以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための、黒板装置を例示するものであって、本発明は、黒板装置を以下のものに特定しない。なお、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
従来の黒板上に配置するスクリーンは、その位置を固定されており、使用者はスクリーンによって黒板の使用を制限されるという問題があった。図20の従来の黒板装置800は、上述の通り主黒板801と、主黒板801の前面に配置できるスクリーン804と、さらにこの主黒板801の前面を移動できる状態で主黒板801に連結したハンドル部802とを備える。また黒板装置800は、投影機としてプロジェクタPJを固定可能な支持ロッド805を有する。この支持ロッド805は、主黒板801から前方に突出させた先端にプロジェクタPJを固定している。これによりプロジェクタPJは、主黒板1と離間した主黒板の前方に位置されて、主黒板1側に向かって映像を投影することができる。
またこのスクリーン804は巻き取り可能なロールスクリーンとしており、図20では展開した状態を、また図21、図22では完全に巻き取った状態を各々示している。このスクリーン804及び支持ロッド805は、ハンドル部802にそれぞれ連結している。この結果、図21、図22に示すようにハンドル部802を横方向に移動させると、スクリーン804及び支持ロッド805に連結されたプロジェクタPJも連動して横方向に移動する。したがって黒板装置800の使用者は、スクリーン804やプロジェクタPJを配置したい場所までハンドル部802を移動させ、その位置でスクリーン804を右方向に引き出すことで、図20に示すように主黒板801の所望の位置に任意の展開量でもってスクリーン804を配置することができる。
また図20〜図22の黒板装置800は、スクリーン804の設置位置に応じて、スクリーン804とプロジェクタPJの相対位置を自動的に調節できる。なぜならスクリーン804とプロジェクタPJは連動するため、予めスクリーン804とプロジェクタPJとを適切な位置関係になるよう位置決めしておくと、ハンドル部802によって移動される際には、常にスクリーン804とプロジェクタPJとの相対位置を維持したまま移動されるからである。したがってハンドル部802を移動させてスクリーン804を位置決めすると、このスクリーン804の設置位置に対応した適切な位置に、プロジェクタPJが自動的に固定される。つまりスクリーン804の設置領域に応じてその都度プロジェクタPJの固定位置を調整する必要がないため、黒板装置800を簡単に操作できる。黒板装置800は投影機のピントや角度などの調節を不要として、スクリーン体に綺麗に投影できる。
ただ、図20〜図22の黒板装置800を実際に使用すると、上述した問題点や、さらにはプロジェクタPJやパーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」とも表記する。)など外部装置の配線が邪魔になり、スクリーンの移動により配線も移動する結果、足を引っ掛けて線が外れる等の虞があった。これについて図23を用いて説明する。図23は黒板装置800の使用例を示す説明図である。電子黒板800を使用する際には、パソコンPCを外部装置として連結することが多い。なぜならプロジェクタPJの投影を、パソコンPCによって制御できるからである。例えば電子ペンなどの入力手段でもって主黒板801側へ記入した情報は、スキャナを介してパソコンPCに取り込まれ、さらにこの情報をプロジェクタPJへ伝送して、プロジェクタPJからスクリーン804上へと投影される。
ところがパソコンPCとプロジェクタPJとを有線で通信させる場合、図23に示すようにプロジェクタPJとパソコンPCとを連結する配線HSが常に露出してしまう。特に主黒板801の上方に位置するプロジェクタPJからの配線HSは、主黒板801を縦に横切って垂下するためわずらわしい。したがって使用者が黒板装置800近傍を移動する際には、この配線HSをまたぐなどして配線HSと接触しないよう注意する必要があり面倒であった。使用者の足や体が配線HSに引っ掛かると、配線HSが抜け落ちたり接続プラグが破損したり、あるいは使用者が転倒する等の要因となる虞がある。
またプロジェクタPJが水平に移動すると、配線HSはプロジェクタPJに引っ張っられて変位するため一層わずらわしい。特に配線HSは、このプロジェクタPJの移動量を見越してある程度余裕をもった長さに設定しているため、余分な配線HS部分が主黒板1の下方に停滞して使用者の障害になる問題があった。このような問題を解決すべく、本発明者は鋭意研究の結果、以下の実施例で説明する安全な黒板装置を開発した。
実施例1に係る黒板装置の正面図を図1ないし図3に示す。実施例1の黒板装置100は、この黒板装置100と接続した映像ソース供給装置の情報を、投影装置PJでスクリーンや黒板上に投影することができる。また映し出された画面を、位置検知できる映像ソース供給装置でもって操作することで、この操作が映像ソース供給装置を介して画面に反映されるインタラクティブな黒板装置である。以下に実施例1の黒板装置100を説明する。ただ本明細書において、黒板装置100に記載された内容を視認できる表面側を「前」とし、黒板装置の裏面側を「後」とする。
実施例1の黒板装置100は、垂直姿勢に保持される主黒板1と、この主黒板1の主面、すなわち前面に沿って移動できる状態で主黒板1に連結した移動体10を備える。なお図1〜図3において、主黒板1と他の部材とをわかりやすく区別するために、主黒板1を砂状のハッチングにて表示している。図の移動体10は、主黒板1の前面との間に空間を形成するよう離間させた垂直姿勢(主黒板1の上下方向)で、水平方向(主黒板1の左右方向)に移動可能な棒状のハンドル部11を有する。使用者は、図1の状態の黒板装置100において、ハンドル部11を右方向に引く、あるいは押すことで、図2に示すように移動体10を右方向に移動させることができる。同様に図2の状態から移動体10を左方向に押圧することで、移動体10を図1の位置まで左方向に移動させることができる。つまり移動体10は、主黒板1の横幅の範囲内で水平方向に自在に位置決めされる。
また移動体10は、主黒板1の端面に沿って摺動できる置き棚部13を有する。置き棚部13はハンドル部11に連結されており、ハンドル部11に連動する。したがってハンドル部11の略水平移動にともない、置き棚部13は主黒板1の端に沿いながら略水平に移動する。図の置き棚部13は主黒板1の前面側に映像を投影可能な投影装置PJを固定可能としている。したがってハンドル部11を水平移動させると、置き棚部13に固定した投影装置PJもハンドル部11と一体に水平移動し、つまり主黒板1の前面に沿って横方向に移動できる。
さらに黒板装置100は、主黒板1の前面に配置可能なスクリーン体4を有する。スクリーン体4は、投影装置PJから投影される画面を映し出すことができる映写幕である。このスクリーン体4は移動体10に連結され、詳しくはハンドル部11に固定端を装着されてハンドル部11に連動する。図1〜図3のスクリーン体4は巻き取り式である。スクリーン体4を主黒板1上に配設する際には、使用者がまず移動体10のハンドル部11を横方向に移動させ(図1、図2の白抜き矢印参照)、所望の位置で停止させた後、図3に示すようにスクリーン体4の自由端を引き出すことで主黒板1の前面上の所望の位置にスクリーン体4を配設できる。
(ハンドルロック機構)
また実施例1の黒板装置100は、ハンドル部11と主黒板1との相対位置を略固定するハンドルロック機構70を備える。ハンドルロック機構70は、主黒板1に固定されたハンドルロック受容体71と、移動体10に固定されたハンドルロック係止体72とを備える。そして黒板装置100は、ハンドル部11の操作により、主黒板1に対して移動体10を水平移動させ、ハンドルロック係止体72とハンドルロック受容体71とを近接可能としている。使用者がハンドルロック係止体72とハンドルロック受容体71とを係止させることで、移動体10の独立した水平移動を抑止でき、ハンドル部11やこれに連結された部材が不動状態となる。
移動体10は、図1に示すようにハンドルロック係止体72を連動可能に固定しており、このハンドルロック係止体72は、スクリーン体4の引き出し側、すなわち巻き取り軸4c側に設けられる。一方、主黒板1はハンドルロック受容体71を固定する。ハンドルロック係止体72とハンドルロック受容体71とは互いに係合可能な一対の係合部材である。使用者はハンドル部11の操作により、主黒板1に対して移動体10を水平移動させ、ハンドルロック係止体72とハンドルロック受容体71とを近接させる。そしてこれらの係合部材を係合させることで、水平移動可能な移動体10を主黒板1につなぎ止めることができる。すなわち移動体10は主黒板1に対して固定され、独立した変位を抑制される。以下に実施例1のハンドルロック機構70について詳しく説明する。
図4は、図1のハンドルロック機構70近傍の一部拡大斜視図である。図4の黒板装置100は、ハンドルロック機構70としてプッシュ錠を採用しており、図4(a)は、プッシュ錠70を解除した状態を、また図4(b)はプッシュ錠70をロックした状態をそれぞれ示す。図4の例では、プッシュ錠70を構成する一対の係合部材の内、少なくとも一方の係合部材を、スクリーン体4の引き出し側、すなわち巻き取り軸4c側に設けたスクリーン枠体87に配設している。具体的にプッシュ錠70は、スクリーン枠体87の下端面に突起係止部72を設けており、この突起係止部72は主黒板1の粉受け24と対向する姿勢で近接あるいは離間する方向に上下移動する。一方プッシュ錠70は、主黒板1側のハンドルロック受容体71として、溝75を形成した凹状受容部71を採用しており、この凹状受容部71を、スクリーン枠体87の下端面に対向させながら粉受け24の上面に固定している。さらに図4の凹状受容部71は、主黒板1の横方向において、移動体20のハンドル11を最も端に移動させた際の、スクリーン枠体87の停止位置に対応して配設されている。また凹状受容部71の溝75の幅は、少なくとも突起係止部72の厚みを包含できる程度とする。
さらにプッシュ錠70は、突起係止部72の突出量を制御するつまみ76を有する。プッシュ錠70は、使用者によってつまみ76を上下に移動可能としており、このつまみ76の上下移動に連動して突起係止部72も上下に移動する。すなわち図4(a)に示すように、つまみ76が上方に位置する際には、突起係止部72は上昇し、移動体10内に収納されて下方への突出量を少なくする。したがって突起係止部72は凹状受容部71と係合せず、移動体20は水平移動を妨げられない。一方図4(b)に示すように、使用者がつまみ76を下方に移動させると、突起係止部72は下降して突出量を大きくする。下降した突起係止部72は凹状受容部71の溝75に案内されて係合される。すなわち移動体10は主黒板1に対してロックされて水平移動を抑止される。さらに再びプッシュ錠70のつまみ76を上方に引き上げると、ロックが解除され、移動体10の水平移動が可能となる。
特に図4の例では、突起係止部72を、スクリーン体4を引き出す自由端側に設けており、具体的にはスクリーン体4を引き出す際のの下端面から下方に突出する姿勢に設けている。さらに、主黒板1は、スクリーン体4を巻き取った状態、すなわち収納状態として、スクリーン体4の自由端4aの下方に対応させる位置に、凹状受容部71を設ける。この構造により、プッシュ錠70をロックした際のスクリーン体4は、収納状態を維持されて、展開を抑止される。なぜならスクリーン体4の自由端4aがプッシュ錠70でもって固定されているため、スクリーン体4を引き出すことができないからである。つまりスクリーン体4の収納時における自由端4aの位置に対応するよう、凹状受容部71を位置決めした黒板装置100は、プッシュ錠70でもってロックされた際に、移動体10の水平移動のみならずスクリーン体4の展開も抑制できる。したがって単一のプッシュ錠70をロックあるいは解除することで、移動体10の水平移動と、スクリーン体4の展開における、禁止あるいは許可を同時に切り換えることができ、すなわち移動体10とスクリーン体4とを一度に容易に制御でき好ましい。
また黒板装置は、ハンドルロック機構70を単一に限らず、複数設けることもできる。主黒板1の水平方向にわたって、複数のハンドルロック機構70を設ける黒板装置は、使用者が主黒板1に対するハンドル部11の固定箇所を適宜選択できるため、便利に使用できる。またハンドルロック機構70の設置場所は特に限定しない。実施例1ではハンドルロック機構70の係合位置を主黒板1の下方側としたが、主黒板1の上方側としてもよい。例えばハンドルロック機構70を高い位置に設置することで、子供の手が届き難くしていたずらを防止し、特に学校や学習塾などでの利用に適した安全性を高めた黒板装置とできる。また複数のハンドルロック機構70でハンドル部11をロックする形態、例えば主黒板1の上方と下方にハンドルロック機構70を設けて、一の固定箇所でハンドル部11を二重にロックする形態としてもよい。
また黒板装置100は、ハンドルロック機構70が、ハンドル部11のロック状態を維持可能なハンドルロック手段77を備えてもよい。ハンドルロック手段77は、プッシュ錠70のロック状態を維持する。実施例1では、図4に示すように、上下に移動可能なつまみ76が下方に位置する状態をロック状態とするが、このロック状態を維持するハンドルロック手段77として、鍵を採用している。以下、黒板装置100の各部材について詳細に説明する。
(置き棚部)
また主黒板1の端面を摺動可能な置き棚部13は、上方置き棚部15と下方置き棚部16とを備える。上方置き棚部15は、主黒板1の上端面1aと対向する姿勢で、この上端面1aに沿って略水平移動可能な平面状に構成されている。一方下方置き棚部16は、主黒板1の下端面1bと対向する姿勢で、この下端面1bに沿って略水平移動可能な平面状に構成される。移動体10は、ハンドル部11を、上方置き棚部15及び下方置き棚部16の間で、これらと直交するよう固定している。したがってハンドル部11の操作により、上方置き棚部15及び下方置き棚部16でもって主黒板の上端面1a及び下端面1bを狭持する姿勢としながら、移動体10を略水平に移動させることができる。
図1〜図3の例では上方置き棚部15でもって、主黒板1側に映像を投影可能な投影装置PJを固定可能としている。そして黒板装置100は、移動体10の水平移動にともなって、上方置き棚部15に設置されたこの投影装置PJを一体的に主黒板1の表面に沿って移動可能としている。一方下方置き棚部16は、投影装置と電気的に接続されて、投影装置により表示される映像ソースを供給する映像ソース供給装置を固定可能としている。そして黒板装置100は、移動体10の水平移動にともなって、下方置き棚部16に設置された映像ソース供給装置を一体的に主黒板1の表面に沿って移動可能としている。
置き棚部13に固定される投影装置としては、主に画像を投影するプロジェクタが利用できる。またプロジェクタに接続して映像ソースを供給するための映像ソース供給装置も、置き棚部13に装着する。このような映像ソース供給装置としてはパーソナルコンピュータPCが好ましい。ただ、映像ソース供給装置は必須でなく、例えば投影装置に映像ソースを内蔵、或いは統合したものも使用できる。例えばプレゼンテーションファイルを半導体メモリに格納し、プロジェクタに挿入して、プレゼンテーションファイルを切り替えて表示するタイプは、別途映像ソース供給装置を用意することなく、映像の表示が可能となる。また、本明細書において映像には静止画に限らず動画も含まれる。また投影装置や映像ソース供給装置に適宜スピーカ等を付加することも可能である。この例では、ライトペンやデジタイザ、マウスなどのポインティングデバイスを利用可能としている。さらに映像ソース供給装置と投影装置とは電気的に接続するが、その通信手段は特に限定されず、例えばUSBやLAN、IEEE1339などのシリアルあるいはパラレル接続が利用できる。また有線に限らず、無線方式としてもよく、無線方式としては無線LANやRF、赤外線通信や光通信など、既存の通信方式が適宜利用できる。また映像ソース供給装置と投影装置間の情報のやりとりに限られず、電源供給も無線化したり、あるいはバッテリー駆動としてもよい。無線方式は、接続コードやケーブル類を省略し、あるいは本数を低減して、取り回しがよく好ましい。
また図1〜図3のスクリーン体4は、上述の通り、巻き取りできるスクリーンである。図1と図2は、スクリーン体4を巻き取った状態であり、図3はスクリーン体4を広げた様子を示す。スクリーン体4は、巻き取り軸4cを中心として巻き取り方向に巻き取り軸4cを付勢している。使用者は、この付勢力に抗して巻き取り状態にあるスクリーン体4の固定端4b側に対して自由端4a側を水平方向に引き出すことで、スクリーン体4を展開でき、スクリーン体4の引き出し量によってスクリーン体4の展開量を任意に設定できる。
具体的には図1のスクリーン体4の位置から、スクリーン体4の第1の端部4aに相当する右端を右方向に(図1の黒色矢印参照)引き出すことで、図3に示すようにスクリーン体4を全開に展開した状態とできる。ただ黒板装置100は、スクリーン体4の一部を展開した状態を維持することもできる。スクリーン体4の巻き取り軸4cは、スクリーン体4の固定端に相当する第2の端部4b(黒板装置の視認方向において左端)と連結しており、スクリーン体4の他端側に相当する右端4aは自由端とする。図の例ではスクリーン体4の左端4bと巻き取り軸4cとが連結して固定されており、スクリーン体4はロール状に巻き取られた状態を基本姿勢とする。そしてスクリーン体4の右端4aを巻き取り軸4cから引き出して水平方向に移動させることでスクリーン体4が展開する。この結果スクリーン体4の引き出し量に応じて、スクリーン体4の展開量を自由に設定できる。実施例1の黒板装置100は、主黒板1に対して移動体10を水平に移動でき、主黒板1の位置決めされた場所を基準にしてスクリーン体4を水平方向に開閉可能として、スクリーン体4の展開量を自由に設定できる。
また図5、図6は黒板装置100の変形例を示す正面図である。実施例1の黒板装置100は、必要なコントラストが得られる場合は、スクリーン体4を介さずに主黒板1上に直接映像を投影することもできる。また、スクリーン体は巻き取り式などの収納型に限らない。スクリーン体に代えて、もしくはこれに加えて、図5に示すようにディスプレイ装置86を採用することができる。ディスプレイ装置86としては大画面液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、SED、有機ELその他の薄型ディスプレイユニットなどを採用できる。ディスプレイ装置86は主黒板1の主面上に移動可能に配設してもよい。この構成であれば、投影装置を別途使用することなく、映像ソース供給装置からのデータを直接ディスプレイ装置86上に表示することもできる。あるいはディスプレイ装置86に代えて、図6に示すように平板状のいわゆるホワイトボード85で構成してもよい。また、これらディスプレイ装置86やホワイトボード85を、非使用時に収納できる補助装置収納部88を設けてもよい。補助装置収納部88は、例えば主黒板1の主面に戸袋状に設ける。さらに戸袋状の補助装置収納部88の前面も黒板として利用することで、黒板を有効利用できる。
黒板装置100は、ディスプレイ装置86やホワイトボード85等の補助装置を補助装置収納部88に収納した状態で、この補助装置が移動しないように固定してもよい。これにより補助装置の非使用時によるいたずらを防止できる。図5の例では、補助装置の位置を固定可能な補助装置ロック錠89を補助装置収納部88に設けて、ロック時には、補助装置と主黒板1とを互いに係止して、補助装置の収納位置を補助装置ロック錠89でもって固定する。一方補助装置ロック錠89のロック解除時には、使用者の操作によって補助装置を主黒板1に対して独立して移動できる。さらに補助装置ロック錠89のロックやその解除を鍵でもって制御する形態としてもよい。
また置き棚部13は、図1〜図3に示すようにハンドル部11の上端に連結した上方置き棚部15を備える。つまりハンドル部11は、この上方置き棚部15を下方から支持して、上方置き棚部15の荷重をしっかりと支えることができる。図1〜図3の例では、略垂直姿勢のハンドル部11の上端に、上方置き棚部15が略水平姿勢に連結しており、ハンドル部11はいわば支柱となって上方置き棚部15を支持する。またハンドル部11と連結された上方置き棚部15は、ハンドル部11の略水平移動に連動して、主黒板1の上端に沿いながら略水平に移動する。
この上方置き棚部15は、上述の通り上方置き棚部15の上面に位置される載置面15aに投影装置PJを載置して固定する。上方置き棚部15は、主黒板1の上端面1aを被覆する姿勢で、この上端面1a上を摺動しながら略水平方向に移動できる。したがって上方置き棚部15に固定した投影装置PJを、主黒板1の上端でもって支持しながら略水平方向に移動させることができる。
このように主黒板1の上端面1aを摺動可能に上方置き棚部15を設置し、この上方置き棚部15に投影装置PJを固定する形態とすることで、投影装置PJは、上方置き棚部15を介して主黒板1の上端面1aでもって常に支持されることができる。さらに上方置き棚部15の鉛直方向にハンドル部11を連結することで、いわばハンドル部11が上方置き棚部15のつっかい柱となり、上方置き棚部15に固定する投影装置PJを一層強固に固定することができる。
また実施例1の置き棚部13はさらに、ハンドル部11に連結した下方置き棚部16を備える。下方置き棚部16は主黒板1の下端に沿って略水平に移動できる。下方置き棚部16は、上述の通り投影装置PJと電気的に接続できる映像ソース供給装置PCを固定可能としている。なお、図1では映像ソース供給装置PCを破線で示して、この映像ソース供給装置PCの後方に位置する部材を表示している。また黒板装置100は、図1〜図3に示すように上方置き棚部15と下方置き棚部16との間にハンドル部11を架橋させており、この結果、ハンドル部11でもって上方置き棚部15及び下方置き棚部16をしっかりと連結させながら一体に移動させることができる。
さらに黒板装置100は、一端を移動体10に連結させ、他端を主黒板1から前方に突出させた支持ロッド5を備える。この支持ロッド5の他端には、投影装置PJからの出射光の少なくとも一部を主黒板1側に反射可能な反射体18を固定できる。なお、図1〜図3では反射体18を破線で示して、この反射体18の後方に位置する部材を表示している。
上記の構成を備える図1〜図3の黒板装置100は、ハンドル部11を左右に引くことで、移動体10全体、すなわちハンドル部11及びこのハンドル部11と一体に連結した置き棚部13を略水平方向に移動させることができる。この結果、移動体10に固定された各部材を相対位置に維持した状態で、略水平方向に移動させることができる。以下に、各部材の相対位置について説明する。
(各部材の相対位置)
例えば移動体10の上方置き棚部15に固定した投影装置PJ及び支持ロッド5は、移動体10の移動量にかかわらず常に相対位置を所定とできる。これはハンドル部11を横に移動させると、移動体10全体が略水平移動するため、この移動体10に連動する各部材のそれぞれの移動量を、移動体10の移動量と同じとできるからである。したがって、投影装置PJと支持ロッド5とを所定の位置関係に維持したまま略水平方向に移動させることができる。同様に、支持ロッド5に固定される反射体18と、投影装置PJとの相対位置も常に所定に維持することができる。この結果、投影装置PJからの投影が反射体18を介して主黒板1上で綺麗に結像する位置関係に投影装置PJと反射体18とを常に維持させたまま、主黒板1の水平方向における任意の位置に配置させることができる。
また、主黒板1の前面を略水平方向に移動する移動体10に各部材を固定する形態とすることで、スクリーン体4と投影装置PJとの相対位置を所定に維持することができる。これは投影装置PJを、スクリーン体4の所定の位置、例えば全開状態のスクリーン体4に対して総幅の中央上方に配置されるよう予め位置決めして上方置き棚部15に固定することで、スクリーン体4のほぼ中央から略対称に投影することができる。具体的にはハンドル部11から投影装置PJまでの離間距離が、スクリーン体4の総幅の略半分になるように投影装置PJを上方置き棚部15に固定する。これにより黒板装置100は、スクリーン体4を任意の位置においてハンドル部11を基準に横方向へ展開すると、このスクリーン体4の設置位置にかかわらず、常にスクリーン体4の略中央上方に投影装置PJを自動的に配置できる。したがってスクリーン体4の設置領域に応じてその都度投影装置PJの固定位置を合わせる必要がないため、簡単に操作できる。つまり、投影装置PJのピントや角度などの調節を不要として、スクリーン体4に綺麗に投影でき、黒板装置を便利に使用できる。
このように投影装置PJをスクリーン体4に対応した位置でもって上方置き棚部15上に固定することで、ハンドル部11を略水平に移動させるだけで投影装置PJをスクリーン体4の適切な位置に自動的に位置合わせできる。ただ投影装置PJは、移動体10と独立してスクリーン体4と位置合わせできる機能を付加してもよい。具体的には、投影装置PJが上方置き棚部15上を略水平方向に移動できる構造とする。すると、移動体10が不動状態であっても投影装置PJを独立して略水平移動させることができ、スクリーン体4と反射体18との相対位置を、投影装置PJを動かすことで調節することができる。これにより、まず最初にハンドル部11でもって投影装置PJを水平方向に移動させて、スクリーン体4あるいは反射体18との相対位置を大まかに位置決めした後、次いで移動体10の位置を固定したまま投影装置PJを独立して水平方向に動かすことで、スクリーン体4あるいは反射体18との相対位置を微調整することができる。このように投影装置PJを2段階で位置決めすることで、一層適切な領域に投影することができる。
また投影装置PJが、移動体10と独立して水平移動できる形態を利用して、スクリーン体4の引き出し量に応じて、常に投影装置PJをスクリーン体4に対して自動的にセンタリングさせることもできる。これはスクリーン体4の引き出し動作に投影装置PJを連動させ、かつ投影装置PJの水平移動量を、スクリーン体4の引き出し量に応じて決定することで達成できる。例えば、投影装置PJとスクリーン体4を移動させる水平移動機構を別個に設け、それぞれの水平移動機構における移動速度を相対的に調節する。例えば、投影装置PJの移動量を、スクリーン体4の引き出し量の略半分とするように、それぞれの水平移動機構を調節することで、投影装置PJの移動速度がスクリーン体4の展開速度の略半分となり、常にスクリーン体4の幅の略中心上に投影装置PJを固定できる。以下、黒板装置100の各部材について詳細に説明する。
なお図7は、図3のVII−VII’線における黒板装置100の断面図であり、展開状態のスクリーン体4の右端近傍における黒板装置100の断面図を示す。そして図8は、図1のVIII−VIII’線における黒板装置100の断面図であって、収納状態のスクリーン体4の右端近傍における黒板装置100の断面図を示す。さらに図9は、図1のIX−IX’線における黒板装置100の断面図であって、収納状態のスクリーン体4におけるハンドル部11近傍における黒板装置100の断面図を示す。
(主黒板)
主黒板1は、学校の教室などの壁面に設置したり、あるいは自立する四角形の板状のものである。図の主黒板1は横に細長い長方形である。主黒板1は文字や図形を書いたり消したりできるように前面に黒板塗料を塗布したものであって、チョークで文字や図形を書くことができる有色の塗板や、あるいは消すことができるインクで文字や図形を書くことができる白板を含む。また、主黒板1の前面には磁石を貼り付けることができる。磁石を貼り付けられる主黒板1は、黒板塗料に金属粉を混入させることで、あるいは板面を金属製とすることで得られる。黒板塗料に含有させる金属粉は鉄粉が利用でき、また金属製の板面としては鋼製や鉄ホウロウ製が耐性の面から好ましい。
(移動体)
移動体10は、主黒板1の前面から離れて垂直姿勢に配置されたハンドル部11を有する。黒板装置100の使用者はこのハンドル部11を把持して左右に引いたり押したりできる。実施例1のハンドル部11は細長い棒状であり、主黒板1の短辺と対応する長さであって、この短辺に対してほぼ平行な姿勢をとる。
(ハンドル部)
またハンドル部11は図7〜図9に示すように、主黒板1の前面から離れて前面に浮かせた姿勢で固定され、またハンドル部11と主黒板1との隙間に収納空間3を設けている。黒板装置100は、この収納空間3に収納状態のスクリーン体4を配置可能としている。そして移動体10のハンドル部11と離間した状態でスクリーン体4を収納空間3に収納できる。
収納空間3を設けて主黒板1と離間させたハンドル部11は使用者が手で握りやすい。具体的に、黒板装置100の使用者は収納空間3に手を入れて、ハンドル部11の外周面をしっかりと握ることができるため、ハンドル部11を操作しやすい。また、収納空間3に位置されるスクリーン体4と離間して配置されるハンドル部11は、スクリーン体4が最も分厚くなる収納状態であっても、ハンドル部11とスクリーン体4との隙間に手を入れて、ハンドル部11をしっかりと把持できる。ハンドル部11の外周面を握ることができる移動体10は、使用者の力を伝えやすく好ましい。またハンドル部11の外周の形状や太さは、使用者が把持しやすいものとする。例えばハンドル部11の断面形状を円形、矩形とする他、指の形状に沿った凹部を移動体10の一部に設けるなどして、種々の形状にできる。また垂直姿勢のハンドル部11は、垂直方向の任意の位置で把持できる。つまり使用者の身長に依存せず、使用者はハンドル部11に手が届くため使用しやすい。
また移動体10は、その上端及び下端で、主黒板1の上端面1aと下端面1bをそれぞれ被覆する構造としている。詳しくは図7〜図9に示すように、ハンドル部11は主黒板1の前面と離間しながら垂直方向に延伸しており、さらにハンドル部11の上下端からそれぞれ後方へ突出した上方の折曲部2eと下方の折曲部2fでもって主黒板1の上端面1aと下端面1bをそれぞれ覆いながら連結する。すなわち移動体10は、上方の折曲部2eと下方の折曲部2fでもって主黒板1の上端面1aと下端面1bとを挟持する姿勢で主黒板1と連結される。
そしてハンドル部11の上端に上部置き棚部15を連結して、この上方置き棚部15を上方の折曲部2eとし、一方ハンドル部11の下端に下方支持板38を連結して、この下方支持板38を下方の折曲部2fとしている。言い換えるとハンドル部11は、上方置き棚部15と下方支持板38とを垂直方向に架橋して、上方置き棚部15と下方支持板38とを一体に連動させる。また上方置き棚部15の荷重をハンドル部11でもって下方からしっかりと支持できるため、上方置き棚部15が前後に傾斜あるいは揺動することを防止できる。また図7の例では、下方支持板38の下方に下方置き棚部16を連結しており、したがってハンドル部11は下方支持板38を介してこの下方置き棚部16を支持しながら一体に連動させることができる。下方支持板38の下方に下方置き棚部16を連結しており、したがってハンドル部11は下方支持板38を介してこの下方置き棚部16を支持しながら一体に連動させることができる。
さらに詳細には、図7の例では、主黒板1の上部及び下部のそれぞれから前方方向に突出した上平板15bと下平板16bとで、ハンドル部11の上端及び下端をそれぞれ挟持することで、ハンドル部11を垂直姿勢に保持できる。すなわちハンドル部11の上端が上平板15bを介して上方置き棚部15に連結され、一方ハンドル部11の下端は下平板16bを介して下方支持板38に連結されている。言い換えると垂直姿勢のハンドル部11によって上平板15bと下平板16bを突き当てて架橋しており、つまりハンドル部11は上平板15bと下平板16bとが略平行な姿勢を維持できるよう支持している。この結果、上平板15bと下平板16bのそれぞれを介してハンドル部11に連結される上方置き棚部15及び下方置き棚部16が上下に傾斜しないようしっかりと主黒板1に対して略法線方向に突出する姿勢を保つことができる。
移動体10は、投影装置PJを固定する置き棚部13及びスクリーン体4と連結されて荷重がかかるため頑丈な材質とする。ハンドル部11は金属製や合成樹脂などの成型品、あるいはこれらを組み合わせたものとする。ハンドル部11の材質はスチールや強化プラスチックなどが好ましい。また置き棚部13や支持ロッド5の材質はハンドル部11と同様とできる。ハンドル部11と同一材料から成型される置き棚部13や支持ロッド5は、それぞれの膨張係数を等しくできるため、連結部による破損を低減できる。また移動体10は一体に成型して曲げ強度を高めることができる。あるいは移動体10と支持ロッド5の材質を異なるものとし、これを連結した構造として、黒板装置の総量を軽減することもできる。
またハンドル部11を中空状とし、このハンドル部11の中空状に投影装置PJの配線を挿通する形態としてもよい。これにより詳しくは後述するがケーブルをすっきりと収納できる。あるいは移動体10に専用のケーブル収納体を連結して、このケーブル収納体に投影装置PJの配線を収納し、移動体10と連動させる形態としてもよい。ケーブル収納体は鉛直姿勢、すなわちハンドル部11に対して略平行に設け、内部に配線を挿通可能な鉛直方向に貫通する挿通穴を有する。これにより上方に載置される投影装置PJの配線を、このケーブル収納体の上端から下端に挿通させて、下方側で引き出された配線を映像ソース供給装置と連結する形態とできる。これにより主黒板1の上下に載置される付属装置、すなわち投影装置PJと映像ソース供給装置PC同士を連結する配線の露出を低減して破損を回避できる。また配線の絡まりや引っかけを防止できる。特に移動式のスクリーン体と一体となってパソコンなどの映像ソース供給装置を移動させることで、コードの絡まりを回避できる
(上方棚置き部)
ハンドル部11の上端に連結される上方置き棚部15は、上述の通り主黒板1の上端面1aを被覆する姿勢で主黒板1に連結する。この上方置き棚部15は、図1〜図3に示すように主黒板1の上端面1aを摺動しながら略水平方向に移動できる。また図1の上方置き棚部15に固定される投影装置PJは、プロジェクタPJとする。このプロジェクタPJは、使用者がハンドル部11を左右に引くことで、このハンドル部11に連動する上方置き棚部15とともに略水平移動する。またプロジェクタPJは、上方置き棚部15を介して主黒板1の上端面1a上で支持される。これは、主黒板1から前方に離間した位置で吊り下げ式にプロジェクタを固定する従来の形態と比較して、プロジェクタを安定して固定できる。なぜなら主黒板1は壁面に強固に固定されており、この主黒板1の上端面1a上にプロジェクタPJを載置して固定する黒板装置100は、プロジェクタPJの荷重を主黒板1でもってしっかりと支持することができるからである。言い換えるとプロジェクタPJの鉛直方向に主黒板1を連結して、この主黒板1でもってプロジェクタPJの荷重を下方からしっかりと支持できる。またプロジェクタPJが水平移動する際にも、上方置き棚部15を介して、主黒板1の上端面1aと連続して接触させながら摺動可能であるため、常に主黒板1でもってプロジェクタPJを支持できる。この結果、重量の大きい汎用のプロジェクタPJであっても水平移動の際に前後に振動やたわみで揺れ動くことを防止できる。
実施例1の上方置き棚部15は、図1〜図3に示すように略水平方向に長い。プロジェクタPJは上方置き棚部15に固定されて、この上方置き棚部15とともに略水平に移動するため、上方置き棚部15の移動量がプロジェクタPJの移動量となる。また上方置き棚部15は、図7に示すようにプロジェクタPJを固定する載置面15aを有する。載置面15aは、主黒板1の上端面1aと連結しつつ、上端面1aの上方から主黒板1の前方へ突出した略水平面である。プロジェクタPJはこの載置面15a上に固定されて主黒板1の上端面1aに沿って移動する。またプロジェクタPJは公知のものが採用できる。例えば実施例1のプロジェクタPJは前部に投影窓51を有しており、黒板装置100は図7に示すようにプロジェクタPJから主黒板1までの光路の途中に反射体18を配置している。プロジェクタPJは、投影窓51を介して映像を前方へ出射する。出射された映像は反射体18に進行し、鏡面18aでもって反射されて主黒板1の前面に投影される。したがたってプロジェクタPJは反射式のものが好ましい。また黒板装置100は、プロジェクタPJを交換できる。
(角度調整)
また、プロジェクタPJは投影方向を調節できることが好ましい。これにより主黒板1側に映像を鮮明に投影させることができる。特に反射式のプロジェクタPJであれば、投影方向を調節することで、反射体18への相対位置を適切に位置決めして、光損失を低減することができる。この結果、光量をほぼ維持したまま主黒板1側に綺麗に投影することができる。例えば実施例1では、プロジェクタPJの載置角度を変更可能として、投影方向を調節できる形態としている。具体的に黒板装置100は、図7に示すように載置面15aに連結した取付部材8を介してプロジェクタPJを固定しており、この取付部材8を変形可能としてプロジェクタPJを所定の角度に傾斜させる。取付部材8は、プロジェクタPJを上下方向に傾斜可能として載置角度を調整しながら上方置き棚部15に固定でき、投影方向を変更できる。具体的に図7の丸枠で囲む領域の一部拡大図に示すように、取付部材8は、下方にプロジェクタPJを固定する天板8cと、載置面15aに固定されて略直立する不動の起立壁8aとを備える。天板8cは両側から下方に突出した側板8bを備える。天板8cと起立壁8aは、この側板8bを介して連結される。起立壁8aと側板8bは平面状であって、重なり合う姿勢で接触している。側板8bは起立壁8aに対して摺動可能であって、前後方向(図7の矢印参照)にスイングできる。側板8bの移動によって天板8cに固定されたプロジェクタPJが傾斜され、すなわちプロジェクタPJの載置角度を変更できる。
図7の例では、接面する起立壁8aと側板8bにおいて、上部と下部にそれぞれ貫通孔53を設けており、この各貫通孔53を挿通する上部と下部のそれぞれの締結部材52でもって起立壁8aと側板8bとを固定している。締結部材52は一対のナットとボルトが利用できる。また下部の貫通孔53は前後に切り欠いた長穴としており、これにより上部の締結部材52を中心軸としながら、側壁8bを介して天板8cを垂直方向に移動せることができる。例えば天板8cの前端を下方に引っ張ると、側板8bが上方の締結部材52を中心に回転すると同時に、下部の締結部材52が長穴に沿って後方へ移動する。この結果、天板8cの前端が下降するとともにプロジェクタPJが前下がりに傾斜する。反対に天板8bの前端を上方に引き上げると、下部の締結部材52が長穴に沿って前方へガイドされるとともに、側板8bが上方の締結部材52を中心に前方へスイングし、この結果、天板8bに連動してプロジェクタPJが前上がりに傾斜する。つまり取付部材8によってプロジェクタPJの載置角度を所望となるよう傾動させて、好適な投影角度になるよう調整し、所定の傾斜角度に固定することができる。ただ、プロジェクタPJの載置角度の調整はこの方法に限定されず、公知の手段を利用できる。さらにプロジェクタPJはねじ止めにより固定されているので、ねじを外すことで将来のメンテナンスや交換も容易となる。
(支持ロッド)
一方、移動体10に連結する支持ロッド5は、プロジェクタPJの後方から前方へ回り込む姿勢として、先端に固定された反射体18をプロジェクタPJの投影窓51に対向させる。これにより、投影窓51を介してプロジェクタPJより出射された光源が、前方の反射体18の鏡面18aに進行して後方に反射される結果、主黒板1側で投影される。
支持ロッド5は移動体10と連動し、すなわち移動体10と一緒に水平移動できる。具体的に、支持ロッド5は移動体10の上方置き棚部15に固定される。図7の支持ロッド5は略カギ状であって、主黒板1の上端で後方から前方に突出している。さらに支持ロッド5は、載置面15aの後部に連結して、この連結部から略上方に延伸した直立部5aと、この直立部5aの上端から前方へ突出する姿勢に延伸した延伸部5bとから構成される。直立部5aと延伸部5bによって略直角に折曲する姿勢とした支持ロッド5は、載置面15aの上方に配置されており、またこの載置面15aと上方の支持ロッド5との間にプロジェクタPJを配置している。そして延伸部5bの先端は主黒板1の前面から離間しており、この先端に反射体18を垂下した姿勢に装着している。言い換えると反射体18は、延伸部5bでもって上方から支持されながら、反射体18の鏡面18aを、主黒板1の前面と略平行になるよう固定される。反射体18は、入射した光の少なくとも一部を屈折可能な光学系手段であり、鏡やレンズなど公知の手段を利用できる。また鏡面18aの形状は特に限定されず、平面状、曲面状、凸状、凹状など種々の形態を利用できる。また焦点距離、口径比、画角、開口数などを適宜選択した反射体18を採用することで、投影される映像を鮮明にでき、また多様なプロジェクタPJを利用できる。
図7の支持ロッド5は、延伸部5bの軸方向が主黒板1の法線よりも先端側が若干下方に傾斜する姿勢で固定されている。また反射体18を吊り下げ式に連結する延伸部5bの先端は、反射体18との連結方法を特に限定しない。例えば連結域において反射体18側に支軸を設け、さらにこの支軸の外面を回動自在としながら嵌合させる軸受けを延伸部5b側に設ける。そして支軸と軸受けを嵌着させて反射体18と延伸部5bとを回動自在に連結する。黒板装置100の使用者が反射体18の固定角度を変更する際には、反射体18に対して所望の方向に押圧することで、支軸の外面と軸受けの内面とを摺動させて固定角度を変更させることができる。この結果、反射体18とプロジェクタPJとの相対角度を調整できる。また支軸と軸受けとを適度な摩擦でもって係合させることで、所定の固定角度を維持しながら双方を連結することができる。
反射体18とプロジェクタPJとの相対位置を常に一定とできる黒板装置100は、予め主黒板1に適した位置に反射体18とプロジェクタPJとが配置されるよう位置決めしておくことで、使用の度に反射体18やプロジェクタPJを移動させる必要がないため便利である。特にプロジェクタPJの焦点距離に応じて、予め反射体18の固定位置を決定しておくことで調整を不要とできる。ただ一方で、支持ロッド5の先端で反射体18をピボット式に旋回可能として、この反射体18とプロジェクタPJとの相対角度を所望に調節できる形態としてもよい。反射体18とプロジェクタの相対位置を調節できる黒板装置100は、環境に応じてミラーあるいはプロジェクタの配置を微調整できる。
また延伸部5bと反射体18との連結方法は上記に限定せず、ヒンジ式など種々の形態を採用できる。さらに反射体18の鏡面18aの調整は、延伸部5bとの連結領域によらず、支持ロッド5の他の部分で行う形態としてもよい。例えば延伸部5bの一部を伸縮式、あるいは結合角度を自在とする複数の部材からなる形態として、支持ロッド5側を操作することで、反射体18をの鏡面18aの構成角度を調整することもできる。
図7の例では延伸部5bを複数のパイプで構成しており、第1のパイプ5cの周囲を第2のパイプ5dの内周に摺動可能に嵌合させて全体を伸縮式としている。あるいは、直立部5aと上方置き棚部15との連結部を中心として支持ロッド5を旋回可能としてもよい。支持ロッド5の一端を旋回可能な支持ロッド5は、他端に支持される反射体18を左右上下自在に移動させて位置決めできる。また支持ロッド5を旋回させて、あるいは延伸部5bをスプライン式として、支持ロッド5の先端を主黒板1に近接あるいは離間可能とし、プロジェクタとミラーとの離間距離を調節できる。
このように支持ロッド5を変形可能とすることで、重量の大きいプロジェクタPJの傾斜姿勢を固定したまま、軽い反射体18を支持する支持ロッド5側を操作するだけで、反射体18とプロジェクタPJとの相対位置を調節できるため、便利に使用できる。この結果、台形補正やピント補正などを施して、主黒板1上側へ綺麗に投影することができる。また光路の長さを伸縮させて投影領域を調節できる。
さらに支持ロッド5は取付部材8と連結して、連結強度をより高める構造としてもよい。図7の例では、プロジェクタPJの上方で取付部材8と支持ロッド5とを連結するロッド補強部材14を設けている。ロッド補強部材14は取付部材8と支持ロッド5のそれぞれに回転自在に連結している。図7のロッド補強部材14の一端は、取付部材8の上方の締結部材52を中心軸にして回転可能な状態で起立壁8aに固定されており、一方ロッド補強部材14の他端は、支持ロッド5の直立部5aに連結される。したがって支持ロッド5は、その延伸部5bが、ロッド補強部材14及び取付部材8を介して移動体10の載置面15aと連結される。この載置面15aは、上述の通り下方を移動体10のハンドル部11でもって支持されており、したがって、支持ロッド5の延伸部5bは、このハンドル部11で支持される。また支持ロッド5は上述の通り、その直立部5aの一端が、載置面5aの後部と連結される。この載置面5aの後部は、主黒板1の上端面1aの上方に位置する。したがって支持ロッド5は、その一端を主黒板1の上端面1aでもって支持されながら、延伸部5bにおいても下方からハンドル部11によって支持される構造とでき、いわば、略平行に配置される主黒板1とハンドル部11の複数の支柱でもって下方からしっかりと支持できる。
このように、移動体10に上方置き棚部15を設けて、この上方置き棚部15にプロジェクタPJと支持ロッド5を固定させる黒板装置100は、プロジェクタPJの映像を主黒板1上の任意の位置に綺麗に投影できる。これはプロジェクタPJと反射体18との移動量を同じくして、プロジェクタPJと反射体18との相対位置を所定に維持しながら、任意の位置に固定させることができるからである。さらにプロジェクタPJと反射体18とを主黒板1上の略法線方向に沿って略直線状に並ぶように位置合わせすることができる。この結果、プロジェクタPJの出射光を効率良く反射体18に進行させることができるため、光量の損失を抑制して主黒板1側に鮮明に投影できる。
(相対位置)
実施例1の黒板装置100は、一の移動体10にスクリーン体4、プロジェクタPJ、反射体18、パソコンPCをそれぞれ連結したものを一つのユニットとして、このユニット全体を一体に連動させている。したがってそれぞれの部材は移動量を同じとしており、この結果、それぞれの部材の相対位置を所定としたまま主黒板1上の任意の位置に水平移動することができる。これは、主黒板1側に綺麗に投影できる位置関係になるよう、各部材をあらかじめ位置決めしておくことで、ユニットの移動距離が決まりスクリーン体4の装着位置が固定されれば、自然とプロジェクタPJ、反射体18、パソコンPCもスクリーン体4に対して所定の相対位置でもって固定されることとなる。各部材の移動量は、ユニットで管理するため、各部材同士の移動量を個々に制御する必要がない。したがってハンドル部11の移動のみでスクリーン体4の設置位置を自在にするとともに、このスクリーン体4の位置に対応した適切な位置に各部材を固定できる。
(下方支持板)
また図1〜図7の黒板装置100は、主黒板1の下端に沿って連続的に水平に設けられた粉受け24を備える。粉受け24は主黒板1の下端から前方へ突出する姿勢に設けられる。前方へ出っ張った粉受け24は、主黒板31から下方に落ちる粉を捉えて、粉が床に散乱することを抑止できる。粉受け24には電動クリーナなど付属装置を所望の位置に固定できる。
黒板装置100は、上述の通りハンドル部11の下端で後方側に突出しながら主黒板1の下端面1bを被覆する折曲部2fを有する。図7の黒板装置100では、この折曲部2fとして下方支持板38を採用し、ハンドル部11の下端に連結している。ただ、この下方支持板38は、ハンドル部11と一体に成型して強度を高めることもできる。具体的に図7の下方支持板38は、主黒板1の下端から前方に突出した粉受け24を囲む形状に形成されている。すなわち下方支持板38は粉受け24と離間しており、かつ粉受け24に衝突しない形状に形成されている。粉受け24と干渉しない下方支持板38を、ハンドル部11の下方に設けることで、ハンドル部11を左右に引いて移動体10を水平移動させる際にも、移動体10が粉受け24に衝突せずスムーズに移動する。また実施例1の黒板装置100は、下方支持板38の下方に下方置き棚部16を連結させて、この下方置き棚部16の水平方向の移動をハンドル部11でもって制御可能としている。以下に下方置き棚部16について説明する。
(下方置き棚部)
下方置き棚部16は、映像ソース供給装置を載置可能な載置面16aを有しており、ハンドル部11に連動して主黒板1の下端に沿って略水平に移動できる。実施例1では、映像ソース供給装置としてパソコンPCを採用している。具体的には図1に示すように使用者がハンドル部11を左右方向に引くと、下方置き棚部16に固定されたパソコンPCは、主黒板1の下端に沿って略水平に移動する。また下方置き棚部16は変形可能であり、使用時には図1に示すように下方置き棚部16を組み立てて載置面16aを前方に突出させることができ、一方非使用時には図2、図3に示すようにコンパクトに畳んで邪魔にならないように収納できる。そしてこの突出した載置面16aにパソコンを載置して便利に使用できる。
また図10a、図10b、図11a、図11bは黒板装置100の一部拡大図であって、下方置き棚部16の変形の様子を説明する説明図である。具体的に図10a、図10bは、黒板装置100を側面視した際の下部における一部拡大図であり、図11a、図11bは、黒板装置100を正面視した際の下部における一部拡大図である。
下方置き棚部16は、図10a、図10bに示すように移動体10の下方に設けられ、詳しくはハンドル部11の下方支持板38の下端面に固定される。図10bに示す組み立てた状態の下方置き棚部16は、載置面16aを主黒板1の略法線方向に突出させており、一方図10aに示す収納状態ではこの載置面16aを主黒板1と平行になる姿勢で主黒板1の後方側に奥まって配置させている。
黒板装置100は移動体10の下端面10aに連結されて、移動体10と下方置き棚部16とを連結させるジョイント部57を備える。下方置き棚部16は、このジョイント部57の下端面57aから鉛直方向に垂下した姿勢で固定される固定ベース部54と、ジョイント部57の前端面57bに連結されて略垂直方向に回動するテーブル部55と、これら固定ベース部54とテーブル部55との間に配置されて固定ベース部54とテーブル部55とを所定の構成角度に維持できるテーブル支持パネル56とを備える。このテーブル支持パネル56は、図10b、図11bに示すように組立状態において、テーブル部55と固定ベース部54とが略直角になるよう固定できる。
固定ベース部54の形状は特に限定されないが、図10a、図10b、図11a、図11bの固定ベース部54は平板状であって、図10a、図10bに示すように固定ベース部54の平面状の主面54aが主黒板1の前面と略水平な姿勢になるよう固定される。そしてこの固定ベース部54の主面54aにテーブル支持パネル56を回転可能に連結する。また図10a、図10b、図11a、図11bのテーブル支持パネル56は平板状であって、図10bに示すように固定ベース部54と略直交する姿勢をとることができるよう第1のヒンジ手段58を介して固定ベース部54と連結される。具体的にはテーブル支持パネル56の厚みを構成する側方端面56aが、固定ベース部54の主面54aとヒンジ手段58を介して連結されており、したがってテーブル支持パネル56は、固定ベース部54に対して、図10aに示す略平行に重なり合う姿勢から、図10bに示す法線方向に直交する姿勢へと変位できる。
ただテーブル支持パネル56と固定ベース部54との連結手段は上述の手段に限定されず種々の方法を採用できる。例えば固定ベース部54を棒状として、テーブル支持パネル56の側方端面56aをこの固定ベース部54の周囲を摺動可能な形状に形成し、固定ベース部54を中心軸としてテーブル支持パネル56を回転可能としてもよい。またテーブル支持パネル56は、略直角に構成された少なくとも一つの角部CRを備える。そしてこのテーブル支持パネル56の略直角部CRが、ジョイント部57に近接するよう配置される。これにより固定ベース部54とテーブル部55との間に、テーブル支持パネル56の角部CRを配置させて、固定ベース部54とテーブル部55とを略直角に維持することができる。一方テーブル部55は、第2のヒンジ手段58を介してジョイント部57の前端と回動自在に連結されている。テーブル部55は、第2のヒンジ手段58との連結部を中心として垂直方向に回動可能であり、テーブル部55の載置面16aを主黒板1の主面に対して略平行な状態から略法線方向へ突出した状態に変形できる。
また下方置き棚部16は、黒板装置100の前方から後方にかけて、図10a、図10bに示すようにテーブル部55、固定ベース部54、テーブル支持パネル56の順に配置される。そして収納状態では、図10a、図11aに示すように平面状のテーブル部55とテーブル支持パネル56が主黒板1の前面と略平行となる姿勢で重なり合いながら固定ベース部54に接触して折り畳まれている。一方下方置き棚部16を使用する際には、使用者は図10a、図11aの収納状態からテーブル部55の先端を下方から手前に持ち上げてテーブル部55を上側に回動させる。そしてテーブル部55を主黒板1から前方へ突出させた状態で、さらにテーブル支持パネル56を略水平方向に回転させて前方へ突出させ、このテーブル支持パネル56の上方端面56b上にテーブル部55を載置させる。つまりテーブル支持パネル56の上方端面56をテーブル部55の裏面55bに当接させる。テーブル支持パネル56の上方端面56bは、側方端面56aと略直角を構成しているため、それぞれの端面56b、56aに沿うテーブル部55と固定ベース部54との構成角度を略直角とできる。この結果、テーブル支持パネル56でもってテーブル部55を下方から支持しながら、テーブル部55の載置面16aを主黒板1の略法線方向へ突出した姿勢に維持できる。そして載置面16a上にパソコンPCを載置させることができる。また下方置き棚部16を収納する際には、上記の組立手順を逆順に行えばよい。
(配線)
またプロジェクタPJとパソコンPCは、図1に示すように主黒板1の上端および下端にそれぞれ固定される。したがって図23に示すように、これらのプロジェクタPJとパソコンPCとを連結する配線HSは、主黒板1を上下に横切る姿勢に配置される。この配線HSを、図10bに示すように移動体10と連動するハンドル部11やケーブル収納体に収納可能とすることで、配線HSが露出されず邪魔にならない。つまり配線HSが主黒板1の前面に垂れ下がることを回避して、主黒板1の前面を視認しやすくできる。また配線HSが露出しない黒板装置100は、配線HSがひっかかったり汚れたりしないため故障を低減でき、意匠性も高まる。
特に上方置き棚部15と下方置き棚部16とを互いに連動させる黒板装置100は、上方置き棚部15と下方置き棚部16の移動量を同じとできるため、プロジェクタPJとパソコンPC同士を連結するのに必要な配線の長さを変更することなく一定とできる。したがって、従来の黒板装置であれば、どちらか一方の付属装置すなわちパソコンPCは固定され、他方の付属装置すなわちプロジェクタPJのみが移動するため、配線HSが移動する他方の付属装置に引きつられて変位していたのに対し、実施例1の黒板装置100では、配線HSが伸縮したり変位したりすることがないので邪魔にならない。さらに付属装置同士の間にケーブル収納体を設けることで、配線が露出されずケーブル収納体によって保護されるため破損しにくく好ましい。
また図1のパソコンPCの電源コードDCは、外部電源に接続してパソコンPCへ電力を供給する。電源コードDCは伸縮式が好ましく、例えばカールコードとする。伸縮自在な電源コードDCは長さを調節しやすい。またカールコードは基本の収縮状態の全長を最短とし、所要とする分量に応じて延伸するため、その全長を必要最小限に制限できる。またプラグを差し込むソケットを黒板装置100に近接して配置することで、電源コードDCの全長を低減させることができる。あるいは電源コードDCを巻き取り式としてもよい。パソコンPCの電源コードDCを巻き取り式とする黒板装置100は、移動体10の移動量に応じて電源コードDCを引き出したり巻き付けたりできる。コードの長さを調節できる黒板装置100は、表出される配線を少なくして便利に使用できる。
また、黒板装置100はさらに別の付属装置を備えることもできる。付属装置は電気機器やあるいは電力を供給する必要のないものを利用できる。電気機器としては電動クリーナ、スキャナ、センサ、プリンタ、コンピュータなどが挙げられる。非電気機器としてはチョークやペン、黒板消しなどの備品を収納する引き出し式の収納箱や、資料を系止できるフックなどが挙げられる。また、実施例1の黒板装置は、これらの付属装置を予め備える形態としてもよく、付属装置を装備した状態をも含む意味で使用する。付属装置を装備した黒板装置100は、予め付属装置の特性に応じた位置に付属装置を固定できるため、付属装置の初期設定を省略できる。
(スクリーン体)
また移動体10に連結するスクリーン体4は、文字や画像を映写するための幕である。スクリーン体4は公知のものを採用でき、半透明または不透明なスクリーンとする。また、指や鉛筆などで直接スクリーンに触れて、接触した位置を信号としてコンピュータに送信できる入力機能を備えたタッチスクリーンも利用できる。スクリーンの表面にはツールの絵など文字や図形が予め印刷されていてもよい。図3の黒板装置100は、スクリーン体4の一部に、よく使う機能をアイコンにして並べて表記したツールボックス17を設けている。またスクリーン体4は少なくとも一部が主黒板1を覆い、面状に広がった状態を維持できるものとする。
実施例1のスクリーン体4は、図3に示すように左端4bと右端4aを備える四角形状である。このスクリーン体4は巻き取る際に芯となる巻き取り軸4cを有する。スクリーン体4の巻き取り軸4cは、移動体10のハンドル部11と連結されている。スクリーン体4を巻き取る際には、図3に示すように巻き取り軸4cの回転にともなって、スクリーン体の左端4bから巻き取り軸4cに巻き取るようにスクリーン体4を順次巻き上げる。スクリーン体4の巻き取りと同時に、スクリーン体の右端4aが左側へと移動して、最終的には図1に示すように巻き取られたロール束の最も外面に、スクリーン体の右端4aが位置する。再びスクリーン体を広げる際には、ロール束の外面に表出したスクリーン体の右端4aを右側に引っ張ることで、巻き取られたスクリーン体が徐々に引き出されて、図3に示すように面状に広がる。巻き取り式のスクリーン体4は、スクリーン体の右端4aの引き出し量に応じて映写領域を調節できる。
また展開したスクリーン体4を巻き取って収納するときは、順次スクリーン体4の巻き取り軸4cを逆回転させてスクリーン体4を順次巻き上げていき、スクリーン体4の右端4aを左端4b側に接近させる。スクリーン体4は、自動巻き取り用のバネ機構を設けることが好ましい。巻き取り軸に巻き取られる実施例1のスクリーン体は、巻き取り方向に付勢したバネ機構と、引き出し力を弱めると巻き取りが停止される戻り止め機構を備える。この戻り止め機構によって停止されたスクリーン体をさらに引き出すと、停止が解除されてバネ機構により自動的にスクリーン体が巻き取られる。
巻き取られたスクリーン体4のロール束は図7に示す収納空間3に収納される。巻き取られたスクリーン体4は、図1、図9に示すように、移動体10に固定された状態で収納空間3に位置しており、すなわち移動体10の背面側であって主黒板1の前面に配置される。収納空間3に収納されるスクリーン体4は、主黒板1と移動体10との間に生じる隙間を有効に利用できる。スクリーン体4を使用しないときには、完全に巻き取ることでほぼ線状に束ねたスクリーン体4をハンドル部11の背面側に配置できるため、使用していないスクリーン体4が邪魔にならない。このため、スクリーン体4の非使用時には主黒板1を広く使用することができる。
(ツールボックス)
実施例1のスクリーン体4は、図3に示すようにスクリーン体4の左端4bと右端4aの両側にツールボックス17a、17bを形成している。またスクリーン体4は、図1、図2に示すように収納状態において一部の面を残した状態で収納される。つまり黒板装置100は、スクリーン体4を巻き取った状態であっても、少なくとも一部を巻き残し領域MRとしている。具体的には図3に示すようにスクリーン体4の右端4a側を巻き残し領域MRとして、この巻き残し領域MRに右側のツールボックス17aを表示する。言い換えると、スクリーン体4を巻き取った状態であっても右端4a側は常に主黒板1上に露出しており、ツールボックス17aを主黒板1に表示させた状態とできる。この巻き残し領域MRのツールボックス17aは、スクリーン体4を収納した状態であっても使用できる。またプロジェクタはスクリーン体4のみならず主黒板1にも投影可能である。したがって図1に示すようにスクリーン体4を収納し、主黒板1の使用領域を大きくした状態で、主黒板1に投影できる。また主黒板1上に投影した映像は、主黒板1上に常に表示された右側のツールボックス17aで操作できる。
実施例1のスクリーン体4は、図1〜図3に示すように、右端4aを左右に出し入れすることで、スクリーン体4の拡張領域を縮小したり拡大したりできる。ただし、スクリーン体4を縮小した状態であっても全てのスクリーン体4を巻き取らず、スクリーン体4の右側の一部を残したままとする。このスクリーン体4の巻き残し領域MRは、主黒板1上に露出した状態で、巻き残されている。スクリーン体4の一部を巻き取らずに面状のままとし、スクリーン体4を全て収納しない黒板装置100は、常にスクリーン体4の一部に表記された内容を視認させることができる。また、形状変化によって故障を誘発する機器を内蔵したスクリーン体44の場合、この巻き残し領域MRに機器を内蔵させることで、巻き取りなどの折曲によって起こりうる破損を回避できる。
図3のスクリーン体4は、直接画面に触れて位置を指定することのできる入力機能を備えたディスプレー用スクリーンである。スクリーン体4は付属装置と信号を授受することができる。例えば付属装置であるコンピュータPCと接続し、スクリーン体4に表示されたメニューを指やペンで押すことによってコンピュータを操作することもできる。またスクリーン体4は、コンピュータグラフィックスで用いる画板状タブレットと、その上を動かす位置指示具を組み合わせた入力装置としてもよい。スクリーン体4は、画像や形状をデジタルのデータに変換し、同時にそれをCRT画面上にも表示できる構造としてもよい。また、スクリーン体4は、収納によって巻き上げられない巻き残し領域MRに、物理量やそれらの変化量を検出するセンサを備える。センサは、温度・圧力・流量・光・磁気などの物理量やそれらの変化量を検出でき、さらに検出量を適切な信号に変換して計測系に入力する機能を有してもよい。図3の例ではスクリーン体4の両側、すなわち左側と右側にセンサを組み込んでおり、右側のセンサ部分を巻き残し領域MRとしている。センサを配置したスクリーン体4の表面にはツールパレットなどアイコンを表示して、黒板装置100の使用者や視認者が、視覚的にその操作を容易に理解できる表記としてもよい。
一部を残した状態でスクリーン体4を収納する黒板装置100は、スクリーン体4の巻き取り量を所定量に制限させる機構を備える。例えば図3の黒板装置100は、スクリーン体4を引き出す際に先頭部に相当する右端4aの上部と下部に、ストッパー40を設けている。さらに移動体10から一定の距離だけ離れた位置に、このストッパー40を系止するストッパー受け41を設けている。スクリーン体4を収納する際、スクリーン体の右端4aは巻き取り軸4cに接近する方向へ移動する。そして図1に示すように、ストッパー40がストッパー受け41に当接して系止されると、スクリーン体4の右端4aの移動が停止する。この結果、スクリーン体4の巻き取りが停止し、スクリーン体4の一部が巻き取られずに主黒板1上に露出した状態を維持できる。あるいは巻き取りの回転を制御することで、スクリーン体4の巻き残しを達成してもよい。スクリーン体4の一部を残した状態で収納する黒板装置100は、スクリーン体4の一部を常時主黒板1上に掲載できる。例えばツールボックス17が表記された箇所を巻き残し領域MRとして、このツールボックス17を主黒板1上に常に表示させた状態とできる。
特に実施例1の黒板装置100は、上述の通り投影する場所をスクリーン体4あるいは主黒板1のどちらか一方に制限されず、投影場所を自在とできる。したがって、スクリーン体4の巻き残し領域MRにツールボックス17を表示することで、スクリーン体4を巻き取った状態であっても、主黒板1上に直接投影された映像を、このツールボックス17を介して制御できる。つまり投影の度にスクリーン体4を展開しなくてもよく、主黒板1上に投影して、かつツールボックス17でもってこの映像を操作することもできる。以下、スクリーン体4の開閉機構について詳細に説明する。
(スクリーン体の開閉機構)
実施例1の黒板装置100は、図1〜図3に示すようにスクリーン体4を2段階に移動させることで、スクリーン体4を自由な位置に設置できる。まず第1段階で、束ねたスクリーン体4全体を移動体10でもって移動させる。そして第2段階で、スクリーン体4の右端を引き出してスクリーン体4を展開する。この第2段階では、スクリーン体4の引き出し量に応じてスクリーン体4の展開量を任意に調節できる。このようにスクリーン体を2段階に移動させることで、スクリーン体4を主黒板1の自由な位置に、かつ任意の幅に拡張できる。スクリーン体4と主黒板1の配分を自在とできる黒板装置100は、スクリーン体4と主黒板1の両方を便利に使用できる。以下、スクリーン体4の設置方法を図を用いて具体的に説明する。
まず図1の移動体10をスクリーン体4及び支持ロッド5とともに左右に移動させて、図2に示すように所望の位置に移動体10を停止させる。この移動体10の停止位置がスクリーン体の左端4bに相当する。移動体10の停止位置よりスクリーン体2の右端4aを右に引き出し、図3に示すようにスクリーン体4を展開する。つまり自在に移動できる移動体10の停止位置が、スクリーン体4を広げる際の基準位置となって、この基準位置から右側へスクリーン体4を拡張する。スクリーン体4の右端の引き出し量に応じて展開量を調節されたスクリーン体4は、拡張した幅を維持して主黒板1上に配置される。さらにこのスクリーン体4は、展開状態のまま移動体10を移動させることで、展開された幅を維持しつつ主黒板1を自在に水平移動できる。つまり黒板装置100は、スクリーン体4を所望の展開量に調節した後であっても、スクリーン体4の設置位置を自由に変更できる。展開した状態のスクリーン体4を移動できる黒板装置100は、スクリーン体4と同時に使用する主黒板1の使用領域を適宜変更できて便利である。例えば、主黒板1にチョークやペンで板書しながらスクリーンを使用でき、また板書の位置や分量等に応じてスクリーンの位置を変更できるので、従来のような固定式のスクリーンと比べ、使い勝手を大幅に改善できる。
(展開維持機構)
またスクリーン体4の展開状態を維持する展開維持機構を設けてもよい。例えばスクリーン体4の裏面に磁性体を塗布する、あるいは別部材のマグネットを裏面に付加したり、あるいは表面側からマグネットを任意の位置に置く。このようなマグネット式で、スクリーン体4を主黒板1の表面に磁力でもって貼付させる。あるいは、面ファスナや粘着テープ、フックなどを利用することもできる。このような展開維持機構を介してスクリーン体4を主黒板1の前面に貼り付けることで、スクリーン体4の伸長した状態を維持する。これにより、展開したスクリーン体4が風や接触などで揺れ動くことを防止して、スクリーン体4上に表示される映写される映像等を安定して視聴できる。またスクリーン体4における展開維持機構の装着領域は特に限定しない。例えば磁石の装着領域をスクリーン体4の一部のみ、一例としてスクリーン体4の四隅としたスクリーン体4は、展開状態のスクリーン体4と主黒板1とが貼着する領域を少なくして吸着力を低減できる。主黒板1との吸着力を制限したスクリーン体4は、展開状態を維持しながら軽く水平移動でき、またスムーズに巻き取られて容易に収納できる。あるいはスクリーンの裏面全面に磁性体を塗布して、完全に固定できるようにしてもよい。
さらに、展開維持機構は主黒板1上に固定する方式に限られず、移動体10やその他の部位に固定されるように設けることも可能である。例えば上部水平移動機構や下部水平移動機構に、移動体と共に移動可能な支持棒を設け、スクリーン体を完全に展開した状態で、スクリーン体の先端を支持棒に連結可能に構成する。スクリーン体の上下辺を支持棒に連結することで、スクリーン体の展開状態が保持され、スクリーン体を展開したままで左右に、上下の水平移動機構に沿って移動させることができる。またこの構成であれば、スクリーン体の展開状態が保たれるため、スクリーン体のたるみや揺れも抑制され、スクリーン体上に表示される画像等を安定して表示させることが可能となる。スクリーン体と支持棒の連結は、例えばスクリーン体の先端に設けたマグネットで支持棒に固定する方式などが採用できる。また支持棒は、スクリーン体の展開幅に応じて伸縮するように構成することもでき、これにより常にスクリーンを上下で張設でき、所望の幅に引き出したスクリーン体を、展開状態を維持したままで任意の位置に移動できる。
(展開維持パネル)
具体的に上述の展開維持機構について図を用いて詳細に説明する。図1〜図3の黒板装置100は、収納状態のスクリーン体4を展開する際に引き出すスクリーン体4の先頭部を、主黒板1上に係止することでスクリーン体4の展開状態を維持できる。黒板装置100は、展開維持機構として展開維持パネル60を有する。展開維持パネル60は、移動体10と同様、略鉛直姿勢で主黒板1の前面を略水平方向に移動可能に連結されて、主黒板1の所望の位置で固定できるよう構成されている。また展開維持パネル60は、主黒板1の下端面を被覆する姿勢で固定されており、具体的には展開維持パネル60の下端から後方側に折曲した折曲部2fでもって主黒板1の下端面と接触して連結される。展開維持パネル60の折曲部2fは移動体10と同様の構造とでき、例えば上述の下方支持板38を利用できる。そしてこの展開維持パネル60にスクリーン体4の先頭部を係止することで、スクリーン体4は展開状態を維持できる。
展開維持パネル60は、移動体10のハンドル部11からスクリーン体4の展開方向側、すなわち図1〜図3の例では右側に位置する。そして展開維持パネル60は、移動体10と独立して略水平に移動可能であり、左右に動かすことでハンドル部11に近接させたり、あるいは離間させたりできる。スクリーン体4を主黒板1上に設置する際には図1に示すように、まずスクリーン体4を展開する前に予めスクリーン体4の展開量を予測して、スクリーン体4の先頭部が位置される予定の領域に展開維持パネル60を配置し、次に図3に示すようにスクリーン体4の先頭部をこの展開維持パネル60の配置位置まで引っ張って展開した後、展開維持パネル60に係止させる。
この展開維持パネル60をハンドル部11から任意の離間距離で位置決めし、この展開維持パネル60までスクリーン体4を引き出すことで、スクリーン体4の展開量を自在とできる。スクリーン体4の先頭部と展開維持パネル60との係止手段は特に限定されない。図1〜図3の例ではスクリーン体4の先頭部のみをマグネット式とし、かつ展開維持パネル60を金属製として、スクリーン体4の先頭部を展開維持パネル60に貼着して係止している。また展開維持パネル60の幅は特に限定されないが、大きくすることでスクリーン体4の先頭部との接面領域を稼ぐことができ吸着力を高められる。これによりスクリーン体4は展開維持パネル60を介して主黒板1上にしっかりと配置される。一方、幅の小さい展開維持パネル60は、全体を軽くできるため移動させやすく、また連結する主黒板1への負荷を低減させることができる。
スクリーン体4の先頭部のみを展開維持パネル60に貼着させて主黒板1上に配置する形態とすることで、展開状態を維持したままスクリーン体4を水平に移動させやすい。これはスクリーン体4が展開維持パネル60を介して主黒板1上に配置されており、すなわちスクリーン体4が主黒板1に直接貼着されないため、スクリーン体4と主黒板1との吸着力が障害とならず、軽く移動できるからである。
(展開量ロック機構)
さらに黒板装置100は、展開維持パネル60と移動体10とを一時的に連結可能な展開量ロック機構61を備えることができる。また展開量ロック機構61は、展開維持パネル60とハンドル部11との離間距離を一定に維持できる。これにより展開状態のスクリーン体4が巻き戻ろうとして、先頭部がハンドル部11側に近接することを回避できる。つまり図1〜図3の例ではスクリーン体4の先頭部と、これを係止した展開維持パネル60とが左側に移動することを回避でき、スクリーン体4の展開状態を確実に維持できる。
具体的に図3の黒板装置100では、全開状態のスクリーン体4の先頭部を係止できる位置で、展開維持パネル60が上方置き棚部15に展開量ロック機構61を介して固定されている。言い換えると展開維持パネル60は、ハンドル部11を基準としてスクリーン体4の略全体の幅分だけ離間した位置で、展開量ロック機構61によって水平移動を抑止される。つまり展開維持パネル60は、展開量ロック機構61によって水平移動できないため、ハンドル部11に近接したり離間したりせず、常に略一定の離間距離を維持する。したがってスクリーン体4の展開量も維持されて全開状態を保つことができる。さらに、展開維持パネル60は、展開量ロック機構61を介して移動体10に連結している。したがって移動体10を左右に引くと、展開維持パネル60は連動されて、ハンドル部11との離間距離を維持したまま移動体10とともに左右へと移動する。この結果、スクリーン体4を展開状態としたまま主黒板1上の任意の位置に移動させることができる。
さらに詳細に図3の移動体10の上方置き棚部15は、水平方向における全幅をスクリーン体4の全幅に近似させている。正確には、水平方向において上方置き棚部15と展開維持パネル60の略全長が、スクリーン体4の全幅となる関係に、上方置き棚部15の幅を決定している。そして図3に示すように、上方置き棚部15と展開維持パネル60とを隣接させた状態で、すなわち上方置き棚部15の右端が展開維持パネル60の左端に位置合わせされる状態で、展開量ロック機構61を介して双方を連結している。展開量ロック機構61は特に限定されず公知の手段を利用できる。
また展開維持パネル60は、展開量ロック機構61によるロックを解除されると、上述の通り移動体10と独立して移動できる。実施例1の黒板装置100は、主黒板1の上端に沿って、略水平姿勢に延伸した複数のレールを有しており、それぞれのレールに展開維持パネル60及び移動体10を摺動可能に連結する。これにより展開維持パネル60及び移動体10は、各レールに案内されて、互いに接触することなく独立して水平方向に移動できる。以下、移動体10や展開維持パネル60を略水平に移動させる水平移動機構について説明する。
(水平移動機構)
図1の黒板装置100は、主黒板1の上部と下部にそれぞれレール7、27を配設している。上部のレール7は、主黒板1の上端に沿って略水平方向に設けられており、一方下部のレール27は、主黒板1の下端に沿って略水平方向に設けられている。移動体10や展開維持パネル60の上端は、上部のレール7に沿って摺動可能に連結しており、また移動体10やスクリーン体4の下端は、下部のレール27に摺動可能に連結している。図1の黒板装置100はレールを複数設けて、それぞれのレールに移動体10と展開維持パネル60を連結させている。以下に主黒板1の上部における水平移動機構について説明する。
(上方の水平移動機構)
図12は、図1のVI−VI’線において黒板装置100の上部を一部拡大した断面図であり、また図13は、図1のVI−VI’線において黒板装置100の下部を一部拡大した断面図である。ただ図12、図13の黒板装置100は、上部あるいは下部の水平移動機構をわかりやすく説明するために、主黒板1に対して移動可能な部材については右上がりのハッチングを付しており、一方、主黒板1と共に不動の部材については右下がりのハッチングを付して、静と動の部材を区別している。上部のレール7はこの図12に示すように、前後に略平行に配設された第1のレール7aと第2のレール7bからなる。前方の第1のレール7aには移動体10が連結され、後方の第2のレール7bには展開維持パネル60が連結されている。第1のレール7aと第2のレール7bは独立したガイド溝21a、21bをそれぞれ有しており、したがって移動体10と展開維持パネル60は互いに干渉しあわない。
第1のレール7aは、移動体10を水平方向に摺動させてスクリーン体4の位置決めを行うことができる。また第2のレール7bは、展開維持パネル60を水平方向に摺動させてこれにスクリーン体4の右端4aを固定させることができる。すなわち第1のレール7aはスクリーン体4の位置決めを担い、第2のレール7bはスクリーン体4の引き出し量を自在に決定できる。
また第1のレール7aと第2のレール7bは、下方に開口した断面コ字状であって、図12の例では閉塞する上端面が、主黒板1の上端面1aと略同じ高さになる姿勢で、主黒板1に連結されている。第1のレール7aは開口内部に配設されて水平方向に延伸したガイド第1の溝21aを有する。この第1のガイド溝21aに案内されて水平移動可能な第1のスライド部23aが移動体10に連結されて、移動体10を第1のガイド溝21aに案内しながら水平に移動可能とする。また第2のレール7bも第1のレール7aと同様に、開口内部に配設されて水平方向に延伸した第2のガイド溝21bを有する。そしてこの第2のガイド溝21bに案内されて水平移動可能な第2のスライド部23bが展開維持パネル60に連結されており、この結果、展開維持パネル6は、の第2のスライド部23bを介して第2のガイド溝21bに沿いながら水平移動できる。
またハンドル部11の上端で後方に折曲する姿勢に連結する上方置き棚部15は、図12に示すようにその後方部で主黒板1の上端面1aと連結する。具体的には、上方置き棚部15の後端で上方向に折曲された直立壁26を有する。直立壁26は、主黒板1の上端面1aから上方に直交する姿勢で上端面1aに固定されている。主黒板1の上端面1aには、上方に開口した断面コ字状の第3のレール7cが略水平方向に連続して配設されており、この第3のレール7cの開口内部を摺動可能な第3のスライド部が直立壁26の下端に連結されている。したがって直立壁26は第3のレール7cに案内されて、主黒板1の上端面1aに対して垂直な姿勢を維持しながら水平に移動できる。この結果、上方置き棚部15を主黒板1の前面に対して略平行な姿勢に維持させることができ、上方置き棚部15が前後に傾斜することを防止する。
(下方の水平移動機構)
また実施例1の黒板装置100は、図1に示すように移動体10及び展開維持パネル60の下端を、それぞれ下部のレール27と摺動可能に連結させている。図1の黒板装置100は、主黒板1の下端に下部のレール27を一つ設けており、したがって移動体10及び展開維持パネル60は共通の下部のレール27に連結されている。この下部のレール27は、図13に示すように主黒板1の下端面1bに設けられる。移動体10及び展開維持パネル60はそれぞれ下方支持板38を介して、下部のレール27に連結される。以下、展開維持パネル60に連結された下方支持板38を例に、図13を用いて下方の水平移動機構について説明する。ただし、この水平移動機構は移動体10に連結された下方支持板38にも適用できる。
下方支持板38は主黒板1の下端面1bと摺動可能に連結される。この下方支持板38は、断面が略コ字状であって、離間する上板38aと下板38bとを有する。そして下方支持板38の断面コ字状の内部に粉受け24を配置して、詳しくは下方支持板38の上下板38a、38bが、粉受け24と接触せずに離間した状態で粉受け24の上下面を覆う。これにより下方支持板38が粉受け24に干渉されずスムーズに移動できる。
また下方支持板38は、略垂直姿勢の展開維持パネル60の下端で、この展開維持パネル60と直交する方向に連結される。そして下方支持板38は、下部のレール27を介して主黒板1の下端面1bと略平行な姿勢を維持しながら略水平に移動できる。この結果、展開維持パネル60は、略一定の姿勢に維持される下方支持板38によって、略垂直な姿勢に保たれながら、すなわち主黒板1に対して前後に傾斜することを回避しながら、より軽く移動することができる。以下、図13の下部のレール27について説明する。
まず、主黒板1の下端には案内溝を有する断面コ字状の第4のレール27aが固定されている。一方、下方支持板38の下板38bは、その先端が主黒板1の下方に位置しており、この先端に第4のスライド部23dを設けている。そして下方支持板38のこの第4のスライド部23dが、主黒板1側のの第4のレール27aに案内されながら摺動することで、下方支持板38は主黒板1の下端面1bに沿って移動できる。この結果、下方支持板38に連結された展開維持パネル60が略水平に連動する。また展開維持パネル60は、磁石などの装着部材39を介して、スクリーン体4の右端4aを固定することができる。特に展開維持パネル60は、主黒板1に対して略平行な姿勢を維持できるため、固定するスクリーン体4のたるみを防止しながら主黒板1に対して略平行に保つことができる。
ただし、移動体10あるいは展開維持パネル60を略水平に移動させる水平移動機構は、上述の手段に限定されず、公知の方法が採用できる。例えば上述の水平移動機構では、主黒板1の上下に複数のレールを設け、これに移動体10あるいは展開維持パネル60を連結する手段としたが、移動体10や展開維持パネル60が主黒板1に対して倒れないようにしっかりと連結出来る場合は、単一の水平移動機構としてもよい。
上述の構造を備える黒板装置100は、ハンドル部を操作するだけで、上方置き棚部と下方置き棚部を連動させて、それぞれの置き棚部に固定される投影装置の相対位置を維持させながら略水平に移動させることができる。また投影装置を、不動状態の主黒板の上端面でしっかりと固定できるため、黒板装置の上方から投影することができる。さらに投影装置や映像ソース供給装置の配線をハンドル部の内側にまとめて整理することができ、配線が主黒板を横切って視認しにくくなることを回避できる。加えて、投影装置を不動の主黒板で支持しながら、この投影装置と比較して軽量な反射体18側を主黒板から離間した位置で支持することができる。また、投影装置と反射体18との光路を確保して、投影装置から投影した映像を反射体18で反射させて主黒板側に映写させることができる。さらにまた、主黒板に対して自由な位置にスクリーン体を設置しながらスクリーン体と主黒板とを一緒に便利に使用できる。あるいは、移動体10のハンドル部11が、主黒板1の前面から離れて配置されて、主黒板1との間に収納空間3を設けており、収納空間3にスクリーン体4を収納できることで、スクリーン体4を使用しないときは主黒板の使用領域を稼ぐことができ、また主黒板上に投影することができる。また移動体10は、巻き取り軸4cを介して固定されたスクリーン体4と共に主黒板1上を略水平に移動して、スクリーン体4の水平位置を自由に位置決めることができ、スクリーン体4は、巻き取った状態のスクリーン4の第1の端部4aを水平方向に引き出すことで展開可能であって、スクリーン体4の引き出し量に応じてスクリーン体4の展開量を任意に設定できる。これによりスクリーン体と主黒板の使用領域を自由に配分することができる。