JP2011111637A - 鋼材の処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋼材の疲労強度を向上することが出来る処理方法の提供。
【解決手段】炭素量0.15%〜0.70%の鋼材に焼入れ処理を施す工程(S1)と、250℃〜300℃で2時間以上加熱して焼き戻し処理を行ない、組織中のオーステナイトをマルテンサイトに変態せしめる熱処理工程(S2)と、ショットピーニングを行なう工程(S3)とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】炭素量0.15%〜0.70%の鋼材に焼入れ処理を施す工程(S1)と、250℃〜300℃で2時間以上加熱して焼き戻し処理を行ない、組織中のオーステナイトをマルテンサイトに変態せしめる熱処理工程(S2)と、ショットピーニングを行なう工程(S3)とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、鋼材の熱処理に関する。より詳細には、本発明は、例えば自動車用トランスミッションのギヤのように、大きな曲げや捩じり及び転動負荷に曝されるような機器の材料である鋼材の熱処理に関する。
自動車用トランスミッションのギヤのように、常時大きな曲げ、捩じり、及び転動(ピッチング)負荷が作用する鋼製品は、疲労強度を向上させる目的で、浸炭焼入れ処理や、浸炭窒化焼入れ処理を行った後に、150℃〜250℃で焼きならし処理を行っている。
ここで、浸炭焼入れ処理や、浸炭窒化処理の後、金属製品にショットピーニングを施す場合があるが、ショットピーニングにより金属製品の表面近傍に付加された圧縮残留応力は、350℃程度の加熱処理によってほぼ完全に開放されてしまう。
そのため、ショットピーニングを施した後に、350℃程度の焼き戻しを行った場合には、係るショットピーニングによる疲労強度向上の効果は小さいことが分かっている。
ここで、浸炭焼入れ処理や、浸炭窒化処理の後、金属製品にショットピーニングを施す場合があるが、ショットピーニングにより金属製品の表面近傍に付加された圧縮残留応力は、350℃程度の加熱処理によってほぼ完全に開放されてしまう。
そのため、ショットピーニングを施した後に、350℃程度の焼き戻しを行った場合には、係るショットピーニングによる疲労強度向上の効果は小さいことが分かっている。
近年、エンジンの高トルク化に伴い、自動車用トランスミッションで用いられる浸炭窒化処理を施したギヤの様な鋼製品では、疲労強度をより向上させることが要請されている。
ここで、高濃度の炭素環境において浸炭焼入れ熱処理を行うこと(いわゆる「高濃度浸炭焼入れ熱処理)を行うことも考えられるが、上述した要請に十分に応えるだけの疲労強度は得られていない。
ここで、高濃度の炭素環境において浸炭焼入れ熱処理を行うこと(いわゆる「高濃度浸炭焼入れ熱処理)を行うことも考えられるが、上述した要請に十分に応えるだけの疲労強度は得られていない。
また、疲労強度向上のため金属表面に窒素を浸入させる窒化法と、上述の高濃度浸炭焼入れ熱処理とを組み合わせた処理、いわゆる「高濃度浸炭窒化焼入れ処理」も存在する。
図8(常温疲労線図)で示すように、高濃度浸炭窒化焼入れ処理が為された鋼材の常温における疲労強度は、公知の浸炭焼入れ処理が為された鋼材(例えば、SCM420H浸炭鋼材)の疲労強度よりも向上している。
ここで、高濃度浸炭窒化焼入れ処理が為された鋼材の常温における疲労強度特性は、図8において、「高濃度浸炭窒化材」或いは「常温高濃度浸炭窒化品」と表示されており、その特性は「◆」のプロットで示されている。
また、公知の浸炭焼入れ処理が為された鋼材の疲労強度特性は、図8では、「現行浸炭焼入れ材」或いは「常温:現行SCM420H浸炭」と表示されており、「■」のプロットで示されている。
図8(常温疲労線図)で示すように、高濃度浸炭窒化焼入れ処理が為された鋼材の常温における疲労強度は、公知の浸炭焼入れ処理が為された鋼材(例えば、SCM420H浸炭鋼材)の疲労強度よりも向上している。
ここで、高濃度浸炭窒化焼入れ処理が為された鋼材の常温における疲労強度特性は、図8において、「高濃度浸炭窒化材」或いは「常温高濃度浸炭窒化品」と表示されており、その特性は「◆」のプロットで示されている。
また、公知の浸炭焼入れ処理が為された鋼材の疲労強度特性は、図8では、「現行浸炭焼入れ材」或いは「常温:現行SCM420H浸炭」と表示されており、「■」のプロットで示されている。
しかし、図8で示すように、常温において、繰り返し数が多い領域では、高濃度浸炭窒化焼入れ処理が為された鋼材の常温における疲労強度は、高濃度浸炭焼入れ処理が為された鋼材の常温における疲労強度を上回っているが、繰り返し数が少ない領域では下回っている。
なお、高濃度浸炭焼入れ処理が為された鋼材の常温における疲労強度特性は、図8では、「高濃度浸炭材」或いは「常温高濃度浸炭品」と表示されており、「●」のプロットで示されている。
なお、高濃度浸炭焼入れ処理が為された鋼材の常温における疲労強度特性は、図8では、「高濃度浸炭材」或いは「常温高濃度浸炭品」と表示されており、「●」のプロットで示されている。
同様に、図9(高温疲労線図)で示すように、高温の疲労試験の結果においても、繰返し数が多い領域では、高濃度浸炭窒化焼入れ処理が為された鋼材の(高温における)疲労強度は、高濃度浸炭焼入れ処理が為された鋼材の(高温における)疲労強度を上回っているが、繰り返す数が少ない領域では下回っている。
すなわち、高濃度浸炭窒化焼入れ処理は、常温及び高温においては、繰返し回数によっては、高濃度浸炭焼入れ処理が為された場合よりも、疲労強度が劣る場合が存在する。
ここで、高濃度浸炭窒化焼入れ処理が為された鋼材の高温における疲労強度特性は、「高濃度浸炭窒化材」或いは「高温:高濃度浸炭窒化品」と表示されており、その特性は「●」のプロットで示されている。
そして、高濃度浸炭焼入れ処理が為された鋼材の高温における疲労強度特性は、「高濃度浸炭材」或いは「高温:高濃度浸炭品」と表示されており、「◆」のプロットで示されている。
すなわち、高濃度浸炭窒化焼入れ処理は、常温及び高温においては、繰返し回数によっては、高濃度浸炭焼入れ処理が為された場合よりも、疲労強度が劣る場合が存在する。
ここで、高濃度浸炭窒化焼入れ処理が為された鋼材の高温における疲労強度特性は、「高濃度浸炭窒化材」或いは「高温:高濃度浸炭窒化品」と表示されており、その特性は「●」のプロットで示されている。
そして、高濃度浸炭焼入れ処理が為された鋼材の高温における疲労強度特性は、「高濃度浸炭材」或いは「高温:高濃度浸炭品」と表示されており、「◆」のプロットで示されている。
なお、図8、図9で示す疲労強度特性は、JIS Z 2273 「金属材料疲れ試験方法通則」、JIS Z 2274 「金属材料回転曲げ疲れ試験方法」に係る疲労破壊試験を行なうことにより得られた。
これに加えて、高濃度浸炭窒化焼入れ処理を行った場合には、鋼材表面にオーステナイト(残留オーステナイト)が多量に析出してしまう。オーステナイトは不完全焼入れ組織であり、疲労強度を低下させてしまうので、所望の疲労強度を得ることが出来ない。
その他の従来技術として、すべりを伴う接触疲労が存在する条件下、または潤滑油が希薄な環境下においても、優れた耐摩耗性と耐焼付き性、及び転動疲労寿命を有する浸炭軸受け部品が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この従来技術(特許文献1)では、素材の条件が厳密に定められていることに加えて、その用途が軸受部品に限定されているので、上述した問題を解決することはできない。
しかし、この従来技術(特許文献1)では、素材の条件が厳密に定められていることに加えて、その用途が軸受部品に限定されているので、上述した問題を解決することはできない。
また、耐曲げ疲労特性と耐ピッチング特性に優れた浸炭部品又は浸炭窒化部品の提供がなされている(例えば特許文献2参照)。
ところが、係る従来技術(特許文献2)では、素材の条件が限定されており、浸炭窒化部品全般の疲労強度を向上させることが困難であった。
ところが、係る従来技術(特許文献2)では、素材の条件が限定されており、浸炭窒化部品全般の疲労強度を向上させることが困難であった。
さらに、真空浸炭窒化方法に関する従来技術や(例えば特許文献3)、ガス浸炭方法、ガス浸炭窒化方法及び表面処理装置に関する従来技術(例えば特許文献4参照)が提案されているが、何れも上述した問題点を解消するものではない。
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、鋼材の疲労強度を向上することが出来る鋼材の熱処理方法の提供を目的としている。
発明者は、種々の研究の結果において、浸炭窒化処理を施した鋼材を所定時間以上で且つ一定の温度で熱処理(焼き戻し)を行うと、低サイクルから高サイクルに亘る全ての範囲において疲労強度が向上することを見出した。
それと共に、発明者は、ショットピーニングが鋼材の各種強度を向上することに着目した。
本発明は、係る知見に基づいて提案されたものである。
それと共に、発明者は、ショットピーニングが鋼材の各種強度を向上することに着目した。
本発明は、係る知見に基づいて提案されたものである。
本発明の鋼材の熱処理方法は、炭素量0.15%〜0.70%の鋼材に窒素及び炭素を浸入させる処理を施す工程(S1)と、250℃〜300℃で2時間以上加熱して焼き戻し処理を行い、組織中のオーステナイト(の99.5%以上、より詳細には99.8%以上)をマルテンサイトに変態せしめる熱処理工程(S2)と、(粒径0.6〜1.2mmのショット粒を用いて)ショットピーニングを行う工程(S3)とを有することを特徴としている。
ここで、ショットピーニング工程(S3)は、はずみ車により(粒径が0.6〜1.2mmの)ショット粒を噴射するインペラショット、或いは、エアによってショット粒を噴射するエアショットにより行なわれるのが好ましい。
そして、ショットピーニング工程(S3)では、その強度を表すアークハイト(ショットピーニング強度測定法:SAEJ442aによる)0.4mm(Aタイプ)以上で行なわれるのが好ましい。
そして、ショットピーニング工程(S3)では、その強度を表すアークハイト(ショットピーニング強度測定法:SAEJ442aによる)0.4mm(Aタイプ)以上で行なわれるのが好ましい。
本発明の実施に際して、前記窒素及び炭素を浸入させる処理を施す工程(S1)では、高濃度浸炭窒化焼入れ処理を施し、鋼材表面に炭素を1.0%以上、窒素を1.0%弱だけ浸入させるのが好ましい。
ここで、高濃度浸炭窒化焼入れは、浸炭窒化焼入れよりも炭素濃度と窒素濃度を高濃度にして行なわれる焼入れである。また、浸炭窒化法は、熱ガス雰囲気中に鋼合金と炭素を置くことにより、鋼合金が炭素と窒素を同時吸収する表面硬化法である。
換言すれば、炭素焼入層に炭化物を析出させるのが高濃度浸炭窒化処理であり、炭素焼入層に炭化物を析出させないのが浸炭窒化処理である。
なお、本明細書では、高濃度浸炭窒化処理を「高濃度浸炭窒化焼入れ」、「高濃度浸炭窒化」と表示する場合がある。また、浸炭窒化処理を「浸炭窒化焼入れ」或いは「浸炭窒化」と表示する場合がある。
ここで、高濃度浸炭窒化焼入れは、浸炭窒化焼入れよりも炭素濃度と窒素濃度を高濃度にして行なわれる焼入れである。また、浸炭窒化法は、熱ガス雰囲気中に鋼合金と炭素を置くことにより、鋼合金が炭素と窒素を同時吸収する表面硬化法である。
換言すれば、炭素焼入層に炭化物を析出させるのが高濃度浸炭窒化処理であり、炭素焼入層に炭化物を析出させないのが浸炭窒化処理である。
なお、本明細書では、高濃度浸炭窒化処理を「高濃度浸炭窒化焼入れ」、「高濃度浸炭窒化」と表示する場合がある。また、浸炭窒化処理を「浸炭窒化焼入れ」或いは「浸炭窒化」と表示する場合がある。
或いは、本発明において、前記窒素及び炭素を浸入させる工程(S1)では、浸炭窒化焼入れ処理を施し、鋼材表面に炭素を0.7〜1.2%、窒素を0.2〜1.0%浸入させるのが好ましい。
上述した構成を具備する本発明によれば、鋼材に窒素及び炭素を浸入させる処理を施す工程(S1)と、250℃〜300℃で2時間以上加熱して焼き戻し処理(S2)を行うことにより、熱処理(焼き戻し処理)後の組織において、不完全焼入れ組織であるオーステナイトの殆ど(99.5%以上、より詳細には99.8%以上)を、焼入れ組織であるマルテンサイトに変態せしめ、その結果、鋼材における曲げ、捩じり及び転動(ピッチング)に対する疲労強度を向上させることが出来る。
これに加えて、本発明によれば、(粒径0.3〜1.2mmの)ショット粒を用いてショットピーニング工程(S3)を行って、鋼材表面から比較的深い領域の圧縮残留応力積分値のピークを形成する。その結果、鋼材表面から一定の深さ(例えば、150μm)までの領域における圧縮残留応力積分値を増加させることが出来る。
ここで、圧縮残留応力積分値と疲労強度には相関関係があり(図3参照)、本発明では、鋼材表面から一定の深さ(例えば、150μm)までの領域における圧縮残留応力積分値を増加させているので、当該領域における鋼材の疲労強度が向上する。
ここで、圧縮残留応力積分値と疲労強度には相関関係があり(図3参照)、本発明では、鋼材表面から一定の深さ(例えば、150μm)までの領域における圧縮残留応力積分値を増加させているので、当該領域における鋼材の疲労強度が向上する。
以下、添付図面をも参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図1〜図4に基づいて、第1実施形態を説明する。
図1は、第1実施形態に係る鋼材処理方法の手順を示している。
図1において、第1実施形態に係る鋼材の処理方法は、高濃度浸炭窒化処理工程S1、焼き戻し処理工程S2、ショットピーニング処理工程S3を有している。
ここで、高濃度浸炭窒化処理工程S1は、窒素及び炭素を浸入させる処理を施す工程である。
先ず、図1〜図4に基づいて、第1実施形態を説明する。
図1は、第1実施形態に係る鋼材処理方法の手順を示している。
図1において、第1実施形態に係る鋼材の処理方法は、高濃度浸炭窒化処理工程S1、焼き戻し処理工程S2、ショットピーニング処理工程S3を有している。
ここで、高濃度浸炭窒化処理工程S1は、窒素及び炭素を浸入させる処理を施す工程である。
第1実施形態では、高濃度浸炭窒化処理工程S1は、炭素量0.15%〜0.70%の鋼材に対して施させる。そして、焼き戻し処理工程S2において、250℃〜300℃で2時間以上加熱して焼き戻し処理を行ない、組織中のオーステナイト(の99.5%以上、より詳細には99.8%以上)をマルテンサイトに変態せしめる。
ここで、炭素焼入層に炭化物を析出させるのが高濃度浸炭窒化処理であり、炭素焼入層に炭化物を析出させないのが浸炭窒化処理である。高濃度浸炭窒化処理と浸炭窒化処理において、鋼の表面に浸入する窒素量は1.0%弱である。
第1実施形態における高濃度浸炭窒化処理工程S1では、鋼材表面への炭素の浸入量は1.0%以上、窒素の浸入量は1.0%弱である。
ここで、炭素焼入層に炭化物を析出させるのが高濃度浸炭窒化処理であり、炭素焼入層に炭化物を析出させないのが浸炭窒化処理である。高濃度浸炭窒化処理と浸炭窒化処理において、鋼の表面に浸入する窒素量は1.0%弱である。
第1実施形態における高濃度浸炭窒化処理工程S1では、鋼材表面への炭素の浸入量は1.0%以上、窒素の浸入量は1.0%弱である。
第1のショットピーニング処理工程S3では、例えば粒径が0.3〜1.2mm)のショット粒を用いてショットピーニングを行う。ここで、ショットピーニング工程S3では、例えば粒径が0.3〜1.2mmのショット粒を鋼材表面に衝突させて、鋼材表面から比較的深い領域(例えば、鋼材表面から75μm程度)に圧縮残留応力積分値のピークを形成する。
ショットピーニング工程S3は、はずみ車によりショット粒を噴射するインペラショット、或いは、エアによってショット粒を噴射するエアショットにより行なわれるのが好ましい。
そして、ショットピーニング工程S3では、その強度を表すアークハイト(ショットピーニング強度測定法:SAEJ442aによる)0.4mm(Aタイプ)以上で行なわれるのが好ましい。
そして、ショットピーニング工程S3では、その強度を表すアークハイト(ショットピーニング強度測定法:SAEJ442aによる)0.4mm(Aタイプ)以上で行なわれるのが好ましい。
[実験例1]
実験例1では、炭素量0.2%の合金に対して、鋼材表面に炭素を1.5%、窒素を0.6%浸入させる高濃度浸炭窒化処理を行った。
そして、係る高濃度浸炭窒化処理を行った合金鋼に対して、300℃で2時間加熱して、焼き戻し処理を行った。
ここで、炭素焼入層に炭化物を析出させるのが高濃度浸炭窒化処理であり、炭素焼入層に炭化物を析出させないのが浸炭窒化処理である。高濃度浸炭窒化処理と浸炭窒化処理において、鋼の表面に浸入する窒素量は1.0%弱である。
焼き戻し処理後、粒径0.8mmのショット粒を用いて、インペラショットによりショットピーニングを行った。
この様にして製造された鋼材について、常温で、JIS Z 2273 「金属材料疲れ試験方法通則」、JIS Z 2274 「金属材料回転曲げ疲れ試験方法」に係る常温における疲労破壊試験を行った。疲労破壊試験の結果として得られた疲労破壊特性は、図2で示されている。
実験例1では、炭素量0.2%の合金に対して、鋼材表面に炭素を1.5%、窒素を0.6%浸入させる高濃度浸炭窒化処理を行った。
そして、係る高濃度浸炭窒化処理を行った合金鋼に対して、300℃で2時間加熱して、焼き戻し処理を行った。
ここで、炭素焼入層に炭化物を析出させるのが高濃度浸炭窒化処理であり、炭素焼入層に炭化物を析出させないのが浸炭窒化処理である。高濃度浸炭窒化処理と浸炭窒化処理において、鋼の表面に浸入する窒素量は1.0%弱である。
焼き戻し処理後、粒径0.8mmのショット粒を用いて、インペラショットによりショットピーニングを行った。
この様にして製造された鋼材について、常温で、JIS Z 2273 「金属材料疲れ試験方法通則」、JIS Z 2274 「金属材料回転曲げ疲れ試験方法」に係る常温における疲労破壊試験を行った。疲労破壊試験の結果として得られた疲労破壊特性は、図2で示されている。
図2において、実験例1に係る鋼材の疲労破壊特性は、「○」のプロットで示されており、「本発明」或いは「本発明品」なる表示が付されている。
図2では、比較のために、SCM420H浸炭鋼の常温における疲労破壊特性と、公知の高濃度浸炭焼入れ処理が為された鋼材の常温における疲労破壊特性と、公知の高濃度浸炭窒化焼入れ処理を行った後、ショットピーニングを施した鋼材の常温における疲労破壊特性とが示されている。
図2では、比較のために、SCM420H浸炭鋼の常温における疲労破壊特性と、公知の高濃度浸炭焼入れ処理が為された鋼材の常温における疲労破壊特性と、公知の高濃度浸炭窒化焼入れ処理を行った後、ショットピーニングを施した鋼材の常温における疲労破壊特性とが示されている。
図2において、SCM420H浸炭鋼(焼き戻し処理もショットピーニングも施されていない鋼材)の疲労強度特性は、「現行浸炭焼入れ材」或いは「常温:現行SCM420H浸炭」と表示されており、「■」のプロットで示されている。
公知の高濃度浸炭焼入れ処理が為された鋼材(焼き戻し処理もショットピーニングも施されていない鋼材)の常温における疲労破壊特性は、「高濃度浸炭材」或いは「常温高濃度浸炭品」と表示されており、「●」のプロットで示されている。
公知の高濃度浸炭窒化焼入れ処理を行って、ショットピーニングを施した鋼材(焼き戻し処理が施されていない鋼材)の、常温における疲労破壊特性は、「高濃度浸炭窒化+ショットピーニング」或いは「高濃度浸炭窒化+ショットピーニング品」と表示されており、「◆」のプロットで示されている。
公知の高濃度浸炭焼入れ処理が為された鋼材(焼き戻し処理もショットピーニングも施されていない鋼材)の常温における疲労破壊特性は、「高濃度浸炭材」或いは「常温高濃度浸炭品」と表示されており、「●」のプロットで示されている。
公知の高濃度浸炭窒化焼入れ処理を行って、ショットピーニングを施した鋼材(焼き戻し処理が施されていない鋼材)の、常温における疲労破壊特性は、「高濃度浸炭窒化+ショットピーニング」或いは「高濃度浸炭窒化+ショットピーニング品」と表示されており、「◆」のプロットで示されている。
図2から明らかな様に、実験例1に係る鋼材は、比較例であるSCM420H浸炭鋼、高濃度浸炭材、高濃度浸炭窒化焼入れ処理を行ってショットピーニングを施した鋼材の何れよりも、繰返し数Nが少ない領域から繰返し数Nが多い領域に亘って、疲労強度が向上している。
高濃度浸炭窒化焼入れ処理を行って、ショットピーニングを施した鋼材(焼き戻し処理が施されていない鋼材:「◆」のプロット)に比較して、実験例1に係る鋼材(「○」のプロット)の疲労強度が向上しているのは、実験例1に係る鋼材が、高濃度浸炭窒化処理を行った後、300℃で2時間加熱して焼き戻し処理を行って、不完全焼入れ組織(残留オーステナイト)をマルテンサイトに組織変化(変態)させていることが一因であると推定される。
また、実験例1に係る鋼材は、300℃で2時間加熱して焼き戻し処理を行った後に、ショットピーニングを施しているので、ショットピーニング加工により実験例1に係る鋼材における圧縮残留応力積分値が増加して、疲労強度が向上した、と推定される。
高濃度浸炭窒化焼入れ処理を行って、ショットピーニングを施した鋼材(焼き戻し処理が施されていない鋼材:「◆」のプロット)に比較して、実験例1に係る鋼材(「○」のプロット)の疲労強度が向上しているのは、実験例1に係る鋼材が、高濃度浸炭窒化処理を行った後、300℃で2時間加熱して焼き戻し処理を行って、不完全焼入れ組織(残留オーステナイト)をマルテンサイトに組織変化(変態)させていることが一因であると推定される。
また、実験例1に係る鋼材は、300℃で2時間加熱して焼き戻し処理を行った後に、ショットピーニングを施しているので、ショットピーニング加工により実験例1に係る鋼材における圧縮残留応力積分値が増加して、疲労強度が向上した、と推定される。
ここで、圧縮残留応力積分値が増加すれば、疲労強度が向上することは、図3から明らかである。
図3は、鋼材の表面から150μmまでの圧縮残留応力積分値(MPa・mm)と、106回の疲労強度(MPa)との関係を示した特性図である。
図3において、鋼材の表面から150μmまでの圧縮残留応力積分値(MPa・mm)と、106回の疲労強度(MPa)との間には、比例関係が概略成立している。すなわち、150μmまでの圧縮残留応力積分値(MPa・mm)が高ければ、106回の疲労強度(MPa)は向上する。
このことから、圧縮残留応力積分値が増加して、疲労強度が向上することが明らかである。
なお、図3では、常温における疲労試験のデータ(「●」)と、300℃(高温)における疲労試験のデータ(「■」)の双方を用いている。すなわち、常温であっても、高温(300℃)であっても、圧縮残留応力積分値が増加すれば、疲労強度が向上するのである。
図3は、鋼材の表面から150μmまでの圧縮残留応力積分値(MPa・mm)と、106回の疲労強度(MPa)との関係を示した特性図である。
図3において、鋼材の表面から150μmまでの圧縮残留応力積分値(MPa・mm)と、106回の疲労強度(MPa)との間には、比例関係が概略成立している。すなわち、150μmまでの圧縮残留応力積分値(MPa・mm)が高ければ、106回の疲労強度(MPa)は向上する。
このことから、圧縮残留応力積分値が増加して、疲労強度が向上することが明らかである。
なお、図3では、常温における疲労試験のデータ(「●」)と、300℃(高温)における疲労試験のデータ(「■」)の双方を用いている。すなわち、常温であっても、高温(300℃)であっても、圧縮残留応力積分値が増加すれば、疲労強度が向上するのである。
ショットピーニングを施すことにより、圧縮残留応力が増加することは、図4から明らかである。
図4は、実験例1に係る鋼材の表面から150μmの深さまでの、ショットピーニング処理後の圧縮残留応力の分布を示している。
図4において、比較対象である高濃度浸炭窒化焼入れのみでショットピーニングを施さない鋼材(「□」のプロット)の残留応力値に比較して、高濃度浸炭窒化焼入れ後にショットピーニング処理を施した鋼材(「◆」のプロット)と、実験例1に係る鋼材(高濃度浸炭窒化焼入れ後に300℃で2時間焼き戻しして、その後ショットピーニング処理した鋼材:「○」のプロット)は、何れも、残留応力値の絶対値が増加している。
図4は、実験例1に係る鋼材の表面から150μmの深さまでの、ショットピーニング処理後の圧縮残留応力の分布を示している。
図4において、比較対象である高濃度浸炭窒化焼入れのみでショットピーニングを施さない鋼材(「□」のプロット)の残留応力値に比較して、高濃度浸炭窒化焼入れ後にショットピーニング処理を施した鋼材(「◆」のプロット)と、実験例1に係る鋼材(高濃度浸炭窒化焼入れ後に300℃で2時間焼き戻しして、その後ショットピーニング処理した鋼材:「○」のプロット)は、何れも、残留応力値の絶対値が増加している。
ここで図4では、残留応力値は圧縮応力であり、符号は「マイナス」となる。そのため、図4において残留応力(圧縮応力)値が大きいということは、絶対値が大きいことであり、図4においては特性曲線が下方に位置することになる。
図4において、ショットピーニング処理を施していない鋼材の特性曲線(「□」のプロット)に対して、ショットピーニング処理を施した鋼材の特性曲線(「◆」のプロットと、実験例1に係る鋼材における「○」のプロット)は、下方に位置しており、残留応力(圧縮応力)の絶対値が大きい。
図2で示す実験例1の結果において、実験例1に係る鋼材(本発明品)の疲労強度(図2の「○」のプロット)が向上した原因として、ショットピーニングによる圧縮残留応力の増加が推定されるのは、図2の結果から妥当である。
図4において、ショットピーニング処理を施していない鋼材の特性曲線(「□」のプロット)に対して、ショットピーニング処理を施した鋼材の特性曲線(「◆」のプロットと、実験例1に係る鋼材における「○」のプロット)は、下方に位置しており、残留応力(圧縮応力)の絶対値が大きい。
図2で示す実験例1の結果において、実験例1に係る鋼材(本発明品)の疲労強度(図2の「○」のプロット)が向上した原因として、ショットピーニングによる圧縮残留応力の増加が推定されるのは、図2の結果から妥当である。
[実験例2]
実験例2では、焼き戻し処理における加熱温度を、230℃〜320℃まで、10℃ずつ変化させて、実験例1と同様な条件で疲労破壊特性を求めた。
その結果が、下表1に示されている。
なお、表1では、加熱温度300℃の場合を示していない。係る場合の疲労強度は、実験例1と同一となったからである。
表1
実験例2では、焼き戻し処理における加熱温度を、230℃〜320℃まで、10℃ずつ変化させて、実験例1と同様な条件で疲労破壊特性を求めた。
その結果が、下表1に示されている。
なお、表1では、加熱温度300℃の場合を示していない。係る場合の疲労強度は、実験例1と同一となったからである。
表1
表1において、「○」印は、実験例1に係る鋼材(加熱温度300℃)と同程度か、それ以上の疲労強度を有していたことを意味している。
一方、「×」印は、実験例1に係る鋼材(加熱温度300℃)に比較して、疲労強度が有意に劣っていたことを意味している。
表1より、本発明における熱処理(焼き戻し処理)における加熱温度は、250℃〜300℃が好適であることが理解される。
一方、「×」印は、実験例1に係る鋼材(加熱温度300℃)に比較して、疲労強度が有意に劣っていたことを意味している。
表1より、本発明における熱処理(焼き戻し処理)における加熱温度は、250℃〜300℃が好適であることが理解される。
実験例1の処理を行うと、疲労強度が向上した鋼材表面は、疲労強度を低下される不完全焼入れ組織であるオーステナイトが、99.8%以上が焼入れ組織であるマルテンサイトに変態した。
これに対して、焼き戻し処理時の温度が低いと(250℃未満)、硬質の微小窒化物の析出が進行せず、且つ、オーステナイトからマルテンサイトへの変態が進行せず、そのため、疲労強度が向上しなかったと推定される。
一方、焼き戻し温度が高いと(300℃よりも高温)、硬質の微小窒化物は析出するが、マルテンサイト自体が高温のため焼き戻されてしまうので、硬度が低下して、疲労強度も低下してしまう。そのため、疲労強度が向上しなかったと推定される。
これに対して、焼き戻し処理時の温度が低いと(250℃未満)、硬質の微小窒化物の析出が進行せず、且つ、オーステナイトからマルテンサイトへの変態が進行せず、そのため、疲労強度が向上しなかったと推定される。
一方、焼き戻し温度が高いと(300℃よりも高温)、硬質の微小窒化物は析出するが、マルテンサイト自体が高温のため焼き戻されてしまうので、硬度が低下して、疲労強度も低下してしまう。そのため、疲労強度が向上しなかったと推定される。
[実験例3]
実験例3では、焼き戻し処理における加熱時間を、1時間〜5時間まで、0.5時間刻みで変化させて、実験例1と同様な条件で疲労破壊特性を求めた。
その結果が、下表2に示されている。
なお、表2で加熱時間が2時間の場合を示していないのは、実験例1と同一条件となるからである。
表2
実験例3では、焼き戻し処理における加熱時間を、1時間〜5時間まで、0.5時間刻みで変化させて、実験例1と同様な条件で疲労破壊特性を求めた。
その結果が、下表2に示されている。
なお、表2で加熱時間が2時間の場合を示していないのは、実験例1と同一条件となるからである。
表2
表2において、「○」印は、実験例1に係る鋼材(加熱時間2時間)と同程度かそれ以上の疲労強度を有していたことを意味している。
一方、「×」印は、実験例1に係る鋼材(加熱時間2時間)に比較して、疲労強度が有意に劣っていたことを意味している。
表2より、本発明における熱処理(焼き戻し処理)における加熱時間は、2時間以上であれば良いことが理解される。
焼き戻し時間が短過ぎると(2時間未満)、硬質の微小窒化物の析出が進行せず、且つ、熱処理(焼き戻し)が十分に為されず、オーステナイトからマルテンサイトへの変態が進行しないため、疲労強度が向上しなかったと推定される。
一方、「×」印は、実験例1に係る鋼材(加熱時間2時間)に比較して、疲労強度が有意に劣っていたことを意味している。
表2より、本発明における熱処理(焼き戻し処理)における加熱時間は、2時間以上であれば良いことが理解される。
焼き戻し時間が短過ぎると(2時間未満)、硬質の微小窒化物の析出が進行せず、且つ、熱処理(焼き戻し)が十分に為されず、オーステナイトからマルテンサイトへの変態が進行しないため、疲労強度が向上しなかったと推定される。
ここで、加熱時間が長くなり過ぎると、疲労強度の点では問題がないが、加熱処理の効率と、加熱のためのエネルギー消費、その他のコストの点で、不都合である。
発明者の試算によると、熱処理時間(加熱時間、焼き戻し処理の時間)が5時間を超える場合には、上述した効率及びコストの点から、適正ではないことが明らかになった。
従って、本発明における熱処理(焼き戻し処理)における加熱時間は、2時間〜5時間が適正であると云える。
発明者の試算によると、熱処理時間(加熱時間、焼き戻し処理の時間)が5時間を超える場合には、上述した効率及びコストの点から、適正ではないことが明らかになった。
従って、本発明における熱処理(焼き戻し処理)における加熱時間は、2時間〜5時間が適正であると云える。
[実験例4]
実験例4では、実施形態に係る処理を行う以前の合金鋼の炭素量を0.10%〜0.80%の範囲で、0.05%刻みで変化させて、実験例1と同様な条件で疲労破壊特性を求めた。
その結果が、下表3に示されている。
なお、表3で合金鋼の炭素量が0.20%の場合を示していないのは、実験例1と同一条件となるからである。
表3
実験例4では、実施形態に係る処理を行う以前の合金鋼の炭素量を0.10%〜0.80%の範囲で、0.05%刻みで変化させて、実験例1と同様な条件で疲労破壊特性を求めた。
その結果が、下表3に示されている。
なお、表3で合金鋼の炭素量が0.20%の場合を示していないのは、実験例1と同一条件となるからである。
表3
表3において、「○」印は、実験例1に係る鋼材(合金鋼の炭素量が0.2%)と同程度かそれ以上の疲労強度を有していたことを意味している。
一方、「×」印は、実験例1に係る鋼材(合金鋼の炭素量が0.2%)に比較して、疲労強度が有意に劣っていたことを意味している。
なお、表3では、合金鋼の炭素量が0.35%〜0.60%については、何れも実験例1に係る鋼材(合金鋼の炭素量が0.2%)と同程度かそれ以上の疲労強度を有していた(表3における「○」印)ので、表示を省略した。
表3より、本発明における熱処理(焼き戻し処理)を行う以前の合金鋼の炭素量は、0.15%〜0.70%が好適であることが理解される。
一方、「×」印は、実験例1に係る鋼材(合金鋼の炭素量が0.2%)に比較して、疲労強度が有意に劣っていたことを意味している。
なお、表3では、合金鋼の炭素量が0.35%〜0.60%については、何れも実験例1に係る鋼材(合金鋼の炭素量が0.2%)と同程度かそれ以上の疲労強度を有していた(表3における「○」印)ので、表示を省略した。
表3より、本発明における熱処理(焼き戻し処理)を行う以前の合金鋼の炭素量は、0.15%〜0.70%が好適であることが理解される。
[実験例5]
実験例5では、合金鋼に対して高濃度浸炭窒化処理を行うに際して、鋼材表面に浸入させる炭素量を0.5%〜2.0%の範囲では0.5%刻みで変化させ、2.0%〜2.5%の範囲では0.1%刻みで変化させて、実験例1と同様な条件で疲労破壊特性を求めた。
その結果が、下表4に示されている。
なお、表4で炭素浸入量が1.5%の場合を示していないのは、実験例1と同一条件となるからである。
表4
実験例5では、合金鋼に対して高濃度浸炭窒化処理を行うに際して、鋼材表面に浸入させる炭素量を0.5%〜2.0%の範囲では0.5%刻みで変化させ、2.0%〜2.5%の範囲では0.1%刻みで変化させて、実験例1と同様な条件で疲労破壊特性を求めた。
その結果が、下表4に示されている。
なお、表4で炭素浸入量が1.5%の場合を示していないのは、実験例1と同一条件となるからである。
表4
表4において、「○」印は、実験例1に係る鋼材(炭素浸入量が1.5%)と同程度かそれ以上の疲労強度を有していたことを意味している。
一方、「×」印は、実験例1に係る鋼材(炭素浸入量が1.5%)に比較して、疲労強度が有意に劣っていたことを意味している。
表4及び実験例1(炭素浸入量が1.5%)より、本発明における熱処理(焼き戻し処理)を行う以前の浸炭窒化処理における炭素浸入量は、1.0%以上が適当であることが理解される。
一方、「×」印は、実験例1に係る鋼材(炭素浸入量が1.5%)に比較して、疲労強度が有意に劣っていたことを意味している。
表4及び実験例1(炭素浸入量が1.5%)より、本発明における熱処理(焼き戻し処理)を行う以前の浸炭窒化処理における炭素浸入量は、1.0%以上が適当であることが理解される。
[実験例6]
実験例6では、合金鋼に対して高濃度浸炭窒化処理を行うに際して、鋼材表面に浸入させる素量を0%〜1.2%の範囲で、0.1%刻みで変化させて、実験例1と同様な条件で疲労破壊特性を求めた。
その結果が、下表5に示されている。
表5
実験例6では、合金鋼に対して高濃度浸炭窒化処理を行うに際して、鋼材表面に浸入させる素量を0%〜1.2%の範囲で、0.1%刻みで変化させて、実験例1と同様な条件で疲労破壊特性を求めた。
その結果が、下表5に示されている。
表5
表5においても、「○」印は、実験例1に係る鋼材(窒素浸入量が0.6%)と同程度かそれ以上の疲労強度を有していたことを意味している。
表5で示す結果からは、本発明における熱処理(焼き戻し処理)を行う以前の浸炭窒化処理における窒素浸入量は、0.2%〜0.9%が適正であることが分かった。換言すれば、「1.0%弱」については、「0.2%〜0.9%」であることが確認された。
窒素浸入量が1.0%以上の場合は、残留オーステナイトが大量に析出し、疲労強度を低下させる結果になったと推定される。
表5で示す結果からは、本発明における熱処理(焼き戻し処理)を行う以前の浸炭窒化処理における窒素浸入量は、0.2%〜0.9%が適正であることが分かった。換言すれば、「1.0%弱」については、「0.2%〜0.9%」であることが確認された。
窒素浸入量が1.0%以上の場合は、残留オーステナイトが大量に析出し、疲労強度を低下させる結果になったと推定される。
なお、実験例5、実験例6において、発明者は、高濃度浸炭窒化処理において、鉄鋼中に含有可能な炭素量及び窒素量(炭素浸入量及び窒素浸入量)は、現実的には、合計で約3.0%が限度であることを見出した。
炭素及び窒素を鋼材表面に固容させ、その総量が約3.0%を超えると飽和して、余剰な窒素がボイド(ブローホールetc.)として鋼材表面付近に存在する様になる。これは、一種の材料欠陥(不良)であり、そのため、鋼材の強度を低下する原因となる。
炭素及び窒素を鋼材表面に固容させ、その総量が約3.0%を超えると飽和して、余剰な窒素がボイド(ブローホールetc.)として鋼材表面付近に存在する様になる。これは、一種の材料欠陥(不良)であり、そのため、鋼材の強度を低下する原因となる。
[実験例7]
実験例7では、実験例1の合金鋼(鋼材)に2段ショットピーニングを行なう際に、ショットピーニング処理で用いるショット粒の粒径を、0.2mm〜1.8mmの範囲で、0.2mm刻みで変化させた。そして、実験例1と同様な疲労破壊試験を行って、疲労破壊特性を求めた。
その結果が、下表6に示されている。
なお、表6でショット粒径が0.8mmの場合を示していないのは、実験例1と同一条件となるからである。
表6
実験例7では、実験例1の合金鋼(鋼材)に2段ショットピーニングを行なう際に、ショットピーニング処理で用いるショット粒の粒径を、0.2mm〜1.8mmの範囲で、0.2mm刻みで変化させた。そして、実験例1と同様な疲労破壊試験を行って、疲労破壊特性を求めた。
その結果が、下表6に示されている。
なお、表6でショット粒径が0.8mmの場合を示していないのは、実験例1と同一条件となるからである。
表6
表6において、「○」印は、実験例1に係る鋼材(ショット粒径が0.8mm)と同程度かそれ以上の疲労強度を有していたことを意味している。
一方、「×」印は、実験例1に係る鋼材(ショット粒径が0.8mm)に比較して、疲労強度が有意に劣っていたことを意味している。
表6で示す結果からは、本発明における第1段のショットピーニングのショット粒径は、0.6mm〜1.2mmが適正であることが分かった。
一方、「×」印は、実験例1に係る鋼材(ショット粒径が0.8mm)に比較して、疲労強度が有意に劣っていたことを意味している。
表6で示す結果からは、本発明における第1段のショットピーニングのショット粒径は、0.6mm〜1.2mmが適正であることが分かった。
次に、図5〜図6を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
図5において、浸炭窒化処理工程S1Aは、炭素量0.15%〜0.70%の鋼材に対して施させる。そして、焼き戻し工程S2Aにおいて、250℃〜300℃で2時間以上加熱して焼き戻し処理を行い、組織中のオーステナイト(の99.5%以上、より詳細には99.8%以上)をマルテンサイトに変態せしめる。ここで、浸炭窒化処理工程S1Aは、窒素及び炭素を浸入させる処理を施す工程である。
ショットピーニング処理工程S3Aでは、例えば粒径0.6〜1.2mmのショット粒を用いてショットピーニングを行う。
図5において、浸炭窒化処理工程S1Aは、炭素量0.15%〜0.70%の鋼材に対して施させる。そして、焼き戻し工程S2Aにおいて、250℃〜300℃で2時間以上加熱して焼き戻し処理を行い、組織中のオーステナイト(の99.5%以上、より詳細には99.8%以上)をマルテンサイトに変態せしめる。ここで、浸炭窒化処理工程S1Aは、窒素及び炭素を浸入させる処理を施す工程である。
ショットピーニング処理工程S3Aでは、例えば粒径0.6〜1.2mmのショット粒を用いてショットピーニングを行う。
ここで、第2実施形態における浸炭窒化処理工程S1Aでは、鋼材表面に炭素を0.7〜1.2%、窒素を0.2〜1.0%浸入させている。
換言すれば、第1実施形態と第2実施形態では、窒素及び炭素を浸入させる処理を施す工程において、炭素及び窒素を鋼材へ浸入させる量が相違している。
換言すれば、第1実施形態と第2実施形態では、窒素及び炭素を浸入させる処理を施す工程において、炭素及び窒素を鋼材へ浸入させる量が相違している。
[実験例8]
実験例8では、炭素量0.2%の合金に対して、窒素及び炭素を浸入させる処理として、鋼材表面に炭素を0.8%、窒素を0.5%浸入させる浸炭窒化処理を行った。
そして、係る浸炭窒化処理を行った合金鋼に対して、300℃で2時間加熱して、焼き戻し処理を行った。
焼き戻し処理後、粒径0.8mmのショット粒を用いて、インペラショットにより、ショットピーニングを行った。
この様にして製造された鋼材について、常温で、JIS Z 2273 「金属材料疲れ試験方法通則」、JIS Z 2274 「金属材料回転曲げ疲れ試験方法」に係る常温における疲労破壊試験を行った。疲労破壊試験の結果として得られた疲労破壊特性は、図6で示されている。
実験例8では、炭素量0.2%の合金に対して、窒素及び炭素を浸入させる処理として、鋼材表面に炭素を0.8%、窒素を0.5%浸入させる浸炭窒化処理を行った。
そして、係る浸炭窒化処理を行った合金鋼に対して、300℃で2時間加熱して、焼き戻し処理を行った。
焼き戻し処理後、粒径0.8mmのショット粒を用いて、インペラショットにより、ショットピーニングを行った。
この様にして製造された鋼材について、常温で、JIS Z 2273 「金属材料疲れ試験方法通則」、JIS Z 2274 「金属材料回転曲げ疲れ試験方法」に係る常温における疲労破壊試験を行った。疲労破壊試験の結果として得られた疲労破壊特性は、図6で示されている。
図6において、実験例8に係る鋼材の高温(300℃)における回転曲げの疲労破壊特性は、「○」のプロットで示されており、「本発明」或いは「本発明品」なる表示が付されている。
ここで、図6では、比較のために、300℃で2時間焼き戻しを施した浸炭窒化材であるが、ショットピーニングは施されていない浸炭窒化材(「●」のプロット:「浸炭窒化材」或いは「300℃浸炭窒化品」と表示)の疲労破壊特性と、ショットピーニングを施した浸炭窒化材であるが、焼き戻し処理がされていない浸炭窒化材(「◆」のプロット:「浸炭窒化材+ショットピーニング」)の疲労破壊特性も示されている。
ここで、図6では、比較のために、300℃で2時間焼き戻しを施した浸炭窒化材であるが、ショットピーニングは施されていない浸炭窒化材(「●」のプロット:「浸炭窒化材」或いは「300℃浸炭窒化品」と表示)の疲労破壊特性と、ショットピーニングを施した浸炭窒化材であるが、焼き戻し処理がされていない浸炭窒化材(「◆」のプロット:「浸炭窒化材+ショットピーニング」)の疲労破壊特性も示されている。
図6から明らかな様に、実験例8に係る鋼材(「○」のプロット)は、2段ショットピーニングは施されていない浸炭窒化材(「●」のプロット)と、焼き戻し処理がされていない浸炭窒化材(「◆」のプロット)に対して、繰返し数Nが少ない領域から繰返し数Nが多い領域に亘って、疲労強度が向上している。
焼き戻し処理がされていない浸炭窒化材(「◆」のプロット:「浸炭窒化材+2段ショットピーニング」)に比較して、その差は大きくはないものの、実験例8に係る鋼材(「○」のプロット)の疲労強度が向上しているのは、実験例8に係る鋼材は300℃で2時間焼き戻しを行ったため、残留オーステナイト組織がマルテンサイト組織に変態したため、疲労強度が幾分向上したと推定される。
また、ショットピーニングは施されていない浸炭窒化材(「●」のプロット)に比較して、実験例8に係る鋼材(「○」のプロット)の疲労強度が向上しているのは、実験例8に係る鋼材はショットピーニングを施工しているため、圧縮残留応力積分値が増加したことが一因であると推定される。
焼き戻し処理がされていない浸炭窒化材(「◆」のプロット:「浸炭窒化材+2段ショットピーニング」)に比較して、その差は大きくはないものの、実験例8に係る鋼材(「○」のプロット)の疲労強度が向上しているのは、実験例8に係る鋼材は300℃で2時間焼き戻しを行ったため、残留オーステナイト組織がマルテンサイト組織に変態したため、疲労強度が幾分向上したと推定される。
また、ショットピーニングは施されていない浸炭窒化材(「●」のプロット)に比較して、実験例8に係る鋼材(「○」のプロット)の疲労強度が向上しているのは、実験例8に係る鋼材はショットピーニングを施工しているため、圧縮残留応力積分値が増加したことが一因であると推定される。
ショットピーニングを施すことにより、圧縮残留応力が増加することは、図7から明らかである。
図7において、浸炭窒化焼入れのみでショットピーニングを施さない鋼材(「□」のプロット:比較対象)の残留応力値に比較して、浸炭窒化焼入れ後にショットピーニング処理を施した鋼材(「◆」のプロット)と、実験例8に係る鋼材(浸炭窒化焼入れ後に300℃で2時間焼き戻して、その後ショットピーニング処理した鋼材:「○」のプロット)は、何れも、残留応力値の絶対値が増加している。
図7において、浸炭窒化焼入れのみでショットピーニングを施さない鋼材(「□」のプロット:比較対象)の残留応力値に比較して、浸炭窒化焼入れ後にショットピーニング処理を施した鋼材(「◆」のプロット)と、実験例8に係る鋼材(浸炭窒化焼入れ後に300℃で2時間焼き戻して、その後ショットピーニング処理した鋼材:「○」のプロット)は、何れも、残留応力値の絶対値が増加している。
図7においても、残留応力値は圧縮応力であり、符号は「マイナス」となる。図7においても、残留応力(圧縮応力)値が大きいということは絶対値が大きいことであり、図7においては特性曲線が下方に位置することになる。
図7において、ショットピーニング処理を施していない鋼材の特性曲線(「□」のプロット)に対して、ショットピーニング処理を施した鋼材の特性曲線(「◆」のプロットと、実験例8に係る鋼材における「○」のプロット)は、下方に位置しており、残留応力(圧縮応力)の絶対値が大きい。
図6で示す実験例8の結果において、実験例8に係る鋼材の疲労強度(図6の「○」のプロット)が向上した原因として、ショットピーニングによる圧縮残留応力の増加が推定されるのは、図7の結果から妥当である。
図7において、ショットピーニング処理を施していない鋼材の特性曲線(「□」のプロット)に対して、ショットピーニング処理を施した鋼材の特性曲線(「◆」のプロットと、実験例8に係る鋼材における「○」のプロット)は、下方に位置しており、残留応力(圧縮応力)の絶対値が大きい。
図6で示す実験例8の結果において、実験例8に係る鋼材の疲労強度(図6の「○」のプロット)が向上した原因として、ショットピーニングによる圧縮残留応力の増加が推定されるのは、図7の結果から妥当である。
[実験例9]
実験例9では、合金鋼に対して浸炭窒化処理を行うに際して、鋼材表面に浸入させる炭素量を0.5%〜1.4%の範囲で、0.1%刻みで変化させて、実験例8と同様な条件で疲労破壊特性を求めた。
その結果が、下表7に示されている。
なお、表7で炭素浸入量が0.8%の場合を示していないのは、実験例8と同一条件となるからである。
表7
実験例9では、合金鋼に対して浸炭窒化処理を行うに際して、鋼材表面に浸入させる炭素量を0.5%〜1.4%の範囲で、0.1%刻みで変化させて、実験例8と同様な条件で疲労破壊特性を求めた。
その結果が、下表7に示されている。
なお、表7で炭素浸入量が0.8%の場合を示していないのは、実験例8と同一条件となるからである。
表7
表7において、「○」印は、実験例8に係る鋼材(炭素浸入量0.8%)と同程度かそれ以上の疲労強度を有していたことを意味している。
一方、表7における「×」印は、実験例8に係る鋼材に比較して、疲労強度が有意に劣っていたことを意味している。
表7で示す実験例9の結果から、浸炭窒化処理における炭素浸入量は、0.70%〜1.2%が適正であることが理解される。
一方、表7における「×」印は、実験例8に係る鋼材に比較して、疲労強度が有意に劣っていたことを意味している。
表7で示す実験例9の結果から、浸炭窒化処理における炭素浸入量は、0.70%〜1.2%が適正であることが理解される。
[実験例10]
実験例10では、合金鋼に対して浸炭窒化処理を行うに際して、鋼材表面に浸入させる窒素量を0.1%〜1.2%の範囲で、0.1%刻みで変化させて、実験例8と同様な条件で疲労破壊特性を求めた。
その結果が、下表8に示されている。
なお、表8で窒素浸入量が0.5%の場合を示していないのは、実験例8と同一条件となるからである。
表8
実験例10では、合金鋼に対して浸炭窒化処理を行うに際して、鋼材表面に浸入させる窒素量を0.1%〜1.2%の範囲で、0.1%刻みで変化させて、実験例8と同様な条件で疲労破壊特性を求めた。
その結果が、下表8に示されている。
なお、表8で窒素浸入量が0.5%の場合を示していないのは、実験例8と同一条件となるからである。
表8
表8においても、「○」印は、実験例8に係る鋼材(窒素浸入量が0.5%)と同程度かそれ以上の疲労強度を有していたことを意味している。
一方、表8における「×」印は、実験例8に係る鋼材に比較して、疲労強度が有意に劣っていたことを意味している。
表8で示す実験例10の結果から、浸炭窒化処理における窒素浸入量は、0.2%〜1.0%が適正であることが理解される。
一方、表8における「×」印は、実験例8に係る鋼材に比較して、疲労強度が有意に劣っていたことを意味している。
表8で示す実験例10の結果から、浸炭窒化処理における窒素浸入量は、0.2%〜1.0%が適正であることが理解される。
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない。
Claims (3)
- 炭素量0.15%〜0.70%の鋼材に窒素及び炭素を浸入させる処理を施す工程と、250℃〜300℃で2時間以上加熱して焼き戻し処理を行い、組織中のオーステナイトをマルテンサイトに変態せしめる熱処理工程と、ショットピーニングを行う工程とを有することを特徴とする鋼材の熱処理方法。
- 前記窒素及び炭素を浸入させる処理を施す工程では、高濃度浸炭窒化焼入れ処理を施し、鋼材表面に炭素を1.0%以上、窒素を1.0%弱だけ浸入させる請求項1の鋼材の熱処理方法。
- 前記窒素及び炭素を浸入させる処理を施す工程では、浸炭窒化焼入れ処理を施し、鋼材表面に炭素を0.7〜1.2%、窒素を0.2〜1.0%浸入させる請求項1の鋼材の熱処理方法。
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WO2022044392A1 (ja) * | 2020-08-27 | 2022-03-03 | 株式会社日立製作所 | 摺動部材及びその製造方法 |
-
2009
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