JP5613414B2 - 可溶性フィブリン及びd−ダイマーの測定による静脈血栓塞栓症の検出 - Google Patents

可溶性フィブリン及びd−ダイマーの測定による静脈血栓塞栓症の検出 Download PDF

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Description

本願は、D-ダイマーのアッセイを使用し、かつ、血液中の凝固活性化過程の間に可溶性フィブリンをアッセイすることによる、凝固の活性化、特に静脈血栓塞栓症に関連する際の凝固の活性化を検出するための方法及び試験に関する。
フィブリン溶解は、血中におけるフィブリンの分解過程である。フィブリン溶解は、多数の生理病理学的過程に関与し、組織プラスミノゲンアクチベーター及びプラスミノゲンがフィブリンに結合する場合に生じ、フィブリン−プラスミノゲン三成分複合体であって、その中のプラスミノゲンにt-PAが高アフィニティーを有する複合体を形成し、フィブリンをD-ダイマーに分解する酵素であるプラスミンの産生を含む。フィブリンの非存在下において、t-PAは、プラスミノゲンに対して小さなアフィニティーを有し、これによって循環するフィブリンが分解されないという事実が説明される。
フィブリン分解、つまりフィブリン溶解は、特に「D-ダイマー」断片を含む分解産物の形成を生じる。前記D-ダイマーは、DDE複合体を形成する他のフィブリンモノマー分子の分解に由来するE断片と結合するが、その形態であっても通常はD-ダイマーと称される。
フィブリン溶解過程を起こすフィブリンは、凝固酵素であるトロンビンの作用下においてフィブリノゲンの変換によって形成される。凝固活性化の間に、かくして生成されたトロンビンは、血栓を構成するフィブリンの沈着形成及び可溶性フィブリンの形成を誘導する。これを達成するために、トロンビンは、2つのAα鎖及び2つのBβ鎖の各々に位置するフィブリノゲンの4つのペプチド結合を攻撃し、2つのAα鎖からの2つのAフィブリノペプチドの放出及びBβ鎖からの2つのBフィブリノペプチドの放出を生じさせ、自然に重合して、Aフィブリノペプチド及びBフィブリノペプチドの放出の間に現れるA重合部位及びB重合部位とγ鎖及びβ鎖の各々の末端で利用可能なa部位及びb部位との間の相互作用によって確立する水素結合のくぼみによってポリマーを形成するフィブリンモノマーの形成を生じさせる。次いで、フィブリンポリマーは、ファクターXIII(a)によって迅速に安定化される。トロンビンの産生は、in vivoで起こるよりも、in vitroにおける試験の間の方がより大きい。そのため、フィブリンモノマーの産生は、in vitroにおいて産生するよりもin vivo凝固活性化過程において遅く、それによってモノマーの一部を生じ、それが重合して血栓を構成する不溶性フィブリンを生じ、前記モノマーの他の一部が、a部位及びb部位が接近可能であるフィブリノゲンと反応するか、又はフィブリノゲン分解産物と反応して、可溶性フィブリンを生じ、そこでフィブリンモノマーがフィブリノゲンに結合する。
可溶性フィブリンの濃度の測定は、患者の凝固の活性化を示すために重要である。前記測定は、患者から取得した血液サンプルから得られた血清又は血液サンプルを使用して実施してよい。
可溶性フィブリンは進行中の凝固活性化を検出し得るため、可溶性フィブリンをアッセイすることは、フィブリン溶解分解産物をアッセイするための有用な補完方法であることが示されているが、D-ダイマーの濃度は、たとえ凝固活性化過程が停止したとしても、血栓の分解を示す。
要するに、フィブリン血塊がin vivoで分解する間に、D-ダイマー血漿レベルが増大する。したがって、血栓が存在し分解を起こしている場合に、D-ダイマーの濃度が高く、凝固は持続しているか又は停止している。対照的に、可溶性フィブリンのレベルは、凝固が持続している場合にのみ上昇する。
D-ダイマーのレベルと比較して、可溶性フィブリン血漿レベルの特異的な測定は、かくして、分析するサンプルを回収した際に患者において生じている凝固の測定とともに、凝固溶解バランスの評価を可能にする。
基礎レベルと称されるサンプル中のD-ダイマーのレベルを測定することは、かくして、in vivoで生じる血栓の分解を反映するが、特定のフィブリン血栓溶解剤を外部から添加した後に得られるD-ダイマーのレベルの測定は、基礎のD-ダイマーおよび可溶性フィブリン(循環フィブリンとも称される)の分解に由来するD-ダイマーの合計を表わす。
国際特許出願WO 02/18628は、可溶性フィブリンに高いアフィニティーを有するプラスミノゲンアクチベーター(PA-Fb sp)に血漿を接触させ、その後にフィブリン分解産物(D-ダイマー)のレベルを測定することを必要とする、血液サンプル中の可溶性フィブリンをアッセイするための方法を開示している。PA-Fb spで処理したサンプル中のD-ダイマーの濃度と、PA-Fb spで処理していない血漿に対して測定した基準D-ダイマーの濃度との間の差は、可溶性フィブリンに結合したD-ダイマーを表わす。本発明者によって、従来技術である国際特許出願WO 02/18628において提案されている方法を有利に補足して、静脈血栓塞栓症の診断並びに播種性血管内凝固症候群(DIVC)の診断及び観察において実施し得ることが観察された。抗凝固剤治療が効果的であるか否かについて決定することも可能とする。
静脈血栓塞栓症は、主に、肢の静脈血栓症および肺塞栓を含み、後者は、最初の血栓症の合併症を生じさせる。全ての静脈領域が血栓を起こし得るため、肢の静脈血栓症以外の静脈血栓症にも遭遇する。腎静脈及び腸間膜静脈は、特に疾患の原因であるものとして挙げられる。深部静脈血栓症(DVT)及び/又は肺塞栓症(PE)などの血栓症は、生命を脅かす疾患であり、先進国における身体障害及び死亡の高い割合を占め、これらの疾患の診断の確立は、静脈血栓症の診断のための超音波画像診断及び肺塞栓症を診断するためのシンチグラフィ又は血管造影法などの画像検査による調査の達成において重要である。これらの診査方法は扱いにくく、十分に迅速に実施できるとは限らない。
そのため、追加の調査の実施を必要とせずに疾患を除外する可能性を含む患者の血栓塞栓症の迅速な診断を可能にする試験を確立する必要が持続的に存在する。
凝固に関連する疾患の診断の分野では、血栓形成は凝固の活性化及びフィブリン溶解の双方を伴うことが知られているため、D-ダイマーの使用は、そのレベルが正常である場合は、血栓のネガティブインディケーターとなり得ることが知られている。
WO 02/18628
しかしながら、循環系に存在するD-ダイマーは静脈外のフィブリン沈着物の分解に由来する可能性があるため、これまで測定されたD-ダイマーのみでは特異性に欠け、かつ、静脈内に血栓が形成されたことを確実に結論付けることができない。in situで形成されたD-ダイマーは、次いで、循環系を通るため、非常に高い循環系のD-ダイマーレベルを生じさせる。本発明の背景において、本発明者は、静脈内凝固活性化の指標である可溶性フィブリンの測定のための迅速な試験と関連して、D-ダイマー試験に基づく診断の適切性を評価した。このアッセイの組み合わせは、深部静脈血栓症(DVT)及び/又は肺塞栓症(PE)の診断という背景において、並びに播種性静脈内凝固(DIVC)の診断という背景において、有利であることが判明した。分解可能な可溶性フィブリンのためのSDFという実施した可溶性フィブリン試験は、組織プラスミノゲンアクチベーター(又はフィブリンの特異的なプラスミノゲンアクチベーターなどの他の血栓溶解剤)による分解の間に産生される分解産物を測定することによって可溶性フィブリンをアッセイすることを可能にする。
かくして、本発明は、
i)試験サンプルに存在するD-ダイマーの量とD-ダイマーの基礎レベルを構成するD-ダイマーの量とからなる、試験サンプルに含有されるフィブリン分解産物の量を測定する工程;
ii)サンプルに含まれる可溶性フィブリンの分解産物への分解を、フィブリノゲンの分解を生じさせること無く可能にする条件下において、フィブリンに高アフィニティーを有するプラスミノゲンアクチベーター(Pa-Fb sp)とインキュベートすることによってサンプルを処理し、処理したサンプルに含まれるD-ダイマーの量を測定する工程;
iii)工程ii)でPa Fb spアクチベーターによる活性化後に測定したD-ダイマーの量と工程i)で測定した前記活性化前のD-ダイマーの量との間の差(当該差は、可溶性フィブリン(SDF)の分解の程度に相当する)を算出する工程;並びに
vi)工程i)で測定したD-ダイマーのレベルを、前記分解産物について測定した正常な閾値と比較して、工程iii)で算出したSDFのレベルを、SDFについて測定した正常な閾値と比較する工程
を含む、患者から取り出した血液サンプルから開始する凝固活性化を診断するためのin vitro方法に関する。
サンプルから開始する前記アッセイ方法を実施する際は、血栓塞栓症のリスクを測定することが可能であり、前記フィブリン分解産物又はSDF(D-ダイマー)の算出したレベルの少なくとも1つが正常な値よりも高い場合に、当該リスクが存在し、フィブリンの分解産物の算出されたレベル及びSDFのレベルが各々の正常な閾値よりも低い場合には、該リスクが除外する。
本発明の診断方法は、局所(例えば、深部静脈血栓症)又は全身性(例えば、DIVCの場合)の血液凝固の診断に適用することが可能である。
適当な場合には、上述の工程a)ii)においてプラスミノゲンアクチベーターを添加する前に、クエン酸とクエン酸ナトリウムとの混合物をサンプルの一部に添加して、可溶性フィブリン分解産物を測定する。
分解産物をアッセイするために使用する試薬を選択して、所定の群の分解産物を測定する。例えば、フィブリン分解産物の特定のタイプに対して所定の特異性を有する抗体を使用する。
工程i)で測定される基礎的なD-ダイマーの濃度が500ng/ml[ナノグラム/ミリリットル]の閾値よりも大きい値を有する場合には、D-ダイマーのレベルは増加すると解される。工程iii)で算出され、可溶性フィブリン分解産物に相当するD-ダイマーの濃度が、健康な対象において測定される300ng/mlの閾値よりも大きい値を有する際には、D-ダイマーの濃度は増加すると解される。
前記閾値は、Diagnostica Stago社製の「Lia-test」又はBio-Merieux社製のVIDASによる抗体によって構成される試薬を用いて測定した。他の試薬については、閾値は、前記試薬を用いて得られた結果と比較して決定されるはずである。
D-ダイマー測定及び分解可能な可溶性フィブリン測定を実施する際は、血液サンプルを試験する患者において、基礎的なフィブリンの分解によって生じる(D-ダイマー)のレベルが500ng/ml以上である際あるいは特定のフィブリンプラスミノゲンアクチベーターを用いて試験した血漿に存在するD-ダイマーのレベルとD-ダイマーの基礎レベルとの間の差によって決定さえる可溶性フィブリンのレベルが閾値、例えば、300ng/mlよりも大きい際には、血栓塞栓症のリスクが存在する。
生物学的サンプルは、好ましくは、生物学的液体、例えば、血漿若しくは血液サンプル、又は穿刺液であるが、該液体中のプラスミノゲンのレベルが血漿と同じであることを条件とする。少量のプラスミノゲンを含む穿刺液の場合には、プラスミノゲン濃度が血漿のプラスミノゲン濃度に近くなるように、Glu-プラスミノゲンが考慮されなければならない。
特定の分解産物を産生させることによって可溶性フィブリンをアッセイするための方法において使用する、フィブリンに高アフィニティーを有する(すなわち、フィブリン中のプラスミノゲンのみを活性化する)プラスミノゲンアクチベーターは、プラスミノゲンアクチベーターであることが既知の多数の化合物から選択されてよい。しかしながら、その内の所定のもの、例えば、ストレプトキナーゼ及びウロキナーゼは、フィブリノゲンとフィブリンの双方を分解する。これらの化合物は、フィブリン分解産物を妨害するフィブリノゲン分解産物を生じさせるフィブリンの分解を生じさせるため、本発明の方法における使用には適切ではない。
プラスミノゲンアクチベーターの他の群が、フィブリノゲンと比較して、フィブリンを分解する高い特異性を有することが開示されている化合物によって構成されてよい。本発明の方法は、有利には、化合物の他の群の特異性を用いて実施され、例えば、
・組織プラスミノゲンアクチベーター(t-PA)又はその誘導体、例えば、TNK-tPA(t-PAの変異体であり、フィブリンに非常に高い特異性を有する(Cannon C P et al, "TNK tissue" plasminogen activator compared with front loaded altephase in acute myocardial infarction results of the TIMI 10B trial", Thrombolysis in Myocardial Infarction (TIMI) 10B Investigators, Circulation 98 (25), 2805-14, 1998))を使用する。;
・チスイコウモリ(Desmodus rotundus)に由来するアクチベーター(bat-tpa又はvPA=吸血コウモリ唾液プラスミノゲンアクチベーター)又はその誘導体:DSPA=チスイコウモリ唾液PA、FEKP=DSPAα1及びα2、EKP=DSPAβ、KP=DSPAγ(Bringmann at al: "Structural features mediating fibrin selectivity of vampire bat plasminogen activators", J Biol Chem 270, 25596-603, 1995)、スタフィロキナーゼ(SAK)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)によって分泌されるポリペプチド(Collen D: "Staphylokinase: a potent, uniquely fibrin-selective thrombolytic agent", Nat Med, 4-274-84, 1998; Sakharov D V et al: "Fibrin specificity of a plasminogen activator affects the efficiency of fibrinolysis and responsiveness to ultrasound: comparison of nine plasminogen activators in vitro". Thromb Haemos, 81, 605-12, 1999)、又はその変異体の1つ(Collen D et al, "Recombinant staphylokinase variants with altered immunoreactivity. I: Construction and characterization". Circulation 94, 197-206, 1996)
を使用する。
上述の診断方法を実施するために、抗D-ダイマー抗体を使用して、本発明の方法の2つのアッセイ(特定のフィブリンプラスミノゲンアクチベーターの作用後のD-ダイマー及び基礎的なD-ダイマー)を実施する。前記抗体は従来技術において開示されており、かつ、例えば、Diagnostica Stagoから「Lia-test」という名称で、又はBio-Merieuxから「Vidas」という名称で市販されてもいる。
比較するために、工程i)及びii)のアッセイにおいて、同一の抗D-ダイマー抗体を使用する必要がある。
Pa-Fb spの存在下における可溶性フィブリンの分解に由来するD-ダイマーは、任意の日常的に用いられているアナライトアッセイ技術、例えば、ELISAタイプの方法、感受性ラテックスビーズ凝集方法(Lia-testで使用されているタイプの方法)、免疫クロマトグラフィー方法などを使用してアッセイしてよい。各種の市販されているD-ダイマーアッセイ試験の挙げられる例は、ASSERACHROM D-Di又はSTA LIATEST D-Diであり、双方がDiagnostic Stagoから販売されている。しかしながら、本発明の背景において、ASSERACHROM D-DiによるELISA試験を使用するための条件は、試験を短縮するために有利に変形されてよい(固定化抗体と15分インキュベートし、ペルオキシダーゼ標識抗体と15分インキュベートする)。
有利には、本発明のin vitro診断方法は、ポジティブコントロールサンプル、特にポジティブコントロールの血漿も含む。
ポジティブコントロールの血漿をえるために、まず、血漿を少量のトロンビンと所定の期間に亘ってインキュベートして、フィブリン血塊を形成させずに可溶性フィブリンを形成させる。生じた凝固過程は、次いで、トロンビンインヒビターを添加して反応が連続することを妨害することによって妨げる。例えば、ヒルジン又はヘパリンが前記インヒビターとして使用されてよい。
妨害するためのインヒビター及びトロンビンの濃度及び血漿インキュベート時間は、有利には、フィブリン血塊を形成せずに可溶性フィブリンの産生を引き起こす凝固活性化を達成する様に決定される。
凝固アクチベーター(トロンビン)の存在下におけるインキュベートは、好ましくは、環境温度において2分のインキュベート時間に亘って実施される。次いで、凝固の妨害を確実にする過剰量でインヒビターを添加する。
・前記インヒビターがヒルジンである場合には、有利には、0.18U/mlのトロンビンの終濃度に対して、100μg/mlの終濃度で使用される;
・前記インヒビターがヘパリンである場合には、使用するトロンビンの終濃度が0.18U/mlである際は、500U/mlの終濃度で使用される。
本発明の他の有利な態様では、in vitro診断方法は、ネガティブコントロールサンプル、特にネガティブコントロールの血漿の処理も含む。前記コントロールの調製に関する説明は、実施例において、細部を補足すると共に与える。
本発明に従う可溶性フィブリンの評価は、Pa-Fb spによる可溶性フィブリンを分解し、その後にPa-Fb spの作用による特定の分解産物を測定するための第一の工程を利用する。
サンプル中に存在する可溶性フィルビンの量を表わす本発明の方法の結果は、可能な限り迅速に得ることが重要である。この目的のために、PA-Fb spを使用するための条件は、可溶性フィブリンの分解が迅速であり、かつ、アッセイにおいて可溶性フィブリンに由来する分解産物を妨害する分解産物を生じさせる循環系の血漿フィブリノゲンの「汚染的な」分解を伴わないように決定される。
使用するPa-Fb spの用量及び血漿とのインキュベート時間は、かくして、ポジティブコントロールにおいて最も高いフィブリン分解産物のレベルにおける増大を誘導し、ネガティブコントロール(すなわち、凝固アクチベーターで処理しないもの)において事実上は全く増大しないように選択する。
可溶性フィブリンの特異的な分解を可能にする各種のフィブリン溶解アクチベーターが、本発明の背景において使用されてよい。有利には、Pa-Fb spが、上述のアクチベーター、つまりt-PA又はその誘導体、VPA又はその誘導体、及びスタフィロキナーゼ又はその変異体の1つによって構成される群から選択されてよい。好ましくは、t-PA又はスタフィロキナーゼが使用され、より好ましくはt-PAが使用される。
サンプルを15分間に亘って37℃でインキュベートする条件下において、試験したスタフィロキナーゼの終濃度は1から12μg/mlの範囲である。 最終的に保持される濃度は、有利には10μg/mlである。インキュベート時間は変えてよく、その変化は、使用するPa-Fb spの性質及び濃度に応じて決定する。
t-PAは、有利には、1から2.5μg/mlの範囲の終濃度の範囲で使用される。好ましくは、t-PAは、37℃で15分のインキュベート時間に対して2μg/mlの濃度で使用される。
本発明の特定の態様では、フィブリノゲンを分解させない、プラスミノゲンアクチベーターによる可溶性フィブリンの分解は、プラスミンインヒビター、例えば、アプロチニンを添加することによって可溶性フィブリンの分解後に阻害されてよい。同様にアプロチニン又は他のプラスミンインヒビターを使用するための特徴は、実施例に記載する。使用するアプロチニンの量は、例えば、使用するプラスミノゲンアクチベーターの量と同じである。かくして、プラスミンインヒビターは、プラスミノゲンアクチベーターとの37℃における15分のインキュベート後に添加する。
本発明の特定の態様では、プラスミノゲンアクチベーターを添加する前に、クエン酸及びクエン酸ナトリウムを含む溶液などの抗凝固剤を、アッセイするサンプル及びコントロールサンプルの双方に対して添加してよい。クエン酸及びクエン酸ナトリウムの量及び態様は実施例に記載する。
本発明の背景において、上述の診断方法は、静脈血栓の形成を調べるために適用される。
本発明の診断方法の特定の用途では、前記方法は、深部静脈血栓症の診断的除外のために実施する。
本発明の特定の態様では、前記診断方法は、肺塞栓症の診断的除外のために実施する。
本発明の特定の態様では、前記方法を、抗凝固剤による治療を実施する前に患者から採取した血液サンプルに対して実施する。
原則として、静脈血栓症の診断的除外のために可溶性フィブリンをアッセイすることが、任意の抗凝固剤による治療の前に実施されてよい。患者が抗凝固剤による治療を受けている場合には、可溶性フィブリンの濃度が非常に急速に低減し、正常な値に近づく。治療された患者において、血漿中の可溶性フィブリンの濃度の測定は、抗凝固剤が効果的であるか否かについて決定することのみができる。
本発明の特定の態様では、可溶性フィブリンアッセイは、プラスミノゲンアクチベーターとしてt-PAを使用して実施する。
本発明の他の特徴は、以下の実施例及び添付の図面から明らかになるであろう。
図1及び2の各々は、肺塞栓症の疑いがある患者又は深部静脈血栓症の疑いがある患者におけるD-ダイマー及びSDFの比較を示す。各々の場合において、黒丸は疾患を有する患者に相当し、白丸は正常な患者に相当する。線は正常な値の上限を示す。
(実施例1)
可溶性フィブリンを含むポジティブコントロールの血漿を得るために使用するトロンビンの濃度の選択
以下のプロトコルを用いて、ポジティブコントロールの血漿を調製した。
正常な血漿 200μl
ヒトトロンビン(Stago, ref00896), 0.5〜1 U/ml(使用する血漿に依存する) 20μl
実験室の温度で2分間に亘ってインキュベート
ヒルジン(knoll) 100μg/ml (終濃度)又は
ヘパリン(Choay) 5000 IU/ml (終濃度) 20μl
・試験管内に血塊が形成されていないこと;
・市販の可溶性フィブリン検出試験(例えば、Stago Laboratories社製のFS試験)が陽性であること
を評価する。
Figure 0005613414
(実施例2)
所定のインキュベーション条件下において使用するPa-Fb spの量の決定
本発明の方法を実施するために、試験サンプルに添加するアクチベーターの量が、実施例1において得られるポジティブコントロールの血漿において多数のD-ダイマーの産生を誘導し、ネガティブコントロールの血漿(トロンビンで処理していない血漿)においてD-ダイマーの有意な産生を生じさせないような量でなければならない。
コントロールの血漿とポジティブコントロールの血漿(n=21)のインキュベートは、かくして、37℃において各種の用量のPa-Fb spを用いて実施した。インキュベート時間の終わりに、Lia-test又は迅速なELISA(D-Di Stago)(捕捉抗体を用いる37℃における15分のインキュベート、及び検出抗体を用いる37℃における15分間のインキュベート)を使用して、D-ダイマーを測定する。
表IIに示す結果は、ELISA試験を用いて得られた。
実質的に同様の結果が、Lia-test(n=5)を用いて得られた。
Figure 0005613414
選択したPa-Fb spの用量は、
・未処理のコントロール(ネガティブコントロール)の血漿において300μg/ml未満の増大;
・ポジティブコントロールの血漿において最も大きな増大
をもたらした。
これらの結果から、使用するPa-Fb spの好ましい終濃度は、
・2μg/mlのt-PA:これらの条件下では、プラスミノゲン活性化インヒビター(POI)によって中和され得るt-PAの用量が無視できる;
・10μg/mlのSAK:より少ないSAKの用量では、おそらくサンプル中の抗スタフィロキナーゼ抗体(抗スタフィロキナーゼ抗体はブドウ球菌による感染によって現れる)の存在によって、ある患者又はあるポジティブコントロールにおいて可溶性フィブリンの乏しい分解を誘導した;
であることが明らかである。
(実施例3)
D-ダイマー及び可溶性フィブリンのアッセイ
調査において、D-ダイマー及び可溶性フィブリンを、静脈血栓症及び/又は肺塞栓症の疑いがあると救急室で診察を受けており、全く治療を受けていない87人の継続患者においてアッセイした。これらの患者において、超音波診断を実施して、深部静脈血栓症を診断し;シンチグラフィ又は肺血管造影を実施して、肺塞栓症を診断した。D-ダイマー及び分解可能な可溶性フィブリン(SDF)のレベルは、抗凝固剤治療を開始する前に測定した。分解可能な可溶性フィブリンのアッセイの感度は、D-ダイマーアッセイの感度と同様であることが示された(D-ダイマー及び分解可能な可溶性フィブリンについて96%)。興味深いことに、D-ダイマー及び分解可能な可溶性フィブリンのレベルについての「偽陰性」が、異なる患者において観察された。かくして、2つの試験を組み合わせることが、血栓症の診断の感度を増大し得る(100%)。さらに、静脈血栓塞栓症の診断において分解可能な可溶性フィブリンの特異性(肺塞栓症及び深部静脈血栓症について、各々86%及び87%)は、D-ダイマー(肺塞栓症及び深部静脈血栓症について、各々36%及び42%)よりも大きい。
分解可能な可溶性フィブリンの迅速な正常化が、治療量における抗凝固剤による治療で患者において観察された。抗凝固剤による治療を開始すると、可溶性フィブリンのレベルが降下した。そのため、分解可能な可溶性フィブリンは、既に抗凝固剤による治療を受けている患者における診断試験として使用することができない。しかしながら、分解可能な可溶性フィブリンは、抗凝固剤による治療のモニタリングのために有用であってよい。結論として、分解可能な可溶性フィブリンのレベルは、D-ダイマーのレベルと関連して、肺塞栓症及び/又は深部静脈血栓症を予測又は除外する臨床的手段であることを示す。
可溶性フィブリンは、凝固活性化の間に存在する。その増大は、前記活性化の初期に観察される。
従来技術では、複数の試験が開発されて、血栓症を示す患者における可溶性フィブリンを評価していたが、利用可能な試験の結果のばらつきのために、静脈血栓塞栓症を除外する診断において可溶性フィブリンを測定する重要性が確立されていなかった(1-21)。
本研究の目的は、単純かつ迅速で感度が良好であり、かつ、血漿の可溶性フィブリンポリマーに非常に特異的である、分解可能な可溶性フィブリンのレベルの測定に基づく新規試験の潜在的な用途を評価することである。
当該試験は、可溶性フィブリンの分解を誘導するが、血漿のフィブリノゲンの分解は誘導しない条件下において、血漿をt-PAとインキュベートした後に生じたD-ダイマーを評価することに基づく。かくして、当該試験は、分解可能な可溶性フィブリン試験(SDF)と称されている。事実、少数のフィブリンモノマーが可溶性フィブリン中に存在するが、ファクターXIIIがフィブリノペプチドAの放出を同時に発生させ、加えて、トロンビンによるファクターXIIIの活性化がフィブリンの存在によって促進される(22)ため、フィブリンモノマーは互いに架橋している。測定異常に対して感度が低いことから測定感度がより高いため、フィブリノペプチドA(FPA、3分の半減期(24))又はトロンビン抗トロンビン複合体(TAT、15分の半減期)などのin vivoにおけるトロンビン産生のためのマーカーから、分解可能な可溶性フィブリンが選択された。
本研究を実施して、3つの異なるセンターの救急室に受け入れられた肺塞栓症(n=38)又は深部静脈血栓症(n=49)の臨床的な疑いがある未治療の継続患者における、D-ダイマー及び分解可能な可溶性フィブリンのレベルの組み合わせに基づく診断試験の性能を評価する。深部静脈血栓症の疑いがある患者では、診断は、超音波圧迫(ultrasound compression)によって確認し;肺塞栓症の診断は、シンチグラフィ又は肺血管造影のいずれかによって確認した。陽性であると解される試験についての分解可能な可溶性フィブリンの閾値は、300ng/mlである。
本試験では、抗凝固剤の効果を分析するという目的で、分解可能な可溶性フィブリン及びD-ダイマーの変化のプロフィールについても、抗凝固剤を開始した後に、肺塞栓症及び/又は深部静脈血栓症に罹っている患者で試験して、血栓塞栓症における治療の効果を試験した。
方法及び装置
血漿サンプル:血液は、0.13 Mクエン酸(血液9部に対してクエン酸1部)において回収した。2500gで15分間に亘って遠心分離した後に、血漿を回収して、使用するまで-20℃で凍結した。
しかしながら、分解可能な可溶性フィブリンレベルが非常に高く、静脈内凝固(DIVC)を有する場合には、分解可能な可溶性フィブリンが、凍結融解工程の間に不溶性の複合体を形成する可能性があるため、新しく回収した血漿を用いて試験を実施することが推奨される。
血液を健康なボランティア又は救急室に訪れた外来患者から得た。抗凝固剤治療を受けている患者は、モニタリングのためにのみ考慮した。患者の集団は、肺塞栓症又は深部静脈血栓症の臨床的兆候を示す継続患者から構成され、下肢の静脈の圧迫の超音波分析、肺シンチグラフィ、及び肺血管造影によって診断して、診断を検証した。
動物試験
D-ダイマーの測定
D-ダイマーは、STA装置におけるLia-test(Diagnostica Stago)又はVIDAS(bio-Merieux)を用いるELISAを用いて、D-ダイマーに対するモノクローナル抗体で被覆したラテックスの微粒子の凝集によって測定した。
分解可能な可溶性フィブリンの測定:三段階の工程で実施した
1−フィブリン分解:20μlのt-PAを20μg/mlで(処理した血漿)、又は20μlの生理学的血清(未処理の血漿)を、200μlの血清に添加した。15分間37℃におけるインキュベート後に、産生されたプラスミンを、20μlのアプロチニン(Pentapharm)を12.5TIU/mlで添加して阻害した。
2−次いで、Diagnostica Stago社製のLia-test D-ダイマー試験を使用して、D-ダイマー濃度を測定した。
3−分解可能な可溶性フィブリンレベルを、処理した血漿のD-ダイマー濃度と未処理の血漿に存在するD-ダイマーの濃度との差として算出した。
血漿中のD-ダイマーレベルが4000ng/mlよりも大きい際には、該サンプルは分解工程後に希釈した。
ポジティブコントロールとして使用した可溶性フィブリンは、正常な血漿を少量のトロンビンと短期間に亘ってインキュベートし、その最後にヘパリンでトロンビンを阻害することによって得られた。
試験しようとするサンプルに由来する血漿、並びに可溶性フィブリンをアッセイするためのポジティブコントロール及びネガティブコントロールは、表IIIに記載のようにアッセイした。
Figure 0005613414
アプロチニンを添加することによって、所定の時間でプラスミンを阻害し、フィブリンの分解のみを生じさせ、フィブリノゲンを分解させない。
・ポジティブコントロール及びネガティブコントロールは、ACd、つまり1:5で希釈したACで再構成した。
ACの調製:
クエン酸,H2O MWt=210.14 0.16 g
クエン酸三ナトリウム, 2 H2O MWt=294.10 0.44 g
H2O 20 ml。
結果
測定の特異性
・正常の健康なボランティア(n=180)では、可溶性フィブリンのレベルが非常に小さく、300ng/ml以下であった。
・さらに、ヘパリンで患者を処理した後にフィブリン濃度が非常に急速に降下したが、凝固活性化を阻害した後にも持続する血塊の分解を反映するためD-ダイマー濃度は非常にゆっくりと降下したことから、可溶性フィブリンの血漿濃度とD-ダイマーの血漿濃度との相関関係が存在しなかった。
静脈血栓塞栓症又は肺塞栓症の疑いがある患者におけるD-ダイマーレベル及び可溶性フィブリンレベル
正常で健康なボランティア(n=180):
平均値は80±106 ng/mlであり、試験した180人のボランティアのうちの140人は、検出できないレベルの分解可能な可溶性フィブリンを有していた。ポジティブ試験で得られた閾値は、300ng/mlであった。
肺塞栓症又は深部静脈血栓症の疑いがある患者
肺塞栓症の疑いがある38人の患者のうち、23人が画像分析により陽性であり、深部静脈血栓症の疑いがある49人のうち、25人が、超音波における肢の近位静脈の異常な圧迫の観察によれば陽性であった。
肺塞栓症を示すもの(n=23)又は深部静脈血栓症を示すもの(n=25)である、患者の2つの群のうち、二人が偽陰性の可溶性フィブリン数を有しており、一人は(血管造影で確認して)肺塞栓症を示す群であり、他の一人は(超音波によって確認して)深部静脈血栓症を示す患者の群である;しかしながら、これら二人の患者は、500 ng/mlの閾値よりも高いD-ダイマーのレベルを有していた。対照的に、D-ダイマーのレベルは二人の患者(一人は肺塞栓症を有する群であり、他の一人は深部静脈血栓症を示す患者の群である)において正常(<500 ng/ml)であったが、分解可能な可溶性フィブリンのレベルは>300 ng/mlであった。偽陰性である、これらのD-ダイマーのレベルは、Lia test(登録商標)又はVidas(登録商標)によってD-ダイマーのレベルを測定した際に観察された。
D-ダイマーと可溶性フィブリンとの組み合わせを用いて、偽陰性は、生物学的な値において検出されなかった。
D-ダイマー及び分解可能な可溶性フィブリンの適切性の指標(感度、特異性、陽性及び陰性の予測値)を算出した。
Figure 0005613414
抗凝固剤治療を受けている患者におけるD-ダイマー及び分解可能な可溶性フィブリンのレベルの変化
分解可能な可溶性フィブリンの急速な正常化が、非分画ヘパリン又は低分子量ヘパリンを治療量で与えられた患者において観察された。1日目の後に、分解可能な可溶性フィブリンのレベルが、正常であるか又は正常である上限の値であった。前記レベルを毎日分析することによって、分解可能な可溶性フィブリンが、ヘパリン処理の間に亘って正常な値の範囲内のままであることが示された。対照的に、D-ダイマーのレベルは、ヘパリン処理の間にゆっくりと低減し、正常なレベルまで到達しなかった。一人の患者では、可溶性フィブリンが治療の間に更に増大し、不十分な治療効果が示された。
考察
肺塞栓症及び/又は深部静脈血栓症を診断して、与えようとする治療に関して大半の場合に為される迅速な決断を可能にするために適切な非侵襲性の診断ツールが必要とされている。
本研究の目的は、D-ダイマー及び分解可能な可溶性フィブリンが肺塞栓症及び/又は深部静脈血栓症の診断に有用であるか否か、並びに血栓形成を阻害するための抗凝固剤治療の考慮工の評価に有用であるか否かを決定することにあった。
肺塞栓症及び深部静脈血栓症における測定の感度に関して:
D-ダイマーのレベルに関して偽陰性の結果を示した二人の患者(一人は肺塞栓症の群であり、他の一人は深部静脈血栓症を示す患者の群である)は、閾値の上限よりも高い分解可能な可溶性フィブリンのレベルを有していた。これは、フィブリン溶解に対する異常な耐性を与える(先天的又は後天的な)異常なフィブリン血塊構造によるものであった。このような異常は、血栓溶解不全による血塊のリスクの増大に直接的に寄与する。
このフィブリン溶解の低下が、構成された血栓を示す患者におけるD-ダイマーの3から5%の「偽陰性」を説明するものである可能性がある。分解可能な可溶性フィブリンの測定において、フィブリンは、容易にフィブリン分解酵素に接近可能である。対照的に、血栓のフィブリンは、微細かつ非常に緊密なフィブリンから形成される際に、フィブリン分解酵素により接近しにくく、これが血栓において認められるD-ダイマーの3から5%の偽陰性を説明する。分解可能な可溶性フィブリンに対して陰性のレベルは、二人の患者(一人は肺塞栓症を示す群であり、他の一人は深部静脈血栓症を示す患者の群であった)において検出されたが、これらの二人の患者におけるD-ダイマーのレベルは、500ng/mlより大きかった。これは、トロンビンの活性が一過的なものであるため、血栓形成が発展的なプロセスではないことを示しているのであろう。
本発明者は、2つの試験(分解可能な可溶性フィブリン及びD-ダイマー)の組み合わせが、患者における深部静脈血栓症の診断と肺塞栓症を診断とを区別するために使用し得ることを示した。
大半の場合において、血漿のD-ダイマーは、肺塞栓症及び深部静脈血栓症の診断のために必要とされる規準を満たし、血栓の感度の良好なマーカーであるが、特異性に欠ける(26-35)。
D-ダイマーは、試験において十分な特異性を有しないため、静脈血栓塞栓症の陽性診断を実施するために使用することができないことは、現在では良く確立されている。しかしながら、D-ダイマーのレベルが正常である際には、血栓塞栓症の診断は、95%の患者において実施することができる。
本研究では、可溶性フィブリンの特異性がD-ダイマーよりも非常に高いことを示した。静脈血栓塞栓症の診断におけるD-ダイマーの測定の低い特異性は、組織中に存在するフィブリンの局所的なフィブリン分解酵素による分解によるものである可能性がある。組織中に局所的に形成される可溶性フィブリン分解産物は、その比較的低い分子量のために、血中に拡散する。これは、炎症性疾患を有する患者において、多くの場合にD-ダイマーのレベルが高いという観察結果に裏付けられる。
本研究では、分解可能な可溶性フィブリンのレベルが、血栓事象において増大するということも示された;しかしながら、抗凝固剤治療を開始したらすぐに、分解可能な可溶性フィブリン濃度は数時間で正常値まで低減する。このことは、抗凝固剤が血栓事象を効果的に阻害できることを示す。上昇したD-ダイマーのレベルの持続は、抗凝固剤治療前に形成された血栓の分解によるものである。そのため、本発明者は、抗凝固剤治療の効果を理解するか又は新規抗血栓剤の効果を試験するために分解可能な可溶性フィブリンを測定することは非常に重要であることを主張する。
結論として、本研究の結果は、D-ダイマーの測定と関連して分解可能な可溶性フィブリンを測定することが、深部静脈血栓症及び肺塞栓症並びに他の血栓事象の診断のための有用な臨床ツールであると解されてよいことを示す。さらに、分解可能な可溶性フィブリンが、抗凝固剤治療の効果をモニタリングするために有用であってよいことが示唆される。
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図1は、肺塞栓症の疑いがある患者におけるD-ダイマー及びSDFの比較を示す。各々の場合において、黒丸は疾患を有する患者に相当し、白丸は正常な患者に相当する。線は正常な値の上限を示す。 図2は、深部静脈血栓症の疑いがある患者におけるD-ダイマー及びSDFの比較を示す。各々の場合において、黒丸は疾患を有する患者に相当し、白丸は正常な患者に相当する。線は正常な値の上限を示す。

Claims (20)

  1. 患者から取り出した血液サンプルから開始する、血栓塞栓症のリスクに関連する凝固活性化の診断のために、D-ダイマー及び可溶性フィブリンの分解の程度(SDF)のレベルを測定する方法であって、
    i)試験サンプル中に存在し、基礎レベルのD-ダイマーを構成するD-ダイマーの量を測定することからなる、前記サンプルに含まれるフィブリン分解産物の量を測定する工程;
    ii)フィブリノゲン分解を生じさせずに、サンプル中に含まれる可溶性フィブリンの分解産物への分解を可能にする条件下において、フィブリンに高いアフィニティーを有するプラスミノゲンアクチベーター(Pa-Fb sp)とのインキュベートにより、前記サンプルを処理し、処理したサンプルに含まれるD-ダイマーの量を測定する工程;
    iii)工程ii)でPa-Fb spアクチベーターによる活性化後に測定したD-ダイマーの量と、工程i)で測定した前記活性化前のD-ダイマーの量との間の差を算出する工程であって、前記差が可溶性フィブリンの分解の程度(SDF)に相当する工程;
    iv)前記分解産物について測定した正常な閾値と工程i)で測定したD-ダイマーのレベルとを比較し、SDFについて測定した正常な閾値と工程iii)で算出したSDFのレベルとを比較する工程を含み、
    工程i)で測定したD-ダイマーのレベル又はSDFの算出したレベルの少なくとも1つが、各々の測定した正常な閾値よりも高い場合には、血栓塞栓症のリスクが存在し、工程i)で得られたD-ダイマーのレベル及び工程iii)で得られたSDFのレベルが、各々の正常な閾値よりも低い場合には前記リスクが除外される、方法。
  2. 静脈血栓塞栓症を調べるための、請求項1に記載の方法。
  3. 静脈血栓の形成を調べるために適用する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 深部静脈血栓症の診断のための、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 肺塞栓症の診断のための、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記血液サンプルが血漿サンプルである、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記血液サンプルが、抗凝固剤治療を受けている患者のものである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記Pa-Fb spプラスミノゲンアクチベーターがt-PAである、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. フィブリノゲン分解が、プラスミンインヒビターの添加によって妨げられる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記プラスミンインヒビターがアプロチニンであり、前記サンプルをPa-Fbプラスミノゲンアクチベーターと37℃で15分に亘ってインキュベートした後に添加する、請求項9に記載の方法。
  11. 前記サンプルをPa-Fbプラスミノゲンアクチベーターとインキュベートする前に、クエン酸及びクエン酸三ナトリウムの組成物などの抗凝固剤を前記サンプルに添加する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  12. ネガティブコントロールサンプル及びポジティブコントロールサンプル中の可溶性フィブリンの分解産物をアッセイする工程を更に含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記D-ダイマーを、抗D-ダイマーモノクローナル抗体を用いて測定する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  14. i)フィブリン血塊を形成せずに、可溶性フィブリンの形成を可能にする凝固アクチベーターと血漿サンプルをインキュベートする工程;
    ii)処理した前記サンプルを、凝固を阻害するために十分な量の凝固インヒビターとインキュベートする工程;
    iii)可溶性フィブリンモノマーを含む調製したサンプルを、フィブリンに高いアフィニティーを有するプラスミノゲンアクチベーター(Pa-Fb sp)と、フィブリノゲンを分解させずに、前記サンプル中に含まれる可溶性フィブリンの分解産物への分解を可能にする条件下において接触させる工程
    を含む工程群を実施することによって、正常な血漿サンプルによって構成されるポジティブコントロールサンプル中に存在するSDFを測定する工程を更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記凝固アクチベーターが、可溶性フィブリンの形成を誘導する少量のトロンビンであり、及び/又は、前記凝固インヒビターが、ヘパリン若しくはヒルジンである、請求項14に記載の方法。
  16. 前記フィブリンに高いアフィニティーを有するプラスミノゲンアクチベーター(Pa-Fb sp)がt-PAである、請求項14又は15に記載の方法。
  17. 前記サンプル中に含まれる可溶性フィブリンの分解産物がD-ダイマーである、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. D-ダイマーの量についての前記正常な閾値が500 ng/mlであり、SDFについての前記正常な閾値が300 ng/mlであって、試験サンプルの測定値が2つの各々の閾値よりも小さい際に、診断によって血栓塞栓症が除外される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
  19. ・抗D-ダイマーモノクローナル抗体;
    ・フィブリンに高い特異性を有するプラスミノゲンアクチベーター(Pa-Fb sp);
    ・可溶性フィブリンのためのポジティブコントロールサンプル;
    ・プラスミンインヒビター
    を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法を用いる、血栓塞栓症のリスクに関連する凝固活性化の診断のためのキット。
  20. ネガティブコントロールサンプルを更に含む、請求項19に記載のキット。
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