JP5614887B2 - 鋳鉄材料の疲労強度向上方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳鉄材料、特に球状黒鉛鋳鉄の疲労強度を向上する技術に関する。
従来の自動車用トランスミッションギヤは、鉄鋼材料を切削歯切り加工後に浸炭焼入れをしていた。しかし、熱処理歪みによる部材の変形が欠点であった。
一方、球状黒鉛鋳鉄は製造が容易であるが、疲労強度が低く、自動車用トランスミッションギヤに使用できないという欠点があった。そのため、浸炭焼入れをしない鋳鉄材料について、浸炭焼入れした鉄鋼材料と同程度の疲労強度が望まれている。
ここで、球状黒鉛鋳鉄は、鋳鉄の中で、強度が高い。球状黒鉛鋳鉄の疲労強度を向上させる技術として、重量比C:2.0〜4.0%、Si:1.5〜4.5%、Mn:2.0%以下、P:0.08%以下、S:0.03%以下、Mg:0.02〜0.1%、Cu:1.8〜4.0%、を含有した球状黒鉛鋳鉄にオーステンパ処理したものがある。
係る組成の球状黒鉛鋳鉄の10回における曲げ疲労強度は、1400MPaの高張力鋳鉄であっても、200MPa程度に過ぎない。この数値は、鍛造品並であって、浸炭焼入れした鉄鋼材料並みの600MPa以上の強度は得られていない。
そして、「200MPa程度」という疲労強度では、自動車用トランスミッションギヤには使用できない。
その他の従来技術として、片状黒鉛鋳鉄の溶湯に添加物を含有せしめて球状黒鉛鋳鉄を鋳造して、その疲労強度を向上する技術が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、係る従来技術は、鋳造段階を工夫することにより疲労強度を向上するものであり、鋳鉄材料を機械加工した後に材料の疲労強度を向上することは出来ない。
特開2005−8913号公報
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、鋳鉄材料、特に球状黒鉛鋳鉄の疲労強度を、浸炭焼入れした場合の炭素鋼と同程度まで向上することが出来る疲労強度向上方法の提供を目的としている。
本発明の鋳鉄材料の疲労強度向上方法は、球状黒鉛鋳鉄の疲労強度を600MPa以上とする鋳鉄材料の疲労強度向上方法において、重量比でC:2.0〜4.0%、Si:1.5〜4.5%、Mn:2.0%以下、P:0.08%以下、S:0.03%以下、Mg:0.02〜0.1%、Cu:1.8〜4.0%を含有し、800〜950℃で焼きならし熱処理を行なって引張強さ850MPa以上とした球状黒鉛鋳鉄を準備し、前記球状黒鉛鋳鉄に対して、硬さ600Hv以上、ショット粒径(φ)0.5〜0.8mmのショット粒を用いて第1のショットピーニング処理を行なう工程(1工程)と、硬さ600Hv以上、ショット粒径(φ)0.1〜0.3mmのショット粒を用いて第2のショットピーニング処理を行なう工程(2工程)と、硬さ600Hv以上、ショット粒径(φ)0.1mm以下のショット粒を用いて第3のショットピーニング処理を行なう工程(3工程)、を有することを特徴としている。
本発明の実施に際して、上述した第1〜第3のショットピーニング処理を施した後、錫、モリブデンから成るショットを用いてショットピーニング処理を行ない、金属潤滑を行なうように構成することが好ましい。
上述した構成を具備する本発明によれば、重量比でC:2.0〜4.0%、Si:1.5〜4.5%、Mn:2.0%以下、P:0.08%以下、S:0.03%以下、Mg:0.02〜0.1%、Cu:1.8〜4.0%を含有した球状黒鉛鋳鉄であって、800〜950℃で焼きならし熱処理を行なって引張強さ850MPa以上とした球状黒鉛鋳鉄に対して、上述した第1〜第3のショットピーニング処理を施すことにより、浸炭焼入れをした鋼材レベルの曲げ疲労強度である600MPa以上の疲労強度を得ることが出来る。
そして本発明によれば、上述した第1〜第3のショットピーニング処理を施すことにより、表面から100μmの範囲についても高い(ほぼ600MPaの)圧縮残留応力が付与されるので、球状黒鉛鋳鉄表面における微細亀裂の発生と、亀裂の進展が遅延して、疲労強度が向上する。
本発明によれば、重量比でC:2.0〜4.0%、Si:1.5〜4.5%、Mn:2.0%以下、P:0.08%以下、S:0.03%以下、Mg:0.02〜0.1%、Cu:1.8〜4.0%を含有した球状黒鉛鋳鉄であって、800〜950℃で800〜950℃で焼きならし熱処理を行なって引張強さ850MPa以上とした球状黒鉛鋳鉄に所定の機械加工(例えば、自動車用トランスミッションギヤであれば歯切り加工)を施し、その後、上述した第1〜第3のショットピーニング処理を施せば、浸炭焼入れ処理を施すこと無く、浸炭焼入れをした鋼材と同程度の曲げ疲労強度を得ることが出来る。
そして、機械加工後に熱処理(例えば、浸炭焼入れ処理)を行なう必要がないため、熱処理歪みを防止することが出来る。
本発明の疲労強度向上方法の手順を示す図である。 試験材料の引張試験の試験結果を示す図である。 曲げ疲労試験片を示す図である。 第1〜第3のショットピーニング処理を施した試験材料の圧縮残留応力分布を示す図である。 実験例1における回転曲げ疲労試験の試験結果を示す図である。 実験例2の結果を表として示す図である。 実験例3の結果を表として示す図である。 実験例4の結果を表として示す図である。 実験例5の結果を表として示す図である。 実験例6の結果を表として示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図1を参照して、図示の実施形態における作業手順を説明する。
図1において、重量比でC:2.0〜4.0%、Si:1.5〜4.5%、Mn:2.0%以下、P:0.08%以下、S:0.03%以下、Mg:0.02〜0.1%、Cu:1.8〜4.0%を含有した球状黒鉛鋳鉄を、800〜950℃で焼きならし熱処理を行って、引張り強さを850MPa以上にする(ステップS0)。
ついで、硬さ600Hv以上、ショットの粒径φが0.5〜0.8mmでショットピーニングをする(ステップS1:第1のショットピーニング処理を行う工程:第1工程)。
次に、硬さ600Hv以上、ショットの粒径φが0.1〜0.3mmでショットピーニングをする(ステップS2:第2のショットピーニング処理を行う工程:第2工程)。
そして、硬さ600Hv以上、ショットの粒径φが0.1mm以下でショットピーニングをする(ステップS3:第3のショットピーニング処理を行う工程:3工程)。
その後、適宜の硬さ、ショットの粒径の錫、モリブデンでショットピーニングをする(ステップS4:第4のショットピーニング処理を行う工程:4工程)。
ステップS4によって、第1〜第3のショットピーニング処理が施されたワークの表面に金属潤滑を施すことが可能である。
なお、このステップS4は省略することが可能である。
第1〜第3のショットピーニング処理(1〜3工程)を行なった後の試験材料により、図3で示す疲労試験片を作成した。
全体を符号13で示す曲げ疲労試験片の形状は、図示の実施形態では、外径12mmの丸棒部5の中央部に、縮径された小径部7が設けられている。小径部7の両端部は円弧状のR曲線6によって丸棒部5に滑らかに接続されている。
係る試験片13を用いて、回転曲げ疲労試験を行なった。
後述の実験例1で記載する通り、図1のステップS1〜S3のショットピーニング処理を行なった球状黒鉛鋳鉄の疲労強度は、浸炭焼入れをした鋼材と同程度の曲げ疲労強度(例えば、600MPa程度)を有している。
発明者は、重量比でC:2.0〜4.0%、Si:1.5〜4.5%、Mn:2.0%以下、P:0.08%以下、S:0.03%以下、Mg:0.02〜0.1%、Cu:1.8〜4.0%を含有した球状黒鉛鋳鉄を用いて、以下のような実験(実験例1〜実験例6)を行った。
[実験例1]
上記球状黒鉛鋳鉄に800〜950℃で焼きならし熱処理を行なって、引張強さ850MPa以上とした。
上記球状黒鉛鋳鉄に焼きならし熱処理を行なった試験材料(焼きならし熱処理を行なった上記球状黒鉛鋳鉄)の引張り試験結果が図2の特性曲線FCDで示されている。
図2において、縦軸は引張り応力(MPa)で、横軸は引張り歪(ε)である。試験片最大引張り応力が1080MPaである。参考に例示した特性曲線FCAは、鋳鉄の特性を示しており、最大引張り応力が272MPaであった。
次に、硬さ600Hv以上、ショット粒径(φ)0.5〜0.8mmで第1のショットピーニング処理を行なった。ついで、その試験片に硬さ600Hv以上、ショット粒径(φ)0.1〜0.3mmで第2のショットピーニング処理を行なった。さらに、第1、第2のショットピーニング処理を行なった試験片に、硬さ600Hv以上、ショット粒径(φ)0.1mm以下で第3のショットピーニング処理を行なった。
上記第1〜第3のショットピーニング処理を行った試験片の残留応力の測定結果が、図4の残留応力分布を示す曲線Saに示されている。
図4において、試験片表面(0μm)から深さ100μmまでは僅かに残留応力の変動があるが、残留圧縮応力は概略600(MPa)になっている。
なお、図4では、縦軸は残留応力の数値を示している。そのため、圧縮残留応力の数値が高い場合には、図4では下方(負の絶対値が大きい側)に表示されることになる。
図4を参照すれば、第1〜第3のショットピーニング処理を施した試験片は、第1〜第3のショットピーニング処理を施していない試験片(図4において縦軸でゼロMPa、横軸が横座標に平行な線So)とは異なり、表面から深さ200μmの領域で圧縮残留応力が存在していることがわかる。
実験例1では、同一の試験片に対して第1〜第3のショットピーニング処理を行ない、当該材料により、図3で示す疲労試験片を作成して、回転曲げ疲労試験を行なった。係る疲労試験結果を図5に示す。図5おいて、縦軸には曲げ応力(σ)、横軸には繰り返し回数(N)が表示されている。
図5における符号Hが、実験例1で、第1〜第3のショットピーニング処理を施した試験片の曲げ疲労強度を示す特性曲線であり、疲労強度が620〜630MPaであった。
実験例1における620〜630MPaという疲労強度は、図5において、符号Kで示す浸炭焼入れ鋼SCM420Hの疲労強度700MPaに近い数値である。
すなわち、実験例1によれば、浸炭焼入れ鋼SCM420Hと同程度の疲労強度が得られている。
なお、図5における曲げ疲労曲線Jは、ショットピーニング処理を行わない高張力鋳鉄FCD 1000MPaの曲げ疲労強度を示しており、その疲労曲線強度は400MPaであった。
また符合Cは、鋳造状態の鋳鉄の曲げ疲労強度を示しており、その疲労強度は100MPaであった。
第1実験例において、図5で示す結果より、重量比でC:2.0〜4.0%、Si:1.5〜4.5%、Mn:2.0%以下、P:0.08%以下、S:0.03%以下、Mg:0.02〜0.1%、Cu:1.8〜4.0%を含有した球状黒鉛鋳鉄に800〜950℃で焼きならし熱処理を行なって、引張強さ850MPa以上として、第1〜第3のショットピーニング処理を行なえば、浸炭焼入れをした低炭素鋼材と同程度(600MPa程度)の曲げ疲労強度を得ることが出来ることが明らかになった。
[実験例2]
実験例1で用いられた試験片(重量比でC:2.0〜4.0%、Si:1.5〜4.5%、Mn:2.0%以下、P:0.08%以下、S:0.03%以下、Mg:0.02〜0.1%、Cu:1.8〜4.0%を含有した球状黒鉛鋳鉄に800〜950℃で焼きならし熱処理を行なった上記球状黒鉛鋳鉄)に対して第1ショットピーニング処理を行なうに際して、粒径が0.8mmより大きいショット(粒径が0.9mm、1.0mm、1.1mm)を用いて、その他の処理は実験例1と同様にした試験片について、曲げ疲労強度の疲労試験を行なった。
図6において、ショット粒径0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.1mmで第1ショットピーニング処理を行なった場合の疲労試験結果(実験例2の結果)を示す。
0.8mmの粒径では浸炭焼入れをした鋼材と同程度(600MPa程度)の疲労強度が得られた(図6の「○」)が、粒径0.9mm、1.0mm、1.1mmでは、曲げ疲労強度は600MPa以下であった(図6の「×」)。
図6から、第1ショットピーニング処理では、ショット粒径を0.8mm以下にするべきであることが分った。
第1ショットピーニング処理において、ショット粒径が0.8mmより大きいと、ショットを打ち出す際の空気の流れにショットが乗らず、十分に試験片に衝撃が与えられないことが原因と思われる。
[実験例3]
第1ショットピーニング処理で、0.5mm以下のショット(粒径が、0.5mm、0.4mm、0.3mm)を用いて、その他の処理は実験例1と同様にして、曲げ疲労強度について疲労試験を行なった。
図7で示すように、ショット粒径0.5mmでは、浸炭焼入れをした鋼材と同程度(600MPa程度)の疲労強度が得られた(図7の「○」)が、粒径0.4mm、0.3mmでは、曲げ疲労強度は600MPa以下であった(図7の「×」)。
実験例3の結果(図7)から、第1ショットピーニング処理では、ショット粒径を0.5mm以上にするべきであることが分った。
第1ショットピーニング処理において、ショット粒径が0.5mmよりも小さいと、鋼材表面側の圧縮応力は高くなるが、鋼材内部の圧縮応力が小さくなってしまうことが原因と思われる。
[実験例4]
第2ショットピーニング処理で、粒径が0.3mm以上(粒径0.3mm、0.4mm、0.5mm)のショットを用いて、その他の処理は実験例1と同様にして、曲げ疲労強度について疲労試験を行なった。
図8で示すように、ショット粒径0.3mmでは、浸炭焼入れをした鋼材と同程度(600MPa程度)の疲労強度が得られた(図8の「○」)が、粒径0.4mm、0.5mmでは、曲げ疲労強度は600MPa以下であった(図8の「×」)。
実験例4の結果(図8)から、第2ショットピーニング処理では、ショット粒径を0.3mm以下にするべきであることが分った。
第2ショットピーニング処理は、鋳鉄試験片の最表面(表面〜深さ50ミクロンまでの領域)の圧縮残留応力を高める処理であるが、ショット粒径が0.3mmよりも大きいと、最表面に圧縮残留応力のピークが発生せず、疲労強度が上昇しなかったものと推定される。
[実験例5]
第2ショットピーニング処理で、粒径が0.1mm以下(粒径0.1mm、0.07mm、0.01mm)のショットを用いて、その他の処理は実験例1と同様にして、曲げ疲労強度について疲労試験を行なった。
図9で示すように、ショット粒径0.1mmでは、浸炭焼入れをした鋼材と同程度(600MPa程度)の疲労強度が得られた(図9の「○」)が、粒径0.07mm、0.01mmでは、曲げ疲労強度は600MPa以下であった(図9の「×」)。
実験例5の結果(図9)から、第2ショットピーニング処理では、ショット粒径を0.1mm以上にするべきであることが分った。
第2ショットピーニング処理で使用されるショットの粒径が小さいと、鋳鉄表面をならすのみであり、鋼材最表面の圧縮残留応力は生せず、疲労強度は向上しなかったと推定される。
[実験例6]
実験例1の試験材料で作成された歯車(第1〜第3ショットピーニング処理が行なわれた歯車)Zと、第3ショットピーニング処理を省略した試験材料で作成した歯車Yを用意して、図10に示す様に、噛み合い面の滑りを比較した。
実験例1の試験材料で作成された歯車(第1〜第3ショットピーニング処理が行なわれた歯車)Zでは、噛み合い面の滑りは良好な数値を示した。
一方、第3ショットピーニング処理を省略した試験材料で作成した歯車Yでは、噛み合い面の滑りに異常があった。
より詳細には、図10において、歯車Zでは噛み合い歯面が当たり及び滑りが良好で所定の耐久性試験をクリアした。一方歯車Yでは噛み合い歯面が当たり及び滑りが不良で歯面に微細亀裂が生じて所定の耐久性試験をクリアできなかった。
実験例6の結果(図10)から、第3ショットピーニング処理は省略するべきではないことが判明した。
第3ショットピーニング処理により、第1及び第2ショットピーニングで凸凹になった表面がならされると、歯面表面の凸凹が小さくなり、微小な凸凹であれば、そこに油がたまって潤滑作用を発揮する。
第3ショットピーニング処理を省略した試験材料では、係る潤滑処理が発揮されず、噛み合い面の滑りに異常が発生したものと推定される。
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
例えば図示の実施形態において、動弁系のカム、コンロッド、ギヤ、高圧油供給用各種ポンプへ適用することも可能である。
5・・・・丸棒部
6・・・・R曲線
7・・・・小径部
13・・・曲げ試験片
Y・・・・3工程を省略した材料で作製した歯車
Z・・・・実験1の後の材料で作製した歯車

Claims (1)

  1. 球状黒鉛鋳鉄の疲労強度を600MPa以上とする鋳鉄材料の疲労強度向上方法において、重量比でC:2.0〜4.0%、Si:1.5〜4.5%、Mn:2.0%以下、P:0.08%以下、S:0.03%以下、Mg:0.02〜0.1%、Cu:1.8〜4.0%を含有し、800〜950℃で焼きならし熱処理を行なって引張強さ850MPa以上とした球状黒鉛鋳鉄を準備し、前記球状黒鉛鋳鉄に対して、硬さ600Hv以上、ショット粒径0.5〜0.8mmのショット粒を用いて第1のショットピーニング処理を行なう工程と、硬さ600Hv以上、ショット粒径0.1〜0.3mmのショット粒を用いて第2のショットピーニング処理を行なう工程と、硬さ600Hv以上、ショット粒径0.1mm以下のショット粒を用いて第3のショットピーニング処理を行なう工程、を有することを特徴とする鋳鉄材料の疲労強度向上方法。
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