い第2のインクを用いて前記所定の濃度の画像が記録された前記記録媒体上の記録面の平滑性よりも低くなるような前記第1のインクおよび前記第2のインクを用いて画像を記録可能なインクジェット記録方法であって、
    第1の記録媒体に対して画像を記録する場合には、前記第1のインクを用いずに前記第2のインクを用い、前記第1の記録媒体とは異なる第2の記録媒体に画像を記録する場合には、前記第1のインクを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
  11. 前記第1のインクを用いて前記所定の濃度の画像を形成するために付与するドット数は、前記第2のインクを用いて前記所定の濃度の画像を形成するために付与するドット数よりも少ないことを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録方法。
  12. 前記記録媒体上に付与された前記第1のインクのドットの高さは、前記記録媒体上に付与された第2のインクのドットの高さよりも高いことを特徴とする請求項10または11に記載のインクジェット記録方法。
  13. 前記第2の記録媒体は、前記第1の記録媒体よりも光沢度が低いことを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  14. 前記第1の記録媒体は光沢紙であり、前記第2の記録媒体はマット紙であることを特徴とする請求項10から13のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  15. 前記第1の記録媒体に画像を記録する場合には、前記第1のインクを用いずに、前記第2のインク、及び、前記第1のインクおよび前記第2のインクと同系色で且つ前記第2のインクよりも顔料濃度の低い第3のインクを用いることを特徴とする請求項10から14のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  16. 前記第2の記録媒体に画像を記録する場合には、前記第1のインク、前記第2のインク及び前記第3のインクを用いることを特徴とする請求項15に記載のインクジェット記録方法。
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