このような黒板装置においては、アーム等、プロジェクタを固定するための構造が必須となる。一般にプロジェクタはある程度の重量を有する上、その方式上、観察者の頭上側に設ける方が明るく投影できるため、天井に固定することが好ましい。ただ、天井への固定作業は面倒であるため、上述した黒板装置においては、予めプロジェクタが黒板やホワイトボード(以下「ボード」とも言う。)の上方に固定されている。しかしながら、重量を有するプロジェクタを安定的に支持するには、十分な機械的強度が要求されるため、支持するためのパイプを太く大きくする等、支持構造が大型化、大重量化してしまい、小型で移動が容易な黒板装置の実現は容易でなかった。
特にプロジェクタは、ボード上面に固定すると、比較的固定構造が容易になるものの、この方式では図22、図23に示す黒板装置90C、90Dのように、ボードの前方にミラー92等を設けて反射させる必要が生じ、反射によってプロジェクタPJで投影される映像の明るさが半減する上、ミラー92が振動等で振れると映像も揺れ、映像品質が低下するという問題がある。
このため、図20、図21に示すように、プロジェクタ自体をボードの前方に突出する姿勢で固定して、プロジェクタからボード上に展開されたスクリーン上に直接投影する方式とすることが、明るく高品質な映像を提供する面からは有利となる。
しかしながらこの方式では、プロジェクタをボードの前方に吊り下げる構造が必要となり、機械的な支持構造が容易でないという問題があった。特に支持構造を実現する金属製パイプを複雑に折曲させるため、ねじ等でパイプを固定することとなるが、パイプの折曲部分における強度が不十分となる可能性があり、十分な機械強度を持ってプロジェクタを固定可能な構造が望まれていた。
本発明は、従来のこのような問題点を解決するためになされたものである。本発明の主な目的は、パイプの折曲部分の機械強度を十分に維持可能な、黒板装置を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の第1の側面に係る黒板装置によれば、主黒板1と、前記主黒板1の主面上に映像を投影するための投影装置PJと、前記投影装置PJを前記主黒板1の上方に固定するための固定パイプ5と、を備える黒板装置であって、前記固定パイプ5は、前記主黒板1の上部から、上方に向かって突出する垂直突出部6と、前記垂直突出部6から水平姿勢に折曲されて、先端に前記投影装置PJを固定する第一水平突出部7とで構成され、前記黒板装置はさらに、前記垂直突出部6と、前記第一水平突出部7とを連結する連結具9とを備えており、前記連結具9が、前記垂直突出部6又は第一水平突出部7のいずれか一方に挿入される挿入端34を備えた一対の第一ジョイント30と、前記第一水平突出部7又は垂直突出部6のいずれか他方に挿入される挿入端34を備えた第二ジョイント35とで構成され、前記第一ジョイント30及び第二ジョイント35はそれぞれ、前記挿入端34の反対側の端縁で、該第一ジョイント30及び第二ジョイント35を連結するための連結端33を備えており、前記第二ジョイント35は前記連結端33において、前記一対の第一ジョイント30の間に狭持されるよう、対向面に被狭持面37を備え、前記一対の第一ジョイント30は前記連結端33においてそれぞれ、前記被狭持面37を狭持するための狭持面36を一面に備えており、かつ前記一対の第一ジョイント30を接合させた状態で、該連結端33において、前記第二ジョイント35の被狭持面37を狭持するため、前記狭持面36は、断面視コ字状に形成されており、前記第一ジョイント30の狭持面36及び前記第二ジョイント35の被狭持面37は、それぞれ中心から放射線状に一定のピッチで形成され、互いに歯合可能な歯合面50に形成されており、前記第一ジョイント30の狭持面36と前記第二ジョイント35の被狭持面37とが、所望の角度で歯合された状態で、該一対の第一ジョイント30同士で前記第二ジョイント35を狭持し、該第一ジョイント30及び第二ジョイント35がそれぞれ、前記垂直突出部6又は第一水平突出部7のいずれかにそれぞれ挿入され、前記第二ジョイント35が前記第一ジョイント30に対して該所定の角度を維持した状態で固定できる。これにより、固定パイプを折曲して固定する構造を極めて簡単に、所望の角度に折曲した状態で保持でき、機械的強度を十分に発揮しつつ折曲させる支持構造が実現される。
また、第2の側面に係る黒板装置によれば、前記歯合面50が、断面視凹凸条又は鋸刃状に形成できる。これにより、歯合面において凹凸条又は鋸刃状に形成された当接面によって回転や捻りに対する抵抗力を発揮できる。
さらに、第3の側面に係る黒板装置によれば、前記垂直突出部6及び/又は前記第一水平突出部7の、前記連結具9の連結端33と連結する開口端縁43を中空円筒状とし、前記連結具9の連結端33を、該中空円筒状に挿入可能な棒状とし、前記中空円筒状と棒状との当接面を、凹凸条に形成できる。これにより、中空円筒状に挿入された棒状が、凹凸条によって中空円筒状内面での回転を阻止されて、固定パイプの捻れの方向に対する耐性も十分に発揮でき、これらを確実に連結状態に保持し固定できる利点が得られる。
さらにまた、第4の側面に係る黒板装置によれば、前記垂直突出部6及び前記第一水平突出部7が、端縁を開口したパイプ状に形成されており、かつ該パイプ状開口端縁43の内面には、それぞれ断面視歯車状の第一凹凸条41が形成され、前記第一ジョイント30及び第二ジョイント35の挿入端34の外面には、前記第一凹凸条41と歯合する第二凹凸条42を形成できる。これにより、パイプ状開口端縁と挿入端との接続界面において、連結後に回転する事態を簡単な構造で効果的に阻止でき、安定的な支持構造が得られる。
さらにまた、第5の側面に係る黒板装置によれば、前記垂直突出部6が、前記主黒板1の背面側に配置されると共に、前記主黒板1の上方のみならず下方からも突出するように延長されており、さらに前記垂直突出部6の下端では、前記第一水平突出部7の突出方向とは逆側に突出された第二水平突出部8を備えており、前記第二水平突出部8の先端に、前記第一水平突出部7の先端に固定された前記投影装置PJの重量とバランスさせることが可能なウェイトWTを固定できる。これにより、重量物である投影装置を主黒板の上方から前方に突出させた状態で、反対側にウェイトを配置することで、投影装置をバランスさせることができ、投影装置の安定的な保持に有利となる。
さらにまた、第6の側面に係る黒板装置によれば、前記垂直突出部6を、前記主黒板1の背面で旋回自在に固定できる。これにより、投影装置を主黒板の前方でスイングさせることが可能となり、非使用時には投影装置を側方に位置させて収納状態とできる利点が得られる。
さらにまた、第7の側面に係る黒板装置によれば、前記固定パイプ5を円柱状に形成できる。これにより、固定パイプをユーザが手で把持して回転させ易くできる利点が得られる。
さらにまた、第8の側面に係る黒板装置によれば、前記固定パイプ5が中空状に構成され、さらに前記第一ジョイント30及び第二ジョイント35が、それぞれ内部に空間を形成しており、前記第一ジョイント30及び第二ジョイント35で構成される前記連結具9を介して、前記垂直突出部6と第一水平突出部7とを連結した状態で、前記固定パイプ5の中空状と、前記第一ジョイント30及び第二ジョイント35の内部空間とが連通されるよう構成できる。これにより、投影装置を固定する固定パイプ同士を折曲させた状態で固定する際に、連結具を介して中空状の空間同士の間が連通されるため、この部分に投影装置のケーブル等を挿通させることが可能となる。この結果、固定パイプを介した投影装置の電気配線が可能となり、外部にケーブルやハーネス類を表出させず、外観上すっきりできると共に、配線の手間や引っかけによる事故を回避できる。特に教育機関において投影装置とパソコン等の信号源との電気接続を簡素化できることは、使い勝手の向上の観点からは極めて有利となる。
さらにまた、第9の側面に係る黒板装置によれば、前記第一ジョイント30及び第二ジョイント35の、互いに連結するための狭持面36及び被狭持面37を設けた一方の端縁において、半円状に形成して該第一ジョイント30及び第二ジョイント35の先端から突出された半円状突出部を備えており、かつ該半円状突出部の円状の略中心から放射状に前記歯合面50が形成されており、前記第一ジョイント30及び第二ジョイント35の狭持面36及び被狭持面37において、半円状突出部で歯合させた状態で、前記第一ジョイント30及び第二ジョイント35の狭持面36及び被狭持面37を、前記垂直突出部6及び前記第一水平突出部7のパイプ状端縁にそれぞれ挿入して、連結状態を保持しつつ固定することができる。これによって、簡単な構造としながら確実に折曲姿勢にて連結パイプ同士を固定でき、黒板装置の投影装置のような重量物でも安定して保持できる利点が得られる。
さらにまた、第10の側面に係る黒板装置によれば、前記一対の第一ジョイント30を、互いに異なる形状に形成できる。このように第一ジョイントを非対称に形成し、一方の第一ジョイントを大きく形成することによって、固定パイプや第二ジョイントとの連結部分における連続成形部分を増し、剛性を高めることができる。
さらにまた、第11の側面に係る黒板装置によれば、前記一対の第一ジョイント30の一方が第一サブジョイント31であり、他方が第二サブジョイント32であり、前記第一サブジョイント31の挿入端34側が、断面視において半円以上の大きさに形成されており、前記第二サブジョイント32の挿入端34側が、断面視において半円以下の大きさに形成されており、前記第一サブジョイント31と第二サブジョイント32とが接合されて第一ジョイント30が構成された状態で、該第一ジョイント30の挿入端34が断面視において略円形となるよう、前記第一サブジョイント31及び前記第二サブジョイント32の挿入端34側がそれぞれ、相補的に形成されてなり、さらに前記第一サブジョイント31の連結端33側を、略L字状に形成してなり、一方で第二サブジョイント32の連結端33側を、略平板状に形成してなり、前記第一サブジョイント31と第二サブジョイント32とが接合された状態で、前記第一サブジョイント31の略L字状に前記第二サブジョイント32の略平板状を重ねることで、断面視コ字状の連結端33を形成するよう構成できる。これにより、第一サブジョイントと第二サブジョイントとの接合を容易としつつ、挿入端34側を円形状に、連結端33側を断面視コ字状に、それぞれ形成することができ、さらに第一サブジョイントを第二サブジョイントよりも大きく成形することで、捻り等に対する剛性を高めることが可能となる。加えて、断面が半円以上となるように形成された第一サブジョイントには、組立時において配線用のケーブル等を保持しやすくなり、作業性を向上できる利点も得られる。特に、第一ジョイントを垂直方向に二分割する構成では、左右対称に等分すると、ケーブル類を第一ジョイントに挿入する際に、保持することが困難となる。そこで上述の通り、第一サブジョイントを半円以上に大きくすることによって、接合前の状態でもケーブル類を第一サブジョイント内に保持させ易くでき、組立作業時にケーブルをセットしやすいという利点が得られる。
さらにまた、第12の側面に係る黒板装置によれば、さらに前記主黒板1の主面上に配置可能なスクリーン体4を備え、前記投影装置PJは、前記主黒板1の主面上に配置された前記スクリーン体4上に映像を投影可能に構成できる。これにより、投影装置の投影画像をスクリーン体上に鮮明に表示することができる。
さらにまた、第13の側面に係る黒板装置によれば、前記スクリーン体4が巻き取り式であり、前記主黒板1に展開可能とすると共に、非使用時には巻き取って収納自在に構成できる。これにより、非使用時にはスクリーン体を巻き取って収納できるので、主黒板に板書等を行う際にはこれを効率よく利用できる利点が得られる。
さらにまた、第14の側面に係る黒板装置によれば、さらに前記主黒板1の主面に沿って摺動可能な状態に連結された移動体10を備えており、前記スクリーン体4が、前記移動体10に設けられており、前記主黒板1の主面上の所望の位置に前記スクリーン体4を展開自在に構成できる。これにより、スクリーン体を主黒板に配置する位置を自在に調整でき、主黒板の板書等に応じてスクリーン体の配置位置を変更でき、使い勝手を向上できる利点が得られる。
さらにまた、第15の側面に係る黒板装置によれば、前記主黒板1を壁面WLに固定できる。これにより、固定式の黒板においても、固定パイプの折曲構造を容易に実現できる。
さらにまた、第16の側面に係る黒板装置によれば、さらに前記主黒板1を自立状態で保持するフレーム体2と、前記フレーム体2の下面に固定された移動可能なキャスター3とを備えることができる。これにより、移動式の自立黒板装置において、連結パイプ同士の固定構造を簡素化できる。
さらにまた、第17の側面に係る黒板装置によれば、前記垂直突出部6が、前記主黒板1の背面側に配置されると共に、前記主黒板1の上方のみならず下方からも突出するように延長されており、さらに前記垂直突出部6の下端では、前記第一水平突出部7の突出方向とは逆側に突出された第二水平突出部8を備えており、前記第二水平突出部8に、キャスター3を固定できる。これにより、移動式の自立黒板装置において、連結パイプ同士の固定構造を簡素化できる。
さらにまた、第18の側面に係る黒板装置によれば、前記主黒板1をホワイトボードとできる。
さらにまた、参考例に係る連結具によれば、第一固定パイプと、第二固定パイプとを連結するための連結具9であって、前記第一固定パイプ又は第二固定パイプのいずれか一方に挿入される挿入端34を備えた一対の第一ジョイント30と、前記第二固定パイプ又は第一固定パイプのいずれか他方に挿入される挿入端34を備えた第二ジョイント35とを備え、前記第一ジョイント30及び第二ジョイント35はそれぞれ、前記挿入端34の反対側の端縁で、該第一ジョイント30及び第二ジョイント35を連結するための連結端33を備えており、前記第二ジョイント35は前記連結端33において、前記一対の第一ジョイント30の間に狭持されるよう、対向面に被狭持面37を備え、前記一対の第一ジョイント30は前記連結端33においてそれぞれ、前記被狭持面37を狭持するための狭持面36を一面に備えており、かつ前記一対の第一ジョイント30を接合させた状態で、該連結端33において、前記第二ジョイント35の被狭持面37を狭持するため、前記狭持面36は、断面視コ字状に形成されており、前記第一ジョイント30の狭持面36及び前記第二ジョイント35の被狭持面37は、それぞれ中心から放射線状に一定のピッチで形成され、互いに歯合可能な歯合面50に形成されており、前記第一ジョイント30の狭持面36と前記第二ジョイント35の被狭持面37とが、所望の角度で歯合された状態で、該一対の第一ジョイント30同士で前記第二ジョイント35を狭持し、該第一ジョイント30及び第二ジョイント35がそれぞれ、前記第一固定パイプ又は第二固定パイプのいずれかにそれぞれ挿入され、前記第二ジョイント35が前記第一ジョイント30に対して該所定の角度を維持した状態で固定可能に構成できる。これにより、固定パイプを折曲して固定する構造を極めて簡単に、所望の角度に折曲した状態で保持でき、機械的強度を十分に発揮しつつ折曲させる支持構造が実現される。
さらにまた、参考例に係る連結具によれば、前記連結具9の連結端33を、前記第一固定パイプ及び/又は前記第二固定パイプの、前記連結具9の連結端33と連結する中空円筒状の開口端縁43に挿入可能な棒状とし、前記中空円筒状と棒状との当接面を、凹凸条に形成できる。これにより、中空円筒状に挿入された棒状が、凹凸条によって中空円筒状内面での回転を阻止されて、固定パイプの捻れの方向に対する耐性も十分に発揮でき、これらを確実に連結状態に保持し固定できる利点が得られる。
さらにまた、参考例に係る連結具によれば、前記第一固定パイプ及び前記第二固定パイプが、端縁を開口したパイプ状に形成されており、かつ該パイプ状開口端縁43の内面には、それぞれ断面視歯車状の第一凹凸条41が形成され、前記第一ジョイント30及び第二ジョイント35の挿入端34の外面には、前記第一凹凸条41と歯合する第二凹凸条42が形成できる。これにより、パイプ状開口端縁と挿入端との接続界面において、連結後に回転する事態を簡単な構造で効果的に阻止でき、安定的な支持構造が得られる。
さらにまた、参考例に係る連結具によれば、端縁を中空円筒状の開口端縁43とし、かつその内面には断面視歯車状の第一凹凸条41が延長方向に形成されてなる固定パイプ同士を連結するための連結具9であって、内部を中空状とする円筒状の金属製とし、全体を所定の角度に折曲しており、両端に、前記固定パイプに挿入するための挿入端34を備えており、前記挿入端34は、前記開口端縁43の内面に挿入可能な外径にすると共に、該挿入端34の外面には、前記第一凹凸条41と歯合する第二凹凸条42が延長方向に形成できる。これにより、予め折曲させた連結具を使用し、固定パイプ同士を折曲状態で連結することを容易としつつ、挿入端の第二凹凸条を固定パイプの第一凹凸条と歯合させることで、連結面での回転を阻止して、捻れ方向に対する剛性を高めた強固な連結構造を得ることが可能となる。特に円筒状のパイプは回転方向に対する剛性が最も高く、また側面に凹凸条を延長方向に沿って設けたこととも相俟って、金属製パイプの強度を一層高める効果が期待できる。
さらにまた、参考例に係る連結具によれば、前記折曲角度を略90°とできる。これにより、使用頻度の高い略直角とする固定パイプの折曲を容易に実現でき、かつ捻れに対する剛性を高める効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための、黒板装置を例示するものであって、本発明は、黒板装置を以下のものに特定しない。なお、特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
(実施例1)
本発明の実施例1に係る黒板装置を、図1〜図13に基づいて説明する。これらの図において、図1は本発明の実施例1に係る黒板装置100の斜視図、図2は図1において、垂直突出部6を旋回させた状態を示す斜視図、図3は図1の黒板装置100を側面から見た側面図、図4は図1の黒板装置100を上面から見た平面図、図5は図4において、垂直突出部6を旋回させた状態を示す平面図、図6は図1の黒板装置100の、固定パイプ部分を示す斜視図、図7は図6の固定パイプ同士を連結する連結具9を示す拡大図、図8A(a)は図7の連結具9を上面から見た模式図、図8A(b)は図7の連結具9を右側面から見た模式図、図8Bは図7の連結具9の6面図であって、図8B(a)は正面図、図8B(b)は正面図、図8B(c)は底面図、図8B(d)は左側面図、図8B(e)は右側面図、図8B(f)は背面図をそれぞれ示しており、図9は図7の連結具9の分解斜視図、図10は図9を背面側から見た分解斜視図、図11は第一サブジョイント31の6面図であって、図11(a)は正面図、図11(b)は正面図、図11(c)は底面図、図11(d)は左側面図、図11(e)は右側面図、図11(f)は背面図をそれぞれ示しており、図12は第二サブジョイント32の6面図であって、図12(a)は正面図、図12(b)は正面図、図12(c)は底面図、図12(d)は左側面図、図12(e)は右側面図、図12(f)は背面図をそれぞれ示しており、図13は第二ジョイント35の6面図であって、図13(a)は正面図、図13(b)は正面図、図13(c)は底面図、図13(d)は左側面図、図13(e)は右側面図、図13(f)は背面図を、それぞれ示している。これらの図に示す黒板装置100は、フレーム体2と、フレーム体2に固定された主黒板1と、主黒板1の主面に沿って摺動可能な状態に連結された移動体10と、移動体10から巻き取り式に展開可能なスクリーン体4と、スクリーン体4に映像を投影するための投影装置PJと、投影装置PJを主黒板1の上方に固定するための固定パイプ5とを備えている。固定パイプ5は、フレーム体2に対して旋回式に固定された垂直突出部6(第一固定パイプに相当)と、垂直突出部6の上端から水平に延びるよう固定され、先端に投影装置PJを固定するための第一水平突出部7(第二固定パイプに相当)と、垂直突出部6の上端から水平で、第一水平突出部7と反対方向に延びるよう固定された第二水平突出部8とで構成される。特に垂直突出部6は、上端を主黒板1の上部から、上方に向かって突出させると共に、下端は主黒板1の下部から下方に向かって突出させている。また垂直突出部6と第一水平突出部7、及び第二水平突出部8とは、それぞれ連結具9により固定されている。フレーム体2は、主黒板を固定するための骨組みであり、金属製の角材等で構成される。またフレーム体2の下面には、キャスター3が固定される。キャスター3は水平面内に回転可能な車輪であり、これによってフレーム体3を自在に移動し易くできる。
実施例1の黒板装置100は、この黒板装置100と接続した映像ソース供給装置の情報を、投影装置PJでスクリーン体4や黒板上に投影することができる。また映し出された画面を、位置検知できる映像ソース供給装置でもって操作することで、この操作が映像ソース供給装置を介して画面に反映されるインタラクティブな黒板装置である。以下に実施例1の黒板装置100を説明する。なお本明細書において、黒板装置100に記載された内容を視認できる表面側を「前」とし、黒板装置の裏面側を「後」とする。
実施例1の黒板装置100は、垂直姿勢に保持される主黒板1と、この主黒板1の主面、すなわち前面に沿って移動できる状態で主黒板1に連結した移動体10を備える。図の移動体10は、主黒板1の前面との間に空間を形成するよう離間させた垂直姿勢(主黒板1の上下方向)で、水平方向(主黒板1の左右方向)に移動可能な棒状のハンドル部11を有する。ユーザは、図1、図2の状態の黒板装置100において、ハンドル部11を右方向に引く、あるいは押すことで、移動体10を右方向に移動させることができる。同様に移動体10を左方向に押圧することで、移動体10を左方向に移動させることができる。つまり移動体10は、主黒板1の横幅の範囲内で水平方向に自在に位置決めされる。
また移動体10は、主黒板1の端面に沿って摺動できる上面摺動板13を備えている。上面摺動板13はハンドル部11に連結されており、ハンドル部11に連動する。したがってハンドル部11の略水平移動に伴い、上面摺動板13は主黒板1の端に沿いながら略水平に移動する。さらにハンドル部11の下端には、置き棚部16が固定されている。置き棚部16は、主黒板1の前面側に映像を投影可能な投影装置PJに映像情報を供給するパソコンPCを載置可能としている。したがってハンドル部11を水平移動させると、置き棚部16に載置したパソコンPCもハンドル部11と一緒に水平移動し、主黒板1の前面に沿って横方向に移動できる。置き棚部16は、図2に示すように扉を閉めた状態から開放状態とすると、扉の裏面がテーブル状となって、パソコンPC等を載置できる。またこの置き棚部16には、パソコンPCと接続するための各種インターフェースが設けられる。このような接続インターフェースとしては、映像信号用のD−SUB端子やHDMI端子、音声入力端子やネットワーク接続のためのLAN接続端子、電源供給用のサービスコンセント等が挙げられる。また、好ましくはLANケーブルやHDMIケーブル等のケーブル類を置き棚部16に予め設けておくことで、パソコンPCとの接続をスムーズに行える。
さらに黒板装置100は、主黒板1の前面に配置可能なスクリーン体4を有する。スクリーン体4は、投影装置PJから投影される画面を映し出すことができる映写幕である。このスクリーン体4は移動体10に連結され、詳しくはハンドル部11に固定端を装着されてハンドル部11に連動する。図1、図2等のスクリーン体4は巻き取り式である。スクリーン体4を主黒板1上に配設する際には、ユーザがまず移動体10のハンドル部11を横方向に移動させ、所望の位置で停止させた後、スクリーン体4の自由端を引き出すことで主黒板1の前面上の所望の位置にスクリーン体4を配設できる。
(投影装置PJ)
第一水平突出部7に固定される投影装置PJとしては、主に画像を投影するプロジェクタが利用できる。またプロジェクタに接続して映像ソースを供給するための映像ソース供給装置は、置き棚部16に配置する。このような映像ソース供給装置としてはパーソナルコンピュータPCが好ましい。ただ、映像ソース供給装置は必須でなく、例えば投影装置に映像ソースを内蔵したり、或いは映像ソース供給装置を投影装置に統合したものも使用できる。例えばプレゼンテーションファイルを半導体メモリに格納し、プロジェクタに挿入して、プレゼンテーションファイルを切り替えて表示するタイプの投影装置は、別途映像ソース供給装置を用意することなく、映像の表示が可能となる。また、本明細書において映像には静止画に限らず動画も含まれる。また投影装置や映像ソース供給装置に適宜スピーカ等を付加することも可能である。この例では、ライトペンやデジタイザ、マウス等のポインティングデバイスを利用可能としている。さらに映像ソース供給装置と投影装置とは電気的に接続するが、その通信手段は特に限定されず、例えばUSBやLAN、IEEE1339等のシリアルあるいはパラレル接続が利用できる。また有線に限らず、無線方式としてもよい。無線方式としては無線LANやRF、赤外線通信や光通信等、既存の通信方式が適宜利用できる。また映像ソース供給装置と投影装置間の情報のやりとりに限られず、電源供給も無線化したり、あるいはバッテリ駆動としてもよい。無線方式は、接続コードやケーブル類を省略し、あるいは本数を低減して、取り回しがよく好ましい。
また第一水平突出部7における投影装置PJの固定位置は、主黒板1上に展開されるスクリーン体4上に焦点を合わせることができるように設定される。すなわち、投影される映像の大きさや、投影装置の焦点距離に応じて、第一水平突出部の長さが選択され、投影装置はこの第一水平突出部の先端に固定される。このようにすることで、ユーザは投影装置の焦点の調整作業等を行うことなく、投影装置の電源をONするのみで直ちに使用でき、面倒な調整作業を不要にでき、好ましい。
投影装置PJには周知のものが利用できる。図の例では、スクリーン体4の前面に投影装置PJを配置して、スクリーン体4に直接投影させているが、反射式のプロジェクタを利用することもできる。この場合は、プロジェクタを主黒板の上面に固定し、第一水平突出部に固定された反射体で映像を反射させて、主黒板上に展開されたスクリーン体に映像を表示させる。反射式のプロジェクタを用いる場合は、プロジェクタを懸吊せずとも主黒板の上面に固定して、安定的に保持できる利点が得られる。半面、反射体であるミラー等が振動すると映像が揺れやすくなり、また光量が相対的に少なくなるという欠点もある。なおいずれの場合も、プロジェクタPJの投影方向を調節できる角度調整機構を設けることが好ましい。角度調整機構は上下の仰角や左右方向を調整するスイーベル機構等を備えることができる。
(主黒板1)
主黒板1は、板書が可能な主面を備えるボードであり、ユーザはチョーク等を用いて板書を行うことができる。また、金属製とすることで、マグネット等の磁性体を吸着できる。また主黒板1には、チョークを使用して描くいわゆる黒板の他、マーカ等を使用して描くホワイトボードを利用することもできる。このように本明細書においては、「黒板」をホワイトボードも含める概念として使用する。またホワイトボードを利用する場合は、スクリーン体を別途設けることなく、直接投影装置の映像をホワイトボードに投影することも可能である。また黒板を用いる場合であっても、必要なコントラストが得られる場合は、スクリーン体を介さずに主黒板上に直接映像を投影することもできる。さらにスクリーン体は巻き取り式等の収納型に限らない。あるいはスクリーン体に代えて、もしくはこれに加えて、ディスプレイ装置を採用することもできる。ディスプレイ装置としては大画面液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機EL、SED等のFED、その他の薄型ディスプレイユニット等を採用できる。ディスプレイ装置は主黒板1の主面上に移動可能に配設してもよい。この構成であれば、投影装置を別途使用することなく、映像ソース供給装置からのデータを直接ディスプレイ装置上に表示することもできる。あるいはディスプレイ装置に代えて、平板状のいわゆるホワイトボードで構成してもよい。また、これらディスプレイ装置やホワイトボードを、非使用時に収納できる補助装置収納部を設けてもよい。補助装置収納部は、例えば主黒板1の主面に戸袋状に設ける。さらに戸袋状の補助装置収納部の前面も黒板として利用することで、黒板を有効利用できる。
主黒板1は、四角形の板状であり、図の例では横に細長い長方形である。主黒板1は文字や図形を書いたり消したりできるように前面に黒板塗料を塗布したものであって、チョークで文字や図形を書くことができる有色の塗板である。また上述の通り、消すことができるインクで文字や図形を書くことができる白板とすることもできる。さらに主黒板1の前面には磁石を貼り付けることができる。磁石を貼り付けられる主黒板1は、黒板塗料に金属粉を混入させることで、あるいは板面を金属製とすることで得られる。黒板塗料に含有させる金属粉は鉄粉が利用でき、また金属製の板面としては鋼製や鉄ホウロウ製が耐性の面から好ましい。
(スクリーン体4)
移動体10に連結するスクリーン体4は、文字や画像を映写するための幕である。スクリーン体4は公知のものを採用でき、半透明または不透明なスクリーンとする。また、指やライトペン等で直接スクリーン体に触れて、接触した位置を信号としてコンピュータに送信できる入力機能を備えたタッチスクリーンも利用できる。スクリーン体の表面にはツールの絵等文字や図形が予め印刷されていてもよい。例えば、スクリーン体の一部に、よく使う機能をアイコンにして並べて表記したツールボックスを設けることもできる。或いは、これらのツールボックスはソフトウェア的に実現することもでき、パソコンPCにインストールされたプレゼンテーションソフトウェアの機能を利用して、消しゴムやペン等の描画ツールを実現することもできる。
また図1、図2のスクリーン体4は、上述の通り、巻き取りできるスクリーンである。スクリーン体4は、巻き取り軸を中心として巻き取り方向に巻き取り軸を付勢している。ユーザは、この付勢力に抗して巻き取り状態にあるスクリーン体4の固定端側に対して自由端側を水平方向に引き出すことで、スクリーン体4を展開でき、スクリーン体4の引き出し量によってスクリーン体4の展開量を任意に設定できる。
またスクリーン体4の一部を展開した状態に維持することもできる。スクリーン体4の巻き取り軸は、スクリーン体4の固定端に相当する第2の端部(黒板装置100の視認方向において左端)と連結しており、スクリーン体4の他端側に相当する右端は自由端とする。図の例ではスクリーン体4の左端と巻き取り軸とが連結して固定されており、スクリーン体4はロール状に巻き取られた状態を基本姿勢とする。そしてスクリーン体4の右端を巻き取り軸から引き出して水平方向に移動させることでスクリーン体4を展開させる。この結果、スクリーン体4の引き出し量に応じて、スクリーン体4の展開量を自由に設定できる。実施例1の黒板装置100は、主黒板1に対して移動体10を水平に移動でき、主黒板1の位置決めされた場所を基準にしてスクリーン体4を水平方向に開閉可能として、スクリーン体4の展開量を自由に設定できる。
また実施例1の黒板装置100は、ハンドル部11と主黒板1との相対位置を略固定するハンドルロック機構を備えてもよい。ハンドルロック機構は、主黒板1に固定されたハンドルロック受容体と、移動体10に固定されたハンドルロック係止体とを備える。この黒板装置100は、ハンドル部11の操作により、主黒板1に対して移動体10を水平移動させ、ハンドルロック係止体とハンドルロック受容体71とを近接可能としている。ユーザがハンドルロック係止体72とハンドルロック受容体71とを係止させることで、移動体10の独立した水平移動を抑止でき、ハンドル部11やこれに連結された部材が不動状態となる。このようなハンドルロック機構としては、プッシュ錠等が好適に利用できる。またハンドルロック機構は単一に限らず、複数設けることもできる。
(移動体10)
移動体10は、主黒板1の前面から離れて垂直姿勢に配置されたハンドル部11を有する。黒板装置100のユーザはこのハンドル部11を把持して左右に引いたり押したりできる。実施例1のハンドル部11は細長い棒状であり、主黒板1の短辺と対応する長さであって、この短辺に対してほぼ平行な姿勢をとる。
(ハンドル部11)
またハンドル部11は、主黒板1の前面から離れて前面に浮かせた姿勢で固定され、またハンドル部11と主黒板1との隙間に収納空間を設けている。黒板装置100は、この収納空間に収納状態のスクリーン体4を配置可能としている。そして移動体10のハンドル部11と離間した状態でスクリーン体4を収納空間に収納できる。
収納空間を設けて主黒板1と離間させたハンドル部11はユーザが手で握りやすい。具体的に、黒板装置100のユーザは収納空間に手を入れて、ハンドル部11の外周面をしっかりと握ることができるため、ハンドル部11を操作しやすい。また、収納空間に位置されるスクリーン体4と離間して配置されるハンドル部11は、スクリーン体4が最も分厚くなる収納状態であっても、ハンドル部11とスクリーン体4との隙間に手を入れて、ハンドル部11をしっかりと把持できる。ハンドル部11の外周面を握ることができる移動体10は、ユーザの力を伝えやすく好ましい。またハンドル部11の外周の形状や太さは、ユーザが把持しやすいものとする。例えばハンドル部11の断面形状を円形、矩形とする他、指の形状に沿った凹部を移動体10の一部に設ける等して、種々の形状にできる。また垂直姿勢のハンドル部11は、垂直方向の任意の位置で把持できる。つまりユーザの身長に依存せず、ユーザはハンドル部11に手が届くため使用しやすい。
移動体10は、置き棚部16及やスクリーン体4と連結されて荷重がかかるため、頑丈な材質とする。ハンドル部11は金属製や合成樹脂等の成型品、あるいはこれらを組み合わせたものとする。ハンドル部11の材質はスチールや強化プラスチック等が好ましい。また上面摺動板13の材質はハンドル部11と同様とできる。ハンドル部11と同一材料から成型される上面摺動板13は、それぞれの膨張係数を等しくできるため、連結部による破損を低減できる。また移動体10は一体に成型して曲げ強度を高めることができる。あるいは移動体の材質を異なるものとし、これを連結した構造として、黒板装置の総量を軽減することもできる。
またハンドル部11を中空状とし、このハンドル部11の中空状に投影装置PJの配線を挿通する形態としてもよい。これにより詳しくは後述するがケーブルをすっきりと収納できる。あるいは移動体に専用のケーブル収納体を連結して、このケーブル収納体に投影装置PJの配線を収納し、移動体と連動させる形態としてもよい。ケーブル収納体は鉛直姿勢、すなわちハンドル部11に対して略平行に設け、内部に配線を挿通可能な鉛直方向に貫通する挿通穴を有する。これにより上方に載置される投影装置PJの配線を、このケーブル収納体の上端から下端に挿通させて、下方側で引き出された配線を映像ソース供給装置と連結する形態とできる。これにより主黒板1の上下に載置される付属装置、すなわち投影装置PJと映像ソース供給装置PC同士を連結する配線の露出を低減して破損を回避できる。また配線の絡まりや引っかけを防止できる。特に移動式のスクリーン体4と一体となってパソコンPC等の映像ソース供給装置を移動させることで、コードの絡まりを回避できる。
図1等に示す電源コードDCは、置き棚部16から延長され、外部電源に接続してパソコンPCやプロジェクタPJに電力を供給する。電源コードDCは伸縮式が好ましく、例えばカールコードとする。伸縮自在な電源コードDCは長さを調節しやすい。またカールコードは基本の収縮状態の全長を最短とし、所要とする分量に応じて延伸するため、その全長を必要最小限に制限できる。またプラグを差し込むソケットを黒板装置100に近接して配置することで、電源コードDCの全長を低減させることができる。あるいは電源コードDCを巻き取り式としてもよい。電源コードDCを巻き取り式とする黒板装置100は、移動体10の移動量に応じて電源コードDCを引き出したり巻き付けたりできる。コードの長さを調節できる黒板装置100は、表出される配線を少なくして便利に使用できる。
また、黒板装置100はさらに別の付属装置を備えることもできる。付属装置は電気機器やあるいは電力を供給する必要のないものを利用できる。電気機器としては電動クリーナ、スキャナ、センサ、プリンタ、コンピュータ等が挙げられる。非電気機器としてはチョークやペン、黒板消し等の備品を収納する引き出し式の収納箱や、資料を系止できるフック等が挙げられる。また、実施例1の黒板装置は、これらの付属装置を予め備える形態としてもよく、付属装置を装備した状態をも含む意味で使用する。付属装置を装備した黒板装置100は、予め付属装置の特性に応じた位置に付属装置を固定できるため、付属装置の初期設定を省略できる。
(固定パイプ5)
固定パイプ5は、金属製の中空円筒状パイプが利用できる。この固定パイプ5は、主黒板1の背面で、垂直突出部6を回転軸として回転自在に固定されている。この結果、図1〜図2、図4、図5に示すように、第一水平突出部7を旋回させることができ、投影装置PJの位置を主黒板1の前方から側面に移動できる。すなわち、投影装置使用時には、図1、図4に示すように、投影装置PJを使用位置に位置させる。すなわち、第一水平突出部7を主黒板1の主面からほぼ垂直な姿勢として、第一水平突出部7の先端に固定された投影装置PJを主黒板1から最大限離間させる。これにより、投影装置PJから投影された映像を、主黒板1上に展開されたスクリーン体4上に表示できる。
また投影装置非使用時には、図2及び図5に示すように、投影装置PJを収納位置に位置させる。すなわち、第一水平突出部7が主黒板1の主面とほぼ平行な姿勢となるように回転させる。この結果、投影装置PJが主黒板1から突出せず、投影装置PJが邪魔になることがない。また必要に応じてスクリーン体4を巻き取って移動体10に収納し、主黒板1の広い面積を板書等に利用できる。
このように投影装置PJを収納式とすることで、使用時のみ投影装置PJを突出させ、非使用時には収納状態と切り替えることが可能となって、黒板装置の使い勝手を向上できる。特に投影装置PJを主黒板1の上方又は後方に待避させることで、教育現場においては児童や学生のいたずらを防止し、また地震等によって投影装置PJが教師や児童の頭上から落下する事故を回避でき、安全性の面からも好ましい。
なお固定パイプは、使用位置と収納位置において、それぞれ回転しないよう保持するためのロック機構を設けてもよい。ロック機構は、例えばねじの進行で垂直突出部を押圧して回転を阻害したり、あるいは垂直突出部に対してばね式に突出する突起を設けて、使用位置と収納位置に対応して、この突起を収納する突起穴を開口させ、突起を突起穴に挿入して回転を阻害させる等、回転を一時的に止めるための既知の構成が適宜利用できる。
このように固定パイプ5を円筒状とすることで、垂直突出部6の外周を回転軸として回転させ易いことに加え、ユーザも垂直突出部6を把持しやすくなり、操作性にも優れる。また、円柱状の外形は、捻れに対する剛性が角材等と比較して優れている上、連結部分においては後述する凹凸条を延長方向に沿って設けていることから、補強効果が高まるという利点も得られる。加えて、内部を中空状のパイプとすることで、ケーブル類を内部に収納させることが可能となり、ケーブル類の取り回しの面でも有利となる。
(ウェイトWT)
固定パイプ5は図3及び図6に示すように、側面視S字状に折曲させている。特に、垂直突出部6の上端に折曲姿勢で固定した第一水平突出部7と、垂直突出部6の下端に同じく折曲姿勢で固定した第二水平突出部8とが、互いに逆方向に突出するよう構成している。そして、第二水平突出部8の先端には、投影装置PJの重量に対応するウェイトWTを配置している。この構成によって、重量のある投影装置を使用しても、投影装置を使用位置に移動させた状態で黒板装置のバランスが悪くなって不安定になったり、前方に倒れやすくなる事態を回避できる。また第二水平突出部8の下端にはキャスター3を設けることで、重量のあるウェイトWTを黒板装置の設置面で支持することができ、安定性が増す。
ウェイトWTの重さは、投影装置PJの重量と第二水平突出部8における固定位置に応じて決定される。例えば、第二水平突出部を第一水平突出部よりも長くし、かつウェイトを第二水平突出部の先端に固定する場合は、投影装置よりも軽いウェイトを使用できる。好ましくは、第二水平突出部と第一水平突出部の長さをほぼ等しくし、またウェイトの重さを投影装置とほぼ等しくする。これによって、バランスよくウェイトを配置して、ユーザは固定パイプ5を旋回させやすく、また投影装置の位置によらず黒板装置をバランスよく利用できる。ウェイトには金属ブロック等が好適に利用できる。
(連結具9)
固定パイプ5は、上述の通り垂直突出部6と、その上下に折曲姿勢で固定された第一水平突出部7及び第二水平突出部8で構成される。そして、これら垂直突出部6と、第一水平突出部7及び第二水平突出部8とは、それぞれ連結具9によって固定される。連結具9は、図7〜図13に示すように、一対の第一ジョイント30と、これら第一ジョイント30で狭持される第二ジョイント35とで構成される。第一ジョイント30及び第二ジョイント35はそれぞれ、垂直突出部6又は第一水平突出部7のいずれか一方に挿入される挿入端34を備えており、また挿入端34と反対側の端部は、第二ジョイント35又は第一ジョイント30と連結するための連結端33としている。なおこの例では、第一ジョイント30を第一水平突出部7に、第二ジョイント35を垂直突出部6に、それぞれ挿入する構成を示している。もちろん、これとは逆に第二ジョイントを第一水平突出部に、第一ジョイントを垂直突出部に、それぞれ挿入する構成も同様に採用できることはいうまでもない。
(連結端33)
第二ジョイント35は連結端33において、一対の第一ジョイント30の間に狭持されるよう、対向面に被狭持面37を形成している。一方で一対の第一ジョイント30は連結端33においてそれぞれ、被狭持面37を狭持するための狭持面36を一面に備えている。また図8A(a)に示すように、一対の第一ジョイント30を接合させた状態で、連結端33には、第二ジョイント35の被狭持面37を狭持するため、狭持面36は、断面視コ字状に形成されている。さらに一対の第一ジョイント30の狭持面36同士の間で、第二ジョイント35の被狭持面37を狭持した状態で、連結端33の反対側に設けた挿入端34を、図9、図10に示すように、垂直突出部6、第一水平突出部7の開口端縁43にそれぞれ挿入して固定する。またこの状態で連結具が垂直突出部、第一水平突出部から抜け落ちないように、ピンやねじ等、連結具と垂直突出部、第一水平突出部とを固定するための固定部材を付加することもできる。
(挿入端34)
第一ジョイント30及び第二ジョイント35の挿入端34はそれぞれ棒状に形成され、垂直突出部6及び第一水平突出部7の端縁に開口された中空円筒状の開口端縁43に、それぞれ挿入される。ここで、中空円筒状と棒状との当接面は、凹凸条に形成される。このように形成することで、中空円筒状に挿入された棒状が、凹凸条によって中空円筒状内面での回転を阻止されて、投影装置PJの自重等によって第一水平突出部7が回転する事態を回避できる。また、凹凸面の形成によって固定パイプの捻れの方向に対する耐性が付加され、上述した固定パイプと同様、外形を円柱状とすることで捻れに対する剛性を高めたこととも相俟って、パイプ自体の強度が凹凸条によって向上されるという副次的な効果も得られる。
(第一サブジョイント31、第二サブジョイント32)
図8A〜図12に示す第一ジョイント30は、二分割されて、一対の第一サブジョイント31と第二サブジョイント32とで構成される。この例では、第一サブジョイント31と第二サブジョイント32とは、非対称に形成されている。具体的には、第一サブジョイント31の挿入端34側が、断面視において半円以上の大きさに形成されており、第二サブジョイント32の挿入端34側が、断面視において半円以下の大きさに形成されている。これら第一サブジョイント31と第二サブジョイント32とを接合して第一ジョイント30を構成した状態で、この第一ジョイント30の挿入端34が断面視において略円形となるよう、第一サブジョイント31及び第二サブジョイント32の挿入端34側はそれぞれ、相補的に形成されている。
またこの例では、第一サブジョイント31の連結端33側は、狭持面36を形成する部位を階段状としたL字状に形成している。一方の第二サブジョイント32は、連結端33側を、狭持面36を形成する部位をほぼ平板状に形成している。このようにすることで、第一サブジョイント31と第二サブジョイント32とが接合された状態で、第一サブジョイント31のL字状に第二サブジョイント32の平板状を重ねることで、図8A(a)に示すように断面視コ字状の連結端33を形成することができる。このように第一サブジョイント31を第二サブジョイント32よりも大きく成形することで、固定パイプ5や第二ジョイント35との連結部分における連続成形部分を増して、剛性を高める効果が期待できる。加えて、断面が半円以上となるように形成された第一サブジョイント31には、組立時において配線用のケーブル等を保持しやすくなり、作業性を向上できる利点も得られる。特に、第一ジョイントを垂直方向に二分割する構成では、左右対称に等分すると、ケーブル類を第一ジョイントに挿入する際に、保持することが困難となる。そこで上述の通り、第一サブジョイント31を半円以上に大きくすることによって、接合前の状態でもケーブル類を第一サブジョイント31内に保持させ易くでき、組立作業時にケーブルをセットしやすいという利点が得られる。
なお、図示しないが第一サブジョイントと第二サブジョイントとを、同一の形状に構成することも可能である。このように第一ジョイントを左右対称に二分割する構成によれば、同じ金型等を使用して第一サブジョイント及び第二サブジョイントを形成して製造コストを低減でき、また組立時において部品の取り違えもなく作業効率も向上できるメリットが得られる。
(凹凸条)
垂直突出部6及び第一水平突出部7の開口端縁43は、上述の通りパイプ状に形成されている。このパイプ状開口端縁43の内面には、図9に示すように断面視歯車状の第一凹凸条41が連結パイプの延長方向に形成される。一方、第一ジョイント30及び第二ジョイント35の挿入端34は、開口端縁43の内面に挿入可能な外径にすると共に、この挿入端34の外面には、第一凹凸条41と歯合する第二凹凸条42が、同じく延長方向に形成されている。このような第一凹凸条41と第二凹凸条42との歯合構造によって、上述の通り連結具9と第一水平突出部7、垂直突出部6とが連結面において回転する事態が阻止される。これに加え、第一サブジョイント31と第二サブジョイント32を接合した状態で、これら接合後の第一ジョイント30の挿入端34では円筒周囲に沿って第二凹凸条42が形成される結果、この挿入端34を開口端縁43に挿入すれば、第一凹凸条41との歯合によって、第一サブジョイント31と第二サブジョイント32とが接合状態に固定されるという効果も得られる。いいかえると、第一サブジョイントと第二サブジョイントとをねじ等で予め固定しておく必要が無く、作業効率が極めてよいことに加え、これら第一サブジョイントと第二サブジョイントとの固定構造を省略できることで、第一サブジョイントと第二サブジョイントの形状を簡素化でき、製造コストの低減にも資する。
(角度調整機構)
この連結端33は、第一ジョイント30と第二ジョイント35とを、所望の角度に設定して固定する角度調整機構を備えている。角度調整機構を、図9の分解図に基づいて説明する。
(歯合面50)
連結具9の連結端33においては、歯合面50が設けられる。すなわち、第一ジョイント30の狭持面36と第二ジョイント35の被狭持面37はそれぞれ歯合面50に形成されている。各歯合面50は、中心から放射線状に一定のピッチで形成されており、他の歯合面50と歯合させることで、位置ずれを生じない状態に保持できる。言い換えると、第一ジョイント30と第二ジョイント35との連結部分は、第一ジョイント30の狭持面36と第二ジョイント35の被狭持面37とに設けられた歯合面50同士の歯合によって回転を阻止され、所定の角度に維持された状態にて固定できる。このように構成することで、固定パイプ5を折曲して固定する構造を極めて簡単に、所望の角度に折曲した状態で保持でき、機械的強度を十分に発揮しつつ折曲させる支持構造が実現される。この結果、十分な機械強度が求められる金属パイプを予め折曲させて形成せずとも、形成の容易な直線状の金属パイプを利用して、複数の金属パイプ同士を所望の角度に折曲した状態で簡単に連結でき、しかも十分な接続強度を備えることができるので、投影装置のような重量物の支持に好適な支持構造を容易に実現できる利点が得られる。
より具体的には、図9、図10等に示すように、第一ジョイント30の先端からは半円状の第一半円状突出部38を突出させている。半円状突出部の外面は、面取り状に形成され、内面側は、断面視コ字状の狭持面36としている。さらに狭持面36においては、円状の略中心から放射状に第一歯合面51が形成されている。一方、第二ジョイント35の先端からも半円状の第二半円状突出部39が突出されている。第二半円状突出部39は両側面をほぼ平行な平坦面とし、ここに被狭持面37として、円状の略中心から放射状に第二歯合面52を形成している。
これらの歯合面50は、互いに歯合可能に形成している。特に各歯合面50は一定のピッチで、すなわち放射線の角度を一定値としており、歯合面50同士を重ね合わせることができると共に、重ね合わせた状態では位置ずれしないように保持できる。しかも重ね合わせの際の回転位置、すなわち第一ジョイント30と第二ジョイント35が成す角度は、任意に設定できる。このため、ユーザは所望の角度で第一ジョイント30と第二ジョイント35の歯合面50同士を重ねた状態で、第二ジョイント35の被狭持面37を第一ジョイント30の狭持面36で狭持し、さらに挿入端34を固定パイプ5の開口端縁43に挿入することにより、所望の角度で固定パイプ5を接触させた状態にて固定できる。この構造は、固定パイプ同士を折曲状態で確実に固定でき、しかも構造が極めて簡単で傾斜角度の設定や変更も容易であり、重量物の支持構造として理想的である。このようにして、垂直突出部6と第一水平突出部7、第二水平突出部8とを折曲姿勢に連結して、図6等に示すように固定パイプ5を構築できる。
なお図9、図10の例では、歯合面50は断面視凹凸条に形成している。特に断面視の形状が垂直面を備えることで、回転方向に対する抵抗力を発揮できるので好ましい。ただ、凹凸条に限られるものでなく、鋸刃状や三角形状、その他の多角形状、面取りした矩形状等とすることもできる。あるいは複数のボスや円柱状突起等を均一に設けて、相補的な雄型と雌型に形成して一致させる構成としてもよい。いずれの場合も、歯合面同士の回転方向に抗するためには、垂直方向の壁面を設けることが好ましい。一方、例えば一方向への回転を禁止しつつ、逆方向への回転は許容するような用途においては、歯合面の形状を断面視垂直三角形とする等、一方向への回転を許容しつつ、他方への回転を禁止する戻り止めやデタント構造を採用することもできる。
このように、狭持面36と被狭持面37の歯合構造とし、一方で連結具と固定パイプ開口端縁43との挿入面を凹凸条として、ほぼ直交する面内での回転をいずれも阻止する構成を採用することにより、固定パイプ同士の連結構造において回転や捻れに対する十分な抵抗力を発揮し、機械的強度を増した安定的な連結が維持される。特に、構造上金属製のパイプを折曲する必要がある場合、金属製パイプの曲げ加工は手間がかかる上、折曲後に十分な強度を発揮できるように留意する必要がある。これに対して本実施例では、ストレートな金属パイプを利用して、折曲部分には専用の連結具を用いることで、構造を簡素化できる分、強度面での信頼性を高めることができる。加えて、凹凸条や歯合面を効果的に組み合わせることで、組立作業を簡単としつつも、連結強度は十分に発揮することができるので、金属パイプを連結して構築できる構造物への応用範囲は広く、有益である。
(コード挿入口45)
さらにこのような連結具を用いた連結パイプ同士の連結構造は、中空状の固定パイプを利用して配線にも利用できるという副次的な効果も得られる。すなわち、特に黒板装置の投影装置のような電気器具においては、電源線や信号線等のハーネスやケーブル類が必須となる。近年は無線による信号伝達も利用されつつあるが、セキュリティや通信速度、信頼性、コスト等の観点からは、優先接続が有利となる。ただ、優先接続の場合は、ケーブル類の取り回しが問題となり、特に本実施例のように投影装置PJを旋回式とするような、可動部を有する構造においては、可動につれてケーブル類も一緒に動くため、ケーブル類を剥き出しのままとするとケーブル同士が絡まったり、他の部材に接触したり擦れる等の問題が生じ、破損や断線のおそれがある。またユーザにとっても、ケーブル類に煩わされることは好ましいことでなく、特に教育機関等で利用される黒板装置では、児童や生徒が足や手をケーブル類に引っ掛ける可能性があることから、ケーブル類は極力外部に表出させないことが好ましいといえる。
そして本実施例では、中空状の固定パイプを利用しつつ、連結具においても、固定パイプの内部空間と連通するコード挿入口45を設けることによって、ケーブル類を一の固定パイプから連結具を介して他の固定パイプにガイドできるという利点が得られる。例えば図9、図10の例では、第一ジョイント30及び第二ジョイント35の、挿入端34を中空状としつつ、第一ジョイント30の第一半円状突出部38では断面視コ字状の連結端33で、該コ字状の底面を開口し、さらに第二ジョイント35の第二半円状突出部39では、第一ジョイント30と面する側に、コード挿入口45を開口することによって、垂直突出部6からこれらの開口を介して第一水平突出部7まで、ケーブル類を案内することができる。この結果、ケーブル類を固定パイプ内部に収納することができ、外部に表出させないことでユーザはケーブル類の取り回しを気にすることなく、極めて扱い易い黒板装置とできる。また、予め投影装置PJの電源線や信号線を、固定パイプを介して配線しておくことで、ユーザは配線作業の煩わしさからも解放される。
(変形例)
また、連結具は必ずしも角度調整機構を備える必要はなく、折曲角度が決まっている場合は、予め折曲させた状態に成形した連結具を使用することも可能である。図14の斜視図及び図15の平面図に、このような変形例に係る、角度調整機構を省いた連結具9Bを示す。この連結具9Bも、内部を中空状とする円筒状の金属製パイプであり、全体を所定の角度に予め折曲した状態に形成している。この例では、約90°に折曲させた折曲継ぎ手としている。また両側の端縁を挿入端34Bとし、その外径を、固定パイプの開口端縁43に挿入するための一回り小さくしている。この挿入端34Bも、上記と同様、挿入端34Bの外面には、第一凹凸条41と歯合する第二凹凸条42が延長方向に形成されている。この連結具9Bは、角度調整機構を省いた分、構成が極めて簡単で製造コストを低減できる利点が得られる。また、構造がシンプルな分、機械的な強度も図7等の例と比べて高くなり、信頼性の面でも優れる。特に、固定パイプ同士を折曲状態で連結することが容易であることに加え、挿入端34Bの第二凹凸条42を固定パイプの第一凹凸条41と歯合させることで、連結面での回転を阻止して、捻れ方向に対する剛性を高めた強固な連結構造を得ることが可能となる。特に円筒状のパイプは回転方向に対する剛性が角材等に比べて高く、また側面に凹凸条を延長方向に沿って設けたこととも相俟って、金属製パイプの強度を一層高める効果が期待できる。
以上のように、折曲部分のみを別部材とした連結具で構成することにより、固定パイプ自体を折曲する構成に比べ、部材の嵩を小さくでき、運搬や保管の面でも有利となる。また固定パイプは、好ましくはアルミニウム製とする。これにより、押し出し加工によって第一凹凸条41を容易に形成できる。なお固定パイプは、上記の例ではいずれも円柱状のものを利用しているが、捻れに対する剛性が十分に確保できる場合は、角柱状のものや断面が多角形状のものを利用することも可能である。この意味において、本明細書においてパイプとは円柱状や円筒状のものに限定されない。
(実施例2)
以上の例においては、キャスター3で移動可能とした自立式の黒板装置について説明した。ただ、本発明はこのような例に限らず、壁面に固定した黒板にも適用することができる。このような例を実施例2として、図16〜図18に示す。これらの図において、図16は黒板装置200の外観斜視図、図17は図16において投影装置PJを収納する状態を示す斜視図、図18は図17の模式断面図を、それぞれ示している。これらの図に示す黒板装置200は、壁面WLに固定された主黒板1と、主黒板1の主面に沿って摺動可能な状態に連結された移動体10と、移動体10から巻き取り式に展開可能なスクリーン体4と、スクリーン体4に映像を投影するための投影装置PJと、投影装置PJを主黒板1の上方に固定するための固定パイプ5Bとを備えている。この図に示す例では、固定パイプ5Bとして、主黒板1の上面から突出した垂直突出部6Bと、垂直突出部6Bの上端から水平に延びるよう固定された第一水平突出部7とで構成されている。
壁面固定式の黒板においては、固定パイプの旋回構造を設ける必要は必ずしも必須でなく、固定式とすることも可能である。ただ、このような固定式黒板装置においても、旋回機能を付加することも可能である。この場合、旋回させて横方向に位置させた投影装置は壁面に接触する虞があるため、投影装置が壁面に接触しないような構造を付加することが望ましい。例えば、投影装置の旋回角度を制限して、壁面に接触するまでは投影装置を回転できないようにしたり、あるいは投影装置と壁面との接触位置に衝撃を緩和するクッション等の緩衝材を配置する。例えば投影装置の隅部をクッションで覆ったり、あるいは壁面上に衝撃吸収シートを貼付する。あるいはまた、図16、図17、図18に示すように、投影装置PJを側面に旋回させた状態で収納できるよう凹所OSを、壁面WLに部分的に設けて、投影装置PJの収納空間を形成してもよい。この構成であれば、非使用時に投影装置PJを壁面WLに収納でき、また必要に応じて凹所OSの開口部分をカバーや蓋で覆うことができるので、非使用時に投影装置が邪魔にならず、好ましい。ただ、図17、図18等のように投影装置を完全に収納しなくとも、壁面の近傍まで待避させるだけでも、非使用時に主黒板の利用の妨げとなることを最低限として、待避位置として十分に機能させることができる。
またこの場合は、黒板の下面から突出するウェイト等を省略することで、黒板の下方で壁面に凹部を設ける必要性を無くすことができる。換言すると、壁固定式の黒板装置においては、自立式の黒板装置のような転倒の虞がないため、投影装置とバランスを取るためのウェイトは基本的に不要であり、このためウェイトを固定するための第二水平突出部のような部材を設ける必要もない。
(実施例3)
さらに、このような旋回機構を設けた黒板装置に限らず、旋回機能を有さない黒板装置においても、投影装置の支持構造物を容易に構築するため、本発明を好適に利用できる。このような例を、実施例3として図19に基づいて説明する。この図に示す黒板装置300は、平面に固定された主黒板1と、主黒板1の主面に沿って摺動可能な状態に連結された移動体10と、移動体10から巻き取り式に展開可能なスクリーン体4と、スクリーン体4に映像を投影するための投影装置PJと、投影装置PJを主黒板1の上方に固定するための固定パイプ5Cとを備えている。この図に示す例では、固定パイプ5Cとして、主黒板1の上面に突出させた垂直突出部6Cと、垂直突出部6Cの上端から水平に延びるよう固定された第一水平突出部7Cとに加えて、垂直突出部6Cの下端は主黒板1の上方までとし、主黒板1に到達しない短さとし、一方で主黒板1の上端に沿って水平方向に延長された第三水平部7Dと、その端縁で主黒板1の前方に突出するよう折曲された第四水平部7Eと、その端縁で主黒板1の表面に沿って鉛直方向に延長された第二垂直部7Fとで構成される。これら垂直突出部6C、第一水平突出部7C、第三水平部7D、第四水平部7E、第二垂直部7Fは、各々の連結界面に、上述した連結具を用いて固定している。さらに固定パイプ5Cは、巻き取り式スクリーン体4を設けた移動体10に固定される。また第二垂直部7Fの下端は、置き棚部16と固定される。置き棚部16は、上述の通り投影装置PJに映像情報を供給するパソコンPCを載置可能としている。
第二垂直部7Fは、主黒板1の前面に配置されるため、ユーザは第二垂直部7Fを手で把持して、固定パイプ5Cに固定された移動体10、すなわちこれに配備されたスクリーン体4や投影装置PJ、パソコンPC等を一括して移動できる。すなわち第二垂直部7Fは、ハンドル部11として機能する。そしてハンドル部11により所望の位置に配置された移動体10は、投影装置PJとの相対距離が変化しないため、どの位置においても正しく映像を表示できる。また、好ましくはスクリーン体4を展開した状態で、投影装置PJがスクリーン体4のほぼ中央に位置するよう配置することで、スクリーン全体を使って投影画像を表示できるようになる。
さらに、固定パイプ5Cの内部に、パソコンPCからプロジェクタPJに映像信号を送出する信号線や、プロジェクタに駆動電力を供給する電源ケーブル等のケーブル類を配置することで、ケーブル類を表出させず、纏めておくことが可能となる。
なおこの例では、折曲部分はすべて約90°としている。このようにすることで、折曲角度の設定が容易となり、また連結具として、図7等に示した実施例1に係る連結具9の他、図14等に示す、角度調整機能を省いた連結具9Bを使用することも可能である。